■1月21日23時「わたしも土曜日は筋少LIVEでした。冬の風鈴~」の方へ
冬の風鈴すばらしかったですね! こちらこそお読みいただきありがとうございます。愛を込めているつもりではあるもののそれが文章で表現できているかはわからずにいたので、「愛がある」と言っていただけてとても嬉しいです。三十周年のこれから、楽しみですね。
うずわみだまし
■1月21日23時「わたしも土曜日は筋少LIVEでした。冬の風鈴~」の方へ
冬の風鈴すばらしかったですね! こちらこそお読みいただきありがとうございます。愛を込めているつもりではあるもののそれが文章で表現できているかはわからずにいたので、「愛がある」と言っていただけてとても嬉しいです。三十周年のこれから、楽しみですね。
「チケットが優先的にとれる制度」という立ち位置から始まった「ハイストレンジネス・チケットメンバーズ」。三月には発足記念イベントが開催され、いつからか特別デザインのチケットの発行が当たり前のものとなり、ついに会員限定ライブが決定。たった一年の間に、だんだんと「チケットが優先的にとれる制度」から「ファンクラブ的なもの」に変化しつつあり、ファンクラブを欲していたファンとしては嬉しくてたまらない。
この変化については橘高さんより語られた。曰く、筋肉少女帯を再始動する際にファンクラブをどうするか、という問題があった。そして当時至った結論は、橘高さん以外は四十を越えていることだし、いったん保留にして時機を見て考えましょうというもの。そして年月を経てファンからもファンクラブを望む声が届けられるようになったので、ではまずチケットをとりやすくしましょう、ということで「ハイストレンジネス・チケットメンバーズ」がスタートしたそうだ。
そう、実はもともとファンクラブを想定して作られたものだったのだ。
一年間続けて、会員限定イベントもライブも行うことができた。これからはもっと特別なこともやっていきたい、という意欲的な言葉にわくわくしてしまう。オーケンは「橘高さんはいつも十二月二十三日にドライブをしてますが、我々だってやりますよ!」と冗談か本気かわからない発言をし、ミート&グリートもやりたいね、といった発言も飛び出した。
嬉しいなぁ。何が嬉しいって、再結成当初は「もう四十だし」と言っていたメンバーが、十年の歳月を重ねてファンクラブに対し意欲的になってくれていることだ。ファンに望まれていること、期待されていることをメンバーが感じてくれているのである。この十年をともに積み重ねられたことがたまらなく嬉しい。
ライブはサンフランシスコから始まり釈迦で締める贅沢な構成。ド定番はもちろんレア曲もあり、フリーダムなMCに黄色い声が上がるサプライズまであって、最高に楽しかった。この空間を出ることが惜しくてならず、終演後にフロアに流された「トゥルー・ロマンス」を口ずさみながら熱に浮かされつつフロアをうろついていた。
今日は内田さんのマイク前あたりに立っていて、始まりは前から六列目くらいにいたが、後半には四列目に立っていた。「サンフランシスコ」が起爆剤となり、ぐわっと盛り上がったもののこの時はまだジャンプをする余裕があったが、最後の「釈迦」でもしジャンプが必要になっていたら飛び跳ねられたかわからない。それでも必死で両手を上げてモンキーダンスをした。楽しかった……!
サンフランシスコのベースソロではおいちゃんと橘高さんがニコニコしながら内田さんを挟んで「注目注目!」と言わんばかりに手をひらひらさせていて、あぁ、幸せな景色だなぁ……としみじみ思った。「バトル野郎~100万人の兄貴~」は何と言っても手振りが楽しい! そしてこのとき、橘高さんがピックシャワーを降らせてくれ、それがちょうど己の真上で、見上げると白いピックがハラハラと落ちてきて……何だろう、何かしらのご褒美をいただいた気分になった。
曲の後半でオーケンがオーディエンスにマイクを向け、合唱を誘うシーンもあった。しかしオーディエンスの歌詞が曖昧だったようで、曲が終わった後にオーケンが「今日は煮込まれたお客さんばかりだから歌詞が完璧かと思ったら……」「いきなり振った俺が悪かった……」と寂しそうに言って笑いが起こった。
ここからのMCが長かった。そしてフリーダムで素晴らしかった。今日のライブは本来は無いはずのものだった、といきなり衝撃の告白をするオーケン。曰く、ハイストレンジネス・チケットメンバーズで会費を集めて計画倒産ならぬ計画解散をし、会費を持ち逃げして筋少メンバー全員で熱海で余生を過ごす予定だったそうだ。「新幹線の座席を二つ並べてみかんを食べて……」と細かな描写も抜かりない。そしてオーディエンスは会費を払って、チケット代を振り込んで、チケットを受け取って、ご飯を食べて会場まで来て、チケットを見せてドリンク代を……払ったところでライブがなくなったことをスタッフに知らされ、そのときには筋少メンバーは熱海行きの新幹線の中。なんと恐ろしい完全犯罪なのだろうか。
しかしライブは開催された。何故か。思ったほどお金が集まらなかったから。というオチで爆笑。
ではどうするかと考えたところで、もっとライブをやって集金した方が良いのでは? という結論に至り、そこから物販で販売しているトートバッグを「集金袋」と呼びだし、筋少を聴いている人間の家まで集金に行く様子がオーケンによって演じられる。「通報があったんですよ!」「いいえ筋肉少女帯なんて聴いてないです」「ワダチ歌ってたでしょ! ドンドンドンドンドン!」と玄関ドアをしきりに叩く真似がおかしくてゲラッゲラ笑った。いいな集金されたい。
「これから十年二十年、搾り取っていきますからねー!」という言葉はもはや愛情として受け取ってよかろう。これから先十年二十年、まだまだ搾り取っていただけるならありがたいことこのうえない。ずっとついていきますとも。
そんなわけでまだ二曲しか演奏していないにも関わらずフリーダムに話しまくるオーケンなのだが、どうやらメンバーに止めて欲しかったらしく、「止めてよ! 止めてよ!」と何度も催促していておかしかった。
この後か前か記憶が定かでないが、オーケンが仮想通貨の「筋肉コイン」を作り、それはハイストレンジネスの会員だけが買えてハイストレンジネスの会員だけが使える、これからどんどん高騰して暴落することはない、と語る横でおいちゃんが「いつ暴落するの?」「いつ暴落するの?」とやたらと暴落させたがっていたのも面白かった。
長い長いトークの後は最上魁星の台詞「ファンキーファンキー鬼ファンキー!」を高らかに叫んで……「暴いておやりよドルバッキー」! 二十三日のライブに続いてまた聴けるとは! 嬉しい!!
「ハニートラップの恋」ではライトがピンクと紫になり、妖しい色合いで美しい。「バンバンババンバン!」と指をピストルの形にして宙を撃つ楽しさったら。続いて「わけあり物件」ではライトが暗い色合いに変化して折りたたみとヘドバンで盛り上がる。そうそう、立ち位置によって聴こえ方が違っただけかもしれないのだが、今日は序盤はわりと音の大きさが控えめで、筋少にしては珍しいなと思ったのだった。ただ、後半にはいつも通りの爆音に聴こえたので、同じ日の同じライブであるにも関わらず不思議な懐かしさとしっくり感を抱いたのだった。
MCを挟み、冒頭に書いた「ハイストレンジネス・チケットメンバーズ」の話からガッと盛り上がると、「俺の歌を聴いてくれ!!」とシャウトする橘高さん。オーケンがステージからいなくなり、ステージ中央に橘高さんのマイクが置かれると……「小さな恋のメロディ」! 橘高さんの力強い歌声とメキメキ弾かれるギターがたまらなく格好良い。あの情感のこもったメロディメロディと繰り返す声も好きなんだよなぁ。
橘高さんの歌唱が終わるとステージが暗くなり、青のライトがぼぉっと光る。ステージからはオーケンだけでなくおいちゃんうっちーふーみんも去り、エディのピアノだけが静かに流れる。奏でられる調べは聴き慣れないもので、何の曲だかわからない。
何が始まるのだろう……と聴き入っていると上手から一人現れたのは内田さん。肩に物販の集金袋……ならぬトートバッグを下げ、もぞもぞと上着を脱ごうとしてうまくいかなかったり、トートバッグの中のものを出そうとして出せなかったりと四苦八苦。その間もエディはピアノを弾き続け……ついに取り出したるiPhone! と、いうことは……!!
始まるであろうものにわくわくしていると、「サングラスをかけていると顔認証ができない!」とショックを受ける内田さん。何とかロックは外せたが今度は目当てのアプリが出てこない! その頃にはおいちゃんと橘高さんもステージに戻ってきていて、あれこれ試す内田さんを突っ込みながら楽しそうに眺めていた。
ずっとピアノを弾き続けているエディにお礼を挟みつつ、ようやくフランス語のアプリを起動。「ハイストレンジネス」「空手バカボン」をフランス語に変換して笑いを誘い、いよいよタイトルコール。「北極星の二人」!
一輪のバラの花を振り楽しそうに歌う内田さん。バラの花は生花ではなくちょっとハイテクなもので、花の部分が光る仕組みになっていた。うんうん、この曲は内田さんにしか歌えないよなぁ。
と言いつつ、おいちゃんが歌っても結構はまりそうだ……と妄想する。内田のラブソングではなく本城のラブソングになってしまうが。
さて、この二曲が続いたということは次は本城のラブソングこと「LIVE HOUSE」か、と思いきや意外な一曲「これでいいのだ」。「これでいいのだ」も好きだが、好きなのだが! せっかくなら「LIVE HOUSE」も聴きたかったなぁ。
「これでいいのだ」の後のMCでオーケンが内田さんにメンバー紹介をして欲しいと言い出し、内田さんにメンバー紹介の仕方をレクチャー。メンバーに振る話のお題を先に決めておいて、メンバーの名前をコールしたらお題について喋ってもらい、最後にメンバーの名前をもう一度コールして締める。ふむふむと頷く内田さんに、メンバーに語ってほしいことはあるかと尋ねるオーケン。内田さんは特に思いつかないとのことだったので、オーケンが用意していたお題「夢中になって観たライブやコンサート」に。このとき、「皆さん筋肉少女帯を夢中で観ているんでしょ?」とオーケンがオーディエンスに振り、その問いかけが妙に嬉しかった。そうですそうです、夢中に観ていますとも今まさに!
おいちゃんは子供の頃に見た「フィンガー5」、橘高さんはラウドネスの前身である「レイジー」。そして内田さんはサポートメンバーの紹介に移ろうとしたが、オーケンが「俺は!?」とまだ紹介されていないと主張し、メンバー紹介をねだっていた。そんなにメンバー紹介されたかったのか……そうかオーケンはいつも紹介する側だもんなぁ。ちなみにオーケンが夢中で観たライブは「カルメン・マキ」とのこと。ライブハウスに出演する前に勉強のために観に行き、オーケンが興奮して帰ってきたとを内田さんが語っていた。
この後には内田さんが夢中で観たライブの話になったのだが、内田さんが話し出した途端オーケンが「それ俺も行った?」と確認していて、あぁ、良いなぁ一緒に行くことが前提なのだな、としみじみした。ちなみにそのチケットはオーケン経由でオーケンの友人から購入したものだそうだ。
「予想できない曲」という触れ込みで始まったのは「じーさんはいい塩梅」。メンバー全員が楽器を置いてマイクを持ち、横一列に並んでにこにこしながら歌う姿が微笑ましい。橘高さんのちょっとクイーンっぽさのあるギターも素敵なんだよなぁ。
今回のレア曲は「冬の風鈴」。これが聴けて嬉しかった。涼を運ぶガラスの風鈴があたたかさの象徴として鳴る、じんわりと切ない歌。これはさぁ、本当、「しかし」に全てが詰まっているんだよなぁ。この曲をまた、今のオーケンの歌声で聴けたことがたまらない。
しっとりと「冬の風鈴」が終わり、「サイコキラーズ・ラブ」へ。このさ、おいちゃんと橘高さんのコーラスが重なっていくところがもう本当に好きで、CDも好きなんだが生で聴くとまたグッと来るものがあって、美しいんだよなぁ。そしてこの曲の目玉と言えばオーケンの力強いシャウト。この瞬間を聴くたびに、いつも背中がゾワッとする。
内田さんの次はおいちゃんがメンバー紹介を担当し、エディと長谷川さんを紹介しつつ話を振る。お題はさっきと同じ「夢中になって観たライブやコンサート」なのだが、エディが「アイドルとかは観ないから……」と言うもおいちゃんとオーケンが搾り出そうと執拗に食い下がり、「何だ君達は!?」とエディを慄かせていた。
そんなエディは「夢中にならないと聴こえないコンサート」を観に行ったことがあるそうで、現代音楽のピアノコンサートなのだが、ものすごく小さな音で演奏するため集中しないと聴こえず、しかも隣の客が寝てしまってその様子にエディが笑いそうになり、こらえるのに必死だったと言う。
長谷川さんが子供の頃夢中になって観たのはKISSのライブで、マイクを渡され困惑しつつ当時の思い出を語ってくれた。
メンバー紹介が終わったら曲に移るんだよ、とオーケンに促されるおいちゃん。どうしようか迷う姿にオーケンが自分がやろうと手を差し伸べた……ところで「あいつがやってきたー!!」と叫ぶおいちゃん! 驚きつつわたわたするオーケン! 始まる耳慣れたイントロ! ということで今日はおいちゃんの呼び込みによりお祭り野郎イワンがやってきた。
「仲直りのテーマ」から「オーケントレイン」に続き、「ディオネア・フューチャー」! 「オーケントレイン」はほとんど歌詞が完璧で、語りまでバッチリやってくれて嬉しかった。「シュポシュポ~」などのコールがすごく楽しい。「ディオネア・フューチャー」では今回もエディがマイクを持って前まで来てくれ、ド迫力のコーラスで脳Wi-Fi! たまらなかった!!
そうして本編は終了し、アンコールが始まったのだが……
メンバー全員が揃いの浴衣で登場した。
おサル音頭が始まった。
橘高さんがにこにこしながらクックロビン音頭を踊った。
エディと長谷川さんまで浴衣で現れた。
すごかった。このときの黄色い歓声と言ったら。いやーすごい、貴重なものを観た。まず、メンバー全員が同じ衣装を着ている姿を観ることが滅多にない中で、しかも浴衣。びっくりした。そして似合ってた。
「おサル音頭」が終わるとメンバーはその場で浴衣を脱いで下に着込んでいたいつもの衣装に戻ったのだが、おいちゃんは帯を引っ張られて「あーれー」とくるくる回り、橘高さんも真似をしてくるくるしようとしたものの、回る方向を間違えて巻き取る形になりオーケンに突っ込まれていた。
アンコール二曲目は久しぶりの「ムツオさん」で、ウッ、ハー! と大盛り上がり。そして最後の最後は釈迦で大暴れして終了。終わってからも橘高さんとおいちゃんと内田さんは長々とステージに残ってくれ、橘高さんは「ハイストレンジネス! ハイストレンジネス!」と叫びながら最前のお客と握手をしていた。
最後に内田さんがステージから立ち去ると、パチパチと自然と拍手が起こった。自分も拍手をしていた。きっとこの場にいる人々がいつもとは違う何かを受け取った証なのだろう。それは今日この瞬間の楽しさと、先への期待が一緒になったものかもしれない。デビュー三十周年という記念の年に、十年二十年これからも搾り取るという嬉しい言葉。まだまだ先があると思える幸福。
とてつもなく奇妙な事例(ハイストレンジネス)と名づけられた我々に見せてくれる未来は何だろう。今から楽しみで、たまらない。
サンフランシスコ
バトル野郎~100万人の兄貴~
暴いておやりよドルバッキー
ハニートラップの恋
わけあり物件
小さな恋のメロディ(ふーみんボーカル)
北極星の二人~内田のラブソング~(うっちーボーカル)
これでいいのだ
じーさんはいい塩梅
冬の風鈴
サイコキラーズ・ラブ
イワンのばか
仲直りのテーマ
オーケントレイン
ディオネア・フューチャー
~アンコール~
おサル音頭(メンバー全員浴衣で登場!)
ムツオさん
釈迦
2018年1月19日(金) 緑茶カウント:4杯
良いかい。まだ放送されてもいないのに、どんな物語なのか何も知ってやしないのに、たかだかキャラクターデザインが公開されただけで、いったい何をわかったような口が利けるって言うのだ。何も知らないうちに批判するなんざ愚か者のやることだぞ、恥を知れ。
良いかい。時代や流行と共に変遷するストーリーとキャラクターデザイン、その柔軟な変化があるからこそ時代時代の人々に愛されるのであり、それは一つの「作品」から「伝統」へと昇華していく証であって、歓迎すべきことなのだよ。
良いかい。己はまだ何も知らないのだ。まだ何も知らないのだ。まだ何も知らないのだ。
と、自身に言い聞かせつつショックから脱却できない夜。幼少時に原作とアニメ第三期を観て育ち、妖怪図鑑を夢中で読んで、大学生の頃アルバイトで稼いだ給料を使って初めてDVDボックスを買い、それが当時の自分にとってはかなりの大きな金額で、ドキドキしながら振込みをした甘酸っぱい思い出。第五期にショックを受け、しかし同時期に深夜枠で放送された墓場鬼太郎を大喜びで観て、墓場からその後まで原作シリーズをがっつり買い集めて、水木しげるが亡くなったときは放心し、お別れ会で涙を流した。
鬼太郎が。ゲゲゲの鬼太郎が。墓場鬼太郎が。水木しげるが大好きなんだ。そして今日は結構、かなりショックだったんだ。猫娘の、デザインが……。
いや、まだ何もわからない。何も知らない。何も知らないのだ。言い聞かせよう、心に強く。心に強く、始まるまでは。
そのように、自分を言い聞かせて。今。
2018年1月15日(月) 緑茶カウント:4杯
充電を満タンにしていたはずなのに、それは半分以下に減っていた。何故なら君は、己が聴いていないにも関わらず、絶えず歌い続けていたからだ。ハンカチと財布とパスケースと携帯電話の奥の、鞄の底でただ一人。
カチ、と電源を切る、この瞬間の虚しさったら。いや、わかっているのさ。家に帰って充電をし直せば済む話だと。たった数十分充電器に差せば良いだけの話だと。しかし思いを馳せてしまうのだ。誰も聴いていないのに、律儀に暗い鞄の底で歌い続ける虚しさを。
彼の名はMr.Walkman。ライトの当たらぬ鞄の底で、六時間のソロコンサートを終えた働き者だ。
誰かひとつ、彼のために拍手を送ってやってくれ。
2018年1月8日(月) 緑茶カウント:4杯
ちょうど重いものを持っていて、ちょうど一週間分の食材を買わねばならなかった。大根、人参、ゴボウ、玉ねぎ、生姜、舞茸、しいたけ、ブナシメジ、スナップエンドウ、ピーマン二袋、もやし二袋、ツナ缶四つ、豚肉三パック、ヨーグルト、すりごま、バナナ、エトセトラエトセトラ。これらをひょいひょいと籠に入れていくも、軽快な仕草に反して籠の重いことと言ったらない。しかも籠以外にも己の腕に負荷をかけるものがあるのである。あぁ、痛い。
よたよた歩きつつ、そうだカートを使おうと思い立つ。普段はほとんど使わないがこれがあれば大分楽だろう。そうしてよたよたカート置き場まで歩き、上段に籠、下段に荷物を乗せる。あぁ、そのときの解放感と言ったら! 肩と腕が重力から解き放たれた清清しさ! ジンジン痛む手のひらに血の巡る心地良さ! よし、これならまだまだ買い物ができる!
カートを押しながらあれこれと売り場を回り、ひょいひょいと乗せていく。どんなに乗せても何も苦しくない嬉しさに、己は若干浮かれていた。ハイになっていた。どれもこれも必要なものだったが、確かに必要なものだったが、ノリノリになって頭がパーになっていたのだ。
会計を済ませば大きなレジ袋が四つ。ずっしりした重量。
で、誰がこれを持って帰るのだい?
カートは危ない。自分の能力以上の買い物をさせてしまう。あまりの軽快さに自分の実力を見誤ってしまう。
便利なものだが、二度と使うまいと誓った。心に。