自分にとってはこれが今年のライブ収め。毎年恒例、十二月二十三日のいつもよりスペシャルな筋少ライブは今年もサービス満点だった。内田さんが「北極星の二人」を熱唱し、内田・三柴・長谷川三人で、まさかのThunder You Poison Viper! アンコールではエディが一人でステージに現れて「きよしこの夜」を弾き、そこに現れた橘高さんとおいちゃんはサンタをイメージしたアクセサリーを身につけ、手にした袋から飴玉をばら撒く。「一年間良い子にしていたみんなへの筋少からのプレゼントだよ」とは橘高さんの弁。そして最後に現れたオーケンはサンタ帽にサンタ服の、完全なサンタの出で立ち! いつかのリラックマの着ぐるみを彷彿とさせるサービスだ。
終演後にはメンバーそれぞれがピックをばら撒きまくってくれ、あの普段ほとんどピックを投げない内田さんまでもがピックをいくつも投げていたのがまた特別感を煽る。会場の熱気も凄まじく、自分は当初おいちゃんの見えやすい下手側にいたのだが、流れに流され、途中ではオーケン前、その後内田さん前から橘高さん寄りまで移動し、最終的にはオーケン前に落ち着いたのだった。
驚いたのはアンコールで、空から人が降ってきたこと。何か妙な動きを感じるや否や、自分の目の前に靴の裏が見え、何事かと思う間もなく男性が落下した。人に引っかかりながらガサガサと落ちたため勢いは無く、大きな怪我は無いようではあったが、あれは何だったのだろうか。ダイブという感じでは無いように見えた。
と、いう出来事についてTwitterでつぶやいたところ、クラウドサーフの可能性があることを教えていただいた。なるほど、ちょうど自分の目の前が泳ぎきった場所だったと考えれば合点がいく。とはいえ今まで筋少のライブでクラウドサーフをする人を見たことが無かったためびっくりした。
このように見所たくさんの本日のライブだが、個人的に最も印象深かったのは皆でクックロビン音頭を歌ったことであった。
パパンがパン。だ~れが殺したクックロビン~♪
前半のMCで、「オーディエンスにどんな風に盛り上がって欲しいか」という話になったとき、橘高さんが「○○のバンドのように」という話をしたときに出た名前がロビン。確かあるバンドの人物の名前だったと思うが自分はどちらも知らないのですっかり忘却してしまっている。そこにオーケンがオーディエンスを指して、ロビンと言ってもわからない人ばっかりだよ、ということを言い、その後「パパンがパン」と手を打って「だ~れが殺したクックロビン~♪」と手振りつきで皆で歌ったのだ。そこで意外とオーディエンスの方から声が出たことに驚いたのか、オーケンが「皆意外に知ってるね」というようなことを言って笑っていた。
まさか筋少のライブでクックロビン音頭を歌うとは。驚きつつもやけにおかしく感じられて、ライブの後、自分は小声でクックロビン音頭を歌いながら恵比寿の街を歩いたのだった。
さて、以下はおぼろげな記憶の中で書き留めたセットリストである。
ア デイ イン ザ ライフ
暴いておやりよドルバッキー
くるくる少女
バトル野郎~100万人の兄貴
中2病の神ドロシー
サボテンとバントライン
タチムカウ~狂い咲く人間の証明
イワンのばか
(オーケン、オカルトの話をし「宇宙人が来る~怖いよ~」と叫びながら退場)
北極星の二人(内田のラブソング)
戦闘妖精雪風(Thunder You Poison Viper)
少女の王国
サンフランシスコ
カーネーション・リインカーネーション
ツアーファイナル
労働者M
~アンコール~
きよしこの夜 (エディの演奏)
SAN FRANCISCO(エピローグ)
トゥルーロマンス
踊るダメ人間
釈迦
しょっぱなが久しぶりの「ア デイ イン ザ ライフ」! 驚くほど歌詞がメタメタだった!! すごかった。どれだけ元の部分が残っていたのだろう。久しぶりなのに練習しなかったな、オーケン…。
お次はこちらも久しぶり、「暴いておやりよドルバッキー」! 自分の行くライブに限った話かもしれないが、しばらくライブでやっていなかったように感じていたので今回聴けたのは非常に嬉しかった。この曲は本当に内田さんのコーラスが格好良い。
「くるくる少女」では既に苦しくなっており、あまり記憶が無い。「サボテンとバントライン」も久しぶりだった気がする。
「タチムカウ」は今年のDDT両国のイベントで拾い上げられた印象がある。復活から今年に至るまでは演奏されず、この曲を筋少にはまったばかりの浪人時代に毎日毎日繰り返し聴き、まるで自分のテーマソングのようにしていた人間にとっては、またライブで演奏されるようになってとても嬉しい。初めて聴けたときの感慨深さったら無かったものだよ。
今日の驚きの一曲一つ目は「北極星の二人(内田のラブソング)」。最近はオーケンが途中で抜けて、メンバーが二曲ほど歌うのが定番になっているので、どうせならいつか北極星の二人をやって欲しいな、と思っていたら実現したので喜ばしい。内田さんは毛皮の帽子ともこもこしたジャケットを身につけ、マイクを手に熱唱! 持ち前の茶目っ気とサービス精神が爆発しており、曲調も相まってここはいったいどこだろうと錯覚しそうになる空間だった。
そして驚きの二曲目は内田・三柴・長谷川のバンド「Thunder You Poison Viper」で、「戦闘妖精雪風」! まさか筋少のライブでThunder You Poison Viperを聴けるとは思わなかった。いつかの物販でアルバムを買って以来、生で聴きたいと思っていたものの、ちょうどライブが開催されず歯がゆい思いをしていたのだ。そのうえ次回のライブの告知までしてくれたのだから喜びも一入である。
Thunder You Poison Viperは、ピアノとドラムとベースの三つに楽器が絞り込まれているだけに、遠慮無く全員が爆走しているようで、筋少でも充分目立っているドラムとピアノが、とにかく前面に出てくるとこんなことになるのか、と見せ付けられるようだった。迫力である。
サンフランシスコからカーネーション・リインカーネーションにかけてはあまりの圧縮具合に死ぬかと思いつつ、カーネーションのとき、ステージが赤く暗いライトで照らされるのを見て、あぁ、これだこれだと思った。この赤いライトのダークな雰囲気と、「カーネーション・リインカーネーション!!」というシャウトがたまらなく格好良いんだ。
本編ラストで「労働者M」が来たときは「せっかく非日常を楽しんでいるのにこんなところで現実に引き戻さないでくれよオーケン…!!」と思ったが、思いがけずも「働け働け働け~来年も筋肉少女帯はバリバリ働くからよろしくなー!」という内容のことを叫んでくれ、あぁ、労働者Mにはそういう使い方もあるのか……と、変な言い方だが感心した。
アンコールではかなり大きな声で「ロビンコール」が巻き起こったが、これについては特に触れられなかった。最初にステージに現れたのはエディ一人で、ゆっくりと奏で始めた音色は聴いたことがあるようでありながらも見当がつかず、何だろうと思っていたら、よく知っているメロディに転換し、それは「きよしこの夜」だった。
すげえ、すごくクリスマスだ………。
そこに赤と白のケープとリボンをつけた橘高さん、サンタテイストのカチューシャをつけたおいちゃんが登場。二人の登場に興奮するオーディエンスの歓声にエディの演奏がかき消されてしまったのが残念だったが、自分も非常に喜んでいた。何てサービス精神旺盛な人達なんだろう!
SAN FRANCISCO(エピローグ)はアンコールにじっくり聴くのにふさわしかった。高ぶった熱が良い具合にクールダウンするようで気持ち良い。インストだけを演奏する椅子ありのライブとかも、いつか聴いてみたいものだなぁ。
サンタ服を着たオーケンが現れたらもうニコニコするしかない。「筋少ファンにとってクリスマスは辛い日だ!」「一緒に過ごす人もいないし、ライブの後で体がつらい!」なんて言うが、こうして楽しませよう楽しませようとしてくれるんだからなぁ。
最後はド定番、「踊るダメ人間」と「釈迦」で全てのエネルギーを発散して終了。いつもは終演後、ビールを呑む自分が、すっかり疲れて疲れ切って糖分が欲しくなり、ピンクグレープフルーツソーダを飲んだ。
MCでは橘高さんの福袋の話と壁ドンの話が面白かった。毎年恒例、クリスマス限定の橘高さんの福袋は三年目の今年になってようやくついに女性がゲットしたらしい。ところが橘高さん、男性がゲットすることしか想定していなかったため、「男の子と何と話すか」しか考えていなかったそうだ。冗談めかしつつも「女の子が当たっちゃって、俺今結構緊張してる」と話していた。
壁ドンはいったいどんな流れだったか、この流れだったか既に記憶が定かではないが、オーケンが「壁ドンが流行ってるんだよ、知らないの? 知らない人~」と挙手を募り、壁ドンがどんなものか説明。つまり女の子を壁際に押し付け、腕で逃げ場を塞いだうえで口説くという行為である。このとき「男の子が女の子を……男の子と男の子でも良いんだけど、そっちの方が良いんでしょ?」といきなり一部のオーディエンスに振って若干周囲がざわついたが、自分は「またか」と思っていた。
このとき、オーディエンスを一人一人壁ドンするくらいの云々、と何かライブどどれくらい盛り上げるかという比喩で壁ドンの話をしていたのだがこのあたり記憶が曖昧で、覚えているのは「俺を壁ドンしてくれたって良いんだぜ~!」という台詞に「オーケン、タッパあるから現実なかなか出来る人いないだろ…」と思ったことだった。
あと中盤あたりで龍角散の粉が入った缶を取り出したオーケンがそれを口に含み、ゴジラの如く龍角散の霧を三度ほど噴出したおかげでしばらく龍角散独特のにおいが漂っていたのが印象的である。「おじいちゃんのにおいだ……」とオーケンは呟いていた。