日記録0杯, M.S.SProject, 平沢進, 日常, 筋肉少女帯

2017年4月2日(日) 緑茶カウント:0杯

サイト創設十四周年を迎えてアンケートを実施し、いただいた回答を眺める中でふと気付いた。今でこそ日記サイトとして定着しているが、そもそも始まりはイラストの公開を目的にしていたはずで、オリジナルイラストや当時はまっていた漫画の絵の他に趣味で描いていた昆虫のイラストを公開していたが、もしや今は己が昆虫を描いていたことを知らない人の方が多いのではないか? と。

と言うことは。本来メインコンテンツだったものを今公開したら、それだけでエイプリルフールとして成り立つのではないか? 結構びっくりされるんじゃないか?

という思いつきのもと企画を決めた。架空の人物が採集した架空の昆虫を紹介するサイトにしよう、ということで昆虫のモチーフを音楽に決め、誰をどの昆虫にするかを考え、絵に起こし、設定を考え、サイトを作った。架空のサイトの管理人は散歩と音楽が好きな人間ということで「Mr.Walkman」と命名。もちろん携帯音楽プレーヤーが名前の由来である。

思いついたは良いが、間違いなく今までの企画で一番大変だった。昆虫の絵に時間と労力がかかるのである。まずコピー用紙にあれこれデザインを考えつつ昆虫の絵を描き、いったんそれをコピーする。そしてコピーした紙の裏を鉛筆で黒く塗りつぶし、水彩用の紙に乗せて上から線をなぞってトレースする。トレースした線を若干整えたら下塗り。徐々に色を重ねて完成。

企画を思いついたのが二月末。線画が出来たのが三月十日あたりで、以後休日はライブに行く以外はひたすら机に向かって色塗りをする日々が続いた。そうして絵が完成したのが三月三十一日の二十一時。そこから急いで絵をスキャンして、トリミングして、色調補正して原画の色合いに近付け、ダカダカとキーボードを叩いてサイトを作った。流石に日付が回って即公開は出来ず、二時間遅刻したがまぁ頑張った。頑張ったよ……!

あとはそれぞれの絵や設定について語っていこうかな。
ちなみに各画像をクリックすると嘘サイトの該当ページに飛ぶ。よろしければ。




オオヒビワレクワガタオオヒビワレクワガタ(モチーフ:大槻ケンヂ)
獲物をがっつり捕らえてムシャムシャする虫は違うな、ということで、格好良くて強そうな見た目をしているけど主食は樹液なクワガタをチョイス。オーケンの顔面のヒビを描きたかったので、大顎と足でヒビを表現した。格闘観戦が好き、という設定はプロレスや道場見学を趣味としているところから。



ウチダモノカミキリウチダモノカキミリ(モチーフ:内田雄一郎)
内田さんは難しかった。黒い触角は内田さんの髪の毛を表現し、黒の紋はサングラス、背中の紋は内田さんの物販「ウチダモノ」に。「地に響くような低い声で鳴く」設定はベースの音を表した。



タイヨウオイスズメバチタイヨウオイスズメバチ(モチーフ:本城聡章)
おいちゃんも難しかった。おいちゃんと言うと自分はドピンクのスーツのイメージが強いのだが、常にその衣装を着ているわけではないので共通認識にはなりえないのである。悩んだ結果、おいちゃんの衣装に多い原色と黒の組み合わせをチョイス。また、腹部の黒と白の配色はおいちゃんのギターをイメージ。
「タイヨウ」はおいちゃんの太陽のように眩しい笑顔から。



レースシロタテカマキリレースシロタテカマキリ(モチーフ:橘高文彦)
図鑑らしく、上からのショットで統一したかったものの、カマキリを上から描いてもつまらないのでレースシロタテカマキリは横から描いた。
イメージはすぐに湧いたものの、レースを描くのに苦戦。三百円ショップや靴下専門店を回り、網タイツや黒レースの靴下を探し回った挙句、東急ハンズの手芸コーナーで黒レース単体を購入して事なきを得た。



ヒラサワスズメガヒラサワスズメガ(モチーフ:平沢進)
ヒラサワといえば黒尽くめの衣装。とはいえ、ただ真っ黒じゃつまらないな、ということで、進化と変化を続ける彼の様相を表したいと思い、芋虫をチョイス。スズメガにしたのは名前が似ていることと、自分自身がスズメガスキーだから。
「幼形成熟幼虫」の設定は楽曲「幼形成熟BOX」が発想のもと。「MODEL ROOM」「ENOLA」「BIG BROTHER」はそれぞれのアルバムジャケットのデザインをモチーフにしている。「STEALTH MAJOR」が黒味がかった赤なのは、黒では隠れきれない情熱と溢れる魅力を表現した。



シッコクノダテンシモドキシッコクノダテンシモドキ(モチーフ:KIKKUN-MK-II)
漆黒の堕天使的存在ということは、漆黒の堕天使のような存在ということだろう、と解釈。そこでまず、「シッコクノダテンシ」という架空の毒蛾が存在することにして、その擬態をしている設定にした。
翅の色合いはKIKKUN-MK-IIのギターから。黄色の紋はギターのつまみをイメージしている。



ウェイウェイピルピルゼミウェイウェイピルピルゼミ(モチーフ:FB777)
「ぴるぴるちゅーん」という歌声が頭に残っていて、それがいつの間にかセミの鳴き声に変化したのですぐにセミに決定した。黒の紋はサングラス、その下の白は口と十字架をイメージ。また、翅はジャケットのつもりで描いた。



ハンニャアカアリハンニャアカアリ(モチーフ:あろまほっと)
「あろまさんぽ」から、よく歩く昆虫が良いな、ということでアリをチョイス。「あろまさんぽ」で日本全国を旅しているなら巣とは無縁だろう、ということで設定を練った。こういう設定を考えているときが一番楽しい。
般若はあえてうっすら見える程度に留めた。実際にこのアリがいたら何らかの伝承が生まれているかもしれない。



エオエオトンボエオエオトンボ(モチーフ:eoheoh)
告白すると、実はずっと前から「eoheohさんをモチーフにしてトンボを描きたい……」と思っていた。あの人を見るたびにトンボを連想していた。よってここで描けて満足である。
ちなみに今回一番苦労したのがエオエオトンボの翅である。すごく大変だった……。



以上。他にも水戸華之介モチーフの「ミトハナバッタ」、町田康モチーフの「マチダマチゾウムシ」といった構想があったが間に合わなかった。しかし久方ぶりに虫を全力で描けたので楽しかった。また時間を作って虫の絵も描いていきたいものである。

ところで今回の「MR.WALKMANの昆虫図録」で、エイプリルフール企画を始めてから十年目になったようだ。我ながらよく続けているものだ。来年も余裕があればやりたいものだ。


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未分類0杯, 筋肉少女帯, 非日常

いつか遠足三部作をライブで観てみたいものだとぼんやり夢見ていた自分に教えたい。2017年にその夢が叶うよ、と。
そのうえで思う。あぁ、まさか2017年に、猫のテブクロのライブが観られるなんて、と。

完全再現と言うことで、トレードマークの金髪を黒く染めた橘高さん。今では度の合わなくなった円いサングラスをかけた内田さん。白の手袋を指にはめ、神父を彷彿とさせるかつての衣装に身を包んだオーケン。しかし当時そのままではない。内田さんの髪はまっすぐに伸び、オーケンは短くも美しい銀髪だ。橘高さんは炭水化物の制限を自身に課して頑張っている。発売から二十八年の月日が経ち、メンバーは年齢と経験を重ねた。そしてこの会場にはかつてを知る人と、知らない人が集まって皆一様にステージを見つめている。

「猫のテブクロ」はエディの脱退によりツインギターバンドとなった筋肉少女帯のデビュー作とも言える代物で、カバー以外のほとんどを内田さんが作曲した筋少の中でも異色のアルバムである。新たな筋少として活動を進めるうえでの試行錯誤がこの一枚に詰まっていることが感じられ、その試行錯誤を乗り越えた結果が今の筋肉少女帯である。そしてそれを体言するかのように、一曲目から怒涛のメタル「イワンのばか」に始まり、カーネーション・リインカーネーションに繋がる攻めの姿勢!

あぁ、やはり今は1989年ではない、2017年なのだ!! ますます嬉しくなって噛み締めてしまう。

MCの後のブロックでは意外なところで「みんなの歌」と「吉原炎上」。「吉原炎上」がここで聴けたのは嬉しい。最近の曲だがともすれば忘れられているのではないか、と危惧していたところである。これの「女衒も天仰ぐ」ってところの歌い方がたまらなく好きなんだよなぁ。

「吉原炎上」の後、橘高さんがボーカルをとる宣言をし、オーケンがステージからはけていく。とすると、「おわかりいただけただろうか」か「小さな恋のメロディ」かな……と予想を立てつつ見守っていると、予想だにせぬ一曲が始まり歓声と奇声が湧き起こった。

まさかの「俺の罪」である。橘高さんが。あのメタルの橘高さんが、俺の罪!!

しかも! 内田さんパートにて、内田さんが「歌うよ歌うよ~」とアピールしていたら……下手から聴こえる声! 驚くそぶりを見せる内田さんの視線の先には……マイクを握り分厚いボーカルを響かせるおいちゃん!!

これはびっくりした。とてもびっくりした。そして面白かった……。あの「俺の罪」の歌詞を歌う橘高さんは実にキュートであった……ギャップがあるだけに破壊力がすごかった。

ちなみにこの後、「俺の罪」の歌詞が大好きな長谷川さんにオーケンが「大槻内田版と橘高本城版……どっちが……」と問いかけるシーンがあった。長谷川さんは恐らく「どっちが好き?」といった質問が来ることを予想していたのだろう。ところが、来たのは「どっちの方が罪深い?」という質問で、長谷川さんはずっこけるようなそぶりをし、ドラムスティックで上手と下手を指し、橘高さんが喜び、「喜ぶんだ!?」とオーケンが驚いたのであった。

ステージに戻ってきたオーケンは白手袋をはめ、かつての衣装に身を包んでいた。そしてオーケンにより「猫のテブクロ」部分がこれより始まることが宣言されたのである。部分。部分。

まずは「星と黒ネコ」。短いながらも存在感のある一曲だ。
静かなアコースティックギターの調べに息を呑んでいると、持ち出されるは拡声器。

今までに何度となくライブで耳にした「これでいいのだ」は、初めて観る「これでいいのだ」だった。近年タオル回し曲としての役割を担っている「これでいいのだ」。間奏部分ではコールアンドレスポンスでガンガンにボルテージを上げていくのが常である。それは間違いなく楽しいが、「これでいいのだ」という楽曲が持つ物語性が失われてきたことも事実であった。あの冤罪で収監された男が、やるせなさの中で自問自答をし、ようやく「だがしかし」まで辿り着く。

自分はもしかしたら、初めて本当の「これでいいのだ」を観たのかもしれない。間奏で設置されたキーボードを、背を丸めて弾く内田さんの横で詩を読み上げるオーケンの声。それはかつてのライブ映像で観た景色に似ていて、あぁ、これを今観られるのか、と改めて感慨深く思った。嬉しかった。

「星の夜のボート」にじっくりと耳を傾け、待ちわびた遠足三部作! あぁ、これを聴けるなんて、聴けるなんて思わなかったなぁ! 「最期の遠足」を初めてライブで観たのは「どこへでも行ける切手」の初期曲限定ライブだったと思う。しかしあれはDVDに収録されなかったのだ。今改めてこの場で観られるのが実に嬉しい。あの攻撃的なギターの音色とブラックな歌詞の組み合わせがたまらない。

「月とテブクロ」の静かに展開して爆発する感じはこのアルバムの総括としてふさわしい。「黒ネコの爪を折る」の箇所ではオーケンの癖が強く出ていて、そこだけが少し気になった。

しっとり終わったかと思えばここからまた「週替わりの奇跡の神話」「くるくる少女」「釈迦」と続いてぎゅんぎゅん詰めの中盛り上がり、本編ラストは「愛の讃歌」。ここでオーケン、歌いながらオーディエンスの方に手を伸ばして握手をしてくれるのだが……このとき、手を伸ばしたら、指先と指先が触れた。指先と、指先が、触れた。

瞬間、そのわずかな接触から電撃と歓喜が走りぬけ、心臓がBPM180を記録し、恋に落ちる錯覚をしそうになった。嬉しかった。嬉しかった!!

さらにアンコール一曲目はまさかの「詩人オウムの世界」。「猫のテブクロ」完全再現だけでも嬉しいのに、これをやってくれるなんて! この曲の情景描写の美しさがたまらなく好きで、紫の蝶が空を覆い尽くす妖しさに何度魅せられたことだろうか。ここでもしっかり語ってくれてもうありがたいったら。

面白かったのは「犬はワンワンと吠え、猫はニャーニャーと鳴き」の箇所で、「猫はワンワンと吠え」と言い間違えたオーケンが、「あれ?」と一瞬不思議そうな表情を見せ、次に何の動物の名前を出せば良いか迷っていた場面である。結果、猫は二回登場した。

最後はサンフランシスコで締め。MCでは、アルバム一曲続けてやると昔のことを思い出すね、と昔話に花を咲かせたり、不意に声をかけられた内田さんが「アタシ」という一人称を使ったところ、オーケンが「二十年来の幼馴染の一人称が変わる瞬間!」とびっくりして、その後何かにつけては「アタシ」「アタシ」と自ら称してネタにしていた場面もあった。

興味深かったのは橘高さんが金髪にしたのはオーケンの言葉がきっかけだったこと。「橘高君金髪似合うんじゃない?」とオーケンに言われた橘高さんは、当時バンドに入ったばかりだったので、バンドリーダーがそう言うなら、と金髪にしたのだと言う。無論それは要素の一つであり、ずっと金髪にこだわり続けたのには他の思いもあってのことだと思うが、あの橘高さんの美しい金髪はそうして生まれたのか、としみじみしたのも事実である。オーケンがその発言を覚えていないのもまた良いな、と思った。

あぁ、それにしても。この楽しいライブを明後日また観られるなんて。今回はチケットの整理番号が九十番台だったのでかなり前の方に行けたので、次回はちょっと後ろに下がって観てみようか。と言いつつ、また前に突っ込んでしまうかもしれないが。ふふふ。



イワンのばか
カーネーション・リインカーネーション

みんなの歌
吉原炎上

俺の罪(橘高さん・おいちゃんボーカルver)

星と黒ネコ
これでいいのだ
日本印度化計画

星の夜のボート

Picnic at Fire Mountain 〜Dream on James, You’re Winning〜
Go! Go! Go! Hiking Bus 〜Casino Royale〜, 〜The Longest Day〜
最期の遠足

月とテブクロ

週替わりの奇跡の神話
くるくる少女

釈迦
愛の讃歌

~アンコール~
詩人オウムの世界
サンフランシスコ


日記録4杯, 日常, 筋肉少女帯

2017年3月7日(火) 緑茶カウント:4杯

あの瞬間のがっかりの深さ、そして落胆。その後じわじわと滲み出てきたのは悲しみで、こんな残念な思いをすることになるなんて、と暗い気持ちを胸に抱えたのだった。

筋肉少女帯の六本木公演がブルーレイ化される報せを聞いたときは本当に嬉しかった。何てったって、あの日のライブで咽喉の手術を終えたオーケンが完全復活を果たし、絶好調の歌声を聞かせてくれたのだ。声が出るのが嬉しいのか、歌詞のない場面でもシャウトを響かせて、最初から最後まで全て歌いきってくれたときの喜びたるやいかばかりだろう。当時の日記にもその喜びと嬉しさと興奮がありのままに記されていて、発売が待ち遠しいったらなかった。

限定盤の価格は一万八千円。かつて限定盤がなかった頃、ライブDVDを五千円か六千円で買えていたときから比べれば三倍の価格である。豪華特典がついてくるとはいえ高いなと思ったのが正直なところだ。だが、素晴らしいライブであったことを己は知っている。喜んで買おうじゃないか! と意気込んでいた。

意気込んでいたんだがなぁ。

過去形になった瞬間の衝撃たるや。そしてその衝撃の原因がジャケットデザインである。異常なまでの六本木の文字の存在感、意味不明な縁取り。開催地がバンドのロゴよりも目立つものの、その主張の意味がわからない。そして何より、すこぶるダサく、格好悪い。

中身は良いものだ。それはとてもよくわかっている。何てったってこの目で観て体感したライブなのだ。

しかし、己はこれを所有したくない、欲しくない、と思った。

CDというパッケージを買って歌詞カードをめくるのが好きだ。大事にしまいこんで取り出して眺めるのが好きだ。背ラベルも綺麗に保管するし、封入されているチラシについた応募券を切り取るのさえ惜しいと思う。それくらい大事にしているし、大事にしたい。

だから買えない。だって大事にできないから。むしろ放り出してしまいたくなるから。だってこれ、筋少が好きな人を喜ばそうって気持ちが全く感じられないんだぜ。むしろファンなら何でも買うだろと高を括られている気さえする。そう思ってしまうことがまた悲しい。

筋肉少女帯が大好きだ。CDもライブ盤も全部集めたいし大事にしたい。そんな思いを持ちつつも、歯抜けになっても仕方がないか、と諦めざるを得ない失望。だってさ。「二万円払うからこのジャケットを部屋に飾ってくれないか」ともし人に問われたらと考えてみても、「嫌だ」と答える自分がいるんだぜ。それに気付いてしまったら、もう手を出せない。

いつもCDやDVD、ブルーレイの発売日はしっかりメモして記憶して、発売日前日にわくわくしながら店舗に走って買いに行っていたのに、今回は発売日のことをすっかり忘れていて、ツイッターのタイムラインで発売開始されていたことを知った。迷った。中身は良いから、と思った。でも欲しくならなかった。そのことがとても悲しかった。

あぁ、せめて、特別格好良くなくて良いから、ただただ無難なデザインだったらなぁ。



未分類0杯, 筋肉少女帯, 非日常

雨の中、傘も差さずに駆け抜けて辿り着いたるは渋谷円山町LOFT9 Shibuya。息を整える間も惜しく、財布からチケットを取り出しながら中に入れば耳に聴こえるオーケンの歌う愛の賛歌。ぎっしりと敷き詰められた人々の後頭部の並ぶ先で、オーケンが一人ステージでギターの弾き語りをしている。開演から三十分過ぎていた。

再結成後の筋肉少女帯による「ファンクラブ的」イベントの記念すべき第一夜。運よくチケットが当たったものの都合により開演に間に合わず、故に途中からの参加となったことこそ惜しいが、今日来ることが出来て実に嬉しかった。聞くところによると自分が到着する前には昔の写真を公開するコーナーもあったそうだ。そしてその後にオーケン、おいちゃん、ふーみん、うっちーの順で一人ずつステージに立って歌とトークを聴かせてくれ、その時点で自分は入場したのだ。オーケンは愛の賛歌、おいちゃんは今度のツアー「猫のテブクロ」の猫にちなんで「お散歩ネコちゃん若き二人の恋結ぶ」、ふーみんは「僕の歌を総て君にやる」を熱唱し、うっちーはウクレレベースをベンベン爪弾きつつ「ベースで弾き語りは難しい」と語りながら「元祖高木ブー伝説」のさわりを弾き語ったかと思えば、袖から持ち出されるは愛用のパソコン! ボコーダーを駆使してテクノアレンジ版の「星の夜のボート」を聴かせてくれた。

オーケンの「愛の賛歌」は歌と歌の間に絶妙な「間」を入れることでオーディエンスの笑いを誘う。おいちゃんは「猫にちなんで」と話していたのでてっきりドルバッキーが来るかと思いきや始まったのは意外な一曲。これをライブで聴いたことはほとんど無いように思う。嬉しいなぁ。ふーみんは「筋肉少女帯の橘高文彦」に変身してはいなかったが、髪をくるくる巻き、目元にはサングラスがなく、遠目に見てナチュラルな印象で、これも一つのステージ用の姿であるはずなのだが、まるで普段着を見せてもらえているかのような不思議さがあった。

うっちーの演奏が終わった後、ステージにメンバー全員が集合する。並び順はいつもと同じで下手からおいちゃん、オーケン、うっちー、ふーみんだ。しばらく内田さんがテクノアレンジした筋少曲の話題で盛り上がり、「ドアーズらしい」との評を受けた「星の夜のボート」は仮歌の段階では「ドアーズ」というタイトルだったことが橘高さんによって明らかにされた。仮のタイトルが「ドアーズ」だったことを内田さんは覚えていなかったらしく、その眠った記憶があったからこのようなアレンジになったかもしれないと語られた。

また、オーケンが「筋肉少女帯でもこういうの作ってよ」と内田さんにリクエストして話が転がり、内田さんがテクノっぽく作ったデモをもとに、エディと長谷川さんがいつものようにガンガンバリバリドコドコピアノとドラムを入れまくって、結局いつもの筋少に戻ってしまうなんてどうだろう、といった笑い話も起こる。そこからさらに、内田さんが今回作ったテクノアレンジ版にメンバー各々が楽器を入れる話も出て、「じゃあ俺は内田のイワンのばかにギター入れるよ」「それじゃあ僕は、戦え!何を!?人生を!!に歌入れるよ」と橘高さんとオーケンが乗ってきて、アルバムをリリースするまでではないけど、そういったお遊びをファンクラブ的イベントでやるのも良いねという話になった。

そしてファンクラブ的イベントと言えば、ということでプレゼント大会! くじが入った箱にメンバーが手を突っ込み、読み上げられた番号が振られた半券を持つ人がプレゼントをもらえる、という素敵な企画である。まず筋肉少女帯関連の品物として、猫のテブクロ時代の靴下、ステッカー、物販Tシャツなどなど。その後にはメンバーの私物がプレゼント! 橘高さんからは歴代のピックに加えておまけでオーケンのピックが入ったセット、おいちゃんからは長年使った機材、オーケンからはポールスミスのカードケース、うっちーからは買ったときから壊れていたライトのようなもの。オーケンはプレゼントを用意し忘れていて、急遽普段使いのカードケースの中に入れていた診察券などを抜いてプレゼントとして出品してくれたそうだが、それこそいかにも「私物」であるのでファンにはたまらない品である。欲しかった。

そうして楽しくプレゼント大会は終わったが、プレゼントが当たらなかった人にもお土産にメンバーの写真をもらえるという嬉しい告知があり、わーもーありがたいなー嬉しいなーとニコニコしてしまったのであった。

それからしばらくトークが繰り広げられ、最後は歌と演奏で終了。「香菜、頭をよくしてあげよう」「少女の王国」から、「じーさんはいい塩梅」で締めくくり。ライブではいつもメンバーが楽器を置いてマイクを持って歌う「じーさんはいい塩梅」の生演奏はさりげなくレアである。終盤ではテンポアップするアレンジもあって、それがまた格好良かった。また別の機会にも聴きたいなぁ。

「ハイストレンジネス・チケットメンバーズ」はチケットの先行発売を名目にスタートした企画だが、今回のイベントで頻繁に出てきた「ファンクラブ」「ファンクラブ的なもの」という言葉から、もともと「ファンクラブ」というものが意識されていたことが窺い知れた。橘高さん曰く、ファンの希望やリクエストによって、今後システムも催しも企画も変化や発展があるかもしれないし、何もなければ企画そのものがなくなるかもしれないとのこと。まずはチケットの先行販売、そこから手探りで楽しいことを始めていこう、という前向きな姿勢にわくわくした。

いつか本当に「ファンクラブ的なもの」から「ファンクラブ」になったら良いな。そうなるように自分もファンとして関わっていきたい。帰路につきながらふわふわ思った。だってずっと筋少のファンクラブに入りたかったのだ。その願いが叶えられかけていて、叶えられそうで、嬉しい。



未分類6杯, 筋肉少女帯, 非日常

毎年恒例クリスマスイブイブライブ。筋少の楽曲を全身に浴び、多幸感に包まれて息をつく気持ち良さ。オーケンがMCで「変化を求めていない観客」「安定を求めているよね」とニコニコ語っていたように、確かに己はこのライブに大きな変化球を望んではいない。約束されたいつもの楽しさを、期待通りに受け取れることが何より嬉しいのである。オーケンにクリスマスをネタにいじられ、アンコールではおいちゃんとふーみんがトナカイとサンタの装いで現れてお菓子を撒き、終演後に鳴り響くクリスマスソングを背にドリンクカウンターへと向かう。定番曲中心のセットリストは実家に帰って来たかのようなしっくり感があり、かと思えば珍しくも嬉しいレア曲もあって、ただただ純粋に「あぁ、楽しかった」と口元が緩むのである。

そして今夜のセットリストがこちら。何てったって一曲目が「イワンのばか」。そのうえ最後は「サンフランシスコ」で締めだなんて、もうたまらないにも程がある。


イワンのばか
君よ!俺で変われ!

俺の罪
カーネーション・リインカーネーション
時は来た

アウェー イン ザ ライフ
レセプター(受容体)
ロシアンルーレット・マイライフ

ベティー・ブルーって呼んでよね
S5040
SAN FRANCISCO(エピローグ)

人から箱男
混ぜるな危険
ゾロ目
踊るダメ人間
トゥルー・ロマンス

~アンコール~
元祖高木ブー伝説
機械
サンフランシスコ


個人的な目玉は「レセプター(受容体)」「S5040」「SAN FRANCISCO(エピローグ)」「トゥルー・ロマンス」に、「元祖高木ブー伝説」。「S5040」はアルバム発売ツアーでは演奏されず、今回初披露となった曲である。みょんみょんみょんみょん……と怪しげな音が空間に広がり、椅子に座ったオーケンが静かに歌いだす。おいちゃん、オーケン、うっちー、エディ、長谷川さんの五人での編成で珍しく橘高さんがステージにいない。ベースの存在感が一層濃く、どこか得体の知れないところに連れて行かれそうな空気が濃密に漂う。

曲の後半で橘高さんのいない上手にアコースティックギターが設置され、ふらりと青い闇の中に橘高さんが現れる。ギターの前に立ち、じっと微動だにせずギターを爪弾くタイミングを待つ横顔が実に美しかった。

そして静かに曲が終わると、オーケンがぼそりとある一節を呟いた。瞬間、ざわつく会場。椅子を立ったオーケンはステージを去り、空間に響くのはやわらかなギターとピアノの音色。そこに優しく叩かれるドラムが重なり、始まったのは「SAN FRANCISCO(エピローグ)」。

この曲は活動休止前、最後に発売されたベストアルバムの終わりに収録されている。やわらかくあたたかな音色だが、かつてはこの「エピローグ」に心を掻き乱された人もいたことだろう。今これをただ純粋に美しい曲として聴き入ることができるのは実に幸せだ。エピローグがプロローグに繋がってくれて本当に良かった。

また、一回終わると見せかけて、演奏がピタッと止んで無音になった後、ドンッと一斉に曲が再開した演出が実に格好良く、心が痺れた。終わりと見せかけて終わらない。エピローグがエピローグのまま終わらない。

特にテーマとして銘打たれてはいなかったが、「再生」を感じさせられるライブだったと思う。定番曲で固められたセットリストには、「かつての定番曲」もあり、「アウェーインザライフ」「ロシアンルーレット・マイライフ」「元祖高木ブー伝説」は久しくライブで聴いておらず、懐かしさを感じつつ「あぁ、これこれこの感じ」とかつての感覚が蘇る。「カーネーション・リインカーネーション」は輪廻転生を歌い、「トゥルー・ロマンス」では村人に祝福されながら、死んだ男がゾンビとなって恋人のもとに戻ってくる。MCではオーケンが、来年だけではなく、来世も来々世も来々々世も会いましょうと気が遠くなるほど先での再会まで約束してくれた。そして、終わらなかったエピローグ。

一年間、楽しいことや辛いこと、いろいろなことがあっても、ぐるぐる回って回って回って回ってこの12月23日にさえ辿り着ければ、また来年へと向けて歩み出せる。来年もきっと、この日を迎えられるはずと思えるからこそ乗り切れる。その決して言葉に表されていない約束を信じられるからこそ、その約束が果たされたとき心の底から歓喜して、全身が喜びに満ち溢れるのである。

今日のライブは前から二番目で観られたため、広い視界を手に入れることが出来た。場所は内田さんの前で、おいちゃんふーみんが投げたお菓子を取ることは出来なかったものの、ステージから身を乗り出してギターソロを弾く橘高さんの汗の粒がポタリと頬に落ち、力強い臨場感と迫力に圧倒され非常に興奮した。あれは……ドキドキした……。

MCはのほほんとしつつブラックなネタもそこかしこで披露された。特に面白かったのはオーケンが内田さんに、告知の紙を丸めてナイフに見立てて襲い掛かってきてほしい、とステージでいきなり小芝居を要求するシーン。事前の打ち合わせがなく驚く内田さんに、「ごめん、今ここで打ち合わせさせて!」とステージで頼むオーケン。その後オーケンの要求は叶えられ、律儀に襲い掛かる内田さんの一つ一つのアクションに橘高さんがギターで効果音をつけるのが実に漫画的で面白かった。

内田さん関連ではソロの話も面白かった。打ち込みのソロアルバムの発売が決まった内田さん。そのデモをオーケンが楽屋で聴いていたところ、いきなりドアがバーンと開かれ、「こんなのはダメだー!」とラジカセをバーンと開き、プリプリ怒りながらCDを回収していったと言う。内田さんはきちんとした完成品を聴かせたかったため、デモを聴かれて混乱してその行動に出たそうなのだが、オーケンは内田さんに怒られたのは中学ぶりくらいだったらしく、非常に怖かったと語っていた。

「俺の罪」の曲に入る前のMCも印象的だった。「俺の罪」を気に入っている長谷川さん、てっきりオーケンはドラムが大変じゃないから好きなのだろうと思っていたが、長谷川さんは「俺の罪」の歌詞が好きだったとのこと。このことをオーケンが非常に喜んでいて、至るところで「歌詞が良いからね!」と自画自賛しながらおどけていた。

クリスマスの話題から、昔のライブでは盛り上がっているときにキスをしているカップルがいた話に。オーケンがおいちゃんに「そういうお客さんいたよね?」と話を振ると、狼狽するおいちゃん。「米! 米! 米! 米! って盛り上がっているときにちゅーってしてるんだよう」と語るオーケン。日本の米で盛り上がってキスするってすごいな。そして「今日そういうお客さんいますか~」と目の上に手をかざして探す真似をするオーケンとおいちゃん。今日の空間にはいたのだろうか。

エディとのMCも面白かった。最近行われた特撮のライブは開演時間が早く、終演後にサザエさんが見られそうな時間帯だったそうだ。そこでオーケン、ライブ前に番組表をチェックすると「穴子さんのバイオリン」という話が予定されていて、それをMCで披露したら受けたという。エディも気に入り、気になったので終演後にサザエさんを実際に見てみたら、楽しい話かと思いきや暗く悲しい話だったそうで、エディはショックを受けたらしい。そしてサザエさんやムーミンなどのほんわかしたアニメでたまに暗い話が差し込まれるのがすごく嫌だ、と幼少時の思い出を交えつつ力説していた。

開演時、おいちゃん、オーケン、ふーみんが赤い衣装に身を包んでいて、少なからずクリスマスを意識していることが感じられ、嬉しかった。そんな中で内田さんだけが黒い衣装で、さらに真っ黒のフードを頭に被って怪しげな雰囲気。メンバーの中で内田さんが一番クリスマスから遠いところに身を置いているように思う。

何の曲だったか忘れてしまったが、内田さんがモニターに腰掛けながらベースを弾くシーンがあり、それが実に格好良かった。橘高さんもその隣に並んでギターを弾いてくれて嬉しかったなぁ。

アルバムを発売してまだ一年しか経っていないのにオーケンがもう「時は来た」の存在を忘れていたことに笑った。しかし曲中での語りは顕在で、これをクリスマス直前に聴けるってたまらないな、とにやにやしてしまった。時は来た、打ち壊せ、目にもの言わせ! 集まったものの敵の正体がわからず、途方に暮れるカルト達の間抜けさ。煮詰めた恨みと怒りの行く先はいったいどこに向かうのか。大丈夫、それはここで発散・昇華されるのである。

時は来た。また来年も時は来る。再びここに集う日を待ちながらしばし余韻に浸れば良い。そうしたら、ほてほて、ほてほてと歩き出そう。次に向けて。