未分類0杯, 核P-MODEL, 非日常

非日常とは今日の日のようなことを言うのだろうなぁ。

ぎゅうぎゅう詰めでありながらもどこかまったりとしていて、過ごしやすいライブだった。別の表現をするならば、若干大人しかったとも言える。ヒラサワのライブでは開演直後の暗転したタイミングではなく、ステージにヒラサワが現れた瞬間に押しが発生することが多いが、今日はほとんど動きが無かった。

大きな熱狂が発生したのはライブ終盤、「それ行け!Halycon」でヒラサワが棒状のカメラを回しながらステージを練り歩いたとき。そしてアンコールで「OH!MAMA」と「いまわし電話」が奏でられたときだ。「OH!MAMA」では「ドアの開けざまにママ張り倒せ!!」と大声で合唱して非常に楽しかった。冷静に考えてみれば何てことを叫んでるんだと思いつつ、日常では叫べない言葉を口にできるのもライブの醍醐味だ。

本編終了後、颯爽と現れたヒラサワが早口でMCを叫び、早々と曲へと移るスピード感。ステージに立ち、長々とオーディエンスに礼を述べる昨今の姿とは異なる様子は格好良く、同時にオーディエンスとの距離の取り方を模索しているようにも思われた。

先日の平沢進のBack Space Passでのファンに対する忠告と、昨今のTwitterでのアナウンス。ヒラサワを介して自由気ままに遊ぶことを良しとしつつ、逸脱すれば制限をかけざるを得ないことを意識していかねばならぬことを改めて感じさせられた。

これからも一人のファンとして、見守り、熱狂し、喜びながらヒラサワという媒体に接していこう。今日は本当に楽しかった。



未分類0杯, 核P-MODEL, 非日常

毎回のように書いている気がするが、それでも何度も書きたくなるのはライブ会場で目にするたびにひしひしと実感してしまうからだろう。

あぁ、平沢進はこの世に実在するんだ、と。
そして、それをリアルタイムで観られる喜びを。

「回=回」東京公演の二日間に参戦し、のっけから喜びで心が爆発して、その瞬間だけは胸の中に溜め込まれていた様々な日常の不安や悩みが霧散し、その代わりとばかりに注入され充填されたのは感動と興奮で、固く手を握り締め、ずっと聴きたかった、でも聴けないと思っていた、今のヒラサワの声による「いまわし電話」に涙が流れそうになった。

だって、核P-MODELのライブで、今この平成が終わろうとする世で、「いまわし電話」が聴けるなんて誰が想像できるだろう。全くできなかった。予想も期待もしていなかった。だから嬉しかった。

白髪のヒラサワから奏でられる伸びやかな歌声をただただ全身に浴びる一時間半とその二日間。時折水を飲む以外は休むことなくステージに立ち続けるエネルギーと、オーディエンスを楽しませようとする様々な演出。今回はヒラサワの代名詞とも言える楽器レーザーハープの登場はなかったが、それを思い出させたのはライブが終わってしばらく経ってのことだった。それ以上に印象的だったのはあの「ギター嫌い」を強調するヒラサワがずっとエメラルドグリーンのギターを抱えていたこと。「幽霊飛行機」で両脇の会人と共に揃いの赤いギターを抱え、膝を折り首を振るコミカルな動きを挟みながら演奏する様を見て、誰が彼の人がギター嫌いと信じられるだろうか! と思わずにはいられない。無論、己も信じていない。

核P-MODELのライブの感想で恐縮だが、一日目は「いまわし電話」「Zebra」、二日目は「2D or not 2D」「OH!MAMA」に興奮せざるを得なかった。特に二日目は一曲目が「2D or not 2D」で、でかでかとステージ上のスクリーンに映し出されたあの懐かしの情緒あるCGを目にした瞬間の興奮は忘れられない。あぁ、この曲を聴けるのか! 今のヒラサワの歌声で聴けるのか、歌ってくれるのか! と!

「Zebra」の伸びやかな声はいつまでも聴いていたい美しさで、「OH!MAMA」はこれまた予想していない一曲だっただけに咽喉から悲鳴が搾り出されてしまった。ヒラサワのアルバムでは「LIVEの方法」が死ぬほど好きで、これを何度も何度も繰り返し聴いている身としてはたまらないものがある。あぁ、こうなると、いつか、「ATOM-SIBERIA」を聴きたいと欲を出してしまう。そして、いつか聴けるのではないかと希望を持ってしまう。

ありがとう、ヒラサワ。

「回=回」ではギターを横に倒し、まるで銃口を突きつけるかの如くネックをオーディエンスに向け、「遮眼大師」では下手に立つ会人「鶴」が在宅オーディエンス用のカメラを抱えて振り回し、オーディエンスやヒラサワを映し出す。あのカメラも凝っていたなぁ。てっぺんに大きく「回」の文字があしらってあって、カメラというよりも銃器か何かのような迫力があった。

そう、今回のライブではヒラサワを挟んで両脇に白会人の「鶴」と「松」がいた。鳥の頭を彷彿とさせるデザインの人物で、ヒラサワ曰く第9曼荼羅の会人とは中身が違うそうだ。ということで、会人は合計四人いる。しかしヒラサワの数には敵わないとうそぶくあたりが面白い。自らそれをネタにしてくるのか。

話が逸れたが、この会人二人のパフォーマンスがコミカルで実に良かった。己は一日目は下手側、二日目は中央寄りの上手側に立っていて、ステージ全景が見渡しやすかったのは一日目、ヒラサワだけをひたすら凝視しやすかったのは二日目だった。故に、会人の動きは一日目の方が印象に残っている。主に鶴。嘴をくいっくいっと動かすかわいらしい動きに、「それ行け! Halycon」で熱狂のキーボードソロを奏で終わると思うか否か、もとの立ち位置に戻り「あぁ~」とばかりに何かを後悔するかのように頭を抱える仕草。そうそう、会人二人にはふかふかの座り心地の良さそうな黒い椅子が用意されていたのも印象的だった。そこに座り、会人二人はタッチパネルのような楽器を奏で、立ち上がってはギターを爪弾き、カメラを抱え、キーボードを弾き、大忙しに動き回っていた。それでいて、忙しさを感じさせない動きが実にキュートだった。

二日目の「それ行け! Halycon」は特別だった。なんと、ギターソロを奏でる以外はほとんど中央の立ち位置から動かない平沢が、棒状のカメラを掲げ、頭上で振り回しながらゆったりとステージを上手から下手へ、下手から上手へと歩き回ったのである! 考えてみるとただステージを移動しているだけとも言えるのに、飼い慣らされたオーディエンスは大興奮で、己も日常では出したことのないような声を出し、拳を振り上げ、ぐるんぐるんカメラを回しながら歩きながら歌うヒラサワを凝視した。

ちなみにアンコールのMCでこれがカメラであるとヒラサワから説明を受けるまであれが何かわかっていなかったため、己は本当にただの棒をヒラサワが振り回していると思っていた。ヒラサワ曰く、今後使う人が増えそうなので今のうちに使ってしまえ、とのことである。振り回すカメラが映すのはヒラサワだそうだ。どんな映像が撮られているか興味深い。

新曲もかつての曲もたっぷり聴けて最高の二日間だった。核P-MODELとしてはまだアルバムが三枚しか出ていないためにまだまだ新人と名乗るヒラサワのおかしさったら。大混雑するドリンク列を抜け、ビールで咽喉をうるおしながらせっせとスタンド花から花を引き抜く人々を見て思う。あぁ、これから日常へ帰るのか。ZEPP 東京の頭上には巨大観覧車が非日常の光景を訴えかけてきているが、これから己は電車に乗って日常へと帰る。それでも、このひとときを、ヒラサワという非日常の存在を間近で観られた喜びを胸に、しばらく夢見心地を味わえそうで、それを反芻しながら生きていきたいと思う。

本当に楽しい二日間だった。



未分類0杯, 核P-MODEL, 非日常

平沢のライブ最終日。とりあえずこれを先に言っておこう。銀髪に関する発言は無し! ゆえにその理由も、地毛かかつらかもわからないままライブは終わった。

とはいえ二回目ともなれば銀髪の平沢も見慣れるもので。もうずっと銀髪だった気さえしてくる。と、言うのは言いすぎか。

今回はびっくりするほど良い番号。百十番台という己にとっては奇跡の数字で、おかげで平沢の目の前、前から三列目からがっつり堪能することが出来た。頭のてっぺんから爪先までしっかり見えるこの贅沢。今まで観たライブの中で一番平沢に近い位置である。目尻の皺まで見えた。しかしその距離から見ても銀髪の正体が何かわからなかったのだ。

ちなみに初日の位置は真ん中の柵数歩前、という位置で、場所柄ゆったりとしたスペースが確保出来た。対して今回は前方スペースゆえ、しっかり圧縮されたが、前日が筋少のライブだったこともあり、押されるだけで楽だなーと思った。折りたたみやダメジャンプ、ヘドバンが発生しないだけ楽に観られる。無論、押し合いへし合い状態で、挙げた腕を仕舞えなくなることもあるのだが。この程度であれば自分にとっては想定内である。

ただライブ慣れしていない人にはきつかったかもしれない。平沢前三列目という位置にも関わらず、周囲には巨大なリュックサックや傘を持ち込んでいる人が少なくなく、多分これは、圧縮状態になることが想定外なのだろうと思われた。彼ら彼女らが心から楽しむことが出来たか、ちょっと気がかりである。

さて、以下はセットリストである。これは公式のTwitterより拝借した。


アンチ・ビストロン
SPEED TUBE
гипноза (Gipnoza)
排時光
それ行け!Halycon
ナース・カフェ
脳動説
王道楽土
アンチモネシア
庭師KING
帆船108
Astro-Ho! Phase-7
Big Brother
Parallel Kozak
フ・ル・ヘッ・ヘッ・ヘッ
Black in White
パレード
KINGDOM
救済の技法

~アンコール~

Town-0 Phase-5
Timelineの東

今回は前方に位置取り出来たこともあり、オープニングからの動きもしっかり目にすることが出来た。ヒラサワとPEVO1号は円錐型の巨大な筒を肩に担ぎ、その筒には銃を思わせる一つの取っ手があり、全体はマーブル模様に塗り込められていた。

そして筒を立てる形で地に置き、中央に鎮座するテスラコイルの両脇に配置される掛け軸、さらにその外側に垂らされた二本の紐を、ヒラサワとPEVO1号が掴んで腰を落として引くと、掛け軸に液体が充填される映像が映され、掛け軸はスクリーンに化ける。そして一曲目がアンチ・ビストロン!

かなりアレンジが効いていて、原曲よりも長く、どこか人を喰ったような印象があった。

二曲目はSPEED TUBE! 今回びっくりしたのは曲の入れ替わりが激しいこと。てっきり、前日ほぼ同じ曲で、曲順だけが入れ替えられるかと思いきや、嬉しい誤算である。聴きたくて聴きたくてたまらなかった「暗黒πドゥアイ」が今日なかったり、「排時光」が今日聴けたり。あぁ、やってくれるなぁ。ありがとうヒラサワ!

「それ行け!Halycon」ではスクリーンで踊り狂うHalyconを楽しみつつ、ヒラサワとPEVO1号の動きも面白かった。アルバムでキーボードソロの箇所、初日はギターで代替されていると思っていたのだが、活躍していたのはテスラコイルであった。

次からはソロの時間。これも初日は気付かなかったが、レーザーハープのレーザーはこれまで鳴りを潜めていて、「それ行け!Halycon」が終わって始めて、グリーンのレーザーがステージと客席を交差する。代わりに掛け軸が沈黙するという仕掛け。視覚的にもこんなに楽しませてくれるのが嬉しい。

ナース・カフェで盛り上がり、脳動説、王道楽土。王道楽土のシャウトはかつてのライブDVDで見たときよりも控えめのように見えた。単に目を伏せていたからそう見えただけかもしれないが。

そうだ! 初日と三日目、別の位置で見て気付いたこと。近くで観た方がヒラサワの地声が聴こえやすく、わかりやすい。初日は真ん中あたりで観ていたため、バックミュージックとヒラサワの声が同化して、まるでCDの音声をそのまま流しているかのように聴こえる箇所もあったのだ。ところが間近で聴くとやはり地声は地声で違いがわかり、あぁ、ヒラサワの声だ!! と嬉しくなったのだ。

アンチモネシアでは筒を持って地面を付く謎のパフォーマンス。今回、足元まで観られたが、やはりあれが何を意味するパフォーマンスなのかはよくわからなかった。

庭師KINGの次は帆船108、Astro-Ho! Phase-7で、聴かせていただきありがとうございます! と心の中でひれ伏した。

Parallel Kozakでの無表情のギタープレイが楽しい。手元がよく見えるのでしっかり凝視しつつ、挟み込まれる耳慣れたフレーズに期待が高まり興奮する。やってくれるか。今日もやってくれるのか。

フ・ル・ヘッ・ヘッ・ヘッだ!

あー、もう。これをこの年でやってくれるってんだから、たまらないなぁ!!

「フ・ル・ヘッ・ヘッ・ヘッ」の後はさらに声が伸びやかになっているように聴こえたのは気のせいだろうか。特に「KINGDOM」の声の広がりが素晴らしく、この会場にいられることを心から感謝した。

本編ラストは「パレード」。「キミの影を食い」「キミの名の下に」の箇所がオリジナルより低い歌い方で、それがまた色気があった。もしかしたら高音が辛い、という理由のアレンジかもしれないが、それでも良し! 歳を重ねつつ、年齢にあわせたアレンジをしつつ、活動を続けてくれることを己は歓迎する。

アンコール一曲目に入る前、特にMCは無くサラリと「Town-0 Phase-5」へ。これも嬉しい! こんなにも曲を入れ替えてくれてありがとう!

最後の最後の曲の前にちょろっとMCが入った。台風で本日帰れなくなった人を挙手させ、「よし」と一言。そしてやや上がる口角。何が「よし!」なのかと思いつつ、すっかり魅了されるのだから困ったものだ。

そのうえでラストは大好きな「Timelineの東」で、多幸感に満ちたままライブが終わり、帰り道己のブーツは雨でびしょぬれになったのだが、そんなことなど物ともしないくらい、楽しい一日だった。

あぁ、濃い三連休だった。



未分類0杯, 核P-MODEL, 非日常

平沢が白かった。

いや、違う。いや、違わないが。本日参戦したライブ「HYBRID PHONON」。平沢進と核P-MODEL、同一人物による別名義のコラボライブというもので、シンフォニックで壮大なソロと、破壊的で刺激的なテクノサウンド、二つを一日で楽しめる非常にお得なライブだが、とにかく、何だ、平沢が白かった。

髪が真っ白なのである。

自分の整理番号は千番以降。開演当初、今日はゲストが二人いるのかと思っていた。下手が白髪。上手がスキンヘッド。そして後々平沢が中央に登場するのだろうと。しかしあにはからんや、下手の白髪が歌い出し、その声はまさにあの黒尽くめの印象が強い、平沢進その人の声だったのである!

遠目ゆえ、白髪のかつらを被っていたのか、地毛なのかは見極めることが出来なかったが、髪はふんわりとしていて、普段より長かったように見えた。恐らくかつらだろうと思うが、何でまたかつらを被ったのか。還暦記念にイメージチェンジか。単に度肝を抜きたかったのか。それともかつらではなく地毛で、真っ白なのが本来で今までは黒く染めていたのか。わからない。

白髪に白衣の真っ白な出で立ちがあまりに衝撃的すぎて、前回のライブ「パラレル・コザック」で聴けなかった「暗黒πドゥアイ」をついに聴けて嬉しいとか、「ナース・カフェ」の掛け声が「SWITCHED-ON LOTUS」バージョンで珍しく感じたとか、まさかの「Black in White」に興奮したとか、「Parallel Kozak」から「フ・ル・ヘッ・ヘッ・へッ」への流れがたまらなかったとか、いろいろあるにも関わらず、白髪に全てを持っていかれた。それほど衝撃的だったのである。

魔導物語・ぷよぷよのキャラクターであるシェゾ・ウィグィィが還暦を迎えたらこんな感じなのだろうか…。などと、ライブと全く関係のないことを思い浮かべもした。

以下はセットリストである。

アンチ・ビストロン
Rocket Shoot
гипноза (Gipnoza)
暗黒πドゥアイ
それ行け!Halycon
ナース・カフェ
ナーシサス次元から来た人
王道楽土
アンチモネシア
庭師KING
現象の花の秘密
聖馬蹄形惑星の大詐欺師
Big Brother
Parallel Kozak
フ・ル・ヘッ・ヘッ・ヘッ
Black in White
パレード
KINGDOM
救済の技法

~アンコール~

白虎野
Timelineの東

聴けて嬉しかったのは「暗黒πドゥアイ」「庭師KING」「現象の花の秘密」「フ・ル・ヘッ・ヘッ・へッ」「パレード」「救済の技法」「白虎野」「Timelineの東」である。特に「暗黒πドゥアイ」は嬉しかった。前回本当に聴きたくて聴きたくて、聴けずにがっかりしたのである。ついに満願成就の夜が来た! と言っても過言では無いだろう。

ステージの中央にはテスラコイルがあり、その両脇に掛け軸のような形状の縦長のスクリーンがあった。下から上へ文字や歌詞が流れたり、Halyconが踊り狂ったり、白虎野の風景が映されたりと凝った映像演出がされていた。

そして掛け軸の手前にはレーザーハープが設置され、上手と下手のステージを繋ぐレーザーが一本と、スタンディングエリアに向けて数本のレーザーが放たれていた。太い緑色の光線はド迫力で、スクリーンとあわせて視覚的な演出が非常に凝っており、ヒラサワワールドが全開に繰り広げられている。

下世話な話だが、ステージ演出のための予算が確保出来ているんだな、と思った。自分自身も例の「唯じゃない」発言がきっかけでヒラサワを知り、気付けばどっぷりはまっていたクチである。思いがけずとはいえ新規の流入が発生した結果なのだろう。年々、少しずつステージセットが壮大になっていくのが実に嬉しい。

で、ヒラサワである。白い。とにかく白い。

まぁ白いのは置いておいて。「アンチ・ビストロン」から始まり「гипноза (Gipnoza)」に至るまでもたまらなかったが、やはり目玉は「暗黒πドゥアイ」。どんだけ好きなんだ、と言われるかもわからないが、とにかくこれが聴けたのが嬉しくてたまらなかった。これに関しては特に特別なアレンジはされていなかったように思う。

そして「それ行け!Halycon」で、スクリーンで踊り狂うコミカルでキュートなHalyconさんを堪能した。今回、キーボードソロの箇所はギターに置き換えられていたように記憶しているが間違っていたら申し訳無い。

「ナース・カフェ」からしばらくはソロのターン。「王道楽土」のシャウトは実に格好良かった。自分はシャウトがどうしても好きでたまらないらしい。

さて。「アンチモネシア」でヒラサワとゲストのPEVO1号が、巨大な紙の筒のようなものを持ち、それで足元を突いたり、メガホンを構えるかのように口元に持ってきたりといった動作を繰り返していたが、あれがどういうパフォーマンスなのかはよく理解出来なかった。ヒラサワの上半身しか見えなかったゆえ足元に何があったのか確認出来なかっただけに気になる。しかしそれ以上に白髪が気になる。何で真っ白なんだ。何なんだいったい。

「現象の花の秘密」はわりと最近の曲のわりに随分久しぶりのように感じられたのは、「ノモノスとイミューム」のDVDを待ちわびているせいかもしれない。今日もあの、エンディングでの素晴らしいパフォーマンスが脳裏に浮かんだ。早くDVDを販売して欲しいものである。

「Big Brother」は前回のパラレル・コザックと同じアレンジ。次はギターを思う存分堪能できる「Parallel Kozak」。これが今回すごかった。

曲の最中でどこかで聴いたこのあるフレーズが入り、しかし正体を掴めず、何だろうと次を待っていると挟み込まれる音。あ、これはとついに気付き、期待値が高まる中で始まる「フ・ル・ヘッ・ヘッ・へッ」!

持ってくるか! ここで!!

六十歳、還暦のヒラサワによる「フ・ル・ヘッ・ヘッ・へッ」! これをこのタイミングで突っ込んでくるヒラサワの格好良さったら! 老いも疲れも知ったことかと我が道をひた走るヒラサワの姿が見えた気がした。まさかこれを生で観られるとは思わなかっただけに興奮した。

本編最後は「救済の技法」。これもライブで聴くのは初めてだ。一番最初に手にとったヒラサワのアルバムが「救済に技法」なだけに嬉しい。これがきっかけでどっぷりはまり、ここまで来てしまったのだ、自分は。

大歓声のアンコールの中現れたヒラサワはちょっとだけ喋ってくれ、さりげなく物販の宣伝をし、ギターのチューニングをし、とサービスしつつ、白髪の理由は全く語らないのが実にらしい。アンコールの二曲「白虎野」と「Timelineの東」はどちらも大好きな曲で、特に「Timelineの東」は己の中で鮮度の高い曲なので、終わりの寂しさを噛み締めつつ、多幸感に浸ったのだった。

とはいえやはり白髪の理由が気になって仕方がないので、どうか三日目には触れて欲しいと願っている。あぁ、思う壺だ!



未分類4杯, 核P-MODEL, 非日常

楽しかった余韻に浸りつつ、自分にとっての核P-MODELのライブは今日で終わってしまったため、若干の寂しさを味わっている。核P-MODELの新譜の制作決定が告知されたときから、今日に至るまでがまるで一連のお祭りのようだった。新譜を聴いて、そうだよこれだよこういうのも聴きたかったんだよ! と大喜びして毎日毎日繰り返し聴き続け、ライブチケットの抽選に申込み、金額に間違えが無いか数度確認して入金し、入金金額は正しかっただろうか、間違えてなかっただろうかとドキドキしながらチケットの発送を待った。そうそう、キーボードマガジンで核P-MODELの特集が組まれる事件もあったなぁ。あの表紙には度肝を抜かれたものだよ。

今日のチケットは百五十番台。似たような規模のライブでは、今まで参戦した中で一番良い番号である。番号を見たとき、ありがとうケイオスユニオン、と心の底から思った。

会場後、迷わず下手前方に立ち位置を決めた。これで上手と下手が交代したら泣くかもしれん、と思いつつ開場を待つ。まぁ、機材の関係もあるだろうし、そんな面倒くさいことは行わないとは思うが。ローディーが楽器をセッティングするのを見て一応安心を得るものの、本人が出てくるまではやはり心配だった。

しかし心配は杞憂に終わる。立ち位置は初日と変わらず下手であった。良かった! そして一曲目も初日と変わらず「崇めよ我はTVなり」! 重々しいイントロと共に幕が開けることとなった。

以下はセットリストである。


崇めよ我はTVなり
ENOLA
アンチ・ビストロン
排時光
巡航プシクラオン
Dr.древние (Dr.Drevniye)
Dμ34=不死
ビストロン
Parallel Kozak
白く巨大で
それ行け!Halycon
109号区の氾濫
гипноза (Gipnoza)
Alarm
Big Brother
Timelineの東

~アンコール~

パラ・ユニフス

曲の順序に変更はあるものの、入れ替え曲は無い様子。と、いうことは今回のライブDVDにはボーナストラックが無いのだろうか。どの日でも良いから、「暗黒πドゥアイ」を入れて欲しかったなぁ。あのシャウトを、あのシャウトを聴きたかったのだよ!

二曲目がまさかの「ENOLA」。曲が始まると同時に、スイッチが入ったかのように観客が跳ね出した。恐らく本日一番盛り上がったのがここである。天を指差して仰け反るわ、スタンドマイクを斜めに倒して歌うわと、ド派手なヒラサワのパフォーマンスに歓声と悲鳴が上がり前方はなかなかの圧縮状態に。上着やコートを着たままの人も大勢いたが、恐らく暑かっただろうなと思う。ただ圧縮状態とはいえ、自分の汗と他人の汗でぐちゃぐちゃになる、というほどでは無いのでまだ快適ではあった。

「アンチ・ビストロン」のあたりだっただろうか。自分は正面からヒラサワを見ていたのだが、紫の光がヒラサワの顔にくっきり影を落として妙な迫力が醸し出されており、何かの首領に見えて若干怖かった。格好良いを通り越して怖かった。

「排時光」では、人の頭の関係でヒラサワの姿が一時全く見えなくなったのだが、歌声はしっかり聴けた。今回は前回よりもヒラサワの地声がよく聴こえたように思う。立ち位置か調整の違いだろうか。何にせよ、嬉しい。

「Parallel Kozak」ではヒラサワとPEVO1号がマイクスタンドから離れ、二人並んで中央寄りに立ち、無表情でギターを弾くというパフォーマンスを見せてくれた。手はしっかり動き観客はしっかり沸いているのに二人はまるで上の空のような顔をしているのが機械じみていて面白い。よく笑わないものだと思う。

そうそう。初日の最初の四曲あたりはオーバーアクションや振り付けのある曲が入ってなかったため、最初はずーっと淡々と無表情でギターを弾きつつ歌っていたのだ。まるで作業のように。昨今のライブはレーザーハープを操る際に動きが生まれるため、淡々とした印象はあまり無かっただけに、棒立ちで真正面のどこかを凝視しながらギターを弾きつつ歌い続ける姿が異様に見えたのだ。変わったのは中盤から。コミカルな振り付けやグラインダーパフォーマンスが挟まれてからは、その後棒立ちに戻っても人間味が感じられるようになった。

対して、今日は二曲目に「ENOLA」が入ったので、「ずーっと棒立ちで機械的で異様」なイメージは抱かなかった。個人的にはあの異様な雰囲気も面白かったので、曲の並び順的には初日の方が好みだ。

「白く巨大で」では、初日と同じく脚立に乗ってグラインダーで培養炉を削りながら歌うのだが、初日は顔には透明ゴーグルのようなものしかつけていなかったが、今日はマスクもしていた。ヒラサワのツイートを見ると、「培養炉削りで金属粉を吸い込んでいる可能性があるゆえにマスクはご容赦を」とあるので、………あぁ、やっぱりあれは体に悪かったんだな………。

培養炉から伸びるマイクをマスクにぴったりくっつけて歌うヒラサワ。発声にあわせてマスクがへこんだり膨らんだりしていて、よくもまぁあの状態で歌えるものだなぁ、と感心した。しかも手にはグラインダーである。

「それ行け!Halycon」ではまた毛糸帽の男が乱入してキーボードを弾いて去っていった。マスク越しに見える顔は若かった。少なくともヒラサワと同年代では無い様子。

この人の存在が次の物語への伏線にならないかなぁ……とつい期待してしまう。最終日には紹介されるだろうか。

「109号区の氾濫」は聴けば聴くほど好きになる。もともと好きだったがライブで聴いてより一層好きになった。しかし何がここまでガツンと来たのかいまいちわからない。何だろう。

「гипноза (Gipnoza)」「Alarm」「Big Brother」は怒涛のようだった。これでもか! これでもか! と殴られたようだ。)」「Alarm」のシャウトは言うまでもなく、格好良かった……。「Big Brother」はライブで聴くと洗脳されそうになる。迫力に負けて。

「Timelineの東」は清涼剤のようだ。盛り上がりつつ、明るく軽やかな曲調でスッキリ気持ち良く終わるので、本編ラストにもってこいだ。爽やかな気分になれるから嬉しい。

そしてアンコールを呼ぶ声。「ヒラサワー!」「核Pさーん!」「核P-MODELー!」と叫ぶ声の中から、「核Pさん! 核Pさん! 核Pさん! 核Pさん!」というコールが手拍子と共に発生した。これ、結構言いづらい。

しばらくして核P-MODELことヒラサワとPEVO1号が登場! 「パラ・ユニフス」を演奏すると、またさくっと退場し、会場が明るくなる。無論ここでこのまま帰るわけが無い。核P-MODELを呼ぶ声が起こり、まるで餌を待つ雛のように会場全体が叫ぶ叫ぶ。

やっと現れたヒラサワが放った言葉は「今日はさん付けで呼ばれたので気持ち良く出てこられました」で、ドッと笑いが起こる。初日は「ヒラサワではなく核P-MODELです」と叱られ、二日目は見られなかったが、呼び捨てを指摘されたそうだ。その流れを通しての発言である。

MCでは、楽屋で九年前の核P-MODELのMCを見せられ、初日と二日目はそれを再現したことが語られ、今日は少し趣向を変えると言い、観客が喜びの声を上げると「そんなに大したものではない」と制された。そして始まったのが機材の説明。一日一つということで、今日はマイクスタンドについて。このマイクスタンドはアルミで出来ており、今日会場に来ているハリーさんが作ったもので、今までにも舞台装置の制作でお世話になっているとのこと。

このマイクスタンドについた穴にヒラサワが人差し指中指薬指を突っ込んで遊び、自らアーティストイメージを壊すというお茶目を見せていた。あぁ、わかる。確かに穴が空いていたら指を入れたくなるよな。

そうそう。どこだったかな。「えー」という声が上がる前に、先手を打って「えーじゃない!」と言われた場面もあった。あれはおかしかったなぁ。

楽しいMCも終わり、一時間二十分でライブは終了。さっくりあっさりした感じが実にヒラサワらしく、また、それがちょっと寂しくもあった。

そういえば。今日会場に着いたら、物販のビッグカラー・ウールコートを皆が思い思いの形で着こなしているのが面白かった。あの襟は工夫のし甲斐があるようで、なるほど、そのように着れば良いのか、と思わされることもたびたび。しかし自分も含め、あのコートを着ている人々が集結している様はなかなか怪しかった。こういうのもライブの面白さの一つだね。