筋少リターン!やってない曲がまだまだあるぜ! (2007年3月24日)

潰れて中身がはみ出したティッシュ箱。風呂桶の中に落下して、てんでばらばらな方向を向いて転がっているシャンプー、リンス、洗顔料。点けっぱなしのノートパソコン、部屋の灯り。放置されたままの汚れたコップ、マグカップ。いったい何があったのだ。

足に力が入らない。気持ちが悪い。吐き気がする。ふらふらとゾンビのような足どりで歩き、台所にドンと置かれた日本酒の瓶を見る。…何があったも糞もない。全部自分でやったんだよ。やかんの中の水を飲み、直後胃の反発を感じトイレに篭る。あー、馬鹿だなぁ。

しばらくして落ち着いてから考える。昨日は日本酒を買ってきて、夕飯を食べながらマグカップでちびちびと呑んで、今日はやけに酔いにくいな、家で呑んでいるせいか、などと考えていた。それは覚えている。二時間くらいそうやって呑んでたんだ。そして友人にメールを送り、お話をしようとメッセに呼び出して、待ってる間に一本空けて、喋っているうちに急に酔いが回ってきて…、ブツン。

パソコンを見ると、昨夜のメッセのログが残っていた。うん、うん、そうそう。ここらへんは覚えてる。で、メッセから電話に切り替えようとしてだな。…しかし自分が電話をかけたのかがわからない。何か喋ったような気がしなくもないのだが、かなり曖昧でわからない。そうだ、携帯電話の履歴を見てみよう。確認するとちゃんと電話をかけていた。でもわからない。いったい何を喋ったのか、どのくらいの時間喋ったのかがわからない。あれ、やべーな、失言してねーだろーなおい…。

不安を胸に抱きつつ、気分が悪いので横になる。あぁ。また呑みすぎた。こんな状態でどうすんだ。今日は…今日は…。

筋肉少女帯のライブだってのに。

ダーメダメダメダメ人間、ダーメッ! にんげーんにんげぇーん。思わず、踊るダメ人間が頭の中をぐるぐる回る。はっはっはっはっ。二日酔いでロックライブ! それもオールスタンディングのライブ! 行けるのか? 大丈夫なのか? 馬鹿だなー!

その後目覚ましをかけて寝直し、起床するも気分の悪さは変わらない。身支度を整えるのも億劫で、食欲なんぞは全くない。とはいえ何も食べないわけにも行かないので近所のコンビニへ行き、C1000タケダとウコンのちからとウィーダインゼリーを購入。帰宅してから腹に入れ、それから二時間くらいひたすらぼーっとして体を休めた。無理かなぁ、行けないかなぁ、いっそチケットを売ってしまおうかなぁ、と弱気な心が顔を出すも、とにかくぼーっとすることに努め思考しないようにする。

家を出る頃には万全といかないまでも体調は回復し、ここでようやくライブを楽しみにする心が弱気な心に勝利する。よしよしよし、行ける行ける。せっかく当選したチケットなんだ、次も当選できるかわからないんだ、楽しまなくてどうする! わくわくしながら電車に乗る。だが体はやはりだるい。…オールスタンディング、耐えられるかなー。

ライブ会場は熱気に包まれていた。煙草の煙が鼻に痒い。前回と同じく年齢層は幅広く、客の服装もロリータファッション、パンクファッション、露出過剰、普通の服、オタクファッションと様々だった。物販を見に行くとタオルは既に完売。手頃な値段のアイテムだからすぐに売り切れてしまったらしい。Tシャツはまだ残っていたが、七千円では手が出ない。惜しかったが諦めた。

整理番号順に中へ入る。ドリンク代は五百円。高いなぁ。中は暗く、足元はべとついていた。自分の整理番号が八百番台であったため、中には既に人がたくさん集まっている。気のせいか背の高い人が多く感じた。日常ではさほど他人との身長差を意識することはないのだが、やはりこういう場面では意識せざるを得ない。しかも運の悪いことに、目の前には身長百八十超えのにーちゃんが二人立っている。まずい。これではこのにーちゃん二人の背中しか見えない。とはいえ、横に移動しようにもそれすら難しい状況という現実。背伸びをしても前が見えん。

だが、幸運は起こった。曲が始まり全員が飛び跳ね出したときに場所が移動、何とか前が見える位置につくことができた。やったー! それでも終始爪先立ちジャンプを強いられたが、そのくらいは我慢しよう。何てったってライブだからな!

今回は長年封印していた、オーケンによるステージ上でのビール一杯一気呑みも行われた。きょーぉのおっさけっがのーめるーのはぁー! おーつきっさんのおっかげっですぅー! いっきいっきいっきいっき! ペインウィンドウ―痛風―にも負けず…、ありがとう、ありがとうオーケン!

最初の曲は「少年、グリグリメガネを拾う」。M.C.ではオーケンが自画自賛をしたり、飯島愛の今後を気にしたり、ウエンツの美貌に嫉妬したり、プロピアでちょっと自虐に入ったり、酔っ払った挙句水を止めることすらできなくなったりと大サービス。「日本印度化計画」中におヌード頂戴もあった。あんまり良く見えんかったけど。

演奏された曲は以下のもの。…で、合っているはず。曲順は覚えてないんだがなー。

少年、グリグリメガネを拾う
くるくる少女
マタンゴ
小さな恋のメロディ
僕の宗教へようこそ
踊るダメ人間
詩人オウムの世界
戦え! 何を!? 人生を!
生きてあげようかな
おもちゃやめぐり
日本印度化計画
バトル野郎~100万人の兄貴~
イワンのばか
これでいいのだ
サボテンとバントライン
労働者M
蜘蛛の糸
221B戦記
サンフランシスコ

ライブ中はだるさも吹っ飛び、ずっと腕をふったり、ジャンプをしたり、コールアンドレスポンスに参加したり、合唱したり体を揺らしたりとノリノリだった。これはもしや、ライブの楽しさで体調が回復したのか? 体を動かしたことで元気になったのか? 全身汗だくで体が熱い。服はとっくにしけっていて、上着にまで汗が染み込んでいる気さえした。

しかしこの元気も一時的なもので、ライブが終わったとたんにドッと疲れが出て、体がだるくなり、気持ちが悪くなった。あー、そりゃな。当たり前だわな。むしろよくぞここまで元気でいられたな。帰り道、電車を待つ間はホームに寄りかかり、混んだ電車の中でぐったりとつり革にぶら下がり、心はライブの余韻で高揚したままで、橘高の投げたピックが目の前に飛んできたのに、びっくりして取れなかったのが残念だなぁ、などと考えていた。

帰宅。食欲は無かったもののお粥を食い、汗を流して布団に倒れた。楽しかった。すごく楽しかった。筋少を知るきっかけとなった「蜘蛛の糸」、名曲と名高い「サンフランシスコ」、ライブでは滅多に演奏されないらしい「221B戦記」、大好きな曲の「詩人オウムの世界」「イワンのばか」を聴けて嬉しかった。オーケンの歌詞間違いも少なくてほっとした。だが、…疲れた。

そんなこんなで、二十四日は大変ハードな一日だった。

未分類筋肉少女帯, 非日常