未分類2杯, 水戸華之介, 非日常

吉祥寺で開催されている萩尾望都展で美しい原画を堪能した後、渋谷に移動し不死鳥に参戦。二年ぶりの不死鳥である。去年は友人の結婚式と被って行けなかったのだ。行きたい気持ちは山々だったが、流石に優先すべきものはわきまえている。

そんなわけで最後に行った不死鳥は一昨年のダブルエースであった。レア曲が多くお得感が強かった反面、レアなだけに若干ノリづらかったことを覚えている。では、対して今年はどうだったかと言うと、実にわかりやすく楽しいお祭り騒ぎであった。

新譜「人間ワッショイ」の曲を中心に、アンジー曲と3-10Chainの曲でバランスよく構成されていた。己は「人間ワッショイ」をこの日のライブ後の物販で買うことを決めていたため、新曲を聴きこまずにライブに挑むことになったのだが、それでも問題なく楽しく盛り上がれて、非常に気持ちよかった。とはいえ新曲全て完全な初聴きだったわけではなく、その前に開催されたアコースティックライブで聴いていた曲も結構あったのだが。

ゲストは森若香織、和嶋慎治、杉本恭一の三名。森若さんは「トゥルーロマンス」「光あれ」「遠くまで」、ワジーは「風天Rollin’(feat.山頭火)」「心臓の囚人」ともう一曲、恭一さんは「素晴らしい僕ら」「ナイタラダメヨ」と新曲と……。だいぶ記憶がぶっ飛んでしまっている。

不死鳥といえばオープニングでスクリーンに映像が流れ、映像終了後メンバーが登場、というのがお約束だが、今回は一風変わっていた。ステージの後方にはいつものスクリーンがなくただただ壁のみ。開場から開演までの間ひたすら暇だったのでぼーっとステージを眺めていた己は「今年は映像無いのかな」と寂しさを感じていた。のだが。

開演の合図として照明が落ちると同時に会場全体に響き渡る耳慣れない声。いや、ある意味耳慣れているのだが、この場所には全くそぐわない。それは、髪がピンクでツインテールでロリっぽいデザインの非実在少女の口から発せられているとしか思えない、アニメ声だったのだ。

きゅんっきゅんな萌え萌え声がライブハウスの暗闇の中で喋りまくる今までにないオープニング。たじろぐオーディエンス。アニメ声はこの日のために録音されたもののようで、最後は「さもなきゃくたばっちまえー☆」という水戸さんお決まりの台詞を萌え萌えで叫び、そこでようやく反応に困っていたオーディエンスがほっとして歓声を上げた……印象を受けた。個人的にはものすごく面白くてゲラゲラ笑いたかったが、それ以上に周囲の困惑する空気が面白く、萌え萌えボイスを聴きながら己はその場でプルプル震えていた。水戸さん、このネタすごく面白いけど、水戸さんの客層には合わないと思います。

ちなみにあの萌え萌えボイス。己は声優に発注したのかなーと考えていたのだが、森若さん説も一部で浮上しているという。真相が気になるところである。DVDで明らかになるのだろうか。

そうして萌え萌えボイスのオープニングによりステージにメンバーが登場! 法被を着た女性のダンサーと、白塗りの男二人に神輿のように担がれた水戸さん! 手には日の丸が描かれた扇子が掲げられ、空気はお祭り以外の何物でもない。「不死鳥」でありつつ、「人間ワッショイ」の新譜発売記念ライブのような様相である。

ライブでは様々な場面で「人間ワッショイ」が挟み込まれ、「ワッショイワッショイ!」と大騒ぎするのが楽しく、その「ワッショイワッショイ!」が回を重ねるごとにテンポが速くなるのが実に愉快であった。

今回聴けて楽しかったのは「光あれ」。森若さんとのデュエット曲である。水戸さん曰く、「人間ワッショイ」には新しい遊びがふんだんに入っているそうで、その筆頭が「光あれ」ではないかと思う。シリアスでムーディーな曲調から一転してのお祭り騒ぎ。初めて100曲ライブで聴いたとき、何かを連想しつつその正体に気付けなかったのだが、今日その「何か」を聴いてわかった。「明日への誓い」である。こういう唐突な展開が入る曲、大好物だ。

嬉しかったのは「ジョニーは鼻毛がヒッピースタイル」「ナイタラダメヨ」「ミミズ」「恋のメロディ」「愛の賛歌」「明日への誓い」。「ジョニーは鼻毛がヒッピースタイル」は本編後半で演奏され、オープニングの後ステージから退場していたダンサーの女性がここで再登場! ただでさえ盛り上がる曲なのにこのサプライズはとても嬉しい。ノリノリで明るくて楽しくてコミカルで、それでいてちょっと切ないのがたまらないんだよな。

「ミミズ」から始まったメドレーも最高だった。「恋のメロディ」「ジュージュー」「シャ・ラ・ラ」「愛の賛歌」から、最後あの重々しく駆け上がるベースの音で「ミミズ」に戻る気持ち良さ。特に「恋のメロディ」! 「楽観Roll Show!!!」で一、二を争う好きな曲である。歌詞はシンプルで、あえて多くを語らない。ただただ同じ言葉を繰り返すだけなのだが、そこに切々とした必死さを感じるのである。

新譜の「風天Rollin’(feat.山頭火)」は、タイトルからも想像される通り、種田山頭火をモチーフにした曲で、歌詞にも一部が引用されている。分け入っても分け入っても青い山。水戸さんは山頭火について、難しい言葉を使っていないのに、ぐっと心に迫る詩を書くと言っていた。そうして自分はそれは水戸さんにもあてはまっているように感じていて、それが如実に表れているのが「恋のメロディ」だと思うのだ。

ちなみにワジーは水戸さんのリクエストで三度笠をかぶって登場。水戸さんが言うところの山頭火コスプレとのことだ。ワジーはこのために三度笠を購入したそうで、水戸さんに「人間椅子のくせに持っていないんだ!」とつっこまれていた。確かに所有していそうなイメージはある。

しかし現実のワジーは三度笠を所有していない。すると買わなければならない。ところが本格的なものは結構なお値段がする。これを買っても人間椅子のライブで使う予定はない。そして本格的なものを買うと旅に出たくなってしまう、ということでamazonでパーティーグッズの三度笠を購入したとのことだが、ワジーがかぶると本物にしか見えなかった。

ワジーとのやりとりではロシアの話も。水戸さんがワジーを呼び込むとき、「俺達のギターヒーロー・ロシア帰りのワジー!!」という風に紹介した直後「ロシア行ってないです」と衝撃の告白をするワジー。のけぞる水戸さん。

曰く。人間椅子がロシアでライブに呼ばれていたのだが、あちらの都合で白紙になった。そのことを水戸さんは知らず、きっとロシアにまつわる面白い話がたくさんあるだろうと思って、ライブまでとっておくためにあえて楽屋でロシアの話をワジーに振らなかった。そしてワジーも、ステージで「実は行っていないこと」を告白した方が面白かろうと思って水戸さんに言わなかった。とのことである。

ただロシアでのライブが中止になった件については、うすうす感じ取れるところがあったそうで、人間椅子側はさほどショックではなかったらしい。ライブの中止は残念だが、それはちょっと救いであるよな。

森若さんとの水戸さんのやりとりも面白かった。モニターに足を乗せて喋る水戸さんに対するツッコミや、レコーディング時の遠慮のない会話再現。そして子供番組の歌のおねえさんのような、ポップで明るくて、小さめの絵を無理矢理拡大コピーしたかのような細部がざっくりした衣装! あれはいったい何の服だったのだろう。

恭一さんは久しぶりの登場である。「人間ワッショイ」にもほんのちょっとだけ声がレコーディングされている。この声はもともとMAGUMIさんに依頼していて、MAGUMIさんも水戸さんのためならと二つ返事でオーケーしてくれたのだが、何とレコーディング当日にぎっくり腰になってしまい、水戸さんが唯一頼れるのが恭一さんだけだった、とのことである。しかし恭一さん、まだCDをもらっていなかったらしく、「もう発売されてるの?」と驚いていた。それに対して水戸さんは謝りつつ、最近忘れっぽくなったこと、今日もライブのために法被やらシャボン玉の出るピストルやらいろいろ準備したが、肝腎のメイク道具を忘れてしまったことを告白していた。

しかしライブハウスのある地渋谷は流石である。水戸さんのメイクに使われる「シュウウエムラ」も、コンビニ感覚でどこにでもあるので事なきを得たそうだ。これが別の土地であると苦労するという。コンビニで調達するしかなく、すると鉛筆のような形をした眉墨で目の周りの広範囲を塗りつぶさなくてはならなくなるため、血が滲むのだそうだ。実に痛そうである。

本編ラストは「天井裏から愛をこめて」。この曲は何回やっても楽しいし、「大好き! 大好き!」と叫ぶことで幸福な気持ちになれる。アンコールのラスト、ゲスト全員とともに歌われた曲は「明日への誓い」で、これは意外性があったなぁ。陽気でハッピーな曲調だけど、現実の生々しさが感じられる曲。

終演後水戸さんのサイン会があったのだが、緊張して言いたいことを伝えられなかったのが心残りである。しかし、楽しかった! 来年は十四回目で、いよいよ何にもなぞらえられない半端な数字とのことだが、数字が何であろうときっと全力で盛り上げてくれるだろう。己も全力で盛り上がろう。絶対に。



日記録4杯, 平沢進, 日常

2016年5月25日(水) 緑茶カウント:4杯

Twitterなどで「速度制限がかかった」という書き込みを見るたびに、運転の話をしているものと思い込んでいたのだが、あれは通信の話だったということを今日知った。

今日一日P-MODELの「BA-DA-DHA」という一曲を聴き続けていたせいで、頭の中で平沢進の声がずっと鳴り響いている。「ばっだっだあああ~~~~~~あァッ!! ばっだっだあああ~~~~~~あァッ!! ばっだっだあああ~~~~~~あァッ!!」と、あの艶っぽい声が。

ばっだっだあああ~~~~~~あァッ!!

「BA-DA-DHA」が入っているアルバムはおよそ七年ほど前から所有している。もっと言えば、P-MODELの楽曲がほぼ揃っているCDセット「太陽系亞種音」は七年ほど前に購入している。ずっと持っているのにこの曲を聴いたのは昨日が初めてで、だからこそ今になって魅力に取り付かれてただ一曲を一日中聴き続けることになったのだ。

「BA-DA-DHA」が収録されているディスクを、己は太陽系亞種音を買う前に購入していた。中古屋で買ったものだった。そして大いにはまり、思い切ってほぼ全曲が揃ったボックスを買う決心をしたのである。そうして手に入れてからはちょこちょことCDをパソコンに取り込んでいったのだが、最初の頃に買ったアルバムは既に取り込んでいたので手を付けなかったのである。すると漏れが生じたのだ。何故ならそのディスクには、一枚のアルバム分の楽曲と、アルバムに入っていない曲が数曲含まれていたので。そのうちの一つが「BA-DA-DHA」だったのである。

ファンであるゆえ、「BA-DA-DHA」という文字列を目にしたことは今までに何度もあったのにどうして気にしたことがなかったのか。もっと早くに気付くきっかけだってあったはずなのにと不可思議さに首を傾げつつ、まるでドングリを埋めていたことを忘れていた間抜けなリスが、何年も経ってから埋めていたそれの存在を思い出し、喜んで食べているようだなぁと思うのだ。そうして頭の中で歌われる声を聴きながら軽く口ずさむ夜である。ばっだっだあああ~~~~~~あァッ。



日記録3杯, 日常

2016年5月22日(日) 緑茶カウント:3杯

「ちょーっと奥歯を丸めますよー」と言うのんきな声が聞こえたと同時に、ゴリゴリゴリゴリと削岩機でも使っているのかというような音が口内で響き、己の奥歯は丸められたのだった。

今まで生きてきて「奥歯を丸める」と言われたことがないだけにやけに印象的だったこの言葉。しかも驚いたのはその歯が削られることは全くの想定外だったことで、何故なら治療が必要なのは丸められた奥歯の真下に生えている、下顎より生じている奥歯だったからである。つまり丸められた奥歯は上の歯なのだ。

削岩機の音を聞きながら、何故この歯を丸めるのだ、丸めるってつまり形を調整するということか? 何故? 形を調整するなら下の治療すべき歯を調整すれば良いのではないのか? と思うも自由に動けない身の上であるゆえ大人しくしていた。

そうして己の奥歯は丸められたのである。ゴリゴリと。

削岩機の音が止み口を漱いだ後、奥歯を丸めた意味を先生は教えてくれた。高さの問題だったらしい。下の歯にこれからカバーをかぶせるには下の歯の方に元よりも高さをつけなくてはならず、高くした分上の歯を短くしたということだ。そして丸めたのは一ミリにもならない程度の厚みとのことで、あの強烈な音のわりにほとんど撫でる程度の表層しか削られなかったというのだから驚きだ。知識の無い者からすれば健康な歯を削るなどありえないことのように思えるが、そういう技法もあるのだなぁ。

人気の歯医者ゆえなかなか予約がとれず、通うのは月に二回か三回。治療が終わるまでまだまだかかりそうである。まぁ、徹底的にやろう。せっかくなので。



日記録2杯, 日常

2016年5月18日(水) 緑茶カウント:2杯

反動とギャップもあるのだが。十代前半の頃、インターネット上では五歳ほど年上に見られ、二十代前半では初対面の人に三十代と思われていた。しかし三十を目前に見据えた今、いや今より少し前から、実年齢より下に見られることが増えて悩んでいるのは、幼稚さの表れを指摘されているからかと焦るからである。

年相応に見られたい。いっそ年齢不詳を地で行くために素っ頓狂なファッションでもしてやろうかと思いつつ。そんな度胸も好みもなく、ただただ日々ギャップに驚き、「何か違うなぁ」「どうしたこった」と思うのである。

ところで文脈とは何の関係もないのだが、ついにおそ松さんグッズをちょこちょこ集め出すようになってしまった。今まではブルーレイと雑誌とCD程度だったのに。あぁ、ここに行くと際限が無いぞと思いつつ止まらない。やばい。まずい。しかも特別好きな松がいないだけに六つ子全員分集めたくなるからさらに際限がない。あぁ、どこまで行くのかこの欲望。自分自身に対し、若干戸惑い始めている。やばい。



日記録2杯, 日常

2016年5月15日(日) 緑茶カウント:2杯

先週予約した本が届いたとの報せを受けて図書館へ向かった。己の住んでいるところは徒歩二十分圏内に二つの図書館があり、それぞれ別の市区町村は運営している。例えば一つは渋谷区、一つは新宿区と言うように。渋谷区の図書館では渋谷区にある全ての図書館から資料の取り寄せができ、新宿区も同様である。よって渋谷区にない本を新宿区から取り寄せたり、新宿区にない本を渋谷区で取り寄せたり、といったことが出来るので、便利さを噛み締めながら借りてきた本を読んでいる。

思えば大学卒業以来めっきり図書館を利用していなかった。近所の図書館を探すことすらしていなかった。欲しい本はとりあえず買っていたからであり、それで不満が生じなかったからである。そんな中で最近図書館を利用するようになったのは、高価な専門書を「趣味で」読みたくなったためだ。価格は一冊七千円ほどで、専門書ゆえ大きな本屋を探してもなかなか見つけられない。インターネットで購入できることは知っているがいきなり買うのは勇気がいる。何せまず、内容を理解できるかわからないのだ。せめて中身を少しでも見られれば購入の判断が出来るのだが……。

そうして悩み続けていた最中図書館の存在を思い出し、行ってみたら取り寄せできることがわかり、喜びながらガンガン借りて、あーやっぱ難しいなーと思いつつ、一緒に借りてきた入門書から手を付けて、少しずつ読み進めている。楽しい。とても楽しい。

ちなみに借りたのは義肢装具に関する本だ。まず義肢ユーザーのエッセイから始め、義肢装具士を取材した本を読み、今は義肢装具士になるにはどうしたら良いか解説した本を読んでいる。あと義肢装具学の本と、義肢装具メーカーの本と、再生医療の本と、生体医工学の本を借りた。身近に義肢ユーザーがいないため知らないことばかりで非常に興味深い。

興味関心の連鎖に任せて本を読んでいく楽しさよ。あぁ、快感。