日記録0杯, 大槻ケンヂ, 日常

2017年12月9日(土) 緑茶カウント:0杯

どうしてか、これまでの人生で仮面ライダーに触れる機会がなく、一度も仮面ライダーを観ることなく大人になった。わりとテレビは自由に見せてもらえて、アニメもたくさん観て育ったのにどうしてだろう。我ながら不思議に思う。

それはあなたが幼少の頃は、ちょうど仮面ライダーが放送されていない期間だったからだよ、と同年代の方に教えてもらったのが少し前。しかしその同年代の方は仮面ライダーを観ている。曰く、再放送を観ていたらしい。

なるほどなぁと納得しつつ、三十一歳の今、映画館でビールを片手にポップコーンを食べながらスクリーンを見上げる。一つ空けて隣の座席にはパンフレットをくちゃくちゃに握り締めた男の子とそのお父さん。「誰々は出ないんだね、最近ドラマで忙しいからかな」と大人のような口ぶりで話す様子が愛らしい。公開初日だが、十八時開始の回を選んだため人がまばらで過ごしやすかった。ざっと見渡してみるに、時間帯のせいか子供よりも大人の客の方が多いようだ。

さて。何故今、わざわざ劇場に足を運び仮面ライダーを観ようとしているのか。どうして今日、自分はポップコーンを食べながらゆったりした座席に身を沈めているのか。答えは一つ、大槻ケンヂが出演するからだ。

まだ言えないけど、みんながびっくりする情報がそのうち公開されるよ、ともったいぶっていたオーケンからその情報がついに公開されたときの驚きたるや。えっ。えっ? えっ!? どうして、何がどうしてオーケンが仮面ライダーの敵役に? 何でまたオーケンが劇場版仮面ライダーに出演を?

オーケンが熱心に俳優活動をしていたならここまで驚くこともなかっただろう。そう、オーケンは過去にドラマや映画に出演したことこそあるものの、あくまでも職業はミュージシャンで作家なのだ。そしてまた、演技が苦手であることを公言している。故に楽しみであり、心配であり、楽しみであり、心配であった。

とにかく劇場に足を運ぼう、と心に決め公開を待つ日々。オーケンファンであり仮面ライダーファンの方から事前におすすめの仮面ライダーを教えてもらったものの、迷いつつもあえて予習をせずに映画を観ることにした。数回劇場に足を運ぶことは目に見えているので、せっかくなら何も知らない状態で観てみたいと思ったのだ。

あぁ、劇場が暗くなる。スクリーンに映し出される東映の文字と岩を打つ海。初めての仮面ライダー。ほとんど知らない仮面ライダー。いったいどんな映画なのだろう。

まず初めに驚いたのは、この世界には「仮面ライダーの成分」なるものが存在するということだった。何だ仮面ライダーの成分って? 仮面ライダーの成分を抽出し、ボトルに詰め、そのボトルをベルトに入れることで変身できるらしい。仮面ライダーの成分……面白い言葉である。

「仮面ライダーの成分」という耳慣れない不思議な言葉を味わいながらも、わっと心が弾んだのは変身シーンの格好良さ! ベルトを操作することでプラモデルの骨組みのようなものが展開し、ガチャンとパーツがセットされて変身する。これはすごい! 一度でもプラモデルを組み立てたことのある人ならきっとわくわくするだろう。そしてまた、このシーンを観た子供もプラモデルに憧れを抱くに違いない。

それぞれモチーフが異なるだけに仮面ライダーによって演出が全然違うのが面白い。なるほどなるほど、今はバッタの要素はほとんど無いんだなぁ。ゲームがモチーフの仮面ライダーは昔懐かしいスーパーファミコンの操作ボタンのようなデザインが胸を飾り、攻撃をすれば格闘ゲームのようなギミックが出て目を楽しませてくれる。どこかのシーンで一度やられたとき、土管のようなものから出てきてコンティニューが宣言されたときは笑ってしまった。

表情や台詞の一つ一つがコミカルかつオーバーで、子供にもわかりやすく演じているようだ。オーケンの演技が浮かないかハラハラしていたが、うまい具合にマッチしていて安心した。高らかに「ファンキー!」と叫び顔を歪めて笑う白い衣装の最上はライブのMC中にハイになってふざけているオーケンのようで、体の半分を失い、じっとりとした雰囲気を醸し出す青い衣装の最上は特攻服に身を包み、暗い歌をシャウトするオーケンのようだった。

オーケンファンとしては、この二人の最上を観たときに全てが腑に落ちた。「何故オーケンが仮面ライダーの敵役に抜擢されたのか」という謎が消えたのだ。パラレルワールドの二人の最上を合体させることで、不老不死の体を手に入れようとする最上魁星。パラレルワールドの二人の最上の陰と陽。ストーリーが先にあり、大槻ケンヂという人物が適任と見出されたのか、大槻ケンヂという人物から二人の最上が生まれたのか、気になるところである。

個人的に好きなのは二つの地球が衝突しそうになるとき、空に逆さまになったビルが映し出されるシーン。現実であればああいった光景が生まれることがないと予測は出来るが、わかりやすく、それでいて面白い画面になっていてとても好きだ。

かすり傷の描写はあるものの、流血シーンや直接的に人が死ぬシーンは無い。とはいえ、ビルがあれだけ派手に崩れたということは、最上魁星は結構な犠牲を出しているよなぁ。

しかし応援してしまう。最上魁星を。つい。何故ならオーケンファンだからだ。

左の席に座る男の子が、身を乗り出して画面を見つめる姿が視界の隅に映る。きっと拳を握り締め、ライダーを応援しているのだろう。あぁ、ごめんよ少年! 君には悪いが己は最上魁星を応援する! 頑張れ最上!!

応援しつつ思うことは、最上はいったいどうやってあのエニグマを作ったのか、ということ。あの資金はどこから出たのだろうか。そう、あのエニグマも格好良い。地球からぐっと手が伸び、近付くもう一つの地球から伸びる手へ、今か今かと渇望するように指先が伸ばされ、ぐっと握り締められた瞬間の美しさ! 思い出されるのは、劇中で崖から落ちそうになるライダーを助けようと手を伸ばすシーン。二つのエニグマが手を握り合うシーンは人類にとっては絶望的とも言える瞬間なのに、何故こうも美しく、感動的な描き方になっているのだろう。

エニグマの登場にもニヤニヤした。タイミング的に映画が先なのだろうか、十月に発売された筋肉少女帯の新譜「Future!」に「エニグマ」というタイトルがあるのである。呪文のような歌詞が並ぶプログレッシブ・メタル。これがまた妖しく格好良いのだ。

しかし最上の野望は潰える。あぁ最上よ、もっとこう、セキュリティーの方にも気を配っていれば。あんなに簡単に侵入される仕組みにしてさえいなければ。侵入されても勝てると驕ってしまったのだろうか。もっと注意深く生きようぜ最上。

襲撃を受けた白い最上が、ライダー達の心のやわらかいところを抉る攻撃を仕掛けたシーンでは、あぁーやっぱりここはきちんと前作を知らないとわからないなぁ、と惜しい思いをした。しかしわからないながらも、アイスがすごく好きな人と共闘し、再度別れるシーンは感じ入るものがあった。あれはソーダアイスかな……。

派手なアクションと爆炎、格好良く心躍る変身シーンに、数々の武器やアイテム、仲間との共闘。バイクでバッタバッタと敵を轢き倒しながら前進するライダーに対し「あれって乗り物じゃなくて武器だったんだな」と笑いつつ、初めての仮面ライダーを堪能した。面白かった。子供向けの作品だからと言って妥協せず、なるべく子供にわかりやすい言葉やシーンを選びながら物語を組み立てているのが素敵だ。例えばひたすらパソコンのキーボードをうるさいくらいカタカタ叩いているシーンとか。若干不自然にも見えるが、あれは「必死で調べている」ことをわかりやすく伝えようとしているのだろう。もう一つの地球が迫ってくるシーンも子供に「パラレルワールド」をわかりやすく伝えようとした結果の描写に違いない。

もしかしたら、この映画を夢中で観た子供も物語の全てを理解しきれなかったかもしれない。パラレルワールドが何だかわからなかったかもしれない。しかし、好きなものについて知りたい気持ちが自然に起こるように、背伸びをしながら物語を理解しようと齧りつく子供は絶対にいる。だからきっと、ちょっと難しいくらいがちょうど良いのだ。

次回は登場人物の関係図も頭に入れて、もう一度この映画を観てみようと思う。その後はそうだな、おすすめしてもらった仮面ライダーオーズを観ることにしよう。

それにしても研究所を追い出される前の最上の横顔が非常に美しかったことと言ったら。ブルーレイが出たら絶対買おう。うん。



日記録0杯, 日常

2017年12月5日(火) 緑茶カウント:0杯

パッと目が覚めたら室内はまだ真っ暗だった。カーテンの外から漏れる明かりも見えない。手探りで置時計を手に取ると、時刻は午前三時半。まだまだ起床には遠い時刻だった。

かすかな音を立てながら加湿器が蒸気を吹いている。己が寝ている間もずっと動き続けていたんだな、と当たり前のことを確認したのは、よく働いてくれているこの機械にいつの間にか親しみを感じるようになったからだろう。ありがとう、君のおかげで咽喉が涸れることなく眠りに就くことができる。

布団から抜け出し、冷たいフローリングの床を爪先立ちで歩きながら台所へと渡る。蛇口をひねり、コップの水を一杯。ぐっぐっと飲み下し息をつけば、カーテンのかからない台所の窓は真っ黒に染められていた。うん、まだ夜だ。程なくして明け方が訪れるだろうがまだ夜だ。

半纏の前をかき合わせながらいそいそと布団に戻り、横になって爪先をこすり合わせる。そしてこぼれる笑い声一つ。ふは。ふはは。いくらなんでもなぁ。

午前三時半。夜も明けぬうちに目が覚めたのは、「さあ今日のおそ松さんはどんな話かなぁ起きてから録画を観るのが楽しみだなぁ」とわくわくしながら布団に入り、わくわくしたまま眠りに就き、わくわくしすぎて起きてしまったため。置時計を手に取った瞬間、通常であればまだまだ寝られることに気付いてハッピーになれるはずなのに、「よし! おそ松さんの最新話を観られるぞ!」と意気込んで起きてしまったために、うん。がっかりした。

水を飲み、気持ちを落ち着けて布団に入る。こぼれる笑いは一つ。ふは。ふはは。いくら楽しみだからって。いくら楽しみだからって! 三十過ぎの大人にもなって、遠足前夜の小学生のような真似を!

とはいえ、これだけ楽しみに思えるものを持てるのは幸せだ。うん。ハッピーだよ己は。とても。



日記録0杯, 日常

2017年12月2日(土) 緑茶カウント:0杯

いくらなんでも、ここ最近で悪化するにも程があるんじゃないか? と不安を抱いて門を叩いた本日。眼科の待合室で中島らもの「永遠も半ばを過ぎて」を読みながら、己はじりじりと時が来るのを待っていた。

結果。眼病ではなかった。しっかり検査してもらったが異常はなかった。ただ急激に視力が落ちただけだった。落ちた由縁はわからない。

眼科を出てその足で眼鏡屋に行く。最近はもう、パソコンに写る画面の文字を追うことすら苦難を強いられ、テレビを観るには三十センチの距離まで画面に近付かないと詳細がわからない。一メートルの距離では細かいところが何も見えないのだ。ちなみにこの眼鏡を購入したのは二年前。たった二年でここまで変わるか。

たった二年でここまで変わるか、と思ったのは、眼鏡屋の店員も同様だったらしい。「一気にここまで上げるのは禁忌レベルなのですが」「本来であれば、間にもう少し度の弱い眼鏡を挟んで、目が慣れてから希望の度数の眼鏡に替えるのが理想なのですが……」と言いよどむ。えっ。そこまで? 段階を踏まねばならぬほど己の視力は下がっているの? すげーなこれ。すげーな。

感心している場合ではないが、感心しつつ新しい眼鏡を作ってもらった。そうして眼鏡をかけてみてびっくり。快適な視界。鏡を見てびっくり。レンズを通して映る輪郭のズレッぷり。レンズが以前よりもだいぶ分厚くなるとは聞いていたが、ここまで印象が変わるとは。はー……。驚きながらしみじみ眺めた。

しかしここまで視力が落ちても問題なく生活できるとは。視力矯正器具の発達に感謝である。これがなければまともに生活することなどまず叶わないだろう。ありがとう眼鏡屋。ありがとうレンズ。おかげで今日も漫画と小説とアニメなどなど、いろいろな娯楽を楽しめる。至福。



日記録0杯, 日常

2017年11月28日(火) 緑茶カウント:0杯

じぃ、とハサミを見つめながら考えること数秒。結局手に持つそれを使用することになるのであるが、できることなら使わないでおきたい、と思うのは自分が花粉症だからである。

まつげ。目に入るほこりやゴミを防ぐための防御壁、フィルター、ガーディアン。長ければ長いほど、量が多ければ多いほど良いとされ、マスカラにまつげパーマにつけまつげにまつげ美容液、眼科に行けばまつげを伸ばす専用薬が販売され、非常にありがたがられているまつげ。しかし同じような機能を持ちつつも、全く別の扱いを受けている体毛がある。だって鼻毛パーマもつけ鼻毛も鼻毛美容液も、ましてや鼻毛を伸ばす専用薬なんぞもこの世には存在しないのだ。

長ければ長いほど良いまつげとは対照的に、ただの一本でも見えていたら哀れみの眼差しを受けてしまう体毛・鼻毛。こっそりと「伸びてますよ」と耳打ちされたり、黙って手鏡を渡される名前を言ってはいけない毛。

我思う。この鼻毛こそ、長ければ長いほど美しいと世間一般に認識されていたら、と。どうしてか。何故なら自分は花粉症だからだ。花粉症だからなのだ!

伸びたら困る故に切る。エチケットだから切る。しかし、切ったら確実にくしゃみが増えるのである。鼻がムズムズするのである。即ち、防御壁が、フィルターが、ガーディアンが薄く弱く頼りなくなり、外敵の進入を許してしまうのである。そう、花粉という外敵を! ちくしょうめ、花粉症でさえなければ何も気にする必要がないのに、何だって鼻毛に対して「惜しい」という感情を抱かねばならぬのだ! 悔しい! 悔しいがわかっている! 絶対に伸びっぱなしにしていた方が楽なのだ! 花粉症患者としては!!

あぁ、自らの首を絞めねばならない悲しさよ。だが仕方がない。黙ってそっと手鏡を渡される哀しさを己は避けたいのだ。
そうして眉間に皺を寄せながら、仕方なくハサミを取るのである。あぁ。



未分類0杯, M.S.SProject, 非日常

昨日は居住まいを正してオーケストラを聴き、今日はペンライトを振り回してライブを楽しむ。音楽を楽しむ点こそ共通するものの、随分色が変わるものだ、とその違いの楽しさを噛み締めながらふわふわと帰路に着いた。

もしかして新譜発売記念ツアーかしらん、と期待したもののそういった告知はなく、しかしライブがこうして定番化したのは嬉しいなぁ、と思っていたら新曲発表のサプライズがあり、いやーもうこういうのってどうしたって嬉しくなっちゃうからね。きっくんの発表にわあっと盛り上がって、黄色に輝くペンライトを高々と掲げたのだった。

いろいろな意味で面白いライブだった。それは個人的なことも大きく影響する。ちょうど一ヶ月前に筋肉少女帯の新譜「Future!」が発売され、それから家にいる間は寝るときと風呂に入るとき以外、ひたすら「Future!」を聴き続ける生活をしていた。移動中もエンドレスリピートしていて、「Future!」以外の曲は何も耳に入らない状態をほぼ一ヶ月間続けていた。それはそれほどまでにそのアルバムに魅入られ取り付かれたためであるが、ふと冷静になってみるとまるで中毒患者の如く夢中になって聴き続けていたと思う。

そうして昨日、平沢進の楽曲をカバーするオーケストラに行ったとき。久しぶりに「Future!」以外の曲を聴いて、ざぁっと景色が広がるような、かつては知っていたのにすっかり忘れていた色彩を思い出したような、不思議な感覚に囚われたのだ。あぁ、そうだ、自分はこういった音楽も愛してるんだ! と視界が開けた感覚があった。

しかし家に帰ってからはまた「Future!」「Future!」「Future!」で、お前は中毒患者か何かかよ、といった勢いでエンドレスリピートし、今日、M.S.S. Projectのライブに行って。オープニング映像でわははと笑い、ほほうとゲーム実況を眺め、幕間動画で「わかるわー川崎と言ったらヴェルディ川崎を連想するわー」とうんうんと深く頷き、音楽ライブが始まった瞬間。パキッと目の前の空間にヒビが入り、ガシャンと勢い良く割れて、「あ、そうだ、これ! 好きなやつだ!!」と世界が広がる感覚を抱いた。それはまるで洗脳を解かれたかのような感覚。いや、洗脳されていたわけじゃあないんだが。好きな音楽を自発的に聴いていただけなのだが。ただ、あまりにも囚われていたので。

一つのアルバムに囚われている状態で他のミュージシャンのライブを楽しめるだろうか、という小さな不安が胸の底にあったが、杞憂であったとわかって嬉しい。そうだ、そうなんだ。自分は好きなものをいくつも持っていて、その一つを堪能できる日が今日なんだ!

屈託なくわははと笑えるのはとても幸せなことだと思う。特に今回のライブのオープニング映像は実に凝っていて素晴らしかった。メンバーのそれぞれが担当の色を持つM.S.S. Projectは確かに戦隊もののそれに似ている。しかしまさかあそこまで本格的に、着ぐるみの怪人と爆薬を用意して演出しようとは誰が想像できただろう! 各人が変身するときの決め台詞も面白く、中でもeoheohの「自然が憎い! グリーン!」という台詞には腹を抱えて笑ってしまった。変身して衣装をチェンジしたのに、もともと着ていた衣装がきちんとハンガーラックにかけられていて、変身を解くために普通に着替える演出も面白い。あの草がわさわさ生えた空き地にハンガーラックが置いてある光景だけでも笑いを誘うのに、時間をかけていそいそと着替えるシーンが挿入されては笑わないわけがない。

オープニングの後はゲーム実況タイムへ。今回プレイされたのはドット絵が懐かしいアクションゲームと「地球防衛軍」の二つ。アクションゲームの方はプレイしたことこそないものの、慣れ親しんだ画面だったため楽しんで観ることができた。キャラクターを選択し、四人同時に戦って勝者を決める単純な内容だ。最初はサッカーの会場が舞台で、ゴール前でサッカーもせず殴り合いをするなんて不思議なゲームだな……と思っていたら、シュートを決めたら他のプレイヤーにダメージを与えられるシステムだとわかりびっくりした。なるほど、ちゃんと意味があったんだな。

二つ目のゲームは「地球防衛軍」。これは十年ほど前に友人の家で観たことがあってぼんやり知っている気分であったのだが、思っていたのと全然違うゲームでびっくりした。記憶では人類が巨大なアリに立ち向かうゲームだったような気がするが、アリもいるがもっとすごい化け物もいて、人類の方も何か格好良い姿になっていて、「あれ? どっちかって言うとカルトなゲームだと思っていたけどもしかして違うのか……?」と混乱した。

ゲーム実況が終わり、メンバーがステージからいなくなると幕間動画へ。以前にも書いた記憶があるが、こういう動画を用意してくれるのは非常にありがたい。待ち時間にも楽しませてくれようとする彼らのサービス精神に感謝である。

内容は川崎のヒーローと怪人を各々作り、勝者を決めようというもの。あろまほっとが描いたのは干し柿を持ったラガーマン、KIKKUN-MK-IIは右肩に川崎フロンターレ、左肩にヴェルディ川崎のマスコットをつけたラモス瑠偉。あー、小学校の頃ラモスの大ファンだったんだよなぁ自分……としみじみ。で、この二名がヒーロー。怪人を描いたのはFB777とeoheohで、FB777はやたらパースのきいたかりんとう饅頭の化身に、eoheohは湘南の……言わぬが花でしょう。「(モチーフに)有名人多すぎねぇ!?」という突っ込みがなされ、様々な裏切りの挙句、最終的に勝ったのはあろまほっとの描いたヒーローだった。ちなみにこのヒーローにも「けんぷファー」というモチーフがあるらしいが、詳しくないのでわからなかった。

そしてついに、音楽ライブへ! ちなみに本日のセットリストはこんな感じだ。わからないものもあるがご容赦を。


かっこいいインストゥルメンタル(知らない曲)
ENMA DANCE
ボーダーランズのテーマ
Egoist Unfair
THE BLUE

Glory Soul
Phew!
KIKKUNのテーマ

WAKASAGI
ReBirth
M.S.S.Party
M.S.S.PHOENIX(新曲)

~アンコール~
L4Dのテーマ(ダンス)
M.S.S.Phantasia
We are MSSP!


全体的に定番曲で固められたセットリストであったが、その中に「WAKASAGI」「ReBirth」、そして新曲「M.S.S.PHOENIX」があったのが嬉しい。二曲目の「ENMA DANCE」ではあろまほっととeoheohによるマリオネットのパフォーマンスも。

「ボーダーランズのテーマ」はライブでしか聴いたことがないのにコールの一部を覚えてしまった自分自身にびっくりしつつ、思いっきりペンライトを振り、「ぶっとばせーー!!」と叫ぶ楽しさよ。そうだそうだ、ぶっとばせー!!!!

「Egoist Unfair」を聴いて思ったのは、初めてライブで聴いたときよりもずっと声が出るようになっているなぁ、ということ。嬉しい発見である。これはどうにも歌いにくそうな印象があったのだ。

「THE BLUE」で視界が青色に染められるのを楽しみつつ早口の初音ミクの歌唱に聴き入る。この日自分は二階席で、「立ち上がらないでください」と指定された位置であったために腰を下ろしたまま観戦していて、立ち上がりたい衝動に何度駆られたかしれないが、この美しいペンライトの海を堪能できるならまぁいいか、とも思った。

「Glory Soul」はあろまほっととeoheohが剣を取って戦う演出があり、実に海賊らしくて格好良かった! 映像演出も素晴らしい。ステージに設置された大画面に映るのは舟の舳先と大海原に、青い空。まるでステージが甲板であるかのように見えるのだ。いいなぁ、こういうの。楽しくならないわけがないよなぁ。

「Phew!」では一転、草原が映し出され、パントマイムを演ずるあろまほっとeoheoh、そして最後ゾンビに襲われる二人。襲い掛かるゾンビが映像に映し出されることで、この和やかで楽しい曲がゾンビ曲だったことを思い出す。しかし何でこれがゾンビ曲なんだろうなぁ。

毎度お馴染み「KIKKUNのテーマ」はいつだって楽しい! 黄色いペンライトを振って「きっくん! きっくん!」と叫ぶときの多幸感! シンプルイズベストってこのことだなぁ、とつくづく思う。特にきっくんファンにはたまらないだろうなぁ。

「川崎」に似ている曲を……ということで始まった「WAKASAGI」は、己の大好きな一曲で、今日この日にフルで聴けたことがたまらなく嬉しい。「M.S.S.Phantasia」が発売されたとき、何度エンドレスリピートしたことだろう! この曲の他には何も音楽を知らない、と思われるほど聴いていた。キュートな歌詞とFB777の伸びやかな歌声がたまらなく心地良いのだ。

前半は声が出づらい様子もあったが後半はのびのび歌っていて、あぁ、聴けて良かったなぁ嬉しいなぁ……と思っていたら「ReBirth」まで! これも大好きで、初音ミクの歌声を今まで「音」と感じていたのに、「声」として聴き取った初めての曲なのだ。この曲のとき、あろまほっととeoheohが絵を映し出す光る棒をくるくる回していて、その演出がまた可愛らしくて、心がふわっとなった。

「M.S.S.Party」で盛り上がり、本編最後の一曲は新曲「M.S.S.PHOENIX」。曲に入る前にきっくんが新曲の披露をサプライズで発表しようとしたものの、うっかり自分で曲名をバラしてしまうシーンがあり、FB777がフォローすることで時間を巻き戻す寸劇も発生して微笑ましかった。「M.S.S.PHOENIX」はきっくんの曲かな? ロックテイストの楽曲に思えた。

アンコールでは驚いた。拍手に呼び込まれステージに登場するサポートメンバー。真っ暗な視界。しかしいつの間にかM.S.S. Projectのメンバーもステージに待機していたらしい。パッと放たれるスポットライトの中心にFB777、KIKKUN-MK-II、あろまほっと、eoheoh。そして四人が息を合わせて踊り出す! わっと湧き立つ会場! 「ゾンビ!」と叫ばれる合いの手! これには本当にびっくりした。

彼らが音楽ライブとは違うライブを行っていることは知っていて、そこでダンスを披露していることも耳にしていた。しかしそれを目の当たりにしたのは今日が初めてで、ゲーム実況と言うインドアな取り組みからスタートしたとは思えない動きとアクション。一挙一動が全て揃っているわけではないものの、ここに至るまでの努力を思うと計り知れないことは予想される。だって、己は彼らとほぼ同年代で、ここ最近がっつり体力の低下を感じているんだぜ。すごいよ、本当に。

「M.S.S.Phantasia」で楽しく盛り上がり、「We are MSSP!」で締め。毎度のことながら、カラフルなテープがバーンと空間に放出され、舞い落ちる様のなんと美しいことか。二階席の目の高さまでテープは昇り、その影は脇の壁に色濃く映った。揺れながら落ちる影を目で追って、カラフルに染まる会場を見下ろして、あぁ、綺麗なものを観ると心が洗われるなぁ、と思った。

最後は写真撮影をしておしまい。あの写真に写る光の一粒が、もしかしたら自分かもしれない、と思うと嬉しい。名残を惜しむようにステージに残ったメンバーは客席に結んだタオルを目一杯投げた。eoheohとKIKKUN-MK-IIのタオルは二階席に届かんばかりの勢いで、それを目で追うのも楽しかった。

ということで非常に楽しかったのだが、一つだけ、一つだけ! あろまほっとさん、あの、下顎なくなったじゃないですか。いや、チャンネル放送で下顎がなくなった件は知ってたのだが、生で改めて見るとやはり寂しい。いやでも髪型変えるようなもんか。改造だもんなぁ。

そのうえで気付いたこと。あれは般若というよりも骨に近い印象を己は抱いていたらしい。言うなれば、ポケモンのカラカラのような。漫画「BLEACH」のアランカルの面々のような。顔の上に乗るドクロの仮面。あれが実に格好良いなぁと思っていたようだ。そうして今、下顎が無くなってちょいと寂しいなぁと思っている。人間の顎を覆う骨の顎、あの構造って結構魅力的じゃあないかしら。そんでもって今の下顎を落とした姿は、般若と言うよりもマスカレードのそれのようで、また印象が変わるなぁと感じるのである。

ちなみに自分は週に一度一週間分の常備菜を作ることを習慣にしていて、その際にM.S.S. Projectの面々が飲み食いしながら喋っている動画をラジオ代わりにすることが多い。調理にはおよそ二時間かかるので耳で楽しむのにちょうど良いのだ。あの動画、良いよね。