未分類0杯, のほほん学校, 大槻ケンヂ, 非日常

ライムを落としたコロナビールで咽喉を潤しながら開演の時を待つ。今日のゲストは水戸華之介&3-10Chainの水戸さんに、ニューロティカのあっちゃん、そしてメトロノームの写楽さん。見知った顔ぶれの中に一人だけ混じる若い人。そしてこの写楽さんは本日、これでもかと言うほど先輩ミュージシャンの好き勝手な大暴走に付き合わされるはめになったのだった。

拍手と共にステージに現れたオーケンは、最近特撮のライブを終えたことを話してくれた。特撮は筋少とは違い、ドラマーがMCを途中でぶった切って曲に入るため、伏線を張って張って張って、トークの中盤で盛り上がって、さあ畳むぞと言うところで強制的に曲に入ってしまうことが多いそうだ。しかし今回のライブでオーケンは、これはドラマーのアーリーの優しさではないかと気付いたと言う。伏線が回収できないまま終わり、何の話をしてたのかよくわからないキチガイみたいなオーケンこそが良い! というアーリーの思いではなかろうか! とのことだ。……なるほど!! ……それで良いのか……?

最初のゲストは水戸さんで、水戸さんを招く前にオーケンがふざけて「まさかオーケンにこんな人脈があったのかと皆が驚く人が!」「のほほん学校初の!」と煽りに煽った挙句、普段のほほん学校でゲストを招く際に流れる、通称「のほほん学校のテーマ」もないままふつーにステージに招かれる水戸さん。「入りづらいわ!」と笑いながら苦情を呈していた。

そうしてやってきた水戸さんに間髪入れず内田さんの近況を聞くオーケン。「もう何十年も会っていない」と冗談を交えつつ質問するオーケンに、水戸さんは最近内田さんとテクノユニット「Zun-Doco Machine」を始めたことを語る。そこから内田さんの集中力がすごい、しかし遊びにしか発揮されない、故に水戸さんの曲をテクノに作りかえる作業については、始まりが遊びであったため寝食を忘れて没頭し二十曲作ることができるが、筋少は遊びでないのでその集中力が発揮されないと語られる。そこにオーケンが橘高さんによる内田評を思い出して続ける。「内田は金では動かない、名誉でも動かない、あいつは友情で動くんだ!」と熱い言葉。それに対して水戸さんが「ジャンプだ!」と笑い、オーケンが「ちょっと待ってくださいよ、今うちのメンバーの四分のニがディスられましたよね?」と返し、最終的に橘高さんに「関西ジャンプ」という二つ名がついた。

ちなみにオーケンは金でも名誉でも動かず、ただ一つ「リア充になるため」であれば動くらしい。そのリア充とは「生きている実感」とのことで、それがないと死んだようになってしまうと言う。なるほどとばかりに水戸さんが「働かないと死ぬんだね」と言うと頷くオーケン。「でも働きすぎると体壊すんだね。よくずる休みしてるもんね」と言えば参ったとばかりに笑うオーケン。このポンポンと進む掛け合いがたまらなく面白い。

内田さんの近況の後はオーケンの近況へ。オーケンは最近アートにはまっているとのことで、ライブのリハーサルから本番までの空き時間に渋谷のBunkamuraなどの美術館や博物館に行くと言う。そういった会場で見た衝撃的なアートの写真(写真撮影可)がスクリーンに映し出されて我々観客に共有された。空き缶らしきものを全身に括りつけた人物、タイ米を皮膚全体に生やした人の接写写真、会場一面が数々の布で敷き詰められた観客参加型のアート。確かに衝撃的かつ不可解ではあったが、意味や意図を分離して衝撃的光景のみ切り取って見せるのは、そりゃあ意味不明で面白いものになってしまうよなぁ、とも思った。

この後には高崎のイベント「SLOW TIME MEETING 2017」にオーケンが出演した話に。出演者が何人もいて、一人ひとり順番にステージに立つ形式だったそうなのだが、中川敬氏が出ているときにべろんべろんに酔っ払ったトモフスキー氏が「彼は寂しいに違いない!」と言い出して、ピンク色のキャリーケースをパーカッションとして使い、セッションしようとしてステージに出て行こうとしたという。オーケンはそんな彼を止めようとしたが止めることができず、歌う中川氏の横でピンクのキャリーケースを叩くトモフスキー氏、音が聴こえるようにわざわざキャリーケースにマイクを近づける主催者、そんな彼らをステージ袖から撮影するオーケン、という不思議な構図が出来上がってしまったそうで、その写真が公開された。アート(?)な写真であった。

そうしてわいわいはしゃぎながら招かれた二人目のゲストはニューロティカのあっちゃん。入場するなり始まったのは毛生え薬の話題で、話によるとあっちゃんは毛生え薬を処方してくれる病院に行った結果髪がふさふさになり、最近パーマをかけたそうだ。そこから薬の話で盛り上がり、今話題の芸能人のあれやこれやの話に飛び火し、危ない話で結構盛り上がった。ちょっとハラハラしちゃったぜ。

三人目のゲストはメトロノームの写楽さん。オーケン達とは一回りほど年下で、故にこの三人に囲まれたトークでいったいどうして彼が主導権を握られようか! 写楽さんの出身地やメトロノームが活動休止から復活に至る話を聞こうとするも、お喋り好きのふざけた大人が大笑いしながら話題をあっちに飛ばしこっちに飛ばしと大盛り上がり。面白い。面白いが、当人はものすごく喋りづらかろうなぁと思った。

宴もたけなわとなったところで、オーケン、水戸さん、あっちゃんの三人で松山千春の「長い夜」をカラオケで代わる代わる歌い、誰が一番千春魂を持っているか判定してほしい、と写楽さんに無茶振りをする。そして熱唱する三人の先輩ミュージシャン。それを見つめる写楽さん。そんな写楽さんに「拷問を受けているような顔をしている」と水戸さんによる的確な発言。確かに!!

最後に吉田拓郎の「落葉」を四人でセッション。そこでオーケン、「写楽くんが寂しいと思って!」とやにわに取り出したるは緑のキャリーケース! 即座にケースの近くに設置されるマイク! そして写楽さんがギターを爪弾き、オーケンがキャリーケースをポコポコ叩き、水戸さんとあっちゃんが熱唱するも途中で手が痛くなって叩けなくなるオーケン、キャリーケースの周りに集まり代わる代わるポコポコ叩く水戸さんとあっちゃん。結果、ステージの隅でギターを弾く写楽さんと、その反対側でキャリーケースを囲みながらポコポコバンバンキャリーケースを叩きながら気持ち良さそうに歌う三人のおじさんという構図が出来上がったのであった。

大盛り上がりの中でのほほん学校は終了。演奏終了後に写楽さんは次回のライブの宣伝をして行ったが、その甲斐があったのだろうか。その成果はわからぬが、きっと多くの人が今日写楽さんに対し、オーケンが言ったように母性本能をくすぐられたことだろう。いつかこの逆パターンの構図も見てみたいものである。先輩ミュージシャンに囲まれ無茶振りをされるオーケン。それはもう、オーケンファンなら実にくすぐられることだろう。きっと。



未分類2杯, のほほん学校, 大槻ケンヂ, 非日常

いやあ楽しいひと時だった。オーケンののほほん学校のスペシャル版。ゲストは水戸華之介、和嶋慎治、ゆるキャラの方々、そして飛び入りで向かいのライブハウスでライブを控えているにも関わらず体を張って参加してくれたニューロティカのあっちゃんに、そのあっちゃんの尻に重い蹴りを叩き込んだアクション女優武田梨奈。基本はオーケン、水戸さん、ワジーが三人で、お題に沿ってだらだらとトークをし、思い出したかのように歌を歌うというもの。「ミュージシャンはこういうとき歌を歌えるから便利だよね!」「歌っとけば何と無く仕事したって感じがするからね!」と笑う面々。確かに、トークだけでも十二分に楽しいが、間間に歌が入るとメリハリがついて楽しいなぁ。

スペシャルということで今回の会場はいつものパイプ椅子が並べられたライブハウスではなく、背もたれとクッションのついた椅子がゆったりと並べられたホールである。ホールでのほほん学校に参加したのは今回が初めてだが、思いのほか快適だった。体がすごく楽である。現在進行形で体調を崩しているため、普段よりも体力が落ちていることも関係しているだろうが、背もたれの存在が非常にありがたかった。何せこの十月、外出は必要最低限に抑え、休みの日はひたすらベッドで眠るという日々を過ごしていたのだ。電車を乗り継いで高円寺に向かうだけで息が上がってびっくりした。

会場につき、ホールの中へ足を進めると薄暗闇の中からオーケンの絶叫が聞こえた。見ればステージの上に設置された巨大なスクリーンには花道を歩き堂々と歌うオーケンの映像が流されている。おお、これは何の映像だろう、と見ればDDTの文字。DDTプロレスに筋肉少女帯がゲスト出演したときの映像のようだ。観たことが無い映像を見られてラッキーと思いつつ座席に深々と座り休息を得る。ライブ映像が終わるとオーケンがその歌詞に衝撃を受けたと言う「アイドルばかり聴かないで」のPVが流れ、映像が終わると同時に開演の合図か、筋肉少女帯の「そして人生は続く」が大音量で流れ、マイクを持ったオーケンがステージに現れた。

おお! この歌を歌ってくれるのか! と喜びかけたがすぐに違和感に気付く。オーケンはマイクを持ち、口を動かしつつステージの中央に設置された譜面台をチラチラと確認してはいるが、どう見ても口と歌が合ってない。そのうちわざとマイクを遠ざけたり、変なポーズをとったりしてニコニコしながらふざけ出した。隠す気の無い公然の口パクという名の、本人による余興である。

曲が終わるとゲストが登場。「水戸華之介&3-10Chainの水戸華之介、人間椅子の和嶋慎治!」というオーケンの呼びかけに応じて二人が壇上に姿を現す、がワジーは何故か一輪車を持参。しかも乗ろうと試みてはみたものの、乗れなかったらしくそのまま転がしてやってきた。そして一輪車はまるで楽器の仲間であるかのように、ギターの隣に置かれた。この一輪車の謎は後ほど明かされることになる。

まずは冒頭の口パクの説明へ。開演前に流していたPV「アイドルばかり聴かないで」のアンサーソングは、筋肉少女帯の「そして人生は続く」ではないかとオーケンは考え、よって「アイドルばかり聴かないで」を流した後にこれを歌おうと思ったが、カラオケが無いため曲をそのまま流すことになり、よって口パクをすることになったとのこと。この流れで、口パクは普通に歌うよりも技術が必要となるという話題になる。まぁ、特にオーケンの場合はそうだろうなぁ。口パクだときっちりしっかり歌詞を覚えなくてはならないのだから。「だからねぇ、○○とかはすごいよ!」とあれやこれやの名前が出てきて場内爆笑。あれやこれやの名前は記憶しているが、一応ここでは伏せておこう。

口パクトークの後、今回の「のほほん学校」について説明。前にも書いたが、お題に沿ってトークをしつつ思い出したかのように歌を歌おうというもの。では、お題を見てみましょうとスクリーンを見上げると表示されたのは「飛び入りゲスト」。こんな、今さっきゲストを紹介した直後にいきなり飛び入りゲストが来るのか、と驚いたのが本音である。

ゲストはオーケン原作の映画「ヌイグルマーZ」で「ヌイグルマーZ」役を務めるアクション女優の武田梨奈さん。呼び込み前にいかに武田梨奈さんがすごいか熱弁するオーケン。何と武田梨奈さんをオーケンに紹介したとある映画監督は、いかに武田梨奈さんがすごいかを伝えようとして、狭い会議室の机を端に寄せ、その中央で監督VS武田梨奈でいきなり殺陣を始めた、という衝撃エピソードを披露。そのうえで、武田梨奈さんが監督に実際一発食らわせて勝利したそうだ。

いったいどんな人が来るのだろう、と会場の期待が高まる中、「武田梨奈さーーーーん!」とオーケンが高らかにお招きすると、上手から現れたのは道化のメイクを施した茶髪のおっさん。そのおっさんは全力疾走で上手から下手へと走り去り、呆気にとらせる暇もなく、また全力疾走でステージを横断した。

言うまでもなく武田梨奈さんではない。ニューロティカのあっちゃんだ。

向かいのライブハウスで七時からライブがあるとのことで、飛び入りでのほほん学校に参加してくれたそうだ。おどけたピエロは高らかに倖田來未の物真似をし、水戸さんが腹を抱えながら大笑いしつつ「それ九月に俺のライブでやって受けなかったのにまだやってんの!」と突っ込みを入れていた。自分もまさか十月の終わりにあれを再度見ることになろうとは思っていなかったので驚いた。せいぜいあの数日で消失したネタだったと思いきや、まさか生き残っていたとは。

あっちゃんの後に本物の武田梨奈さんも登場。びっくりするくらい華奢だった。ところが侮る無かれ。空手の熟練者で、曰く「大抵の男には勝てる」とのこと。そして得意技はハイキック。すると突然、「はい」と挙手する人がいた。あっちゃんだ。しかし皆、その挙手の意味が読み取れない。何だろうとオーケン達が促すと、あっちゃんはリアクション芸人のようなことを口にした。

何とハイキックを受けるというのである。ロックミュージシャンとしてデビューして二十九年であるにも関わらず、そこまで体をはるかと驚きを隠せない面々。しかしあっちゃんは穏やかに笑いながら「ここはやっとくとこかと思いまして」と言う。

とはいえ武田さんは本日スカート姿。ハイキックはまずい、ということであっちゃんの尻に蹴りを入れることになった。中腰になり、武田さんに尻を向けるあっちゃん。そんなあっちゃんを見つめるオーケン、水戸さん、ワジー。直後、「ドンッ!!」という低い音が響いた。あっちゃんは本気で痛がった。

「もっとこう、パンッて軽い音がするかと思ったら、ドンッって」と言ったのは水戸さんだったか。「あれが腰に入っていたら骨をやられていたよ」「ライブの前なのにお尻蹴られちゃって…大丈夫?」「良いMCネタが出来て良かったね」と口々に皆が喋る中もあっちゃんは痛そうだった。その後ライブで飛んだり跳ねたりできたのだろうか。

この後だったかな。オーケンが武田梨奈さんについて、彼女はこれからもっと大きくなって、来年には我々の手の届かない存在になるかもしれない、と言う。武田さんは恐縮するがオーケンは続ける。「僕ののほほん学校にお呼びした方の中にもねぇ、その後すごーい人になっちゃってもう近付けないってことがあるからねぇ」といった内容のことを語ると、水戸さんが「そして我々はいつまでも大槻の手のひらから抜け出せない」と自虐して笑いをとり、オーケンがあわあわと慌てていた。

「でもねぇ、そうしてビッグになって、何十年後か、死ぬ間際にふと思い出すんだよ。………そういえば、あのときピエロの尻を蹴ったわ…」って、と未来の武田さんの回想シーンを捏造して場内爆笑。確かに、ピエロの尻を蹴るなんてことは一生に一度、いや、普通に生きていたらまず無い体験だろう。ちなみにあっちゃんの尻は結構硬かったそうである。

武田さんはその後予定があるとのことで、十八時半に退場。あっちゃんはその後、皆にせがまれて「香菜、頭をよくしてあげよう」を歌って退場したが、「それなりに歌えていた」ためオーケンと水戸さんからはブーイングの嵐。どうやらあっちゃん、これまでにも何度も「香菜」を歌っていたのだが、いつまでも全然覚えられずにいて、それが面白かったとのこと。だから「それなりに歌えていた」状態がつまらなかったそうだ。

「せっかく来てくれたのに、お尻を蹴られて、つまらないって言われるなんて!」とあっちゃんの境遇を的確に表すオーケン。ごもっともである。尻は大丈夫だったのだろうか。

飛び入りゲストが去り、次のお題が「笑っていいとも、アンパンマン、あまちゃん」だったが、あまちゃんについては全く触れられなかった。「笑っていいとも」については、オーケンが何度かいいともにゲスト出演した話と、いいとものテレフォンショッキング繋がりで井上陽水と接点が出来た話が語られた。あと、「笑っていいとも」が始まる前に起きたら合格、始まった後に起きたら人間として不合格、という風潮が昔あったという話が語られた。水戸さんはこのところずっと不合格だそうである。

アンパンマンの話が面白かった。アンパンマンを知らないワジーにオーケンと水戸さんがアンパンマンについて説明するのだが、オーケンの語る独自解釈がたっぷり入ったアンパンマンの面白さったら! これをアンパンマンを知らないワジーに聞かせて良いかと思うほど。主題歌の歌詞「何のために生まれて、何をして喜ぶ」がすごいという話から始まり、ドキンちゃんが好きなばいきんまんと、しょくぱんまんが好きなドンキンちゃんが何故か一緒に暮らしている不可思議さについて、ドキンちゃんは今はわがまま放題だが、彼女は「若くて可愛い」以外の取り得が無いので、数年後にばいきんまんと立場が逆転すること、ねむねむおじさんはガンジャを決めている、などなど。たまに水戸さんがオーケンの暴走を軌道修正するように、訂正・修正を挟むのだが、オーケンにかかるとアンパンマンもカニバリズムやガンジャが組み込まれる物語になってしまうのだなぁ。

そういえばどの流れだったか忘れたが、オーケンは黒目のフチが白くなってきたそうで、白内障ではないかと思い眼科にかかったそうだ。結果はどうか。幸い白内障では無かったが、老人性のものだそうで、医者が「老人性と言っても、昔は四十代で老人でしたから」とフォローを入れたそうだ。異常が無いのは喜ばしいが何とも切ない話である。

しかし。白内障の心配は無いが緑内障の気はあるとのことで。オーケンはそれすらもネタにして「格好良くなっちゃう」と笑っていたが、いやはや。気をつけて欲しいものである。

この日歌われたのは「香菜、頭をよくしてあげよう」「あのさぁ」「オンリーユー」「氷の世界」「日本印度化計画」「踊るダメ人間」だったかな。「香菜」はあっちゃんが前半で歌ったが、後半にオーケンもきっちり歌った。「オンリーユー」はオーケンが水戸さんを絶賛し、水戸さんも「じゃあ持ち歌としてもらおうかな」と笑うが、直後これはオーケンの歌ではなくばちかぶりの田口トモロヲの歌だと気付き爆笑、という場面があった。そう、これオーケンが歌いまくっているからオーケンの歌のような気がしてしまっているが、トモロヲさんの歌なんだよ。

あと素晴らしかったのがワジーのポエトリーリーディング。中原中也の「断言はダダイスト」を語るように歌いながら壇上で一人ギターを爪弾いていく。このとき、オーケンと水戸さんはステージから退場し、ワジー一人が残されて、赤いライトに照らされながら朗々と語り歌っていた。この怪しい迫力は今回の一番の目玉と言っても過言では無い。当初、言葉の意味を追おうとしたが、自分はそれを早々に放棄し、ただ声と音の作る迫力の世界にどっぷり沈むことを選んだ。ワジーは「眠ってもいいですよ」というようなことを始める前に口にしたが、あんなものを目の前にして眠れるわけが無いじゃないか。

水戸さんの氷の世界も格好良かった。三人で分担して歌っていたのだが、水戸さんが全部歌う氷の世界もいつか一度聴いてみたい。水戸さんの作る歌詞に自分は大きな魅力を感じているが、同時にその歌声もたまらなく好きで仕方が無いのだ。

歌詞と言えば、追い詰められて書くか否かの話。オーケンとワジーは追い詰められないと書けないタイプで、水戸さんは追い詰められる前に書くタイプとのこと。何でも、アンジー時代にロンドンでレコーディングを行ったとき、せっかくだからロンドンの空気を吸ってから歌詞を書こうと思い、歌詞を書かずにロンドンに行ったものの、ロンドンがあまりに楽しくてはしゃぎすぎて歌詞を全く書けず、大いに焦ったという経験があるからだそうだ。対してワジーは追い詰められて追い詰められて追い詰められると何かのスイッチが入るのか、書けるようになるそうだ。

トークについては、ひどい名前のバンドの話や、昔は馬鹿なバンドがいっぱいた話などが語られ、そうそう忘れてはいけないのがワジーの一輪車の話。ワジーは去年、筋肉少女帯と人間椅子で対バンをしたとき、筋少のステージを見て、大いに感銘を受けたそうだ。格好良いのに、どこか怪しく、それでいてコミカルでサーカス的。とにかくすごく良いと思ったそうで、その要素を取り入れようとして買ったのが「一輪車」。「一輪車に乗りながらギターを弾こうと思ったけど、結局乗れず部屋の片隅に置いてある」とのこと。それに対しオーケンと水戸さんが口々に、せっかくオズフェスで再ブレイクしてるのにそんな要素を取り入れなくても、というような内容のことを言っていた。

最後はゆるキャラが壇上に登場。頭部が巨大なナン、体が女性の「ナン子ちゃん」に、にんにくと猫のキメラ「十和田にんにん」に、長芋の「十和田ねばっち」のお三方を招き、「日本印度化計画」と「踊るダメ人間」を歌う。「踊るダメ人間」の前では、「ダメダメ~パパパヤ~」で手を振る動作と、ダメジャンプのやり方をゆるキャラの三人にオーケンが指導。結果、限りなく人間に近いナン子ちゃんは卒なくこなせたが、にんにんとねばっちはその体の形状から困難を極めたものの、にんにんは新しい萌えポーズ、ねばっちは猪木の物真似という特技を新しく習得した。成り行きで。

オーケンのすすめによって座っていた観客も立ち上がり、アコギに合わせてゆるゆるとダメジャンプ。イベント名にふさわしく、のほほ~んとした空気の中で和やかにイベントは終了。ステージから退場しようとするも、巨大なねばっちが舞台袖の通路につっかえてしまい、後ろの三人が前に進めなくなって苦笑するという場面もご愛嬌。およそ二時間半の楽しいイベントだった。



未分類のほほん学校, 大槻ケンヂ, 非日常

自分は結構なオーケンファンであり、オーケン関連のイベント・ライブにもそれなりに通っている。また、オーケンが影響を受けたという音楽や本にも手を出したことが多々ある。知りたいという欲求もある。しかしだ。それにしてもだ。

率直な感想を申し上げるならば、今回ののほほん学校は、辛かった……。

前半がこの夏の振り返り。後半がオーケンの好きな曲の聴き会で、この後半が長かった。辛かった。文字通り、オーケンの好きな曲を皆で聴いてみようという趣旨の企画なのだが、これ、阿佐ヶ谷ロフトでやる企画じゃないと思うんだぜ。

会場内にぎっしり敷き詰められたパイプ椅子。隣に座ったロリータファッションの女性のスカートが、どんなに小さく畳もうとしても膝にかかる距離である。歩き回れば人の視線を遮ることになるため気軽に立ち上がることも出来ず、無論パイプ椅子ゆえ背もたれは無く、クッションも無いに等しい。そんな環境で二時間オーケンの好きな曲を取り止めも無く聴かされるのである。

辛かった………。

あぁ、自分が好きな音楽はハードロックなんだなぁ、としみじみ実感する二時間だった。何が辛いって、オーケンのかける曲があまり自分の好みに合わないことで、井上陽水と頭脳警察はグッと来たが、後半のファンク責めと、映画「書を捨てよ、町へ出よう」のエンディング曲は本当にしんどかった。しかもほとんどフル尺で流すのである。

企画自体は面白いと思う。ただ、もっと気軽に聴ける環境で聴きたい。それこそライブバーX.Y.Z→Aのような場所が良い。ゆったりとくつろいでお酒と食事を楽しみながら聴ける環境であれば楽しかっただろう。例えそれが自分の興味の無い音楽でも。身じろぎの出来ない環境で次から次へとかかるので拷問のようだったのだ。

ゲストがオーケンと歳の近い人だったらまた違ったかもしれない。今回のゲストは自殺チンパンジーのファンタさん。ミュージックステーションで「釈迦」を聴いてからショックを受けたオーケンファンで、基本的にオーケンの肯定しかしないため、会話が転がらないためトークのおかしみも無く、ツッコミが入ることも無いのである。

前半、UFO関連の番組に出演した話をしたとき、UFO番組におけるUFO否定派の存在意義は、いつまでも喋り続ける肯定派の話を遮るためにあると熱弁していた。納得である。納得であるが、それと同じことが! 今まさに起こっているじゃあないか! 大槻さん!

ここにもしツッコミを入れてくれる水戸さんか橘高さんがいてくれたら良いスパイスを与えてくれたかもしれない。

オーケン自身は楽しそうだったが、聴き会が進むにつれ会場の反応が薄くなってきたためか「たまにはこんなのも良いよね!」とまるで自分に言い聞かせるように何度も言っていた。

ちなみに前半は弾き語りで「タンゴ」「あのさぁ」「オンリーユー」から始まり、その後この夏の振り返りへ。「大槻ケンヂの日本のほほん化計画」という番組の開始が決まった報告と、番組でシールを作ったので今日いらっしゃった皆さんに一枚ずつ差し上げますねという発表が。

これである。これを家の一番目立つところ、もしくは表札近くの「犬」シールの近くに貼るようにというお達しだ。玄関ドアーのど真ん中にでも貼ってやったらイカスかもしれない。

あと、ロッキンジャパンフェスの現状未公開映像も見せてくれた。これは嬉しかったなぁ。オーケンはそのとき体調を崩していたため、顔がむくんでいたことを気にしていたそうだが、血のりのせいかよくわからなかった。ちなみにこのときか、もしくは別のときか記憶が曖昧なのだが、顔がむくんでいること、または最近老けてきたことを気にしていることについて「僕って乙女じゃない?」と言い、「ええ」とファンタさんにあっさり肯定されて動揺していたのだが、乙女発言について正直何の疑問も抱かず、「やっぱりそう思ってるのか」と自分は思った。むしろ。

嬉しかったのはカラオケとはいえ谷山浩子の「おはようございますの帽子屋さん」を歌ってくれたこと。谷山浩子のイベント「猫森集会」にゲスト出演する関係で、最近はカラオケに通い詰めだそうである。そこで谷山浩子の曲を練習しているそうなのだが、何と谷山浩子も筋少の曲を歌うとのこと! しかも「まるで谷山さんのために作られた曲みたい」にバッチリものにしているそうなのだ。谷山浩子が歌う筋肉少女帯!! いったい何を歌うのか想像するだけでわくわくする。個人的にはキュートな曲よりもダークな曲を歌ってもらいたい。あぁ、でも「そして人生は続く」なんてのもはまるだろうなぁ。

橘高さん主催の「ドリームキャッスル」の思い出では、橘高さんは頭が良いから、曲を作るのと同じようにイベントも頭の中できちんと設計図を作って進行する、とリスペクト発言。ただ、遊びを入れるのを許さないから、ちょっとずれたことをやるとバッサリ切られることが何度かあってびっくりした、と笑うオーケン。なるほどなー。だがしかし。オーケンも想定外の橘高さんのボケを拾いきれずにスルーすることが結構あるよな、と思うのだった。

イベントは脅威の三時間越え。そのうち二時間は聴き会だっただろう。流石に尻と背中が痛く、今日ばかりは余韻どうこうなんぞ言ってられんので、早く帰って自分の好きな音楽を聴いて横たわって寝たいと思った。



未分類のほほん学校, 大槻ケンヂ, 非日常

オーケンのトークイベントであるのほほん学校に行ってきた。タイトルは「緊急開催大決定!GWのほ学だよ、行くとこないやつみんな来い!どうなる筋少ニューアルバム『蔦Q』!?」である。長い。

十八時半開場十九時開演、終わったのは二十一時四十分くらいかな。およそ二時間四十分に渡り時に爆笑、時にぐだぐだ、楽しませていただいた。まず夕飯に松屋へ入り牛丼の並を食して新宿ロフトプラスワンへ。前回来たときと同じ、下手側の奥の段差があって見やすい位置を陣取り、ビールを呑みつつトークを聴いた。前回はドリンクカウンターの位置がわからなかったため終演後にドリンクを引き換えたが今回は把握しているので大丈夫だ。休憩中にもう一杯追加で買って、そして家では発泡酒。ビール呑んだ後の発泡酒はどうしても薄く感じてよろしくないな。

開演を待つまでの時間はスクリーンに映されたCDJでの映像やこの間発売された「どこへでも行ける切手」のDVD映像を眺めて時間を潰した。いやーこういう時間潰しを用意してくれるのは親切で良いなぁ、と思ってる間にオーケン登場、しかし! ステージの上手側に何故かトマトジュースらしきものがこぼれているという謎のハプニング! どうやら前の出演者がこぼしたものらしいが、それにしても何故トマトジュースらしきものが。スタッフに要請して謎の液体を拭いてもらいつつ本日一人目のゲスト登場。アウェーインザライフの脚本家楠野一郎さんである。と、いうわけでまずはアウェーインザライフの話から。

アウェーインザライフの稽古をオーケンが見に行った話、その時オーケンが持っていったお土産が、歌を歌って台詞を喋ってと稽古で役者は咽喉がカラカラになるのに何故かパンだった話、しかもオーケンは稽古場見学に行く話をしていたのに楠野さんと待ち合わせ場所で落ち合ったとき、近くにある柔術道場を見に行かないかと誘った話、などがされた。お土産については楠野さんのブログに詳しく書かれていて、ブログで突っ込まれていたこととほぼ同じことをオーケンにぶつけていた。何故パンなのか。何故出演者は二十人近くいるのにパンは七つなのか。ロールケーキやハムのパンはともかく味の無いバターロールを選んだのは何故か、などなど。

パンが七つなのは七人の侍に関係して云々かんぬん、いくつかの映画の話を持ってきて、七という数字が重要であること、二十人のうちの七人こそが選ばれし者であり、みたいな話をしていたが、おかしくて忘れてしまったなぁ。ビール呑んでたし。何かあったらアルコールのせいにすれば良いと思っている面は、まぁ、否定できない。すまん。

柔術道場に見に行かないかと誘った件については、オーケンはギターの他にも何か始めたいと考えているそうで、その何かってのが武道の類らしいのである。それも東洋と西洋両方を一つずつ。昔空手をやっていたんじゃないのかなることを楠野さんに聞かれ、続かなかった的なことをオーケンは語っていた。

あと何だっけ。オーケンは演劇に興味があるのかって話になって、楠野さんに演劇興味ないでしょ、というようなことを言われて、いや、俺は古くから演劇に触れていた、とケラさんの話を持ち出してオーケンは語っていた。そこで有頂天は演奏の合間にコントを挟むバンドだったけど、あるときから急にコントの内容がシュールになって、その瞬間を目にして驚いた記憶があるとオーケンは語っていた。それで有頂天に在籍していたおいちゃんの演じていたシュールなコントを再現し、その再現のひどさから楠野さんに演劇とケラさんと本城さんをコケにしてるでしょ! とつっこまれていた。あと一人ケラさんとおいちゃんの間に名前が挙がっていたのだが、それについては忘れてしまった。オーケンは笑いながら「そんなことはない!」と否定していた。

オーケンの物真似ってのがまた似てなくて、この後にみのすけさんと、どういう流れかは忘れたがX.Y.Z.→Aのニイハラさんの声真似もしていて、ニイハラさんの方はどう聞いてもボースカの声にしか聞こえなかった。というよりオーケンが声の高い人の真似をしようとすると全てボースカになるんだよな。

それでそうだ、アウェーインザライフにからめて「蔦からまるQの惑星」発売の告知もして、ジャケットを発表っつって出されたのがあれだよ。爺さんの顔写真の上に「蔦からまるQの惑星」と書かれた透明の下敷きのようなものを重ねたり、前のオーケンが十歳の頃としまえんで描いてもらった似顔絵に蔦からまるQの惑星、その時オーケンのお父さんも似顔絵を描いてもらってそれにも蔦からまるQの惑星、さらにまたもう一枚似顔絵が増えて、それが何とその人の背後霊まで描いてくれるという似顔絵師、スクリーンに映されたオーケンの似顔絵の後ろにはゴーグルを額につけた謎の海パン男子が! それに蔦からまるQの惑星! 腹を抱えて笑った。最初のお爺さんの写真は誰だか知らなかったのだが、オーケンのお父さんだろうか。わからない。わからないけど笑った。

で、嬉しかったのが、「蔦からまるQの惑星」に収録されている「捨て曲のマリア」の完成版とデモ版を聴かせてもらえたことだ! アルバム発売前に曲を聴けるだけでも嬉しいのにデモ版までとは、大サービスだなぁ、嬉しいなぁ。個人的一番の目玉はこれだった。

まずは完成版の「捨て曲のマリア」を聴いてから、いっちゃん最初の「鼻歌版」へ。楽器の出来ないオーケンが鼻歌で作曲するのはファンの間では有名な話だが、鼻歌状態のものを聴くのはこれが初めてだ。どんなものだろうかと耳をすますと………鼻歌ではなく、熱唱である。しかもノリノリだ。

「ふ~んふふ~んふふふ~ん♪」のようなものを想像していただけにこれには驚いた。さっき聴いたばかりの完成版から曲を抜いたものにほぼ近い。曲が作られてない状態でよくぞここまで歌えるものだと感心するほどだ。いや、歌や曲の作り方をわからない素人が言うのも何であるが。

この鼻歌版はスタジオで録音されたそうで、オーケン曰く、スタジオにはビデオカメラがついているから、大槻ケンヂが入ったぞ、何してるんだろう、とスタジオのスタッフに、楽器も使わずノリノリで足でリズムを取りながら熱唱する姿を見られたかもしれない、とのことだ。鼻歌版にはきちんと手で腿を叩いてリズムをとる音も録音されていた。ちなみに、昔はペンで机か何かを叩いてリズムをとって録音していたのだが、あまりにふざけているとNARASAKIさんに怒られて以来それはやめたらしい。………あまり変わらない気もするが。

この鼻歌版を内田さんに渡して曲を作ってもらったそうで、その第一段階はジャズ風のものだった。音はズンドコ、いや、ズンボコかな。完成版よりもムーディーで、ズンズン響く感じがする。しかしこれ、オーケン的には少し違うらしい。というわけで、TOTOっぽくとイメージを伝えて作り直してもらったのが第二段階、これを元にしてレコーディングをしたそうだ。

この第二段階も聴かせてもらい、その後に再び完成版を聴いたのだが、ほとんど曲調に変わりはないものの完成版の方がずっと筋少らしい。第二段階だと格好良いのだが「らしくない」感じが強すぎるのだ。いったいどこに違いがあるのだろう、と考えるまでもなくわかった。橘高さんのギターの有無の違いだ。橘高さんの「ギュワーン」というギターの音が入るだけで一気に筋少らしくなるのだなぁ、て思ったね。

おいちゃんの持ってくるデモはいつも完成されていて直すところがないそうだ。これは初耳で驚いた。おいちゃんすごいなぁ。

この後かな? 流れは忘れてしまったが、オーケンと水野美紀さんの演技対決ビデオが流された。「稽古を見てたけど、あれくらいなら俺にもできる」と嘘くさく豪語するオーケンと水野さんに同じお題を出してそれぞれに演じてもらうというものである。ちなみに水野さんは九時間の稽古の後このビデオを撮るために演技をしてくれたのだそうだ。しかもその頃にはオーケンは既に帰っていたそうだ。ひでぇ。

お題は「うきうき気分で家を出たら犬の糞を踏んでがっかり」「愛する人を守って銃で蜂の巣にされる」「コンビニで肉まんを買って食べたら腹からエイリアンが出てきた」というもので、加えてもう一つ、オーケンのみ「殺人拳で恩師を殺してしまう」なるお題が出されたが、結果は言わずもがなである、っつーかオーケンはそもそも演技をすることに照れていて、始終ニヤニヤしていたりやたらと変な顔を作っていたりしていた。対して水野さんの迫真の演技はすごい。何というか漢らしい。特に三つ目のお題「コンビニで肉まんを買って食べたら腹からエイリアンが出てきた」では、本当に肉まんを頬張っているように見えるリアリティ、腹に異常を感じながらも尚も肉まんを食べ続ける食い意地、服に手を突っ込んでドーンと突き出しエイリアンが腹を破る様を表現するときの大胆な動き、表情! 格好良かった、すごかった。面白かった、笑えた。

綺麗な人が顔を崩すことを厭わず、すごい表情や動きをしたりするってのは格好良いなぁ、美しいなぁ。大好きだ。

他にもオーケンはコーナーを用意していたそうなのだが、思わぬところ、どこかっつーとパンのくだりなのだが、そこで時間を使ってしまったため全部消化することはできず、また来てくださいねと挨拶をして楠野さんは退場。しばしの休憩を挟み第二部へ。休憩時間中は「どこへでも行ける切手」のハイライトシーン、おサル音頭の映像が流されていた。この隙に温くなったビールを飲み干して新しいビールを買いにドリンクカウンターへゴー。受け取った後段差に気付かずバランスを崩してちょっとビールを零してしまった。人にかけることはなかったが、右の袖を通ってビールが腕を伝っていき、自分の席に戻ってから腕まくりをしてハンカチで拭ったもののベトベトは残ったままで、自業自得ではあるもののこれはちょっと嫌だった。

第二部のゲストは末飛登さん。筋肉少女帯の元マネージャーで、ステーシーあたりの時代にオーケンと「T.P.M」という遊びのフォークバンドを組んだり、いくつかの曲にコーラスを入れたりしていた人だ。自分の中では末飛登さんと言うとまず思い浮かぶのは「お散歩モコちゃん」である。よって、末飛登さんが登場してからしばらく脳内BGMはお散歩モコちゃんだった。ラ~ラララララララ~♪

ということでT.P.Mで地方ライブをしていた頃の映像が流された。「長髪の頃の俺だ!」と昔の自分の映像を見て驚くオーケンが面白い。おっかけてきたファンの女の子達がしょっちゅう画面に映り、彼女達を見てオーケンが「知ってる人だ!」と懐かしそうにしていた。

そして盛り上がったのが妊娠、出産の話である。二ヶ月ほど前に末飛登さんは娘さんが生まれたそうで、そのことに対しオーケンがひどく関心を抱いていた。妊娠すると奥さんはどうなるの? 酸っぱいものや壁土が食べたくなるって本当? マタニティブルーってあった? 子供が生まれると変わる? などなど。オーケンは結婚はしたいとは思わないが子供は欲しいと思うそうで、散々質問した挙句末飛登さんに婚活をしたらどうかと勧められたら困ったような顔をして話題を変えてしまった。そうそう、それで末飛登さんに携帯電話で娘さんの写真を見せてもらったときだ。「あの」ボースカの声になって、「いやーんかわいー、パパでしゅよー」なることを呟いていて末飛登さんに突っ込まれていた。「パパでしゅよ」はだめだよな、そりゃ。わはは。

この後だろうか? 公開ギター練習へ。練習してるけどなかなか上手くならない、ギターを始めてからいかに橘高さんと本城さんがすごいかわかったとオーケンは語った。それで何だっけ。家で練習したときはもっと上手く弾けたのに! なることを言ったら橘高さんに怒られたそうだ。橘高さんがプロデュースしている若いバンドの子も似たようなことを言って怒られたらしい。オーケン……。

曲目は「あのさぁ」「オンリー・ユー」「猫見に行ったら犬がいた」「テレパシー」「Guru」…の他にもあったな、確か。順番もぐちゃぐちゃである。ただ、やたらテンポが速かったり、途中で立ち止まったりはしたものの、結構様になってたよ! すごいよ! 前に見たときよりも上達してるって! などとネットに書くとどんどん話が大きくなってハードルが上がるから困るそうだ。でもなー。本当、弾き語りライブも夢じゃないと思うなー。飽きなければ。

ってな感じで盛りだくさんののほほん学校は終了。最後の方でオーケンより「皆さん連休を持て余してください」なるありがたいお言葉をいただいてロフトプラスワンを後にした。終演後にかかった最初のBGMは「アウェー イン ザ ライフ」。もちろん最後まで聴いてから外に出た。

明後日のレピッシュとの対バンライブも楽しみだ。こんな近くに楽しみが集中しているなんて贅沢だなぁ。

未分類のほほん学校, 大槻ケンヂ

オーケンのトークイベントであるのほほん学校に行ってきた。本日はオーケンの四十四歳の誕生日ということでイベントタイトルも「オーケン44バースデー・スペシャル!」とそのまんまである。初めて参加するのほほん学校が誕生祝いイベントとは縁起が良い、ような気がする。しかも後で知った話だが、本日は父方の祖父の九十五歳の誕生日でもあった。身内の誕生日によそのおっさんの誕生日を祝ってくるなんて妙な話である。じーさん誕生日おめでとう!

整理番号は百五十番台だった。聞いた話によると、満員御礼の場合には椅子が足りなくなって立ち見客もでるそうで、できたらなるべく座って観たいなぁ、つっても百五十番台ってどうなんかなぁ、と、ロフトプラスワンがどのような内部構造をしているのか把握していないため不安がっていたのだが、まぁ、何とかギリギリ座れた。中央ではなく、下手側の奥まったところに設置された丸椅子しか確保できなかったが、そこは少し段が高くなっていたので問題なくステージを見ることができた。

しかし流石誕生日。席は確保できたものの会場内はぎゅうぎゅうづめで、ちょいと出歩くのにも苦労する。ドリンクカウンターでビールを一杯いただきたかったが、人込みでドリンクカウンターがどこにあるのかすらわからない。仕方なくドリンクは終演後にすることにして、大人しく開演を待つことにした。

開演までの待ち時間も、スクリーンでアウェーインザライフの告知映像やボヨヨン伝説、パティーサワディーのPVなどが流されていたので退屈することはなかった。ボヨヨン伝説の開き直りっぷりというか、やけくそ気味な映像はすごいな。そうこうしているうちにバースデーソングのSEが流れオーケンが登場。おお、帽子もターバンもつけていない珍しい姿だ。結構髪が伸びたなぁ。なんて思っていたらオーケンが己の髪を指して「可愛いでしょ?」とあのボースカ用の裏声で言った。この時以外でもたびたびボースカの声になることがあり、オーケンは体を三分の一くらいボースカに乗っ取られかけているのではないかと思った。

最初のゲストはオーケンがネットで集めたバンドメンバーの一人、ファンタさん。ファンタさんはこのたび新しくバンドを結成したそうで、名前はフリークスになる予定だと言う。予定と言うのは、先にこの名前を使っているバンドがあるかどうかまだ調べてないためらしい。彼の相槌や突っ込みでオーケンのトークは進行していった。

まずオーケンは去年禁酒を始めた話をし、直後に禁酒ができなかったことを告白し、開始早々ビールとポテトチップスを注文してファンタさんに「最悪の組み合わせじゃないですか」と突っ込まれていた。で、そっから始まったのが去年のフェスでの話だったかな。カウントダウンジャパンでPerfume、筋少、木村カエラという順番だったのだが、Perfumeが終わった途端客席がガラガラになって心が折れそうになり、橘高さんと励まし合った、でも直前になってお客がやってきてほっとした、という内容。

それからカウントダウンジャパンの映像を、ってことでスクリーンに「おもいっきりDON!」で大西ライオンが筋少のステージに乱入するまでのくだりを撮影したものが映された。これ見られなかったから嬉しかったなぁ。大西ライオンの出オチ後の処理の仕方をスタジオの芸人達に褒められていて笑ってしまった。

そんでお次が大槻ケンヂと絶望少女達のダイジェスト映像の一部。七人もの若い女の子と並んでステージに立つオーケンが映り、これとエディや長谷川さんも含めた六人で並んで歌った「じーさんはいい塩梅」を想像して比較してください、みたいなことを言っていた。

あとはもう順番は忘れてしまったが、大槻ケンヂの生涯を振り返るということでオーケンの幼い頃から現在までの写真が公開されたり、小学生のオーケンがショックを受けたという「ウルトラマンエース」の映像が流されて、これはしばらく観て客もその内容に驚いていた。これが子供向け番組の内容なのかよ…。

オーケンは誕生日だということで自分へのプレゼントにギターを買ったそうで、本日それをお披露目してくれた。二人目のゲストとして登場した特撮のサポートベーシスト高橋竜さんによると「とても良いギター」だそうである。そして高橋さんを先生としてステージで公開練習会が行われ、オーケンは「いとしのエリー」と「あのさぁ」を頑張って弾いたが、美味しいところは高橋さんに全て持っていかれていた。

ギターを練習して十年後弾き語りの旅に出ることがオーケンの目標だそうである。その初ライブは十年後の今日に八王子のライブバーX.Y.Z.→Aでやりたいから今からファンキーさんに予約しておこう、と話していた。果たして実現されるのだろうか。実現したらすげぇなぁ。

途中何度か休憩を挟み、休憩中はスクリーンにPVが流された。最初の休憩でオーケンは「世界中のラブソングが君を」を映してと支持を出そうとしたのだが、「世界中のアレがアレして」とぐちゃぐちゃなタイトルになってしまっていて笑った。自分で名付けた曲なのに! まぁオーケンらしいよなぁ。

あとオーケンのヌンチャク映像なんてのもあったな。オーケンがヌンチャクの技を披露する姿をビデオに撮ったもので、目隠ししてヌンチャクをぶん回す技もあった。しかしこれ、スタッフが音声を撮り忘れたそうで、無音の映像にオーケンが「アチョーッ! アチャーチャチャチャチャチャ! アチョーッ!」とまるで昔の映画みたいに脇から声をあてていて、それが映像と微妙にずれていたり、たまにボースカが混じっていたりして大変おかしかった。

しかもヌンチャク映像はこれだけではない。ヌンチャクがどのように動いているのかわかりやすく見せるために、オーケンがヌンチャクを振るう姿をスローモーションで撮った映像も流された。オーケン曰く、ヌンチャクとは遠心力で振るうものだそうで、鎌ヌンチャクも出来るとの話である。日夜見えない敵を相手にヌンチャクをぶん回して戦っているそうだ。

そして。今回一番面白かったのがゲスト、活弁士山田広野さんによる「世界中のオーケンファンの声を集めた映像」だ。映画「This is it」の映像を無音で流し、そこに出てくる人々に山田さんが創作した声をあて、さらにThis is itの映像の間に筋少やオーケン関連の映像を挟んでさも「オーケンファンをインタビューした映像」らしく仕立てたものである。なんつーか、MAD作品みたいな感じかなぁ。そのままDVDにして売り出してほしいくらい良く出来た作品で腹を抱えて笑った。

どんなもんかと詳しく説明すると、This is itを観てないため正確なところはよくわからないが、多分「マイケルのどこが好き?」みたいなことをインタビュアーが世界中のファンに尋ねて、「私はマイケルの大ファンよ! CDを何枚も持ってるわ!」「俺が一番影響を受けたアーティストさ…。彼なしに俺の人生は語れないね」みたいなことを人々が喋り、彼らの話に合わせて関連するマイケルの映像をまるで回想するような形で挟み込む、といったものだと思う。それを無音にして、「オーケンは最高よ! 彼に勇気をもらったわ!」「僕は印度が好きでね。日本にも印度があると教えてもらったよ」「私は橘高さんのファンなの! 彼に憧れて私も金髪にしたわ!」というようなことを喋らせ、つぎはぎで筋少の映像を挟み込む、ような感じだ。伝わるだろうか。

これのラストがツアーファイナルのPVの出だしのところで、内田さんが乾杯の音頭をとるところを無音にして、「ケンちゃんとは長い付き合いだけど…うんぬんかんぬん、お誕生日おめでとう!」というような、絶対に内田さん本人は言わないようなことを喋らせていてとても面白かった。

この後はカラオケだったかな。ユニコーンの「WAO!」、チャットモンチーの「風吹けば恋」、布施明の「君は薔薇より美しい」をとても気持ち良さそうに歌い、のほほん学校は終了した。ちゃんとした形で歌ったのは「SWEETS」だけだったかな。終演後人が空いたところでようやくドリンクカウンターを発見し、ビールで咽喉を潤して、帰り道にあった果物屋で串刺しのいちごを購入してそいつを食って帰宅した。トーク主体のイベントってのには初めて参加したけど結構面白かったな。ゆったりできて楽しかった。

あ。そういや今日のオーケンの挨拶は「お誕生日ありがとうございます」だった。オーケン、お誕生日おめでとう!