奥歯を丸める
2016年5月22日(日) 緑茶カウント:3杯
「ちょーっと奥歯を丸めますよー」と言うのんきな声が聞こえたと同時に、ゴリゴリゴリゴリと削岩機でも使っているのかというような音が口内で響き、己の奥歯は丸められたのだった。
今まで生きてきて「奥歯を丸める」と言われたことがないだけにやけに印象的だったこの言葉。しかも驚いたのはその歯が削られることは全くの想定外だったことで、何故なら治療が必要なのは丸められた奥歯の真下に生えている、下顎より生じている奥歯だったからである。つまり丸められた奥歯は上の歯なのだ。
削岩機の音を聞きながら、何故この歯を丸めるのだ、丸めるってつまり形を調整するということか? 何故? 形を調整するなら下の治療すべき歯を調整すれば良いのではないのか? と思うも自由に動けない身の上であるゆえ大人しくしていた。
そうして己の奥歯は丸められたのである。ゴリゴリと。
削岩機の音が止み口を漱いだ後、奥歯を丸めた意味を先生は教えてくれた。高さの問題だったらしい。下の歯にこれからカバーをかぶせるには下の歯の方に元よりも高さをつけなくてはならず、高くした分上の歯を短くしたということだ。そして丸めたのは一ミリにもならない程度の厚みとのことで、あの強烈な音のわりにほとんど撫でる程度の表層しか削られなかったというのだから驚きだ。知識の無い者からすれば健康な歯を削るなどありえないことのように思えるが、そういう技法もあるのだなぁ。
人気の歯医者ゆえなかなか予約がとれず、通うのは月に二回か三回。治療が終わるまでまだまだかかりそうである。まぁ、徹底的にやろう。せっかくなので。