未分類100曲ライブ, 6杯, 水戸華之介, 非日常

五日間で百曲を歌う、水戸さんの100曲ライブ第一夜。この100曲ライブも今年でついに五年目とのことで、当初は毎年恒例にするつもりはなかったが、大変であるにも関わらず終わればまたやりたくなるとのこと。このシリーズが始まったとき、大好きな水戸さんの曲を百曲堪能出来ることに非常に興奮し、参戦してみれば間近で水戸さんを観られる喜びで爆発し、先の約束が何も無いにも関わらず、来年も楽しみだな、と思ったものだ。その希望が叶えられてついに五年目。当たり前のように開催されることがとても嬉しい。

厚手の外套に身を包み、凍えるような寒さの中開場の時を待つ第一夜から二週間置いて第二夜、第三夜と徐々に外気がほころんでいき、最後の第五夜には淡い色合いの薄手の上着を人々は身にまとう。列に並ぶ人々は知らない人間ばかりだが、五年目ともなれば見覚えのある人達も多く、いつの間にか彼ら彼女らと過ごすこの時間に春の訪れを感じるようになっていた。

今回のゲストは人間椅子の和嶋慎治、通称ワジーである。以前のワジー回は渋めの選曲が多く、重くシリアスな印象だった。アルバムで言えば「ヨキコトキク」的と言えば良いだろうか。また今日のライブも水戸さん曰く、男っぽいと言うか愚痴っぽい曲ばかりになってしまったとのこと。

しかし今日はシリアスの比重が高めながらもパッと盛り上がる曲もあり、以前自分が参戦したときとはまた空気が違って面白かった。前回は聴き手も心して臨まなければならない緊張感があったが、そのあたりが軽くなっていて気軽に楽しむことができた。この空気の変化の由縁は選曲と水戸さんのテンションによるものだろう。

と言うのも水戸さんは現在新譜のレコーディング中で、レコーディングモードのままライブに臨んでいるため妙なテンションになってしまっているそうだ。水戸さんとワジー曰くレコーディングは今この世に無いものを新しく創る作業なので、ひらめきが生まれるたびに「自分は天才か!?」と興奮し、ライブとは全然違う心理状態になるそうだ。そのためレコーディングモードの水戸さんは普段であればMCもキリの良いところでまとめて次の曲に移るという風に自分をコントロール出来るのだが、今はそれが出来ないためワジーに任せるといった形になっていた。

とするとまぁ、水戸さんもワジーもお喋りだから曲と曲の合間に喋る喋る。重い曲の後に楽しい話題が発生したり、ふざけあった直後にシリアスな曲が始まったりと非常に空気がゆるゆるで、ゆるーい寒天の中を漂っているような楽しさがあった。

そんな中で印象的だったのは、水戸さんが三十年ぶりに知人と再会し思い出話に興じた流れで語られたこと。三十年前にベルリンの壁が壊された、でもまた壁が作られるのか、と。その小さく短い言葉がいやに耳に残った。

そうして始まったのは「人間のバラード」。水戸華之介&3-10Chainの曲である。

この後にもアメリカ大統領選の話題になり、そのときはワジーにより陰謀論と絡めてキャッチーに語られた。話を聞きつつ思ったのは、安寧に生きられると思っていられる瞬間は本当にラッキーで、ともすればそれは瞬間として簡単に切り取られてしまうかもしれないことである。

かと思えば、陰謀論を語ったワジーは秘密を暴露した者として始末されるかもしれない! 額に赤い光が点されたらまずい! 撃たれる! 狙われている! と悪ふざけ。ワジーが近付けば「巻き添えになる」と離れようとする水戸さん、そんな水戸さんにギターを弾きながらぐいぐい接近して死なばもろともを狙うワジー。男子高校生の休み時間のような光景が繰り広げられ、ゲラゲラ笑ったのだった。

一曲目は「夜と男と運命の魔の手」と、格好良くかつ痺れる選曲。意外かつ嬉しかったのは「猫とろくでなし」。屑の曲なのでてっきり吉田一休回でやるものと思っていたら、まさかワジーバージョンが聴けるとは! 原曲よりも緩やかに歌われていて、あたたかくも寂しい気持ちになった。あぁ、この曲大好きだ。

いろんな意味で衝撃だったのは「飛蝗」である。この曲が出来た経緯を全然知らなかっただけにびっくりした。水戸さんが長年出演していたラジオ「土曜ワラッター」の企画で生まれたもので、ある人かグループに対し「使ってください」といきなり送りつけられた曲を水戸さんが拾って形にしたものらしい。よってあまり時間をかけずに作ったものだが、ワジーはすごく良いと絶賛していた。そういった経緯もあり、3-10Chainのセットリストにあえて入れるのも……と言うことでなかなか出番が無いと水戸さんは語っていたが、いや飛蝗好きなのでやってくださいお願いします。

「ずっと愚痴しか言ってない」「何だこの曲」と水戸さんが笑っていたのは「眺めの良い場所」。愚痴を経て最後に逆転があるかと思いきや何も無い! とのことで、改めてじっくり聴いてみると確かにその通りだった。でもこの情けない感じ好きなんだよな。

本編最後は「グライダー、虹へ」で、アンコールはかつてトリビュートに参加した際にカバーしたブルーハーツの「情熱の薔薇」と「パンを一切れ」。「パンを一切れ」の水戸さんの声の伸びやかさの美しさったら無かった。そして二十面ダイスにより選ばれた本当に最後の一曲は「グライダー、虹へ」。

重さとゆるさの波を漂う楽しいライブをカチッと固めるのはやはりワジーの安定感に他ならない。水戸さんのテンションに引っ張られたのかワジーも若干テンションがおかしく、同じ箇所を何度も弾いてしまうミスが数回ありつつも、「それでも大丈夫」と思わせてくれるしっかりとした土台の重さ。水戸さんとのコーラスも美しく、澄田さんとはまた違った味わいがあって心地良かった。

あと、水戸さんもワジーも自分の新譜やその予定があるにも関わらず、内田さんの新譜を熱心に宣伝していたのが面白かった。「あのピコピコへの真摯さはすごい」「筋少のカバーなのに筋少のフレーズが少ない」「筋少である必要があるのか?」「頭がおかしい人が作ったアルバム」「怖かった」「筋少のライブや店頭で売ってると思うので是非買ってみてください」と二人して熱心に喋るのである。そんな内田さんが出演するのは第三夜。ちょうど一ヵ月後の三月の頭。また少し暖かくなるだろう。次回もまた楽しみである。



未分類6杯, 筋肉少女帯, 非日常

毎年恒例クリスマスイブイブライブ。筋少の楽曲を全身に浴び、多幸感に包まれて息をつく気持ち良さ。オーケンがMCで「変化を求めていない観客」「安定を求めているよね」とニコニコ語っていたように、確かに己はこのライブに大きな変化球を望んではいない。約束されたいつもの楽しさを、期待通りに受け取れることが何より嬉しいのである。オーケンにクリスマスをネタにいじられ、アンコールではおいちゃんとふーみんがトナカイとサンタの装いで現れてお菓子を撒き、終演後に鳴り響くクリスマスソングを背にドリンクカウンターへと向かう。定番曲中心のセットリストは実家に帰って来たかのようなしっくり感があり、かと思えば珍しくも嬉しいレア曲もあって、ただただ純粋に「あぁ、楽しかった」と口元が緩むのである。

そして今夜のセットリストがこちら。何てったって一曲目が「イワンのばか」。そのうえ最後は「サンフランシスコ」で締めだなんて、もうたまらないにも程がある。


イワンのばか
君よ!俺で変われ!

俺の罪
カーネーション・リインカーネーション
時は来た

アウェー イン ザ ライフ
レセプター(受容体)
ロシアンルーレット・マイライフ

ベティー・ブルーって呼んでよね
S5040
SAN FRANCISCO(エピローグ)

人から箱男
混ぜるな危険
ゾロ目
踊るダメ人間
トゥルー・ロマンス

~アンコール~
元祖高木ブー伝説
機械
サンフランシスコ


個人的な目玉は「レセプター(受容体)」「S5040」「SAN FRANCISCO(エピローグ)」「トゥルー・ロマンス」に、「元祖高木ブー伝説」。「S5040」はアルバム発売ツアーでは演奏されず、今回初披露となった曲である。みょんみょんみょんみょん……と怪しげな音が空間に広がり、椅子に座ったオーケンが静かに歌いだす。おいちゃん、オーケン、うっちー、エディ、長谷川さんの五人での編成で珍しく橘高さんがステージにいない。ベースの存在感が一層濃く、どこか得体の知れないところに連れて行かれそうな空気が濃密に漂う。

曲の後半で橘高さんのいない上手にアコースティックギターが設置され、ふらりと青い闇の中に橘高さんが現れる。ギターの前に立ち、じっと微動だにせずギターを爪弾くタイミングを待つ横顔が実に美しかった。

そして静かに曲が終わると、オーケンがぼそりとある一節を呟いた。瞬間、ざわつく会場。椅子を立ったオーケンはステージを去り、空間に響くのはやわらかなギターとピアノの音色。そこに優しく叩かれるドラムが重なり、始まったのは「SAN FRANCISCO(エピローグ)」。

この曲は活動休止前、最後に発売されたベストアルバムの終わりに収録されている。やわらかくあたたかな音色だが、かつてはこの「エピローグ」に心を掻き乱された人もいたことだろう。今これをただ純粋に美しい曲として聴き入ることができるのは実に幸せだ。エピローグがプロローグに繋がってくれて本当に良かった。

また、一回終わると見せかけて、演奏がピタッと止んで無音になった後、ドンッと一斉に曲が再開した演出が実に格好良く、心が痺れた。終わりと見せかけて終わらない。エピローグがエピローグのまま終わらない。

特にテーマとして銘打たれてはいなかったが、「再生」を感じさせられるライブだったと思う。定番曲で固められたセットリストには、「かつての定番曲」もあり、「アウェーインザライフ」「ロシアンルーレット・マイライフ」「元祖高木ブー伝説」は久しくライブで聴いておらず、懐かしさを感じつつ「あぁ、これこれこの感じ」とかつての感覚が蘇る。「カーネーション・リインカーネーション」は輪廻転生を歌い、「トゥルー・ロマンス」では村人に祝福されながら、死んだ男がゾンビとなって恋人のもとに戻ってくる。MCではオーケンが、来年だけではなく、来世も来々世も来々々世も会いましょうと気が遠くなるほど先での再会まで約束してくれた。そして、終わらなかったエピローグ。

一年間、楽しいことや辛いこと、いろいろなことがあっても、ぐるぐる回って回って回って回ってこの12月23日にさえ辿り着ければ、また来年へと向けて歩み出せる。来年もきっと、この日を迎えられるはずと思えるからこそ乗り切れる。その決して言葉に表されていない約束を信じられるからこそ、その約束が果たされたとき心の底から歓喜して、全身が喜びに満ち溢れるのである。

今日のライブは前から二番目で観られたため、広い視界を手に入れることが出来た。場所は内田さんの前で、おいちゃんふーみんが投げたお菓子を取ることは出来なかったものの、ステージから身を乗り出してギターソロを弾く橘高さんの汗の粒がポタリと頬に落ち、力強い臨場感と迫力に圧倒され非常に興奮した。あれは……ドキドキした……。

MCはのほほんとしつつブラックなネタもそこかしこで披露された。特に面白かったのはオーケンが内田さんに、告知の紙を丸めてナイフに見立てて襲い掛かってきてほしい、とステージでいきなり小芝居を要求するシーン。事前の打ち合わせがなく驚く内田さんに、「ごめん、今ここで打ち合わせさせて!」とステージで頼むオーケン。その後オーケンの要求は叶えられ、律儀に襲い掛かる内田さんの一つ一つのアクションに橘高さんがギターで効果音をつけるのが実に漫画的で面白かった。

内田さん関連ではソロの話も面白かった。打ち込みのソロアルバムの発売が決まった内田さん。そのデモをオーケンが楽屋で聴いていたところ、いきなりドアがバーンと開かれ、「こんなのはダメだー!」とラジカセをバーンと開き、プリプリ怒りながらCDを回収していったと言う。内田さんはきちんとした完成品を聴かせたかったため、デモを聴かれて混乱してその行動に出たそうなのだが、オーケンは内田さんに怒られたのは中学ぶりくらいだったらしく、非常に怖かったと語っていた。

「俺の罪」の曲に入る前のMCも印象的だった。「俺の罪」を気に入っている長谷川さん、てっきりオーケンはドラムが大変じゃないから好きなのだろうと思っていたが、長谷川さんは「俺の罪」の歌詞が好きだったとのこと。このことをオーケンが非常に喜んでいて、至るところで「歌詞が良いからね!」と自画自賛しながらおどけていた。

クリスマスの話題から、昔のライブでは盛り上がっているときにキスをしているカップルがいた話に。オーケンがおいちゃんに「そういうお客さんいたよね?」と話を振ると、狼狽するおいちゃん。「米! 米! 米! 米! って盛り上がっているときにちゅーってしてるんだよう」と語るオーケン。日本の米で盛り上がってキスするってすごいな。そして「今日そういうお客さんいますか~」と目の上に手をかざして探す真似をするオーケンとおいちゃん。今日の空間にはいたのだろうか。

エディとのMCも面白かった。最近行われた特撮のライブは開演時間が早く、終演後にサザエさんが見られそうな時間帯だったそうだ。そこでオーケン、ライブ前に番組表をチェックすると「穴子さんのバイオリン」という話が予定されていて、それをMCで披露したら受けたという。エディも気に入り、気になったので終演後にサザエさんを実際に見てみたら、楽しい話かと思いきや暗く悲しい話だったそうで、エディはショックを受けたらしい。そしてサザエさんやムーミンなどのほんわかしたアニメでたまに暗い話が差し込まれるのがすごく嫌だ、と幼少時の思い出を交えつつ力説していた。

開演時、おいちゃん、オーケン、ふーみんが赤い衣装に身を包んでいて、少なからずクリスマスを意識していることが感じられ、嬉しかった。そんな中で内田さんだけが黒い衣装で、さらに真っ黒のフードを頭に被って怪しげな雰囲気。メンバーの中で内田さんが一番クリスマスから遠いところに身を置いているように思う。

何の曲だったか忘れてしまったが、内田さんがモニターに腰掛けながらベースを弾くシーンがあり、それが実に格好良かった。橘高さんもその隣に並んでギターを弾いてくれて嬉しかったなぁ。

アルバムを発売してまだ一年しか経っていないのにオーケンがもう「時は来た」の存在を忘れていたことに笑った。しかし曲中での語りは顕在で、これをクリスマス直前に聴けるってたまらないな、とにやにやしてしまった。時は来た、打ち壊せ、目にもの言わせ! 集まったものの敵の正体がわからず、途方に暮れるカルト達の間抜けさ。煮詰めた恨みと怒りの行く先はいったいどこに向かうのか。大丈夫、それはここで発散・昇華されるのである。

時は来た。また来年も時は来る。再びここに集う日を待ちながらしばし余韻に浸れば良い。そうしたら、ほてほて、ほてほてと歩き出そう。次に向けて。



未分類6杯, M.S.SProject, 非日常

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そろそろ新しいブーツを買わねばなるまいな、とライブチケットを財布に入れて家を出たのが十四時頃か。そして本日のライブ会場「パシフィコ横浜」のあるみなとみらい駅とは反対方向の電車に乗って靴屋めぐりをした。スタンディングではなく、座席ありの会場なら靴を買ってそのまま直接現地へ向かえば良い。

しかし思い出してしまったのである。布団を干しっぱなしにしていたことを。

悩んだ。このまま布団を放置してライブに向かうか。確か今日は降水確率がゼロパーセント。とはいえ、万が一のこともある。何より布団の生死を危ぶみながら、そんな心境でライブを心から楽しめるのか。目の前にはステージがあるのに頭の片隅には布団が存在し続けていいのか。だが間に合うのか。間に合うか? 間に合うか!? 間に合うのか!!?

足に馴染んでいない固いブーツに苛まれながらみなとみらい駅からパシフィコ横浜まで全力疾走した。
疲労困憊で席に着き、ゼーゼーと息を整えている間に開演。ギリギリである。死ぬかと思った。死ぬかと思った。

そんなこんなで自業自得のトラブルに見舞われつつも無事パシフィコ横浜に到着。今回で二回目のMSSPライブである。前回参加した公演もパシフィコ横浜で、あれがちょうど一年前。あのときは福山雅治のライブも近くでやっていて、帰り道がえらく混雑した覚えがある。懐かしいものだ。

構成は前回と同じで、まずスクリーンにオープニング映像が映し出され、映像が終わるとメンバーが登場し、ゲーム実況に移行。実況が終わるとメンバーがステージから退場し、幕間(まくま)ではライブ会場をテーマにしたお楽しみ映像が繰り広げられる。そしてわっと盛り上がった後、ステージセットが動き出し、MSSPメンバーとサポートミュージシャンが登場! という流れだ。

オープニングでは、MSSPのメンバーが冒険をする映像が流され、その上にご当地ネタを織り交ぜた音声が乗せられていた。やはり横浜といえば中華街らしく、何故かeoheohが「肉まん食べたあい!」「チャーハン食べたあい!」と抑揚の無い声を張り上げながら漲る食欲をアピールしていた。あなたそういうキャラでしたっけ。

ここに限らず、他の場面でもeoheohは棒読みのようなそうでないような、何とも言えない抑揚の無い声を元気よく発する場面が多く見られ、元気いっぱいなのかヤケッパチなのかわからないあたりが面白かった。

映像の後MSSPのメンバーがステージに登場し湧き起こる歓声。ここで中華街トークが続き、KIKKUN-MK-IIにより肉まんを胸に例えた下ネタが発せられ、FB777が両手を挙げて距離をとり、「私は何も関係ありません」という顔をしていた。FB777のこのあたりの感覚、ちょっと好きだ。

ちなみに映像そのものは魔王を倒す云々という話だったのだが、上記のeoheohの様子があまりに印象的だったので話の筋を忘れてしまった。だが、筋を忘れても覚えているのは、これが後のゲーム実況に繋がるということ。魔王を倒すためにゲーム実況を開始する、と高らかに宣言され、スクリーンが五分割され、中央にはゲーム画面、左右の小窓にはMSSPメンバーが一人ずつ映し出された。

今回プレイするゲームは二つ。まずプレイされたのがインベーダーゲームとパックマンを足して二で割ったような素朴なもの。碁盤上の画面にブロックや草、川が一マスごとに配置され、敵の戦車がうろうろしている。敵を全て撃破できれば勝ち。敵の攻撃により残機が無くなったり、自陣にある鳥マークを敵に破壊されたら負け。同時に二人までプレイできるので、ジャンケンでチーム分けを行い、FB777・eoheohチームと、KIKKUN-MK-II・あろまほっとチームに分かれ、順番に対戦を行った。

このチーム分けで、チョキとパーで分かれると言っているにも関わらず、あろまほっとがグーを出してしまう場面があり、それについてメンバーが突っ込み、あろまほっと自身も不思議そうにしていたのが学生のやりとりのようで微笑ましかった。

このゲームをプレイしたことは無いものの、インベーダーに親しんでいたこともあり、楽しく観戦出来て嬉しかった。ゲームをする大人四人に会場中から飛ぶ歓声と応援。FB777が二度も自陣の守るべき鳥マークを破壊して自らゲームオーバーへと転がり落ち、思わぬ展開にどよめく会場、「お前はスパイか!」「何でだよ!」と突っ込むメンバーに起こる笑い。あぁ、これ酒呑みながら眺めたい。ゆるーく背もたれに身を預けながらビール呑みながら観たい。パシフィコ横浜がドリンクありの会場だったらなぁ……!

もう一つのゲームは何だかわからなかった。薬局の店頭に置いてある蛙の人形みたいなものが踊ったり戦ったり殺されたりするゲームだった。モンスター退治をしていたので、前回のライブで観たモンスターハンターに近い系統と思われる。欲を言えばゲームの前に簡単な説明が欲しかったが、多分ここに来ている人にとっては蛇足なのだろう。

ちなみにFB777だけ本人の容姿に近い、サングラスをかけた人間のキャラクターで、KIKKUN-MK-IIは完全な二足歩行の蛙、eoheohは頭が蛙で首から下が人間の男性、あろまほっとも頭は蛙だが一人だけ皮膚がピンクで飾りにおリボン、首から下は人間の女性のキャラクターだった。そして蛙達は各々楽しげにゆらゆら踊り、唯一の人間FB777はその様を呆れながら眺めるのであった。ここでふと、般若面が嫉妬と恨みに身を焼いて鬼女に成り果てた女を表すことを思い出し、一人愉快な気持ちになってしまった。ゆらゆらと楽しげに踊る鬼女は恨みも復讐心も昇華していそうだ。代わりに蛙の呪いをかけられているが。

そうそうついでに。最近読んだ「鬼の研究」(著者:馬場あき子)という本に般若についての記述があって、それがなかなか面白かったので紹介しておこう。般若に興味のある方はどうぞ。

話を戻そう。そうして人間と蛙のパーティーはモンスター退治に挑み、巨大な武器を振るって攻撃をしかけたり殺されたり殺されたりした。ファンシーな蛙頭が大振りの武器を打ち下ろし、モンスターからはビシャアと血飛沫が飛んでこれが意外とえぐくてびっくりした。またモンスターの動きが気持ち悪いのである。こいつらがいない世界に住んでいて良かったと心から思った。(蛙も含む。)

ゲーム実況が終わり、メンバーがステージから退場。代わりにスクリーンには「SOUND ONLY」の文字が並ぶ。そして始まるのはご当地ネタのトーク! 音楽ライブを始めるにあたってステージの準備を整えるまでの間、こうして楽しませてくれるのは本当にありがたい。観客を退屈させない仕掛けと心配りが見事だなぁ。

トークは、ツアータイトルにかけて横浜の幻想をメンバーが一人一人手描きのイラストつきで発表するもの。FB777は頭が肉まん、肩がシュウマイ、腕が月餅、胴がレーズンサンド、足がバウムクーヘンで、両手に赤と青のスカジャンを持って鳩サブレを踏みつけた怪人を描き、KIKKUN-MK-IIはシュウマイが美味しそうで遠近感が不安な孤独のグルメ、あろまほっとは頭がカップヌードル、左肩に観覧車、胴が赤レンガ倉庫で、白目を剥いたドラえもんが頭半分だけ見えた怪人、そしてeoheohは「仏の顔も三度まで」を三コマ漫画で示した大仏ゴーレムなる横浜の守護者を爆誕させた。大仏の絵が妙に上手かった。

トークが終わったらいよいよだ。ステージにスモークが焚かれ、「MSSP」と描かれたステージセットがまるで門を開くようにじりじりと動き出す。その先にいるのはもちろん言わずもがな。楽器を抱えたKIKKUN-MK-IIとFB777が中央に立ち、上手と下手にはeoheohとあろまほっと、後方にはサポートミュージシャン! 

そして始まった一曲目がシングル収録の「Over Road」。驚いた。これまで結構な数のライブに通ってきたが、インストゥルメンタルから始まるのは生まれて初めてだ。ギターが音を刻み、ドラムが駆ける硬質な音。緑の細い照明がレーザービームの如く客席に照射され、煽る声も何もないままに駆け上る高揚感が楽しい。

二曲目は「幾四音-Ixion-」で、KIKKUN-MK-IIとFB777が歌唱をとる。前回歌いづらそうにしていたことを記憶しているが、今回は前よりもこなれた感じがあってわくわくした。ただ、後の曲の方がより伸び伸び歌っている印象を受けたので、この曲は音程が二人には低すぎるのかもしれない。

このあたりでセットリストを。後半若干自信が無い。間違っていたらご容赦を。

Over Road
幾四音-Ixion-
Shadow Hearts

ENMA DANCE
Arrival of Fear

THE BLUE
Phew!

KIKKUNのテーマ
Egoist Unfair

M.S.S.Phantom
M.S.S.Party
M.S.S.Phantasia

~アンコール~
ぴるぴるちゅーんへいへい! と言っていた曲
ボーダーランズのテーマ
We are MSSP!


一曲目の「Over Road」ではもう一つ驚くことがあった。パフォーマーであるあろまほっととeoheohが、揃った動きで一曲一曲に合わせた振り付けを行っていたことだ。前回のライブでは、二人は曲ごとに揃いのアイテムを持ちつつも、各々好きにステージを動き回っていて、時には手持ち無沙汰にしている場面もあり、その自由さが観ていて楽しかった。

ところが今回、二人揃っての振り付けが曲の中に構成されることによって、ステージの印象がガラリと変わった。パフォーマーが担う曲の役割が明確化し、世界観がカチッと完成され、全部に意味があるように見える。今回のライブを観た後になって思えば、前回の二人は光る棒や旗、スモークを吐き出す銃といったアイテムによって助けられていた。しかし今回はパフォーマーとしてアイテムを活用しているのである。この違いは大きい。

光と闇のファンタジアツアーの前に、パフォーマンスライブが行われていたことは知っている。参戦してはいないが、ダンスを踊ったらしいことは耳にしていた。詳細は知らないが、もしかしたらそのライブをきっかけに練習をしたのだろか。

つい考えてしまう。己はMSSPとほぼ同年代だが、今この歳でダンスとパフォーマンスを練習しろと言われたら出来るだろうか。ものすごく頑張れば出来るかもしれないが、ものすごく頑張らないと出来ないだろう。もともとダンスの素養があるならともかくも、全く無い文化系インドア人間なのだ。感嘆せざるを得ない。

すごいなぁ。こういうのって実に良い。己が今年行ったライブは筋肉少女帯と平沢進と水戸華之介、町田康。上は六十二歳、下は五十歳のミュージシャンである。活動暦に至っては三十年から四十年。皆熟練者達であり、進化や変化はありつつも、完成されたスタイルを持っている人達だ。

だから自分は、今まさにぐんぐん成長し、今後も変貌を遂げるだろうと期待させるグループを観たことがなかった。そして今それを目の当たりにしている。これはライブの醍醐味ではなかろうか。

三曲目の「Shadow Hearts」では和風の文様がステージに映し出され、パフォーマー二人は太鼓を持って登場。初音ミクの歌声が響き渡る空間は実に心地良かった。この曲好きなんだよなぁ。

MCが入り、KIKKUN-MK-IIによりタイトルが発表され「踊れ!!」とシャウトが響く。「ENMA DANCE」だ! ここでパフォーマー二人は長い棒を持って登場。くるくると回転させると「ENMA DANCE」と文字が浮かび上がったり、まるで燃え盛る炎がついた棒を振り回すかのような演出も。さらに、ステージ中央にやってきた二人、あろまほっとがeoheohの後ろに立ち、eoheohが膝を折って屈む。あろまほっとがeoheohの頭上に手を掲げ、掴みあげる仕草をすればマリオネットのごとくeoheohが引っ張られる。また、前後に並んで立った二人が腕を重ならないよう左右に突き出し、さながら千手観音のようなパフォーマンスも披露! 面白いなぁ! これは見入ってしまう。

「Arrival of Fear」では光る棒から「MSSP」と大きく書かれた旗に持ち替え、出だしからKIKKUN-MK-IIのギターソロ。曲中で「うふふ」と聞こえる箇所が別の音になっていたが、あれは何だったか。ちなみに「To Deep」の箇所は省略されていた。

「THE BLUE」では、観客が次々と手元のペンライトを青にする準備をしている姿が見えたのが面白かった。今回自分は一階Bブロックの前の方にいたので、ペンライトによって彩られる景色も堪能することが出来たのだ。青色に染め上げられ、光の粒のような照明がプラネタリウムのように回転する。美しかったなぁ。

あと、ボーカロイドならではの早口の歌唱も楽しい。スピードに乗ってそのままスタンディングで揉まれたい!! と身の内から沸き起こる衝動は抑えがたいものだった。抑えたけどな!

それと他の場面だったと思うが、あろまほっととeoheohが体を前後に揺らしているシーンがあり、己はライブハウスのノリよろしく思いっきり折りたたみをしようとしたのだが、周りの誰もやっていなかったので「やっべ」と踏みとどまった。危なかった。

ゾンビ曲「Phew!」ではあろまほっととeoheohが手を前に突き出し、キョンシーのようなポーズをとった。なるほど二人はゾンビを演じているらしい。観ていると動きに物語があり、朝起きて、重い何かを運び、どこかに積み上げる動作をしていた。あぁ死体を運んで積み上げて、壁に塗りこんでいるんだな、と解釈。しかしその後弓矢を持って狩りを始め、御飯を食べ出してしまった。え? ゾンビなの? ゾンビじゃないの? そうこうしているうちに二人はまたゾンビのポーズをとって去って行った。多分己は物語の解釈を間違えている。

さてさて。次が楽しみにしていた一曲である。「KIKKUNのテーマ」! これ楽しいんだよなぁ。アルバムを聴いたらライブで「きっくん! きっくん!」と叫ぶところが完全にインストになっていて驚いたものだ。

曲に入る前に予行練習を行い、KIKKUN-MK-IIの掛け声に合わせて「きっくんきっくん!」「えふびーえふびー!」「あろまあろま!」「えおえおえおえお!」とコールアンドレスポンス! 一声で四回も続けて「えお」と叫ぶってそうそう無い体験だな。さらにメンバー二人の名前を合体させた掛け声もKIKKUN-MK-IIの先導によって行われ、「順番が云々」という発言にFB777がオープニングの肉まん騒動のときと同じしらっとした無表情を浮かべKIKKUN-MK-IIを見やっていて笑ってしまった。まぁあるよな。

このトークと予行練習の間、体感で軽く五分以上ドラマーはずっと同じリズムを刻み続けていた。お疲れ様です。

ハイテンポの曲が駆ける中、皆がペンライトを黄色に変え、「きっくんきっくん!!」と大声で叫ぶ快感。曲中ではメンバー紹介も行われた。サポートメンバーはギター、ベース、ドラム、キーボードの四名。そういえば今回サポートメンバーのトークは無かったな。

「Egoist Unfair」はKIKKUN-MK-IIとFB777が伸び伸びと歌っていて、すごく気持ち良さそうだった。高い声の方が合うのかもしれない。

「M.S.S.Phantom」ではステージが暗い赤に染められ、重々しい空気に。「ズ、ズ、ズンズンズンッ」という音の中でメンバーは腰を下ろし、楽器を構える。パフォーマーのあろまほっともギターを、eoheohはサンプラーを操り八人での演奏が行われた。

「M.S.S.Party」の前のMCではちょっとしたお遊びも。「M.S.S.Phantasia」は恐らく新曲である。盛り上がりの中本編が終了し、アンコール一曲目はFB777が熱唱。手を左右に大きく広げ、とても気持ち良さそうに歌っていた。表情が特に晴れ晴れしていた印象である。「M.S.S.PiruPiruTUNE」はセルフカバーと思って保留していたが、多分あのアルバムに入っている曲だな。多分というか間違いなく!

「ボーダーランズのテーマ」でとりわけ大きな歓声が起こったあたり、皆が待ち望んでいた曲なのだろう。終わった後KIKKUN-MK-IIが「こんな曲で盛り上がっちゃって……」と言った内容を語って笑っていたが、どんな歌詞か気になるところである。

最後の曲に入る前にKIKKUN-MK-IIより真面目なMCが。しかしここでKIKKUN-MK-II、しっとりした話を二周三周と続ける。次の曲に入るかな? と思うタイミングでまた話が始まり、会場がどよめく。するとKIKKUN-MK-IIが後ろのスクリーンにFB777が映りこんで笑いが起きているのか? と不思議がったりする場面も。生で観ていたときはどうしたのだろうと思ったが、後になって思う。KIKKUN-MK-IIはこの後に予定している告知が胸にあり、より一層感極まっていたのかもしれない。

最後は「We are MSSP!」で締め。皆で「MSSP!」と声を張り上げる一体感の楽しさ! しかもアルバムでは歌っていないのに、あろまほっととeoheohがソロを歌うサプライズも! このときの会場の興奮はすごかった。

盛り上がりが最高潮に達したところでオーディエンスの頭上に降る銀に輝く色とりどりのテープ。これが射出される瞬間、いったいどこから出てくるのか見たいと思っていたのにやはり見逃してしまったなぁ。そりゃあそうだ。アンコールラストで天井を見つめているわけにはいかないのだから。

そうして公演は終了。と思いきや。誰もいなくなったステージの上に掲げられたスクリーンに映る文字。何と二月にアルバム発売! さらに、武道館公演決定の発表が!! 

びっくりした。すごいな。すごいな!? 成長していく様子を目の当たりにする楽しさ、とさきに書いたが、まさか武道館公演が発表されるとは思いもよらなかった。KIKKUN-MK-IIは今日ずっと、このことが胸にあったのだろうなぁ。そりゃあもう、いつまでもいつまでも感謝を語りたくなるだろう。

会場を包むどよめきと熱狂は、明らかに前回のライブとは違う性質のものだった。泣いている人もそこかしこで見られた。あぁ、良かったなぁ。長く応援してきた人は特にたまらないものだろう。だって武道館だぜ。すごいよなぁ。

楽しくありつつも、唯一布団を取り込むためにペンライトを持っての参戦が出来なかったことが心残りだったので、終演後にようやく購入した。次回の発表がされているので使いどころの予定があるのも嬉しい。次こそはこれを振ってやるぞ! と意気込んで。

余談だが、前回あんなに恐ろしく映ったあろまほっとが今回全然怖くなかった。何故だろうと考えてみたのだが、前回はピンクのシャツという普段着に近い装いにも関わらず、般若面をつけてステージを楽しそうに動き回っている様が異様だったからではないか、と思う。対して今回は漫画「ドリフターズ」の島津豊久を連想される赤と黒の衣装で、般若面と衣装のギャップが無く、しっくりきているのである。そしてeoheohと揃ったカチッと決まった動き。そのあたりが印象を左右したのかもしれない。


未分類0杯, 筋肉少女帯, 非日常

楽しかった。嬉しかった。何が嬉しいって、オーケンの声が完全復活していたことだ。オーケンが声帯ポリープの除去手術を受けたのは今年の五月。そして八月の弾き語りライブではまだ高音を出すことに難儀していて、「週替わりの奇跡の神話」のラスト、「不変の」と叫ぶ箇所で声が出ずに悔しそうにしていたことを昨日のことのように覚えている。

あれから三ヶ月。オーケンは完全復活していた。MCでも出し惜しみすることなく声を響かせて煽り盛り上げ、全編声を張り上げて歌い通してくれた。昨今のライブでは、ライブの途中にオーケンが離脱し、メンバーが代わりに歌唱することが定番となっていたがそれも無く、全て! 歌ってくれた!

自分が記憶する限り、オーケンが途中でいなくなりメンバーが歌うようになったのは四半世紀のツアーからだ。とすると三年くらい前かな? あのときオーケンは暗黒天体ラジャサンに地球が妊娠させられるもうおしまいだ~というようなことを叫んでステージから逃げ去っていき、メンバーもオーディエンスもぽかーんとしていた。あのMC面白かったなぁ。

オーケンの咽喉はとにかく絶好調で、「孤島の鬼」の高音部も、昨今ライブでは低く歌うことが多かったのに声を響かせてくれ、さらにおどろおどろしたドラムがドロドロ響く中で、言葉に形容しがたいゾッとするような悲鳴を発し、「孤島の鬼」という楽曲の世界観を広げる演出もしてくれた。あれは実に格好良かった。

ステージのドラム台へと続く階段にはオーケンの歴代特攻服が並べられ、アンコールではメンバーがオーケンの特攻服を着て現れる特別サプライズも! しかしそのときオーケンだけは特攻服を着ておらず、何かのインタビューで着ていたらファンからの評判が悪かったという赤と白のマーブル模様のシャツを着ていた。そしてそのまま孤島の鬼を歌った。

セットリストは「ワインライダー・フォーエバー」まではベスト盤と同じ曲順で、サプライズが「タチムカウ」、後はベスト収録曲と、シングル「人から箱男」の構成で、実に美味しかった。「踊るダメ人間」や「イワンのばか」も好きなのだが、毎回の定番曲が無いとその分新鮮な曲が楽しめるので嬉しくなってしまう。


めでてぇな?
仲直りのテーマ

トリフィドの日が来ても二人だけは生き抜く
ワインライダー・フォーエバー
タチムカウ~狂い咲く人間の証明

人から箱男
枕投げ営業
週替わりの奇跡の神話

新人バンドのテーマ
パノラマ島失敗談
蓮華畑

恋の蜜蜂飛行
混ぜるな危険
ムツオさん

ツアーファイナル

~アンコール~
孤島の鬼
中2病の神ドロシー
釈迦


開演SEは「オーディエンス・イズ・ゴッド」で、わっと盛り上がったところで新曲「めでてぇな?」へ。ちなみに今回は番号が八百番台で、開演後はそれなりに前の方に行けたもののオーケンとおいちゃんはほとんど見えなかった。しかし橘高さんをガン見しつつ内田さんを見られたので満足である。橘高さん格好良かったなぁ。

そうそう「めでてぇな?」ではスーツ姿のエディが前に出てきて、内田さんと橘高さんの間で踊ってくれた。スーツ姿のエディもビシッとしていて格好良かった。

そういえば今回の橘高さん、いつも持っている黒と白の水玉のフライングVのほかに、水玉の変形ギターを持っていた。年季が入っていたように見えたが昔使っていたものだろうか。ちょっと気になる。

「トリフィドの日が来ても二人だけは生き抜く」「枕投げ営業」「週替わりの奇跡の神話」「パノラマ島失敗談」「恋の蜜蜂飛行」が聴けて嬉しかった。トリフィドは何回聴いても良い。「枕投げ営業」は大好きな一曲で、てっきりワインライダーの次にやるかと思ったらタチムカウが来て肩透かしを食らいつつも、タチムカウは己にとって思い出の一曲。浪人生だった頃、これを心の支えに日々を生きていたのだ。あの頃の苦味を思い出し、頑張らんとなぁ、と奮い立った。

「枕投げ営業」は本当にもう好きで好きで好きで。先日のオーケンのサイン会でファンレターを渡したのだが、つい枕投げ営業が好きすぎて枕投げ営業のことばかり書いてしまった。もう大好き。この力強さと勢いの威力。歌詞もほとんど間違っていなかったので大満足。ありがたい。

「週替わりの奇跡の神話」はもう、前述の通りである。嬉しかった。オーケンの完全復活にぐっと来てしまった。だって誰よりもオーケンが嬉しそうだったのだから。

「新人バンドのテーマ」は、昔聴いたときよりも声がやわらかく膨らんでいるように聴こえた。より語りかける調子になっているというか。何度も歌ったことでこなれて、歌詞をなぞるのではなく、目の前の誰かに語りかけるような。そんな温かみを感じた。

「恋の蜜蜂飛行」も大好きな一曲である。しかし! 大好きなだけに! この曲にコールアンドレスポンスは入れないで欲しい! と思った。ブンブンブブブン! の勢いのままに駆け抜けたいので、中盤で「ドン、ドン、ドン、ドン」とドラムの拍がゆっくりになり、学園天国のヘイヘイコールが入るのがとてももったいなく感じるのである。どうかここは、蜜蜂の飛行を止めずに駆け抜けさせて欲しい。

「ムツオさん」ではEXシアター六本木ならではの演出! 天空にきらめくミラーボールが美しかった! くるくると回る照明は最初ピンクと青、次に赤と緑に色を変え、色とりどりに舞台を染める。かと思えば赤一色で塗りつぶされ惨劇を示唆する演出が光り、ディスコ調のリズムに乗り、楽しく踊りながら不穏な物語を楽しんだのであった。

アンコール一曲目は「孤島の鬼」。格好良かった……実に格好良かった……ただ欲を言うならば、再録版と同じように、最後の盛り上がり部分をやって欲しかった。ドラムで締めてバーンと終わるのも格好良いが、エディのピアノの調べが静かに響き、終わったと見せかけたところで「鬼!!」というシャウトと共に爆発するあの瞬間がたまらなく好きなんだ。あれの素晴らしさを知ってしまった手前、それが無いと物足りなさを感じてしまう。またいつかあの格好良さを堪能したいなぁ。

最後の一曲は「釈迦」。ちなみに今回は「割れた娘の頭から飛び散るノウズイ 屋根の上のアンテナから飛び散る電波が」という歌詞だった。

MCでは再結成十周年を迎えられた感謝の言葉と、思い出話が語られた。アルバム「最後の聖戦」を作った頃、オーケンはプロレスラーの山本小鉄さんに御飯に誘ってもらい、麻布十番で焼肉をご馳走になったことがあったと言う。そのときオーケンはメンバーでも無く誰よりも先に山本さんに筋少を脱退しようとしていることを打ち明けたという。悩んでいたときに、あの厚い胸板に相談したくなったそうだ。

それに対し山本さんはオーケンの意見を受け入れ、同時に「メインボーカルとして、メンバーの再就職先を考えなければいけない」と語ったという。当時のオーケンは、とはいえバンドですから、と重く受け止めることはしなかったが、今になって! もしオーケンが、万が一ゴルゴ13に狙撃されたときのために! メンバーの再就職先を考えたという! 曰く!!

おいちゃん …ハムの人(日本ハム)
うっちー …寺男になる
ふーみん …カリスマ編み物師
エディ …カリスマ編み物詩2

おいちゃんはハムの人になることを静かに了承し、内田さんは「それは就職じゃなくて出家だね」と言いつつ了承し、橘高さんは両手をバババババッと動かして高速で編み物をする様を表し、エディは「俺編み物したくねえよ」と突っぱねた。

そしてエディの「俺は手先が器用に思われるけどりんごの皮も向けない」という発言から、オーケンはりんごが苦手で食べられない話になり、それを知っている内田さんにより、中学の頃給食でりんごが出て、デザートのりんごを皆がシャクシャク食べているときに、りんごを食べるシャクシャク音をオーケンがものすごく嫌がったため、わざとクラスメイトがオーケンの近くでりんごを食べる……というエピソードが語られた結果、長谷川さんのメンバー紹介が忘れられた。

しかしメンバー紹介を忘れたことに気付いたオーケン、曲中に長谷川さんに後でちゃんとすることを伝えたところ、長谷川さんはニコッと笑ったらしい。微笑ましいことである。

「最後の聖戦」のくだりで、「残弾数ゼロってひどい歌詞だね」と笑うオーケンに、「ひどいよ」とほがらかに突っ込む橘高さん。再結成後の思い出を語るとき、楽しかった、あっという間だったという言葉が出てきて、さらに十年後二十年後の先の話も語られた。五十肩に苛まれストレッチに出向いたオーケンが七十歳の未来を語る。そのときは蓮華畑みたいな曲ばっかりやるぜ、と冗談めかしつつ、ファンとしてはそのように屈託無く未来が語られる現状がたまらなく嬉しい。筋少のライブに通い出して十年、二十歳から始まり三十歳になり、二十年後は五十歳。今のメンバーと同い年になりながらも筋少が観られる人生はきっと幸せに他ならない。どうかこれからもその幸せが続きますように、と願いたい。最高のライブであった。



未分類4杯, 筋肉少女帯, 非日常

今日は豪華な一日だった。昼には筋肉少女帯のインストアイベントに行ってトークを楽しみ、夜にはオーケンのサイン会に行って短いながらも至福の一時を過ごした。勤労感謝の日は筋少感謝の日に改めても良いのではなかろうか、と勝手に思う。

インストアイベントの開場はタワーレコード新宿店。番号が後ろの方だったためステージのメンバーを直接観ることはなかなか難しかったが、モニターのおかげで充分に楽しむことが出来た。

イベントが始まり、ステージにメンバーが登場。並び順はライブと同じで向かって左からおいちゃん、オーケン、うっちー、ふーみん。会場にはアルバム「再結成10周年パーフェクトベスト+2」が流れていたが、オーケンの「筋肉少女帯うるさいから止めてくださ~い」という声により止められた。BGMに負けてトークが聞こえなくことへの配慮とはいえ、バンド本人が「うるさい」と言うのはなかなか面白い。

イベントの開始時刻が正午だったため、ミュージシャンにとっては朝のようなもの、普段だったら寝ている、早くからようこそおいでくださいました、とご挨拶。オーケンは三十分前には到着していたが、内田さんは開始直前ギリギリに到着したという。ちなみにオーケン、早めに来たもののお腹が空いたため、近くの飲食店で食事を摂ったのだが、衣服と「イスラエルの護身術」にまつわる本が入った袋を失くしそうになったとのことである。そこで「護身術の本を買ったのに護身が出来ていない」とツッコミを入れられていた。

最初のトークは再結成十周年について。十周年を迎えた感想をメンバー一人一人に求めるオーケン。「あっという間だった」と答えるおいちゃんの後、「光陰矢の如し」とオーケンは答え、「あっという間を言い換えただけじゃないか」と橘高さんから鋭いツッコミが飛ぶ。

では、印象に残った話ではなく、特筆するでもないことを上げましょう、とかえって難しい話題にシフト。そこで橘高さんが「あった!」と声を挙げ、四年前の十二月二十三日のライブは定刻きっかりで始まったことを語った。それに対しオーケンは「筋少はわりと時間通りだよね」と話す。ちなみにそのときのライブは定刻通りを越えて二分早く出そうになったそうだ。ただ、押す分にはいくら押しても問題ないが、チケットに開演時間が印字されている手前早く始まるのは問題らしく、二分待ってから出たそうだ。

ここから、でも早く始まる方がお客さんもびっくりするよね、ロックだよねという話に。開場して入場したら既に最後の一曲が終わるところはどうだろう、長谷川さんがドジャーンって締めて、エディは既にステージからいなくなっている、オーケンもいつも早めにはけるからステージにはいなくて、ちょうどおいちゃんうっちーふーみんがいつまでもステージに残ってわちゃわちゃしているところ! あなた達いっつも遅くまで残っているけど何をしているの? と熱く語るオーケン。開場前、皆観てなくてももちろんフルで演奏しているからね! とふーみん。で、音だけライブハウスからちょっと漏れ聴こえているの、とおいちゃん。

また、曲の一部だけ演奏するのはどうだろう、ギターソロの直後で終わるとか、とオーケン。それに対し「ギターソロの前で終わるのは?」と橘高さんが言うと、会場から「えーーーー」と声が上がり、「あなたがそれ言っちゃだめでしょ!」とオーケン、「皆を試したんだよ!」と笑う橘高さん。おいちゃんが「全部メドレーにするのはどうだろう」と繋ぎ「それは……大変だ……」と誰かが口にした。

お客さんにも新しいことをして欲しい、ダメジャンプのとき、両腕でバッテンを作ったあと、くるっと回って飛んで欲しいとオーケンから無茶振りという名のリクエストが。でも、それで退場するはめになる人が出てきたら悲しいね、とも。あと、折りたたみで前のめりになってからそのまま勢いに乗って一回転して欲しいというリクエストも出た。

折りたたみでは橘高さんが熱く語っていた。曰く、筋少やその世代のバンドのオーディエンスは、折りたたみのときに体を反る方に命を賭けるが、筋少よりも若い世代のバンドのオーディエンスは前傾姿勢になる方に命を賭けており、よって最前列の客などは、本当に前転しそうになるほど前のめりになるという。そうなのか、知らなかった。

さらにそこに、前回りじゃなくて逆上がりをして欲しいと内田さんがリクエストをし、「柵どうするの!?」「バーをすごく高くしないといけないよ!?」とオーケンとふーみんからつっこまれていた。

折りたたみトークでさらにノリノリになる橘高さん。もし自分がカツラだったら、折りたたみでぐんぐんやってるときに思いっきりカツラを飛ばしてびっくりさせたい! もし自分がカツラを必要とする事態になったら、メンバーにも二年くらい内緒にしていきなりカツラを飛ばして、あたかもカツラが飛んだことに気付いていないフリをしたい! と語り、「えっこれどう反応すれば良いの?」とばかりに他のメンバーがたじろいでいるのが面白かった。その後橘高さんは「これは地毛だけどな!」と念のため強調していた。

カツラじゃないけど、眼鏡を落とした人いる? とオーケンが問いかけ、筋少椅子のライブでわじーが眼鏡を落とした話を橘高さんが披露。わじーが眼鏡を落としたのはちょうどギターソロに入る手前だったが、眼鏡を拾ってかけ直すまでの時間も問題なく繋がり、このあたりは流石熟練のバンドだね、と語られた。

ここからライブ中のアクシデントの話題に。十年間でアクシデントってあった? とオーケンが問いかける。メンバーはうーんと考えるがこれといったものが出てこないあたり、何かしらのアクシデントはあっても問題なく対処できたようだ。そんな中、オーディエンスから「マイクを落とした!」という指摘が入り、いつかのライブで「小さな恋のメロディ」の最後の最後、「きっと地獄なんだわーーーーー!」と叫ぶところでオーケンがマイクを取り落としてしまったハプニングが振り返られた。橘高さんが「あれはわざとだったの?」と冗談めかして尋ね、「あれは成海璃子ちゃんも観に来てくれてたからそんなことしないよう」とオーケン。

内田さんがベースを落としたこともオーディエンスから指摘が入る。ストラップが切れたそうで、これはよくあることらしい。また、この流れで内田さんが床に転がっていた話も。ある日の名古屋のライブハウスは空調の故障か何かが原因でステージに酸素が供給されず、内田さんは酸素を求めて床に転がり、長谷川さんは酸欠で鼻からみるみるうちに真っ赤になり、橘高さんはそれを目撃し、おいちゃんは背後のエディに酸素を全部吸われしんどかったと冗談めかして語っていた。オーケンは呼吸が出来ないのに歌は歌えたことについて、「あれは死んでたのかもしれない」と言っていた。

アクシデントつながりで、オーディエンスに対し「救急車で運ばれた人いない?」「眼鏡割れた人いない?」「会場間違えた人ー!」という問いかけも。救急車で運ばれた人と眼鏡が割れた人はいなかったようだが、会場を間違えた人はいたようだ。ちなみにオーケンは今日、マネージャーと連絡が着かず、会場があやふやだったのだが、「たわー……」という曖昧な記憶を頼りに勘で来たら無事辿り着いたそうだ。辿り着いてくれて良かった。

何がきっかけが、ジャンプアニメの主題歌を担当したバンドの人が、知人のギターを勝手に売って逮捕された話に。「バンド界隈だとよくある話だよね」としみじみ語られ、おいちゃんの布袋モデルのギターがオーケンの家にあり、何かの写真にオーケンがそのギターを持っている姿が写っていたという。そしてせっかくならおいちゃんは布袋モデルのギターを持ってライブに出ようよ! とオーケン。ふーみんは高見沢さんの天使ギターを借りて! と振ると、橘高さんが「あれ持たせてもらったことあるけど重いんだよ!」と言っていた。

そしてオーケンうっちーふーみんは坂崎さん、桜井さん、高見沢さん、おいちゃんは布袋さんになってメリーアンを演奏しよう! とオーケン。おいちゃんが「何で布袋さんなの!」と笑い、「布袋さんもメリーアンをやりたかったかもしれない!」と笑いが起こる。また、オーケンは内田さんに「ちゃんとヒゲつけてね」とリクエスト。

じゃあ、筋少でやりたい曲ってある? とオーケン。やってない筋少の曲でも誰かのカバーでも、とメンバーに振り、自身は「S5040」をやりたいとオーケン。やりたいが、ライブにおいて司会進行の役割も持っているオーケンとしては、あれをライブのどのタイミングで入れたら良いかわからず、やりにくいらしい。

そんな中でアルバム再現ライブの話も。アルバム再現ライブをやってみたいが、あれはMCはどのタイミングで入れるのか? そもそも他のミュージシャンのアルバム再現ライブではMCはやるのか? ちなみに陽水さんはMCをやるらしい。

ももクロのアルバム再現ライブはすごいらしい。全身覆面の衣装のアルバムでは全身覆面でライブをやりきったそうだ。すごい。それはすごい。そこから「筋少も仮面を被ってライブをやったらどうか」という話になり、おいちゃんが「そしたら仮面少女になっちゃうよ」と言うと「我々は少女じゃないから仮面おじさんだよ」とまさかの返し。その流れで「けっこう仮面」はどうか、キューティーハニーよろしくキューティー筋肉少女帯はどうか、キチガイ筋肉少女帯はどうか、などなかなかひどい話になり面白かった。

全裸だの女装だのの話で盛り上がる中、おいちゃんが「そもそも俺スカート履いてたよ」と有頂天時代の話を語りだす。スカートを履き、カーラーをつけてライブでお好み焼きを焼いていたそうだ。そして当時有頂天のPAだった人が後に筋少のPAになり、おいちゃんはずっとその人にライブでお好み焼きを焼いていた件について触れられていたらしい。「あたかも常にお好み焼きを焼いていたかのように言われていた」。

ここでおいちゃん、お好み焼きを焼いていた会場が「渋谷屋根裏」だったのに「渋谷公会堂」と言い間違え、メンバーに「渋谷公会堂で!?」と仰天されていた。

バンドは最終的には一つの印象になっていく、ミック・ジャガーも「サティスファクション」を語られるように、筋少はこのままだとカレー、間違ってボヨヨンロックの印象になってしまう、とオーケン。じゃあカレーボヨヨンではなく、「S5040」を、「ワダチ」を代表曲にしよう! かつてとある雑誌で、ハガキが集まった投稿者にはコーナーがもらえる企画があった、内田はオーケンのためにハガキを百枚書いてくれた、その内田のように! 皆で有線にS5040をリクエストしよう! 

「そしてパチンコ屋でS5040が流れてびょんびょん言うんだね」「今もパチンコ屋で有線って流れているのかなぁ」

最後の締めくくりでは、「今日のイベントの印象を一つにまとめると、おいちゃんが渋谷屋根裏と渋谷公会堂を間違えたことだね」とオーケン、笑うおいちゃん。週末のライブはリキッドルームじゃないですよ~六本木だよ~間違えないでね、と周知され、イベントは終わった。約四十分のほほんとした愉快なトークが聴けて実に楽しかった。

そして夕方はオーケンのサイン会。新宿から神保町に移動し、ドキドキしながら列に並んで何を話そうか考えて、ついに自分の番。「こんにちは」と挨拶をすると穏やかに「こんにちは」と返してくれるオーケン。どぎまぎしながら手紙を渡し、用意していた言葉を述べると! 会話が! 会話が出来た! オーケンが質問を返してくれて、じっくりゆっくり話が出来た! 今まで緊張してなかなか上手く会話を運べず、気を遣ったオーケンが話しかけてくれることが多かった中で、まともに会話を……会話を出来た……。嬉しくて死にそうになった。

帰りの電車の中では体温が急上昇していた。頭がくらくらした。楽しかった。嬉しかった。贅沢すぎる一日だった。まさに筋少感謝の日。ありがたい。ありがたい。