日記録2杯, 日常

2018年3月9日(金) 緑茶カウント:2杯

これまで特に触れたことがなかったがひそかに楽しんでいる趣味がある。それは「名字集め」というもので、散歩をしながら家々の表札に書かれた名字をメモに書き留めていく遊びだ。珍しい名字に出会えば感動するし、一つの名字が集中している地域を歩けば興味が湧いて想像が広がる。新興住宅地を歩けば沖縄や北海道に多い名字も見る機会があって面白いし、やけに川の字が多い地域には何かしらの歴史がありそうでわくわくする。

そんなわけで手元には数々の名字のメモがあり、公開してみたいなぁとも思うのだが、ものがものだけに人様のプライバシーに関わるし、己の行動範囲がモロバレで下手をすれば最寄り駅までバレッバレになってしまうため一人でひっそりと楽しんでいる。ではどうして今になってこの趣味に触れたかと言えば、本日放送されたラジオ番組「オーケンのオールナイトニッポンプレミアム」のメールテーマが「オーケンにおすすめの趣味」で、この「名字集め」を投稿してみたところ採用され、興味を持ってもらえたのが嬉しかったからだ。それでちょっと喋りたくなってしまったのさ。

ちなみにこの趣味を遊ぶとき、いちいちメモをとるために立ち止まると明らかに怪しく地域の方々に恐怖を抱かせる恐れがあるので、「山田、吉田、川本、木村、渡辺、安田……」と記憶しながら歩き、曲がり角や横断歩道の手前などでまとめて書き留めるのが吉である。記憶しているとたまに名字が頭の中で歌のようになるのも楽しい。



未分類0杯, 100曲ライブ, 水戸華之介, 非日常

思えばこの100曲ライブの企画が始まって今年で五年目だ。当初は水戸さんの持ち歌を百曲歌う催しとして始まり、だんだんとカバーも歌われるようになって少しずつ変遷を遂げている。そして今回はこの100曲ライブがきっかけで始まったユニット「Zun-Doco Machine」のワンマンライブでもある。

水戸さんは白、内田さんは赤いシャツを着てネクタイを締めた衣装で登場。内田さんを囲うように設置された機材はノートパソコンにキーボード、そして傍らには女の子が描かれた赤いギター。他、光るマラカスやボコーダーなど。水戸さんが話すことには、当初はパソコンだけで済むから身軽にライブができると思っていたのにどんどん機材やおもちゃが増えてしまったとのことで、内田さんもうんうんと頷きながら笑っていた。3-10Chainならベース一本で済むのに、とのことだ。

ライブは「ジョニーは鼻毛がヒッピースタイル」から始まり二曲目は「人間ワッショイ!」でのっけから大盛り上がり。去年のセットリストと見比べてみると新曲も増えていてとても嬉しい。新曲は「明日への誓い」「誰だ」「風船」「はじめ人間ギャートルズ」「待ってるのに」「1000年ビート」。ちなみにラストは「そこで何かが」で、アンコールは「待ってるのに」だった。

特に素晴らしく、楽しかったのが「誰だ」である。賑やかに始まりノリノリで聴いていたら……なんと、バッと勢いよく取り出されるはピンクと紫のジュリ扇! そしてピンクを水戸さんが、紫を内田さんが振り、腰に手を当てて踊りながら流れるのはジュリアナ東京チックな「誰だ」! まさかの展開と迫力に大笑いしつつ大いに盛り上がった。

このジュリ扇を振る内田さんだが、年齢を重ねるごとに男女の差がなくなる現象と長髪とやわらかな身のこなしが相まって、御婦人に見えて仕方なかったのがどうにも不思議な感覚だった。男性とわかっているのだが……。

ちなみにここで「ジュリアナーーー!!!!」と叫ぶ音声を入れたかったそうなのだが、映像資料を探すもなかなか見つからず断念したそうだ。「まぁジュリアナに来てるってわかってるんだからジュリアナって叫ぶ必要ないよね」と納得する水戸さんがおかしかった。

あと「明日への誓い」も面白いアレンジだった。始まりは……何と言えばいいだろう、原曲と比べると随分落ち着いた感じで、思い出したのは内田さんがテクノアレンジした筋少の「イワンのばか」だったのだが、サビのところで急展開! いきなりお祭り騒ぎのようなムードになって大笑いした。3-10Ghainの曲で言えば「光あれ」をイメージしてもらったらわかりやすいと思う。

「風船」はイントロが思いっきり3分間クッキングで、面白テイストの曲かと思ったらイントロ以降はわりと真面目なアレンジだった。これは内田さんが水戸さんの曲をテクノアレンジし始めたとき、面白路線で行こうとしたときの名残だそうだ。また、3分間クッキングの部分は超絶技巧のオルガンでできていて、聴きとって再現するのに非常に苦労したらしく、面白路線を脱した後もどうしても残しておきたくてこのまま居残ったとのことである。3分間クッキングよりも良いアイデアが出たらここは変わるかもしれないそうだ。

最後の一曲は「そこで何かが」。この曲を聴くといつも、空が開けて視界いっぱいに眩しいキラキラとした光の粒が見える。水戸さんの力強い歌声によって、今日は別にネガティブでも何でもなかったのだが、後ろ向きな気持ちになっているときでさえ心を鷲づかみにされて無理矢理前に向かされるような、そんなパワーを感じるのだ。何一つ落ち込んでいないのに、今日この日にこの曲を聴けて良かった、としみじみ思った。

アンコールは恒例の二十面ダイスによって決められた。選ばれたのは「待ってるのに」で、最後だからと言うことで「誰だ」用のジュリ扇が取り出され、狭いステージを練り歩き歌い踊る水戸さんと内田さん! その大サービスに大いに湧き立つオーディエンス! 楽しかったなーーーー! 己もジュリ扇を振りたいくらいだったよ! 代わりに心のジュリ扇を振ったさ!

水戸さんと内田さんの互いをわかりきったやりとりも微笑ましい。前回のわじー回で、水戸さんは「情熱の薔薇」でふざけてジャンプしたらひどい筋肉痛になり、背筋が熱を持ってひどい痛みに苛まれたそうだ。よって、ジャンプをするならふざけずに真面目にきちんとジャンプをしないといけないと結論付けていた。

オリンピックの話題では、内田さんがヤフーニュースのスポーツ欄は削除しているためオリンピックの情報がほとんど入ってこない話や、内田さんが唯一知っているオリンピックのニュースである不思議な銅像の話に水戸さんも会場の誰もがついていけない展開に笑った。あとカーリングの韓国選手が「ニンニク少女」と呼ばれていることから、「Zun-Doco Machine」は「ニンニク少女帯」でも良かったかもしれないね、眼鏡先輩と眼鏡後輩のユニットで! と水戸さんが話しナゴムの話題に繋がる場面も。

そうそう、内田さんがギターを弾こうとしたら音が出ないトラブルが起こり、どうしたことかと思ったらシールドが刺さっていなかったという衝撃の展開もあった。中学生でもしないと大笑いする水戸さんと、ずっとギターを弾いていなかったら下手になってしまったと話す内田さん。そこから、ベースとギターでは弦の押さえ方が違う話へと繋がってそれがとても興味深くて面白かった。なるほど。ベースの弦は太いから爪が長い方が押さえやすいのか。

楽しい時間はあっという間で、またこの会場以外でも「Zun-Doco Machine」を観てみたいなと思いつつ席を立つ。再来週は枕本トクロウさんの回で、今までにないカバーナイト。次はどんな曲が聴けるのか。何を見せてくれるのか楽しみでならない。あぁ、待ち遠しいなぁ。



日記録4杯, 日常

2018年2月27日(火) 緑茶カウント:4杯

かつてある人にマジギレしたことがあった。それを己は後悔した。説明不足だったと思ったためだ。ところが、その人は己のマジギレをきっかけに対象について考えてくれ、認識を改め、当時の言動を恥じたことを告白してくれた。それが本日である。

その人はかつて、セクシャルマイノリティがマイノリティのくせに何かしらを主張することが我慢ならないと言った。それに対して己は怒った。しかし言葉が足りなかった。ところがその人は己が怒ったことをきっかけに、対象について調べ、考え、どうして己が怒ったのだろうと考えてくれた。

では何故己が怒ったかと言えば、セクシャルマイノリティをないがしろにする怒りももちろんあるが、さらに言えば誰しもが何かのきっかけでマイノリティになることが考えられるのに、それに対して思いを馳せる力をその人が持たなかったためだ。それを全く考慮せず、マジョリティとして安全地帯から物申す視点に激怒した。ひとたび交通事故にあえば、病気にかかれば、時代が変わればその立場は一瞬にして揺らぐ可能性があるだろうに。

しかしその人はそこに想いを馳せ、理解して、告白してくれた。ありがたいと思う。同時に自分も思いをめぐらせねばと思う。自分の視界の外にはいくらでも自分の知らない世界がある。それを意識しようと努力することが必要だ。それを努めようと願った。そうしてビールを傾けた夜である。美味いビールだった。美味しかった。とても。とても。



日記録0杯, 日常

2018年2月24日(土) 緑茶カウント:0杯

自覚する限りでは自分は怒りやすい方だと思う。わりとちょっとしたことでもイラッとし、怒りを抑えるのに苦労するときがある。その場合はだいたい、人に悟られぬよう努力して、一旦怒りの対象のことは忘れて別のことをしてやり過ごし、落ち着いた頃に冷静に言及する、といったことをしている。

結果、意外だったこと。己は怒りっぽくない人格と思われていたらしい。しかし代わりに、ものすごくイライラしているとき、怒っているのではなく体調がものすごく悪いと思われていたことが判明した。

それは先日、あるときにものすごくイライラして、ある人にこんなことがあったためにものすごくイライラした、と包み隠さず告白したときにわかったことだ。その人は驚いた顔をして、「ウヲさんがイライラするなんて珍しいですね」と笑った。そのとき、自分はわりかしイライラしているのにどういうことだ? と疑問を抱いた。

そして。その日の怒りが沸点に達した日に、「ウヲさんすごく体調悪そうだけど大丈夫なのか」「風邪か」「顔色悪いけど病気じゃないのか」とあらゆる人から心配され、その場をざわつかせていたことを後から知ったのだった。

良いか悪いかで言うとわからない。イライラによって周囲に当り散らすことがない点では良いことだが、心配させるのはいかがなものか。と思いつつ、わりと上手にカモフラージュできているんだなぁ……と自分自身に感心した。あとは体調不良と思われないレベルまで達すれば万全か。

まぁ、少しずつ努力していこう。せっかくなので。



未分類0杯, 大槻ケンヂ, 非日常

のほほん学校などで弾き語りを聴く機会があったためすっかり行ったことがあると思い込んでいたが、よくよく思い返してみたらオーケンの弾き語りライブに行くのは今日が初めてだったと気づき、少し驚いた。何故今まで行っていなかったのだろう。

それは様々な面を持つオーケンの中で一番好きなのが筋肉少女帯のボーカリストとしての大槻ケンヂだからだろう。顔にヒビを入れ、特攻服を着て、マイクを片手に大声でシャウトするオーケン。故に、東京で行われる筋少のライブはほとんど行きつつ、その他の催しについてはその時々で選んできた。

そんなわけで今日、初めてじっくり聴いたオーケンの弾き語り。場所は吉祥寺のスターパインズカフェで、整理番号は五十番よりも後ろ。一階の中央から後方の中間あたりでハイネケンの瓶を舐めつつ開演の時を待つ。そういえば以前ここに来たのは平沢進のファンクラブ限定イベントだったかな。あれから一年とちょっと経ったのか。時間が経つのは早いものだ。

しみじみしていると場内の照明が落とされ、ステージにオーケンが現れた。写真柄のシャツに黒いベストを重ね、黒い帽子をかぶりギターを抱えて椅子に腰を下ろす。一曲目は赤い照明を浴びながら「タンゴ」が奏でられた。

しんみりした曲と楽しいトークを交互に行う構成で、空間の広さとしては大きく差はないはずだが、のほほん学校よりも近さを感じた。それはゲストを招いて爆笑トークを繰り広げるのほほん学校と、じっと一人の声とギターに耳を傾ける空間の色の違いかもしれない。同じトークでものほほん学校は披露されるもの、弾き語りでは語りかけられるもの、という印象の違いを感じた。

曲は「タンゴ」から始まり、「おやすみ-END」で終わった。全体的にしんみり系が多く、「SWEETS」「夕焼け原風景」「蓮華畑」「OUTSIDERS」「人として軸がブレている」「アザナエル」「サイコキラーズ・ラブ」「guru」「ノゾミ・カナエ・タマエ」、ノリノリ系では「愛のプリズン」「ヌイグルマー」、変り種で「日本印度化計画」の替え歌「日本暗黒化計画」も歌われた。

のほほん学校などでは「香菜、頭をよくしてあげよう」「オンリー・ユー」を聴くことが多く、言い換えれば他の曲を聴く機会はほとんど無かったため、今回オーケンの弾き語りをたっぷり聴いて「あ、こんなにいろんな曲が聴けるんだ」と喜びつつわくわくした。どの曲もすっかりオーケンの手に馴染んでいて、いつだったか何年も前に聴いたたどたどしい音色との差に驚いた。すごいなぁ。ずっと練習していたんだなぁ。

今日聴けて嬉しかったのは「アザナエル」と「夕焼け原風景」。どうしてかわからないがやけにしっくり来て、恐らく自分はこの二曲を聴くためにここに来たんだな、と感じた。

トークはのほほんと穏やかに進行した。印象的だったのはオーケンが「自分は巻き込まれ型のラウドロックボーカリスト」だと言ったこと。もともとやりたかった音楽は遠藤ミチロウや町田町蔵のようなパンクロックで、あと好きだったのはさだまさしのようなフォーク。そんな自分が今、大音量の中大声を張り上げて歌っているのは身近にヘヴィメタルやハードロックのミュージシャンがいたから。今も大槻ケンヂといえば長髪でヒビワレメイクのイメージが色濃いけど、いつか今みたいな、喫茶店のマスターのような黒いチョッキを着てアコースティックギターを抱えているイメージに転換するのもありかもね。だから皆さん、もしオーケンが筋少のライブで突然特攻服を脱いで、その下に喫茶店のマスターが着るようなチョッキを着ていたら「まだ早い」ってちゃんと止めてくださいね、と語っていた。

今月五十二歳になったオーケン。自分が一番好きなオーケンは筋肉少女帯のオーケンだが、いつか、それこそ特攻服を脱いで黒のチョッキに着替える日が来るかもしれない。それはとても寂しいことだが、しかしそれでもオーケンがニコニコと、ずっとギターを抱えて楽しく音楽を奏で続けていってくれるのはとても嬉しいことに違いない。

さて、そのとき己は何歳だろう。近いか遠いかわからない未来に思いを馳せる。まだまだ先だと良いなぁ、と願って。

180221_1804