HYBRID PHONON (2014年10月13日)

平沢のライブ最終日。とりあえずこれを先に言っておこう。銀髪に関する発言は無し! ゆえにその理由も、地毛かかつらかもわからないままライブは終わった。

とはいえ二回目ともなれば銀髪の平沢も見慣れるもので。もうずっと銀髪だった気さえしてくる。と、言うのは言いすぎか。

今回はびっくりするほど良い番号。百十番台という己にとっては奇跡の数字で、おかげで平沢の目の前、前から三列目からがっつり堪能することが出来た。頭のてっぺんから爪先までしっかり見えるこの贅沢。今まで観たライブの中で一番平沢に近い位置である。目尻の皺まで見えた。しかしその距離から見ても銀髪の正体が何かわからなかったのだ。

ちなみに初日の位置は真ん中の柵数歩前、という位置で、場所柄ゆったりとしたスペースが確保出来た。対して今回は前方スペースゆえ、しっかり圧縮されたが、前日が筋少のライブだったこともあり、押されるだけで楽だなーと思った。折りたたみやダメジャンプ、ヘドバンが発生しないだけ楽に観られる。無論、押し合いへし合い状態で、挙げた腕を仕舞えなくなることもあるのだが。この程度であれば自分にとっては想定内である。

ただライブ慣れしていない人にはきつかったかもしれない。平沢前三列目という位置にも関わらず、周囲には巨大なリュックサックや傘を持ち込んでいる人が少なくなく、多分これは、圧縮状態になることが想定外なのだろうと思われた。彼ら彼女らが心から楽しむことが出来たか、ちょっと気がかりである。

さて、以下はセットリストである。これは公式のTwitterより拝借した。


アンチ・ビストロン
SPEED TUBE
гипноза (Gipnoza)
排時光
それ行け!Halycon
ナース・カフェ
脳動説
王道楽土
アンチモネシア
庭師KING
帆船108
Astro-Ho! Phase-7
Big Brother
Parallel Kozak
フ・ル・ヘッ・ヘッ・ヘッ
Black in White
パレード
KINGDOM
救済の技法

~アンコール~

Town-0 Phase-5
Timelineの東

今回は前方に位置取り出来たこともあり、オープニングからの動きもしっかり目にすることが出来た。ヒラサワとPEVO1号は円錐型の巨大な筒を肩に担ぎ、その筒には銃を思わせる一つの取っ手があり、全体はマーブル模様に塗り込められていた。

そして筒を立てる形で地に置き、中央に鎮座するテスラコイルの両脇に配置される掛け軸、さらにその外側に垂らされた二本の紐を、ヒラサワとPEVO1号が掴んで腰を落として引くと、掛け軸に液体が充填される映像が映され、掛け軸はスクリーンに化ける。そして一曲目がアンチ・ビストロン!

かなりアレンジが効いていて、原曲よりも長く、どこか人を喰ったような印象があった。

二曲目はSPEED TUBE! 今回びっくりしたのは曲の入れ替わりが激しいこと。てっきり、前日ほぼ同じ曲で、曲順だけが入れ替えられるかと思いきや、嬉しい誤算である。聴きたくて聴きたくてたまらなかった「暗黒πドゥアイ」が今日なかったり、「排時光」が今日聴けたり。あぁ、やってくれるなぁ。ありがとうヒラサワ!

「それ行け!Halycon」ではスクリーンで踊り狂うHalyconを楽しみつつ、ヒラサワとPEVO1号の動きも面白かった。アルバムでキーボードソロの箇所、初日はギターで代替されていると思っていたのだが、活躍していたのはテスラコイルであった。

次からはソロの時間。これも初日は気付かなかったが、レーザーハープのレーザーはこれまで鳴りを潜めていて、「それ行け!Halycon」が終わって始めて、グリーンのレーザーがステージと客席を交差する。代わりに掛け軸が沈黙するという仕掛け。視覚的にもこんなに楽しませてくれるのが嬉しい。

ナース・カフェで盛り上がり、脳動説、王道楽土。王道楽土のシャウトはかつてのライブDVDで見たときよりも控えめのように見えた。単に目を伏せていたからそう見えただけかもしれないが。

そうだ! 初日と三日目、別の位置で見て気付いたこと。近くで観た方がヒラサワの地声が聴こえやすく、わかりやすい。初日は真ん中あたりで観ていたため、バックミュージックとヒラサワの声が同化して、まるでCDの音声をそのまま流しているかのように聴こえる箇所もあったのだ。ところが間近で聴くとやはり地声は地声で違いがわかり、あぁ、ヒラサワの声だ!! と嬉しくなったのだ。

アンチモネシアでは筒を持って地面を付く謎のパフォーマンス。今回、足元まで観られたが、やはりあれが何を意味するパフォーマンスなのかはよくわからなかった。

庭師KINGの次は帆船108、Astro-Ho! Phase-7で、聴かせていただきありがとうございます! と心の中でひれ伏した。

Parallel Kozakでの無表情のギタープレイが楽しい。手元がよく見えるのでしっかり凝視しつつ、挟み込まれる耳慣れたフレーズに期待が高まり興奮する。やってくれるか。今日もやってくれるのか。

フ・ル・ヘッ・ヘッ・ヘッだ!

あー、もう。これをこの年でやってくれるってんだから、たまらないなぁ!!

「フ・ル・ヘッ・ヘッ・ヘッ」の後はさらに声が伸びやかになっているように聴こえたのは気のせいだろうか。特に「KINGDOM」の声の広がりが素晴らしく、この会場にいられることを心から感謝した。

本編ラストは「パレード」。「キミの影を食い」「キミの名の下に」の箇所がオリジナルより低い歌い方で、それがまた色気があった。もしかしたら高音が辛い、という理由のアレンジかもしれないが、それでも良し! 歳を重ねつつ、年齢にあわせたアレンジをしつつ、活動を続けてくれることを己は歓迎する。

アンコール一曲目に入る前、特にMCは無くサラリと「Town-0 Phase-5」へ。これも嬉しい! こんなにも曲を入れ替えてくれてありがとう!

最後の最後の曲の前にちょろっとMCが入った。台風で本日帰れなくなった人を挙手させ、「よし」と一言。そしてやや上がる口角。何が「よし!」なのかと思いつつ、すっかり魅了されるのだから困ったものだ。

そのうえでラストは大好きな「Timelineの東」で、多幸感に満ちたままライブが終わり、帰り道己のブーツは雨でびしょぬれになったのだが、そんなことなど物ともしないくらい、楽しい一日だった。

あぁ、濃い三連休だった。



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