アルバム「人間ワッショイ!」の発売記念ツアーのファイナルであり、久しぶりの3-10Chainのワンマンライブ。チケットの整理番号がかなり良い方だったので、二列目あたりに立つことが出来た。終盤に差し掛かるにつれ盛り上がった水戸さんが柵に足をかけ身を乗り出すたびに、歌う水戸さんの奥歯まで見えて距離の近さに非常に興奮した。この日は水戸さんに向けて振り上げた拳を水戸さんの拳でガツンとぶつけてもらうこともできたので、もう、たまらなかった。嬉しかった。
オープニングでは不死鳥でも流れた例の萌え萌えボイスが流され、可愛らしい声で「さもなきゃくたばっちまえ!」と叫ばれるや否やメンバーが登場! 水戸さんは右手のおもちゃの銃でシャボン玉を撒き散らし、日の丸が描かれた扇子を左手で振って拍子を取る。そうして沸き起こる歓声の中始まった第一曲目が「Lesson」! アンジーの曲から始まり、二曲目が新譜の表題曲「人間ワッショイ!」で、三曲目が前作の収録曲「ぶっぽうそう」という流れであった。
セットリストはこのような感じである。ただし多少曲の順番が間違っているかもしれない。
Lesson
人間ワッショイ!
ぶっぽうそう
魂に訊け
この汗を笑うんじゃねえ
壷から抜け出せ
光あれ
泥の河
風天 Rollin’ (feat.山頭火)
心臓の囚人
雑草ワンダーランド
ジュージュー
前しかないだろ
あるがまま
ミミズからメドレー
~恋のメロディ
~愛の賛歌
~シャ・ラ・ラ
~ミミズ
ジョニーは鼻毛がヒッピースタイル
素晴らしい僕ら
~アンコール~
できそこなった
マグマの人よ
~ダブルアンコール~
アストロボーイ・アストロガール
新譜「人間ワッショイ!」を中心に前作の「楽観 Roll Show!!!」が多めのセットリストである。合間合間に「人間ワッショイ!(reprise-1,2,3)」が挟み込まれ、どんどんヒートアップしていくのが非常に楽しい。ワッショイワッショイ叫びながら拳を振り上げ全力を出し切ったので、暗い地下にいるにも関わらず夏祭りを満喫した気分になった。
最初のMCでは夏の話が語られた。水戸さん曰く、夏が好きで夏の曲も少なくないが、自分が好きなのは「思い出の中の夏」であって実際の夏ではない。インタビューなどで夏が好きかと聞かれることがあるが、好き嫌いではなく体力的にきついとのこと。ただ、年々一年が早くなっていっているので、もう何年か経ったら「そろそろ扇風機出そうかな」と思ったときには夏が終わっているかもしれないと話していた。ちなみに「思い出の中の夏」が好きなのは、思い出は思いでなので暑くないためだそうである。
「魂に訊け」「この汗を笑うんじゃねえ」はストレートに格好良かった。「壷から抜け出せ」を歌い終わった後には、この曲は長いことしっくり来ていなかったと水戸さんが語った。「壷から抜け出せーあーあー」と低い声で歌って終わってしまうのでいまいち盛り上がりに欠けるように感じられ、セットリストから外れて行ったと言う。しかし若い頃は激しい曲か静かな曲、どちらかに極端な方が盛り上がりやすかったが、今はお客さんも激しさばかりを求めていないことがわかるのでこういう曲も出番ができるそうである。
「光あれ」からゲストの扇さんが参加。ここの曲に入る前のMCではポケモンGOの話で盛り上がった。今日のライブ前に扇さんがコンビニの近くでポケモンを捕まえようとしている姿を澄ちゃんに発見されてしまったとのことで、扇さんが非常に恥ずかしそうにしていた。
それを受けて水戸さんが、ポケモンGOは「何となくやっている」体を装えない、知らない人しかいないところでポケモンを捕まえていても恥ずかしくないが、街中で必死にポケモンを捕まえようとしている姿を知人に発見されたらすごく恥ずかしい、とスマートフォンを操作する仕草をしながら語る。明言はしていなかったが、水戸さんもどうやらポケモンGOをプレイしているようで、内田さんと車に乗っているときに窓の外に時速六十キロで去り行くポケモンの姿を見つけ、「あー!」と叫んでしまったことがあるそうだ。
そして長々とポケモンGOトークで盛り上がった後に、「光あれ」へ。「人間ワッショイ!」の公式の推し曲は「この汗を笑うんじゃねえ」で、MVもそれで作っているのだが、水戸さんの公式の推し曲は「光あれ」とのこと。しかし会議か何かで「光あれ」を推してもスルーされてしまったらしい。
ちなみにこの「光あれ」についてはこんな話も。「光あれ」と口にするのは本来は神様のはずなのに、この曲では救いを求めている人間が「光あれ」と言うと神様がやってくる構造になっていて、録音した後に気付いてしまったとのこと。確かに。でも己はここに違和感はなかったなぁ。これだけおちゃらけた雰囲気の神様ならかるーく呼んで出てきてくれそうな感じがする。その軽さが良いよね。
「泥の河」は盛り上がるバラードを作りたいという思いから生まれた曲とのこと。盛り上がるタイミングは自分で判断してくださいと言われたので、自分で考えて拳を振り上げた。この曲で激しくベースを弾き鳴らす内田さんが格好良かったなぁ。
今回のゲスト扇さんの一番の見せ場が「風天 Rollin’ (feat.山頭火)」である。水戸さん曰く、この曲のために扇さんを呼んだと言っても過言ではないとのことで、その言葉に違わず非常に格好良かった! 「分け入っても分け入っても!」のコーラスの力強さと美しさ! これを生で聴けて良かった。
「心臓の囚人」でしっとりした後、内田さんの家の話へ。植物が茂りまくっていることで知られる内田さんの家だが、夏はさらに植物が勢いを増し、森のようになっていると言う。水戸さん曰く、ポケストップにならないのが不思議なほどすごいらしい。流石にこればかりは公開されることはなかろうが、一度その外観を見てみたいものだ……。
そして内田さん家の森の話から繋げて「雑草ワンダーランド」へ。この後立て続けに曲が続いた後の「ミミズ」のメドレーが最高に良かった! 「ミミズ」「恋のメロディ」「愛の賛歌」「シャ・ラ・ラ」と繋げて「ミミズ」に戻るこの贅沢! 特に「ミミズ」と「恋のメロディ」は大好きな曲なのでこうして聴けるのは本当にたまらない気持ちになる。格好良かった……!!
メドレーで盛り上がった直後、「ジョニーは鼻毛がヒッピースタイル」! 水戸さんも話していたがこの曲の威力は凄まじい。まるで十年も二十年も前からあった定番曲のような安定感と爆発力がある。これ、コミカルで楽しくて、切ないのが実に良いんだよなぁ。それでいて「生涯LOVE & PEACE」のキャッチーさ!
本編ラストは「素晴らしい僕ら」。実はこの日は己の三十歳の誕生日だった。よってこの曲に至る前も一人特別感を抱きながらライブを楽しんでいたのだが、「素晴らしい僕ら」は誕生日を迎えたその日に聴くとバースデーソングのように聴こえるなぁ、と感じた。それもとてつもなく生を祝福されているような。
嬉しかった。
アンコールは「できそこなった」「マグマの人よ」。そしてダブルアンコールの「アストロボーイ・アストロガール」で締め。終わるかと見せかけて、内田さんのベースが何度も何度もかき鳴らされて爆発を繰り返し、間に「ワッショイワッショイ!」を挟んで叫びに叫んで全力を出し切って終わった。祭りだった。夏祭りだった。ここは地下で、神輿もないが、確実に夏祭りだった。まだ八月に入る前だと言うのに夏を堪能しきってしまった。「人間ワッショイ!」「楽観 Roll Show!!!」の曲が多いだけに、全体的に明るく盛り上がる調子なのも祭りっぽさの由縁だろう。
あぁ、満喫した。楽しかった。