授業終了後、家に荷物だけ置いてライブ会場へ向かう。整理番号は八百番台であるため時間に余裕はあるのだが、逸る気持ちを抑えられない。今日は新曲を多く演るのだろうか。ヘドバン発電所と抜け忍、トリフィド、仲直りのテーマは是非聴きたい。MCはどんなだろう。楽しみだなぁ。
わくわくしながら会場に到着。まだ入場時間にはなっていなかったので物販を見に行った。前のライブではマフラータオルがすぐに売り切れてしまって購入できなかったのだが果たして今回はどうだろう。煙草の煙の間を掻い潜りながら売り子の声のする方へと向かう。おお! やったやったあったあったあった! 二千円払い、黒字に赤で「筋肉少女帯」と書かれたタオルをゲット、直後開封し首にかける。これで装備はばっちりだ。
入場時間となり、入り口の方から整理番号を読み上げる声が聞こえてきた。あぁ、もうすぐだもうすぐだもうすぐだ。ドキドキしながら自分の番号が呼ばれるのを待っていたら喉が渇いてしまったので、ドリンク販売所でオレンジジュースを購入した。恵比寿でオレンジジュース、うん、ラッシャー木村はエ・ラ・イ!!
ついに自分の番号が呼ばれた。ドリンク代五百円とチケットを握り締め階段を降り、もぎりの人にチケットを見せる。五百円払ってドリンク引換券を受け取り中に入ると大きなドラムが鎮座する真っ黒なステージが見えた。あそこでこれからオーケンが歌うんだ。ぐ、と心臓の音が大きくなる。
ステージの前は当然ながら大勢の人々が集まっていて、背の低い自分はなるべく前が見えやすいようにと、あまり背の高い人が前にいないところへ立とうとした。しかし、時期が時期であるためブーツや帽子を装着した人が多くどうしたって視界が妨げられてしまう。開始と同時の大移動で少しは前に行けるだろうか。それに賭けるしかない。
結論から言うと、だめだった。メンバーがステージに登場し、曲が始まると同時に前へと押し流されたのだが、隣に前後左右へ揺れまくりながらぐんぐん前へと進んで行く人々がおり、その波に押し出されたかと思ったら前方にスクラムを組んだ人々の塊があったためこれ以上前に進むことができず板挟み。痛い苦しいともみくちゃになっていたら左後方へと弾き飛ばされ、とんでもない大移動を強いられることとなってしまった。
そのうえ、辿り着いたその場所がこりゃまたえらいところで、右側には肩を組みながら周囲の人々の1,5倍程の激しさで、やはり前後左右へ揺れまくり跳びまくる人々がいて、左側にはライブ会場であるというのに、リズムをとるどころか全く微動だにしないおっさんが腕を組んでどっしりと構えているのである。当然右側の波に押され左側に傾くのであるが、このおっさん何があっても動かない。足腰の丈夫さは素晴らしいが隣にいるこちらとしてはものすごく困る。痛くて窮屈なのに全然動けないのだ。
さらに真後ろの男性からは背中をバシバシ叩かれる。恐らくもっと前に行けということなのだが、無理。でも叩かれる。この野郎、あんた身長高いじゃん、その位置からでも見えるじゃん。こっちなんかオーケンのモヒカン部分すら見えないんだぞこの野郎。
このような具合であったため最初の方は声はすれども姿は見えず、ライブであるのにメンバーの姿が全く見えなかったのだが、時間が経つにつれ人の波に変化が起こり、お陰で中盤から後はそこそこ見えるようになり、最後の方では橘高さんをしっかり眺めることができた。だけど抜け忍での寸劇が見られんかったのは残念だったなぁ。
今回演奏されたのは覚えてる限りで以下の曲。他にも何かあったかもしれない。
モーレツ ア太郎
日本印度化計画
日本の米
人生は大車輪
労働者M
暴いておやりよドルバッキー
イワンのばか
戦え! 何を!? 人生を!
バトル野郎~100万人の兄貴~
踊るダメ人間
Guru
君よ! 俺で変われ!
釈迦
これでいいのだ
機械
青ヒゲ兄弟の店
未使用引換券
抜け忍
仲直りのテーマ
新人バンドのテーマ
トリフィドの日が来ても二人だけは生き抜く
新旧取り混ぜてのセットリスト。盛り上がる曲は抑えてあるし、新曲もきっちり入ってるし良い感じ。ヘドバン発電所がなかったのは残念だったけど、おいちゃんと橘高さんの歌う青ヒゲ兄弟の店が聴けたので満足。新人バンドのテーマではちょいとほろりと来ちゃったよ。
MCではメンバーの中高時代に所属していた部活動が発表された。そうか、橘高さん卓球部だったのか。オーケンはミトコンドリアか。エディが聖歌隊に入っていたのにはびっくり。音楽関係かとは思っていたけど、格好いいぜ。
他には半径三十センチ以内は湿布の香り、沢尻エリカ、昭和天皇万歳、もう喋ることがない、筋肉痛を防ぐ手の振り方、ダメジャンプを手抜きする方法、おっぱっぴー、などがMCのネタとなって存分に盛り上がった。何にでも「別に」と返すコールアンドレスポンスは新鮮で面白かったなぁ。「お客さーん、今日はのってるかーい!?」「別にー。」「日本を印度にー!」「別にー。」
そして隣のおっさんはついに最後まで腕組んだまま微動だにしなかった。何だったんだこの人。
さて、明日のサークルはちゃんと動けるかな。