未分類2杯, のほほん学校, 大槻ケンヂ, 非日常

いやあ楽しいひと時だった。オーケンののほほん学校のスペシャル版。ゲストは水戸華之介、和嶋慎治、ゆるキャラの方々、そして飛び入りで向かいのライブハウスでライブを控えているにも関わらず体を張って参加してくれたニューロティカのあっちゃんに、そのあっちゃんの尻に重い蹴りを叩き込んだアクション女優武田梨奈。基本はオーケン、水戸さん、ワジーが三人で、お題に沿ってだらだらとトークをし、思い出したかのように歌を歌うというもの。「ミュージシャンはこういうとき歌を歌えるから便利だよね!」「歌っとけば何と無く仕事したって感じがするからね!」と笑う面々。確かに、トークだけでも十二分に楽しいが、間間に歌が入るとメリハリがついて楽しいなぁ。

スペシャルということで今回の会場はいつものパイプ椅子が並べられたライブハウスではなく、背もたれとクッションのついた椅子がゆったりと並べられたホールである。ホールでのほほん学校に参加したのは今回が初めてだが、思いのほか快適だった。体がすごく楽である。現在進行形で体調を崩しているため、普段よりも体力が落ちていることも関係しているだろうが、背もたれの存在が非常にありがたかった。何せこの十月、外出は必要最低限に抑え、休みの日はひたすらベッドで眠るという日々を過ごしていたのだ。電車を乗り継いで高円寺に向かうだけで息が上がってびっくりした。

会場につき、ホールの中へ足を進めると薄暗闇の中からオーケンの絶叫が聞こえた。見ればステージの上に設置された巨大なスクリーンには花道を歩き堂々と歌うオーケンの映像が流されている。おお、これは何の映像だろう、と見ればDDTの文字。DDTプロレスに筋肉少女帯がゲスト出演したときの映像のようだ。観たことが無い映像を見られてラッキーと思いつつ座席に深々と座り休息を得る。ライブ映像が終わるとオーケンがその歌詞に衝撃を受けたと言う「アイドルばかり聴かないで」のPVが流れ、映像が終わると同時に開演の合図か、筋肉少女帯の「そして人生は続く」が大音量で流れ、マイクを持ったオーケンがステージに現れた。

おお! この歌を歌ってくれるのか! と喜びかけたがすぐに違和感に気付く。オーケンはマイクを持ち、口を動かしつつステージの中央に設置された譜面台をチラチラと確認してはいるが、どう見ても口と歌が合ってない。そのうちわざとマイクを遠ざけたり、変なポーズをとったりしてニコニコしながらふざけ出した。隠す気の無い公然の口パクという名の、本人による余興である。

曲が終わるとゲストが登場。「水戸華之介&3-10Chainの水戸華之介、人間椅子の和嶋慎治!」というオーケンの呼びかけに応じて二人が壇上に姿を現す、がワジーは何故か一輪車を持参。しかも乗ろうと試みてはみたものの、乗れなかったらしくそのまま転がしてやってきた。そして一輪車はまるで楽器の仲間であるかのように、ギターの隣に置かれた。この一輪車の謎は後ほど明かされることになる。

まずは冒頭の口パクの説明へ。開演前に流していたPV「アイドルばかり聴かないで」のアンサーソングは、筋肉少女帯の「そして人生は続く」ではないかとオーケンは考え、よって「アイドルばかり聴かないで」を流した後にこれを歌おうと思ったが、カラオケが無いため曲をそのまま流すことになり、よって口パクをすることになったとのこと。この流れで、口パクは普通に歌うよりも技術が必要となるという話題になる。まぁ、特にオーケンの場合はそうだろうなぁ。口パクだときっちりしっかり歌詞を覚えなくてはならないのだから。「だからねぇ、○○とかはすごいよ!」とあれやこれやの名前が出てきて場内爆笑。あれやこれやの名前は記憶しているが、一応ここでは伏せておこう。

口パクトークの後、今回の「のほほん学校」について説明。前にも書いたが、お題に沿ってトークをしつつ思い出したかのように歌を歌おうというもの。では、お題を見てみましょうとスクリーンを見上げると表示されたのは「飛び入りゲスト」。こんな、今さっきゲストを紹介した直後にいきなり飛び入りゲストが来るのか、と驚いたのが本音である。

ゲストはオーケン原作の映画「ヌイグルマーZ」で「ヌイグルマーZ」役を務めるアクション女優の武田梨奈さん。呼び込み前にいかに武田梨奈さんがすごいか熱弁するオーケン。何と武田梨奈さんをオーケンに紹介したとある映画監督は、いかに武田梨奈さんがすごいかを伝えようとして、狭い会議室の机を端に寄せ、その中央で監督VS武田梨奈でいきなり殺陣を始めた、という衝撃エピソードを披露。そのうえで、武田梨奈さんが監督に実際一発食らわせて勝利したそうだ。

いったいどんな人が来るのだろう、と会場の期待が高まる中、「武田梨奈さーーーーん!」とオーケンが高らかにお招きすると、上手から現れたのは道化のメイクを施した茶髪のおっさん。そのおっさんは全力疾走で上手から下手へと走り去り、呆気にとらせる暇もなく、また全力疾走でステージを横断した。

言うまでもなく武田梨奈さんではない。ニューロティカのあっちゃんだ。

向かいのライブハウスで七時からライブがあるとのことで、飛び入りでのほほん学校に参加してくれたそうだ。おどけたピエロは高らかに倖田來未の物真似をし、水戸さんが腹を抱えながら大笑いしつつ「それ九月に俺のライブでやって受けなかったのにまだやってんの!」と突っ込みを入れていた。自分もまさか十月の終わりにあれを再度見ることになろうとは思っていなかったので驚いた。せいぜいあの数日で消失したネタだったと思いきや、まさか生き残っていたとは。

あっちゃんの後に本物の武田梨奈さんも登場。びっくりするくらい華奢だった。ところが侮る無かれ。空手の熟練者で、曰く「大抵の男には勝てる」とのこと。そして得意技はハイキック。すると突然、「はい」と挙手する人がいた。あっちゃんだ。しかし皆、その挙手の意味が読み取れない。何だろうとオーケン達が促すと、あっちゃんはリアクション芸人のようなことを口にした。

何とハイキックを受けるというのである。ロックミュージシャンとしてデビューして二十九年であるにも関わらず、そこまで体をはるかと驚きを隠せない面々。しかしあっちゃんは穏やかに笑いながら「ここはやっとくとこかと思いまして」と言う。

とはいえ武田さんは本日スカート姿。ハイキックはまずい、ということであっちゃんの尻に蹴りを入れることになった。中腰になり、武田さんに尻を向けるあっちゃん。そんなあっちゃんを見つめるオーケン、水戸さん、ワジー。直後、「ドンッ!!」という低い音が響いた。あっちゃんは本気で痛がった。

「もっとこう、パンッて軽い音がするかと思ったら、ドンッって」と言ったのは水戸さんだったか。「あれが腰に入っていたら骨をやられていたよ」「ライブの前なのにお尻蹴られちゃって…大丈夫?」「良いMCネタが出来て良かったね」と口々に皆が喋る中もあっちゃんは痛そうだった。その後ライブで飛んだり跳ねたりできたのだろうか。

この後だったかな。オーケンが武田梨奈さんについて、彼女はこれからもっと大きくなって、来年には我々の手の届かない存在になるかもしれない、と言う。武田さんは恐縮するがオーケンは続ける。「僕ののほほん学校にお呼びした方の中にもねぇ、その後すごーい人になっちゃってもう近付けないってことがあるからねぇ」といった内容のことを語ると、水戸さんが「そして我々はいつまでも大槻の手のひらから抜け出せない」と自虐して笑いをとり、オーケンがあわあわと慌てていた。

「でもねぇ、そうしてビッグになって、何十年後か、死ぬ間際にふと思い出すんだよ。………そういえば、あのときピエロの尻を蹴ったわ…」って、と未来の武田さんの回想シーンを捏造して場内爆笑。確かに、ピエロの尻を蹴るなんてことは一生に一度、いや、普通に生きていたらまず無い体験だろう。ちなみにあっちゃんの尻は結構硬かったそうである。

武田さんはその後予定があるとのことで、十八時半に退場。あっちゃんはその後、皆にせがまれて「香菜、頭をよくしてあげよう」を歌って退場したが、「それなりに歌えていた」ためオーケンと水戸さんからはブーイングの嵐。どうやらあっちゃん、これまでにも何度も「香菜」を歌っていたのだが、いつまでも全然覚えられずにいて、それが面白かったとのこと。だから「それなりに歌えていた」状態がつまらなかったそうだ。

「せっかく来てくれたのに、お尻を蹴られて、つまらないって言われるなんて!」とあっちゃんの境遇を的確に表すオーケン。ごもっともである。尻は大丈夫だったのだろうか。

飛び入りゲストが去り、次のお題が「笑っていいとも、アンパンマン、あまちゃん」だったが、あまちゃんについては全く触れられなかった。「笑っていいとも」については、オーケンが何度かいいともにゲスト出演した話と、いいとものテレフォンショッキング繋がりで井上陽水と接点が出来た話が語られた。あと、「笑っていいとも」が始まる前に起きたら合格、始まった後に起きたら人間として不合格、という風潮が昔あったという話が語られた。水戸さんはこのところずっと不合格だそうである。

アンパンマンの話が面白かった。アンパンマンを知らないワジーにオーケンと水戸さんがアンパンマンについて説明するのだが、オーケンの語る独自解釈がたっぷり入ったアンパンマンの面白さったら! これをアンパンマンを知らないワジーに聞かせて良いかと思うほど。主題歌の歌詞「何のために生まれて、何をして喜ぶ」がすごいという話から始まり、ドキンちゃんが好きなばいきんまんと、しょくぱんまんが好きなドンキンちゃんが何故か一緒に暮らしている不可思議さについて、ドキンちゃんは今はわがまま放題だが、彼女は「若くて可愛い」以外の取り得が無いので、数年後にばいきんまんと立場が逆転すること、ねむねむおじさんはガンジャを決めている、などなど。たまに水戸さんがオーケンの暴走を軌道修正するように、訂正・修正を挟むのだが、オーケンにかかるとアンパンマンもカニバリズムやガンジャが組み込まれる物語になってしまうのだなぁ。

そういえばどの流れだったか忘れたが、オーケンは黒目のフチが白くなってきたそうで、白内障ではないかと思い眼科にかかったそうだ。結果はどうか。幸い白内障では無かったが、老人性のものだそうで、医者が「老人性と言っても、昔は四十代で老人でしたから」とフォローを入れたそうだ。異常が無いのは喜ばしいが何とも切ない話である。

しかし。白内障の心配は無いが緑内障の気はあるとのことで。オーケンはそれすらもネタにして「格好良くなっちゃう」と笑っていたが、いやはや。気をつけて欲しいものである。

この日歌われたのは「香菜、頭をよくしてあげよう」「あのさぁ」「オンリーユー」「氷の世界」「日本印度化計画」「踊るダメ人間」だったかな。「香菜」はあっちゃんが前半で歌ったが、後半にオーケンもきっちり歌った。「オンリーユー」はオーケンが水戸さんを絶賛し、水戸さんも「じゃあ持ち歌としてもらおうかな」と笑うが、直後これはオーケンの歌ではなくばちかぶりの田口トモロヲの歌だと気付き爆笑、という場面があった。そう、これオーケンが歌いまくっているからオーケンの歌のような気がしてしまっているが、トモロヲさんの歌なんだよ。

あと素晴らしかったのがワジーのポエトリーリーディング。中原中也の「断言はダダイスト」を語るように歌いながら壇上で一人ギターを爪弾いていく。このとき、オーケンと水戸さんはステージから退場し、ワジー一人が残されて、赤いライトに照らされながら朗々と語り歌っていた。この怪しい迫力は今回の一番の目玉と言っても過言では無い。当初、言葉の意味を追おうとしたが、自分はそれを早々に放棄し、ただ声と音の作る迫力の世界にどっぷり沈むことを選んだ。ワジーは「眠ってもいいですよ」というようなことを始める前に口にしたが、あんなものを目の前にして眠れるわけが無いじゃないか。

水戸さんの氷の世界も格好良かった。三人で分担して歌っていたのだが、水戸さんが全部歌う氷の世界もいつか一度聴いてみたい。水戸さんの作る歌詞に自分は大きな魅力を感じているが、同時にその歌声もたまらなく好きで仕方が無いのだ。

歌詞と言えば、追い詰められて書くか否かの話。オーケンとワジーは追い詰められないと書けないタイプで、水戸さんは追い詰められる前に書くタイプとのこと。何でも、アンジー時代にロンドンでレコーディングを行ったとき、せっかくだからロンドンの空気を吸ってから歌詞を書こうと思い、歌詞を書かずにロンドンに行ったものの、ロンドンがあまりに楽しくてはしゃぎすぎて歌詞を全く書けず、大いに焦ったという経験があるからだそうだ。対してワジーは追い詰められて追い詰められて追い詰められると何かのスイッチが入るのか、書けるようになるそうだ。

トークについては、ひどい名前のバンドの話や、昔は馬鹿なバンドがいっぱいた話などが語られ、そうそう忘れてはいけないのがワジーの一輪車の話。ワジーは去年、筋肉少女帯と人間椅子で対バンをしたとき、筋少のステージを見て、大いに感銘を受けたそうだ。格好良いのに、どこか怪しく、それでいてコミカルでサーカス的。とにかくすごく良いと思ったそうで、その要素を取り入れようとして買ったのが「一輪車」。「一輪車に乗りながらギターを弾こうと思ったけど、結局乗れず部屋の片隅に置いてある」とのこと。それに対しオーケンと水戸さんが口々に、せっかくオズフェスで再ブレイクしてるのにそんな要素を取り入れなくても、というような内容のことを言っていた。

最後はゆるキャラが壇上に登場。頭部が巨大なナン、体が女性の「ナン子ちゃん」に、にんにくと猫のキメラ「十和田にんにん」に、長芋の「十和田ねばっち」のお三方を招き、「日本印度化計画」と「踊るダメ人間」を歌う。「踊るダメ人間」の前では、「ダメダメ~パパパヤ~」で手を振る動作と、ダメジャンプのやり方をゆるキャラの三人にオーケンが指導。結果、限りなく人間に近いナン子ちゃんは卒なくこなせたが、にんにんとねばっちはその体の形状から困難を極めたものの、にんにんは新しい萌えポーズ、ねばっちは猪木の物真似という特技を新しく習得した。成り行きで。

オーケンのすすめによって座っていた観客も立ち上がり、アコギに合わせてゆるゆるとダメジャンプ。イベント名にふさわしく、のほほ~んとした空気の中で和やかにイベントは終了。ステージから退場しようとするも、巨大なねばっちが舞台袖の通路につっかえてしまい、後ろの三人が前に進めなくなって苦笑するという場面もご愛嬌。およそ二時間半の楽しいイベントだった。



未分類筋少拡散波動砲2013, 筋肉少女帯, 非日常

「カーネーション・リインカーネーション」の演奏時、あまりの苦しさに「筋少が殺しにかかってきている」と思った。

場所は渋谷CLUB QUATTRO。見事な大入り満員で、前方はいつにも増してぎゅうぎゅう詰め。さらに、下手側にはまるでおいちゃんの視界を塞ぐかのようにでっかい柱が建っていてオーディエンスの動きを阻む。四方八方を赤の他人と密着するのはいつものことだが、それにしても余白が少ない。今までの筋少のライブの中で、一番過酷なライブだった。

そして自分の立ち位置はその悪名高い柱の近く。クアトロには邪魔な柱がある、という話は聞いたことこそあったものの、実際にクアトロに足を運んだのは今回が初めてで、一目見てこりゃあ邪魔だと納得。柱の後ろ側からだと下手側のステージが全く見えないのである。

しかし柱を避けて視界の広い位置に立ってもこいつは曲者だった。ノリに乗って跳ね回る観客。自然と立ち位置はそのときそのときで移動する。当初、柱より上手側に立っていた自分も流れに流され気付けば柱のすぐ隣、そして曲は「イワンのばか」。熱気と興奮の渦の中、揉み合ううちに体が飛んで、即頭部を柱の側面にガチンとぶつけたのだった。これには流石に一瞬、命の危機を感じた。いくら筋少ファンとも言えども、筋少のライブに行って柱に頭をぶつけて死にました、と親に報告されるのは避けたい。

幸いにも大したことは無く、コブが出来ることすら無かったが、柱があるのは仕方が無いとして、激しいライブのときには布かスポンジか薄いマットを巻いておいた方が良いように思う。いつか事故が起こるんじゃないか、あれ。

柱の話はここまでにして。今回のライブは筋肉少女帯拡散波動砲2013 FINAL。筋肉少女帯拡散波動砲は、筋少メンバーが在籍しているバンド・グループ・ユニットが二組以上揃った状態を指したもの。そして今回は「FINAL」ということで、ついに、筋肉少女帯のメンバーが全員揃った記念すべき公演とのことだ。

だが、ここでちょっと不思議なのが、筋肉少女帯のメンバーが全員揃っているのに今回の公演のバンド名は「中二病の神ドロシー」ということ。現筋少メンバーではないエディがいない状態を「中二病の神ドロシー」と名づけるのは、まるで筋肉少女帯にはエディの存在が不可欠と言っているようだ。

実際、そうだと思う。

実はここ一週間ほど、内田さんが在籍している水戸華之介&3-10Chainの音楽を聴きながら、筋少は楽器が多いなぁと思っていた。先に言っておくがそれは不満では無い。ただの感想だ。水戸華之介&3-10Chainの構成はボーカル、ギター、ベース、ドラムが基本。そのうえで、ベースの存在感が目立つ曲が結構多いのである。筋少で言えばここはきっとおいちゃんが弾いているだろう、と思うところにベースが入る。

対して筋少の構成はボーカル、リードギター、リズムギター、ベース、ドラム、ピアノ。リードギタリストがピロロロロロロロロと早弾きをする中でリズムギタリストがギュワギュワとかき鳴らし、ドラマーがツーバスをドコドコドコドコドコ踏み鳴らし、ピアニストもこれでもかと弾きまくり、さらにはボーカルがヘイヘイ叫び煽りながらあらゆる隙間を埋めていく。無論ベーシストも弾きまくっているのだが、筋少の後に3-10を聴くと「すごくベースが聴きやすい」と思うのだ。

だから今回、エディがいないライブというものを興味深く感じていた。楽器が一つ減るとどのように印象が変わるのだろう。それを楽しみにしていた。

さてその印象はと言うと。結論から言うと物足りなかった。ピアノのところをギターが補完している箇所に気付いて感動し、普段と違う面白味も感じたのだが、やっぱりどこか物足りない。エディがいないだけで、随分シンプルになってしまったような気がして寂しかった。一曲目は大好きな「モーレツ ア太郎」で、大いに気分は高揚し興奮したのだが、自分が一番好きなのは「どこへでも行ける切手」のライブDVDの、エディがピアノを弾きまくるバージョンなのだ。すごく好きな曲だ、何て格好良い歌詞だ、だが足りない! そう強く感じた。

今回のライブで、聴けて嬉しかった曲は「日本の米」「風車男ルリヲ」「ザジ、あんまり殺しちゃダメだよ」「タチムカウ―狂い咲く人間の証明―」、そして「トキハナツ」。特に「トキハナツ」に至っては! 密かに自分はこの曲をやってくれることを待ち望んでいたのだよ!

「タチムカウ」と「トキハナツ」は浪人時代によく聴いていた。ふさぎ込んだりはしていなかったが、鬱屈した気持ちは多少は抱えていて、その気分に合っていたのだ。聴くと気持ちが楽になり、よし頑張ろうと思えたのだ。この二曲をまさか同じ日に聴けるとは。嬉しかったなぁ。

しかし、「トキハナツ」の「OK!」と叫ぶところで、「オイ!オイ!オイ!オイ!」と煽るのは! ちょっとそこにその煽りを入れるのは違う! 「OK!」の方に合わせたい! やりづらい! と思った。そこは別に埋めなくても良いんだよオーケン!

「トキハナツ」を歌い終わった後、この曲は「最後の聖戦ツアー以来やってなかった曲」と語るオーケン。どうやらどんな歌詞だったか忘れていたらしく、あの「アイアムアトップオブブリーダー」について、「サビにアイアムアトップオブブリーダーって! こんな歌詞を思いついた俺はすごいよ、天才だよ」とオーケンが笑いながら言っていたが、自分は本気で「うん天才だ」と思っていた。初めて聴いたとき、「トップオブブリーダー」という言葉にこんな使い道があったなんて、と感銘を受けた。本当に。

「日本の米」に入る前も素晴らしかった。「正直好きなミュージシャンの曲でも飛ばす曲ってあるでしょ?」と観客に語り掛けるオーケン。「俺の曲だから言うけど、日本の米は飛ばされる曲だと思うの」。すると「えーーーーー」と観客から非難の声。「聴きたいの? 聴きたいの? でもなぁ、………え、やるの?」とメンバーにしらじらしく次の曲を確認。メンバーの言葉により、次の曲が日本の米と知るや否や、「いやだ~やりたくない~」と駄々をこね始めるオーケン。

ものすごく面白かった。

「やだ~アラフィフにもなって米米米米とかやだ~」「何で今になって『知らないのか納豆に! ネギを刻むと美味いんだ!』なんて言わなきゃいけないの!」「おらやだぁ~みんながやれって言ってもやだぁ~」と顔面をくしゃくしゃにさせながら、記録媒体でしか知らないナゴム時代を思わせるような奇声を発しつつ、嫌だ嫌だと拒否を続ける。段取りがあったのだろう、見かねた内田さんが助け舟を出す体で、「じゃあ……(僕が代わりに歌うよ)」とオーケンに声をかける。しかし。

「待って! これは俺のエチュードだから!」と制し、小芝居を続行。「やりたくねぇよ~」とイヤイヤしながら散々狭いステージを歩き回って、そしてそのままステージの外へ出て行ってしまった。小芝居だということはメンバーも観客も理解していただろう。しかし、あまりの力の入れようだったため、「え、今の何だったの…?」と、しばしぽかんとした空気が流れた。「帰っちゃったね…」と口火を切る内田さんに対して、「そうだね」と心の中で相槌を入れた。あのときのオーケンはまるで何かが乗り移っているかのようだった。

そしてオーケン抜きの内田さん、おいちゃん、橘高さんで「日本の米」! いやー格好良い! いやー馬鹿な曲! これは確かに、ボーカルは口が飽きそうだ、と納得しつつも嬉しかった。

中盤あたりだっただろうか。「日本の米」のときとは逆に、今度はステージにオーケンが一人。手にはアコースティックギター。そして奏で出すのは「ノゾミ・カナエ・タマエ」! 先日の谷山浩子のライブ「猫森集会」でも披露した一曲だ! また聴けて嬉しい反面、アコースティックギターでの演奏ではシャウトが抑え目になり、原曲よりも寂しげな歌声になるので、通常編成の状態でも聴きたかったなぁと思った。

「ノゾミ・カナエ・タマエ」の終盤でメンバーが入場。オーケンはギターを下ろさず抱えたまま次の曲へ。もしや、と期待を込めれば大好きな「風車男ルリヲ」! 前回ライブで聴いたときはまだギターに慣れていなかった頃だ! すごい。今はギターを弾きながら歌う姿に余裕が感じられる。ただ、慣れないギターに緊張して歌っていた頃の方がルリヲの曲には合っていたようにも感じられた。今回はちょっとゆとりがあったのか、焦燥感が軽減されていたのだ。

ふと思い出したが、「アウェーインザライフ」の「ホームにしてみろ」のところ、CDでは声を張り上げて叫ぶ箇所が、昨今では声を低くして伸ばすように歌うことが多かったのだが、今回はきっちり思いっきり叫んでくれていて思わずガッツポーズをとってしまった。これだよ! やっぱりこれが格好良いんだ!!

「ザジ、あんまり殺しちゃだめだよ」をライブで聴いたのは今回が初めて。改めて、「お祈りをしてあげよう」という言葉を好きだな、と思った。

MCではオーケンがおいちゃんとあまちゃんの話を、内田さんとはマー君の話を、橘高さんとはハードロック芸人の話をしていた。「あまちゃん」はどうやら本日最終回を迎えたそうで、そのことに喪失感を抱く現象を「あまロス」と呼ぶらしい。「あまちゃん」を観ていたのはメンバーではおいちゃんだけで、あまちゃんを観ていないオーケンが断片的な知識を繋ぎ合わせておいちゃんに「合ってる? 合ってる?」と質問していた。案外間違っていなかったらしい。

この後、オーディアンスに向けて「あまちゃん観てる人~」とオーケンが問いかけ、直後破顔。「あんまり観てないんだね」「流石筋少ファンだねえ」と挙がった手の数を見て感想を漏らすオーケン。オーケンの中の筋少ファンのイメージが垣間見える瞬間だ。

「俺内田君とよく知らないものについて話すの好きなの」と言って「マー君」の話へ。「マー君って知ってる?」「あれだよ、ハンカチの…」「違うよぉ~」と互いにおぼろげな知識で適当な会話を繰り広げる様子が非常に面白かったのだが、自分自身「マー君」をよく知らないため、何が正しく何が間違っているのか全く覚えることが出来なかった。野球関係の人で最近何かしらの良いことがあったらしい。

あと、ライブの後半でオリンピックの話題になったとき、筋少は2020年、オリンピックにどう接するか、取り組むか、関わるか、というような質問をオーケンが内田さんに投げたとき、「興味ない」とバッサリ切った内田さんに歓声を上げた一人は自分である。いや、別に良いんだよ盛り上がるのは。楽しそうな人に水を差すつもりは無い。ただ、そこまでスカッと言い切ってくれると嬉しくなるのだ。同じく全く興味が無い人間としては。

他に印象深いことと言えば、これも中盤あたりで、「皆さんがニコニコしていて嬉しいです」とオーケンが言ったこと。オーケンはもともといかにお客さんを楽しませるかを重要視するエンターテイナーだが、最近はそこに使命感さえ抱いているように見える。まれに、「この人は筋少ファンが筋少以外には何も楽しみが無くて常に日々を鬱屈した気分で生きていると思い込んでいるのでは無いか」「そこまで心配してくれなくても大丈夫だよ」と思うこともあるが、こうもストレートに言ってくれると、流石にちょっと射抜かれた。

オーケンの言う「煮込まれたおでんのような客」も「切ったばかりのシャキシャキの大根のような客」も等しく楽しませ、満足して帰ってもらおうとする姿勢が好きだ。「お前たちは『またカレー?』と思うかもしれないけど! 今日初めて来た人は、『わあ! あのカレーの曲が聴けたんだー!』って喜んでくれているんだよ!」「僕もねぇ、バンドをやる前は毎回違う曲をやれば良いのにって思ったけど、そういうわけにもいかないの! 照明さんの都合や音声さんの都合もあるの!」と大人の事情を吐露しつつ、「ザジ」と「トキハナツ」をやってくれるんだからなぁ。たまらないよ。



未分類

(9月17日22時の方へ)メッセージありがとうございます。
おお、3-10ファンの方! ようこそいらっしゃいました! 喜んでいただけて嬉しいです。ライブがあんまり楽しかったので、衝動のままその日のうちに書き上げてしまいました。
水戸華之介&3-10Chainのワンマンは可能な限り参戦したいと思っているので、良かったらまた遊びに来てください。



未分類水戸華之介&3-10Chain, 非日常

久しぶりの3-10Chainのワンマンである。非常に楽しかった! 水戸さんの曲はアンジーもソロも3-10も屑もエレカマニアも好きだが、そろそろ3-10の曲をがっつり聴きたい気分になっていて、その願望が叶えられたのだから嬉しい。何と、ゲストを招いて歌った曲と、後半のパンクメドレー以外は全て3-10一色! 過去には3-10Chainのライブと言えども、半分とまではいかないまでも、アンジー曲の割合が高かったり、決めの本編ラストやアンコールがアンジー曲ということが多々あった。水戸さんのライブに行き始めたばかりの頃は「まさか今になってアンジーを聴けるとは!」と感動した。嬉しかった。だが、回を重ねるうちに、3-10のライブでは3-10の曲をたくさん聴きたい、締めの一曲には3-10の曲を持ってきて欲しい、と思うようになっていた。ファンとは勝手なものである。

そして今回思ったことは、アンジーの水戸さんではなく、3-10Chainの水戸さんが3-10Ghainのライブでは求められるようになったのでは無かろうか、ということだった。過去に3-10のライブでアンジー曲の比重が高かったのは、単純にそちらの方が盛り上がるという理由だったのかもしれない。何と言ってもリアルタイムからのファンにとっては思い出深く、また、年数を重ねるごとに曲は育っていくものだ。その力の強さゆえに頼らざるを得ない側面もあったのでは無いかと思う。無論、「アンジーが好きなファンにも、3-10が好きなファンにも、色々なファンに楽しんでもらいたい」という水戸さんの思いあってこそだとは思うが。

このように思ったのは数年前に博多で3-10のライブを観たときのことを未だに強く覚えているからである。博多は水戸さんのホームグラウンド。そしてアンジーが育った土地だ。それゆえか、3-10Chainの曲では微動だにしない客がアンジーの曲を演奏し始めた途端大爆発、という場面があり、求められているものが違うことを強く感じさせられたのだ。

あれが2010年のことなのでおよそ三年前だ。三年間でいったい何が変わっただろう。3-10の曲数は大きく増えていない。だが、ライブの回数を重ねるうちに、アンジーとは別に、3-10Chainを求めるファンが増えたのかもしれない。それはきっと喜ばしいことなのだと思う。だって、今のバンドが今の曲で勝負出来るなんて、素晴らしいことじゃないか!

あとこれは二十五周年効果かもしれないのでまだ断定は出来ないのだが、以前はほとんど無かった押しが発生するようになったり、アンコールでは手拍子だけでなく、「アンコール! アンコール!」という声をあげてのコールが起こるようになったのだ。もしかしたら二十五周年の熱に浮かされた結果であり、今だけのものかもしれないが、自分はこれを、熱いファンが増えた、もしくは生まれた結果によるものだと良いな、と思うのだ。

ちなみにセットリストは記憶する限りでは下記の通り。ほぼ完璧に覚えられているはずである。

サイのように歩け
Hello! Hello!
ナミダ2

愛に愛はあるのかい?
風になっちゃった

(吉田一休氏入場)
カナリア
犬と夕暮れ

(吉田一休氏対象、森若香織氏入場)
少年A
遠くまで

(森若香織氏退場、イノウエアツシ氏入場)
すべての若き糞溜野郎ども
キモちE(RCサセクションのカバー)

(イノウエアツシ氏退場)
落書きみたいな存在達のハレルヤ

バースト&ワースト(ここからパンクメドレー)
バンビはどこだ
¥10
分解マニア
バラノシュラバ
バースト&ワースト

100万$よりもっとの夜景
世界が待っている

~アンコール~

看護ロック
生きる

~ダブルアンコール~

偶然にも明るい方へ(後半に本日のゲストが入場)

一曲目の「サイのように歩け」は重々しいベースの音がそれこそサイの歩みのように大地を踏みしめる、存在感のある曲だ。そして二曲目はがらりと雰囲気が変わり、明るくはっちゃける「Hello! Hello!」。早くも会場が踊り出し、温かくなってきたところで意外な一曲、「ナミダ2」! 水戸さんが「ナミダの事情ーーーー!!」とマイクに向かって叫んだとき、喜びのあまり頭の中で「ギャーーーーーーーー!!!!」と叫んでしまった。声に出さなくて良かった。それくらい嬉しかった。聴きたかった。

自分にとっての今回の目玉は「ナミダ2」「看護ロック」「生きる」「偶然にも明るい方へ」。あと、以前の100曲ライブで吉田一休氏の回がとても楽しく面白く、「不死鳥Rec.」での氏参加の「カナリア」も素晴らしかったので、今日は実は彼の参加を非常に楽しみにしていた。あのハーモニカが踊り狂う「カナリア」を是非生で聴きたかったのだ。

「カナリア」は想像以上に良かった。イントロではハーモニカを吹き鳴らし、ふっと止めて足でバンとステージを踏むと同時にドラムが「バシャン!」と鳴り、それを何度か繰り返すのだが、次第に足で踏むまでの感覚が短くなっていき、突如踊りまわるようなハーモニカの音色が響き出して歌が始まるのである。

森若さんは綺麗だった。華があるなぁ、としみじみ思った。多分一番喋っていたのが森若さんで、森若さんは今年から一人で「ゴーバンズ」を名乗ることに決めたそうだ。まるでスターリンのようだと思ったのはきっと自分だけでは無いはずだ。そこから転じて水戸さんに「水戸くんは一人でアンジーを名乗らないの?」と質問し、たじろいでいた水戸さんが面白かった。

せっかく森若さんが来てくれているので、ということでオリジナルアルバムでも彼女が強い存在感を発揮する「少年A」に。歌声と喋り声が全然違うなぁ、と改めて思った。あと、少年Aは不死鳥八段目でもマルコシアス・バンプのアキマさんが歌っていたが、森若さんとアキマさんは系統的に少し声が似ているように感じた。少しね。

最後のゲストはニューロティカのあっちゃんことイノウエアツシ。おおー。あっちゃんを生で観るのは初めてなのでちょっと嬉しかった。本当にピエロの格好だ。思っていたよりも顔の白塗りメイクが薄かった。

あっちゃんは登場からずっと倖田來未の物真似をしていたが、恐らく客層と合わなかったのだろう、あまり受けていなかった。しかし滑ってもめげずに物真似を繰り返すあっちゃん。拾いきれない水戸さん! 「ここからどうやって次の曲に行けば良いのかわからない!」と珍しく水戸さんが弱音を吐いていたが、強引な流れで「すべての若き糞溜野郎ども」へ。

「不死鳥Rec.」ではあっちゃん参加の「すべての若き糞溜野郎ども」がかなり好きだったので、これも実は非常に楽しみにしていた。ニューロティカはベスト盤一枚しか聴いたことが無いが、あっちゃんの声って好きなんだよなぁ。でも下品な歌詞が苦手だからちょっときつかったんだよな………。

二曲目は「キモちE」。曲に入る前に水戸さんが、何かのイベントであっちゃんが歌っているのが格好良かったので3-10とは何の関係もありませんがこれを、というようなことを話していたのでてっきりニューロティカの曲だと自分は思っていたのだが、帰ってから調べてみたら3-10どころかニューロティカでもなく、RCサセクションの曲で大変びっくりした。ちなみに水戸さん曰く、あっちゃん結構間違えまくっていたらしい。

後半の「バースト&ワースト」から始まるパンクメドレーでは押しが発生! もともと結構前の方にいたのだが、さらに前に押し出され、水戸さんの拳と何度も接触することが出来て感激。至近距離の迫力を存分に堪能し、自分も良い歳のとり方をするぞと勝手に誓っていた。

「¥10」と「分解マニア」はこのパンクメドレーで格好良さに気付いた曲だ。オリジナルアルバムを聴いたときはさほどピンと来なかったのだが………。

本編ラストは「世界が待っている」で気持ちよく締め。そしてアンコール一曲目がまさかの「看護ロック」! 曲に入る前に水戸さんが「ラブソング」と言っていたのだが、そうか、これはラブソングという受け取り方で良いのか……。好きではあるが、怖い曲だと前から思っていたものだったので。

「看護ロック」の次が大好きな「生きる」で、これまた嬉しかった。これは何度聴いても良い。勇気が出る。そのうえで最後の最後では「偶然にも明るい方へ」。曲の途中で水戸さんがゲストを呼び込むとき、ゲストを指して「死ぬまで付き合いたい奴ら」と言い、曲の終わりには「俺達がお前らにとって、死ぬまで付き合いたい奴らでいられるように」と言うようなことを叫んでくれ、ぐっと来た。

時間はおよそ二時間半。聴きたかった3-10の曲を堪能し、発散して、スッキリした満足感に包まれた。今回は3-10を思う存分聴けたので、今度はまた、ソロの曲やアンジー曲をたっぷり聴きたい。やっぱりどれもこれも好きなんだ。



未分類のほほん学校, 大槻ケンヂ, 非日常

自分は結構なオーケンファンであり、オーケン関連のイベント・ライブにもそれなりに通っている。また、オーケンが影響を受けたという音楽や本にも手を出したことが多々ある。知りたいという欲求もある。しかしだ。それにしてもだ。

率直な感想を申し上げるならば、今回ののほほん学校は、辛かった……。

前半がこの夏の振り返り。後半がオーケンの好きな曲の聴き会で、この後半が長かった。辛かった。文字通り、オーケンの好きな曲を皆で聴いてみようという趣旨の企画なのだが、これ、阿佐ヶ谷ロフトでやる企画じゃないと思うんだぜ。

会場内にぎっしり敷き詰められたパイプ椅子。隣に座ったロリータファッションの女性のスカートが、どんなに小さく畳もうとしても膝にかかる距離である。歩き回れば人の視線を遮ることになるため気軽に立ち上がることも出来ず、無論パイプ椅子ゆえ背もたれは無く、クッションも無いに等しい。そんな環境で二時間オーケンの好きな曲を取り止めも無く聴かされるのである。

辛かった………。

あぁ、自分が好きな音楽はハードロックなんだなぁ、としみじみ実感する二時間だった。何が辛いって、オーケンのかける曲があまり自分の好みに合わないことで、井上陽水と頭脳警察はグッと来たが、後半のファンク責めと、映画「書を捨てよ、町へ出よう」のエンディング曲は本当にしんどかった。しかもほとんどフル尺で流すのである。

企画自体は面白いと思う。ただ、もっと気軽に聴ける環境で聴きたい。それこそライブバーX.Y.Z→Aのような場所が良い。ゆったりとくつろいでお酒と食事を楽しみながら聴ける環境であれば楽しかっただろう。例えそれが自分の興味の無い音楽でも。身じろぎの出来ない環境で次から次へとかかるので拷問のようだったのだ。

ゲストがオーケンと歳の近い人だったらまた違ったかもしれない。今回のゲストは自殺チンパンジーのファンタさん。ミュージックステーションで「釈迦」を聴いてからショックを受けたオーケンファンで、基本的にオーケンの肯定しかしないため、会話が転がらないためトークのおかしみも無く、ツッコミが入ることも無いのである。

前半、UFO関連の番組に出演した話をしたとき、UFO番組におけるUFO否定派の存在意義は、いつまでも喋り続ける肯定派の話を遮るためにあると熱弁していた。納得である。納得であるが、それと同じことが! 今まさに起こっているじゃあないか! 大槻さん!

ここにもしツッコミを入れてくれる水戸さんか橘高さんがいてくれたら良いスパイスを与えてくれたかもしれない。

オーケン自身は楽しそうだったが、聴き会が進むにつれ会場の反応が薄くなってきたためか「たまにはこんなのも良いよね!」とまるで自分に言い聞かせるように何度も言っていた。

ちなみに前半は弾き語りで「タンゴ」「あのさぁ」「オンリーユー」から始まり、その後この夏の振り返りへ。「大槻ケンヂの日本のほほん化計画」という番組の開始が決まった報告と、番組でシールを作ったので今日いらっしゃった皆さんに一枚ずつ差し上げますねという発表が。

これである。これを家の一番目立つところ、もしくは表札近くの「犬」シールの近くに貼るようにというお達しだ。玄関ドアーのど真ん中にでも貼ってやったらイカスかもしれない。

あと、ロッキンジャパンフェスの現状未公開映像も見せてくれた。これは嬉しかったなぁ。オーケンはそのとき体調を崩していたため、顔がむくんでいたことを気にしていたそうだが、血のりのせいかよくわからなかった。ちなみにこのときか、もしくは別のときか記憶が曖昧なのだが、顔がむくんでいること、または最近老けてきたことを気にしていることについて「僕って乙女じゃない?」と言い、「ええ」とファンタさんにあっさり肯定されて動揺していたのだが、乙女発言について正直何の疑問も抱かず、「やっぱりそう思ってるのか」と自分は思った。むしろ。

嬉しかったのはカラオケとはいえ谷山浩子の「おはようございますの帽子屋さん」を歌ってくれたこと。谷山浩子のイベント「猫森集会」にゲスト出演する関係で、最近はカラオケに通い詰めだそうである。そこで谷山浩子の曲を練習しているそうなのだが、何と谷山浩子も筋少の曲を歌うとのこと! しかも「まるで谷山さんのために作られた曲みたい」にバッチリものにしているそうなのだ。谷山浩子が歌う筋肉少女帯!! いったい何を歌うのか想像するだけでわくわくする。個人的にはキュートな曲よりもダークな曲を歌ってもらいたい。あぁ、でも「そして人生は続く」なんてのもはまるだろうなぁ。

橘高さん主催の「ドリームキャッスル」の思い出では、橘高さんは頭が良いから、曲を作るのと同じようにイベントも頭の中できちんと設計図を作って進行する、とリスペクト発言。ただ、遊びを入れるのを許さないから、ちょっとずれたことをやるとバッサリ切られることが何度かあってびっくりした、と笑うオーケン。なるほどなー。だがしかし。オーケンも想定外の橘高さんのボケを拾いきれずにスルーすることが結構あるよな、と思うのだった。

イベントは脅威の三時間越え。そのうち二時間は聴き会だっただろう。流石に尻と背中が痛く、今日ばかりは余韻どうこうなんぞ言ってられんので、早く帰って自分の好きな音楽を聴いて横たわって寝たいと思った。