日記録0杯, M.S.SProject, 平沢進, 日常, 筋肉少女帯

2017年4月2日(日) 緑茶カウント:0杯

サイト創設十四周年を迎えてアンケートを実施し、いただいた回答を眺める中でふと気付いた。今でこそ日記サイトとして定着しているが、そもそも始まりはイラストの公開を目的にしていたはずで、オリジナルイラストや当時はまっていた漫画の絵の他に趣味で描いていた昆虫のイラストを公開していたが、もしや今は己が昆虫を描いていたことを知らない人の方が多いのではないか? と。

と言うことは。本来メインコンテンツだったものを今公開したら、それだけでエイプリルフールとして成り立つのではないか? 結構びっくりされるんじゃないか?

という思いつきのもと企画を決めた。架空の人物が採集した架空の昆虫を紹介するサイトにしよう、ということで昆虫のモチーフを音楽に決め、誰をどの昆虫にするかを考え、絵に起こし、設定を考え、サイトを作った。架空のサイトの管理人は散歩と音楽が好きな人間ということで「Mr.Walkman」と命名。もちろん携帯音楽プレーヤーが名前の由来である。

思いついたは良いが、間違いなく今までの企画で一番大変だった。昆虫の絵に時間と労力がかかるのである。まずコピー用紙にあれこれデザインを考えつつ昆虫の絵を描き、いったんそれをコピーする。そしてコピーした紙の裏を鉛筆で黒く塗りつぶし、水彩用の紙に乗せて上から線をなぞってトレースする。トレースした線を若干整えたら下塗り。徐々に色を重ねて完成。

企画を思いついたのが二月末。線画が出来たのが三月十日あたりで、以後休日はライブに行く以外はひたすら机に向かって色塗りをする日々が続いた。そうして絵が完成したのが三月三十一日の二十一時。そこから急いで絵をスキャンして、トリミングして、色調補正して原画の色合いに近付け、ダカダカとキーボードを叩いてサイトを作った。流石に日付が回って即公開は出来ず、二時間遅刻したがまぁ頑張った。頑張ったよ……!

あとはそれぞれの絵や設定について語っていこうかな。
ちなみに各画像をクリックすると嘘サイトの該当ページに飛ぶ。よろしければ。




オオヒビワレクワガタオオヒビワレクワガタ(モチーフ:大槻ケンヂ)
獲物をがっつり捕らえてムシャムシャする虫は違うな、ということで、格好良くて強そうな見た目をしているけど主食は樹液なクワガタをチョイス。オーケンの顔面のヒビを描きたかったので、大顎と足でヒビを表現した。格闘観戦が好き、という設定はプロレスや道場見学を趣味としているところから。



ウチダモノカミキリウチダモノカキミリ(モチーフ:内田雄一郎)
内田さんは難しかった。黒い触角は内田さんの髪の毛を表現し、黒の紋はサングラス、背中の紋は内田さんの物販「ウチダモノ」に。「地に響くような低い声で鳴く」設定はベースの音を表した。



タイヨウオイスズメバチタイヨウオイスズメバチ(モチーフ:本城聡章)
おいちゃんも難しかった。おいちゃんと言うと自分はドピンクのスーツのイメージが強いのだが、常にその衣装を着ているわけではないので共通認識にはなりえないのである。悩んだ結果、おいちゃんの衣装に多い原色と黒の組み合わせをチョイス。また、腹部の黒と白の配色はおいちゃんのギターをイメージ。
「タイヨウ」はおいちゃんの太陽のように眩しい笑顔から。



レースシロタテカマキリレースシロタテカマキリ(モチーフ:橘高文彦)
図鑑らしく、上からのショットで統一したかったものの、カマキリを上から描いてもつまらないのでレースシロタテカマキリは横から描いた。
イメージはすぐに湧いたものの、レースを描くのに苦戦。三百円ショップや靴下専門店を回り、網タイツや黒レースの靴下を探し回った挙句、東急ハンズの手芸コーナーで黒レース単体を購入して事なきを得た。



ヒラサワスズメガヒラサワスズメガ(モチーフ:平沢進)
ヒラサワといえば黒尽くめの衣装。とはいえ、ただ真っ黒じゃつまらないな、ということで、進化と変化を続ける彼の様相を表したいと思い、芋虫をチョイス。スズメガにしたのは名前が似ていることと、自分自身がスズメガスキーだから。
「幼形成熟幼虫」の設定は楽曲「幼形成熟BOX」が発想のもと。「MODEL ROOM」「ENOLA」「BIG BROTHER」はそれぞれのアルバムジャケットのデザインをモチーフにしている。「STEALTH MAJOR」が黒味がかった赤なのは、黒では隠れきれない情熱と溢れる魅力を表現した。



シッコクノダテンシモドキシッコクノダテンシモドキ(モチーフ:KIKKUN-MK-II)
漆黒の堕天使的存在ということは、漆黒の堕天使のような存在ということだろう、と解釈。そこでまず、「シッコクノダテンシ」という架空の毒蛾が存在することにして、その擬態をしている設定にした。
翅の色合いはKIKKUN-MK-IIのギターから。黄色の紋はギターのつまみをイメージしている。



ウェイウェイピルピルゼミウェイウェイピルピルゼミ(モチーフ:FB777)
「ぴるぴるちゅーん」という歌声が頭に残っていて、それがいつの間にかセミの鳴き声に変化したのですぐにセミに決定した。黒の紋はサングラス、その下の白は口と十字架をイメージ。また、翅はジャケットのつもりで描いた。



ハンニャアカアリハンニャアカアリ(モチーフ:あろまほっと)
「あろまさんぽ」から、よく歩く昆虫が良いな、ということでアリをチョイス。「あろまさんぽ」で日本全国を旅しているなら巣とは無縁だろう、ということで設定を練った。こういう設定を考えているときが一番楽しい。
般若はあえてうっすら見える程度に留めた。実際にこのアリがいたら何らかの伝承が生まれているかもしれない。



エオエオトンボエオエオトンボ(モチーフ:eoheoh)
告白すると、実はずっと前から「eoheohさんをモチーフにしてトンボを描きたい……」と思っていた。あの人を見るたびにトンボを連想していた。よってここで描けて満足である。
ちなみに今回一番苦労したのがエオエオトンボの翅である。すごく大変だった……。



以上。他にも水戸華之介モチーフの「ミトハナバッタ」、町田康モチーフの「マチダマチゾウムシ」といった構想があったが間に合わなかった。しかし久方ぶりに虫を全力で描けたので楽しかった。また時間を作って虫の絵も描いていきたいものである。

ところで今回の「MR.WALKMANの昆虫図録」で、エイプリルフール企画を始めてから十年目になったようだ。我ながらよく続けているものだ。来年も余裕があればやりたいものだ。


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未分類0杯, 筋肉少女帯, 非日常

いつか遠足三部作をライブで観てみたいものだとぼんやり夢見ていた自分に教えたい。2017年にその夢が叶うよ、と。
そのうえで思う。あぁ、まさか2017年に、猫のテブクロのライブが観られるなんて、と。

完全再現と言うことで、トレードマークの金髪を黒く染めた橘高さん。今では度の合わなくなった円いサングラスをかけた内田さん。白の手袋を指にはめ、神父を彷彿とさせるかつての衣装に身を包んだオーケン。しかし当時そのままではない。内田さんの髪はまっすぐに伸び、オーケンは短くも美しい銀髪だ。橘高さんは炭水化物の制限を自身に課して頑張っている。発売から二十八年の月日が経ち、メンバーは年齢と経験を重ねた。そしてこの会場にはかつてを知る人と、知らない人が集まって皆一様にステージを見つめている。

「猫のテブクロ」はエディの脱退によりツインギターバンドとなった筋肉少女帯のデビュー作とも言える代物で、カバー以外のほとんどを内田さんが作曲した筋少の中でも異色のアルバムである。新たな筋少として活動を進めるうえでの試行錯誤がこの一枚に詰まっていることが感じられ、その試行錯誤を乗り越えた結果が今の筋肉少女帯である。そしてそれを体言するかのように、一曲目から怒涛のメタル「イワンのばか」に始まり、カーネーション・リインカーネーションに繋がる攻めの姿勢!

あぁ、やはり今は1989年ではない、2017年なのだ!! ますます嬉しくなって噛み締めてしまう。

MCの後のブロックでは意外なところで「みんなの歌」と「吉原炎上」。「吉原炎上」がここで聴けたのは嬉しい。最近の曲だがともすれば忘れられているのではないか、と危惧していたところである。これの「女衒も天仰ぐ」ってところの歌い方がたまらなく好きなんだよなぁ。

「吉原炎上」の後、橘高さんがボーカルをとる宣言をし、オーケンがステージからはけていく。とすると、「おわかりいただけただろうか」か「小さな恋のメロディ」かな……と予想を立てつつ見守っていると、予想だにせぬ一曲が始まり歓声と奇声が湧き起こった。

まさかの「俺の罪」である。橘高さんが。あのメタルの橘高さんが、俺の罪!!

しかも! 内田さんパートにて、内田さんが「歌うよ歌うよ~」とアピールしていたら……下手から聴こえる声! 驚くそぶりを見せる内田さんの視線の先には……マイクを握り分厚いボーカルを響かせるおいちゃん!!

これはびっくりした。とてもびっくりした。そして面白かった……。あの「俺の罪」の歌詞を歌う橘高さんは実にキュートであった……ギャップがあるだけに破壊力がすごかった。

ちなみにこの後、「俺の罪」の歌詞が大好きな長谷川さんにオーケンが「大槻内田版と橘高本城版……どっちが……」と問いかけるシーンがあった。長谷川さんは恐らく「どっちが好き?」といった質問が来ることを予想していたのだろう。ところが、来たのは「どっちの方が罪深い?」という質問で、長谷川さんはずっこけるようなそぶりをし、ドラムスティックで上手と下手を指し、橘高さんが喜び、「喜ぶんだ!?」とオーケンが驚いたのであった。

ステージに戻ってきたオーケンは白手袋をはめ、かつての衣装に身を包んでいた。そしてオーケンにより「猫のテブクロ」部分がこれより始まることが宣言されたのである。部分。部分。

まずは「星と黒ネコ」。短いながらも存在感のある一曲だ。
静かなアコースティックギターの調べに息を呑んでいると、持ち出されるは拡声器。

今までに何度となくライブで耳にした「これでいいのだ」は、初めて観る「これでいいのだ」だった。近年タオル回し曲としての役割を担っている「これでいいのだ」。間奏部分ではコールアンドレスポンスでガンガンにボルテージを上げていくのが常である。それは間違いなく楽しいが、「これでいいのだ」という楽曲が持つ物語性が失われてきたことも事実であった。あの冤罪で収監された男が、やるせなさの中で自問自答をし、ようやく「だがしかし」まで辿り着く。

自分はもしかしたら、初めて本当の「これでいいのだ」を観たのかもしれない。間奏で設置されたキーボードを、背を丸めて弾く内田さんの横で詩を読み上げるオーケンの声。それはかつてのライブ映像で観た景色に似ていて、あぁ、これを今観られるのか、と改めて感慨深く思った。嬉しかった。

「星の夜のボート」にじっくりと耳を傾け、待ちわびた遠足三部作! あぁ、これを聴けるなんて、聴けるなんて思わなかったなぁ! 「最期の遠足」を初めてライブで観たのは「どこへでも行ける切手」の初期曲限定ライブだったと思う。しかしあれはDVDに収録されなかったのだ。今改めてこの場で観られるのが実に嬉しい。あの攻撃的なギターの音色とブラックな歌詞の組み合わせがたまらない。

「月とテブクロ」の静かに展開して爆発する感じはこのアルバムの総括としてふさわしい。「黒ネコの爪を折る」の箇所ではオーケンの癖が強く出ていて、そこだけが少し気になった。

しっとり終わったかと思えばここからまた「週替わりの奇跡の神話」「くるくる少女」「釈迦」と続いてぎゅんぎゅん詰めの中盛り上がり、本編ラストは「愛の讃歌」。ここでオーケン、歌いながらオーディエンスの方に手を伸ばして握手をしてくれるのだが……このとき、手を伸ばしたら、指先と指先が触れた。指先と、指先が、触れた。

瞬間、そのわずかな接触から電撃と歓喜が走りぬけ、心臓がBPM180を記録し、恋に落ちる錯覚をしそうになった。嬉しかった。嬉しかった!!

さらにアンコール一曲目はまさかの「詩人オウムの世界」。「猫のテブクロ」完全再現だけでも嬉しいのに、これをやってくれるなんて! この曲の情景描写の美しさがたまらなく好きで、紫の蝶が空を覆い尽くす妖しさに何度魅せられたことだろうか。ここでもしっかり語ってくれてもうありがたいったら。

面白かったのは「犬はワンワンと吠え、猫はニャーニャーと鳴き」の箇所で、「猫はワンワンと吠え」と言い間違えたオーケンが、「あれ?」と一瞬不思議そうな表情を見せ、次に何の動物の名前を出せば良いか迷っていた場面である。結果、猫は二回登場した。

最後はサンフランシスコで締め。MCでは、アルバム一曲続けてやると昔のことを思い出すね、と昔話に花を咲かせたり、不意に声をかけられた内田さんが「アタシ」という一人称を使ったところ、オーケンが「二十年来の幼馴染の一人称が変わる瞬間!」とびっくりして、その後何かにつけては「アタシ」「アタシ」と自ら称してネタにしていた場面もあった。

興味深かったのは橘高さんが金髪にしたのはオーケンの言葉がきっかけだったこと。「橘高君金髪似合うんじゃない?」とオーケンに言われた橘高さんは、当時バンドに入ったばかりだったので、バンドリーダーがそう言うなら、と金髪にしたのだと言う。無論それは要素の一つであり、ずっと金髪にこだわり続けたのには他の思いもあってのことだと思うが、あの橘高さんの美しい金髪はそうして生まれたのか、としみじみしたのも事実である。オーケンがその発言を覚えていないのもまた良いな、と思った。

あぁ、それにしても。この楽しいライブを明後日また観られるなんて。今回はチケットの整理番号が九十番台だったのでかなり前の方に行けたので、次回はちょっと後ろに下がって観てみようか。と言いつつ、また前に突っ込んでしまうかもしれないが。ふふふ。



イワンのばか
カーネーション・リインカーネーション

みんなの歌
吉原炎上

俺の罪(橘高さん・おいちゃんボーカルver)

星と黒ネコ
これでいいのだ
日本印度化計画

星の夜のボート

Picnic at Fire Mountain 〜Dream on James, You’re Winning〜
Go! Go! Go! Hiking Bus 〜Casino Royale〜, 〜The Longest Day〜
最期の遠足

月とテブクロ

週替わりの奇跡の神話
くるくる少女

釈迦
愛の讃歌

~アンコール~
詩人オウムの世界
サンフランシスコ


日記録0杯

2017年3月15日(水) 緑茶カウント:0杯

出会いは小学校一年生。親しくなったのは四年からか。一度も同じクラスになったことはなかったものの、公文をきっかけに仲良くなり、以来中学、高校、大学、そしてその後もちょくちょく約束をとりつけては遊んでいた間柄。同じ町内、全力疾走すれば二分の家に住んでいた幼馴染に、ついに子供ができた。今日。

乾杯! と言葉に出さず祝杯を挙げている六畳一間の住人は、今にやにやと笑っている。

去年から今年にかけて急に友人の出産報告が増え、幼馴染は三人目。しかし違うのはこれまでの二人、出会いが大学であったこと。互いに育ちきってから出会っただけに子供が生まれてもさほど違和感はなかったが、あのランドセルを背負っていたあいつが、と思うと感慨もひとしおである。同じように歳を重ねたにも関わらず、まるで親戚のおじさんのようにしみじみしてしまうのだ。あぁ、良かったなぁ。嬉しいなぁ。

そして思い出すのはつい先日の年上の友人からの告白。彼女は三十代半ばで既婚、子供はおらず、バリバリ働いている。自分はずっと彼女は子供を持たない選択を自ら望んでしているのだと思っていたが、ふとこぼした言葉により真実を知った。彼女は子供を望んでいたが、旦那さんが望んでいなかったため、夫婦の話し合いの結果子供を持たない選択をしたのだと言う。無論そこにはいろいろあって、子供を諦める代わりに彼女の希望も叶えられたのだが。その後しばらく自分は考え込む日が増えたのである。

自分自身は子供を持ちたいと思ったこともなければ、結婚したいとも思わない。そして周囲から多少の圧力はあるものの、身近な人には認めてもらえているので、それなりに気楽に楽しく思うがままに生きている。あぁ、こんな生き方が許される時代に生まれることができて良かったなぁと幸福を噛み締める日々。だからこそ、不意に親しいあの人が、そんな決断をせざるを得なかったことを知って動揺したのだろう。それはやはり、自分の好きな人には皆、望み通りに楽しく生きて欲しいという自分勝手な願望があるからだ。彼女の告白を聞いたときの酒の味はいかがだっただろうか。思いを馳せると、寂しくなる。

あぁ、今日のビールの何と美味しいことよ。父親になった友人はこれから様々な経験を積むだろう。己もまた違った経験をするだろう。同じ町内に住み、同じ小学校に通い、公文でふざけ合った我々がこのように違う生き方をしているのは面白いものだ。いつか二十年後、彼の幼子が成人したときに一息ついた友人と盃を交わしながら過去を振り返りたい。それはきっと幾層もの味が混ざった美酒に違いないのである。



未分類0杯, 水戸華之介, 非日常

ゲストの個性により色合いを変える100曲ライブ、中でも異色を放つのが今夜だろう。アコースティックバー「七面鳥」に響き渡るはギターでもピアノでもなく、規則正しい電子音楽と歪んだテルミン、そしてカズー。開演前、しらじらとした誰もいないステージに青い闇が緞帳の如く下りてきて、開演を告げるSEが流れてきたかと思えば耳慣れない電子音、これはもしやと思えば予想のとおり、既に曲は始まっていたらしい。音楽と共に和風テイストの白シャツの水戸さんと、真っ赤なシャツに黒のネクタイを締めた内田さんがステージに現れ、これはいったい何の曲だろうとまるでイントロクイズをするかのように音を探れば正体が見えてくる。「どてかぼちゃ」だ!

そして今夜のセットリストはこちら。とはいえ、「与作」あたりの記憶が曖昧で自信がない。


どてかぼちゃ
できそこなった

人間ワッショイ!
情熱の空手チョップ

クレヨンロケット
I NEED YOU
31のブルース

与作
待ってるのに
ガード下の情景

そういうメルヘン
サカナ
星になるのか

セクシャルバイオレットNo.1
Romanticが止まらない
アストロボーイ・アストロガール

100万$よりもっとの夜景
ジョニーは鼻毛がヒッピースタイル
そこで何かが

~アンコール~
偶然にも明るい方へ

~ダブルアンコール~
どてかぼちゃ


去年の100曲ライブのセットリストと見比べてみると被るところも多い。(リンク先は水戸さんの公式ブログ「地球日記」。)新しく追加されたのは「クレヨンロケット」「セクシャルバイオレットNo.1」「100万$よりもっとの夜景」「そこで何かが」の四曲だ。ただ大きな変化がないわりに、去年よりもキャッチーでノリやすかった印象がある。

昨年の100曲ライブを思い返してみれば、何度も何度も繰り返し聴いた水戸さんの音楽が奏でられているはずなのに、歌が始まるまで何の曲なのか見当がつかず、知っているのに知らない、わかるはずなのにわからない、そんな不思議な感覚を味わっていた。しかし今年も探り探りではあったにせよ、この混乱が少なかったのは内田さんのスタイルに慣れたからかもしれない。何てったってついこの間、筋肉少女帯を容赦なくアレンジしたものすごいアルバムを聴いたばかりなのだ。あの自由なアレンジも好きだが、原曲のメロディが維持されているだけ水戸さんの曲のアレンジの方が聴きやすいのも事実である。

また、去年と同じ曲でもさらにアレンジが施されているものもあるそうなので、その効果も大きいだろう。よって二年目の今夜は、心構えができていて楽しみ方がわかっている状態だった。何も知らないところにブチかまされる感覚も愉快だが、この安心感も心地良い。そうして安心できるったって、やはり何が来るかは始まってもなかなかわからないのだ!

オーディエンスも探り探りだが歌う水戸さんも手探りのようで、その場の空気や勢いではなく、既に構成された音楽に合わせて歌い盛り上げる様子はやはり普段と違う印象を受ける。いつものように飛んだり跳ねたり派手に動き回りつつ、細部に注意深さを感じさせられた。妙な言い方をすれば、機械の様子を伺っている、というような。

爆発したのが中盤あたりか。あるブロックで水戸さんが起立を促し、オーディエンスが全員その場に立つ。そして水戸さんによる「絶対に盛り上がる一曲を」という前置きの後始まったのが「セクシャルバイオレットNo.1」!

ただし! 一言もの申したい!!

ワジー回の100曲ライブでブルーハーツの「情熱の薔薇」が歌われたときにも思ったことだ。確かに世間で人気がある有名曲はそれらかもしれない。だが自分は水戸さんの歌と声と歌詞と曲が好きでここに来ているのであって、「情熱の薔薇」や「セクシャルバイオレットNo.1」が世間でいかに人気だろうとも、水戸さんによるその歌唱を聴けるのが嬉しかろうとも、水戸さんの曲以上にそれらを聴けて嬉しい! 盛り上がる!! ということはないのだと!! 水戸さんの!! 曲が! 好きなんです!!!!

ちょっとした自虐ネタかもしれないが、水戸さんがそうやって紹介してカバーを歌うとき、己は何とも言えないやりきれなさと寂しさを感じる。あぁ、この気持ちをどうしたら良いのか! ……と思ったのでとりあえずここに書いた。

その後での「アストロボーイ・アストロガール」の楽しさったら。待ってた! これを待ってた! やったー立って聴ける嬉しい楽しい!! と大喜びしながら拳を振り上げた。

特に格好良かったのは「クレヨンロケット」「そこで何かが」「偶然にも明るい方へ」。中でも「そこで何かが」の壮大さは素晴らしく、原曲をさらに膨らませたかのような世界観が広がっていた。いつもの100曲ライブであれば、本編終了後も水戸さん達はステージに残り、いない体でアンコールを要求し、ステージに上がって来た体でアンコールが始まるのがお決まりだが、今回ばかりは普段どおりではギャグになってしまい曲の余韻を損なうため、水戸さん達は楽屋の方へと去って行った。

水戸さんは100曲ライブを越えて内田さんとテクノユニットで活動したいそうで、今ユニット名を考えているらしい。候補としては「ハクビシン○○」や「けっこうマシーン」が出てきていて、「○○マシーン」が今のところ有力だそうである。あとはその○○部分を考えなければいけないそうだ。

ちなみに何故ハクビシンなのかと言えば、MCによるとどうやら内田さんの家にハクビシンが出るらしい。内田さんのおじいさんが建てた家は古い物が山となって地層を築き、庭は水戸さん曰くジブリの森のようになっていて、沼があるわけでもないのに湿度が保たれているそうだ。そのため雨が降ると蛙が出るらしく、内田さんが「水場もないのにいったいどこに」と不思議がっていた。

また、トークのお題が書かれたカードが用意され、水戸さんがカードをめくり内田さんに話題を振っていくという試みも。そこで子供の頃、家の外に締め出された話題に。内田さんはそういった経験はないのだが、水戸さんはあるとのこと。窓から外に出されたがそこにはサボテン棚があって、締め出された悲しさ云々ではなくサボテンの痛みによって声をあげる水戸さんに水戸さんのお母さんが不審がり、サボテンの存在を思い出してようやく救出された思い出があるそうな。よってサボテンの痛みが強烈で、何が原因で叱られたのかは覚えていないらしい。

同じくカードのお題で内田さんが怒らない話題に。水戸さんは内田さんがピリピリしたり、怒ったりしているところを見たことがないそうだ。そんな内田さんが唯一毒を見せるのがオーケンの話題で、オーケンの話をするときにニヤリと笑うことを水戸さんが楽しそうに話していた。あぁ、過去を思い返せば嬉しいことである。そんな風になれて良かったなぁ。

内田さんのテクノサウンドは、今度発売される水戸さんの新譜のプレミアムボックスにミニアルバムとしてついてくるらしく、それまでにはユニット名も決まるらしい。新しいことに対して意欲的な水戸さんと、打ち込みにはまる内田さん。この二人を100曲ライブ以外でも観られるのは嬉しいことだ。是非、対バンをしてもっと多くの人を驚かせて欲しい。あぁ、出来るならアンジーしか聴いたことのない人にも聴いて欲しい! だって、こんな面白いことやってるんだぜ!



未分類0杯, 筋肉少女帯, 非日常

雨の中、傘も差さずに駆け抜けて辿り着いたるは渋谷円山町LOFT9 Shibuya。息を整える間も惜しく、財布からチケットを取り出しながら中に入れば耳に聴こえるオーケンの歌う愛の賛歌。ぎっしりと敷き詰められた人々の後頭部の並ぶ先で、オーケンが一人ステージでギターの弾き語りをしている。開演から三十分過ぎていた。

再結成後の筋肉少女帯による「ファンクラブ的」イベントの記念すべき第一夜。運よくチケットが当たったものの都合により開演に間に合わず、故に途中からの参加となったことこそ惜しいが、今日来ることが出来て実に嬉しかった。聞くところによると自分が到着する前には昔の写真を公開するコーナーもあったそうだ。そしてその後にオーケン、おいちゃん、ふーみん、うっちーの順で一人ずつステージに立って歌とトークを聴かせてくれ、その時点で自分は入場したのだ。オーケンは愛の賛歌、おいちゃんは今度のツアー「猫のテブクロ」の猫にちなんで「お散歩ネコちゃん若き二人の恋結ぶ」、ふーみんは「僕の歌を総て君にやる」を熱唱し、うっちーはウクレレベースをベンベン爪弾きつつ「ベースで弾き語りは難しい」と語りながら「元祖高木ブー伝説」のさわりを弾き語ったかと思えば、袖から持ち出されるは愛用のパソコン! ボコーダーを駆使してテクノアレンジ版の「星の夜のボート」を聴かせてくれた。

オーケンの「愛の賛歌」は歌と歌の間に絶妙な「間」を入れることでオーディエンスの笑いを誘う。おいちゃんは「猫にちなんで」と話していたのでてっきりドルバッキーが来るかと思いきや始まったのは意外な一曲。これをライブで聴いたことはほとんど無いように思う。嬉しいなぁ。ふーみんは「筋肉少女帯の橘高文彦」に変身してはいなかったが、髪をくるくる巻き、目元にはサングラスがなく、遠目に見てナチュラルな印象で、これも一つのステージ用の姿であるはずなのだが、まるで普段着を見せてもらえているかのような不思議さがあった。

うっちーの演奏が終わった後、ステージにメンバー全員が集合する。並び順はいつもと同じで下手からおいちゃん、オーケン、うっちー、ふーみんだ。しばらく内田さんがテクノアレンジした筋少曲の話題で盛り上がり、「ドアーズらしい」との評を受けた「星の夜のボート」は仮歌の段階では「ドアーズ」というタイトルだったことが橘高さんによって明らかにされた。仮のタイトルが「ドアーズ」だったことを内田さんは覚えていなかったらしく、その眠った記憶があったからこのようなアレンジになったかもしれないと語られた。

また、オーケンが「筋肉少女帯でもこういうの作ってよ」と内田さんにリクエストして話が転がり、内田さんがテクノっぽく作ったデモをもとに、エディと長谷川さんがいつものようにガンガンバリバリドコドコピアノとドラムを入れまくって、結局いつもの筋少に戻ってしまうなんてどうだろう、といった笑い話も起こる。そこからさらに、内田さんが今回作ったテクノアレンジ版にメンバー各々が楽器を入れる話も出て、「じゃあ俺は内田のイワンのばかにギター入れるよ」「それじゃあ僕は、戦え!何を!?人生を!!に歌入れるよ」と橘高さんとオーケンが乗ってきて、アルバムをリリースするまでではないけど、そういったお遊びをファンクラブ的イベントでやるのも良いねという話になった。

そしてファンクラブ的イベントと言えば、ということでプレゼント大会! くじが入った箱にメンバーが手を突っ込み、読み上げられた番号が振られた半券を持つ人がプレゼントをもらえる、という素敵な企画である。まず筋肉少女帯関連の品物として、猫のテブクロ時代の靴下、ステッカー、物販Tシャツなどなど。その後にはメンバーの私物がプレゼント! 橘高さんからは歴代のピックに加えておまけでオーケンのピックが入ったセット、おいちゃんからは長年使った機材、オーケンからはポールスミスのカードケース、うっちーからは買ったときから壊れていたライトのようなもの。オーケンはプレゼントを用意し忘れていて、急遽普段使いのカードケースの中に入れていた診察券などを抜いてプレゼントとして出品してくれたそうだが、それこそいかにも「私物」であるのでファンにはたまらない品である。欲しかった。

そうして楽しくプレゼント大会は終わったが、プレゼントが当たらなかった人にもお土産にメンバーの写真をもらえるという嬉しい告知があり、わーもーありがたいなー嬉しいなーとニコニコしてしまったのであった。

それからしばらくトークが繰り広げられ、最後は歌と演奏で終了。「香菜、頭をよくしてあげよう」「少女の王国」から、「じーさんはいい塩梅」で締めくくり。ライブではいつもメンバーが楽器を置いてマイクを持って歌う「じーさんはいい塩梅」の生演奏はさりげなくレアである。終盤ではテンポアップするアレンジもあって、それがまた格好良かった。また別の機会にも聴きたいなぁ。

「ハイストレンジネス・チケットメンバーズ」はチケットの先行発売を名目にスタートした企画だが、今回のイベントで頻繁に出てきた「ファンクラブ」「ファンクラブ的なもの」という言葉から、もともと「ファンクラブ」というものが意識されていたことが窺い知れた。橘高さん曰く、ファンの希望やリクエストによって、今後システムも催しも企画も変化や発展があるかもしれないし、何もなければ企画そのものがなくなるかもしれないとのこと。まずはチケットの先行販売、そこから手探りで楽しいことを始めていこう、という前向きな姿勢にわくわくした。

いつか本当に「ファンクラブ的なもの」から「ファンクラブ」になったら良いな。そうなるように自分もファンとして関わっていきたい。帰路につきながらふわふわ思った。だってずっと筋少のファンクラブに入りたかったのだ。その願いが叶えられかけていて、叶えられそうで、嬉しい。