日記録1杯, 非日常

2014年9月23日(火) 緑茶カウント:1杯


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スカイツリーに行ってきた。関東に点在する三人が急遽集まって遊ぶことになり、全員が集まりやすい場所としてスカイツリーが選ばれたのである。候補として上野動物園も上がったが、上野は馴染みの場所ということもありスカイツリーツアーが組まれることとなった。友人の一人はお昼前に集まりたいと希望しているので、己は下記のような提案をした。

「それじゃあお昼前に集まって、スカイツリーのソラマチでお昼を食べるのはどうだろう」

すると友人は言う。「そんなおっしゃれーなことして大丈夫? 俺達死なない?」

スカイツリーとはそんなお洒落な場所だったのか、としばし考え込みつつ、「我々はお洒落軍団なので死にません」というハイパー適当な返事をしてスカイツリーツアーを決行することとなった。

結論から言うと三人全員が生きて返った。死ななかった。それどころか本気で遊んで遊んで遊びつくした。ソラマチを巡る途中で今日は共通の友人の誕生日プレゼントを選ぶことをミッションにしよう! と一人が言い出してあれこれ歩きながら真剣に探し、展望台を登り、はるか下を通る車の小ささ、点にしか見えない人の小ささに興奮し、ガラスの床を歩いてくらくらし、チーズケーキを食べ比べして、夜は三千五百円もする親子丼のコースを食べ、またソラマチをぶらぶら巡り、その間ふざけた話を喋りに喋りに喋りつくし、ちょっとだけ真面目な将来の話もしたのだ。

ものすっごく楽しかった。

メンバーが大学のサークル繋がりで、卒業後もちょくちょく連絡を取り合っている。気の置けない仲の友人だ。それでいて会うたびに思うのだが、距離が近くスキンシップが多い。もともとサークルの仲が良く、男女問わず腹肉をつまみ合ったり肩を組んだりしていた間柄だったのだが、今日も会った直後に頭をポンポン叩かれ、いきなり手をつかまれて意味なく万歳をされ、待ち時間の間にひざかっくん、背後から首を掴むなどなどスキンシップの多いことと言ったら。ただ立っているだけでも三人ぴったり寄り添うようで、あれ? 自分達はこんなにもパーソナルスペースが狭い人間だったか? と思うほどだった。しかし決して不快ではなく、むしろ居心地が良いのである。

次に会うのは共通の友人の結婚式で、じゃあ離れた土地だし、三人で同じホテルとろうぜ! 皆一緒の部屋にしようぜ! と盛り上がり、とはいえビジネスホテルに三人部屋は無いためシングルプラスダブルという形になるのだが、この会話だけでも楽しくて楽しくて、強い多幸感の中この日記を書いているのである。



未分類0杯, 筋肉少女帯, 非日常

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あぁ、素晴らしき多幸感。

やっぱり筋肉少女帯のライブは自分にとって特別なものだ。刷り込みと言っても良い。「格好良い!」「素晴らしい!」「気持ち良い!」「何て楽しいんだ!」と思うライブを己はいくつも知っている。しかし、「しっくり来る」のは筋少のライブだけのようなのだ。一番しっくり来て、あぁこれだ、とずっと欲しかったものを与えられたかのような感覚。自分にとってのライブの原点が筋少なのである。

今日はデビュー二十五周年記念最後のライブで、二十六周年へと突き進む、新たな旅路へ向かうライブである。ライブの中でオーケンは、今後の活動のネックとして「ボーカルオーケンの老人化現象」を冗談のように挙げ、ファンがネットでオーケンをおじいちゃんと呼んでいることを知っていると告白し、傷ついた傷ついたガラスのハートが傷ついたと嘆きつつ、オーディエンスに「おじいちゃーーーん!」コールをさせた。そして同時に、「四十五年後」という途方も無い数字を出して、未来への活動を示唆してくれたのである。

自分の好きなバンドやミュージシャンは自分より二十三十年上の人ばかり。だからたまにふっと先を思って悲しくなるのだ。十年後二十年後、自分が中年になったとき、活動をし続けてくれているミュージシャンがどれだけいるのだろうと。ライブに通う楽しみを持っていられるのだろうかと。だからこそ、今日のオーケンの発言は、例えファンサービスの一貫だとしても嬉しかったな。

開演SEは「21世紀の精神異常者」。これも刷り込みで、自分にとっては筋少のライブの始まりを知らせる鐘のような存在だ。筋少のライブでは必ずこのSEが流れるわけでは無い。だからこそ、これを聴くと気分が高揚し、とてつもなく嬉しくなるのである。

そこから始まったのが「サンフランシスコ」。あぁ、もうたまらないったら。

「サンフランシスコ」は橘高さんのギターとエディのピアノの鍔迫り合いが最大の見所だが、内田さんのベースソロも見逃せない。筋少は楽器が多いため、ベースの存在が他の楽器に比べるとあまり目立たないのだが、「サンフランシスコ」ではスポットライトの当たるベースソロがあるのである。この歪んだ音がたまらなく格好良い。紫のライトに照らされた内田さんは、朴訥とした印象のある人だが、一転、いつもこのベースソロでは艶かしく見える。それは何か、まるで普段見えないある一面が炙り出されたかのようだ。

このあたりでおぼろげなセットリストを記しておこうか。順序に間違いがあるやもしれないがご容赦を。


サンフランシスコ
アウェーインザイラフ

暴いておやりよドルバッキー
飼い犬が手を噛むので
労働者M(内田さんボーカル)
カーネーション・リインカーネーション(おいちゃんボーカル)

君よ!俺で変われ!
これでいいのだ

香菜、頭をよくしてあげよう
Guru
ワインライダー・フォーエバー

ツアーファイナル
バトル野郎~100万人の兄貴~
機械
イワンのばか

~アンコール~

新人バンドのテーマ
中2病の神ドロシー
釈迦
トリフィドの日が来ても二人だけは生き抜く


嬉しかったのは「飼い犬が手を噛むので」「暴いておやりよドルバッキー」、驚いたのは「カーネーション・リインカーネーション」。「飼い犬が手を噛むので」をライブで聴いたのは初めてで、イントロを聴いたとき、何が始まったのかわからなかった。ライブではあまりに耳慣れないものだったので。

ライブアレンジとして「素敵な審査員の皆さん」でメンバー紹介。おおー、筋少メンバーに審査されるのか、と思いつつ聴いていると、ラストに何と「日本青年館に来ているあなた達」も素敵な審査員に加わり、バーンと終わった。「ダメな奴はダメだよーーーー!!」と言う叫びは無く、あれ、これライブの流れとしては面白いけど、ストーリー的には良いの? 叩き潰されるべき我々が素敵な審査員の列に加わっちゃって良いの? と思った。

あと、「飼い犬が手を噛むので」で、エディが曲中にパイプ椅子を持って歩いて橘高さんの横にどっかり座り、橘高さんのギターソロをじーっと見て、ソロが終わったらまたパイプ椅子持って今度はおいちゃんの横に移動して、おいちゃんに背を向けて何もない下手を眺めていた。その他でも今日のエディは一段とフリーダムで、奇怪な動きに気付いて目が釘付けになることが多々あった。

「暴いておやりよドルバッキー」はひそかにずっと聴きたいと思っていたので、始まったときの興奮たるや! あの「バッキーバッキードルバッキー」の、内田さんの野太いコーラスが耳に心地良くて大好きなのだ。とても満足した。

そういえばドルバッキーで、オーケン変声器使ってなかったね、今回は。

さて。最近のライブではオーケンが途中でステージから脱出し、代わりに他のメンバーが歌う形が定型化されているが、今回は内田さんが「労働者M」を、おいちゃんが「カーネーション・リインカーネーション」を歌ったのだが、おいちゃんのカーネーションがとても素晴らしかった。

と言うのも、自分は「カーネーション・リインカーネーション」が大好きで、それこそライブのたびにやってくれても構わないが、大好きなので出し惜しみして欲しい、という厄介な欲求を抱いているほど。だから今日、オーケンじゃなくおいちゃんが歌うと聞いて、瞬間がっかりしたのである。あぁ、せっかくのカーネーション、オーケンのカーネーションを聴きたかったな、と。

ところが。始まりと同時にがっかりは消し飛んだ。おいちゃんの「カーネーション・リインカーネーション」が凄まじく良かったのである。

あの低い声がバツグンに合うのだ、そして間奏では声をひそませ、だんだんとボリュームを上げていき、最後に弾けるような声でシャウト。オーケンの歌い方をなぞるのではなく、おいちゃんならではのアレンジが入った「カーネーション・リインカーネーション」。背筋が続々した。

「Guru」は人気のわりに、自分はあまりグッと来ず、何となく筋少ファンの中でアウェーを感じる曲なのだが、背もたれに体重を預け、ゆったりとしながら脳を空っぽにして聴くと、純粋に音が心地良かった。

そうだ。そういえば今日のオーケンは咽喉の調子が良かったように思う。「アウェーインザライフ」の「ホームに変えろ!」の箇所は、ライブでは低音で歌うことが多かったが、今回はCDのように! 高音でシャウトしてくれて、それがとても嬉しかったんだ。無論、現在の自分に合わせて歌い方を変えるのはありだと思うが。それでも嬉しかったんだ。

MC中もやたらと高音を張り上げる箇所があったので、今日のオーケンは絶好調だったのかもしれない。

MCで印象に残った箇所は、何かの拍子か、突如オーケンと内田さんが、お互いに「オーケン」「うっちー」「オーケン」「うっちー」と呼び合い、それが非常に楽しそうだった。オーケンはその流れで、「中学の頃、ディクシ! と言って相手の二の腕を抜き手で突くのが流行って、それをやろうとしたけど、五十なのでやめました」と言った。そこに内田さんが「ディクシやってくれよ」と言い、オーディエンスからも「やってー!」と言う声。照れ笑いするオーケン。それを誤魔化すかのように「五十からはBL禁止!」と宣言するオーケン。オーケンの言うBLって何だかよくわからんなぁ。

大人になってもあだ名で呼び合える友人ってのは、貴重なもんだな、と改めて思った。大事にしないといけないね。

そうだ。あと、メンバー紹介のとき、今まではオーケンがメンバーを紹介し終わった後、自分で「ボーカル大槻ケンヂー!」と叫んで締めていたのだが、橘高さんや内田さんが「ボーカルオーケンー!」とオーケンの代わりに紹介してくれるようになっているのが、何だかグッと来たな。

五年前の武道館のときか。正直自分は、デビュー二十周年ったって、そのうち八年間は活動休止していたよなぁ…と思っていたんだ。二十分の八は結構大きい。しかし二十五分の八になったら八もだいぶ薄まって。あぁ、そのうち活動休止していた八年間なんて、誤差の範囲に感じられる日が来るのかもしれないと。メンバー同士のやりとりを観ながら思ったのだ。

秋には新譜が出る。ツアーも発表された。まだまだ活動は続く。あぁどうか、全員が全員、ずっと健康で、楽しくやってくれますようにと、終演SEを聴きながら思った。



未分類4杯, ROLLY, 大槻ケンヂ, 谷山浩子, 非日常

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出演者はROLLY、大槻ケンヂ、谷山浩子。大槻ケンヂは言わずもがな大ファンであるし、谷山浩子も大好きで、ROLLYについては突っ込んで聴いたことは無いものの、ROLLYと谷山浩子とのバンド「からくり人形楽団」のアルバムは、「谷山浩子の楽曲がロックになったら面白いだろうなぁ」という夢想を実現してくれて、そりゃあもう素晴らしかったし、たまにテレビで見かけるそのキャラクターも好きである。いつかきちんと聴きたいものだと思いつつすかんちにまで手を広げられていない状態というか。そんな自分が、この三名が同じステージに立つと聞いたら行かないわけが無いだろう。

ところで。実はこのコンサートについての詳細を把握していなかったため、てっきり谷山浩子が二人を招いたのかと思っていたのだが、逆だったことを会場で知った。「東京うたの日コンサート」という催しが毎年あり、ROLLYとオーケンがここ数年は恒例で出演していて、両名の共通の知り合いということで谷山浩子がゲストに招かれたという流れだそうだ。

さて。今日のライブの感想はと言うと。非常にゆるゆるとゆるかった。

前半はゆったりしながらもサクサク進んだが、谷山さんが退場し、ROLLYとオーケンが二人でステージの椅子に腰をかけた途端、コンサート会場はまるでオーケンのトークイベント「のほほん学校」のような雰囲気に化け、二人の話はいつまでも止まらない。昔の音楽番組の話やら雑誌の話やらでいつまでもゆるゆる盛り上がるのである。

またROLLYがすごい。話が突拍子も無く、繋がったような会話をしつつも繋がっていない、ということがたびたびあるのだ。そこで突っ込みやら笑いが起き、遠回りしつつ元の話に戻ったかと思えば、またぶっ飛んだ方に話が戻ってしまうのである。どちらかと言うと順序良く話すイメージがあったので驚いた。

すごいと言えば、今日ここに来るまで谷山さんは、何の曲をやるか聞いていなかった、という話もすごい。いつかのオーケンと石川さんのコンビ「ケンヂ浩司」のライブが行われた際も、石川さんは当日まで何をやるのか何も聞いていなかったそうだが、まさか谷山さんまでとは思わずこれには本当にびっくりした。

さらに。何と三人揃ってリハーサルしたのは当日の今日が初めてだったそうで。そんなわけで今日は、出だしを間違える、やり直す、といった巻き戻し作業が何度と無く発生した。一回のライブでこんなにやり直すのを見るのは初めてだったと思う。

とはいえそれで空気が険悪になることも無く、それはそれでアリでしょう、気楽にやりましょ、とでも言うような、ゆるゆる~とした肩の力が抜ける、まるでぬるま湯に浸かってまどろんでいるような心地良いライブであった。

客電が落ち、ステージに現れたのはオーケン一人だった。オープニングSE無しでほてほてと歩いてステージの中央へ。ギターを肩から下げ、のほほ~んとした空気のまま口を開き吟じ出す。「二日酔いのぉぉ~、無念極まる僕のためぇ、もっと電車よ、真面目に走れーーーーーッ!!」

えーーーーーーっ!!? アコースティックでスラッシュ禅問答やるの!?

マジかよどうすんだよ何これ、とびっくりしていたら始まったのは「死んでいく牛はモー」だった。弾き語り中、オーケンはたびたび変なタメをつくり、生まれる無音の空間に笑いが生じる。テレビのオーケンしか知らない人は「大槻ケンヂってこんな人だったんだ…」と驚いたかもしれない。

歌詞は「春はそこまで~カム~」の部分だけすっぽ抜けていた。全体的に馬鹿っぽい歌詞だが、「カム~」は中でもとりわけ馬鹿っぽくて気に入っているので、消失したことが印象に残っていたので覚えていたのだ。

続いてタンゴ、オンリー・ユー、香菜、ノゾミ・カナエ・タマエをオーケンが一人で歌う。オンリー・ユーと香菜は順序が逆だったかもしれない。オンリー・ユーについては先日水戸さんのライブで、水戸さんとオーケンが歌うロックなオンリー・ユーを聴き、「そうだよこれが聴きたかったんだ!!」と大いに感動したばかり。そして今日は聴き慣れたゆったりとしたアコースティックなオンリー・ユー。やっぱり、「君の子供生んでみたい!!」と男性視点で叫ぶ熱情の歌は、ロックバージョンの方が個人的にはしっくり来るなぁ、と思った。

オーケンはステージに上がる際、いつものようにオープニングSEを流す予定だったのだが、谷山さんに「そのまま入ればいいのよ~」と言われ、「え、あ、はい」と今日はSE無しでほてほて歩いてステージに上がったことを語った。なるほどそれでふら~っと入ってきたのか。SEが無いだけでのほほん加減が増すから面白い。

これは光栄なことに谷山さんがすごく気に入ってくれた曲なので、今日やります、という前置きの後始められたのが「ノゾミ・カナエ・タマエ」。おお、これを今日も聴けるとは嬉しい。意外とこの曲、筋少のライブでもあまり聴いたことが無いんだよなぁ。

それにしてもオーケン、本当ギター上手になったな…。アコースティックなオーケンを観る機会が少ないとはいえ、観るたびに上手になっている気がする。すごいものだなぁ。愛だなぁ。

「ノゾミ・カナエ・タマエ」の後、谷山浩子が登場! 待ってました! まさかまたこの二人がステージに立つ姿を観られるとは…。嬉しいことがあるものだよ。

オーケンと谷山さん、二人で歌ったのは「戦え! ヌイグルマー」と「機械」の二曲。オーケンがギター、谷山さんがピアノを弾き、二人の声が重なり合う。

前回オーケンが谷山さんの「猫森集会」にゲストとして招かれたとき、ほんの二、三曲歌う程度だと思っていたらたくさん歌うことになってびっくりした、というエピソードが話され、だから今回は僕の歌を歌っていただきます、という前置きで始まったと記憶している。また、谷山さんの「機械」がとても素晴らしいので、これは是非僕のファンに聴いてもらいたい、という内容のことも。オーケン、筋少のライブDVD「4半世紀 LIVE」の特典についていたオーディオコメンタリーでも谷山さんの「機械」を絶賛していたものなぁ。

ただ、「機械」も素晴らしかったが、谷山さんの歌う「蜘蛛の糸」も鳥肌ものだった、ということをここに明記しておく。あれは是非、どこかで音源に残して欲しい。筋少の「蜘蛛の糸」は「熱」だが、谷山さんの「蜘蛛の糸」は、ピアノの音もあいまって、とても冷たい印象で、その違いがまた面白いのだ。

谷山さんのノゾミ・カナエ・タマエも聴いてみたい。いつか聴けないだろうか。

ここでオーケンが退場し、谷山さんがステージに一人立つ。今回の「東京うたの日コンサート」は最後に「暗黒編」の仮題が付いているので、そんな曲を探してみました、と言って「SAKANA-GIRL」。

「SAKANA-GIRL」を歌い終わった谷山さんは、「これはよく、人間を食べる歌なの? と聞かれることがあるけど違うんです。男の子が、スーパーかどっかで買ってきたパックに入っているムロアジの開きか何かに、”何故君は僕を見ない…”ってぶつぶつ言いいながら食べる歌です」と言ってた。谷山さん、それカニバリズムよりも怖いです。

続いて「鳥籠姫」「卵」「終電座」。「鳥籠姫」はよく「ウーロン姫」と読み間違えられるそうで、カラオケでも「ウ」の欄に入っていたこことがあったそうだ。

「終電座」が聴けたのは嬉しかった。前回の猫森集会でオーケンは「終電座」も歌いたかったのだが、当時カラオケに入っておらず、練習が出来ないため見送られたらしい。ところが、その話が広まった影響かカラオケでリクエストがどんどん集まり、今は配信されているとのこと。と、いうことはいつかオーケンの歌う終電座が聴けるかもしれないということだろうか。よし、期待をして待とう。

それにしても谷山さんはCD音源とのブレがほとんど無いというか、声が安定していてすごいなぁ…。何度か水を飲みつつ咽喉の調子を整えている姿が見られたので、もしかしたら咽喉の調子が良くなかったのかもしれないが、それを感じさせない声だった。

「終電座」を初めて聴いた人はあの物語にきっと衝撃を受けたことだろう。あぁ、その反応を見たい。と思いつつ、次に入場するはROLLY! 人生初の生ROLLYである。口ひげをつけて頭には黒のシルクハット。からくり男爵の姿である。格好良い!!

ROLLYの持つ楽器はギターシンセサイザー。マイクに向けて出した声を増幅させ、ギュンギュンと歪ませながら音に変えていく。すおぎなーハイテクだなーと思いつつ始まったのは「ねむの花咲けばジャックはせつない」。この曲の谷山さんの歌声がやけに可愛いと思っていたので生で聴けて嬉しかった。

次は、まだ聴いたことの無い曲だった。確か冒頭で「The March Of The Black Queen」をROLLYが遊びで少し弾いたかな?

確かこの後谷山さんが退場し、ROLLY一人に。ROLLYの曲はほとんど知らないのでわからなかったのだが、歌が上手くて華のある人だと思った。それでいてキュートである。よし、今度すかんちのCDを聴いてみよう。

印象に残ったのは「ROLLYちゃん♪」と歌う何やら愛らしい歌と、アヴェ・マリアにROLLYがオリジナルの歌詞を載せたもの。手塚治虫の漫画「ザ・クレーター」の主人公の視界を歌った曲、だったかな。曲の始まる前に「ザ・クレーター」の物語の粗筋が語られた。地球の滅亡を月面で見守る人類最後の男の曲である。

ROLLYのソロが終わって、今度はオーケンが入場。ここからがすごかった。急にステージがのほほん学校の空気になり、トークがいつまでも止まらない。そのうえ、谷山さんがいないことを良いことに結構な下ネタが飛び出す。いや、でもROLLYはこの後谷山さんが入場してからも下ネタ叫んでたな…。

この二人で歌った曲はルパン三世の曲が一つと、後を覚えていない。カバーだったような気がする。

そうそう。このときROLLYはオーケンのギターを弾いていて、「このギターすっごく良い」とROLLYが絶賛。するとオーケン、「そのギターは僕以外の人が弾くと良い音がするんですよ」と自虐。それに対しROLLYは「いや、上手になったよ!」とオーケンを褒め、「いや~下手なギターですよう」と謙遜するやりとりが観られた。

歌詞カードを離して見るROLLYに、オーケンが「見えなくなってきましたか」と尋ねると、ROLLYは「そうだよ~大槻君より年上だからね」と言って、その流れで眼鏡の話に。オーケンは言う。「俺はずっと眼が良くて、最近見えなくなって眼鏡をかけるようになったんだけど、レンズが薄いの。するとね、ずっと眼鏡をかけてる人達が僕に眼鏡貸してって言って、かけて、鼻で笑うんだよ!! こんな度が低いの? 何も見えないよ? って感じで!」と。あぁ、それはわかる。目が悪いことなんて別に自慢することでも何でも無いんだけどね。つい見えないことを自慢してしまうんだよな…。

谷山さんが入場し、ステージに三人揃う。谷山さん交えてのトークという名のゆるゆるとしたおしゃべりはさらに続き、谷山さんとオーケンが知り合ったきっかけについて話された。オーケンの弾き語りライブのゲストに六角精児さんが出演するということで、谷山さんは六角さんを目当てにライブを観に行った。すると「こんなにゆるくて良いんだ」と驚くほどのゆるゆるした雰囲気で、その雰囲気とオーケンの曲「ノゾミ・カナエ・タマエ」を気に入り、谷山さんが自身のライブ「猫森集会」のゲストにオーケンを招いたことで、繋がりが出来たのである。

ただ、谷山さん、それまで親交こそ無かったものの、人に勧められて筋肉少女帯のアルバムは聴いたことがあったそうだ。そして、歌詞カードが縦書きになっているのを見て、「良いな~」と思って縦書きの歌詞カードを真似たのだと言う。縦書きと言うと、「サーカス団パノラマ島へ帰る」だろうか。

これを聞いていじけ出したのがROLLYである。突然谷山さんのことを「谷山様」と呼び始め、「大槻君は、今まで谷山様と親交が無かったって言っても…良いじゃないですか! アルバム聴いてもらえてたんだから! 僕なんか…」

曰く。谷山さんのライブのゲストとして、ROLLYはどうか、とスタッフから聞かれていたそうなのだが、当時谷山さんはタレントとしてのROLLYしか知らず、断り続けていたらしい。それを聞いて大笑いするオーケン。「タレント風情が! 私のライブのゲストになんてってことですか!」と大げさな口ぶり。ROLLYはROLLYで「谷山様が! 谷山様が!」とこれまた大げさにいじけ、谷山さんは「あああ~違うのよ~」と、その姿はまるで調子に乗ってふざける後輩を落ち着かせようとする部活の先輩のようで、ここは本当に面白かった。

三人揃って歌ったのは谷山さんの「フィンランド」。このフィンランドのゆるゆるっぷりがすごかった。オーケンとROLLYはわかるところしか歌わないという潔さ! 三人揃って合わせたのは今日が初めて、というのもある意味納得である。でももうちょっと練習しても良かったんじゃないか…と正直思った。

フィンランドの後はカバーで、「亜麻色の髪の乙女」と、街の片隅で膝を抱えてる人を柔軟体操無しで海に放り込む歌だった。海に放り込む歌を歌い終わった後、「そんな膝を抱えている人をいきなり海に連れ出しちゃいけないよね」と語る三人が、いかにも非体育会系といった感じで非常に親近感を覚えた。何でこの曲を選択したんだろう。

アンコールが起こったが、持ち歌が終わってしまったということで、挨拶をして終演。三時間オーバーの非常に内容の濃いライブであった。体感では四時間くらいあったなぁ。またこの三人でのライブを観たいものである。そのときにはもっとROLLYの曲を知っている状態で参戦したいものだなぁ。

そうそう。オーケンとROLLYが昔の音楽番組の話をしていたとき、オーケンの口から「P-MODEL」という単語が出てちょっと興奮したんだった。思わぬところから思わぬ名前が出ると喜んでしまうね。

余談だが、万が一谷山さんと平沢さんが組んだらすごく面白いだろうなぁ、と密かに思っている。自分の中では谷山さんと平沢さんは同じカテゴリーに入っているのである。これもまた、なかなか無いだろうが、いつか観てみたい。



未分類0杯, 水戸華之介, 非日常

水戸さん、五十二歳のお誕生日、おめでとうございます!!

水戸さんによる、毎年恒例お祭りイベント「不死鳥」に行ってきた。これまでは三月の開催が常であったが、去年は五月、今年は六月と、だんだんと後ろ倒しになっており、その理由は水戸さん曰く、年々一年が早くなっているせいで、体感では六月の開催で間違いないそうである。ただ誤算だったのは六月が梅雨の季節ということで、本日も奇しくも雨。「お足元の悪い中ようこそおいでくださいました」というお言葉をいただいた。

不死鳥では毎回ゲストが呼ばれるが、今年は大槻ケンヂ、橘高文彦、アキマツネオの三人で、何と筋少メンバーの四分の三が集うという人選である。ここまで来たら何故おいちゃんがいないのかと思うほど。水戸さんファンであり筋少ファンである自分にとっては盆と正月が一緒に来たようなライブである。いやーもう期待したね。絶対楽しいに決まっているからね。

この日の自分にとっての目玉は、橘高さんの「幽霊」と、オーケンの「ONLY YOU」だ。

ゲストは橘高さん、アキマさん、オーケンの順で入場。ゲスト同士の被りはなく、一人が退場したら一人が入場、という流れ。この日はてっきりオーケン橘高さん参加で「サイクリング」をやると思っていただけにこの順番は意外だった。サイクリングも聴きたかったなー。

ところで。不死鳥のお約束と言えば入りの「映像」である。毎回、メンバーが入場する前に、スクリーンでその日限りの面白映像が流されるのだ。これは色々な事情があるので、DVDには収録されない。ライブに来た人間だけが楽しめる趣向である。今回は水戸さんの衣装が忍者ということで、「仮面の忍者 赤影」をごにょごにょした映像が流された。場内大爆笑である。

そして! 映像の終了と共にメンバーがステージに現れ、スクリーンが上がるとその裏に控えるは忍者姿の水戸さんと、赤影を思わせる赤い衣装に身を包んだ踊り子の二人! して、始まるはしょっぱなからファンキーナンバーでくのぼう! 「でっでっでくのぼー!」と叫ぶのが実に楽しい。

次が意外な曲で「庄屋の倉」に、さらに意外な一曲「愛のパロディ」。「庄屋の倉」は忍者っぽい曲を探した結果、ようやく見つけたそれっぽいものということだった。

今日のセットリストはほとんどアンジー。アンジーじゃない曲は水戸さんソロの「ふたりは」だけかもしれない。3-10Chain名義のものはゼロだったはずだ。そのうえで、アンジー曲の中でもレアなものが多かった。このセットリストには何か意味が込められているのか、気になるところだ。3-10がゼロというのも珍しい。

個人的にはレアな曲が聴けて嬉しかったのだが、ちょっと乗りづらかった印象を抱いている。レアな曲が多いのもあるが、緩急がつきすぎていた。盛り上がったかと思えば落ち着いた曲になりの繰り返しで、客席が爆発するまで時間がかかったように思う。爆発したのは後半で「天井裏から愛をこめて」が始まったときだ。このときまで前後左右に空間がたっぷりだったのが、いきなり客が前方に殺到し跳ね出すという事象が発生したのだ。「天井裏すごすぎるだろ…天井裏って何なんだ…」とそのとき自分は思っていた。

一人目のゲスト橘高さんを呼び込む前、水戸さんは誕生日について大してこだわりが無いことを語った。自分の誕生日なんて下手をすれば忘れるほどで、メンバーもあまり誕生日に関心が無い、そんな中で唯一、誕生日に強い関心を抱く人間がいる! という流れで呼ばれた橘高さんは、何と、両手から溢れるほどの立派な薔薇の花束を抱えてステージに登場し、祝いの言葉を述べながら水戸さんに差し出した! 流石である!

笑いながら花束を受け取る水戸さんは、誕生日に薔薇の花束をもらったのは初めてと語り、橘高さんも、誕生日に薔薇の花束を贈ったのは初めてと語った。そのうえで「水戸さんの初めての男になれて光栄です」と橘高さん。水戸さんはステージのどこかに薔薇の花束を置こうとしつつも良い配置が見つからず苦心をし、床にそのまま置こうとする水戸さんに、「何だったら(楽屋に)下げてもらって構わないですよ」と橘高さんは気をつかうが、どうにかしてステージに置きたかったらしい水戸さん、花瓶を探したりしつつも、最終的にはベースアンプの上に乗せるかたちで落ち着いた。うーん、見れば見るほど立派な花束だ。

せっかく橘高さんに来てもらったので、ギターをたくさん弾いてもらおうと思った水戸さん。何だったら最初から最後までギターソロ弾いてても良いよ、ということで選曲された曲が一曲目だったのだが、これ、聴いたことが無かった…。そうか、まだ水戸さんの曲の中にも知らない曲があったのかと思いつつ、そうだよよく考えたら自分、まだアンジーの「@」を手に入れられてないんだよ。探しても見つからないんだよ。何て曲なんだろうこれ…と思いながら、確かに最初から最後まで弾きまくっている橘高さんを見ていた。

二曲目は橘高さんがギターだけでなく、ボーカルとしても活躍する「誰だ」。この曲に入る前、橘高さんがアルバムにギター&ボーカルで参加していたのに、ギターをクレジットするのを忘れてしまい、サーッと血の気が引いたという話を水戸さんがしていた。うん。それは血の気も引くよな…。自分もこのアルバムを買ったとき、橘高さんのクレジットが無いことに気付いて、「えっまさかボーカリストとしての参戦…? いやでも、これ、橘高さんのギターソロ…だよなぁ……?」と混乱したものなぁ。

ビブラートを利かせた橘高さんの「誰だ」は最高に素敵だったが、それ以上に! それ以上に格好良かったのは「幽霊」だ! 三曲やってくれるとは思わなかっただけに喜びも一入で、その一曲が大好きな「幽霊」だなんて! こちらは完全にギタリストとしての参加で、橘高さん独特のメロディアスなギターが実に美しく格好良く、たまらなかったよ。本当に。

橘高さんが退場した後はアキマさんが入場。今日が水戸さんの誕生日と知らされていなかったらしく、橘高さんのようにお祝いを持って来られなかったことを悔やんでいるというか、何かすみません……というような感じだった。いや、橘高さんが特殊なんですよ。この場では。

アキマさんと水戸さんのMCで最高に面白かったのが、「不死鳥Rec.」のアルバム収録にあたり、水戸さんから曲データを送ってもらったのだが、今まではCDに焼いたものをもらっていたから簡単だったのに、そのときから宅ファイル便でデータを送られるようになったせいで、データのダウンロードがまず出来ず何度も失敗するし、ようやくダウンロード出来たかと思えばCDに焼けないしで苦労の連続。最終的には、昔の子供がラジオから流れる曲を息を潜めてテープレコーダーに録音したのよろしく、パソコンから流れる曲を録音してCDに焼いて練習したのだそうだ。

会場は爆笑。そこにアキマさん。「でも! 次にやるロックンロールな曲のデータを送ってもらったんですけど…ステレオで、片側しか入ってなかったんですよ! だから水戸さんも、俺と同じように、息を潜めてパソコンから流れてくる曲を片側だけ録音して、それを送ってきたんですよ!」と発言。笑いながら水戸さんは「片側だけなんて、そんなはずはない!」ということを言うが、「お母さんの声が入ってましたよ! 華ちゃん、ご飯だよーって」なる作り話をアキマさんが畳み掛ける。もうここんとこすごく面白かった。

そのロックンロールな曲はアンジーの「ロックンローラー」で、これもなかなかレアだったなぁ。

次のゲストは大槻ケンヂことオーケン。ほてほてと現れ、水戸さんと話し出すと止まらないトーク。最近の若いバンドの名前がすごいという話やら、ライブをやると近所で知り合いがライブをしているという話やら、何でバンドマンはこの年になって何十年も付き合いのある知人と手を繋いでバンザイしなければならんのか、などなど、もう喋る喋る。一気に空気がのほほん学校になってしまうからすごいものだ。

とはいえ延々と喋っているわけにもいかないので曲に入りましょうということで、一曲目は水戸さんのバラード「ふたりは」。これはアコースティックライブでは客いじりの定番曲で、この歌のときは必ず水戸さんが客席を練り歩きながら、客の頬を撫ぜたり手にキスをしたといじりまくってくれる。かく言う自分も顎に手を添えられくいっと持ち上げられたことがあった。あれはなんつーか、めっちゃ照れた。

今回は客いじりなしで全力で歌う二人の姿が見られ、随分気持ち良さそうに歌っているなぁ、と思っていたら実際かなり歌っていて気持ち良いらしく、オーケンは気に入っているようだった。弾き語りしたら良いじゃないですか大槻さん。

次の曲は「不死鳥Rec.」でオーケンがゲスト参加した「蝿の王様」。オーケンの「ボランティアじゃねーぞ!」が前回のライブのときよりも様になっているように聞こえた。

で。オーケン参加曲はこれで終わりだと思ったんだよね。

ところが。「蝿の王様」の途中、曲調が変わり、あれ、と違和感を抱きつつも耳を澄ますと聴いたことのあるイントロ。…え、と思う間もなく始まったのはばちかぶりの「ONLY YOU」! しかも! ロックバージョン!!

脳が爆発するかと思った。

自分の知らなかった欲望に気付いた瞬間である。自分はこれまで何度か、オーケンの「ONLY YOU」を聴いたことがあった。それはのほほん学校で聴いたことが主であり、全てアコースティックバージョンであった。自分にとってオーケンの「ONLY YOU」はアコースティックしかなかった。オーケンのカバーアルバムでロックバージョンを聴いたことはあるものの、生ではアコースティックバージョンしか聴いたことが無かったのだ。

オーケンが叫ぶ声を聴いたとき、全身に電流が走る感覚があった。それは筋少の歌い方に近く、それでいて長年歌ってきたこともあり、ぐっとこなれていて、様になっており、非常に格好良く、そこに水戸さんの歌声が入り、もう言葉にならない豪華さであった。

あぁ、自分はずっと、ロックバージョンの「ONLY YOU」が聴きたかったのか、知らなかったなぁ、と感慨深く思うと同時に、自分は「筋少」のオーケンが一番好きなんだなぁと思った。

このようにしみじみ思っていたのだが、オーケン、「ONLY YOU」が終わる頃「水戸ちゃーん! おめでとー!」と叫びながら綺麗にはけようとしたのだが、これ、「蝿の王様」から続く短いメドレーで、つまり「ONLY YOU」が終わった後「蝿の王様」に戻るんですよ。それを忘れていたようなんですよ。ものすごく盛り上がる流れのはずなのに、繋ぎで爪弾かれるベースのベンベン言う音が響く中、引き戻されるオーケン、引き戻す水戸さん、気付くオーケン、笑う水戸さんと、妙に和やか~な空気になってしまった。あれはおかしかった。

ちなみに。終演後サイン会があり、買ったばかりのCDにサインをしてもらいながら、「ONLY YOU」が聴けて嬉しかったことを水戸さんに伝え、ここはDVDに収録されるのか聞いてみたところ、「聞いてみないとわからない」ということで、もし許可を得られなかったら流れ的に次の不死鳥DVDではオーケンは「ふたりは」だけ歌って退場することになるようである。是非許可が下りて欲しい。切実に。

ゲストが退場した後はロックメドレーの流れで、ここだったかな? 「祈り」「霧の中」「灰色の恋は溜息」を聴けたのは。どれも大好きで、それこそ二週間ほど前は、ずっとひたすらひたすらアンジーの曲ばかり聴いていたことがあり、そのときひたすら聴いていた中の一つがそれぞれだったので、たまらなかったなぁ。

「天井裏から愛をこめて」で爆発し、最後は「遠くまで」だったかな。これがまた、切ないんだよなぁ。

アンコール一曲目は「すべての若き糞溜野郎ども」で、このとき水戸さんがペットボトルの水を口に含む、プーーーッと霧の如く噴出したものが結構かなり口に入り、特に嬉しいも嫌もなく普通に飲み込んだのだが、ファンとしては「やったーーーーー!!!!!」と大喜びしながら飲み込むべきなのだろうか……と若干思案した。

最後の最後はゲスト全員揃っての「アストロボーイ・アストロガール」。このとき、入場時にオーケンが蝋燭を一本立てたケーキを持ってそろりそろりと現れ、ハッピーバースデーの大合唱の中、水戸さんが火を吹き消すという楽しいイベントが起こった。オーケンがケーキを持つ姿は見事なまでに似合わなかった。

「アストロボーイ・アストロガール」で大いに盛り上がって終演。ちなみに橘高さんとアキマさんはアンコールのためにわざわざ着替えていて、その衣装の強烈さは凄まじく、間に挟まれる水戸さんが異空間から連れて来られた人のようだった。ちなみにオーケンは着替えてなかった。

やっぱりライブは良いなぁ、と思いながら帰路についた。水戸さんは今年で五十二歳と言うことで、思えば父と六つしか違わないのだが、きっと水戸さんならまだまだ楽しませてくれるに違いない。まずは手に入れたこの新譜を楽しませてもらうこととしよう。あぁ、楽しかったし、まだまだ楽しみがある。有難いなぁ、と切に思った。



未分類2杯, 筋肉少女帯, 非日常

最高のお祭り騒ぎだった! 何てったって、何てったって、何てったって、「ペテン」を! 聴けたんだよ!!

イントロが始まったとき、「マジで!? ウソ!! うわああああああああ」と叫びが口をついて出た。昨夜のライブで「ペテン」が演奏されることを知っていたが、ライブが発表されたとき、己は既に別のライブのチケットを手にしていた。その選択を後悔してはおらず、心の底から「行って良かった!!」と思い、存分に楽しんだが、いつかまた、「ペテン」をやってくれんかなぁと思っていたのだ。復活前に筋少を知って、何度も何度も繰り返し聴いた曲の一つが「ペテン」で、強い思い入れがあったのだ。どうしてもいつか聴いてみたかったのだ。

その「いつか」が来たのである。思いもがげず、ものすごく高速で。その機会はやって来たのだ。そりゃあ叫ぶよ。叫んでしまうよ。叫んでしまったよ!

そしてもちろん、「ペテン」で終わらず、その後も次から次へと興奮する事象がやってきたのであった。

以下はセットリストである。正直、ちょっと「ツアーファイナル」と「俺の罪」の位置に自信が無い。後半は多分合っていると思う。

サンフランシスコ
モーレツ ア太郎

ツアーファイナル
ペテン
俺の罪(オーケン&内田さんボーカル、メインオーケン)

スラッシュ禅問答(橘高さんボーカル)
ロシアンルーレット・マイライフ
日本印度化計画

スクリーン降臨~ライブ発表~ブルドッグ映像公開~新譜制作決定発表!

リテイク
孤島の鬼(サンダーユーの演奏)

機械(ゲスト:妖精帝國)

マタンゴ(シスベリ筋少/ゲスト:横関さん太田さん)
キノコパワー(シスベリ筋少/ゲスト:横関さん太田さん)
中2病の神ドロシー(ゲスト:太田さん/横関さん退場)
イワンのばか(現筋少/太田さん退場)

~アンコール~

電波ブギー(ゲスト:河塚さん)
仲直りのテーマ(オーケン着席のかわいいバージョン)
ドナドナ
釈迦

個人的目玉は念願叶った「ペテン」、橘高さんボーカルの「スラッシュ禅問答」、降臨するスクリーンとブルドッグ映像と新譜発表、「リテイク」、「孤島の鬼」、太田さんの語りから始まる「キノコパワー」、太田さんドラムの「中2病の神ドロシー」、そして激しい演奏の中椅子に座ってにこにこしながら頭をコテンコテン左右にゆっくり振りつつ甘えた口調で歌うオーケンの「仲直りのテーマ」。うーん、目玉だらけだ。

まず今日は登場SEが「21世紀の精神異常者」だったのも良かった。これはもう、パブロフの犬が如くテンションが上がる。気分が高揚する。その高揚した気分をさらなる高みへ押し上げる一曲目が「サンフランシスコ」! これはもう、後先考えず爆発するしか無い。

続いて二曲目は「モーレツ ア太郎」! 予想外の一曲に嬉しさが爆発した。大好きなんだよ! 特に、復活後のゴージャスなバージョンがたまらなく好きなんだ。歌詞も良い。狂えばカリスマ、吼えれば天才、死んだら神様、何もしなけりゃ生き仏! このフレーズを聴くたびにその皮肉っぷりにゾクゾクする。ライブでは大抵組み合わせが滅茶苦茶になっているのが若干残念だが、これはもう仕方が無い!

「モーレツ ア太郎」が終わった後のMCで、オーケンが「この曲いる?」「短いし、歌詞もモーレツア太郎って叫ぶだけだし」と言っていたとき、全力で「いるよーーーー!!!!」と叫んだのは自分である。いらないわけが無いじゃないか!

「ペテン」はもう、前述の通り、イントロを聴いた途端驚きと喜びで一杯になって、自分はこの世で一番ラッキーな人間なんじゃないか、と勘違いしそうになった。原曲の女性コーラスのところはオーディエンスが担当するが、オーケンが歌詞の頭を口にして先導してくれる。失礼を承知で言うが、その先導してくれている歌詞は合っているのだろうか、とつい思ってしまった。つい。

感無量だったなぁ。

何で自分はこの曲をこんなに好きなんだろう。それは「生も死も全てペテン!」という言葉に表されるように、今までの何もかもが幻だ、と突き放される喪失感と同時に、「死んだと思ったペテン師が生きていた」ように、再生・復活の暗示が含まれているからだと思う。つらいことや悲しいことがあっても、それすらペテンであり、覆される可能性があるという、回りくどい希望がそこに隠されているのだ。

このように思い入れたっぷりなのだが、聴いてみたら意外とふつーに「イワンのばか」や「トリフィド」と言った他の定番曲と溶け込んでいて、重苦しい感じも無く、楽しく清清しく聴くことが出来た。これはやはり、「再生・復活」を経た後だからこそかもしれない。凍結前、「生も死も全てペテン!!」と言い切った直後に聴かされたとしたら、受け取り方も違うだろうなぁ。

「スラッシュ禅問答」の前でお酒の話になり、昨夜レア曲満載のライブをやったおかげで普段よりお酒を呑めなかったことを告白し、「普段より飲まなかったこと」を橘高さんに褒めさせるオーケン。褒めてあげる橘高さんはというと禁酒を始めてから一滴もアルコールを口にしていないということで、そんな橘高さんにオーケンは「もう二日酔いの気分なんか忘れちゃったでしょ?」と振る。すると橘高さんは、「いいや覚えてる!」と反論。ここまで、ただのおもしろMCかと思っていたら、オーケンが「じゃあ、二日酔いってどんな気分だったの?」と振る。あ、これは、とここでようやく気付いた。

叫ぶ橘高さん。「二日酔いの、無念極まる僕のため、もっと電車よ真面目に走れ!!!! って気分だよ!」

直後、びっしりピックを貼り付けたマイクスタンドを手にステージの中央に駆けつけるスタッフ。その前に立つのはもちろんその大量のピックの所有者、橘高文彦である! スラッシュ禅問答をメキメキメキメキ早弾きしながらビブラートを利かせた声で歌う歌う! あんなに指先が高速で動いていて、そのうえであの歌を歌えるってどういうことだ………と思わず見入ってしまった。圧倒される光景だった。橘高さん何かもうすっげえ働いてるって思った。阿呆な感想だが。

袖に引っ込んでいたオーケンが戻ってきて「ロシアンルーレット・マイライフ」。この曲やるの久しぶりだなー。今回はアウトロ前で退場しようとするオーケンの小芝居は無かった。代わり……ではないが、曲中、エディが前に出てきて、おいちゃんのポジションでコサックダンスを披露してくれた。

「皆さんに残念なお知らせです。日本が印度になってしまいます」という変な入りで始まった「日本印度化計画」の後にMC。告知があるということだが、「他のバンドはスクリーンがドーンと出てきて告知が入るのに、筋少は紙ペラ一枚!」「裏に黒のガムテープを貼って透けないようにしてる紙だけ!」と大げさに愚痴る。毎度の自虐ネタにワハハとオーディエンスも沸き立つが、今回はいつもと違った。

何と、本当にスクリーンが下りてきた!!

上手と下手の壁に二つ。まるでUFOに遭遇したかのように沸き立ち、歓声が上がり、口笛まで吹かれる大盛り上がり。ちなみにこの段階ではまだ白いスクリーンが下りてきただけで、告知内容は一切表示されていない。純粋にスクリーンの登場に対して興奮しているのである。あまりの盛り上がりっぷりにオーケンも苦笑して「あのね、これくらい若手のバンドでも出るからね」と言っていた。

スクリーンの映像にオーケンが生でナレーションを入れるという筋少ファンにとっては豪華な仕様で、まずは次回のライブ日程が公開され、さらに次なる予定を公開!! と溜めに溜めて流されたのが、まさかのレア映像。「筋少メンバー四人によるブルドッグ」であった。

いつかの「のほほん学校」で筋少メンバー全員がゴム紐を使い、「ブルドッグ」のカラオケパフォーマンスをしたとのことで、そのときの映像である。この映像が公開されることについてメンバーがどこまで知っていたのか謎なのだが、内田さんは「全部流しやがった……」と毒づいていた。無論オーディエンスは死ぬほど盛り上がった。

「あ~面白いものを観た~面白かった~」と映像終了後ほのぼのしかけたところでついに本当の告知がなされた。内容は「今年秋、新譜発売決定!」というもの。ブルドッグ以上に歓声が上がった。自分も飛び上がった。皆が皆、雛鳥のようにぴよぴよ言いながらわーわーきゃーきゃー喜んでいて、それを見るおいちゃんの表情は嬉しげに見えた。あぁ、もう嬉しいなぁ。ずっと待っていたのだから。ブルドッグも嬉しいが、この告知こそを己は待ち望んでいたのだよ!

このふわふわした空気を一変させたのが「リテイク」。「少しシャンソン風に」ということで始められたのだが、演劇を観ているような迫力があった。歌というよりも語りに近いという点も大きいだろう。ちなみにものすごくどうでも良いが、助監督は退場していた。

次の「孤島の鬼」もすごかった。オーケン、おいちゃん、橘高さんが退場して、内田さん、エディ、長谷川さんのトリオ「Thunder You Poison Viper」による演奏。エディ曰く「筋少の曲をやってほしいと大槻に頼まれた」そうで孤島の鬼がセレクトされたそうだ。歌は無く、内田さんとエディによる「よいしょ」の掛け声だけが入る。序盤はアレンジが入りつつも耳慣れた「孤島の鬼」に近い形で、中盤から名残を残しつつも大胆に変形し、全く別物になりつつも、「孤島の鬼」として認識出来る素晴らしいアレンジだった。あの奇しい孤島が徐々に崩壊していく様を見せ付けられるようだった。

「機械」では妖精帝國の二人がゲストとして参加。ボーカルのゆい氏はデーモン閣下のような設定があるらしく、「○○なのだ」という口調で、敬語が使えないようで、ものすごく喋りづらそうに喋っていた。同期と後輩以外を相手にこの設定を貫き通すのは骨が折れそうだ……と余計な心配をしてしまった。ちなみにギターの紫煉氏は本来喋らない設定のようなのだが、オーケンに「喋っちゃいけないんだっけ」と問われ、「じゃあ喋ります」とあっさり設定を覆していた。ここで設定繋がりで、橘高さんが永遠の二十四歳であることをネタにされていた。

「機械」はゆい氏とオーケンのツインボーカル。女性の声が入ると印象が変わるなぁ、としみじみ思った。そして筋少の歌を筋少メンバー以外が歌う姿を観るのは、何やら不思議で面白い。

ゲストタイムはまだまだ続く。ここで横関さん、太田さんが登場し、おいちゃんと橘高さんが退場。SISTER STRAWBERRYの筋肉少女帯の再現である! うわーうわーうわーうわー。うわー!

まずは「マタンゴ」! トラブルにより横関さんのギターが鳴らないというアクシデントが起こり、一旦始めからやり直したが、「こういうのも八十年代っぽいよねえ」とオーケンが言っていてほのぼのした。とはいえほのぼの出来るのも束の間である。直後、怒涛のマタンゴがやってくるのだから!

自分の立ち位置からは横関さんが非常に良く見えて、指の動きも間近で見ることが出来た。頭の悪い感想だが、指がものすっごく動いていた。というより、激しい曲の中で思考を巡らす余裕が無かったというのが本当のところである。

「マタンゴ」の後、オーケンが「太田明ーーーーー!!!」と大声で名前を呼ぶ。それに応えて太田さんが台詞をつむぐ。

「昔ある歌手は遠くへ行きたいと歌って喝采を浴びたが、遠くへ逃げたいと歌う僕をシスターストロベリーは恥じているようだった」

「え、嘘?」と思ったのが正直なところである。直後、「うわー語ってくれた!」と非常に嬉しくなった。「マタンゴ」「キノコパワー」「ララミー」のどれかをやると思っていたので、「キノコパワー」は予想の範囲内だったが、この台詞まで再現してくれるとは! 無論自分は活動凍結中に筋少ファンになったので、今の今までこの台詞を生で聴いたことが無かった。昨今、「キノコパワー」が演奏されることがあってもこの台詞は無かったし、セルフカバーされたときにもこの台詞は入ってなかった。だから、自分にとっては遠い昔のものになっていたのだ。それが現代に蘇ったのである。

つくづく、何が起こるかわからんなぁと思った。「キノコパワー」終了後横関さんが退場し、太田さんとオーケン、内田さん、おいちゃん、橘高さん、エディで「中2病の神ドロシー」。レコーディングの際に太田さんがドラムを叩いてくれた曲である。この一年、ライブで何度も演奏されてきたが、太田さんがドラムを叩いたのは今日が初めてだ。うーん、感無量。

本編ラストは現在の筋少の編成で「イワンのばか」。定番の盛り上がりで締めくくられた。

アンコールでは飛び入りゲストで河塚さんが登場! おおー! そういえば自分が初めて観た筋少のライブのドラムは河塚さんだったんだよなぁ。原点に返った気分である。そして演奏されるのは「電波ブギー」!

河塚さんのドラムは「ドンシャン!」という音が一つ一つくっきりしていて、音がでかく聴こえた。長谷川さん太田さんより目立つ音がでかい気がする。結構好きだ。

「電波ブギー」が終わった後、オーケンが「次は激しい曲だけど、座りながら歌いたい」「あじゃん(河塚さん)に背中を押して欲しい」と謎の要望を出す。慌てるあじゃん様。「俺がこのライブの行く末を決めるんですか!?」

そしてあじゃん様に背中を押され、椅子に腰掛けたオーケン。いったい何が始まるんだ………と見ていたら御馴染みのイントロが始まり、「仲直りのテーマ」に! これがすごかった。

オーケンは椅子に膝を揃えてちょこんと座り、マイクを両手で持ち、首を左右にコテン、コテンと倒し、にこにこ笑いながら「仲直りのテーマ」を歌った。怒涛のコーラスと弾きまくりのピアノと、打ち鳴らすドラムと奏で上げるギターの嵐の中で。

内田さんが近寄ってきたとき、「いやいや~拗ねてちゃいやですよ~」と内田さんに向けて手をイヤイヤ振り、にっこにこしながら「心を素直に~本当は大好きなんだよね~」と正面を向いて歌っていたのがやけに印象に残っている。どこのMCだったか忘れたが、オーディエンスに向かって「筋少が大好きなんだろー!」と言っていた場面があって、これはまあ単なる感想なのだが、最近のオーケンは以前より「好かれている」ことに対する自信を持っているように思える。慢心じゃなくて自信。故に、それを素直に口に出せるというか。

頭の上に両手を掲げ、○を作ったり、ハートを作って胸から頭上に掲げたり、可愛さを前面に押し出した「仲直りのテーマ」は、歌い方も普段と違った。通常バージョンが「本当は大好きなん、だよ、ねえ!!!!」であるところが、「ほんとはだいすきなんだよねっ♪」になっていた。全体的に平仮名である。ロックの演奏の中でお歌をうたっているようだった。

椅子から立ち上がっての「ドナドナ」はいつもの歌い方に戻り、そのままド定番の「釈迦」で締め。最後、ゲストは登場しなかったが、筋少メンバーは普段よりも長い時間ステージに残り、追い出し曲に合わせて歌ったりふざけたりしていた。ほのぼのと終わりつつ全体を見返せば目玉ばかりの大盤振る舞いで、満足感たるや相当のもの! 確かにこれは「フェス」である。次回の開催を心待ちにしたい。