未分類0杯, 筋肉少女帯, 非日常

久しぶりにきっついライブであった。潰された。とにかく潰された。よって本日は記憶がぶっ飛んでいる。あらゆることを覚えていない。

本日の公演はチケットがソールドアウト。そのためか珍しく、開演前に前に詰めるよう指示が出され、ぎゅんぎゅんに詰め込まれる。リキッドルームで開演前に前へ詰めてぎゅんぎゅんになった記憶はないのでここでやや己は驚いた。後ろにどれだけの人が来ているのだろう。開演後、動く余地はあるのだろうか。

そこでついに待ちに待った開演! 「大都会のテーマ」をSEにメンバーが登場し、一曲目は「レジテロの夢!」そして「ムツオさん」へと続き、初っ端からヒートアップ。「球体関節人形の夜」ではタオル回しと折りたたみが発生し、ぎゅんぎゅん前に詰め掛ける人人人、そして折りたたみによる大波小波。前半は正直、翻弄されっぱなしであった。

さらに周りを屈強な男性と屈強な女性に囲まれて、囲まれるだけならまだ良いがめっさ潰される。頭の上に腕が乗るのは良い。良いのだが、そこから「ぐぐぐぐぐ~っ」と力を込めて頭を潰していくのである。明らかに意思を持った力である。さらには横の人がわざわざ肘を真横に突き出し、己の首や顔を「ぐぐぐぐぐ~っ」と圧迫する。顔を正面に向けられないわ上からも圧迫されるわとひどい有様。流石に耐えかねてやや後方に移動したがそこもなかなかハードな場所で、とにかく最初から最後までしんどかった。久しぶりだなぁ、ここまでしんどい状況は。

ということで本日は曲順を覚える余裕が無く。一曲目が「レジテロの夢」で二曲目が「ムツオさん」、そこから「混ぜるな危険」「球体関節人形の夜」「枕投げ営業」へ続きつつ、「バトル野郎~100万人の兄貴~」ならぬ「バルト海峡~100万里の兄貴~」が歌われ、「LIVE HOUSE」はおいちゃんボーカル、アコースティックタイムでは「別の星の物語り」「生きてあげようかな」「夕焼け原風景」が歌われしっとりし、途中に定番の「イワンのばか」「サンフランシスコ」「踊るダメ人間」が入ったような記憶。あと「ゾロ目」「労働讃歌」も。アンコール一曲目は楽器隊のみで「大都会のテーマ」をインストで。「おわかりいただけただろうか」は橘高さんボーカル、筋少のみで「地獄のアロハ」、最後はお約束のド定番曲「釈迦」で締め、あれ意外と覚えているじゃあないか。

「ムツオさん」はオーケンが歌詞を忘れて困ったような顔で横を向きつつ頬を掻いている一場面が視界に入ったのを覚えている。その後はオーディエンスに歌唱を要求して事なきを得た、のか? 印象的だったのは「バトル野郎~100万人の兄貴~」が始まる前。いざ曲が始まらんとしたとき、前方のお客さんが具合が悪くなったらしく、少しずつ横に移動して退場していく姿が目に入ったが、その退場の時間を確保するためだろうか。オーケンはお客さんの状態には一言も言及しなかったが、バトル野郎を別のタイトルでやってみたいと内田さんに要求し、「バルト海峡~100万里の兄貴~」という謎のタイトルが発生。しかも内田さんも拒まず、「やってみようか」と受け入れる。結果、「バトル野郎!」と「バルト海峡!」が微妙に混ざり合う妙なコールが会場内に響き渡った。

ただこれ、己はお客さんが退場するための時間稼ぎかな、と思ったが、もともと用意されていたタイトルで偶然だった可能性も否めない。そこはわからない。念のため。

MCで印象的だったのは、オーケンが前日見た映画「チャーリーとチョコレート工場」に影響されて、オーディエンスをウンパルンパと呼び、ウンパルンパの歌らしきものを歌いながら踊り出すという妙なシーンが生まれたこと。自分は過去にその映画を見て、さらに昔に原作本を読んだ記憶はあるが、ウンパルンパのくだりをきちんと覚えていなかったため微妙に悔しい思いをした。見とけば良かったよ、昨日、映画を……!!

あとツアー中、名古屋で久しぶりに打ち上げが行った話。オーケン曰く、「ま~~~~~盛り上がらなかった!!」らしい。何十年と一緒にいるので今更話す話もないとのこと。ただ、「別の星の物語り」を始める前だっただろうか? メンバーが椅子に座り、「LIVE HOUSE」の話から、昔一時的に組んでいたバンドの話やそれに関係するメンバーの話で盛り上がった。そこでオーケン、「まだあるじゃん! こういう話を打ち上げですれば良いんだよ!!」と叫んでいた。

そうそう。「LIVE HOUSE」は今回もおいちゃんボーカルだったのだが、オーケンとのデュエットを聴きたかったなぁ。あのハーモニーがたまらなく好きなので、是非生で聴きたかった。

他、MCではうっちー、おいちゃん、ふーみん、コージーの四人でトークイベントを行ったとき、コージーこと長谷川さんは「ブルドッグ」のゴムをびよんびよん引っ張るダンスをやってくれず、その理由は事務所NGが出たからだとか、しかしきっとコージーがやるならそれはもうすごく完成度の高いダンスを踊ってくれたに違いないとか、同日にオーケンとエディがのほほん学校でゲイの歌を歌ってそれを是非またやりたいとか、ただしエディはゲイに間違われることがあるので、演奏曲と人格を一緒くたにされないようにしなければとか、そんな話があり、ニュースとしては来年二月に筋少初のライブブルーレイディスクが発売されるとのこと! しかもブルーレイを持っていない人のためにDVDも発売! 橘高さん曰く、両方買って画質の違いを見比べてくれても良いんだよとのこと! 映像は「おまけのいちにち」ツアー初日の赤坂をメインに、ドキュメント映像も撮っているそうだ。そんなこんなで、嬉しかったし面白かったが体はきつくとにかく上からも横からも潰され、なかなかハードなツアーファイナルであった。どっとはらい。

あぁ。音楽を、もっと集中して聴きたかったなぁ! ここがとにかく残念である。よって次回に期待だ。リベンジだ! あぁ!



未分類0杯, 筋肉少女帯, 非日常

焦った。とても焦った。何故なら目が覚めたら三時半だったから。もちろん昼の。会場は十七時。開演は十八時。わりと結構、時間が無い。

そして己はチョコパンを四個食べて服を着替えて水を飲んで歯を磨き、急いで仕度を整えて赤坂ブリッツに向かったのであった。A二百番前後のチケットを財布に突っ込んで。

結論から言えば何とか間に合った。視界も良好で最高だった。前から二列目のベストポジションで、最後の曲の「釈迦」では押されに押されて最前から観ることも出来た。しかしあと十分目覚めるのが遅ければこの恩恵は得られなかっただろう。寝坊という点で己の体内時計は確実に狂っていたが、それでもギリギリのところで間に合うあたり、筋少に対する熱意を感じざるを得ない。そんなに好きか。そんなに好きだよ!

今回のライブは新譜発売記念ツアーということで、新譜「おまけのいちにち(闘いの日々)」がメインの選曲でありつつ、珍しい曲あり、いつもの曲あり、まさかの替え歌や意外なあの曲まで盛りだくさんで、お腹一杯の楽しいライブだった。前回の橘高さん三十周年記念「ヘドバン地獄」と比較して、オーケンは「通常営業の筋少ライブ」と言っていたが、その通常営業がたまらなく楽しく嬉しいのだからたまらない。

開演SEは「大都会のテーマ」で、「レジテロの夢」から「パリ・恋の都」ならぬ替え歌「赤坂・恋の都」を挟みつつ、「混ぜるな危険」「球体関節人形の夜」「枕投げ営業」と続き、アルバムの曲順通りのセットリストだったため、今回は覚えやすいぞーと油断していたら「バトル野郎~100万人の兄貴~」や「生きてあげようかな」などが入ってきたことで記憶がまぜこぜになってわからなくなった。よって今回のセットリストは曖昧というか、わからないので演奏された曲だけとりあえず書き記そうと思う。


開演SE:大都会のテーマ

レジテロの夢
赤坂・恋の都(パリ・恋の都の替え歌)

混ぜるな危険
球体関節人形の夜
枕投げ営業

バトル野郎~100万人の兄貴~
LIVE HOUSE(おいちゃんボーカル)

時は来た
イワンのばか

別の星の物語り
生きてあげようかな
夕焼け原風景

踊るダメ人間
ワインライダー・フォーエバー
ゾロ目
サンフランシスコ
労働者M

~アンコール~
大都会のテーマ(演奏)
地獄のアロハ(筋少オンリーver)
おわかりいただけただろうか
釈迦

終演SE:気もそぞろ


書いてみたら意外と覚えていた……気もするが、「時はきた」「イワンのばか」の塊がもうちょっと別のところにあったかもしれない。あと「踊るダメ人間」から「サンフランシスコ」までの曲順は全く自信が無い。とりあえず「記憶がぐちゃぐちゃになるほど楽しかったんだね!」と思っていただきたい。

さて。新譜発売記念ライブでいきなりこれについて語るのか、と言われそうだが語りたいので勝手に語る。まさか「地獄のアロハ」をやるとは思わなかった! ワジーボーカルの箇所は橘高さんが、研ちゃんボーカルの箇所は内田さんが担当し、ワジーのギターソロは橘高さんのギターソロに。そして「ぼくらは筋肉少女帯人間椅子~」と皆で合唱するところは「ぼくらは筋肉少女帯なんですよ~」という歌詞に変わっての、まさに筋少版「地獄のアロハ」!

こうして筋少版を聴くと、いかに筋肉少女帯人間椅子がお祭り騒ぎであったかとてもよくわかる。筋少版は「筋少」として、騒がしいながらもまとまっているのだが、筋肉少女帯人間椅子は、そりゃあ人数と楽器の数からして当たり前なのだが、あっちからもこっちからも音が鳴っていて、狭い空間に大人数をぎゅうぎゅう詰めにしたような熱量と圧迫感があったことが思い出される。また、もう随分前な気がするのに、まだあれから一年も経っていないという驚き。何と濃い一年だったことか。

ちなみに「地獄のアロハ」冒頭のオーケンの歌唱シーンでは、おいちゃんと橘高さんが撮影でも使用したあの懐かしのウクレレを爪弾いた。ウクレレのターンが終わった後、橘高さんのピンクのフライングVウクレレが軽々と袖で待機するスタッフの手元に飛んで行ったのが、いつものフライングVに比べて重量感が無く、ふわ~としていて、何だか可愛らしかった。

一曲目の「レジテロの夢」はまだ探り探りな感じがして、新譜発売記念ライブらしいなぁとしみじみしていたら「パリ・恋の都」ならぬ「赤坂・恋の都」! 会場が赤坂ブリッツということで、赤坂周辺の地名や建物を歌詞に盛り込むという暴挙。「フレーーーーンチキースー」か「カフェーーーーオーレー」のところが「ひえーーーーじーんじゃー(日枝神社)」になっていて笑った。何より「パリ」という二文字に無理矢理「あかさか」という四文字をはめ込んで、その箇所だけものすごく早口になっているのがおかしい。

「混ぜるな危険」はシングル発売前に一度聴いたきり、ライブで聴くのはこれが初めてなので新鮮だ。しかし毎週のアニメでこれでもかと聴きこみ、しっかり体に染み付いているので、まるで定番曲のよう。「おうぃ!!」と拳を振り上げるのが楽しい。ちなみに語り部分は語られず、煽りパートになっていた。

「球体関節人形の夜」がすごかった。ここでぐわっと押しが発生したのである。皆! そんなに球体関節人形の夜が好きなのか! わかる! 己も大好きだから!! と思いつつ、「踊れ踊れ」と煽りながら指をくるくる回すオーケンに合わせて懸命に指を振り回した。

今更だが、今回の立ち位置は内田さんと橘高さんの間くらいで、前述の通り前から二列目だったので、橘高さんの手元をこれでもかというほど凝視することが出来た。生憎技術的なことは何もわからないが、あの指からこの空間中に響き渡る音が紡がれているのかと思うと感慨も一入である。それを間近で見られる贅沢さったらない。

「枕投げ営業」に入る前に、オーケンが「ついにあの曲!」というようなことを言っていて、枕投げ営業の人気を把握しているのだなぁと思った。いやあこれ、やっぱり楽しい! 期待通りにノリノリになれて、気持ちの良い曲だった。

「LIVE HOUSE」ではオーケンがはけて、おいちゃんの独壇場が披露された。おいちゃんが全力でおいちゃんファンを殺しにかかってきているのが感じられる格好良さ。あぁ、でもおいちゃんとオーケンの声の重なりのハーモニーも素敵だったから、それも生で聴きたかったなぁ!

ちなみに、「LIVE HOUSE」での立ち位置は下手から内田さん、おいちゃん、橘高さんという順。おいちゃんがセンターに立ち、内田さんがおいちゃんの位置に移動。笑えたのはおいちゃんのスタンドマイクがスタッフによってセンターに運ばれたときで、オーケンがわざとらしくショックを受けたような顔をしていたこと。曲に入る前にもオーケンは、オーケンが「LIVE HOUSE」を一人で歌う、というようなことを言ったとき、オーディエンスから「えーーーー」という声が上がって、「これは不倫ですよ!!」と文句を言う小芝居をしていた。そうか、不倫になるのかこれは。ははは。

「時は来た」は内田さんのベースを堪能出来る曲。筋少はリードギター・リズムギター・ピアノ・ドラム・ベースが重なり合うため、ベースの音が単独で目立つことはあまり無いので新鮮である。そして嬉しい。こういう、ベースが目立つ、ちょっと静かで大人な曲もいつか作ってくれたら良いなぁ、と思った。

「時は来た」の語りではオーケンが絶好調。冒頭の「嘘だよーんけらけらけらけらけら~」のところも実に楽しんでいるようだったがそれ以上にはっちゃけた! 「いまどき誰が音楽で飯を食おうとするかー!」から始まり、「物販を買えー!」と煽り、本当か否かわからないものの物販の原価をぶっちゃける! 良いの!? それ! 大丈夫なのか!? と心配したのは一瞬にして原価率を計算してしまったから! 客の購買意欲大丈夫? 下がらない? と心配している最中もトークは止まらない! 原価率○%の物販の売り上げでウェポンを買い、ウェポンの力によって目からビームを出したりできるようになり、最終的にはライブの後にはなの舞や磯丸水産で打ち上げをしてかんぱ~い!

この間奏の煽りで盛り上がりに盛り上がった結果、入りを間違えるのがまた実にオーケンらしかった。

「別の星の物語り」「生きてあげようかな」「夕焼け原風景」は椅子に座って。「夕焼け原風景」は内田さんだけが起立してベースを弾き、他のメンバーは座っての歌唱・演奏。そこから盛り上がるにつれて、全員が立ち上がっての演奏となる構成が格好良かった。

あと、「夕焼け原風景」はアルバムで聴いたときはそうでもなかったのだが、ライブで聴いたときはジンと来た。何だろう。何が作用したのだろうか。

「別の星の物語り」に入る前に、今回のライブで一番印象的だったことがオーケンによって語られた。それは、「おまけのいちにち(闘いの日々)」には、「過去」「未来」「現在」という言葉がちりばめられているが、「時間」そのものがテーマではない。キーワードになるのは「未練」で、「未練をいかに断ち切るか、あるいは、未練を断ち切るか否か」が、アルバムの根底にあるということ。そのことにリハーサルの最中に気付いたと言う。そしてそれが一番如実に表れているのが「別の星の物語り」だそうだ。

ストンと、引っかかっていたものが落ちて納得した。「おまけのいちにち(闘いの日々)」というアルバムを考えるにあたり、「時間」が大いに関係していることは感じ取れていた。だが、昭和四十年代五十年代を題材の一つにしつつ、決して懐古趣味では無い。しかし前向きかと言えば必ずしもそうではない。「今」を生きてはいるが、立ち止まったりもがいていたり、もがいている人に語りかけたりしているようだ。

誰しも生きていれば未練を感じることはあるだろう。それに縛られたり、断ち切ろうともがくこともあるだろう。それは年を重ねるごとに増えるかもしれない。でも未練を残しながらも日々を生きていかなければならないのかもしれない。自分だけが静止していると思うこともあるかもしれない。その中でトコトコと歩いて行かなければならないのかもしれない。

ということを考えていたら「ワインライダー・フォーエバー」。未練があるであろう人に語りかける曲。熱愛の末、別れた女優と俳優の話を持ち出し、意外と大丈夫だよ、と語りかける一曲。メンバー全員が楽器を下ろし、マイクを片手にステージを練り歩きながら大盛り上がりする楽曲で、盛り上がりながら考え込むことになろうとは思わなかったなぁ。

本編ラストは労働者M。メンバー全員がドラム台に集合する姿は格好良いが、この曲をライブで聴くとどうしてもスーッとテンションが下がるので、ちょっとつらい。現実に引き戻されるのだ……。

アンコール一曲目は意外なことに「大都会のテーマ」! 開演SEでかかっていたのでこれは演奏されないと思っていたら! そして何と、オーケンがスーツにサングラスで登場! さらに、手にはモデルガン! マーシャルアンプの裏からちょこちょこ顔を出してモデルガンで狙撃の真似をしたりと遊びまわる! 実に楽しそうである!!

このスーツ、このために購入したものだそうで、ヴィヴィアン・ウエストウッドの良いものだそうだ。オーケンのライブ愛が感じられる。

「おわかりいただけただろうか」の前だっただろうか? 新譜発売記念ツアーを猿岩石のようにヒッチハイクで回る! とオーケンが言い出した。「ヒッチハイクで行く! そしてトラックの運ちゃんが良い感じの人なの。筋肉少女帯? あの高木ブーの? 知ってる知ってる俺もロックが好きでね~なんて言って、寝ていいよって後ろの席を空けてくれて、メンバー四人で並んで雑魚寝して……いや昔もそんなことしたことないですけどね。そしたらチェーンソーの音がして……みんなバラバラになるの。なんと運ちゃんは猟奇殺人犯だった! 皆さん爪とかもらっていってくださいね」という急展開かつブラックなMCに。「爪とかもらっていってくださいね」ってそんな庭の畑に出来すぎたトマトじゃあるまいしし、もらっていってくださいねってどういうことですか大槻さん……。

最後は「釈迦」で締め! 予想外だったのは橘高さんがマーシャルの壁を蹴り倒すパフォーマンスをしてくれたこと! 何で? どうして? 今日は通常営業のライブなのにありがとうございます!!!! と感動しつつ、ヘドバン地獄でやり忘れたのだろうか……と思った。

オーケンは「オーディエンスは筋少に(お金を)搾り取られていると思っているかもしれないが、搾り取られているのは我々だ! オーディエンスは我々の若さを搾り取っているんだ!」と冗談を言っていたが、何の何の。もうすぐメンバー全員五十代と言えども、加齢加齢と言っていようとも何と格好良いことか! 誰がどう言おうとオーケンの銀髪は最高に格好良いし、年齢を重ねたゆえに生まれたであろう楽曲の数々は愛おしい。きっと十代二十代の頃は「未練」がテーマの楽曲などそうそう生まれなかっただろうから。だからこそ今を楽しみつつ、今後に期待して我々は搾り取られるのである。

今年、己が行く筋少のライブはあと二回。全力で搾り取られる所存である。



未分類6杯, 筋肉少女帯, 非日常

我らがギターヒーロー橘高さんのデビュー三十周年記念ライブであり、半年ぶりの筋少ワンマンライブであるのだが、この日己はちょっと疲労が蓄積して微熱が出ていたので、本来であれば前に突っ込んでわーわー騒ぎたいところであったが、柵に掴まりながらゆったりわーわー騒ぐに留めた。

体調不良ゆえ、流石に体力の低下を実感しつつの参戦ではあったものの、大好きな音が奏でられるこのキラキラした空間にいるとやはり元気が出るし、どうしたってニコニコ笑ってしまう。しかも何て言っても今回は特別なライブ。橘高さんのデビュー三十周年記念ライブなのだ。己が筋少を知ったのはおよそ十年前で、橘高さんを知ったのも同じ頃。あれから十年。橘高さんの活動時間の三分の一をリアルタイムで追えていることが嬉しい。そして今後、その割合は徐々に大きくなっていくに違いないのである。

今回は全曲橘高さんの曲、ということでメタル尽くしのメタル祭り。演者も観客もハードである。あのいつもニコニコ笑顔のおいちゃんですら、あまりのハードさゆえに「今日は笑えないかもしれない」と言ったほどである。ただ、それを言うおいちゃんはやっぱりいつもの笑顔だったが。

とはいえ、ステージに立つ人も見上げる人も、それを全力で楽しんだに違いない。新譜から三曲の新曲と、定番の人気曲にレア曲。そして橘高さん一人がステージに立っての渾身のギターソロ。ブゥウウウウウウンと地を這うような重低音が響き(残念なことにそれが何の音なのか己にはわからなかったのだが)、メキメキと早弾きを始める橘高さん。どこか「家なき子と打点王」を連想させるフレーズで、奏でたギターソロがサンプリングされて、時間差で流れる中さらにソロを奏で続け、会場が橘高さんの音で一杯になった。そして「愛のリビドー」のフレーズが入り、まさか「愛のリビドー」のためにこのギターソロを…!? と「愛のリビドー」に対してちょっと失礼なことを考えていると、「スラッシュ禅問答」のフレーズに移行し、迫力の中始まったのは「再殺部隊」。圧巻である。

このギターソロ、今日が橘高さんが主役の橘高さん祭りだからこその催しだろうが、これ、毎回とは言わないので、たまに筋少のライブでもやって欲しいなぁ。

新曲もバッチリ格好良かった。「おわかりいただけただろうか」を橘高さんのボーカルで聴けたのは嬉しいサプライズである。あと、今日のオーケンのボーカルはすごかった。最近はシャウトの場面でも、声を抑え目にすることが多いが、「球体関節人形の夜」でがっつりバッチリ叫んでくれたのである! オーケンのシャウトが大好きな人間としてはたまらなかった。

不意打ちだったのは「ノゾミのなくならない世界」。しかも今日、偶然「ノゾミのなくならない世界」の物販Tシャツを着ていたので尚更嬉しかった。これの「あなたあたしの~」からの疾走するようなドラムとギターが大好きなのだ。

このあたりでセットリストを。


ゾロ目

くるくる少女
ノゾミのなくならない世界
踊る赤ちゃん人間

レジテロの夢
球体関節人形の夜
おわかりいただけただろうか(ふーみんボーカル)
小さな恋のメロディ(ふーみんボーカル)

交渉人とロザリア
レティクル座の花園

再殺部隊(「家なき子と打点王」を連想させる長尺のギターソロから始まり、「愛のリビドー」「スラッシュ禅問答」のフレーズに移り、「再殺部隊」へ移行。)

詩人オウムの世界
パブロフの犬
アデイインザライフ

~アンコール~

Thank you(ふーみんボーカル)
影法師
少女の王国
イワンのばか
トリフィドの日が来ても二人だけは生き抜く

「ゾロ目」の後で橘高さんを祝うオーケン。祝いつつもちゃかすのが実にオーケンらしく、「おめでとうおめでとう!」と散々言った後に何がめでたいのか橘高さん本人に問い、「そこからぁ!?」と笑いながら呆れる橘高さん。そしてデビュー三十周年と言えば、「二十四歳で三十周年だなんて計算が合わないよ!」とお約束の反応。このやりとりが微笑ましい。

嬉しいことにめでたいことは続くもので、今回のライブではオーケン、うっちー、ふーみんそれぞれの五十歳記念ライブ、さらには毎年恒例十二月二十三日の筋少ワンマンライブの開催も発表された。そして、来年には再結成してからの活動期間が、再結成前の活動期間を超えるという話も。(※これは仏陀LからSAN FRANCISCOではなく、猫のテブクロからSAN FRANCISCOを指すと思われる。)オーケンがニコニコしながらオーディエンスに向かって、みんな年をとりましたね、といったことを言ったが、そうやって年を取れるのはありがたいものだよ、と思う。

また、今回嬉しかったのが、エディが橘高さんの曲について、嫌いな曲が一つも無い、ピアノを弾きまくれるから楽しいと言っていたこと。橘高さんがエディへの愛と尊敬を語る場面を何度も見てきたことがあっただけに感動してしまった。

同時にエディの嫌いな曲ってどれだろう……? という興味も湧いた。何だろう、ピアノの出番が全く無い曲かな。

そういえば今回の「小さな恋のメロディ」も、後半でオーケンがマイクを持って入ってきたのだが、歌心が邪魔されることは無かったようである。オーケン、気を遣ったのだろうか。一応。

忘れてはいけないのが「影法師」。メンバー間が微妙な時期に作られたため、今まで筋少メンバーで演奏されたことが無かった曲だ。五年前の二十五周年記念ライブで期待しつつも演奏されなかったので今回は諦めていただけに嬉しい。当時の気まずい空気も既に笑い飛ばせるようになっているというのは素敵なことだな。

余談だが「影法師」の語りは語られず、間奏中オーケンが神妙な顔で間奏終わりの出番を伺っていたのが何か面白かった。

本編ラストは「アデイインザライフ」、アンコールラストは「トリフィドの日が来ても二人だけは生き抜く」で、明るいライトがパァーッとついて、気分がふわっと広がるような楽しさの中で終わるのは実に気持ちが良いなと思った。いやトリフィドの場合は大勢が食人植物に食い殺されていて好きな男と二人っきりになりたいがために全人類見殺しにしている状態なんだけどね。そういう状態ではあるのだが、特にこういう記念ライブで多幸感に包まれながら終息を迎えるのは、続きが感じられて満ち足りた思いがするのだ。

全ての曲が終わり、流れるSEは「航海の日」。橘高さんは最後までステージに残ってピックをばら撒き観客と握手をし、まだまだ橘高さんのヘヴィメタルギタリストとしての航海の日々は続いていくことを感じつつ、いつもはさっさと家に帰るのだが、ゆっくりとビールを二杯呑んで、苦手なタバコの煙が充満する中余韻に浸った。幸せな時間だった。



未分類2杯, 水戸華之介&3-10Chain, 非日常

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久しぶりの3-10ワンマンである。己のサイトの記録を見返したところ、2013年12月ぶりということだから驚きだ。水戸さんのソロには通っていたが、3-10は日程が合わなかったり何だりで行けないことが続いていたのだ。そんな久しぶりの3-10。そして先日発売されたニューアルバム! あれやこれやが聴けるかなとわくわくしながらライブハウスに向かい、やや前方寄りの水戸さんの正面に陣取って、水戸さんの噴いた水を全身に浴びて帰路についたのであった。

いやあ楽しかった! 新曲はもちろん、3-10の今までの曲や、アンジーの曲もあって盛りだくさんだった。3-10のワンマンで一曲目がアンジーの「新しいメルヘン」だったため一瞬「えーー!?」と拍子抜けしたが、バラエティ豊かで結果的に大満足。一曲目で火がつき、ドッと人々が前に押し寄せ、そのまま熱が燃え上がって燃え続けて燃え尽きた。

とりあえずセットリストの方を。二箇所ほど記憶が不明瞭なところがあるが他は大丈夫…だと思う。


掃き溜めの街で歌い始めたチンピラ達の新しいメルヘン
君と瓶の中
恋のメロディ

遠吠える~斬り裂けた旗のもとで
できそこなった
泥まんじゅうで腹一杯
雑草ワンダーランド

種まきねえちゃん
(知らない曲)

しおしおのぱあ
かくれんぼ

バラ色の人生
サイのように歩け

ジョニーは鼻毛がヒッピースタイル

バースト&ワーストからメドレーで
~(腹々時計?)
~毒々新聞
~特急キノコ列車
~平和の煮込み

素晴らしい僕ら
地図

~アンコール~

世界が待っている
青空を見たとき

~ダブルアンコール~

でくのぼう


新曲は「恋のメロディ」「遠吠える~斬り裂けた旗のもとで」「できそこなった」「泥まんじゅうで腹一杯」「雑草ワンダーランド」「バラ色の人生」「ジョニーは鼻毛がヒッピースタイル」。この中で己が特に好きなのは「恋のメロディ」「ジョニーは鼻毛がヒッピースタイル」で、今日のライブで聴いてぐっと好きになったのは「バラ色の人生」だ。

「バラ色の人生」はCD発売前に100曲ライブでアコースティックバージョンを聴いたのだが、そのときは歌詞をじっくり聴きながら噛み締めつつも、ちょっと長いなぁ、と感じたのが正直なところである。しかし今日、ライブでロックバージョンを聴いた途端、楽器と声の迫力に圧倒され、アコースティックで聴いたときよりも若干歌詞が聴き取りにくかったにも関わらず、言葉が胸に突き刺さったのであった。歌詞の展開と曲のスピード感がバッチリ合っているのだ。この後にアコースティックバージョンを聴いたらまた印象が変わるかもしれないが、いや、やっぱり、この曲はロックバージョンが最高に合っていると思う。

「恋のメロディ」は横揺れが楽しい曲で、一つのフレーズを繰り返し繰り返し歌うだけであるにも関わらず単調さが全く無いのが見事。コーラスも入って賑やかで実に愉快である。

「ジョニーは鼻毛がヒッピースタイル」はすごかった。盛り上がることは予測出来ていたが、それにしても! この会場の全員がこの曲を愛してやまないのではないかと思うほどの盛り上がり! まるで古くから歌い続けてきたかのように感じられた。そして自分も存分に盛り上がった。

「ジョニーの鼻毛はベリーロング」という笑える歌詞がある曲の中に、切なさを織り込んでくるのが水戸さんの魅力だと思う。ジョニーの鼻毛を見ながらかつての夏の日に思いを馳せてしまいそうだ。

そういえば今日、内田さんはもじゃもじゃ時代を髣髴とさせる丸いサングラスに、丈の長いワンピースにズボン、という出で立ちだったのだが、あれはもしやヒッピースタイルを意識したものだったのだろうか。

大好きな「バースト&ワースト」からメドレーへ! 嬉しかったなぁ、だって盛り上がらないわけがないじゃないか! しかし二曲目が思い出せないのが無念である。三曲目の「毒々新聞」のとき、同じ言葉を繰り返す曲が続いたなぁ面白いなぁ、と思った瞬間二曲目が何の曲か忘れたという体たらく。同じ言葉を繰り返す…というと腹々時計のような気もするのだが、違うかもしれない。自信が無い。

「平和の煮込み」、実は聴いたことが無いのだがこういう曲が存在することは知っていた。曲中で「平和! 平和! 平和の煮込み!」という掛け合いが入ったので「おーこれかー!」と思ったのだが、これで違ったら悲しいなぁ。

ダブルアンコールの「でくのぼう」では、「でっでっ! でくのぼー!」の箇所を何度も繰り返し、水戸さんが袖にはけ、ついに終わったかと思いきや、楽器隊がまた奏で始め呼び込まれる水戸さん。そして最後に爆発するような盛り上がりを見せ、今日のライブは終息した。空調が効いていたはずだが暑かったなぁ。

激しい曲をやった後、MCで「休憩入れようか? 二日くらい休もうか?」と水戸さんに気遣われる場面がちょこちょこ挟まれるのがおかしかった。また、水戸さんらしいちょっと政治的なMCもちょこっとあったがそこは割愛。地獄の釜が開いたような暑さの中で、さらに大はしゃぎをすることの楽しさったら無い。ついうっかり、「ジョニーは鼻毛がヒッピースターイル♪」と口ずさみながら帰ってしまいハッと気付いて恥ずかしい思いをしたが、それもご愛嬌ということで。



未分類1杯, 筋肉少女帯人間椅子, 非日常

筋肉少女帯と人間椅子のコラボレーション・ライブ。ただの対バンではなく、「コラボ」であることを見せ付けられた一夜であった。そして己は全身全霊で遊ぶ大人の姿を見たのである。筋肉少女帯も人間椅子もオーディエンスも、この一夜を全力で楽しんだに違いないのだ。

先攻は人間椅子。人間椅子のアルバムを何枚か聴いているものの、知っているのは「人面瘡」と「針の山」、そして今回人間椅子がカバーした筋肉少女帯の「少年、グリグリメガネを拾う」の三曲のみ。知らない曲の方が多かったが、ゆえに新鮮な気持ちでその格好良さを堪能することが出来た。ギター、ベース、ドラムの三人だけとは思えない重厚さである。楽器一つ一つの音が野太く、キッチリ主張しているように感じられた。

今回聴いた人間椅子の曲の中で若干雰囲気が違うのが、ノブさんの歌う「蜘蛛の糸」。何となく感じる明るさにどこか爽快さを感じるまでも、異質とまではいかない混合具合が面白く感じられた。

「少年、グリグリメガネを拾う」に入る前のMCで、ワジーは「日本の米」をカバーしたかったがストップがかかり、研ちゃんが「グリグリメガネがいいんじゃない?」と言ったことで、『満場一致で』グリグリメガネをカバーすることになったという話が。

そして人間椅子の「グリグリメガネ」の後のMCでは、「研ちゃんの歌うところに重大な振りがあるようですね」とワジーがオーディエンスの手振りを真似し、「ビジュアル系バンドになった気持ちになりました」と感想を。これを聞いて己は結構驚いた。グリグリメガネの振りは単に手を上げ下げするだけで、さほど凝ったものではないので普通だと思っていたが、人間椅子のオーディエンスは手を振ったりしないのか? と。そこでその後、オーディエンスの動きを観察していたのだが、どれが人間椅子ファンでどれが筋少ファンかわからないため真相は藪の中だった。

後攻は筋肉少女帯で、一曲目はサンフランシスコ。このサンフランシスコのジャンプも人間椅子ファンから見たらびっくりなのだろうか…と思いつつ勢いよくジャンプ! やはり楽しい!

この後のMCが長かった。オーケン、筋肉少女帯と人間椅子のファンが集まったこの空間はあまりにもホームすぎる、温かすぎる、でも筋少ってちょっと冷たいところの方が頑張って良いライブするよね、と言って、人為的にアウェーを作ろうとする。おなじみの「日本を印度に!」のコールアンドレスポンスをオーディエンスに促し、正しいレスポンスが返ってきてダメ出し。「日本を印度に!」の後に「ならないよ」「なったよ」などなどをオーディエンスに言わせ、声が揃わなくなったところで「やっぱりホームが良い! じゃあ人様の曲で心を一つにしようじゃないの!」と、期待の一曲・ダイナマイトに!

ダイナマイトでは背後の照明が紅白に点滅し、それが何か、パチンコっぽいなぁ、とパチンコをやったことがないのに思ったのが印象に残っている。オーケンの声の調子はすこぶる良いようで、シャウトも気合が入っていて嬉しかった。いやあ、格好良いなぁ!

「日本を印度に!」「ならないよ!」ではなく、御馴染みのコールアンドレスポンスで「日本印度化計画」をやった後、何とまさかの、新曲「混ぜるな危険」を初披露! おおおおおーーー!! 今日披露してくれるとは思わなかっただけに興奮した。嬉しい! 曲は「アニメソング」を意識して作ったように感じられ、作曲はおいちゃんかな? という印象。歌詞は聴き取れなかったが、「○○なら出会うな!」と言っていたように聴こえた。聴き返せないのがもどかしい。早くCDを入手したい。

労働讃歌で楽器を手放してラップをする筋少メンバーの姿が人間椅子ファンの目にはどのように映ったか気になるところである。その後はダメ人間、イワンのばかで筋少パートは終了。さて、次は何が来るかな。

何が来るかと待ち構えたが、まさかブラック菩薩が現れるとは思わなかった。橘高さんと内田さんによる、ブラックサバスのカバーバンド。橘高さんは平たい木の板で出来た十字架を掲げ、内田さんはつけ髭をして登場。しかし今回のライブで、まさかこの二人だけで終わるはずが無い。もちろん人間椅子のメンバーも登場! 五人揃って「Iron Man」を演奏した! ボーカルは橘高さんである!

曲中、橘高さんは紐の先にこうもりのぬいぐるみをくくりつけたものをぶんぶん振り回し、ワジーに噛ませ、ノリにノリまくっていた。今日の橘高さんは大量のピックをばら撒き、さらに紙吹雪もばら撒き、ギターを振り回しこうもりのぬいぐるみを振り回し、ワジーの隣でピョンピョン飛び跳ねながらギターを弾きと大活躍だった。もしかしたらこの会場で誰よりも楽しんでいたのは橘高さんだったのかもしれない。

そのあまりのノリノリぶりを袖から観ていたオーケン。人がはしゃいでいる姿を観たせいでかえって冷静になってしまったらしいが、人間椅子からのリクエストで人間椅子の演奏で「日本の米」を熱唱! この歌は歌い飽きているので二十年近く心を込めて歌っていなかったけど、今日は心をこめて歌いますと宣言し、曲中両手の指でハートマークを作ってそれを自身の胸から飛ばしていた。あざとかった。

次に来たのは「君は千手観音」で、これがもう聴きたくて聴きたくて! 一時期こればかりをリピートしまくっていたことがあったくらい好きな曲である。しかしどうしてそんなに好きなのかはわからない。生で聴けて感無量である。

「君は千手観音」の後、舞台が暗転し、ステージは研ちゃんと内田さんの二人だけに。暗闇の中、下から緑のライトで顔を照らされる研ちゃん。何だろう…と待っていると、ぬばあと血糊を吐く! 怖い!!!! そして内田さんも何か口に含んでいるようだが…吐かない。すると内田さん、ナプキンを取り出し、それをわざわざ襟から垂らし…ぬばあ! 用意周到! 怖い!

ちなみにこの血糊、なかなかべたべたするらしく、研ちゃんも内田さんも拭き取るのに苦労していた。内田さんはベースにつかないように血糊を吐いたようだが結局ついてしまい、メンバーは心配してベースの周りに集まる場面も。研ちゃんが「俺のは二束三文のベースだからいいけど…」と特に心配そうだった。

そこでおいちゃん、近付いてベースを覗き込んだ後、自分の持ち場に戻りながら満面の笑みで「思い出になるよ!」と言い放ったのが格好良かった。確かに思い出にはなる!!

血糊を吐くパフォーマンスをしたということは…そう、kissのカバーで「Detroit Rock City」! 筋肉少女帯と人間椅子の共通項として選ばれたそうである。この後で、「これがもうちょっと前の年代だったらビートルズをカバーしていたのかな」「俺達がスタンドバイミー…全然合わない!」という会話が為された。うん、スタンドバイミーは…合わないな…。

地獄のアロハの通常版が演奏されたときは、せっかくのライブなのにもったいない…と思ったが、これはアンコールの布石だったと後になって気付くことに。本編最後では「りんごの泪」と「釈迦」がサポートメンバーを含めた全員で演奏され、そのド迫力たるや凄まじいものだった。あと「りんごの泪」で若干手持ち無沙汰になっているオーケンを観察するのは面白かった。

ところで、「四半世紀」でセルフカバーしてからというもの、釈迦の後半の歌詞がライブの度に不安定なので注目しているのだが、今回は「割れた娘の頭から飛び出る電波が 月の光浴びてアンテナが錆びる」になっていた。レアである。

アンコールではメンバーがアロハシャツを着て首にはレイ、という完全なハワイアンな姿で登場! キーボードの奥にいるためよく見えなかったが、エディもレイをつけていた。そして地獄のアロハ・Heavenly Version! 最後はオーケンが嫌だ嫌だ絶対しないと言っていたが、全員で手を繋いでお辞儀をして綺麗に締めくくりとなった。

約三時間のお祭りである。通して観ると人間椅子は硬派なハードロックで、筋肉少女帯は豪華なエンターテイメントといった印象だ。同じアングラサブカル系でも表現の仕方が違うのが面白い。そしてその両者が交わることで、怪しさの中から溢れ出る多幸感が心地良く、まさに「地獄のアロハ」という一曲に筋肉少女帯人間椅子が集約されていることを感じさせられた。

最後にセットリストを。人間椅子のセットリストは人間椅子スタッフのTwitterより転載。

【第一部:人間椅子】
新調きゅらきゅきゅ節
地獄への招待状

少年、グリグリメガネを拾う

なまはげ
死神の饗宴
相克の家

蜘蛛の糸
人面瘡
針の山

【第二部:筋肉少女帯】
サンフランシスコ
ダイナマイト

日本印度化計画
混ぜるな危険(新曲!)
労働讃歌

踊るダメ人間
イワンのばか

【第三部:コラボレーション】
Iron Man(Black Sabbath)/橘高ボーカル・内田・和嶋・鈴木・ノブ
日本の米/大槻ボーカル・和嶋・鈴木・ノブ
君は千手観音/大槻ボーカル・本城・和嶋・鈴木・ノブ
Detroit Rock City(kiss)/鈴木(血糊)ボーカル・内田(血糊)・本城・橘高・和嶋・ノブ
地獄のアロハ/筋肉少女帯人間椅子・エディ
りんごの泪/全員
釈迦/全員

~アンコール~

地獄のアロハ(Heavenly Version)/筋肉少女帯人間椅子・エディ