光り輝く馬鹿野郎

2013年12月15日(日) 緑茶カウント:2杯

待ち合わせ場所から呑み会会場に向かう道すがら、わずかに足を引きずりながら歩く友人に、足の指でも怪我をしたのかと問うと、「いやあ実は過労でぶっ倒れて、そのとき息してなかったせいで、左半身に麻痺が残っちゃったんだよねー。リハビリすれば治るらしいんだけど。あははー」とほがらかに笑う。八十あった握力が三十いくつか、半分以下になっちゃったんだよーと言いつつ、持ち前の長い足で自分よりも早く歩く。「また背が伸びてさー。今百九十三なんだ!」

そして一つ目の店を出て二次会の会場に向かう途中、自分は友人の右半身に飛び蹴りをかましたのであった。思い切り助走をつけて。

この友人に出会ったのは大学に入ってからだ。彼は在学当初から卒業後の現在に至るまで、数々の伝説を残してきた猛者であり、馬鹿であり、そしてとんでもなく頭が良く、六ヶ国語を話し、優れた身体能力を持つ。自衛隊に体験入隊した際には「お前が本気を出すと人が死ぬ」と教官から注意を受けたほど。そして有り余る力と知能を常人の理解出来ない方向にフル活用するため、「一緒にいるとものすごく楽しいが、何を考えているのかさっぱりわからん」と周囲の人間に言わしめる男だ。

友人は麻痺が出ても変わらずいつもの友人だったので、自分は遠慮なく飛び蹴りした。飛び蹴りを受けた友人はよろめくこともなく普通に歩いて、全く、こいつの存在の強さと言ったら、手前程度が勢いをつけてぶつかったところで何も揺るがされないレベルかよ、と安心するやら憎たらしいやら。さっさと全快しやがれと思いつつ、こいつならどうしたって大丈夫なのだろうなぁと安堵していた。



日記録2杯, 日常