未分類2杯, 水戸華之介, 非日常

笑う、楽しむ、悲しむ、喜ぶ。様々な感情が揺さぶられるライブという非日常の空間では、時には涙という形で感情が爆発することもある。
その「たまに」が訪れるのは、思い返すと水戸さんのライブばかりかもしれない。

暗闇に厳かなパイプオルガンを思わせる音色が流れ、ステージにずらりと現れたのはボーカルグループ「VOJA-tension」の六名と、内田さん、澄ちゃん、元尚さん、澄田啓さん、そして水戸華之介その人。意外な一曲「ふたりは」から始まり、VOJA-tensionとのコラボレーションで生まれた新譜「アサノヒカリ」に収録された曲の数々を披露してくれた。

美しく響く重厚なコーラスを堪能できるようにだろう、肩を揺らしながら落ち着いて聴ける曲が多く、その中で大好きな「私の好きな人」を聴けたことの嬉しさは格別だった。VOJA-tensionはコーラスだけでなくボーカルも担当する。つまり、ずっと水戸さんの歌いどおしではなく、水戸さんの楽曲を様々な人の歌声で楽しむことができる。「不死鳥」では常にゲストが招かれ、この「水戸さんの楽曲を水戸さん以外の人が歌う」のも恒例だが、今回はさらにその割合が多い。水戸さんの歌を水戸さん以外の方の歌声で聴ける貴重な機会は嬉しくもあり、同時に水戸さんの歌声をもっと聴きたい、とも思わされ、あぁ、己は本当に水戸さんの歌声が好きなんだなと改めて思い知らされた。

VOJA-tension退場後は俺達のギターヒーロー・ワジーがゲストに登場! ばっちりはまって最高に格好良い「生傷エトセトラ」の後はワジーの引き出しになくワジーも苦労したという「光あれ」。そして! 曲中にゆったりと女性パートを歌いながらステージに現れたのはMAGUMIさん! さっとバラを咥え、客席に放り投げ水戸さんと抱き合い会場を大いに沸かせた。

と言いつつ、短髪でサングラスをかけたMAGUMIさんのイメージが強かったため、長髪でサングラスをかけてないMAGUMIさんを初めて観た己は若干混乱した。声は確かにMAGUMIさんのはずだが、あれ、MAGUMIさんだよな…………? と。MAGUMIさんだった。

そして激しいロックパートが終わった後は、We Will Rock Youを思わるドラムに乗って再度VOJA-tensionのメンバーが登場! VOJA-tensionが今まで一度も言ったことのないであろう「おケツふりふり」「お乳ゆさゆさ」を歌わせたいというただそれだけの理由でセルフカバーが決まったものの、蓋を開けてみればアルバムで一、二を争うほど良い出来だった「種まき姉ちゃん」を披露! VOJA-tensionのメンバーはニコニコしながら体をゆすり、ステージみんなが明るく陽気で楽しそうで、あぁこの曲、大勢で歌うとこんなに楽しくて可愛らしいんだなぁ、とステージを眺めながら己もニコニコした。

「ミミズ」では曲中の内田さんによるベースソロをVOJA-tensionがベースに合わせて歌声でソロを歌い、内田さんが深々とVOJA-tensionにお辞儀をしてまたソロを弾き、「素晴らしい」とVOJA-tensionを称えもう一度ベースソロを弾きVOJA-tensionもそそれに合わせて歌う、というキュートな場面もあった。これ、またDVDで観返したいなぁ。とても可愛らしいやりとりだった。

本編最後の曲に入る前、水戸さんがマイクを握り直す。「私事ですが…………」という前置きの後に語られたのは、一昨日に十六歳の愛犬が亡くなったという報告。最近はずっと介護をしていて、点滴を打ち、流動食を食べさせ、寝たきりになっていて、目も見えているかも定かでなく、水戸さんのこともわかっているかどうか………という状態だったそうだ。その中で薬を与えて生き永らえさせることに水戸さんも迷いを抱いたと言う。

ただ、流動食を入れると、「ぐいぐい」と力強く飲み込む力が感じられて、それで水戸さんは「いいんだ」と思えたそうだ。水戸さんは言葉を続ける。「生きたい」という欲求は本来若いままずっとあるもので、ただ、年を重ねるといろいろなものが積み重なって、生きるのがしんどくなってしまう。歌は、「生きたい」欲求の上に被さったいろいろなものを掻き分ける力があって、自分も少しはそれができているかもしれない、と。

本当はもっとずっとまとまっていて、短い言葉で語られていたのだが、己にはうまくまとめられなかった。
そして、あらゆる命を肯定したい、と「青のバラード」が歌われた。

涙がボロボロこぼれて、鼻水が出た。ハンカチを目の下にあて、涙で歪むステージを見つめる。スポットライトを浴びる水戸さんは力強く、逞しく、繊細で、格好良かった。言葉の一つ一つが食いしばられた奥歯から生まれたように感じられ、音の一つ一つが力を持っていて、祈りのような願いのような歌声に心が揺さぶられて、悲しいのか嬉しいのか切ないのかわからなくなった。

ちょうどファンレターに書いていた。水戸さんの歌声でしか救われない時があり、それが最近だった。しんどくてたまらない中で、水戸さんの歌声が積み重なった様々なものを掻き分けてくれていて、ようやく呼吸ができていた。水戸さんの歌声に生かされていた時期が確かにあった。

まだ整理もつかないだろうに、話してくれたこと。
今日このタイミングで、水戸さんの歌声を聴けたこと。

この後にも楽しいことがたくさんあって、最後にはニコニコ笑って幸せに過ごせたのだが、ここまで書いて終わりにしたい。水戸華之介というミュージシャンに、アーティストに、詩人に出会えたことは己にとって奇跡のようにありがたいことだ。

ありがとう、水戸さん。
これからもあなたの歌声を糧に生きていきます。



日記録0杯, 日常,

どんぶり一杯のいちごを食べたかったんだ。どんぶり一杯いちごを食べたいくらいストレスが溜まっていたんだ。だからやろうとしたのさ。だって、確かに、いちごは高級品だけれども、呑みに行くよりはずっと安かったからさ。

そうして実現してみたらね。最高に幸せだったんだよ。



二パックいちごを買って。スーパーで良いいちごを吟味して籠に入れて。ヘタを取って白いところを切って…………ってところから贅沢だよね。普段は白いところも食べるもの。それをちまちま取って、賽の目に切って、丼に盛る。いちご二パック分をね。

それにプレーンヨーグルトをかけて、カレースプーンでもりもり喰うんだ。

ほら! 掘っても掘っても底が見えない至福! スプーンいっぱいのいちごを大口で食べてもしゃもしゃ咀嚼する至福。たまに砂糖を控えめにかけるのも楽しいし、あえてどさっとかけても楽しい。でも基本はやはり、いちごの甘さの楽しさなんだ。

あぁ、この満足感ったら! 贅沢をしたといえども二千円にも満たない金額。この程度で最高の至福を味わえるなんて、なんて夢のようだろう! 果物は人を幸せにしてくれる。いちごはその最高峰である。ありがとう、いちご。

いちごだけで満腹できる満足感ったら。全人類が味わうべきである。あぁ。



日記録0杯, 日常

2019年5月2日(木) 緑茶カウント:0杯

大ファンか、と言われればそうとは答えられないと思う。事実、己はその姿を夏フェスのステージの一度きりでしか観ていない。ただその人は己にとって不滅の人で、己の好きな人々に多大な影響を与えてきた人だったのだ。

遠藤ミチロウさん。ご病気なのは知っていた。闘病中であることも知っていた。しかし亡くなるとは思わなかった。何故ならミチロウさんだから。

寂しいと悲しいと呆然が入り混じる感情。あぁ、せめてどうか安らかに。あの世でもその歌声を響かせられていますように。



未分類0杯, 筋肉少女帯, 非日常

四ヶ月ぶりの筋少ライブは本当に久しぶりで、それはこの数ヶ月の間、ずっとずっと誰かのライブに行く以外はひたすら水戸さんの音楽を聴き続けていたこともあって、故に本当に久しぶりに、己は筋少を全身に浴びて堪能した。

たまにそういう時期があるのである。誰かの音楽だけをひたすら聴きたい時期が。そしてこの数ヶ月己が必要としていたのは水戸さんだった。水戸さん以外の音楽をウォークマンで選択する日は無かった。

だから、びっくりするほど新鮮だったんだ。そして驚いたよ。こんな新鮮な気持ちで、それでいて懐かしさと満足感と興奮を同時に感じながら筋少の音楽を浴びることが、まさか十年も筋少ライブに通い続けた今感じることができるとは思わなかったんだ。生まれて初めて筋少のライブに足を運んだ日と似ていて、どこか違うあの新鮮な興奮を再び感じられたことが何だかやけに嬉しかったんだ。

そして再結成からずっとずっと、いつかライブで聴きたいと熱望しつつもそんな日が来るのだろうかと思っていたあの曲が。「ビッキー・ホリディの唄」を、今日ついに聴けたんだ! 思いもよらなかったよ! だって、ライブタイトルからしてシサ曲中心のセットリストに違いないと勝手に思い込んでいたのだから。そしたらどうだろう。「オカルト」「ゾンビリバー」「宇宙の法則」をおさえつつ、ツアーでは披露されなかった「ケンヂのズンドコ節」がついに解禁され、一曲目は大盛り上がりの「ディオネア・フューチャー」で、「わけあり物件」「ムツオさん」といったちょっと最近では登場頻度が減っていた曲も演奏され、「ゴーゴー蟲娘」に「おもちゃやめぐり」に「じーさんはいい塩梅」、さらにTHUNDER YOU POISON VIPERの演奏で「孤島の鬼」まで! 定番曲もありレア曲もあり、最高に嬉しく楽しいセットリストに興奮しないわけがない。

そのうえ今日は二列目で視界を遮るものはほぼなく、おいちゃんの笑顔とキャスケット姿のオーケン、オカルトで不思議な踊りを踊るエディをがっつり堪能することができた。上手はちょっと見えにくかったが、それでも内田さんも橘高さんもたびたび下手にやってきてくれたのでありがたかった。

アンコールの後はおいちゃんが手を握ってくれたよ! あぁ、こんなに幸せをいただいてしまって良いのだろうか…………!!

そうそう、「ゾンビリバー」のエディがすごかったんだ。あの激しいピアノを弾きながら口元が楽しそうに微笑んでいたんだよ。エディは心からピアノを弾くことが好きなんだなぁと、その口元を見つめつつ感じ入った。

来週にはまた六本木で筋少を堪能できる。またあの空間を味わうことができる。オーケンのトークで腹を抱えて笑い、拳を振り上げて叫び、激しく心地よい音に全身を委ねる夜が。今日、釈迦で「シャララシャカシャカ!」と叫びながら腕を振り抜いたとき、自分の帰るべき場所の一つはここなのだ、と改めて感じた。思えば人生の半分を筋少と共に過ごしている。冗談でなく、己にとって筋少は人生であり、筋少なしの人生はありえないのだろう。そんなことを感じさせられた一夜であった。

あぁ、幸せだ。幸せな夜だ。心から。



未分類水戸華之介

毎年100曲ライブと共に冬を乗り越え、今年も同じように隔週で水戸さんの歌声を聴きながら春の訪れを感じることができて嬉しい。

今年も開催された100曲ライブのファイナルが本日。いつもは澄ちゃんで締めくくられるが、今年はスケジュールの関係で澄ちゃんが初回でファイナルがワジーに。安定と信頼の澄ちゃんから始まり、一際異彩を放つ内田さんのテクノポップ、しっとりとしていてそれでいてパワフルな扇さんのピアノによるバラードナイト、シンプルで楽しくて笑って笑ってたまらない吉田一休回と来て、テクニックが冴えわたり重厚さのたまらないワジーのギターを味わえるのは、言うなれば基本を押さえたうえで様々なアレンジの料理に舌鼓を打つ楽しさがあった。

ファイナルは水戸さんとワジーのおしゃべりが盛り上がり三時間の長丁場に。一曲一曲の仕上がりの満足感に水戸さんもワジーも話さないではいられなくなる様子がおかしく、同時に微笑ましかった。アンコールは通常一曲だが、ワジーの押しの強さにより「砂のシナリオ」の後に「イヌサルキジ」がスタート! あぁ、このときの興奮と嬉しさったら! そうして水戸さんの平静最後の一曲は「イヌサルキジ」で締めくくられることとなったのだった。

いつも吉田一休回で聴けていた大好きな「猫とろくでなし」がセットリストから外されて寂しく思っただけに、ワジー回で聴くことができたのは本当に予期せぬことで、思わぬサプライズプレゼントをいただけた気持ちになった。ワジーの演奏での「猫とろくでなし」を聴けるなんてなぁ。嬉しいなぁ。

去年久しぶりにと演奏された「太陽も知らんぷり」がすごく受けたからと、今年もセットリストに入れられていたのも嬉しかった。「太陽も知らんぷり」と「砂のシナリオ」はあまり歌う機会のない曲とのことだ。己はこの二曲が大好きで毎日のように聴き続けているのでその事実が意外でならなかったが、だからこそこうしてライブで、今の水戸さんの歌声で聴くことができて嬉しい。

水戸さんは言う。自分は歌がうまいのではなく癖が強いだけなのだと。ワジーも自分自身がそうだと語りながら同意して、癖の強さはイコール個性であると話していた。水戸さんもワジーも正規のボーカルレッスンを受けて来ず、独力で歌ってきたことを指してそう言っていたが、己はやっぱり、水戸さんは歌が上手いと思う。誰にも真似できない歌声を持っていて、その響きで人の心を揺らすことができる。その歌声に何度助けられてきただろうか。筋少もヒラサワも大好きで、それでいて、水戸さんの歌声じゃないとダメだ、と思うことは多々あるのだ。無論それは筋少にもヒラサワにも言えることなのだが、つまり唯一無二なのだ。

水戸さんにとっての平成はデビューしてからの、つまり水戸華之介として活動した時代そのものだったと言う。そして平成最後の100曲ライブで100曲目に選ばれたのは「青春路地裏伝説」。平成を生きた者達へ向けて、とのことだ。

アンコールが終わり、「令和もごひいきに!」と言って水戸さんはステージを去って行った。99曲目でTHE BLUE HEARTSの「情熱の薔薇」をワジーと共に跳ねながら歌い、アンコールで予定外のもう一曲を歌った水戸さんは全力を使い果たしてくたくたの様相だった。アコースティックライブでもいつも汗を流し、飛び跳ね、椅子の上で長い手足を伸ばして大笑いをし、全身で歌って語ってくれる水戸さんは己にとって心の糧だ。元号が変わっても時代が変わっても、いつまでも付いて行きますよ、と胸の中で返事をした。来年もまた、一緒に冬を越して春を迎えられますように。



2月23日(土) with 澄田健
3月9日(土) with 内田雄一郎 (=Zun-Doco Machine)
3月23日(土) with 扇愛奈 (バラードナイト)
4月6日(土) with 吉田一休
4月20日(土) with 和嶋慎治