2016年10月22日(土) 緑茶カウント:2杯
ドーナツのように手づかみで気軽に食べるつもりで注文したら、皿に乗って出されて、ナイフとフォークまで用意された。そうして、井の字がいくつも連なるデコボコした菓子を目にして、己は緊張を強いられたのである。
ワッフル。……ワッフル。これはどうやって切るのが適切なんだ?
目の前の友人はチョコレートソースがかかったワッフルに対し何の緊張も抱いていないようで、ごく当たり前のようにナイフとフォークで食べている。ワッフル。この既に井の字に区画された食べ物。井の字の線に沿って切れば細切れになりすぎるし、さりとて井の字を四つほど集めたブロックに切り分けたら大きすぎて口に入らないかもしれない。口に入れようとして失敗し、わたわたするのは非常に恥ずかしい。すると井の字の線を無視して切り分けるのがちょうど良いように思えるが、それはそれで美しくないし切りにくい気がする。
何だよ! どうすりゃいいんだよ! この食べ物!!
そもそも己はスパゲティも苦手なのだ。味は好きだが人前で食べるのが苦手なのだ。フォークに麺を巻きつけようとくるくる回しても端の方がいつまでも巻き取れずフォークを上げればぶらぶらするし、ようやく巻けたと思ったら巻きすぎて口に入れづらく途方に暮れる。その点米は良い。あれはとても掴みやすいし運びやすい。楽である。ビバ米。
夜の八時。ふと連絡を受けて待ち合わせをした先のカフェにて、友人は来年子供が生まれることを報告してくれた。また、それを機に転職活動をすることも。友人は小学校からの幼馴染である。今までに他の友人から奥さんの妊娠報告を受けたときもしみじみしたがより一層感慨深い。思い出されるのは小学校当時の姿である。あの少年がついにパパになるんだなぁ。
それほど長い付き合いにも関わらずワッフル如きで緊張するとは如何なものだろうか。自分でも思う。別に緊張する相手じゃないだろうがよ! と。しかし相手が誰であろうが緊張するものはどうしようもない。ワッフルめ。ワッフルめ!
最終的にワッフルは細かく切り刻まれて小さな四角いお菓子の集まりになった。一緒に頼んだカフェラテはごく普通にマグカップに入っていたので飲みやすかった。美味しかった。