未分類NESS, ケンヂ浩司, 非日常

NESSとケンヂ浩司の対バンを観て来た。場所は高円寺HIGH。中野を散歩している最中に高円寺に迷い込んだことはあったが、高円寺の駅に降りたのは今回が初めてである。駅の外ではザ・スターリンのTシャツを着ているおじさんを十分間で二人も見かけた。なるほど、話の通りロックな雰囲気の大人が多い街である。

今回のライブの一番の目当てはケンヂ浩司の浩司こと石川さんだ。石川浩司、通称たまのランニング。自分はこの石川さんに大きな「興味」と「好意」を持っているのだが、石川さんのライブを観たことは今までに一度も無かった。何と無く、行き難かったのである。何故なら自分は、本命のライブに行けていないからだ。

母がたまのファンだったため、自分は幼稚園の頃からたまを聴いていた。常日頃家の中でたまがかかっていたわけでは無かったが、自然と耳にし、親しんでいた。しかしずっと熱心に聴いていたわけではなく、意識することはほとんど無かった。だが、中学の頃だろうか。何がきっかけだったか忘れたが、家にあったたまのアルバム「さんだる」を聴き、それから少しずつ興味を持ち始め、いつしか自らアルバムを購入してたまの音楽を聴くようになったのである。

大学に入ってからはライブに通うようになった。筋肉少女帯、水戸華之介、ブラック菩薩、電車、平沢進、人間椅子。だが、たまを観ることは叶わなかった。既に解散してしまっていたからだ。

自分が筋少を知ったとき、筋少は凍結状態で、オーケンは特撮で活動していた。そのときも自分は特撮のライブには行けなかった。本命を観られていないがために、他を観る気が起きなかったからである。同じように、元たまのメンバーのライブも、興味を持ちつつも抵抗感を拭うことが出来ず、一歩足を踏み出せないでいた。

そんな些細な抵抗感なんざもうどうでも良いじゃないか、と心の底から思えたライブだった。
あぁ、自分はもっとこの石川さんという人を観に行った方が良いに違いない。

このライブに行こうと思えたのはオーケンが関わっていたからだった。自分が好きなオーケンと石川さんの組み合わせ。いったいどんなステージを見せてくれるのか好奇心を抑えられない。さらに対バン相手はNESS。興味を抱きつつもまだ一度も観ていなかったバンドである。この機を逃す手は無いだろう。

石川さんはすごかった。

ステージで自由気ままに振舞っているように見えるが、きちんとステージとして成り立つように振舞っている。狂気と正気の境目を綱渡りしつつ、コミカルな面を見せてくれるが、そのコミカルの背後にはゾッとするものが潜んでいて、「自分はもしかして、危ういものを見ているのでは無いだろうか」と思わされる。そのバランスが秀逸なのだ。ただの悪ふざけでは無い。

ユニットを組んでいるオーケンが「怖い」と言っていたのも頷ける。ライブはケンヂ浩司が先手で、最初にステージに出てきたのはオーケンだけだった。そしてアコギを抱いてFOKとして一曲二曲三曲と一人で弾き語る。一曲目は「ミルクは人肌が良い」というような歌詞の曲で、二曲目は「香菜、頭を良くしてあげよう」、そして三曲目の「あのさぁ」の途中でケンヂ浩司の片割れ浩司を呼び込み、メンバーがステージに揃う!

ここでMC。オーケン曰く、このライブは以前、FOKでツアーをした際に、ゲストをたくさん呼び、石川さんにも来ていただいたときの様子を再現しようという趣旨のもの。自分はそれには行けなかったのだが、何やらオーケン的にはだいぶショッキングだったらしい。またこのライブ、今日この日が来るまで何をやるか石川さんは全く知らされていなかったそうだ。メールで詳細を尋ねても返信が来ず、そのまま当日を迎えてしまったらしい。大槻さんちゃんと返信してください。だが、石川さん的には特に問題は無かったらしい。頼もしいことである。

次は石川さんの番ということで、オーケンはステージの隅に座り込み、ポカリスエットを飲み始める。飲む前に石川さんにお伺いを立てていた。「ポカリ飲んでても良いですか?」石川さん、何を飲んで食べてもOK、という内容のことを答え、ポカリを飲んだならお腹がパンパンになっただろう、ということで一曲目は「おなかパンパン」。ライブで初めて聴く石川さんの曲は「おなかパンパン」かー、と、一人感慨深くなりつつも、この曲、怖いので自分はあまり聴かないようにしているのである。実際ライブで聴いてみたらやはり、怖かった。

続いて「はげあたま~」と歌の間で区切りを入れる曲では、石川さんが自分の口を両手でパンパン叩くことで声の調子を変えながら歌い、合間合間ににっこり笑って「はげあたま~」とオーケンに向かって囁き、ステージの隅でうずくまるオーケンが泣きそうな顔をしながら逃げようとする、というステージが繰り広げられた。これに関し石川さんは、「今回は、照れる大槻くんを眺めて楽しむライブということで」というようなことを語っていたが、「照れてるんじゃないんですよ! 怖いんですよぉ!」とオーケンが反論していた。実際、怖いと思う。

「真面目な曲も」ということで「オンリーユー」がキーワードになる曲を石川さんが歌い、この後は二人でセッションという形になったのかな? やや、記憶が曖昧である。曲は「がんばったがダメ」「人として軸がブレている」「踊るダメ人間」「死んでゆく牛はモー」など。「がんばったがダメ」ではオーケンと石川さんが二人して犬の鳴き真似を演じた。「踊るダメ人間」は観客に一緒に歌ってくださいと言って「ダメダメ~パパパヤ~」の部分を任せていたが、ワンマン以外のライブでこれをやるのはなかなか度胸があるなぁ、と感心した。石川さんもオリジナルの合いの手を入れてくれ、それが見事に曲にマッチ。終わりには「オレはダメ人間をやればいいんだろ?」と言って笑わせてくれた。

オーケンはアコギを置き、エレキギターを持ち出して激しく掻き鳴らす。こんな激しい曲もやるのか! と戸惑いを感じつつ、何が来るかと身構えてみれば「死んでゆく牛はモー」。いったいいつの間にこの曲はこんなノイズになったのだろう…と唖然としつつ、石川さんの奇声のような笑い声による合いの手と、爆音のギターの重なり合いは非常に怪しく、もしかするとこれは今回のライブで一番好きだったかもしれない。

時間が過ぎるのは早いもので、ついに最後の曲。オーケン、「皆さんも知ってる曲です、良かったら一緒に歌ってくださーい!」と言ってすすめるも知らないわーこれ何の曲だー。いや、以前ものほほん学校か何かで聴いた覚えがあって、そのときも一緒に歌ってくださいと言われた気はするが…知らない…。ただ、合唱する箇所は同じフレーズの繰り返しのようだったので、その場で覚えて対応した。

ケンヂ浩司がステージを去り、照明が落ちて次のNESS用のステージの準備が始められる。これがなかなか時間がかかった。テクノは色々時間がかかるのだろうか…と思いつつ待ち続け、ようやく灯りが点り、先程までの空気を一変する音楽がその場に満ち溢れる。空気が全く違うものになった。

しかし、NESSの三浦さんは石川さんにだいぶショックを受けていたようで、その後のMCでは「全てを持っていかれた」といった内容のことを語っていた。また、三浦さんは本日お誕生日だったらしく、サプライズでケーキがステージに持ち込まれ観客全員でハッピーバースデーを合唱。三浦さんは蝋燭の炎を吹き消すも、どうせ領収書は俺宛だ、そのくせ結局食べるのは女性スタッフなんだ、としょっぱいことを語っていた。

MCでは内田さんの近況も語られた。内田さんの家は非常に暑く、夏場は室温が三十四度にまで達するらしい。しかしエアコンは使えず、古すぎるため買い換えるためには室外機を取り替えなければならず、だが、室外機をどかすには木の枝が邪魔をしていて、その木は内田家の水道管にも粗相を仕出かし、といったカオスな有様である故に、熱でコンピューターが壊れてしまうことを防ぐためにも夏場は仕事を休み、九百五十円で買った折りたたみ椅子を出して庭で涼んでいるらしい。誰か内田さんの家の木をどうにかしてあげてください。

NESSの音楽は格好良かった。テクノについては詳しくないが、大人が余裕を持って、趣味を全開にしてやっているテクノ、といった印象を受けた。だが、その直前の石川さんがあまりにも強烈だったため、正直あまり覚えていない。あぁ、そうだ! やはり生ドラムは良いな、と思ったのだった。テクノと言うと自分の引き出しからは平沢進、P-MODELしか出てこないのだが、昨今の平沢さんはライブでも楽器はギターとその他特殊な楽器くらいしか使わず、事前に作成している音源を流しているのである。それはそれとして面白いが、生音のドラムで聴きたいな、と思うことも多々あるのだ。そして今回改めてそれを思ったのである。

ところですごくどうでも良い話だが、NESSのドラムの河塚さん、河塚さんとわかっていてもついつい河豚さんと読んでしまう。ふぐさん。違うとわかっているのにだ。ちなみに河塚さんはピンクのシャツを着ていた。

アンコールではケンヂ浩司とNESSでのセッション。NESSだけでも一杯一杯なステージにマイクが二本追加され、さらに石川さんのパーカッションセットがドン! だいぶ窮屈になっていたのか、内田さんのベースのネックにオーケンがぶつかりそうになっていた。

アンコールの曲のタイトルは知らないが、テクノノイズとも言うべきか。大音響の中でオーケンが何かをシャウトし続け、石川さんはパーカッションを放棄して、ガムテープで自らの顔面、胸、腹部、下腹部をぐるぐる巻きにするというパフォーマンスを始め、さらにはパーカッションセットを分解し、分解したタンバリンなどをガムテープで自身の体にくっつけ、格子状の部品を高々と掲げ上げてそれに頭を通し、尚分解し、部品の一部で河塚さんのドラムセットのシンバルを叩き、もう石川さんしか見えない。ちなみにこのときオーケンが叫んでいた言葉、自分の位置からは音響の関係か、何を言っているのか聞き取れなかったのだが、聞いた話によるとひたすら石川さんが着ていたシャツに背中に書かれた謎の文字「ケルン」について言及していたらしい。もっと意味のある凝った内容の詩を叫んでいるのかと思っていたので、これにはずっこけそうになった。

そうしてセッションは終わったわけだが、ちょっと面白い話として、終わった直後にオーケンが内田さんに対し、「僕は君とこういうのがやりたかったんだよぉ!」と、当時「ノイズ」をやりたかったのに上手く伝わらず「ロック」になってしまったことを今になって伝えようとしていたが、内田さん、「ノイズまんが道やったじゃん」とあっさりスルーしていた。この「ノイズをやりたかったが上手く伝わらず、今の筋少という形になった」という話はオーケンの著作でも読んで知っていたが、いやぁ、上手く伝わらなくて良かったんじゃないかな、と思うね、自分は。ノイズがどうと言うよりも、今の筋少が好きだからさ。

今でこそ落ち着いたが終演後は石川さんのことで頭が一杯で、ドリンクとチケットを引き換えてもらっていないことに気付きつつも、まぁいいか、とライブハウスを後にして興奮の内容をTwitterに叩き付ける作業に没頭した。物販では勢いで石川さんの本を購入。帯はオーケンが書いている。願わくは、年に一度、数年に一度でも良いので、またこのケンヂ浩司のユニットでやってもらいたいなぁ。あぁ、楽しかった。本当に。




未分類筋肉少女帯, 非日常

筋少動画上映会イベントに行ってきた。楽しかった。グレートウチダハウス監督こと内田さんとオーケンが終始和やかに話していて、筋肉少女帯として舞台に立っているときよりも内輪ネタが多く、若干素に近いように見えた。ポロポロと中学や高校の同級生の名前が出てくるのが面白い。今更だが、この二人が仲直り出来て良かったな、と改めて思った。

未分類初参戦, 平沢進, 非日常


 
行ってきた。平沢進のライブ、「東京異次弦空洞」二日目に。ライブが終わって既に何時間も経っているというのに未だぼうとしたままだ。しかし体内では神経が興奮し、心臓がドクドク動いていて落ち着かない。ライブの興奮と感動と、一年間に渡って続けられた還弦イベントが終わってしまったことを惜しむ寂しさと喪失感、これらがない交ぜとなるが故の作用である。

あぁ、終わってしまったんだなぁ。

思えば一年半ほど前か。Twitterで何やら騒がれている人がいるぞ、と知って興味を持ったのがきっかけだ。どんな人物かよくわからないままにフォローして、興味を持ち、氏の情報を調べて公式サイトに辿り着き、彼の書く文章に魅力を感じてSP-2本を購入。そうだ。音楽よりも先に文章を好きになったんだ。後にアルバムに手を出して、どこかで耳にした夢の島思念公園の歌声を思い出し、「あぁ、この人か」と気付きはしたが、最初は文章だったのだ。

まず平沢進という人の情報を得ようと検索をかけ、Wikipediaなどでざっと調べたときは、「師匠」「エコ」「反戦」「ベジタリアン」「メンバー変更が頻繁」といったキーワードのコンボから、若干引いたのも今となれば懐かしい。「どうしよう。変な人なのかもしれない…」とこれ以上深入りして良いものか迷ったが、結局変な人ではあるものの、大変好ましいタイプの変な人であることがわかった。今、自分にとって一番「興味深い人」は平沢進である。好奇心がそそられる。何て面白い人なのだろうか。

そうして平沢進という人物にはまり、アルバムを買い、DVDを買い、ついに念願のライブに参戦することが叶ったこの喜び。ライブハウスという一つの空間、同じ空間にこの興味深い人がいて、己の目の前で実在することを証明してくれている。何て素晴らしいことだろうか! そのうえ、大好きな音楽を、歌声を! 生で聴くことが出来るのだ!!

あぁ、だめだ。興奮が収まらない。サイン会で初めてオーケンを見た後も、こんな感じだったなぁ。あのときも数日体内で異常作用が働き続けていたなぁ。

そろそろライブの感想を書こうか。以下、公式サイトから持ってきたセットリストである。

「凝集する過去 還弦主義8760時間」フィナーレ

東京異次弦空洞

2011年1月14日(金) 18:00 開場 19:00 開演
会場: SHIBUYA-AX
ゲスト: Neng, Rang

01: アート・ブラインド (Neng & Rang) / 突弦変異
02: DUSToidよ歩行は快適か? / 突弦変異
03: CHEVRON / 突弦変異
04: MOTHER / 変弦自在
05: Another Day / 突弦変異
06: ミサイル / 突弦変異
07: サイレン*Siren* / 変弦自在
08: 金星 / 変弦自在
09: GOES ON GHOST / 突弦変異
10: 夢みる機械 (Neng & Rang) / 変弦自在
11: バンディリア旅行団 / 変弦自在
12: LEAK (Rang) / 突弦変異
13: Solid air / 突弦変異
14: ASHURA CLOCK / 突弦変異
15: 環太平洋擬装網 / 変弦自在
16: トビラ島(パラネシアン・サークル) (Neng) / 変弦自在

EN
17: WIRE SELF / 突弦変異
18: ルクトゥン OR DIE (Neng & Rang) / アルバム未収録 (2001)

FCの先行販売で入手したものの、番号は千より先の遅い方。それが己のチケットだったが、何だかんだで前から五列目に行くことが出来た。下手側の中央寄りで、特にASHURA CLOCKからは波が動いてびっくりするほど視界良好。それまでも平沢さんの胸から上や、ギターを弾く手元を見ることは出来ていたのだが、ASHURA CLOCK以降は常に頭から爪先、周辺の機材まで、ばっちり眺めることが出来た。感無量である。

ところで、今回はライブ慣れしていない人が非常に多かったように思う。平沢ライブに来たのはこれが初めてなので今までどうだっだかは知らないのだが、それにしても大荷物をスタンディングスペースに持ち込んで足元に置いたり、上着を抱えたまま立っている人が多かったなぁ。開演直後の押しでも、「ちょっとこれどういうことなの?」「信じられない!!」と憤慨している人がいた。自分も初めて筋少のライブに行ったときは波に飲み込まれて「何じゃこりゃ!?」と驚いて慌てたものだが、今日は「何じゃこりゃ!?」な人が大勢いたために、ライブ慣れした人々の波に乗せて何となく皆あわあわ移動とならずに、塊と塊が衝突してしまっていたように感じられた。動くことを前提としている人達としていない人達の衝突である。ちょっとした混乱が起きていたよな。

閑話休題。さて、「凝集する過去 還弦主義8760時間」のフィナーレを飾るこのライブ。当然8760時間中に作られた二枚のアルバムの曲が演奏されることになるわけだが、中でも己が一番期待していて、一番聴きたかったのは、「金星」である。

本当に嬉しかった。

椅子に座り、組んだ足の上にアコギを乗せ、爪弾きながら歌う平沢進を目の前にしたときの感動は並大抵のものでは無かった。一音ちょっとおかしかったな、と感じられたところもあったが、そんなことはどうでも良い。あのギター嫌いを自称する平沢が。泣きはしなかったが、泣くかと思った。愛らしい音色だ。優しい声だ。胸がいっぱいになった。

金星の他でも、アコギを爪弾くシーンはあった。「あの」平沢進が珍しいことである。さらには、トビラ島でアコギを爪弾いた後、機材が設置されたステージセットが退場し、スタンドマイク一本を前に歌い叫ぶ姿には、圧倒以外の言葉は出ない。様々な怪しい機材に囲まれ、それらを操る姿も格好良いが、だからこそのシンプルイズベストの演出。音楽使い平沢進が、ボーカリスト平沢進の面を曝け出した瞬間を見せ付けられたように感じた。この人の歌が素晴らしいことは知っている。知っているが、こうもまざまざと見せ付けられると、ついには、圧倒されるより他に無くなってしまうのか。

書きたいことはたくさんあるが、どこから手をつければ良いのかわからない。「DUSToidよ歩行は快適か?」「MOTHER」「Another Day」が前半に出てきたときには、「もうこれをやってしまうのか!」ともったいなくも感じたものだ。「夢みる機械」のイントロはライブ用にアレンジされていて、あのイントロがピアノの重低音で奏でられる中、NengさんとRangさん、そしてテスラコイルが登場する。そして同じテンポのまま機械的な音に変貌し、平沢進の語りが始まるのだ。ゲストであるNengさんとRangさんのパフォーマンスがまた面白く、平沢を見たり二人を見たり、しまいにはどっちを見れば良いのかわからなくなって楽しかったなぁ。

イントロが変わっていたものと言えば「LEAK」である。言葉で説明できないのがもどかしい。原曲よりもずっと長くなっていて、始まりは原曲とは違うものなのだが、だんだんと近付いてきて「LEAK」になるのである。このバージョンの音源も欲しいくらい、格好良いものだった。

「Solid air」のギタープレイは凄まじかった。一段高いステージからぴょんと飛び降り、客の近くにやってきてくるりと回ってくれたときには凄まじい大歓声が起こった。

ただちょいと残念だったのは、曲と曲の繋がりがあまり無いというか、一曲一曲が全て分断されているように感じたことだ。もうちょっと繋がりがあったらより燃えただろうなぁ。

それと、「あれ、ここも音源に歌わせてしまうのか」と感じる部分が結構あった。平沢さんの生の声で聴きたい部分が音源で流されるとやや、寂しい。とはいえ、もしかしたら体力的な問題なのかもしれない。五十六歳だものなぁ。無論、それにしたって十二分にすごいのだが。

そうそう、「DUSToidよ歩行は快適か?」のオリジナルの「でぃーやっでぃーやっでぃーやいやいやい」にあたる部分での、レーザーハープの手振りが優雅で非常に美しかった。舞っているような手の動きに思わず見惚れてしまったよ。あの動きはDUSToidだけだったなぁ。

レーザーハープを見るのは初めてだったので興味深く眺めていたのだが、あれには「切る」「握る」「はたく」「くすぐる」「すくう」動きがあるようだ。個人的には「切る」と「すくう」が好きである。

大合唱が起こったのは「Another Day」と「ルクトゥン OR DIE」。特に最後の「ルクトゥン OR DIE」では、タガが外れたかのように観客が大爆発。一曲中ずっと飛び跳ね、拳を振り上げての「ルクトゥン OR DIE!」の大合唱。それにしてもアルバム未収録曲がキラー・チューンってのもすごい話である。あんまり無いと思うのだが。

最後のMCはNengさんとRangさんの紹介から始まり、Twitter継続の嬉しい告知と、Twitterでの「唯じゃない」発言によりフォロワーが増えて開催するに至った今回のライブを「思わぬアクシデント」と称され、「マイナーなのにこんな大勢の前に引きずり出されて憤慨」といった素敵な発言をいただいた。ステージから一度下がりながらも、また戻ってきて客席に向かってサービスするRangさんと話すときには、大変珍しい笑顔なんてものも見られて嬉しくも驚いてしまった。平沢進の笑顔だ!

あと、今回のライブに隠されたメッセージを教えてくれもした。それは「使ったものは片付けましょう」であるとのこと。そうそう。ステージ上に、機材やアコギの設置された「動かせる」ステージがあり、それが曲に合わせて幕の中から出てきたり引っ込んだりしていたのだが、まさか平沢進本人がせっせとステージを引っ張ってくるなんて誰が予想するだろうか。特に、本編ラストのトビラ島でスタンドマイク一本のみとなったステージに、アンコール後せっせとでかいステージを運んできたときには笑ってしまった。あの灼熱の歌に圧倒された直後のことだから、特におかしかったんだな。全くサービス精神旺盛な人である。

このメッセージに歓声が上がり、「当たり前のことを言っただけですよ」としれっと答える平沢進。面白いなぁ。最後の最後には「帰りなさい」と帰宅を促し、「えーーーー!!」という声が起こる中、颯爽とステージから去っていった。ヒラサワさんがいなくなった後も拍手はしばらく鳴り止まず、ダブルアンコールを望む声が続いたが、終演のアナウンスが流れ、惜しまれながらライブは終了した。

あぁ、本当に楽しかった! 日記に吐き出して少々落ち着いたが、まだまだ余韻の中にいる。この人のライブを観ることが出来たことが心から嬉しい。平沢進は実在するんだなぁ、なんて言ったら笑われるかもしれないが。実感し体感出来たことがこの上なく嬉しいのだ。この様子ではなかなか平静に戻れそうにないな。

未分類電車, 非日常

初詣にも行っていないのに初ライブに行ってきた。昨日幼馴染と遊んだとき、そいつは明日御祓いに行くと言っていたので、ついでにこちらの分も祓っといてもらえないかと頼んであっさりと却下されてしまったのだが、そうして御祓いもせず辿り着いた先が吉祥寺のSTAR PINE’S CAFE、ライブタイトルは「小畑ポンプ芸歴20周年記念興行第弐弾【電車セッション おかわりの回 フューチャリングただすけ】」だ。そして内容はと言うと、年の初めから死体に鳥葬に失恋に植物人間、御祓いどころか穢れも倍増な大変素晴らしい曲目であった。

以下、やや曖昧なセットリストである。

クレイジーケンバンドの「オレの話を聴け~」という歌
アタイばっか

あのこが遊びにくる前に
喰らわれた女の歌
死体のこもれび

パティー・サワディー

(ぽんすけ曲一曲目/空と雲と君と(?))
(ぽんすけ曲二曲目)

ヨロコビとカラスミ
夢見るショック!仏小僧

お別れの背景
OUTSIDERS

人間のバラード

~アンコール~

電車のヘイ・ユウ・ブルース
アザナエル

ところで今回、己は夜から予定があるため十八時にはライブハウスを出なければならなかった。しかし開場は十四時。開演は十五時。タイムリミットは十八時だが、三時間もあれば何とかなるだろう。せいぜい二時間半といったところではなかろうか、と読んでいた。読んでいたのだが、甘かった。

大変名残惜しかったがアンコール一曲目のヘイ・ユウ・ブルース途中で己は退場し、ライブハウスを後にした。最後までいたかったが仕方が無い。だが致し方の無いことだ。さしもの己もMCがこんなにたっぷりあるなんて予測することは不可能だ!

小畑ポンプさんがメインのイベントでこのようなことを言うのもいかがなことかと思うが、それでもあえて言うならば、MCならぬトークタイムはゲストが盛りだくさんののほほん学校を見ているようでもあった。今回セッションメンバーが五人だったのだが、うち三人が喋る喋る。そして二人も振られれば喋る喋る。演奏そのものよりもMCの時間の方が長かったのではないかと思うほどである。結局、ライブは三時間ちょっと行われたそうだが、その間演奏されたのは十五曲前後である。普段の筋少のライブは長くても二十曲やって二時間半といったところだ。筋少のMCも決して短くは無い。いかにMCが長かったかおわかりいただけるかと思う。

トークは抜群に面白く、わっはっはっはと笑いながら聴いてはいたが、今回ばかりはタイムリミットがあったので、後半は特に早く曲を! 早く曲を! と願いながら時計を見つつハラハラしていた。これでアンコールラストの曲がお別れの背景だったら己は涙を流していたかもしれない。

と、言うほどに楽しみにしていて、今日やってくれんかなやってくれんかなと期待して、イントロを聴いて大喜びしたのが「お別れの背景」なのである。お別れの背景が聴きたくてこのライブに来たと言っても過言では無い。筋少以外のオーケンの曲で、一、二を争うほど好きな曲なのだ。これを聴けて本当に良かった。一度生で聴きたいと思っていたのだ。嬉しかった。嬉しかったなぁ。

「お別れの背景」はとある恋人同士の二人組みが街へと出かけ、楽隊が歌い紙吹雪が舞い、ファンファーレが鳴り怒声が飛び交う華やかで騒々しい人ごみの中で、ひっそりと繋いだ手を離してお別れをするという曲だ。これの一番と二番の対比、称えられる英雄と怒声を浴びせられる罪人の描写が悲しい。そして何より切ないのは、英雄が昔人を殺したこと、罪人が昔人を愛したことを知っていながら、「だけどもういいじゃないか」と突き放すように、共に泣いたり笑ったりした恋人も、他人として思い出の中に消えていくことだ。「僕達」が「僕と元恋人」になる瞬間が描かれている曲なのである。

感無量の一曲だった。ここからOUTSIDERSに繋がるのがまた、切なくて良かったなぁ。OUTSIDERSを聴く度に感じるのはオーケンのマイノリティへの優しさだ。それは守ってあげようとしたり、権利をあげようとしたりするのとは違う、ただ存在を認識するという形の優しさだ。力強さは無く、やるせないばかりだが、やるせなさに同調してくれる。だからと言って慰めてはくれない距離感が実にオーケンらしいと思う。

今回初めて聴いたのは「あのこが遊びにくる前に」と「死体のこもれび」である。初めてというのはライブで初めてでは無く、本当に初めてという意味だ。というのも自分は電車のアルバムはライブ盤である電車英雄しか聴いていないからである。では何故二枚のオリジナルアルバム「電車トーマソ」と「勉強」を聴いていないかと言えば、持っていないからである。持っていない理由はと言うと、廃盤になっているからである。

あぁ、思えば筋少が再結成する前のこと。まだ筋少のアルバムを集めきる前で、筋少以外のアルバムにはさして興味が無かった頃。あの頃、タワレコで、棚に刺さった電車のアルバムを手にとって「うーん筋少じゃないんじゃなぁ」とレジに持って行かずにそっと棚に戻した自分の行動を思い返すと、何てもったいないことをしているのだと説教してやりたくもなるが、出会いにはタイミングがあること、悔いたところで仕方が無いことも理解しており、それでも、あぁもったいないことをした、と思わずにはいられない複雑な心境。次の出会いはいつだろうか。

閑話休題。この初めて聴いた二曲だが、特に「死体のこもれび」がすごかった。妖しい迫力のある曲で、キラキラしたキーボードの音が気味の悪さを強調し、それでいて優しく美しいのだ。これを聴いてますますオリジナルアルバムが欲しくなってしまった。中古屋を一所懸命回って探さなければならないな。

電車は筋少とも特撮ともまた一風変わった、オーケンが言うところの「ひねくれた」曲が多い。切なさともの悲しさと、やるせなさと妖しさと、優しさと気味の悪さが渾然一体となり、異様な迫力を持ってふらついている。言うまでもなく正月らしさは微塵も無い。が、紅白や正月特番バラエティの浮ついた華やかさにも少々飽きてきたのも事実。御節も良いけどカレーもね。一月三日に電車のライブを観るのはなかなかちょうど良いタイミングの毒の処方と言えるだろう。

MCの方でも毒の効いた発言があったなぁ。今年の正月、餅を食べて死んだ人間が東京都だけでも六人いるという話になったとき、オーケンが「正月に餅を食べるのは、昔からのそういう、人口の調節というか、正月に老人を殺そうみたいな」というような危ない発言をしていて笑えた。

そして今回、MCで大いに盛り上がったのがアルフィーの話題である。キーボードのただすけさんはアルフィーのキーボードもしており、そういった繋がりでアルフィーの話が出てきたのだが、アルフィーはライブ中に物販の販売を促進するためにコントをやるのだそうである。そうである、と言いつつ自分は妹がアルフィーファンであるため、そういった話は聞いたこともあったのだが、まさか一回のライブで二十分近くもコントの時間があるとは思わず、驚いた。ちなみに台本は高見沢さん作だそうである。

その流れで、アルフィーほどの大御所だってここまで物販に力を入れているんだから筋少も何かしなくてはいけない、筋少も最近ライブ中に物販のためのコーナーを作ったが、メンバー個人の物販を槍玉に挙げてネタにしたらそちらばかりが売れてしまって、筋少物販の売り上げは上がらなかった、なんて話をしていた。

あと、アルフィーがライブ中にコントをやる話を聞いたり、アニメの世界のライブを観たりしたことで、ライブってのは何をやっても良いのだと気付かされた、なんて話もしていたかな。その気付きが今後のライブに反映されることはあるのだろうか。コントが導入されたらどうしよう。

これもまたアルフィー関連で。ライブ中のコントの話から、オーケンが有頂天もライブ中に芝居があり、筋少のおいちゃんも有頂天に在籍していたのだが、いつの間にかギターを弾く時間よりも芝居の稽古をする時間の方が長くなり、それが嫌になって有頂天を辞めたという、一部で有名な話をしていた。そういえば有頂天もまだ聴いたことが無いんだよなぁ。

ライブの始まりはクレイジーケンバンドの「おれのはなしをきけ~」という歌詞の歌を一人ステージに登場したポンプさんが歌い、曲が流れる中で他メンバーが登場、全員揃って配置につき、中央に立ったオーケンがまた「おれのはなしをきけ~」と歌うという、ちょっと変わった演出だった。オーケンが今年最初にステージで歌った歌はクレイジーケンバンドだそうである。おれのはなしをきけ~。

ライブハウスは一階と二階に分かれていて、一階にも二階にも丸いテーブルと椅子が置いてあり、食べたり飲んだりしながらライブを観られるようになっていた。カップに入ったコーヒーなどを飲めるのが普段のライブハウスと違ったところか。とはいえ己はいつものようにハイネケンを呑んでいたのだが。後ろの方の番号だったため、見えるかどうか心配だったが、段差があったおかげで見晴らしも良く、耳も目もしっかり満喫することが出来た。スタンディングも好きだが、こういうまったり楽しめるのも良いものだよな。楽しかった。

未分類筋肉少女帯, 非日常

せっかく名古屋まで観に行ったのだが、移動に疲れてうっかり書き逃してしまったのでセットリストだけをドン。

パリ・恋の都
サンフランシスコ

ハッピーアイスクリーム
タチムカウ~狂い咲く人間の証明
221B戦記

さらば桃子
再殺部隊
モコモコボンボン

山と渓谷
ベティー・ブルーって呼んでよね
星座の名前は言えるかい

SAN FRANCISCO(Be Sure To Wear Flowers In Your Hair)
これでいいのだ

サーチライト
カーネーション・リインカーネーション
トゥルー・ロマンス

~アンコール~

愛のためいき
小さな恋のメロディ
僕の歌を総て君にやる
機械
釈迦