ガラケーユーザーのポケモンGO

2016年7月24日(日) 緑茶カウント:6杯

たかだか一時間と少し歩いた程度で筋肉痛に見舞われるあたり、運動不足がたたっているなぁと思う。

と、言うと巷で流行りのポケモンGOを始めたのかと思う人もいるかもしれないが、ポケモンGOに関係なくただなんとなく散歩を始めた結果、見事に道に迷い彷徨うはめになったのが実際だ。己は天王洲アイル駅で潮の香りを嗅いでいた。何でこんなところに着いてしまったのだろうと思いながら。

散歩の最中、いくつかの川を渡ったが、あるときから川が川ではなくなり、海水のにおいを感じるに至って己が見当違いの方角を歩いていることに気付いたのである。己が住まう場所に海はない。ついでに言うと川もない。いったいここはどこなんだ、と若干不安を抱きつつあったが焦ってはいなかった。大丈夫。ここは東京である。どこに行ったって必ずどこかの駅に辿り着くのだ。安心して彷徨うことができる土地なのである。

そうして己はモノレールに乗って浜松町へと向かった。モノレールは好きだ。普段は用事があってモノレールに乗るが、今回は純粋にモノレールを楽しみながら乗ることが出来て少し嬉しかった。何と言ってもこの先に何の用事も目的もない。気楽だなぁ、と思う。

疲労した体を座席に埋め、車窓を眺めながらひそかに笑う。こんなに歩いて移動したのにポケモン一匹捕まえられないなんて、なんて愉快なんだろう。今まで散歩をしながらそこに損を感じたことなどなかったのに、ポケモンGOが配信されたとたん、ポケモンGOをプレイしていない自分まで、散歩の目的に「ポケモン」の存在を意識してしまうのだ。この意識の変化が楽しい。

ガラケーユーザーの自分には見えないが、きっと己が歩いた道々にもたくさんのポケモンが潜んでいたのだろう。小学生の頃夢中になり、必死に捕まえ育てたモンスターが潜んでいるかもしれない世界を三十手前の自分は歩いている。彼らの気配を感じながら歩いている。

見えないのに、いる。二十年の月日を経て、彼らは電子の世界を抜け出し、妖怪に近付いたのかもしれない。



日記録6杯, 日常