「蔦からまるQの惑星」ツアー初日に行ってきた。あの曲この曲聴きたいものは山ほどある。待ちに待ったライブの日を迎えられたことを喜んで、心躍らせて赤坂ブリッツにすったか向かった。赤坂ブリッツに行くのは今月で三度目になるので流石に電車の乗り換えその他は把握している。明日も行く。計四回だ。
物販を買うために早めに到着。赤坂ブリッツの壁にでかでかと掲げられていた「アウェーインザライフ」の看板が無くなっていたのが少し寂しかった。そうだ、もう東京は千秋楽を迎えたんだものなぁ。筋少が赤坂ブリッツを占拠するのも明日で終わりなんだ。しんみりと感傷的な気持ちになったが、あちらこちらのラーメン屋の出店から漂う油っぽいにおいに心がしらけたので壁を見上げるのを止めてさっさと物販の列に並んだ。
なかなかの長蛇の列である。筋少の物販でこんなに賑わっているのを見たのは去年のレア曲ライブ以来だなぁ。今回魅力的な商品が多いしな。湯飲みの登場には驚いた。まさか本当に作るとは。MCネタを本気で実現させる筋少はすごい。しかし湯飲みは買わなかった。実物を見たら笑えてしまってそれで満足してしまったのさ。タオルとリストバンドは買ったよ。
番号は自分にしては良い方だ。前の方に行けそうなので内田さん前あたりに並ぶ。最近は内田さん前を選ぶことが多い。オーケン前ほど激しくなく、それでいて見やすいから居心地が良いのだ。
五分程度押しただろうか。携帯電話の電源を切ってしまっていたため正確な時間はわからないが、恐らく開演時間を少々過ぎた頃、照明が落とされて期待の声があちこちで上がった。自分も上げた。前へと進むと五列目くらいか。視界はそこそこ。全体を見渡すには向かないが、メンバー一人一人に狙いを定めれば見えるといった感じである。一曲目は予想通り、アウェー イン ザ ライフ!
アウェー イン ザ ライフ
レセプター(受容体)
仲直りのテーマ
ワインライダー・フォーエバー(筋少ver)
あのコは夏フェス焼け
暁の戦力外部隊
これでいいのだ
家なき子と打点王
爆殺少女人形舞一号
子犬にしてあげる
イワンのばか
ロシアンルーレット・マイライフ
戦え!何を!?人生を!
ツアーファイナル
モコモコボンボン
~アンコール~
蜘蛛の糸
若いコとドライブ~80’sから来た恋人~
心の折れたエンジェル
釈迦
ア デイ イン ザ ライフ
後半がちょっと自信が無いのだが…順番はともかく曲目は間違ってないと思う。本編ラストがモコモコボンボンってのが痺れたなぁ。まさかやってくれるとは!
アウェー イン ザ ライフは初めてライブで聴いたときは「DESTINYをぶん殴れ」に引っ張られて体が混乱したが、もうすっかり染みこんでいた。ベースが格好良いよなぁ。
お次は期待のレセプター。これこれ! アルバムで一回聴いたときから大好きなんだ。何と言ってもリズムが気持ちよい。初めて演奏される曲にも関わらず客席は乗りに乗っていた。このまま突っ走ったらかなり激しいライブになるんじゃないか、と一抹の不安を覚えるほどだ。
しかし杞憂であった。MCが挟まれたために流れが一旦落ち着いたのだ。筋少のMCは毎度長いが、今日のMCは特に長かった気がするなぁ。楽しいから歓迎するが、回を重ねる毎に長くなっていく気がする。やはり立て続けに演奏をすると体が疲れてしまうのだろうか。
ふわふわして凍結して、八年経って仲直りした大人がやることはすごいってことを次の二曲で教えてやる、みたいなことをオーケンが言って、いやだいぶ違うが実際はどんなんだったっけか、とにかく、お約束の喧嘩ネタを持ち出してきたからには仲直りのテーマが来るに決まってる! そして後に続く曲は…ある意味で今回一番期待のあれ! 四十代のラップもどき、遊び心が爆発したセルフカバー! ワインライダー・フォーエバー!!
待ってましたあああ!!
タワレコインストアイベントであのラップ部分を全員やる気まんまんだとわかってから尚更楽しみで仕方が無くなったあの掛け合いをついに! 生で! いやー期待以上だった。何がすごいって、ラップ部分じゃ全員楽器持ってない!
わざわざ肩から外して気合充分でラップに挑む。素晴らしい。内田さんはハンドマイクだったが橘高さんとおいちゃんはどうだっただろう。オーケン曰く、かなり練習したとのことでバッチリと失敗することなく掛け合いが決まった。最初の、内田さんから始まる出だしはアルバムよりも伸ばした言い方だったかな。
掛け合い中のメンバーの動きも見所だ。と言ってもオーケンと内田さんしかじっくり見ることは出来なかったのだが。自分の出番以外のところでは暇なのだろう、軽く体を動かして踊っていた。内田さんは結構ノリノリだったなぁ。随分と楽しげに踊っていた。橘高さんとおいちゃんの様子も見たかったなぁ。
ワインライダー終了後は照れ隠しのようなMCから始まり、夏フェスでこれをやったらどうだろうとオーケンが言い出して、橘高さんが止めといた方が良いと思うと提言した。夏フェスの会場でおじさん達がラップみたいなことをして、エグザイルのように踊りだしたら観客がポカーンとするんじゃないか、と言いながらオーケンがエグザイルのように体をぐるぐる回す。それにおいちゃんも乗ってオーケンの後ろでぐるぐる体を動かしたのだが、橘高さんにオーケンと同じタイミングで回っているから意味がない、との突っ込みをされていた。微笑ましいなぁ。
筋少は今度ROCK IN JAPAN FES 2010に出演する、出順はまだ言えないけど今度もすごい、筋少ファンも夏フェスにおいでよ! なることをオーケン。と言うのもいつもの顔ぶれのファンがフェスではぐっと見られなくなるのだそうだ。夏フェスに来ない理由をオーケンなりに分析したのか、ファンをニートや引きこもり呼ばわり。無論冗談であると明記しておくが、ひどさに笑った。
蔦Qには夏フェスの曲がたくさんある、と言ってから、「たくさん」が二曲であることに気付くオーケン、ここぞとばかりに突っ込みをいれる観客。それに対して苦言を呈すオーケン。そんなことはいちいちその場で突っ込みなんか入れないで、家に帰ってブログに書けばいいでしょ、とすね始める。この流れだったかなぁ。記憶が曖昧なのだが、似たような突っ込み話でおいちゃんに「オーケンが間違えたなう」ってTwitterに書けばいいでしょ! みたいなことを言っていて、おいちゃんがにこにこしながら携帯電話を操る素振りをしていた。どこだったかなーこれ。
夏フェスの話題が出たからにはってことで「あのコは夏フェス焼け」! そして「暁の戦力外部隊」! 暁の戦力外部隊は途中ちょっとだれたかなー。似たような調子が続く曲だからだろうか。だが「ね!」のコールアンドレスポンスはしやすい。楽しく拳を振り上げられる曲だ。
てっきり次も新曲が来るつもりでいたので「これでいいのだ」が来て驚いた。慌ててタオルを外して備える。そうだ。新曲ツアーと言っても、アルバム収録曲は十一曲なんだから半分はこれまでの曲なんだよな。すっかり失念していた。
家なき子と打点王に入る前、オーケンがギターを始めて橘高さんとおいちゃんのすごさに気付いた話をした。ここのMCも長かった記憶がある。他の話もしたんだっけ。どっかでエンゲキロックのゲスト出演にまつわる裏話もしてくれたはずだが、まぁそれは後でまとめて書こう。話は戻って、そうして「こう!」「こう!」と言いながら早弾きの真似をするオーケン。意図は無いのだろうが馬鹿にしているというかギャグにしているようにも見えて、予想通り橘高さんに突っ込まれていた。
そして橘高さんにリクエストをするオーケン。次の曲はギターのリフで始まると格好良いと思うからやって欲しい、との要望。考えつつも橘高さん、あれとあれとあれを入れてやるから聴いとけよ! とリクエストに応えてギターを奏で始める。「あれ」にはそれぞれ専門用語が入っていたのだがギターを知らない自分は覚えられなかった。だがわからないながらも、格好良かったなぁ…。しかしそれに見入るオーケンの顔芸とオーバーリアクションが…おかしかったなぁ…。さらにギターを弾きながらオーケンに向かってライオンが吼えるときのような表情を向ける橘高さん、橘高さんだけ見ればものすごく格好良いのだが、その正面のオーケンの顔芸との組み合わせのせいで…おかしかった…。
家なき子の見所は何と言っても間奏だ! 案の定、ギターとピアノのバトルに入ると橘高さんはエディのところまでやって来た。自分の位置からはキーボードの音がやや小さく聴こえたのが残念だが、それにしても鬼気迫る迫力。だがゾクゾクと背筋を駆け上る感覚とは違う。待ちわびた心地よいものが体中に染み渡っていく感覚だ。あの音が聴けて良かったと心から思う。
この後が爆殺少女人形舞一号ってんだからたまらない。イントロのピアノはアルバムとは異なる出だしで始まってからアルバムのイントロに繋がった。初めてライブで聴いたときに目を見開き、演奏終了後しばらく拍手が鳴り止まなかったことを昨日のことのように思い出す。つい体を動かすのを忘れて聴き入ってしまった。曲が終わると今日もまた拍手が静かに沸き起こった。筋少を知らない人、興味の無い人にも聴いて欲しい。
今回のレア曲は「子犬にしてあげる」のようだ。再結成してからは初めて演奏する曲らしいが、それよりも、まさかのオーケンの「エア犬の散歩」が復活することになろうとは! 説明しよう! エア犬の散歩とは、オーケンが犬を飼いたがっていた時期に架空の犬と戯れて………やっぱ止めた。…これを生で見るときが来ようとは思わなかった。大槻さん、良い笑顔だったな…。
愛犬家のエディには「犬は咽喉をごろごろ鳴らさない」と突っ込まれたそうである。あ! ここかな? おいちゃんに「オーケンが間違えたなう」って言えばいいでしょってオーケンが言ってたのは。ここだっけ。結局よく覚えてないのだが、間違えたオーケンに突っ込みを入れるネタは二回ほどあったと思う。
「馬鹿で有名なあいつがやって来たー!」とのシャウト、直後に「間違えたー」といくらなんでもこの入り文句は無かったかと後悔しつつ「イワンのばか」へ。オーケンが「失敗した」と言い出したとき、まさか高木ブー伝説が始まるんじゃないだろうなとハラハラしたのだが、イワンで良かったイワンで。馬鹿で有名なイワンで良かった。
イワンの後にロシアンが来たことははっきり記憶している。この並びはすごいなと少し驚いたのだ。さらに「戦え!何を!?人生を!」に続くってんだから恐ろしい。楽器班の咽喉が心配になるセットリストだ。心配になるセットリストだが、「戦え!何を!?人生を!」は大好きな一曲! 今日やってくれて本当に嬉しかった。
この死に物狂いのような全力のコールは心に刺さる。特に後半、橘高さんの叫ぶような声はたまらない。そして感極まったところで奏でられる心を震わすギターソロ。橘高さんのギターソロの中でもかなり好きなものだ。これを今日、間近で目の前で、橘高さんがギターを奏でる姿を見ることができた。ほとんど視界を妨げるもの無しに。嬉しかった。
ツアーファイナルで本編終了、かと思いきやオーケンがステージを去った後、内田さんが「まだ物足りないんじゃないのかい」と言い出した。そしてあまりライブでは馴染みの無いイントロが始まって…。うわあ! 内田さんボーカルのモコモコボンボンだー!
これは貴重! 内田さんバージョンはドスが利いていて…格好良いなぁ……と思っていたらうわああああ! 下手から! やって来たのは! ヌイグルマーならぬキグルマー! リラックマの着ぐるみに身を包んだ大槻ケンヂーーって何だこれ!!
何やってるんですか大槻さん。何でもありですね大槻さん。大好きですよ大槻さん。すげぇ。
そうして本編は終了し、すかさずアンコールを求める拍手が響いてメンバー登場、アンコール一曲目はアコースティックで蜘蛛の糸。うわー嬉しいなー。蜘蛛の糸は初めて聴いた筋少曲だから感慨深い。ここから筋少に入ったんだよなぁ。……ここから筋少に入ったんだよなぁ…。
アコースティックの蜘蛛の糸は歌詞はどうしようもなく暗いのにどこか優しげ。この曲なら第二章の結末を迎えることは無かったのではないか、とぼんやり思った。
「しんみりしちゃったねぇ」とオーケン。じゃあ八十年代の恋人とドライブに行くような明るい曲を! ってことで始まったけど、この曲も結構しんみりするよ大槻さーん! 曲調は明るいけど寂しいよー!
最初の語りはカット。うーん残念だが想定の範囲内。明るい曲調なだけに切なさが際立つが、切なさの余韻に浸る間もなく振り払うように「心の折れたエンジェル」! 「釈迦」! 大いに盛り上がったところでやってくれた! 「ア デイ イン ザ ライフ」!
始まりの機械をかけられたような「アデイアデイアデイ…」の声はそのまま流され、爆発するようにオーケンのボーカルが入る。「霊媒師」のところで一瞬照明が暗くなるのが印象的だった。歌詞を頭の中で追い、終わりが近いことを再認する。この楽しいライブももうすぐ終わり。別れがたい。寂しい。歌声に共鳴したせいか、普段よりも強く別れの寂しさを感じさせられた。
最後の締めと音と共に、アルバムが物語を終えるようにこの空間も終わる。あぁ。終わったんだなぁ。明日もある。明日もあるが今日のライブは終わってしまった。去りがたいのか、ステージでカーテンコールの真似事をしてお辞儀をするメンバーはいつもより長くステージに留まってくれた。楽しそうな表情だった。楽しかったなぁ。
新曲のうちやらなかったのは「捨て曲のマリア」と「ゴミ屋敷の王女」。「ゴミ屋敷の王女」は特に好きな曲なので、明日やってくれないかなぁと希望している。最初に聴いたのは前回のライブだが、気に入ったのはアルバムで何度から聴いてから。これをまたライブで聴いて印象の違いを確かめたい。
他、MCでは、「蔦からまるQの惑星」がデイリーランキングで四位になったことについて。「どうすんの? 筋少また人気になっちゃうんじゃないの? PV撮るのにゾウ来たらどうしよう、ゾウ!」とやたらとゾウにこだわる。そこに橘高さん、「また男と絡まなきゃいけないかもな」と氷の世界のPVについて言及。オーケンにとって、あれは黒歴史のようなものらしい。そりゃな。
はしゃぎながら「筋少に負けるアーティストって…」と馬鹿にしてるんだか自虐してるんだかわからない冗談を言うオーケン。また、橘高さんが、いつかのランキングで安全地帯と筋肉少女帯が並んでいることがあって、「帯」の字が二つ並んでいることから、きっとあちらさんも迷惑していただろうと話していた。
何かのアーティストがスキャンダルで話題になってCDが売れたので、嘘でも良いからオーケンと水野さんが何か写真を撮られれば良かったのに! と橘高さん。するとオーケン、俺は木野花さん萌えだから木野花さんが良いと反論! わはははは。笑った。
デジもの好きの内田さんは楽屋でiPadを使って「iPhoneの予約時間だ!」なることを言って新しいiPhoneを予約したそうだ。本当にiPhone好きなんだなぁ。
ライブではエディコールが巻き起こるのが最早恒例になっているが、今回はオーケンの音頭でコージコールも起こった。しかしサポートミュージシャンのコールはあってもメインメンバーのコールは無い。寂しいね、とオーケン。
エディは毛量が多いらしく、毛穴から三本髪の毛が生えていて、つむじが三つあるらしい。髪の毛をかき混ぜながら「誰かに分けてあげたいよ!」と言ってオーケンが「つむじを三つもらっても困るよ!」なることを言っていた。ちょっとハラハラした。
夏フェスでだったかな。自分は気付かなかったのだが、観客が新しい振りを始めていたらしく、オーケンがそれについて言及していた。オーケンは観客が自発的に始めたと思ったらしい。ところが観客はエディの真似をしていたと主張する。するとエディは「本城にやってって頼まれてやった」と衝撃の告白。何と作曲者本人が考案した振りだった! どんな振りだったんだろう。
エンゲキロック「アウェーインザライフ」では、ゲストで筋少が出演するとき、橘高さんがやけに熱くなってしまい、メンバーに「これは………こうなのか? こうなのか? はっきりしろよ!」と細かく確認していたらしい。橘高さんの真面目な性格が窺い知れるエピソードである。「橘高一座」なる劇団があったら暑苦しいんだろうな、とオーケンが言っていた。
また、カーテンコールでは役者とバンドとゲストが横一列に並んで手を繋いでお辞儀をするのだが、このとき誰と並ぶかがオーケンとしては重要だったそうで、水野さんとソニンちゃんの間が本命、百歩譲って木野花さん、だったのに内田さんと隣になってしまって不満だったと言っていた。さらに内田さんの隣では橘高さんが手を繋いでいて、あっちの方から嫌な空気が流れてきたと笑っていた。わははは。ひっでぇ。
あとこれはどの場面か忘れたのだが、オーケンが頬を膨らませて口を窄めて「ぶるるるる」と言って不満を表明しているのを見たとき、このおっさんは自分が可愛いと言われていることをしっかり自覚しているな、と思った。オーケンファンだけど思った。それにしても四十四歳男性のする動作じゃない。二十歳の女性でもしないのでは無かろうか。やるなぁ。