未分類4杯, 筋肉少女帯, 非日常

あ、そうだ筋少のライブがあったんだ、と気付いたのは数日前。部屋の掃除をしている最中に仕舞いこんでいたチケットを発見してのこと。確かにそれを購入していたが、ライブを楽しみに待つ心の余裕を失っていたため、すっかり記憶の外に置いてきてしまっていたのだ。

気分転換を求めているが主体的に動く気力があまり無い。そんな自分を動かすためにこのチケットはあるのだろう。解釈の末、家を出た。

道に迷いながらライブハウス「新宿ReNY」に到着。西口を出てしばらく歩いた場所だ。あまり馴染みの無いビジネス街だ。何故ここにライブハウスを作ろうと思ったのだろう。

開場後ロッカーに荷物を預けスタンディングスペースへ。今回は中央上手寄り、内田さんの前に立った。ヘドバンの吹き荒れる上手の余波を受けながら、ほどほどに暴れたい気分だったのだ。

開演SEは「タチムカウ~狂い咲く人間の証明~」で、これがしばらく流れた後にメンバーが入場し、「オーディエンス・イズ・ゴッド」。そして以下がセットリストである。


オーディエンス・イズ・ゴッド
バトル野郎~100万人の兄貴~

ゾロ目
カーネーション・リインカーネーション
吉原炎上

くるくる少女
ムツオさん
みんなの歌

THUNDER YOU POISON VIPER

愛の讃歌
小さな恋のメロディ(橘高さんボーカル)
恋の蜜蜂飛行

ワインライダー・フォーエバー
労働讃歌

イワンのばか
気もそぞろ

~アンコール~

霊媒少女キャリー
釈迦
ツアーファイナル


やっと聴けた「吉原炎上」と「恋の蜜蜂飛行」の嬉しさったら。特に「恋の蜜蜂飛行」は多くの人が待ちわびていたのだろう、新曲とは思えない一体感と盛り上がりっぷりで、観客も随分聴き込んでいるように感じられた。

印象的だったのは「ムツオさん」。この新宿ReNYの天井にはミラーボールがついており、「ムツオさん」のとき、くるくると回転しながらキラキラと光を反射させ、まさにムツオさんの世界観。まさか本当にミラーボールの回る様を見られるとは思わなかったなぁ。

ただ、音はあまり良くなかったように思う。どの曲だったか、シンバルの音ばかりが響いて、ボーカルがとても聴きづらかった。あれは残念だったなぁ。

今回は新譜ツアーということで、労働讃歌は必ず入れるだろうと思っていただけに、ワインライダーをやったのには驚いた。まさかの筋少ラップ二連続! しかし何度もやっているワインライダーの方で間違えてしまう内田さん! 何故だ!!

「愛の讃歌」ではモデルガンを片手にポーズを決めながら、血まみれ白スーツ白ハットで歌うオーケンが面白くもあり、格好良かった。モデルガンは相当お気に召しているようであるが、音がちゃちいらしく、それを残念がっていた。内田さん曰く、運動会で使うピストルよりも音がしないということで。だが、効果音なら上手に効果音の魔術師がいらっしゃるので、彼に入れてもらえば良いじゃないですか、と思った。いつも律儀に入れてくれるじゃないですか。色々な効果音を。

MCのどこかでオーケンが「壁ドン」「顎クイ」「股ドン」をやっていたが、「股ドン」で結構な勢いをつけて空気を蹴り付けていて、どう見ても膝で急所を潰しているようにしか見えず、女性がくらっとくるロマンチックなシチュエーションと言うより、これはオーケンによる痴漢撃退講座ではなかろうか、と思った。

痴漢を壁際に追い詰め!(壁ドン) 注意を逸らせた瞬間!(顎クイ) 急所を打つ!!!!(股ドン) …というような。

あと、MCでは鼻うがいのおかげで声が出るようになったと喜ぶオーケンと、歌心発言をからかわれまくりマーシャルに八つ当たりをし出す橘高さんが非常にキュートだった。

新譜のタイトルが発表されたとき、己はオーケンの覚悟と義務感を感じた。何があってもショーを続けなければならない、筋少というブランドを守らなければいけない、というような。しかし新譜が発表され、ツアーが始まると、当時感じた「重さ」が消え、「まだまだ続く」という希望が感じられるようになった。そして今回のツアーのラストソングが「ツアーファイナル」。ファイナルだが、まだ続く。また会えるよという希望。覚悟も義務感もあるが、きっと「続けることを望まれている」自信や喜びもあるに違いない、と感じられた。そんなツアーだった。

最後にまた個人的な感傷に戻るが、確か後半だったと思う。オーケンが「今日のライブを楽しんで、また明日からいつもの日常に戻ってね」というようなことを叫んだ。それは普段であれば「楽しんでいるところで現実に引き戻しやがって! 鬼か!」と冗談めかしつつ脳内で悪態をつく場面であるが、しばらく非日常状態が続いていた己には違う聞こえ方がして、そうだなぁ、そろそろいつもの日常に戻りたいなぁ、戻れるようにならんとな、と背中を押されたように思えた。無論それは受け取り方によるもので発信者にその意図が無いことはわかるが、そのように受け取ろうと思ったのである。

いつものように楽しめたかと言えば、全くその通りとは言いがたく、まだ憂鬱は残っているが、笑い、叫び、手を伸ばし、くたくたになる時間を与えられたことを有難く感じた。

ありがとう、筋少。



日記録4杯, 日常

2013年10月6日(月) 緑茶カウント:4杯

昨夜はひどい大嵐だった。雨粒と風が窓を打つ音が気になり眠れない。どこか、興奮しているようにも感じられた。毎度台風が来ると落ち着かなくなるのは何故だろう。非日常の襲来に心が躍るのだろうか。決して楽しい事柄ではなく、むしろ困らされるというのに。

朝になっても雨と風は昨夜の勢いのまま。布団から抜け出すと肌寒さを感じたので、部屋用の上着を羽織り、やかんに水を入れてコンロにかけた。去年使った保温ポットを棚から取り出して念の為中を良く洗う。急須もしばらく使っていなかったので軽く中を漱いだ。この数ヶ月、ずっと冷やしたお茶を飲んでいたのだ。

昨夜、晩飯に作ったヤキソバの残りをパンに詰めて冷蔵庫に入れていたので、これを取り出し、レンジで温める。やかんの湯で茶葉を蒸らし、残りの湯をポットに入れ、急須とマグカップと皿とヤキソバパンとも一つおまけにヨーグルトを持ってこたつに並べる。こたつはまだ布団をセットしていないため、ただの卓袱台としての用途に留まっている。

この雨と風が本当に昼には止むのだろうか、と思いつつヤキソバパンを頬張り、熱い緑茶を啜った。仮初のようなのどかな午前のひと時である。



日記録4杯, 日常

2014年10月5日(日) 緑茶カウント:4杯

毎週通っている整体院での出来事だ。その日自分は診察台の上でうつ伏せになり、肩と腰に電気を流されていた。リズミカルな電流の刺激により眠気がやってくる。カーテンの奥から整体師と患者の話し声や笑い声が聞こえていたが、だんだんその声が遠く感じられてくる。だが、眠りを妨げる者がやって来た。思いもがけず。忍び寄るように。

診察台は部屋の中に複数配置されており、一つ一つを囲むようにカーテンが天井から下げられている。そのカーテンと床の間、三十センチの隙間をくぐって、侵入してきた者がいたのだ。

赤子だった。

「だあ」「あー」という声が聞こえる方へ顔を向けると、赤ん坊がハイハイしながらこちらに寄って来ている。何て自由な存在だろう。大人であれば許されない行為である。しかし彼の人は生まれて一年にも満たない赤子である。治外法権の存在だ。

赤子の目の前に腕を突き出し、グーパーしてやると、己の拳が赤子の目的地に設定された。よちよちとおぼつかない足取りで赤子がハイハイしてくる。髪がふっさふさであった。そして丸い。

珍しい存在だなぁ、と思いつつ電気の刺激を受けながらグーパーを繰り返していたらカーテンを開けて整体師がやって来て、「ごめんなさい。遊んでもらってすみません」と己に詫びた。そう、この赤子はここで働く整体師の子供であり、たまに母親と一緒に連れられてきているのである。よって自分も何度か見たことがあり、挨拶をしたこともあったが、赤子と遊んだのはこれが初めてであった。

なかなか珍しいものを見られて良かったなぁ、と思った出来事である。面白かった。



日記録4杯, 日常

2014年10月4日(土) 緑茶カウント:4杯

昨夜五時間以上、洗濯機の排水口の奥から聞こえ続けていた流水音がようやく聞こえなくなった。結局起きたのは昼過ぎで、そのときにはまだ響いていた。これは警察に相談すべきだろうか、と迷いつつ予約していた整体に行き、帰ってきたら音が止んでいた。ついしゃがみこんで排水口を覗いたが、無論何も見えない。そして何も聞こえない。

結局音の正体は掴めなかったが、もしあれが単純に、水を出しっぱなしにしたまま一日外出してしまった結果だとしたら、帰宅後に受けるショックは計り知れないものだろう。音から察するに結構な水量であった。一日流しっぱなしにした場合、いくらの水道代になるのだろう。

そして自分はより念入りに、蛇口とガスとエアコンと電気のスイッチをチェックするようになったのだった。



日記録4杯, 日常

2014年10月3日(金) 緑茶カウント:4杯

家に帰ったのは二十二時。そして現在三時半。およそ五時間半、水の流れる音が聞こえ続けている。それも結構な勢いで。

当初、風呂場の水を流しっぱなしにしたのかと思ったが蛇口は乾いたままで、音の元を辿ると洗濯機に行き着いたが水気は無く、どこから聞こえてくるか探ったところ、洗濯機のホースが差し込まれた排水口の奥からそれは響いていたのであった。

流石に一時間以上も続くと不審に思う。流れているのは我が家の水で無いようなので水道代の心配こそしていないが、もし隣人が何かしら困った事態に陥って、SOSを知らせるために水を流し続けていたら…と思うと気が休まらない。その音は階下から上ってくるように感じられた。そういえば記憶を辿ると、下の階の部屋の郵便受けが満杯になって溢れていた。旅行に出かけたのかと思ったが、もしや。

深夜の一時に外に出てみた。外に出ても音ははっきりと聞こえてくる。しかし階下からではない。一軒、二軒は離れた先から水が流れてくる音が聞こえた。パイプを伝って響いてきている。

聞こえる先にはブロック塀が二つあり、それを越えねば音を辿れない。仕方なく部屋に戻った。そして二時間経った今も水の音は聞こえ続けている。明日の朝も続いていたら交番に寄ってみよう。何も無いことを願いつつ。