タワーレコード新宿店でインストアイベントが行われたトーク&ミニライブ。インストアイベントでは大抵、メンバーの頭が見えればラッキーくらいの位置なのだが、今回はがっつりと頭から爪先まで見える位置を確保出来た。ありがとう素敵な整理番号。途中何度かオーケンと目が合った…そんな幻覚が発生して非常に幸せだった。こういうことは思い込んだ方が勝ちかもしれない。
演奏された曲は「香菜、頭をよくしてあげよう」「おわかりいただけただろうか」「別の星の物語り」「LIVE HOUSE」の四曲。最初に香菜が始まったときは「えっ!? おまけのいちにちのイベントなのに!?」と度肝を抜かれたが、オーケンがギターを弾ける曲、ということで選ばれたようだ。
また、今回のイベントで特徴的だったのはメンバー全員が歌ったこと。香菜はオーケンで、おわかりが橘高さん、別の星が内田さん、LIVE HOUSEはもちろんおいちゃん。まさか全員の歌唱を間近で堪能出来るとは思わず、何とも豪華だなぁと非常に満足したのであった。
さて、覚えている内容を簡単にまとめてみようと思う。言い回しや順番が不正確な箇所もあるかもしれないが、大目に見てもらえるとありがたい。
■始まり
「お足元の悪い中ようこそ起こしくださいました」というオーケンの挨拶から始まり、今回のインストアライブこそがツアーファイナル、いや後夜祭だという話に。そして「おまけのいちにち(闘いの日々)」というアルバムに言及。再結成後は、「筋少はこうである」という確認と思い込みから始まり、「THE SHOW MUST GO ON」で完成形が出来た。そしてその後に、こんな変わったアルバムを作れた。それが嬉しい、という内容だった。
■レジテロの夢はビートルズ
「おまけのいちにち(闘いの日々)」に収録されている曲の話へ。「レジテロの夢」の歌詞についてオーケンが解説。序盤の「地獄ない 天国ない 空と今があるだけ」はビートルズの「イマジン」の歌詞の和訳から来ている。だから「ジョン・レノンでさえない」という言葉がある。ただ、筋少を聴く人はビートルズを聴く人が少なそうだからここで説明してみました、とオーケン。
■「香菜、頭をよくしてあげよう」演奏コーナー
オーケンがアコギを弾き、メンバーがオーケンのアコギに合わせて演奏……するのだが、何故かメンバー全員がオーケンを凝視していて、どこか戸惑っている空気が感じられる。そして探り探りのような危うさ。何だろう? と思ったら演奏後に判明。オーケンはこの曲を、人間椅子のワジーをはじめ、いろいろなミュージシャンとアコギで共演してきたのですっかり忘れていたそうなのだが、筋少メンバーと演奏したことは一度も無かったそうなのだ。まさかこの曲をアコギでどのように弾くか筋少メンバーがわからないとは夢にも思わなかったらしい。「ここでブレイクがくるなんて思わなかったよ!」と橘高さんが笑いながら抗議していた。というか、一度もメンバーと合わせずに本番に臨んだのか! すごいな!
■「おわかりいただけただろうか」演奏コーナー
橘高さんボーカルの力強い「おわかりいただけただろうか」。ここでオーケン、ギターの弦を木製の洗濯ばさみのようなもので挟み、さらに音が出ないようにしてほしいとスタッフに指示。このあたり、細かいところはおいちゃんが指示していた。ここから先はギターを持ちつつのエアギターで好き勝手にやるそうな。その件について橘高さん、ついこの間のライブのレポートがネットで公開されていたのだが、そのレポートに掲載されている写真がまさにギターを持ちつつエアギターのオーケンで、その写真だけ見るとものすごくギターが上手そうに見えることに言及。オーケン「良い写真を選んでくれましたね!」橘高さん「あれはずるい! 滅茶苦茶うまく見える! シールド刺さってないのに!」
そんなやりとりの後、「おわかりいただけただろうか」の演奏へ。橘高さん曰く、この曲をアコギで弾くと油断すると遅くなってしまうので気をつけて、とのこと。そして実際聴いてみると、アコギでやるのは無理があるんじゃないか!? と思う迫力だった。
■「別の星の物語り」演奏コーナー
この曲の作曲者は橘高さん。橘高さんといえばヘヴィメタル。そんな橘高さんが橘高さんらしくない曲を作ったその意図は? と尋ねるオーケン。「意図ぉ!?」と反応に困る橘高さん。そこから、「自分の担当ではない曲をたまに作ると面白い曲が出来る」という話へ。そこからさらに「THE SHOW MUST GO ON」の「恋の蜜蜂飛行」の話へ飛ぶ。この曲が出来たのは最後だそうで、もう一曲橘高メタルが欲しいなぁ、とオーケンが言ったところ、橘高さんが「メタル~…?」と渋り、そこへ「それは君の仕事だろう!」とオーケンが突っ込んだ、という懐かしい話へ。そうそう、そんな話もあったなぁ。
また、こんな話も。「別の星の物語り」はオーケンが歌う曲だが、オーケンの意向で内田さんのキーに合わせて通常よりも低くなったらしい。曰く、内田さんが歌うと似合いそうだったからとのこと。そして実際特典のCDで歌唱することになった内田さんは野口五郎を意識。さらにオーケンも実は野口五郎を意識して歌っていたことを告白。「わかる、わかるよ!」と笑う橘高さん。そろそろ己も野口五郎に手を出さねばなるまいな……と思った。
さて、演奏に移り、内田さんがウクレレベースをポクポクと叩き、メンバーもそれに合わせてギターをポクポク叩く。そのまま数秒。曲は始まらず、「この間は何?」「誰がカウントをとるの?」「内田がカウントをとるんじゃないの?」と突っ込むメンバーの声。その後ようやく内田さんがカウントをとることで曲が始まったが、しばらく無言の「ポクポクポク」が続き、「筋少は振ってるのに応えてもらえなかった、何か振られているけどそれがわからない、そういうのが多い、そのままここまで来てしまいました」という話に。
「別の星の物語り」のとき、内田さんが「手を振りながら去ってく」と歌いながら手を振る仕草を見たオーケンが、ワンテンポ遅れて真似して手を振っていたのがキュートだった。
■「LIVE HOUSE」演奏コーナー
たびたびネタにされていた「LIVE HOUSE」だが、実はエッグレイヤーでしかやってない、という話に。有頂天でも伝染病でもやっていない。伝染病をやっていた頃にはそもそも「LIVE HOUSE」は存在していなかった、とおいちゃん談。その露出頻度のわりに大いにネタにされていたせいか、おいちゃんの中で「LIVE HOUSE」は封印されていたそうだが、そんなにやっていなかったのに印象に残っていたってことはやっぱり良い曲だったってことだよ!! とオーケン。照れるおいちゃん。
いよいよ「おまけのいちにち(闘いの日々)」で「LIVE HOUSE」を録音することになったとき、エンジニアに参考までに当時のテープを聞きたいと要望があったそうで、おいちゃんは当時の録音テープを渡したそうだ。しかし、エンジニアから返信は来ず。後日会ったとき、エンジニアはとても何かを言いづらそうな顔をしていたそうで、その理由についてオーケンが言及。曰く、オーケンでもわかるくらい、ギターもベースもチューニングが合っていなかったそうだ。それなのに自信満々な歌唱が乗っていた、という代物らしい。しかしオーケンはこの若さの勢いのようなものをいたく気に入っているようで、特典にあのテープをつけたい、という話をしていた。
また、「LIVE HOUSE」の歌詞について、最初おいちゃんはうろ覚えで歌詞買いたそうなのだが、後で確認したら間違えていたのでリリース前にちゃんと直したそうだ。「うろ覚えはいけないね」と言うおいちゃんは、「LIVE HOUSE」の手書きの歌詞を未だにきちんと保管しているそうで、実現こそしなかったものの、その手書きの歌詞を歌詞カードに印刷する案もあったそうだ。
あと、ちょっと意外で嬉しい話が。「LIVE HOUSE」に収録されている歓声が、ライブでオーディエンスが実際あげた声を録音したものだそうだ。橘高さん曰く二公演分で、ここにいるお客さんならきっと入っているだろうね、とのこと。やばい興奮する。そこにオーケン「どうして二公演なんですか? 一公演じゃ足りなかったんですか?」と茶々を入れる。すかさず橘高さんが「よりたくさんの人の声を入れたかったんだよ!」と反撃。しつつ「素晴らしい素材をありがとうございます」というようなことを言って「素材!!!!」とオーケンに突っ込まれる。それをいなしつつ我々の方を向いて「声が入っているから、CDデビューしました~って親戚の人に手売りしてくれても良いよ」とニコニコ。くわあ。売りそう。
「LIVE HOUSE」の演奏中は手拍子が鳴り響き、さながらここがタワーレコードではなくまさにライブハウスのような空間に。濃い色のサングラスをかけたおいちゃんの歌唱が響き渡る。おいちゃんはわりと歌うのが好きで、歌いたくてエッグレイヤーを結成、というか乗っ取って「LIVE HOUSE」を歌ったそうだ。そんなおいちゃんに「よく今まで黙ってましたね」と言うオーケン。「歌いたいけど録音するほどじゃなかった」と返すおいちゃん。いやおいちゃん、あなたの歌唱は格好良いですよ。歌ってくださいよ。
ちらちらとスタッフのおねえさんが残り時間が書かれているであろうノートを持ってステージ前に乱入してくるのが微笑ましい。「LIVE HOUSE」が終わった後だっただろうか、来年、筋少が再結成後十年の節目を迎える話になった。早いなぁ。当時己は二十歳だったよ。それが三十になるんだよ。そりゃあ年もとるわなぁ。ありがたいありがたい。しみじみしていると、「LIVE HOUSE」のおいちゃんの手書きの歌詞のように、そういった年季物が他にもあるから、それを特典につけるかもしれないね、あぁでも言ったらつけなきゃいけなくなるねという話に。うわあつけてくださいよ! 是非! 後追いファンはそういったものに飢えているのだから! と興奮する自分。まあもちろん全員が全員じゃあないだろうけど。
■その他
あと、どこだったかな。立ち位置を変えると面白い、という話もあった。普段、皆さんいつも同じ位置で見てるでしょうけど、違うところに行くと別の景色が見えますよ。例えばいつも前方にいる人が後方に行くと照明の素晴らしさに気付いたり。そういえば前方はマーシャルの音がまっすぐに届いていますが大丈夫ですか? などなど。橘高さんもマーシャルの音を直に受けないよう調整しているそうだ。また、若い頃は特に、花道で花火などが爆発する演出があり、それが怖いので「わーーーーーー!!」と叫んでいたそうだ。そして今は橘高さん、おいちゃんと向き合うと「気付け」のためにお互い反射的に「わーーーー!」と叫んでいるそうだ。目が合うと「わーーーーー!!」二人が向かい合ったとき、ニコニコしながら大口を開けている様を目にしたことは多々あるが、あれ実際叫んでたんか。
それと最近、メンバーがライブ終了後、ステージから去るのが遅くなっている話へ。「再結成前はそうじゃなかったよね?」「だんだん遅くなってるよね?」とオーケン。頷く橘高さん。対してものすごく早いのがエディで、橘高さんがマーシャルを蹴り倒している頃には既にステージからいなくなっている。そこから、今度は「今エディが新幹線に乗りましたーもう名古屋を通過しましたー」とオーディエンスにアナウンスしようかという冗談が飛び交う。
最後は十二月二十三日の、リキッドのライブについて。「LIVE HOUSE」のトークから、「良い素材を提供してくださいね」と笑うオーケン。そしてメンバーが退場。今回、メンバー全員がサングラスをかけていて、オーケンはちょい悪親父ぶっていたのだが、最後にサングラスを外してくれて、見える目。やっぱ素顔の方が好きだなぁ格好良いなぁ、と思った。橘高さんはスタンドマイクに貼り付けたピックをパラパラと投げてくれ、己はそのおこぼれをちょうだいして、内田さんのスタンドマイクにはピックがくっついていたけど内田さん、指でウクレレベースを弾いていて、あれもしかしてのピック、ほとんど意味なかったんじゃね? と気付きながら、楽しいイベントは終わったのであった。おいちゃんはいつも通りニコニコの笑顔。橘高さんは気のせいかいつもよりクルクルのパーマ。オーケンの靴下はもしかしたらファンに言及されるかもしれないデザインで、内田さんは暖かそうな格好で。それを全て見られて嬉しかったなぁと思いつつ。四十五分の短さを知ったのである。