未分類0杯, 100曲ライブ, 水戸華之介, 非日常

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昨年の100曲ライブは全公演を通して参戦した自分だが、今年は五公演中三公演の参戦である。叶うならば全て行きたかったが、予定が被ったり何だりで諦めざるを得なかったのである。

そして今日の公演も実はちょっと行くのに迷った。というのも、よりにもよって今日、筋肉少女帯のライブが重なってしまったのである。しかもレア曲満載の! ずっと聴きたかった「ペテン」「鉄道少年の憩」「飼い犬が手を噛むので」をやると言うのである。特に「ペテン」は好きで好きでたまらない曲。ライブの日程が重なってしまったことを知ったとき、己は何度もカレンダーを見つめたものだ。見つめたところで公演日がずれることなど無いのだが、そうしないではいられなかったのである。

しかし。もともと100曲ライブのチケットを先にとっていたこと、そして何より、この回を一番楽しみにしていたため、予定通り自分は今日、公演の行われるライブハウス「七面鳥」に赴くことにした。

もし来年、また100曲ライブが行われるとして、さらに吉田一休回が盛り込まれたとき、チケットの倍率が高まるようなことをここに書いて己の首を絞めるようなことはしたくないが、あえて言わせてもらおう。100曲ライブにおいて一番楽しく、盛り上がり、馬鹿みたいに笑えるのは吉田一休回である!

ほんっとうに楽しかった!

水戸さん曰くこの回は「チャレンジ枠」ということで、「間違ったり止まったりしても、元気で面白ければ成功!」とのこと。このあたり、自分は吉田一休について未だに深く存じ上げず、水戸さんのライブのゲストとしての姿しか観たことが無い。よって、何故演奏技術においてちゃかされるのか、心配されるのか、その由縁を知らないのだが、いかにも先輩後輩のような力関係があることは何となく伺える。そしてちゃかされながらも懐きまくり、いじられると目を細めて大口を開け、満開の笑顔を見せて笑う彼の姿はどこか愛らしい。

吉田一休の楽器はギターとハーモニカ、そしてカズー。まさか水戸さんとのダブルカズーを見せられるとは思いもしなかった。今日のライブは盛り上がる曲、馬鹿みたいな曲が多いセットリストになっているためか、カズーの登場頻度も若干多かった。「D.K.H」のダブルカズーはすごかった。ブビビビブビビビうるっさいのにちゃんと音楽になっているあたりがすごい。それに手拍子をする客も。

曲は屑の「ルック商店街」から始まり、「家のない子に」「無実のためのレインボー」「君を守りたい」「ベッドルーム・ロック」「しあわせになれ」「労働混成曲」など、屑の曲が多めで、アンジーの曲は普段よりも少なかったように感じられた。あぁ、でも「天花粉」「マグマの人よ」「奈々」「カナリア」「ゆきてかえらず」をやったから、少ないってほどでも無かったかな?

屑の曲の演奏を期待していたので、たくさん聴けて嬉しかったなぁ。「君を守りたい」は屑の登場SEで使っていたため、実際に歌うのは今日が初めてとのこと。レアである! 嬉しい!

ところでこの「君を守りたい」、何らかのネタが仕込まれているらしいことに気付いてはいるのだが、未だに何のネタなのかがわからない。今日も水戸さんと一休さんが歌っているとき変な笑いが起きていたので何かしらあるようなのだが、何なんだろうか。わからん。いつか気付きたいものだ。

今日の個人的な目玉は「ゆきてかえらず」である。ギターを爪弾かず、無音の中で水戸さんと一休さんのダブルボーカルにより曲が始まったときは、そのシンプルかつ重厚な存在感に息を呑んだ。そのうえで実感した。吉田一休の声は、とても良い!

去年の100曲ライブで、ゲストが吉田一休である理由を、水戸さんは「コーラスを買って」と言っていたのを思い出す。二人の声の重なりによって、音がどんどん立体的になっていく。これがすこぶる気持ち良い。

オリジナルの「ゆきてかえらず」は本当に疲れきり、心が擦り切れてしまった人の声だが、今日の「ゆきてかえらず」は、疲れきってしまった人の過去と現在に何があり、どうして疲れてしまったのかを正確に理解し、その切なさを見つめているように聴こえた。

「奈々」は自分でもどうしてここまで気に入っているのかわからないのだが、好きで好きでたまらないので、始まった途端テンションがガーッと上がってしまった。そのうえまさかのここでの客いじり!「なーななーななななーなー♪」と歌いながら、水戸さんの指示に従い、右手左手で動きを変えてあわあわしたり、泡踊りのように手をひらひらさせたり、頭上に掲げて元気良く両手を振ったりと、手を振りまくったよ。楽しかったなぁ。

アンコール一曲目の「カナリア」も嬉しかった。吉田一休がハーモニカをくわえ、あの陽気な音色を奏で始めたとき、「これが来たーーーーー!!!!!」と驚きつつもびっくりした。そうだよ! DVD「不死鳥」の吉田一休ゲスト参加バージョンのカナリアが大好きで何度も繰り返し聴いたのに、今の今まで何故か、それをすっかり忘れていた。だから驚いたのだ。自分の聴きたかったものがまだ残っていたことと、それをいきなり聴けたことに!

「屑」とは別の形でも、ゲスト参加という形式でも何でも良いので、今後も、せめて年に一度はこうして水戸さんと吉田一休のコンビを観たいものだとつくづく思わされた、そんな楽しいライブだった。水戸さん曰く、若手の追い上げもあるとのことで、一休さんの「チャレンジ枠」も脅かされつつあるとのことだが、いやいやいやいや。「チャレンジ枠」は是非吉田一休でお願いしたい。どうかそこは固定にしていただきたい。多分来年も自分はこの日を一番楽しみにするのだから。

ところで今日、水戸さんは「七面鳥」の近くにあるライブハウスの前で、変な格好をした女の子達をたくさん見て、「何て読むのかわからないような名前のビジュアル系バンドのライブがあるのだろう」と思ったのだそうだ。ところが一度そこを通り過ぎ、後でまた通りかかったとき、髪を立ち上げ、黒の特攻服を着たおっさんがいて、「ん?」と思ってよく見ると特攻服の胸に「サーチライト」と刺繍がしており、その聞き覚えのある単語で、「何て読むのかわからないようなビジュアル系バンド」ではなく、筋肉少女帯のライブがあることを知ったのだそうだ。ちなみに水戸さんはその特攻服のおっさんについて「多分スタッフだと思うんだけど……」と言っていた。水戸さん、その人は多分スタッフじゃなくてファンですよ。変な格好をした女の子達と同じ。

そして水戸さんは内田さんに、今日筋少もライブがあるんだね、というような内容のメールを送ったところ、「うほほ~い」という返信があったそうである。

あとMCでは、さだまさしがMCのみのCDを何枚も出している話があり、そのMCを水戸さんが「どんなMCかと言うと……宇都宮の餃子の話っていうのがあって」とカバーしてここで披露したら意外と受けてしまったり、いつかの血のしたたるフィレステーキが再登場したり、部分入れ歯が隣の客のトレーに挨拶をしに行ってしまたっりと、大爆笑で大盛り上がりであった。腹から笑えて気持ち良かったなぁ。



未分類0杯, 筋肉少女帯, 非日常

昨日と今日の二日間、筋肉少女帯のライブに行ってきた。去年の十二月以来、三ヶ月ぶりの筋少ライブ。しかも番号が良かったため、二日とも視界は良好、一日目に至ってはおいちゃんを目の前に前から二列目。常においちゃんの全身が見渡せ、降り注ぐ笑顔を目一杯浴びて来た。眩しかった。

この二日は作曲家別の二夜というコンセプトで、一日目はおいちゃんふーみんエディ、二日目はオーケンうっちーという組み合わせ。各々の曲を出し合ったゆえかレア曲合戦のような塩梅で、「詩人オウムの世界」「レティクル座の花園」「レティクル座行超特急」「パブロフの犬」「きらめき」「愛を撃ち殺せ」「最期の遠足」「星の夜のボート」「アメリカン・ショートヘアーの少年」と、惜しみのない出しっぷり! 特に「レティクル座の花園」は最近のマイブームで、聴きながら喜びを感じつつ、桃子のありようの悲しさに目頭が熱くなった。

オーケンも絶好調で、レア曲の歌詞も比較的バッチリ。たまに入りを間違えたり、歌詞が変わるのはご愛嬌だ。安定感が頼もしかった。

二日目は追い出しに「ペテン」がかかり、真っ暗になったステージの前で、下手側の観客が、集団で踊りながら楽しげに暗い歌詞を合唱しており、それはとても多幸感に溢れていて、楽しい二日であったことをより強く実感させる光景だった。

耳鳴りが消えるのが惜しまれる。いつまでも味わっていたかった。楽しかったなぁ。



未分類4杯, 核P-MODEL, 非日常

楽しかった余韻に浸りつつ、自分にとっての核P-MODELのライブは今日で終わってしまったため、若干の寂しさを味わっている。核P-MODELの新譜の制作決定が告知されたときから、今日に至るまでがまるで一連のお祭りのようだった。新譜を聴いて、そうだよこれだよこういうのも聴きたかったんだよ! と大喜びして毎日毎日繰り返し聴き続け、ライブチケットの抽選に申込み、金額に間違えが無いか数度確認して入金し、入金金額は正しかっただろうか、間違えてなかっただろうかとドキドキしながらチケットの発送を待った。そうそう、キーボードマガジンで核P-MODELの特集が組まれる事件もあったなぁ。あの表紙には度肝を抜かれたものだよ。

今日のチケットは百五十番台。似たような規模のライブでは、今まで参戦した中で一番良い番号である。番号を見たとき、ありがとうケイオスユニオン、と心の底から思った。

会場後、迷わず下手前方に立ち位置を決めた。これで上手と下手が交代したら泣くかもしれん、と思いつつ開場を待つ。まぁ、機材の関係もあるだろうし、そんな面倒くさいことは行わないとは思うが。ローディーが楽器をセッティングするのを見て一応安心を得るものの、本人が出てくるまではやはり心配だった。

しかし心配は杞憂に終わる。立ち位置は初日と変わらず下手であった。良かった! そして一曲目も初日と変わらず「崇めよ我はTVなり」! 重々しいイントロと共に幕が開けることとなった。

以下はセットリストである。


崇めよ我はTVなり
ENOLA
アンチ・ビストロン
排時光
巡航プシクラオン
Dr.древние (Dr.Drevniye)
Dμ34=不死
ビストロン
Parallel Kozak
白く巨大で
それ行け!Halycon
109号区の氾濫
гипноза (Gipnoza)
Alarm
Big Brother
Timelineの東

~アンコール~

パラ・ユニフス

曲の順序に変更はあるものの、入れ替え曲は無い様子。と、いうことは今回のライブDVDにはボーナストラックが無いのだろうか。どの日でも良いから、「暗黒πドゥアイ」を入れて欲しかったなぁ。あのシャウトを、あのシャウトを聴きたかったのだよ!

二曲目がまさかの「ENOLA」。曲が始まると同時に、スイッチが入ったかのように観客が跳ね出した。恐らく本日一番盛り上がったのがここである。天を指差して仰け反るわ、スタンドマイクを斜めに倒して歌うわと、ド派手なヒラサワのパフォーマンスに歓声と悲鳴が上がり前方はなかなかの圧縮状態に。上着やコートを着たままの人も大勢いたが、恐らく暑かっただろうなと思う。ただ圧縮状態とはいえ、自分の汗と他人の汗でぐちゃぐちゃになる、というほどでは無いのでまだ快適ではあった。

「アンチ・ビストロン」のあたりだっただろうか。自分は正面からヒラサワを見ていたのだが、紫の光がヒラサワの顔にくっきり影を落として妙な迫力が醸し出されており、何かの首領に見えて若干怖かった。格好良いを通り越して怖かった。

「排時光」では、人の頭の関係でヒラサワの姿が一時全く見えなくなったのだが、歌声はしっかり聴けた。今回は前回よりもヒラサワの地声がよく聴こえたように思う。立ち位置か調整の違いだろうか。何にせよ、嬉しい。

「Parallel Kozak」ではヒラサワとPEVO1号がマイクスタンドから離れ、二人並んで中央寄りに立ち、無表情でギターを弾くというパフォーマンスを見せてくれた。手はしっかり動き観客はしっかり沸いているのに二人はまるで上の空のような顔をしているのが機械じみていて面白い。よく笑わないものだと思う。

そうそう。初日の最初の四曲あたりはオーバーアクションや振り付けのある曲が入ってなかったため、最初はずーっと淡々と無表情でギターを弾きつつ歌っていたのだ。まるで作業のように。昨今のライブはレーザーハープを操る際に動きが生まれるため、淡々とした印象はあまり無かっただけに、棒立ちで真正面のどこかを凝視しながらギターを弾きつつ歌い続ける姿が異様に見えたのだ。変わったのは中盤から。コミカルな振り付けやグラインダーパフォーマンスが挟まれてからは、その後棒立ちに戻っても人間味が感じられるようになった。

対して、今日は二曲目に「ENOLA」が入ったので、「ずーっと棒立ちで機械的で異様」なイメージは抱かなかった。個人的にはあの異様な雰囲気も面白かったので、曲の並び順的には初日の方が好みだ。

「白く巨大で」では、初日と同じく脚立に乗ってグラインダーで培養炉を削りながら歌うのだが、初日は顔には透明ゴーグルのようなものしかつけていなかったが、今日はマスクもしていた。ヒラサワのツイートを見ると、「培養炉削りで金属粉を吸い込んでいる可能性があるゆえにマスクはご容赦を」とあるので、………あぁ、やっぱりあれは体に悪かったんだな………。

培養炉から伸びるマイクをマスクにぴったりくっつけて歌うヒラサワ。発声にあわせてマスクがへこんだり膨らんだりしていて、よくもまぁあの状態で歌えるものだなぁ、と感心した。しかも手にはグラインダーである。

「それ行け!Halycon」ではまた毛糸帽の男が乱入してキーボードを弾いて去っていった。マスク越しに見える顔は若かった。少なくともヒラサワと同年代では無い様子。

この人の存在が次の物語への伏線にならないかなぁ……とつい期待してしまう。最終日には紹介されるだろうか。

「109号区の氾濫」は聴けば聴くほど好きになる。もともと好きだったがライブで聴いてより一層好きになった。しかし何がここまでガツンと来たのかいまいちわからない。何だろう。

「гипноза (Gipnoza)」「Alarm」「Big Brother」は怒涛のようだった。これでもか! これでもか! と殴られたようだ。)」「Alarm」のシャウトは言うまでもなく、格好良かった……。「Big Brother」はライブで聴くと洗脳されそうになる。迫力に負けて。

「Timelineの東」は清涼剤のようだ。盛り上がりつつ、明るく軽やかな曲調でスッキリ気持ち良く終わるので、本編ラストにもってこいだ。爽やかな気分になれるから嬉しい。

そしてアンコールを呼ぶ声。「ヒラサワー!」「核Pさーん!」「核P-MODELー!」と叫ぶ声の中から、「核Pさん! 核Pさん! 核Pさん! 核Pさん!」というコールが手拍子と共に発生した。これ、結構言いづらい。

しばらくして核P-MODELことヒラサワとPEVO1号が登場! 「パラ・ユニフス」を演奏すると、またさくっと退場し、会場が明るくなる。無論ここでこのまま帰るわけが無い。核P-MODELを呼ぶ声が起こり、まるで餌を待つ雛のように会場全体が叫ぶ叫ぶ。

やっと現れたヒラサワが放った言葉は「今日はさん付けで呼ばれたので気持ち良く出てこられました」で、ドッと笑いが起こる。初日は「ヒラサワではなく核P-MODELです」と叱られ、二日目は見られなかったが、呼び捨てを指摘されたそうだ。その流れを通しての発言である。

MCでは、楽屋で九年前の核P-MODELのMCを見せられ、初日と二日目はそれを再現したことが語られ、今日は少し趣向を変えると言い、観客が喜びの声を上げると「そんなに大したものではない」と制された。そして始まったのが機材の説明。一日一つということで、今日はマイクスタンドについて。このマイクスタンドはアルミで出来ており、今日会場に来ているハリーさんが作ったもので、今までにも舞台装置の制作でお世話になっているとのこと。

このマイクスタンドについた穴にヒラサワが人差し指中指薬指を突っ込んで遊び、自らアーティストイメージを壊すというお茶目を見せていた。あぁ、わかる。確かに穴が空いていたら指を入れたくなるよな。

そうそう。どこだったかな。「えー」という声が上がる前に、先手を打って「えーじゃない!」と言われた場面もあった。あれはおかしかったなぁ。

楽しいMCも終わり、一時間二十分でライブは終了。さっくりあっさりした感じが実にヒラサワらしく、また、それがちょっと寂しくもあった。

そういえば。今日会場に着いたら、物販のビッグカラー・ウールコートを皆が思い思いの形で着こなしているのが面白かった。あの襟は工夫のし甲斐があるようで、なるほど、そのように着れば良いのか、と思わされることもたびたび。しかし自分も含め、あのコートを着ている人々が集結している様はなかなか怪しかった。こういうのもライブの面白さの一つだね。



未分類5杯, 核P-MODEL, 非日常

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正直なところ夢にも思わなかったよ。まさか数年前にファンになった自分が核P-MODELのライブをこの目で観られるなんて。まさか、核P-MODELの曲ばかりをたっぷりライブで聴くことが出来るなんて!

四日間の公演のうち自分は初日と三日目を観に行く。無論、全ての日程に参戦したい気持ちは山々だが金銭的な都合と時間的な都合でこの二日間を選択した。そして思った。初日を選んで正解だった、と!

これまでに参戦したヒラサワのライブは「東京異次弦空洞」と「ノモノスとイミューム」の二つ。どちらも初日は抜かして二日目、最終日を選んだ。するとどうしても、どちらもネタバレを見てからの参戦となってしまったのだった。何故なら、ユーストリームで中継されるライブを自宅で見ないという選択肢を持つことが出来なかったからである。

どうしてもユーストリームも見たいなら初日に参戦した方が得策だな、とようやく気付き、その通りにチケットをとって、本日非常に満足した。あの、いつも全身黒尽くめの平沢進が真っ白な衣装で登場し、ヒラサワのトレードマークであるヘッドセットマイクもレーザーハープも無い! 「嫌い」と言い放つギターを常時弾き倒し、スタンドマイクをまるでロックミュージシャンのように引き倒す! さらに、一度引っ込んだかと思ったら脚立を抱えてやってきてそれに上り、中央の培養炉をグラインダーで研削し火花を散らしながら歌うパフォーマンス!

本当にこの人はいつだって人の度肝を抜いてくれるから面白い。白い服を着てギターを弾いたまま歌い続けるヒラサワは、そりゃあ過去の映像では見たことがあるし、スタンドマイクだって東京異次弦空洞で使うのを一度見てはいるが、それでもベースとしての「平沢進」像が確立されているため、意外性が損なわれないのだ。

この日は二百五十番台と、自分にとってはかなり良い番号で、随分と前の方に並ぶことが出来た。まぁ中央に並んでおけば間違いなかろう、と思い、上手と下手を隔てる柵の上手側の中央寄り、即ち柵の真横あたりに立った。しかし、あにはからんや、これが大間違いだったのだ。

入場から開演までの間は、いかにもヒラサワらしい音楽が流れており、これもなかなか気分が盛り上がり、聴いていて楽しかった。隣の人などまだ始まる前だと言うのに既にノリノリで踊っている。あぁ、今日は何が聴けるだろう。前回の核P-MODELのライブでは核P-MODELとP-MODELの曲をやっていたが、今回はどうせなら、核P-MODELをたっぷり聴きたいなぁ、などと考えながら待っていたら落ちる照明。沸き立つ観客。現れる平沢進。何と下手に。

下手に平沢進、上手にPEVO1号が立ち、中央には培養炉。流石に、流石に予想しなかった。中央に誰もいないとは!

さて、ここで曲者なのが柵である。前方スペースには、上手と下手を分ける柵がど真ん中に設置されている。結果、下手に人が殺到することにより、上手側の柵付近が大変な圧縮状態になったのであった。たった一メートル、柵の向こうの下手側は思い切り腕を振り上げられる程度にはスペースの余裕があったようだが、こちらはほとんど身動き出来ない。予想出来なかったとはいえ、こればかりは失敗したと思った。

が、ヒラサワをどうにか見ようとしたせいで首は若干痛かったものの、結構まったり観ることが出来たので良しとしよう。窮屈だったが、常時飛び跳ねたり折りたたみがあったりすることは無かったので比較的楽だったのだ。

以下はセットリストである。



崇めよ我はTVなり
Big Brother
アンチ・ビストロン
гипноза (Gipnoza)
109号区の氾濫
Parallel Kozak
ビストロン
Dμ34不死
Dr.древние (Dr.Drevniye)
巡航プラクシオン
白く巨大で
それ行け!Halycon
排時光
Alarm
ENOLA
Timelineの東

~アンコール~

パラ・ユニフス

途中にMCと言う名のお喋りが入らないため、サクッと終わった印象だった。一曲目は「崇めよ我はTVなり」。TBSが運営するライブハウス「赤坂BLITZ」でこれを一曲目に持ってくるところにヒラサワらしさを感じた。ああ、もう、大好きだ!

「Big Brother」はアレンジされていて、特にイントロのところは、どこか音が可愛くなったような印象を受けた。

「гипноза (Gipnoza)」は意外と早く出てきたな、という印象。ここまではまだ声が本調子でないように感じられた。「109号区の氾濫」から急に乗ってきて、そこからライブらしい声になってきたように感じられた。

今回一番驚いたのは「白く巨大で」のパフォーマンス。「巡航プラクシオン」が終わった後、ヒラサワとPEVO1号が一度奥に引っ込んだ。本編終了にはまだ早い、きっと何かあるだろう、と思いつつステージを見守っていると二人が持ってきたのは脚立。二つの脚立が中央の培養炉を挟むようにセットされ、それに上り、培養炉を中心に向かい合うようにして脚立に座り、透明のゴーグルのような眼鏡をつけ、取り出したのがグラインダー。何と、グラインダーで培養炉をリズミカルに削ることで、「白く巨大で」の「ギュイーン」という音を再現したのである。オレンジの火花が飛び散る演出に、観客からは興奮の声と笑いが漏れた。

このとき、PEVO1号は火花が自分の方に飛ぶようにグラインダーを操っていたのだが、ヒラサワは思いっきりPEVO1号の方に火花を飛ばしまくっていたのが何やら何というか面白かった。PEVO1号は熱くなかったのだろうか……。

歌うだけでなく、脚立の上でギターの演奏も披露し、演奏が終わったらピックをその場にひらっと落とし、またグラインダーで培養炉を削り出す。いったいいつこんなパフォーマンスを思いついたのだろう。

二人が脚立から降りて定位置に戻ると脚立はスタッフにより回収された。だが、ヒラサワはゴーグルをかけたままで次の曲「それ行け!Halycon」へ。もしやこのままずっとゴーグルをかけたまま歌うのだろうかと思っていたら、単に外すのを忘れていたらしい。曲の途中で歌いながら外していた。

よく見えなかったので間違っているかもしれないが、「それ行け!Halycon」のピコピコ音のところは録音したものを流しているようだった。しかし、ソロの部分はどうだろう。ヒラサワが弾くのか、音源を流すのか、本当に誰も来ないのか。誰か登場しないのか。

と思っていたら。毛糸帽を被り、マスクで顔を隠し、黒い服を着た見るからに怪しい男がキーボードを抱えてステージ中央に乱入! 目の前で、きょろっとした目だけを見せながらキーボードソロを弾き、ぴょんと跳ね、弾き終わるとキーボードを抱えて疾風の如く去っていった。

田中さんか!? 田中さんか……? 正直よくわからない。田中さんが来て欲しいという願望があったため、田中さんのような気がしたが、どこか、それにしては若いような気もした。最終日に明らかになるのだろうか。もしあれが元メンバーでも何でもない会場のスタッフだったりしたら面白い。

「排時光」「Alarm」は大好きな曲で聴けて嬉しかったのだが、ちょうどこの曲のとき人の頭の影にヒラサワがすっぽり隠れてしまい、全く見えなかったのが残念だった。

「ENOLA」は意外の一曲。始まった途端会場がわっと盛り上がり、一斉に手を振り出したのが見えた。自分も可能な限りは振りたかったがぎゅうぎゅう詰めで手を上げるのも一苦労。苦しかった。

「Timelineの東」は特に楽しみにしていた曲の一つ。これを聴きたくて聴きたくてたまらなかったのだ。嬉しかったなぁ。

歌い終わるとさくっと退場するヒラサワとPEVO1号。ここで本編が終了し、アンコールへ。最初は「ヒラサワー!」という普通のコールだったのに、いつの間にか「ひっらさわー!ひっらさわー!」という変なコールに変わっていた。あれは何というか、間抜けだった。

アンコールは「パラ・ユニフス」一曲で、その後にまたさくっと退場。ひっらさわコールで呼び出されたヒラサワの最初の一言が「平沢じゃなくて核P-MODELです」だった。大変失礼しました。

そのままMCに入り、PEVO1号の紹介。それと核P-MODELということで、アシュオンと培養炉の話も少しされ、アシュオンを盗んだ毛糸帽の男について触れ、「あの怪しい男を街中で見つけたら通報してくれ」という内容のことを語っていた。また、核P-MODELは九年ぶりとはいえまだ新人という話も。最後は「えーじゃない」「回れ、右。解散」「じゃ!」のフルコースで終了。

楽しかったなぁ。スタンドマイクはマイクの部分が青色に光っており、スタンドの部分は金属の板を二枚並べたような形状をしていて、その板に丸い穴が等間隔で空いていた。すると正面のライトによりスタンドマイクの影が衣装に落ちるも、穴の部分だけ影が作られないため、独特の模様を衣装に描くのだ。PEVO1号と連携した息の合ったパフォーマンスも見事だった。培養炉を中心に線対称に動く姿はコミカルでいて格好良かった。

気になるのは、今日演奏されなかった「暗黒πドゥアイ」がどこかでセットリスト入りするかどうかと言うこと。出来たら三日目に入って欲しいが、どうだろう。どうか!



未分類2杯, 筋肉少女帯, 非日常

自分にとってはこれが今年のライブ収め。毎年恒例、十二月二十三日のいつもよりスペシャルな筋少ライブは今年もサービス満点だった。内田さんが「北極星の二人」を熱唱し、内田・三柴・長谷川三人で、まさかのThunder You Poison Viper! アンコールではエディが一人でステージに現れて「きよしこの夜」を弾き、そこに現れた橘高さんとおいちゃんはサンタをイメージしたアクセサリーを身につけ、手にした袋から飴玉をばら撒く。「一年間良い子にしていたみんなへの筋少からのプレゼントだよ」とは橘高さんの弁。そして最後に現れたオーケンはサンタ帽にサンタ服の、完全なサンタの出で立ち! いつかのリラックマの着ぐるみを彷彿とさせるサービスだ。

終演後にはメンバーそれぞれがピックをばら撒きまくってくれ、あの普段ほとんどピックを投げない内田さんまでもがピックをいくつも投げていたのがまた特別感を煽る。会場の熱気も凄まじく、自分は当初おいちゃんの見えやすい下手側にいたのだが、流れに流され、途中ではオーケン前、その後内田さん前から橘高さん寄りまで移動し、最終的にはオーケン前に落ち着いたのだった。

驚いたのはアンコールで、空から人が降ってきたこと。何か妙な動きを感じるや否や、自分の目の前に靴の裏が見え、何事かと思う間もなく男性が落下した。人に引っかかりながらガサガサと落ちたため勢いは無く、大きな怪我は無いようではあったが、あれは何だったのだろうか。ダイブという感じでは無いように見えた。

と、いう出来事についてTwitterでつぶやいたところ、クラウドサーフの可能性があることを教えていただいた。なるほど、ちょうど自分の目の前が泳ぎきった場所だったと考えれば合点がいく。とはいえ今まで筋少のライブでクラウドサーフをする人を見たことが無かったためびっくりした。

このように見所たくさんの本日のライブだが、個人的に最も印象深かったのは皆でクックロビン音頭を歌ったことであった。

パパンがパン。だ~れが殺したクックロビン~♪

前半のMCで、「オーディエンスにどんな風に盛り上がって欲しいか」という話になったとき、橘高さんが「○○のバンドのように」という話をしたときに出た名前がロビン。確かあるバンドの人物の名前だったと思うが自分はどちらも知らないのですっかり忘却してしまっている。そこにオーケンがオーディエンスを指して、ロビンと言ってもわからない人ばっかりだよ、ということを言い、その後「パパンがパン」と手を打って「だ~れが殺したクックロビン~♪」と手振りつきで皆で歌ったのだ。そこで意外とオーディエンスの方から声が出たことに驚いたのか、オーケンが「皆意外に知ってるね」というようなことを言って笑っていた。

まさか筋少のライブでクックロビン音頭を歌うとは。驚きつつもやけにおかしく感じられて、ライブの後、自分は小声でクックロビン音頭を歌いながら恵比寿の街を歩いたのだった。

さて、以下はおぼろげな記憶の中で書き留めたセットリストである。

ア デイ イン ザ ライフ
暴いておやりよドルバッキー

くるくる少女
バトル野郎~100万人の兄貴
中2病の神ドロシー

サボテンとバントライン
タチムカウ~狂い咲く人間の証明
イワンのばか

(オーケン、オカルトの話をし「宇宙人が来る~怖いよ~」と叫びながら退場)

北極星の二人(内田のラブソング)
戦闘妖精雪風(Thunder You Poison Viper)
少女の王国

サンフランシスコ
カーネーション・リインカーネーション
ツアーファイナル
労働者M

~アンコール~

きよしこの夜 (エディの演奏)
SAN FRANCISCO(エピローグ)
トゥルーロマンス
踊るダメ人間
釈迦

しょっぱなが久しぶりの「ア デイ イン ザ ライフ」! 驚くほど歌詞がメタメタだった!! すごかった。どれだけ元の部分が残っていたのだろう。久しぶりなのに練習しなかったな、オーケン…。

お次はこちらも久しぶり、「暴いておやりよドルバッキー」! 自分の行くライブに限った話かもしれないが、しばらくライブでやっていなかったように感じていたので今回聴けたのは非常に嬉しかった。この曲は本当に内田さんのコーラスが格好良い。

「くるくる少女」では既に苦しくなっており、あまり記憶が無い。「サボテンとバントライン」も久しぶりだった気がする。

「タチムカウ」は今年のDDT両国のイベントで拾い上げられた印象がある。復活から今年に至るまでは演奏されず、この曲を筋少にはまったばかりの浪人時代に毎日毎日繰り返し聴き、まるで自分のテーマソングのようにしていた人間にとっては、またライブで演奏されるようになってとても嬉しい。初めて聴けたときの感慨深さったら無かったものだよ。

今日の驚きの一曲一つ目は「北極星の二人(内田のラブソング)」。最近はオーケンが途中で抜けて、メンバーが二曲ほど歌うのが定番になっているので、どうせならいつか北極星の二人をやって欲しいな、と思っていたら実現したので喜ばしい。内田さんは毛皮の帽子ともこもこしたジャケットを身につけ、マイクを手に熱唱! 持ち前の茶目っ気とサービス精神が爆発しており、曲調も相まってここはいったいどこだろうと錯覚しそうになる空間だった。

そして驚きの二曲目は内田・三柴・長谷川のバンド「Thunder You Poison Viper」で、「戦闘妖精雪風」! まさか筋少のライブでThunder You Poison Viperを聴けるとは思わなかった。いつかの物販でアルバムを買って以来、生で聴きたいと思っていたものの、ちょうどライブが開催されず歯がゆい思いをしていたのだ。そのうえ次回のライブの告知までしてくれたのだから喜びも一入である。

Thunder You Poison Viperは、ピアノとドラムとベースの三つに楽器が絞り込まれているだけに、遠慮無く全員が爆走しているようで、筋少でも充分目立っているドラムとピアノが、とにかく前面に出てくるとこんなことになるのか、と見せ付けられるようだった。迫力である。

サンフランシスコからカーネーション・リインカーネーションにかけてはあまりの圧縮具合に死ぬかと思いつつ、カーネーションのとき、ステージが赤く暗いライトで照らされるのを見て、あぁ、これだこれだと思った。この赤いライトのダークな雰囲気と、「カーネーション・リインカーネーション!!」というシャウトがたまらなく格好良いんだ。

本編ラストで「労働者M」が来たときは「せっかく非日常を楽しんでいるのにこんなところで現実に引き戻さないでくれよオーケン…!!」と思ったが、思いがけずも「働け働け働け~来年も筋肉少女帯はバリバリ働くからよろしくなー!」という内容のことを叫んでくれ、あぁ、労働者Mにはそういう使い方もあるのか……と、変な言い方だが感心した。

アンコールではかなり大きな声で「ロビンコール」が巻き起こったが、これについては特に触れられなかった。最初にステージに現れたのはエディ一人で、ゆっくりと奏で始めた音色は聴いたことがあるようでありながらも見当がつかず、何だろうと思っていたら、よく知っているメロディに転換し、それは「きよしこの夜」だった。

すげえ、すごくクリスマスだ………。

そこに赤と白のケープとリボンをつけた橘高さん、サンタテイストのカチューシャをつけたおいちゃんが登場。二人の登場に興奮するオーディエンスの歓声にエディの演奏がかき消されてしまったのが残念だったが、自分も非常に喜んでいた。何てサービス精神旺盛な人達なんだろう!

SAN FRANCISCO(エピローグ)はアンコールにじっくり聴くのにふさわしかった。高ぶった熱が良い具合にクールダウンするようで気持ち良い。インストだけを演奏する椅子ありのライブとかも、いつか聴いてみたいものだなぁ。

サンタ服を着たオーケンが現れたらもうニコニコするしかない。「筋少ファンにとってクリスマスは辛い日だ!」「一緒に過ごす人もいないし、ライブの後で体がつらい!」なんて言うが、こうして楽しませよう楽しませようとしてくれるんだからなぁ。

最後はド定番、「踊るダメ人間」と「釈迦」で全てのエネルギーを発散して終了。いつもは終演後、ビールを呑む自分が、すっかり疲れて疲れ切って糖分が欲しくなり、ピンクグレープフルーツソーダを飲んだ。

MCでは橘高さんの福袋の話と壁ドンの話が面白かった。毎年恒例、クリスマス限定の橘高さんの福袋は三年目の今年になってようやくついに女性がゲットしたらしい。ところが橘高さん、男性がゲットすることしか想定していなかったため、「男の子と何と話すか」しか考えていなかったそうだ。冗談めかしつつも「女の子が当たっちゃって、俺今結構緊張してる」と話していた。

壁ドンはいったいどんな流れだったか、この流れだったか既に記憶が定かではないが、オーケンが「壁ドンが流行ってるんだよ、知らないの? 知らない人~」と挙手を募り、壁ドンがどんなものか説明。つまり女の子を壁際に押し付け、腕で逃げ場を塞いだうえで口説くという行為である。このとき「男の子が女の子を……男の子と男の子でも良いんだけど、そっちの方が良いんでしょ?」といきなり一部のオーディエンスに振って若干周囲がざわついたが、自分は「またか」と思っていた。

このとき、オーディエンスを一人一人壁ドンするくらいの云々、と何かライブどどれくらい盛り上げるかという比喩で壁ドンの話をしていたのだがこのあたり記憶が曖昧で、覚えているのは「俺を壁ドンしてくれたって良いんだぜ~!」という台詞に「オーケン、タッパあるから現実なかなか出来る人いないだろ…」と思ったことだった。

あと中盤あたりで龍角散の粉が入った缶を取り出したオーケンがそれを口に含み、ゴジラの如く龍角散の霧を三度ほど噴出したおかげでしばらく龍角散独特のにおいが漂っていたのが印象的である。「おじいちゃんのにおいだ……」とオーケンは呟いていた。