<CLUB251 20th ANNIVERSARY>【『不死鳥Rec.』発売記念第二弾~3-10 chain ワンマンライブ!】 (2013年9月16日)

久しぶりの3-10Chainのワンマンである。非常に楽しかった! 水戸さんの曲はアンジーもソロも3-10も屑もエレカマニアも好きだが、そろそろ3-10の曲をがっつり聴きたい気分になっていて、その願望が叶えられたのだから嬉しい。何と、ゲストを招いて歌った曲と、後半のパンクメドレー以外は全て3-10一色! 過去には3-10Chainのライブと言えども、半分とまではいかないまでも、アンジー曲の割合が高かったり、決めの本編ラストやアンコールがアンジー曲ということが多々あった。水戸さんのライブに行き始めたばかりの頃は「まさか今になってアンジーを聴けるとは!」と感動した。嬉しかった。だが、回を重ねるうちに、3-10のライブでは3-10の曲をたくさん聴きたい、締めの一曲には3-10の曲を持ってきて欲しい、と思うようになっていた。ファンとは勝手なものである。

そして今回思ったことは、アンジーの水戸さんではなく、3-10Chainの水戸さんが3-10Ghainのライブでは求められるようになったのでは無かろうか、ということだった。過去に3-10のライブでアンジー曲の比重が高かったのは、単純にそちらの方が盛り上がるという理由だったのかもしれない。何と言ってもリアルタイムからのファンにとっては思い出深く、また、年数を重ねるごとに曲は育っていくものだ。その力の強さゆえに頼らざるを得ない側面もあったのでは無いかと思う。無論、「アンジーが好きなファンにも、3-10が好きなファンにも、色々なファンに楽しんでもらいたい」という水戸さんの思いあってこそだとは思うが。

このように思ったのは数年前に博多で3-10のライブを観たときのことを未だに強く覚えているからである。博多は水戸さんのホームグラウンド。そしてアンジーが育った土地だ。それゆえか、3-10Chainの曲では微動だにしない客がアンジーの曲を演奏し始めた途端大爆発、という場面があり、求められているものが違うことを強く感じさせられたのだ。

あれが2010年のことなのでおよそ三年前だ。三年間でいったい何が変わっただろう。3-10の曲数は大きく増えていない。だが、ライブの回数を重ねるうちに、アンジーとは別に、3-10Chainを求めるファンが増えたのかもしれない。それはきっと喜ばしいことなのだと思う。だって、今のバンドが今の曲で勝負出来るなんて、素晴らしいことじゃないか!

あとこれは二十五周年効果かもしれないのでまだ断定は出来ないのだが、以前はほとんど無かった押しが発生するようになったり、アンコールでは手拍子だけでなく、「アンコール! アンコール!」という声をあげてのコールが起こるようになったのだ。もしかしたら二十五周年の熱に浮かされた結果であり、今だけのものかもしれないが、自分はこれを、熱いファンが増えた、もしくは生まれた結果によるものだと良いな、と思うのだ。

ちなみにセットリストは記憶する限りでは下記の通り。ほぼ完璧に覚えられているはずである。

サイのように歩け
Hello! Hello!
ナミダ2

愛に愛はあるのかい?
風になっちゃった

(吉田一休氏入場)
カナリア
犬と夕暮れ

(吉田一休氏対象、森若香織氏入場)
少年A
遠くまで

(森若香織氏退場、イノウエアツシ氏入場)
すべての若き糞溜野郎ども
キモちE(RCサセクションのカバー)

(イノウエアツシ氏退場)
落書きみたいな存在達のハレルヤ

バースト&ワースト(ここからパンクメドレー)
バンビはどこだ
¥10
分解マニア
バラノシュラバ
バースト&ワースト

100万$よりもっとの夜景
世界が待っている

~アンコール~

看護ロック
生きる

~ダブルアンコール~

偶然にも明るい方へ(後半に本日のゲストが入場)

一曲目の「サイのように歩け」は重々しいベースの音がそれこそサイの歩みのように大地を踏みしめる、存在感のある曲だ。そして二曲目はがらりと雰囲気が変わり、明るくはっちゃける「Hello! Hello!」。早くも会場が踊り出し、温かくなってきたところで意外な一曲、「ナミダ2」! 水戸さんが「ナミダの事情ーーーー!!」とマイクに向かって叫んだとき、喜びのあまり頭の中で「ギャーーーーーーーー!!!!」と叫んでしまった。声に出さなくて良かった。それくらい嬉しかった。聴きたかった。

自分にとっての今回の目玉は「ナミダ2」「看護ロック」「生きる」「偶然にも明るい方へ」。あと、以前の100曲ライブで吉田一休氏の回がとても楽しく面白く、「不死鳥Rec.」での氏参加の「カナリア」も素晴らしかったので、今日は実は彼の参加を非常に楽しみにしていた。あのハーモニカが踊り狂う「カナリア」を是非生で聴きたかったのだ。

「カナリア」は想像以上に良かった。イントロではハーモニカを吹き鳴らし、ふっと止めて足でバンとステージを踏むと同時にドラムが「バシャン!」と鳴り、それを何度か繰り返すのだが、次第に足で踏むまでの感覚が短くなっていき、突如踊りまわるようなハーモニカの音色が響き出して歌が始まるのである。

森若さんは綺麗だった。華があるなぁ、としみじみ思った。多分一番喋っていたのが森若さんで、森若さんは今年から一人で「ゴーバンズ」を名乗ることに決めたそうだ。まるでスターリンのようだと思ったのはきっと自分だけでは無いはずだ。そこから転じて水戸さんに「水戸くんは一人でアンジーを名乗らないの?」と質問し、たじろいでいた水戸さんが面白かった。

せっかく森若さんが来てくれているので、ということでオリジナルアルバムでも彼女が強い存在感を発揮する「少年A」に。歌声と喋り声が全然違うなぁ、と改めて思った。あと、少年Aは不死鳥八段目でもマルコシアス・バンプのアキマさんが歌っていたが、森若さんとアキマさんは系統的に少し声が似ているように感じた。少しね。

最後のゲストはニューロティカのあっちゃんことイノウエアツシ。おおー。あっちゃんを生で観るのは初めてなのでちょっと嬉しかった。本当にピエロの格好だ。思っていたよりも顔の白塗りメイクが薄かった。

あっちゃんは登場からずっと倖田來未の物真似をしていたが、恐らく客層と合わなかったのだろう、あまり受けていなかった。しかし滑ってもめげずに物真似を繰り返すあっちゃん。拾いきれない水戸さん! 「ここからどうやって次の曲に行けば良いのかわからない!」と珍しく水戸さんが弱音を吐いていたが、強引な流れで「すべての若き糞溜野郎ども」へ。

「不死鳥Rec.」ではあっちゃん参加の「すべての若き糞溜野郎ども」がかなり好きだったので、これも実は非常に楽しみにしていた。ニューロティカはベスト盤一枚しか聴いたことが無いが、あっちゃんの声って好きなんだよなぁ。でも下品な歌詞が苦手だからちょっときつかったんだよな………。

二曲目は「キモちE」。曲に入る前に水戸さんが、何かのイベントであっちゃんが歌っているのが格好良かったので3-10とは何の関係もありませんがこれを、というようなことを話していたのでてっきりニューロティカの曲だと自分は思っていたのだが、帰ってから調べてみたら3-10どころかニューロティカでもなく、RCサセクションの曲で大変びっくりした。ちなみに水戸さん曰く、あっちゃん結構間違えまくっていたらしい。

後半の「バースト&ワースト」から始まるパンクメドレーでは押しが発生! もともと結構前の方にいたのだが、さらに前に押し出され、水戸さんの拳と何度も接触することが出来て感激。至近距離の迫力を存分に堪能し、自分も良い歳のとり方をするぞと勝手に誓っていた。

「¥10」と「分解マニア」はこのパンクメドレーで格好良さに気付いた曲だ。オリジナルアルバムを聴いたときはさほどピンと来なかったのだが………。

本編ラストは「世界が待っている」で気持ちよく締め。そしてアンコール一曲目がまさかの「看護ロック」! 曲に入る前に水戸さんが「ラブソング」と言っていたのだが、そうか、これはラブソングという受け取り方で良いのか……。好きではあるが、怖い曲だと前から思っていたものだったので。

「看護ロック」の次が大好きな「生きる」で、これまた嬉しかった。これは何度聴いても良い。勇気が出る。そのうえで最後の最後では「偶然にも明るい方へ」。曲の途中で水戸さんがゲストを呼び込むとき、ゲストを指して「死ぬまで付き合いたい奴ら」と言い、曲の終わりには「俺達がお前らにとって、死ぬまで付き合いたい奴らでいられるように」と言うようなことを叫んでくれ、ぐっと来た。

時間はおよそ二時間半。聴きたかった3-10の曲を堪能し、発散して、スッキリした満足感に包まれた。今回は3-10を思う存分聴けたので、今度はまた、ソロの曲やアンジー曲をたっぷり聴きたい。やっぱりどれもこれも好きなんだ。