日記録0杯, のほほん学校, 日常

2020年2月11日(火) 緑茶カウント:0杯

あっという間だ。気付けばこのサイトを開設して今日で十八年目、つまり十七周年を迎えたことになる。もう人生の半分以上をこのサイトと共に歩んでいるのだと思うと感慨深い。始めた当初はメモ帳にHTMLをタグ打ちしてFFFTPでアップロードして、だんだんサイトの形式も変わっていき、何年か前にWordpressに移行して、今はサイトと言うよりもブログと表現する方が近しい思いもするものの、「個人サイト」という古めかしい響きが好きで今もその名を使っている。今後も時代の流れに乗ってサイトの形は変わるのだろうが、やっていることは恐らくずっとそんなに変わらないのだろうなぁ。いや、イラストサイトからスタートして日記サイトになるという小さな変遷もあったけどね。

今日はオーケンのお誕生日を記念して開催されたオーケンのトークイベントであるのほほん学校に行ってきた。ゲストはFANTaさん、怒髪天の増子さん、高橋竜さんにタカハシヒョウリさんの四名。お誕生日記念ということで満員御礼のソールドアウト。己の整理番号は後ろの方だったため何とか座ることは出来たものの、終始首を傾けなければならなかったためなかなか大変だった。

しかしイベント中は首の痛みを忘れるほど楽しく面白く、ケラケラ笑って最高の気持ちになれた。増子さんのトークの切れっぷりの素晴らしさったら! イベント中、オーケンはYoutuberを目指すと言い出し、世界に筋肉少女帯を英語で紹介する動画を撮ったことを明かした。結局イベントではその動画は披露されなかったが帰宅したらアップされていた。Hello world! We are Kinnikushoujotai!





弾き語りに英語にインスタグラム。いくつになっても新しいことに意欲的なオーケンはすごいなぁ、と新しいことへの腰が重い己はシンプルに尊敬の念を抱く。こうありたいなぁと思いつつ、己はずっと同じことをやってんだろうなぁとも思っていて、それはそれでまぁいいか、と思いつつ、ちょっとした焦燥感も胸の内に湧くのであった。



未分類0杯, のほほん学校, 非日常

開演から二時間、ずっと大笑いをしていて、笑いすぎて涙ぐむことさえあり、体調を崩しているためにかけていたマスクに涙が垂れて、こんなにも笑い続けられる時間を持てること、そんな人生を歩めることを幸福に思った。

だってさぁ、通常の日常で、二時間ずっと笑い続けるなんてことはそうそう無いことだもの。ケラケラケラケラ、腹を抱えて屈託なく。だから自分は、たびたびそうして楽しんで笑えて喜べる時間を持てることをとても嬉しく思ったんだ。

毎年恒例高円寺フェスでののほほん学校。今回は筋少メンバー全員に、えんそくのぶうくんがゲストに揃い踏みという何とも豪華な内容だ。橘高さんに至っては四年連続出場で、おいちゃんも三回目の登場とのこと。開演前にはえんそくのMVとナゴム時代の筋少の映像、ボーン・イン・うぐいす谷のMVが巨大なスクリーンに映し出され、ふかふかの背もたれに身を委ねながらゆったりとその時が来ることを待っていた。

まずはオーケンが登場して拍手に迎えられながらオープニングトークを始める。曰く、ボーン・イン・うぐいす谷はいける気がする、もしこの曲でヒットしたらもう高円寺を出て代官山生まれ青山育ちを名乗る、ウィキペディアからも高円寺の名前を消す、もちろん来年はこのステージには立たないと言い出し、いきなりの高円寺ディスで笑いをとった。

そしてゲストに迎えられたのは橘高さんとおいちゃんの二名。ここで先日の筋少ライブで起こった機材トラブルの話題が出た。一曲目の「ハリウッドスター」で橘高さんの音が出ないというトラブルがあるも、オーケンは隣の内田さんのベースの音が大きいため気付かない、しかしオーディエンスがざわざわしていて、気付けば橘高さんが舞台袖に引っ込んでいる。続けるか否かと合図を送れば橘高さんはXファンに負けないほど勢いよくバツ印を両手で作り、最後まで終えた後、オーケンの機転により「筋少初のサウンドチェックでーす!」という言葉で笑いをとって、ステージからメンバーがいなくなり、機材の調整後再度一曲目から始められたのだった。

このとき、トラブルがあった一曲目を観ていたにも関わらず、仕切り直しされた「ハリウッドスター」を、さも初めて観るかのように、興奮した目つきで迎え入れたオーディエンスを嬉しく思ったと語られ、何やら照れ臭いような嬉しいような気持ちになった。何となく、信頼関係を明示された気持ちになって。

それからトークが弾み、一度オーケンがはけておいちゃんと橘高さんによる「愛は陽炎」の弾き語りが披露された。これがまた格好良かった……! 橘高さんの全力の歌唱が胸に響いてたまらなかった。

で、この後。オーケンが入場しゲストのぶうくんが呼び出されたとき、オーケンが楽屋のモニターで弾き語りをする二人を観て「全力ですごいなぁ」といったことを口にしたことを橘高さんとおいちゃんにぷりぷりしながら告げ口し、「ステージに立つ人はいつだって全身全霊でしょう!!」とオーケンを詰め、オーケンがたじたじになる場面があって面白かった。

それから高円寺出身のぶうくんとオーケンによるめくるめく楽しいトークが繰り広げられ、オーケンを尊敬しつつ、適度にいじり、その塩梅が実に絶妙なぶうくんの話術に舌を巻き、それはもうげらげら笑った。ぶうくん、今日この日に来てくれてありがとう。ヤバイ客の話は本当にやばくて面白かった。

そして最後のゲストの内田さんが招かれ、オーケン、ぶうくん、内田さんの三人でトーク。このとき、内田さんの発言でオーケンが小説を読めなくなったエピソードが語られた。曰く、「他人の妄想を読んで何が面白いのか」といったことを内田さんに言われ、ガーンとショックを受けたそうである。ただ、内田さんが言うには小説よりも実際に起こったドキュメンタリーに魅力を感じるとのことなので、悪意や他意は無かったと思われる。しかし、オーケンはそのように受け取り、数年小説から遠ざかっていたという。

だがある日、椎名誠の「アド・バード」を手に取った。オーケンはずっと椎名誠のエッセイを大量に読んできていたが、SFには触れていなかったという。ところが「アド・バード」を読んだとき、そこに描かれるめくるめく妄想の世界が、これまでに読んだエッセイから想起されるあらゆる体験が下敷きになっていることが、彼の著作を読み続けてきたオーケンにはわかったそうだ。そして、「たかが他人の妄想」も、膨大な体験があってこそ描かれるものであり、その妄想即ち小説を通して世界にアクセスできると気付いて、また小説を読めるようになったと熱く語っていた。

小説が読めなくなった話を聞いたときはドキドキしたものの、ここに至る話が聴けて良かったなぁと感じた。同時に、些細とも思われる言葉に影響を受け、時間をかけて咀嚼し、自分の中に一つの答えを出せる関係性を羨ましく思った。

オーケンはオケミスに内田さんが来てくれたことを嬉し気に話しつつも、目的がオケミスだけではなく、ゲームのついでであることを追究し、「そうじゃない」もしくは「そうである」答えを引き出そうとする様子を見て、オーケンは本当に内田さんが大好きなんだなと思った。本当に仲直りしてくれて良かったよ……。

そうしてオーケンと内田さんとぶうくんの三人で歌われたのは「最期の遠足」ならぬ「2人と5人」。何と内田さんが空手バカボンバージョンの「2人と5人」で打ち込みを作ったそうで、「今思うとひどい歌詞なんだけど」と言いつつオーケンとぶうくんはしっかり歌ってくれた。声もまさの「2人と5人」の高い声! まさかこれを聴けると思っていなかったからとんだサプライズだ。嬉しかったなぁ。

ちなみにこの曲を内田さんは新幹線で作ったそうで、隣に座るオーケンは「もっと早く作ればいいのに」と思いながら見ていたそうだ。しかし内田さんはちょうど仕事が詰まっていた時期だったそうでこの時にしか作業時間がとれなかったそうである。

最後はおいちゃんと橘高さんもステージに揃い、五人でカラオケを歌って楽しく終わった。夢のような二時間だった。願わくは、うぐいす谷がヒットしても来年もこの高円寺で楽しい時を過ごせますように。あぁ、こんなに笑えるなんて最高だ。



未分類4杯, のほほん学校, 大槻ケンヂ, 非日常

間違いなく、これまで参加したのほほん学校の中で一番楽しく、面白かった。腹を抱えて笑い、こんなに贅沢な時間を過ごしてしまって良いのかと過剰な幸せを抱えきれなくなりそうなほど。
何が楽しいって、終始己の大好きな筋肉少女帯の話題が語られたことだ。

ゲストはネオディスコードのファンタさんにNoGoDの団長、そして内田さんとエディの四名。まずはオーケン一人がステージに現れ、昨今の近況を語り、秋に発売する筋肉少女帯のアルバムの作詞が進んでいることを教えてくれた。

ちなみにこの日は番号もまあまあ良かったのだが、ぽっかり空いた席を見つけたおかげでのほほん学校では初めての前から二列目をゲットした。この視界の良さったら! 間近にオーケンを観ることができて最高に嬉しかった。

ファンタさんが登壇してからはオーケンのネットには書けないあれやこれやな話が披露され大いに盛り上がり、話は代わってファンタさんの近況へと移る。するとNoDoDの団長に誘われて筋少のコピーバンド「筋肉杉並」を結成した話が語られる。曰く、団長とは一回しか会ったことがなく、他のメンバーとの面識も全くない中でバンドが組まれたそうだ。故に今日会うのもほとんど初対面とのことである。

そして団長もステージへと呼ばれ、筋少のコピーバンドを行ううえでの秘訣がオーケンより伝授される。そこへ持ってこられたのはリュックサックで、中から出てきたのは写真の束。オーケンの成長記録を写した写真とのことで、これがスクリーンにでかでかと映し出されるのだが、これがまあ何と言うか。何と言うか面白かった。

裸ん坊でニコニコ笑う赤子のオーケンから始まり、家の前でお兄さんと並ぶ記念写真では既に笑顔が消えて、クラスメイトとの銭湯での入浴写真と学校行事で楽しげに笑う写真などが披露されたかと思えば、ブルマーに網タイツを穿き、顔にうどん粉を塗って袋を被った不審者極まりない姿が映し出され……たと思ったらデビュー後の森の奥に棲む妖精と見紛うような美青年の写真。「何度か入れ替わっているに違いない」と言うオーケンの言葉にうっかり頷きそうになる変貌の記録であった。

その一枚一枚に団長とファンタさんは衝撃を受け、小気味良いツッコミを入れてくれるからたまらない。ゲラゲラ笑いながらステージを観ている自分に反して、オーケンは真面目に闇の深さこそが筋少を作ったと語り、団長が真似できないと降参する。

では、筋少を知るうえで欠かせない、歴史を知るメンバーをお呼びしましょうということでステージに現れたのはうっちーとエディ! 贅沢! 何て贅沢!! エディから筋少在籍時のツアーの過酷さが語られ、うっちーのMacを背負ってツアーを行い、ライブ終了後すぐにシムシティで遊んでいたエピソードが披露された。曰く、シムシティが精神安定剤だったとのことである。

その流れで内田さんの最近の活動にも触れられ、急遽テクノを披露することに! 選ばれたのはエディが自身の代表曲と自認する「サンフランシスコ」。Macとボコーダーがセッティングされ、うっちーによる演奏が始まる。ピコピコサウンドでうっちーによりこれでもかと編曲されたサンフランシスコは……作曲者のエディにも「どこがサンフランシスコか」理解できない昇華具合で、その困惑具合が楽しかった。

また、そこに「別の曲を歌ってみてもいいのではないか」というオーケンの思いつきによりうっちー編曲のサンフランシスコに乗せてイタコLOVEを歌い上げながら踊り、それに合わせて団長も踊り、サンフランシスコなのに! と拗ねたうっちーが無言で曲を止め、そこにオーケンが謝ってまた曲が始まったかと思えばオーケンが別の曲を高らかに歌ってうっちーがブツンと曲を切る、というやりとりが繰り返された。うっちーの電子楽器に興味深げに触れるファンタさんも可愛らしかったなぁ。

そうそう、この前だったかな? 「筋肉杉並」のキーボーディストが怪我で急遽参加出来なくなったことを団長が話すと、エディが「いないの?」と興味深げに声をかけ、もしかしたらエディが参加をしてくれる……!? と思わされる展開が熱かった。団長も興奮していた。実際どうなるのだろうなぁ。

うっちーとエディが退場してから、筋肉杉並の二人が無茶振りで本番前にちょっぴり練習しただけの「日本印度化計画」を披露し、コーラスはオーケンと観客に任されたものの、事前確認したにも関わらずオーケンは見事にコーラスを間違えてタハハとなった。でも、二人とも流石にファンでミュージシャンだなぁ。今日この日にいきなり合わせたとは思えない出来栄えだった。すごいなぁ。

のほほん学校にしては珍しくチェキの販売もあったので喜んで買って帰路に着いた。ゲラゲラ笑って、大好きな筋少の話題を存分に聞けてこれ以上なく楽しいイベントだった。こんなに幸せになってしまって良いのかと疑心暗鬼に陥りそうになるくらいだ。あぁ、幸せだったなぁ。

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未分類0杯, のほほん学校, 大槻ケンヂ, 非日常

大好きな人の誕生日を、同じ空間でお祝いできる幸せを噛み締めた夜である。

今日のオーケンは終始ふにゃふにゃほわほわしていて、仲の良いゲストに囲まれとても楽しそうにトークをしていた。オープニングでは「接吻」「君は薔薇より美しい」をカラオケでニコニコ歌い、エンディングではゲストの増子さんとノブさんと三人で「銃爪」を熱唱、最後はカホンを叩くノブさんとアコースティックギターを抱えるオーケンの二人で「オンリー・ユー」が演奏された。

オーケン曰く、ご機嫌なときでないと歌えない「接吻」「君は薔薇より美しい」を、それはもう楽しそうに歌いきる様子を楽屋で観ていた怒髪天の増子さんが苦笑いをしながらステージに呼ばれるおかしさよ。増子さんからは誕生日プレゼントとして仏具を連想させる素敵な湯呑みと吸水性の良いタオルが、その後に呼ばれた人間椅子のノブさんからは健康を気遣ってフルーティーなお酢の三本セットと入浴剤の大容量セット、そしてマンホールカードにロープウェイカードが贈られた。湯呑みを見て「親父の仏壇にこういうのがあった……」と何とも言えない顔をするオーケンがおかしかった。一番嬉しそうだったのはお酢だったなぁ。マンホールカードとロープウェイカードにも形容しがたい表情をしていた。

今日のトークはとにかく、増子さんがすごかった。回転の速いこと速いこと。ROOTS66の集まりでも増子さんの周りに人が集まってきて、何か面白い話を聞かせてほしいと期待の面持ちで見つめられ、要望に応えてトークをした結果本番前に咽喉が疲れてしまう、というエピソードが披露された直後になるほどこういうことか、とすぐさま納得させられた。オーケンが投げたものにいち早く返し、ツッコミを入れ、話をどんどん展開させていくのである。故に、オーケンと増子さんに挟まれて座るノブさんが「俺が一番得してる!」と高速でラリーが交わされる爆笑トークの渦中で目を輝かせていた。

あまりにも展開が早いので「あぁ、その話もっと詳しく聞きたかった!」と惜しい気持ちになるシーンもあった。例えば仮面ライダーとか、仮面ライダーとか! ちなみに増子さんは友人の子供にオーケンの演じる最上魁星を指して「この人友達なんだよ」と話したら株が上がったそうで、ありがとうとオーケンにお礼を言っていた。

トークは仮想通貨を作る話にエンケンさんの追悼ライブ、ROOTS66の中でオーケンが先輩扱いされる話、未だに学年が重視される話、水際では無敵な吉川晃司や、ダムカードやマンホールカード、カレーの話などなど。これらがすごい勢いで転がり、展開していく迫力のすごさったら。いつも楽しいのほほん学校だが、ここまで終始大笑いし続けたのは初めてかもしれない。

オーケンは完全にリラックスしきっていて、増子さんの鋭いツッコミにたじたじとなりながら、眠い目をこするような仕草で「弱ったなぁ」と言いたげにトホホな表情を見せていた。かと思えば長引くトークをきっちり仕切り、次のコーナーへ移る場面も。イベントは全体で二時間半で、それはもう、最高に楽しい時間だった。

ちなみに今日この日にオーケンが一番食いついた場面は、オーケンがお風呂で愛読している古武術の雑誌「月刊秘伝」を、怒髪天のメンバーも読んでいると増子さんが話した瞬間である。あのとき、本当に文字通り身を乗り出していた。……仲間を求めているのだなぁ。

印象的だったのは最後の「オンリー・ユー」で、「人間っていったい何だろう」の部分を今のオーケンになぞらえて変えていたこと。じーんとするとても良い歌詞だったのに、記憶できなかったのが悔やまれる。

それにしても思うのは、この猫背でやわらかく椅子に座り、足を揃えてほにゃほにゃふわふわしている人と、ドラムセットを背にステージでマイクを握り、眉を吊り上げてシャウトする人が同一人物であることの不思議さである。仮面ライダーの映画で「バイカイザーとなるのだー!!」と悪い顔をして叫んでいた人と同一人物であることの不思議さである。そうなんだよなぁ、同じ人でなんだよなぁ。今日はまたとびきり、滑舌がゆるゆるしていたなぁ。

筋肉少女帯のオーケンも、のほほん学校のオーケンも、アコースティックギターを抱えるオーケンも、原稿用紙に想いや物語を描くオーケンも、「オレにカレーを食わせろ!」とシャウトしているにも関わらずカレーが胃に重くなってしまったオーケンも、細かな文字を読むためにぐっとマンホールカードを目から遠ざけるオーケンも、どのオーケンも大好きだ。その姿を活躍をいつまでも眺め、応援したい。

五十二歳のお誕生日、おめでとうございます。これからもずっと健康で、良いことばかりが起きますように。



未分類0杯, のほほん学校, 筋肉少女帯, 非日常

最高に楽しかった。最初から最後までゲラッゲラ笑った。

台風の吹き荒れる中どうしたものかと思ったが、幸運にも己が外に出たときは雨風が弱まり、普段の雨の日と同じ調子で外に出ることができた。長靴を履いて水溜りも気にせずカポカポ歩く。電車も遅れることなく通常どおり運行し、何一つ不自由することなく目的地に着いた。

今回の会場「座・高円寺2」。一度来たことがあったおかげで、さらっと地図を見るだけで辿り着くことができた。己の席は真ん中寄りのそれなりに前の方で、うわあこんなに広々観られるなんて! と喜びを抱きつつやわらかな椅子に腰を下ろす。十二分に近い。嬉しい。

開演まで、まずは今回のゲストの氣志團・綾小路翔にまつわる映像が流され、次にオーケンが参加しているROOTS66が手がけるエンディング「おそ松さん」の映像、そして新譜「Future!」のMV「エニグマ」が大きなスクリーンに映された。「おそ松さん」は音が先に流れ、映像がスクリーンに出るのが遅れたため、肝腎のオーケンの声が目立つ部分ではスクリーンが白紙だった。このゆるい感じがのほほん学校らしい。

会場が暗くなり、まずオーケン一人が登場。先日のタワレコでのインストアイベントと同じように、「香菜、頭をよくしてあげよう」を弾き語ってくれた。筋少の大ファンで音楽なしでは生きられない人間でありつつ、音楽の技巧については全く詳しくない人間なのだが、それでもオーケンのギターはたまに聴くと上達しているなぁ、すごいなぁ、と感じさせられる。愛あってのものだろう。

そして筋少メンバーが呼び込まれ、楽しいトークタイムに。皆、筋少のライブとは違うゆるっとした格好で、普段着とライブの中間をイメージさせる出で立ちだ。まずは高円寺フェスということで各々の高円寺の思い出や印象が語られる。大阪出身の橘高さんにとって高円寺は「日本らしさ」の象徴に近いイメージがあるらしく、怖い印象もあったそうだ。曰く、都会であれば渋谷もどこも大差ないが、高円寺にはその色が出ていると。故に中央線より南側にしか住んだことがないらしい。そこにオーケン、「そうだよ高円寺は怖いんだよ!」と色々なエピソードを披露してくれた。

ツイートできない危ない話を交えつつ爆笑トークは続く。昔々、インベーダーゲームの大きな筐体を購入したオーケンのために、おいちゃん達がその筐体を自転車に乗せて、えっちらおっちらオーケンの家に運んだことがあったそうだ。また、有頂天の芝居の練習をどこどこでしていたとおいちゃんが高円寺の思い出を語り、空手バカボンでは単純なコントをケラさんを差し置いてオーケンが書いていたが、ある日ケラさんが書いてきた台本があまりにもシュールだった話などが長々と語られ、こんなにケラさんの話ばっかりしてケラさん大好きかよ! と笑いが起こった。

今回せっかく筋少メンバーが揃ったので、とアコースティックで演奏されたのは「3歳の花嫁」と「サイコキラーズ・ラブ」。ケラさんの話題が出たのは「3歳の花嫁」の後だったかな? オーケンがこれを映画にしたいと語りだし、キャストは誰が良いかとメンバーに問う。困惑するメンバー。その中で演出はケラさんかな? と名前が上り、ケラさんだとシュールになっちゃうからなぁ、という話から有頂天や空バカの思い出になったのだ。

ちなみに「3歳の花嫁」での神父のセリフは今回内田さんが担当。橘高さんがちらっと内田さんを見て、セリフへと促している姿が印象的だった。この曲は本当に美しく、今日この場で聴けないかな聴きたいな、と期待していただけに嬉しい。

「サイコキラーズ・ラブ」は新譜発売前から披露されていただけに歌い慣れた印象があった。コーラスが重なっていく気持ちよさと、内田さんにより導かれるハンズクラップの美しさがたまらない。

盛り上がるトークの中、氣志團のボーカル・翔やんこと綾小路翔さんが拍手に迎えられ登場! 己はこの方をきちんと存じ上げないのだが、あえて翔やんと呼ばせていただこう。翔やんはこの日ハーフマラソンを終えてステージまで来てくれたそうで、脚が棒のようになっているそうだ。この雨の中ハーフマラソンを完走するとは……何て根性のある方なんだ……。

あえて言うと、己は氣志團についてほとんど知らない。ただ、筋少ファンであると同時に氣志團ファンである方は少なくないので、その方々の声により、真面目な好青年のイメージを抱いている。また、氣志團が開催するフェス「氣志團万博」のおもてなしは素晴らしく、ケータリングはどれも美味しいらしいことも聞いていた。故に良い人なんだろうなーという漠然としたイメージを抱いていた。

そしてこのステージに登場した翔やんのイメージといえば、当初のものと変わらない好青年そのものであった。

印象的だったのはハーフマラソンを走る中でのエピソード。翔やんは走り続ける中で、完走したもののずっと追い越され続けたという。そして走りながら走馬灯のように巡ったのは自分の過去。真面目で勉強ができたお子さんで、氣志團でデビューしてからはとんとん拍子に進み、早い段階から大きなステージに立つことが出来た。ところが近年、同じ時期にデビューしたバンドがようやく大きなステージに立てるようになったとき、そこにようやく至ったという熱意に敗北感を抱いたという。自分はこれから追い越される人生なのではないかと不安を抱いたそうだ。

その中で語られたのは、自分は千葉出身で東京をまるで敵のように、何が東京かという思いをエネルギーにしてきた。しかし今良い調子の人々は東京の育ちの良い人々で、それこそ「明日食べられるのか」と不安を抱いたことのないような、冷蔵庫を開ければ必ず食べ物が入っていて、一人暮らしをしていても仕送りをもらえるような、そんな安心の中で生きてきた人。そういった人と自分は違うとハーフマラソンを走る中で思ったと言う。

ハングリー精神を持つ地方出身者による東京を敵役としてみなす歌に対し、東京出身のうちださんが「しょうがないじゃん! 東京に住んでいるんだから、他にどこに行けばいいの?」と語ったエピソードも披露された。そんな中でオーケンは、東京のおぼっちゃんの僕と千葉出身の翔やんには他にない共通点がある、仮面ライダーに出演したことだ! と綺麗にまとめた。

ちなみにこの日、仮面ライダーの予告篇もスクリーンに出され、オーケンが仮面ライダーに出演するに至った経緯も語られた。芝居が出来ないことを自覚しているオーケンは断りに断り、「朝早くなんて起きられないですから」とまで言ったが、スタッフに「今はそんなこと全然ないですよ!」と押し切られたものの、撮影のため朝七時四十五分にダム集合、と指定され「ブラック企業か!」と突っ込みが入った。記念にと撮影されたオーケンの自撮りも公開されたが、見事にまぶたがむくんで眠そうだった。

最後オーケンと翔やんが二人で語るコーナーに入る前、筋少メンバーと翔やんが一対一で語る姿を見たいというオーケンによる無茶振りがあり、橘高さん、内田さん、おいちゃんの順でトークが行われた。橘高さんは翔やんの格好にシンパシーを感じる話で、それに対し翔やんは「中学生のときから見ているけど橘高さんは全然変わらない!」と褒めちぎった。

内田さんは「空手バカボンを聴いてくれてたんだね」と話を振り、内田さんの作ったソロの話へ移行しつつ、翔やんから「オーケンさんと内田さんはどこに引かれ合ったのか、どうして長く続いているのか」という質問が発せられる。オーケンと内田さんは「火事」「バッドマン」と答えるもさらに深堀りを要求され、二人して首を傾げるも答えは出ない。そこから翔やんのちょっと切ない話になり、オーケンが翔やんと橘高さんはバンドをファミリーと捉えるタイプ、うっちーとおいちゃんもそれに近い、僕は全然違う、死ぬときは別! と語った。

意外だったのがおいちゃんと翔やんで、SNSで繋がっていること、おいちゃんが韓国に行きたいなと思っていたところで翔やんが韓国に旅行に行ったエピソードが語られた。翔やんは今まで全く映画を観ず、スターウォーズも観たことがないほどだったが、映画を観ようと思い立ち、映画を観続ける中で韓国映画にはまったそうだ。それからおいちゃんと翔やんで韓国の話で盛り上がる盛り上がる。おいちゃんはこの日一番楽しそうで、笑顔がキラキラしていて眩かった。

メンバーが退場してからオーケンと翔やんで前述のハーフマラソンの話になり、最後に「オンリー・ユー」を二人で演奏して締め。ここに記した以外にもたくさんの面白トークがあり、特に氣志團万博運営の裏話、芸能人にオファーするうえでの難しさ、スポンサーとのいろいろな兼ね合いなど、聞き応えのある話が盛りだくさんだった。

帰り道は雨も弱まっていて平和そのもの。あぁ、楽しかったとニコニコしながら帰路に着いた。それにしても、あんなに成功していて、華やかに見える人でも大きな不安を抱えているのだなぁ。そうして当初、自分がイメージしていた以上に「こちら側」に近しい人のように感じる。だからこそ筋少ファンであると同時に氣志團ファンである人も多いのだろう、と思った。

意外なところに意外さを感じた一夜である。どっとはらい。