未分類2杯, 筋肉少女帯, 非日常

最高のお祭り騒ぎだった! 何てったって、何てったって、何てったって、「ペテン」を! 聴けたんだよ!!

イントロが始まったとき、「マジで!? ウソ!! うわああああああああ」と叫びが口をついて出た。昨夜のライブで「ペテン」が演奏されることを知っていたが、ライブが発表されたとき、己は既に別のライブのチケットを手にしていた。その選択を後悔してはおらず、心の底から「行って良かった!!」と思い、存分に楽しんだが、いつかまた、「ペテン」をやってくれんかなぁと思っていたのだ。復活前に筋少を知って、何度も何度も繰り返し聴いた曲の一つが「ペテン」で、強い思い入れがあったのだ。どうしてもいつか聴いてみたかったのだ。

その「いつか」が来たのである。思いもがげず、ものすごく高速で。その機会はやって来たのだ。そりゃあ叫ぶよ。叫んでしまうよ。叫んでしまったよ!

そしてもちろん、「ペテン」で終わらず、その後も次から次へと興奮する事象がやってきたのであった。

以下はセットリストである。正直、ちょっと「ツアーファイナル」と「俺の罪」の位置に自信が無い。後半は多分合っていると思う。

サンフランシスコ
モーレツ ア太郎

ツアーファイナル
ペテン
俺の罪(オーケン&内田さんボーカル、メインオーケン)

スラッシュ禅問答(橘高さんボーカル)
ロシアンルーレット・マイライフ
日本印度化計画

スクリーン降臨~ライブ発表~ブルドッグ映像公開~新譜制作決定発表!

リテイク
孤島の鬼(サンダーユーの演奏)

機械(ゲスト:妖精帝國)

マタンゴ(シスベリ筋少/ゲスト:横関さん太田さん)
キノコパワー(シスベリ筋少/ゲスト:横関さん太田さん)
中2病の神ドロシー(ゲスト:太田さん/横関さん退場)
イワンのばか(現筋少/太田さん退場)

~アンコール~

電波ブギー(ゲスト:河塚さん)
仲直りのテーマ(オーケン着席のかわいいバージョン)
ドナドナ
釈迦

個人的目玉は念願叶った「ペテン」、橘高さんボーカルの「スラッシュ禅問答」、降臨するスクリーンとブルドッグ映像と新譜発表、「リテイク」、「孤島の鬼」、太田さんの語りから始まる「キノコパワー」、太田さんドラムの「中2病の神ドロシー」、そして激しい演奏の中椅子に座ってにこにこしながら頭をコテンコテン左右にゆっくり振りつつ甘えた口調で歌うオーケンの「仲直りのテーマ」。うーん、目玉だらけだ。

まず今日は登場SEが「21世紀の精神異常者」だったのも良かった。これはもう、パブロフの犬が如くテンションが上がる。気分が高揚する。その高揚した気分をさらなる高みへ押し上げる一曲目が「サンフランシスコ」! これはもう、後先考えず爆発するしか無い。

続いて二曲目は「モーレツ ア太郎」! 予想外の一曲に嬉しさが爆発した。大好きなんだよ! 特に、復活後のゴージャスなバージョンがたまらなく好きなんだ。歌詞も良い。狂えばカリスマ、吼えれば天才、死んだら神様、何もしなけりゃ生き仏! このフレーズを聴くたびにその皮肉っぷりにゾクゾクする。ライブでは大抵組み合わせが滅茶苦茶になっているのが若干残念だが、これはもう仕方が無い!

「モーレツ ア太郎」が終わった後のMCで、オーケンが「この曲いる?」「短いし、歌詞もモーレツア太郎って叫ぶだけだし」と言っていたとき、全力で「いるよーーーー!!!!」と叫んだのは自分である。いらないわけが無いじゃないか!

「ペテン」はもう、前述の通り、イントロを聴いた途端驚きと喜びで一杯になって、自分はこの世で一番ラッキーな人間なんじゃないか、と勘違いしそうになった。原曲の女性コーラスのところはオーディエンスが担当するが、オーケンが歌詞の頭を口にして先導してくれる。失礼を承知で言うが、その先導してくれている歌詞は合っているのだろうか、とつい思ってしまった。つい。

感無量だったなぁ。

何で自分はこの曲をこんなに好きなんだろう。それは「生も死も全てペテン!」という言葉に表されるように、今までの何もかもが幻だ、と突き放される喪失感と同時に、「死んだと思ったペテン師が生きていた」ように、再生・復活の暗示が含まれているからだと思う。つらいことや悲しいことがあっても、それすらペテンであり、覆される可能性があるという、回りくどい希望がそこに隠されているのだ。

このように思い入れたっぷりなのだが、聴いてみたら意外とふつーに「イワンのばか」や「トリフィド」と言った他の定番曲と溶け込んでいて、重苦しい感じも無く、楽しく清清しく聴くことが出来た。これはやはり、「再生・復活」を経た後だからこそかもしれない。凍結前、「生も死も全てペテン!!」と言い切った直後に聴かされたとしたら、受け取り方も違うだろうなぁ。

「スラッシュ禅問答」の前でお酒の話になり、昨夜レア曲満載のライブをやったおかげで普段よりお酒を呑めなかったことを告白し、「普段より飲まなかったこと」を橘高さんに褒めさせるオーケン。褒めてあげる橘高さんはというと禁酒を始めてから一滴もアルコールを口にしていないということで、そんな橘高さんにオーケンは「もう二日酔いの気分なんか忘れちゃったでしょ?」と振る。すると橘高さんは、「いいや覚えてる!」と反論。ここまで、ただのおもしろMCかと思っていたら、オーケンが「じゃあ、二日酔いってどんな気分だったの?」と振る。あ、これは、とここでようやく気付いた。

叫ぶ橘高さん。「二日酔いの、無念極まる僕のため、もっと電車よ真面目に走れ!!!! って気分だよ!」

直後、びっしりピックを貼り付けたマイクスタンドを手にステージの中央に駆けつけるスタッフ。その前に立つのはもちろんその大量のピックの所有者、橘高文彦である! スラッシュ禅問答をメキメキメキメキ早弾きしながらビブラートを利かせた声で歌う歌う! あんなに指先が高速で動いていて、そのうえであの歌を歌えるってどういうことだ………と思わず見入ってしまった。圧倒される光景だった。橘高さん何かもうすっげえ働いてるって思った。阿呆な感想だが。

袖に引っ込んでいたオーケンが戻ってきて「ロシアンルーレット・マイライフ」。この曲やるの久しぶりだなー。今回はアウトロ前で退場しようとするオーケンの小芝居は無かった。代わり……ではないが、曲中、エディが前に出てきて、おいちゃんのポジションでコサックダンスを披露してくれた。

「皆さんに残念なお知らせです。日本が印度になってしまいます」という変な入りで始まった「日本印度化計画」の後にMC。告知があるということだが、「他のバンドはスクリーンがドーンと出てきて告知が入るのに、筋少は紙ペラ一枚!」「裏に黒のガムテープを貼って透けないようにしてる紙だけ!」と大げさに愚痴る。毎度の自虐ネタにワハハとオーディエンスも沸き立つが、今回はいつもと違った。

何と、本当にスクリーンが下りてきた!!

上手と下手の壁に二つ。まるでUFOに遭遇したかのように沸き立ち、歓声が上がり、口笛まで吹かれる大盛り上がり。ちなみにこの段階ではまだ白いスクリーンが下りてきただけで、告知内容は一切表示されていない。純粋にスクリーンの登場に対して興奮しているのである。あまりの盛り上がりっぷりにオーケンも苦笑して「あのね、これくらい若手のバンドでも出るからね」と言っていた。

スクリーンの映像にオーケンが生でナレーションを入れるという筋少ファンにとっては豪華な仕様で、まずは次回のライブ日程が公開され、さらに次なる予定を公開!! と溜めに溜めて流されたのが、まさかのレア映像。「筋少メンバー四人によるブルドッグ」であった。

いつかの「のほほん学校」で筋少メンバー全員がゴム紐を使い、「ブルドッグ」のカラオケパフォーマンスをしたとのことで、そのときの映像である。この映像が公開されることについてメンバーがどこまで知っていたのか謎なのだが、内田さんは「全部流しやがった……」と毒づいていた。無論オーディエンスは死ぬほど盛り上がった。

「あ~面白いものを観た~面白かった~」と映像終了後ほのぼのしかけたところでついに本当の告知がなされた。内容は「今年秋、新譜発売決定!」というもの。ブルドッグ以上に歓声が上がった。自分も飛び上がった。皆が皆、雛鳥のようにぴよぴよ言いながらわーわーきゃーきゃー喜んでいて、それを見るおいちゃんの表情は嬉しげに見えた。あぁ、もう嬉しいなぁ。ずっと待っていたのだから。ブルドッグも嬉しいが、この告知こそを己は待ち望んでいたのだよ!

このふわふわした空気を一変させたのが「リテイク」。「少しシャンソン風に」ということで始められたのだが、演劇を観ているような迫力があった。歌というよりも語りに近いという点も大きいだろう。ちなみにものすごくどうでも良いが、助監督は退場していた。

次の「孤島の鬼」もすごかった。オーケン、おいちゃん、橘高さんが退場して、内田さん、エディ、長谷川さんのトリオ「Thunder You Poison Viper」による演奏。エディ曰く「筋少の曲をやってほしいと大槻に頼まれた」そうで孤島の鬼がセレクトされたそうだ。歌は無く、内田さんとエディによる「よいしょ」の掛け声だけが入る。序盤はアレンジが入りつつも耳慣れた「孤島の鬼」に近い形で、中盤から名残を残しつつも大胆に変形し、全く別物になりつつも、「孤島の鬼」として認識出来る素晴らしいアレンジだった。あの奇しい孤島が徐々に崩壊していく様を見せ付けられるようだった。

「機械」では妖精帝國の二人がゲストとして参加。ボーカルのゆい氏はデーモン閣下のような設定があるらしく、「○○なのだ」という口調で、敬語が使えないようで、ものすごく喋りづらそうに喋っていた。同期と後輩以外を相手にこの設定を貫き通すのは骨が折れそうだ……と余計な心配をしてしまった。ちなみにギターの紫煉氏は本来喋らない設定のようなのだが、オーケンに「喋っちゃいけないんだっけ」と問われ、「じゃあ喋ります」とあっさり設定を覆していた。ここで設定繋がりで、橘高さんが永遠の二十四歳であることをネタにされていた。

「機械」はゆい氏とオーケンのツインボーカル。女性の声が入ると印象が変わるなぁ、としみじみ思った。そして筋少の歌を筋少メンバー以外が歌う姿を観るのは、何やら不思議で面白い。

ゲストタイムはまだまだ続く。ここで横関さん、太田さんが登場し、おいちゃんと橘高さんが退場。SISTER STRAWBERRYの筋肉少女帯の再現である! うわーうわーうわーうわー。うわー!

まずは「マタンゴ」! トラブルにより横関さんのギターが鳴らないというアクシデントが起こり、一旦始めからやり直したが、「こういうのも八十年代っぽいよねえ」とオーケンが言っていてほのぼのした。とはいえほのぼの出来るのも束の間である。直後、怒涛のマタンゴがやってくるのだから!

自分の立ち位置からは横関さんが非常に良く見えて、指の動きも間近で見ることが出来た。頭の悪い感想だが、指がものすっごく動いていた。というより、激しい曲の中で思考を巡らす余裕が無かったというのが本当のところである。

「マタンゴ」の後、オーケンが「太田明ーーーーー!!!」と大声で名前を呼ぶ。それに応えて太田さんが台詞をつむぐ。

「昔ある歌手は遠くへ行きたいと歌って喝采を浴びたが、遠くへ逃げたいと歌う僕をシスターストロベリーは恥じているようだった」

「え、嘘?」と思ったのが正直なところである。直後、「うわー語ってくれた!」と非常に嬉しくなった。「マタンゴ」「キノコパワー」「ララミー」のどれかをやると思っていたので、「キノコパワー」は予想の範囲内だったが、この台詞まで再現してくれるとは! 無論自分は活動凍結中に筋少ファンになったので、今の今までこの台詞を生で聴いたことが無かった。昨今、「キノコパワー」が演奏されることがあってもこの台詞は無かったし、セルフカバーされたときにもこの台詞は入ってなかった。だから、自分にとっては遠い昔のものになっていたのだ。それが現代に蘇ったのである。

つくづく、何が起こるかわからんなぁと思った。「キノコパワー」終了後横関さんが退場し、太田さんとオーケン、内田さん、おいちゃん、橘高さん、エディで「中2病の神ドロシー」。レコーディングの際に太田さんがドラムを叩いてくれた曲である。この一年、ライブで何度も演奏されてきたが、太田さんがドラムを叩いたのは今日が初めてだ。うーん、感無量。

本編ラストは現在の筋少の編成で「イワンのばか」。定番の盛り上がりで締めくくられた。

アンコールでは飛び入りゲストで河塚さんが登場! おおー! そういえば自分が初めて観た筋少のライブのドラムは河塚さんだったんだよなぁ。原点に返った気分である。そして演奏されるのは「電波ブギー」!

河塚さんのドラムは「ドンシャン!」という音が一つ一つくっきりしていて、音がでかく聴こえた。長谷川さん太田さんより目立つ音がでかい気がする。結構好きだ。

「電波ブギー」が終わった後、オーケンが「次は激しい曲だけど、座りながら歌いたい」「あじゃん(河塚さん)に背中を押して欲しい」と謎の要望を出す。慌てるあじゃん様。「俺がこのライブの行く末を決めるんですか!?」

そしてあじゃん様に背中を押され、椅子に腰掛けたオーケン。いったい何が始まるんだ………と見ていたら御馴染みのイントロが始まり、「仲直りのテーマ」に! これがすごかった。

オーケンは椅子に膝を揃えてちょこんと座り、マイクを両手で持ち、首を左右にコテン、コテンと倒し、にこにこ笑いながら「仲直りのテーマ」を歌った。怒涛のコーラスと弾きまくりのピアノと、打ち鳴らすドラムと奏で上げるギターの嵐の中で。

内田さんが近寄ってきたとき、「いやいや~拗ねてちゃいやですよ~」と内田さんに向けて手をイヤイヤ振り、にっこにこしながら「心を素直に~本当は大好きなんだよね~」と正面を向いて歌っていたのがやけに印象に残っている。どこのMCだったか忘れたが、オーディエンスに向かって「筋少が大好きなんだろー!」と言っていた場面があって、これはまあ単なる感想なのだが、最近のオーケンは以前より「好かれている」ことに対する自信を持っているように思える。慢心じゃなくて自信。故に、それを素直に口に出せるというか。

頭の上に両手を掲げ、○を作ったり、ハートを作って胸から頭上に掲げたり、可愛さを前面に押し出した「仲直りのテーマ」は、歌い方も普段と違った。通常バージョンが「本当は大好きなん、だよ、ねえ!!!!」であるところが、「ほんとはだいすきなんだよねっ♪」になっていた。全体的に平仮名である。ロックの演奏の中でお歌をうたっているようだった。

椅子から立ち上がっての「ドナドナ」はいつもの歌い方に戻り、そのままド定番の「釈迦」で締め。最後、ゲストは登場しなかったが、筋少メンバーは普段よりも長い時間ステージに残り、追い出し曲に合わせて歌ったりふざけたりしていた。ほのぼのと終わりつつ全体を見返せば目玉ばかりの大盤振る舞いで、満足感たるや相当のもの! 確かにこれは「フェス」である。次回の開催を心待ちにしたい。



未分類0杯, 筋肉少女帯, 非日常

昨日と今日の二日間、筋肉少女帯のライブに行ってきた。去年の十二月以来、三ヶ月ぶりの筋少ライブ。しかも番号が良かったため、二日とも視界は良好、一日目に至ってはおいちゃんを目の前に前から二列目。常においちゃんの全身が見渡せ、降り注ぐ笑顔を目一杯浴びて来た。眩しかった。

この二日は作曲家別の二夜というコンセプトで、一日目はおいちゃんふーみんエディ、二日目はオーケンうっちーという組み合わせ。各々の曲を出し合ったゆえかレア曲合戦のような塩梅で、「詩人オウムの世界」「レティクル座の花園」「レティクル座行超特急」「パブロフの犬」「きらめき」「愛を撃ち殺せ」「最期の遠足」「星の夜のボート」「アメリカン・ショートヘアーの少年」と、惜しみのない出しっぷり! 特に「レティクル座の花園」は最近のマイブームで、聴きながら喜びを感じつつ、桃子のありようの悲しさに目頭が熱くなった。

オーケンも絶好調で、レア曲の歌詞も比較的バッチリ。たまに入りを間違えたり、歌詞が変わるのはご愛嬌だ。安定感が頼もしかった。

二日目は追い出しに「ペテン」がかかり、真っ暗になったステージの前で、下手側の観客が、集団で踊りながら楽しげに暗い歌詞を合唱しており、それはとても多幸感に溢れていて、楽しい二日であったことをより強く実感させる光景だった。

耳鳴りが消えるのが惜しまれる。いつまでも味わっていたかった。楽しかったなぁ。



未分類2杯, 筋肉少女帯, 非日常

自分にとってはこれが今年のライブ収め。毎年恒例、十二月二十三日のいつもよりスペシャルな筋少ライブは今年もサービス満点だった。内田さんが「北極星の二人」を熱唱し、内田・三柴・長谷川三人で、まさかのThunder You Poison Viper! アンコールではエディが一人でステージに現れて「きよしこの夜」を弾き、そこに現れた橘高さんとおいちゃんはサンタをイメージしたアクセサリーを身につけ、手にした袋から飴玉をばら撒く。「一年間良い子にしていたみんなへの筋少からのプレゼントだよ」とは橘高さんの弁。そして最後に現れたオーケンはサンタ帽にサンタ服の、完全なサンタの出で立ち! いつかのリラックマの着ぐるみを彷彿とさせるサービスだ。

終演後にはメンバーそれぞれがピックをばら撒きまくってくれ、あの普段ほとんどピックを投げない内田さんまでもがピックをいくつも投げていたのがまた特別感を煽る。会場の熱気も凄まじく、自分は当初おいちゃんの見えやすい下手側にいたのだが、流れに流され、途中ではオーケン前、その後内田さん前から橘高さん寄りまで移動し、最終的にはオーケン前に落ち着いたのだった。

驚いたのはアンコールで、空から人が降ってきたこと。何か妙な動きを感じるや否や、自分の目の前に靴の裏が見え、何事かと思う間もなく男性が落下した。人に引っかかりながらガサガサと落ちたため勢いは無く、大きな怪我は無いようではあったが、あれは何だったのだろうか。ダイブという感じでは無いように見えた。

と、いう出来事についてTwitterでつぶやいたところ、クラウドサーフの可能性があることを教えていただいた。なるほど、ちょうど自分の目の前が泳ぎきった場所だったと考えれば合点がいく。とはいえ今まで筋少のライブでクラウドサーフをする人を見たことが無かったためびっくりした。

このように見所たくさんの本日のライブだが、個人的に最も印象深かったのは皆でクックロビン音頭を歌ったことであった。

パパンがパン。だ~れが殺したクックロビン~♪

前半のMCで、「オーディエンスにどんな風に盛り上がって欲しいか」という話になったとき、橘高さんが「○○のバンドのように」という話をしたときに出た名前がロビン。確かあるバンドの人物の名前だったと思うが自分はどちらも知らないのですっかり忘却してしまっている。そこにオーケンがオーディエンスを指して、ロビンと言ってもわからない人ばっかりだよ、ということを言い、その後「パパンがパン」と手を打って「だ~れが殺したクックロビン~♪」と手振りつきで皆で歌ったのだ。そこで意外とオーディエンスの方から声が出たことに驚いたのか、オーケンが「皆意外に知ってるね」というようなことを言って笑っていた。

まさか筋少のライブでクックロビン音頭を歌うとは。驚きつつもやけにおかしく感じられて、ライブの後、自分は小声でクックロビン音頭を歌いながら恵比寿の街を歩いたのだった。

さて、以下はおぼろげな記憶の中で書き留めたセットリストである。

ア デイ イン ザ ライフ
暴いておやりよドルバッキー

くるくる少女
バトル野郎~100万人の兄貴
中2病の神ドロシー

サボテンとバントライン
タチムカウ~狂い咲く人間の証明
イワンのばか

(オーケン、オカルトの話をし「宇宙人が来る~怖いよ~」と叫びながら退場)

北極星の二人(内田のラブソング)
戦闘妖精雪風(Thunder You Poison Viper)
少女の王国

サンフランシスコ
カーネーション・リインカーネーション
ツアーファイナル
労働者M

~アンコール~

きよしこの夜 (エディの演奏)
SAN FRANCISCO(エピローグ)
トゥルーロマンス
踊るダメ人間
釈迦

しょっぱなが久しぶりの「ア デイ イン ザ ライフ」! 驚くほど歌詞がメタメタだった!! すごかった。どれだけ元の部分が残っていたのだろう。久しぶりなのに練習しなかったな、オーケン…。

お次はこちらも久しぶり、「暴いておやりよドルバッキー」! 自分の行くライブに限った話かもしれないが、しばらくライブでやっていなかったように感じていたので今回聴けたのは非常に嬉しかった。この曲は本当に内田さんのコーラスが格好良い。

「くるくる少女」では既に苦しくなっており、あまり記憶が無い。「サボテンとバントライン」も久しぶりだった気がする。

「タチムカウ」は今年のDDT両国のイベントで拾い上げられた印象がある。復活から今年に至るまでは演奏されず、この曲を筋少にはまったばかりの浪人時代に毎日毎日繰り返し聴き、まるで自分のテーマソングのようにしていた人間にとっては、またライブで演奏されるようになってとても嬉しい。初めて聴けたときの感慨深さったら無かったものだよ。

今日の驚きの一曲一つ目は「北極星の二人(内田のラブソング)」。最近はオーケンが途中で抜けて、メンバーが二曲ほど歌うのが定番になっているので、どうせならいつか北極星の二人をやって欲しいな、と思っていたら実現したので喜ばしい。内田さんは毛皮の帽子ともこもこしたジャケットを身につけ、マイクを手に熱唱! 持ち前の茶目っ気とサービス精神が爆発しており、曲調も相まってここはいったいどこだろうと錯覚しそうになる空間だった。

そして驚きの二曲目は内田・三柴・長谷川のバンド「Thunder You Poison Viper」で、「戦闘妖精雪風」! まさか筋少のライブでThunder You Poison Viperを聴けるとは思わなかった。いつかの物販でアルバムを買って以来、生で聴きたいと思っていたものの、ちょうどライブが開催されず歯がゆい思いをしていたのだ。そのうえ次回のライブの告知までしてくれたのだから喜びも一入である。

Thunder You Poison Viperは、ピアノとドラムとベースの三つに楽器が絞り込まれているだけに、遠慮無く全員が爆走しているようで、筋少でも充分目立っているドラムとピアノが、とにかく前面に出てくるとこんなことになるのか、と見せ付けられるようだった。迫力である。

サンフランシスコからカーネーション・リインカーネーションにかけてはあまりの圧縮具合に死ぬかと思いつつ、カーネーションのとき、ステージが赤く暗いライトで照らされるのを見て、あぁ、これだこれだと思った。この赤いライトのダークな雰囲気と、「カーネーション・リインカーネーション!!」というシャウトがたまらなく格好良いんだ。

本編ラストで「労働者M」が来たときは「せっかく非日常を楽しんでいるのにこんなところで現実に引き戻さないでくれよオーケン…!!」と思ったが、思いがけずも「働け働け働け~来年も筋肉少女帯はバリバリ働くからよろしくなー!」という内容のことを叫んでくれ、あぁ、労働者Mにはそういう使い方もあるのか……と、変な言い方だが感心した。

アンコールではかなり大きな声で「ロビンコール」が巻き起こったが、これについては特に触れられなかった。最初にステージに現れたのはエディ一人で、ゆっくりと奏で始めた音色は聴いたことがあるようでありながらも見当がつかず、何だろうと思っていたら、よく知っているメロディに転換し、それは「きよしこの夜」だった。

すげえ、すごくクリスマスだ………。

そこに赤と白のケープとリボンをつけた橘高さん、サンタテイストのカチューシャをつけたおいちゃんが登場。二人の登場に興奮するオーディエンスの歓声にエディの演奏がかき消されてしまったのが残念だったが、自分も非常に喜んでいた。何てサービス精神旺盛な人達なんだろう!

SAN FRANCISCO(エピローグ)はアンコールにじっくり聴くのにふさわしかった。高ぶった熱が良い具合にクールダウンするようで気持ち良い。インストだけを演奏する椅子ありのライブとかも、いつか聴いてみたいものだなぁ。

サンタ服を着たオーケンが現れたらもうニコニコするしかない。「筋少ファンにとってクリスマスは辛い日だ!」「一緒に過ごす人もいないし、ライブの後で体がつらい!」なんて言うが、こうして楽しませよう楽しませようとしてくれるんだからなぁ。

最後はド定番、「踊るダメ人間」と「釈迦」で全てのエネルギーを発散して終了。いつもは終演後、ビールを呑む自分が、すっかり疲れて疲れ切って糖分が欲しくなり、ピンクグレープフルーツソーダを飲んだ。

MCでは橘高さんの福袋の話と壁ドンの話が面白かった。毎年恒例、クリスマス限定の橘高さんの福袋は三年目の今年になってようやくついに女性がゲットしたらしい。ところが橘高さん、男性がゲットすることしか想定していなかったため、「男の子と何と話すか」しか考えていなかったそうだ。冗談めかしつつも「女の子が当たっちゃって、俺今結構緊張してる」と話していた。

壁ドンはいったいどんな流れだったか、この流れだったか既に記憶が定かではないが、オーケンが「壁ドンが流行ってるんだよ、知らないの? 知らない人~」と挙手を募り、壁ドンがどんなものか説明。つまり女の子を壁際に押し付け、腕で逃げ場を塞いだうえで口説くという行為である。このとき「男の子が女の子を……男の子と男の子でも良いんだけど、そっちの方が良いんでしょ?」といきなり一部のオーディエンスに振って若干周囲がざわついたが、自分は「またか」と思っていた。

このとき、オーディエンスを一人一人壁ドンするくらいの云々、と何かライブどどれくらい盛り上げるかという比喩で壁ドンの話をしていたのだがこのあたり記憶が曖昧で、覚えているのは「俺を壁ドンしてくれたって良いんだぜ~!」という台詞に「オーケン、タッパあるから現実なかなか出来る人いないだろ…」と思ったことだった。

あと中盤あたりで龍角散の粉が入った缶を取り出したオーケンがそれを口に含み、ゴジラの如く龍角散の霧を三度ほど噴出したおかげでしばらく龍角散独特のにおいが漂っていたのが印象的である。「おじいちゃんのにおいだ……」とオーケンは呟いていた。



未分類0杯, 筋肉少女帯, 非日常

己はこのサイトにおいて、ライブや旅行の感想を記すときは「非日常」のタグを付け、これは普段の日常と別のもの、と区分けをしているのだが、数年にわたり頻繁に筋肉少女帯のライブに通っていると思うのだ。既にこれは非日常ではなく日常の一部になってしまっているのかもしれない、と。

今回の会場「Shibuya O-EAST」は自分にとって初めてのライブハウスだが、周囲に通い慣れたライブハウスが多いという理由で、よく見知った場所であるため特に緊張感も無かった。昔は行ったことのないライブハウスに向かう際は、内部の構造はどうなっているか調べた挙句、どうにか良い場所から見られますようにと祈るような気持ちでいたものだが、今は一応下調べはするものの「まぁ何とかなるだろう」と軽く構えている。

ライブに行くことが自分にとって既に特別なことではなく、ごく自然なことである以上、やはりそれは「日常」に馴染んだものなのだろう。しかも今日の自分といったらライブTシャツすら着ていない。普段は前方に突っ込むため汗をかいても良いように冬だろうと薄着で参戦しているが、体調があまり芳しくないためしっかり厚着。まるで近所のスーパーにでも行くかのような格好だ。

厚着して、声を出すことも控え、後ろの方で静かにステージを観ていた。静かにと言いつつ拳を振り上げ体を揺らし、サンフランシスコでは飛び上がり、動ける限りは動いていたが、その日自分は開演から終演まで一歩もその場所を動かず、前方で踊り狂う人の群れの塊と、その先で光に包まれながら楽器を鳴らし、歌を歌い、煽りまくる人達を観ていた。

通常自分は前方の踊る塊の一部と化しているため、視点の位置に違いこそあるものの、それは何度も何度も観てきた光景で、とてもよく知った目に馴染んだものであり、そうして眺めて思ったことは、やっぱりこれは日常ではない、非日常の分類だ、ということだった。何度も観て、パターンも覚えて、終演後の喪失感も通うごとに薄れ、特別感が減少しても、これは非日常である。パターンを覚えるほど観て、馴染んで、それでもまた次回観たいと思わされる、決して日常では得られない楽しみを与えられる空間がこれなのだ。どんなに馴染んでもこれは日常には成りえない。

と、いうことを終演後、ハイネケンを呑みつつ、渡されたフライヤーを見てにやにやしながら思っていた。フライヤーには次回のライブの告知。再結成後、恒例となっている十二月二十三日のリキッドルームでのワンマンライブ。今回、さんざん東京でのワンマンライブは今日が年内最後だ、と強調して強調して強調した挙句、やっと発表された待ちに待った公演だ。オーケンのしつこい強調具合にわざとらしさを感じたものの、もしかしたら本当に無いのかもしれない………と、半ばがっかりし、その言葉を信じかけていただけに嬉しい。

今日のライブは殊更良かった。まずオーケンのコンディションが良かった。オーケン自身、「今日のオーケンは若干元気なオーケン」と自らを指して言い、その理由を「五十も近付くとねぇ、バイオリズムっているのがあって、気候に左右されたりするの。おいちゃんわかるでしょ? でね、今日は良い天気だったからちょうどバイオリズムが上り調子のところで、若干元気なの」と手で波線を作りながらにこにこ語る。

実際今日のオーケンは調子が良かったと思う。昨今は歌詞がぶっとぶことがやたら増えていたが今回は、まぁ多少はあったものの大したことは無く、「イワンのばか」定番の歌詞間違い「ロシアのポルカの裏技」も炸裂せず、「サンフランシスコ」冒頭の「さようならさようなら」も、場合によっては極端に省略され、すごいときには「本当に辛い」しか残らないことさえあるが、今日は全部語ってくれた。

何より嬉しいのが「妖精対弓道部」で、ずっと聴きたかった歌詞が聴けたこと。とはいえ、自分が「妖精対弓道部」をライブで聴いたのはこれが二回目で、そもそもライブで聴いた経験すらほとんど無いのだが、DVDが収録されたライブで、その格別気に入っている歌詞が見事に消滅してしまったため印象深くなってしまったのだ。DVDを繰り返して観ていたせいで、当時のがっかり感が何度も何度も上書きされていたのである。また、もし間違えたまま口が覚えてしまって、ライブにおいて正しい歌詞がすっかり消滅してしまったらどうしよう、という危惧もあった。何故なら今の定番曲の中にも、すっかり本来の歌詞が消えてしまっているものがあるからである。ようこそいらっしゃいましょう、とか。

あと印象深かったのは「パノラマ島へ帰る」。六月の中野サンプラザでは演奏されなかったため、ようやく念願叶ってと言ったところ。ライブの後半、証明が落ち、エディがピアノを爪弾き出した。神経を集中させて耳を澄ますも何の曲が始まるのかわからない。「爆殺少女人形舞一号か?」と思いきや、ふと、脳に引っかかるフレーズはあり、あ、これは、と思ったところでオーケンが静かにタイトルを口にした。

CDは儚げな印象の歌い方だったが、今日は力強さを感じた。これはオーケンが「若干元気」だったせいかもしれない。そして演奏の美しさと見事さったら無い。たまに思う。こういう大人な雰囲気の曲だけを演奏する演奏会があっても面白いのでは無いかと。その場合は是非椅子のあるところで、ゆったりしながら聴きたい。

一曲目は「パリ・恋の都」。渋谷が会場ということで「来たぜおおパリ!」と歌う冒頭、地名を「渋谷」に変更。しかしその後の歌詞はもちろん「パリ」だったので、恋人の亡霊と共にパリにやってきたと主張する男が、まるで渋谷をパリと言い張っているかのようで、この男は少し落ち着かせてやらないといけないな………と思わされた。思わず。

二曲目は「妖精対弓道部」。その後MCを挟み、ここでオーケンが「若干元気」であることを強調し、おかしなポーズで飛んだり跳ねたりはしゃいでいた。変だった。そして「今日は休んだりしない!」と高らかに宣言。最近は途中でオーケンがステージから下がり、代わりに他のメンバーがボーカルをとることがあるのでそのことを指しているのだろう。

しかし。宣言したからには覆すのがオーケンである。

また次のMCで、オーケンがオカルトの話を始めた。「ねぇ、知ってる? この間オカルトの番組に出たときに○○さんという人が言ってたんだけどね、太陽系にはラジャサンっていう木星くらいの大きさの星があるの。これは自由に動くことができて、黒い触手を持っててね、その触手で………太陽を妊娠させるんだ」

オーケンよ、あなたは何を言っているのだ。

「でね、地球とか、太陽系の惑星は、ラジャサンと太陽の子供なんだって。でもラジャサンは性に奔放なんだ。だから地球ともそういうことをしてるわけ。それで………今地球は妊娠してるの! 来年には出産するの!! うわあああああ大変だあああああ歌なんか歌ってる場合じゃないよ! 怖いよ怖いようわあああああ~~~~」

そしてオーケンはステージから逃亡した。後に残された戸惑うメンバーと、一人仰け反りながら大笑いするエディの対比が無性におかしい。怪談を語るときのような口調と言ったらわかりやすいだろうか、声を落とし、力強く注意深く、一つ一つ聴き手の理解を確認しながら語っていた男が一変して一人で狂乱し、「怖いよ怖いよ」と喚きながらステージを走り去る。その後、オーケンがいないためおいちゃんが「未使用引換券」を歌ったが、歌い終わってもオーケンは戻ってこず、ついに内田さんに「まだあのキチガイ戻って来ないね」と言われてしまっていた。実に的確だと思う。

おいちゃんの「未使用引換券」は格好良かった。あまり、おいちゃんのボーカルをメインで聴く機会が無かったから知らなかったのだが、ワイルドで色っぽい歌声だと思う。おいちゃんが歌い終わった後に内田さんが「かっこよかったね」と言ったのにはうなづかざるを得ない。ただ、マイクの設定のせいか、若干声のボリュームが足りなかったのが惜しい。

オーケンがまだ戻らないため、今度は内田さん、おいちゃん、橘高さんの三人で交代しながら「日本の米」。格好良い!! これはこのままこの三人で定番化しても良いんじゃないか、と思うほど。だが、日本の米の終わり頃にオーケンがステージに戻ってきて、少しだけ歌ってくれたのだが、このときはやはり、しっくりくるなぁ、と思った。染み付いているのである。

他、ぐっときたのは「ハッピーアイスクリーム」「航海の日」「レセプター(受容体)」「ワインライダー・フォーエバー」。「ハッピーアイスクリーム」は何と言っても掛け合いが楽しい。思い切り声を出せなかったのが非常に残念だったが、それでも久しぶりに聴けて興奮した。

「航海の日」は確かエディの出だしで始まっていたように思う。こうして少しずつ、ライブを重ねるごとにアレンジが加わっていく、というのは個人的には非常に好みなので、今後もどんどん膨らんでいってくれたら嬉しいな、と思う。

「ワインライダー・フォーエバー」は何とアンコールのラストに演奏された。アンコールでオーケンが血染めの白衣を着ていたこと、ライブタイトルが「四半世紀中」であることもあって、「中2病の神ドロシー」が最後に来るだろうと予測していただけに驚いた。全く予想していない一曲だが、多幸感に包まれながら終演を迎えることができたので、これはかなり、すごく良いと思った。

それと、ワインライダーでメンバーがラップに入る際、オーケンが「うっちー!」「ふーみん!」「おいちゃん!」とそれぞれの名前を呼んで盛り上げていて、とはいえこのパターンだとオーケンだけ名前を呼んでくれる人がいないなと思いきや、橘高さんが「大槻!!」と呼んでくれたのが、まるで自分のことのように嬉しかった。オーケンがメンバーに「誰か俺の名前を呼んでー!」とねだっているところを何度か観たことがあるだけに。欲を言えば「大槻」でなくあだ名の「オーケン」だったら尚ナイスだったので、次回はよろしくお願いします橘高さん。

追い出しにかかったのは今度対バンするJUN SKY WALKER(S)の「Let’s Go ヒバリヒルズ」。普段、比較的早くステージを去ってしまうオーケンがにこにこしながらステージをうろうろして、「サビのとこだけ歌いたい!」と言っていたのが印象的だ。そして最後は何故かサビの部分を皆で合唱。どうして筋少のライブの最後の最後で、JUN SKY WALKER(S)を合唱して心を一つにしてるんだ、と思うと笑えてきそうになった。

そういえば。今回、「踊る赤ちゃん人間」を最後の方にやったのだが、前半で元気を使い果たしたオーケンが若干ばてて、半ば義務感で「あばばあばば」言っている様がおかしかった。あんなに陶酔していない状態での「あばば」は初めて見た。貴重なものが見られたと思う。

あとこれも。橘高さんはライブで地方に宿泊する際、ホテルのシャワーの水圧が低くて我慢ならないことが多いため、マイシャワーヘッドを三つ持ち歩いているそうで、シャワーの水圧について力説していたものの、内田さんはステージから完全にいなくなり、おいちゃんはステージの隅で座り込み、あのオーケンのラジャサン云々のオカルトトークでさえ皆ステージに残って聴いてくれていたのに何で橘高さんだけこんなにアウェーなんだ、と思った。

このとき内田さんがいなくなってから、オーケンは「うっちーに話したいことがあったんだけどなぁ」と何度か口にしていた。そしてライブの後半でふとそのことを思い出したオーケンが、「十二月三十一日暇?」「予定が無かったらのほほん学校を年越しでやりたいんだけど」と内田さんを誘った。年越しのほほん! まだ会場の空きを確認していないそうなので確定してはいないものの、内田さんも予定は無いとのことなので実現するかもしれないそうだ。行きたいなぁ。でも大晦日だからなぁ。

ただ、行けなくても楽しそうな催しが次々と現れてくるのは嬉しいことだ。まずは十二月二十三日。年内最後、思いっきり楽しむぞ!



未分類筋少拡散波動砲2013, 筋肉少女帯, 非日常

「カーネーション・リインカーネーション」の演奏時、あまりの苦しさに「筋少が殺しにかかってきている」と思った。

場所は渋谷CLUB QUATTRO。見事な大入り満員で、前方はいつにも増してぎゅうぎゅう詰め。さらに、下手側にはまるでおいちゃんの視界を塞ぐかのようにでっかい柱が建っていてオーディエンスの動きを阻む。四方八方を赤の他人と密着するのはいつものことだが、それにしても余白が少ない。今までの筋少のライブの中で、一番過酷なライブだった。

そして自分の立ち位置はその悪名高い柱の近く。クアトロには邪魔な柱がある、という話は聞いたことこそあったものの、実際にクアトロに足を運んだのは今回が初めてで、一目見てこりゃあ邪魔だと納得。柱の後ろ側からだと下手側のステージが全く見えないのである。

しかし柱を避けて視界の広い位置に立ってもこいつは曲者だった。ノリに乗って跳ね回る観客。自然と立ち位置はそのときそのときで移動する。当初、柱より上手側に立っていた自分も流れに流され気付けば柱のすぐ隣、そして曲は「イワンのばか」。熱気と興奮の渦の中、揉み合ううちに体が飛んで、即頭部を柱の側面にガチンとぶつけたのだった。これには流石に一瞬、命の危機を感じた。いくら筋少ファンとも言えども、筋少のライブに行って柱に頭をぶつけて死にました、と親に報告されるのは避けたい。

幸いにも大したことは無く、コブが出来ることすら無かったが、柱があるのは仕方が無いとして、激しいライブのときには布かスポンジか薄いマットを巻いておいた方が良いように思う。いつか事故が起こるんじゃないか、あれ。

柱の話はここまでにして。今回のライブは筋肉少女帯拡散波動砲2013 FINAL。筋肉少女帯拡散波動砲は、筋少メンバーが在籍しているバンド・グループ・ユニットが二組以上揃った状態を指したもの。そして今回は「FINAL」ということで、ついに、筋肉少女帯のメンバーが全員揃った記念すべき公演とのことだ。

だが、ここでちょっと不思議なのが、筋肉少女帯のメンバーが全員揃っているのに今回の公演のバンド名は「中二病の神ドロシー」ということ。現筋少メンバーではないエディがいない状態を「中二病の神ドロシー」と名づけるのは、まるで筋肉少女帯にはエディの存在が不可欠と言っているようだ。

実際、そうだと思う。

実はここ一週間ほど、内田さんが在籍している水戸華之介&3-10Chainの音楽を聴きながら、筋少は楽器が多いなぁと思っていた。先に言っておくがそれは不満では無い。ただの感想だ。水戸華之介&3-10Chainの構成はボーカル、ギター、ベース、ドラムが基本。そのうえで、ベースの存在感が目立つ曲が結構多いのである。筋少で言えばここはきっとおいちゃんが弾いているだろう、と思うところにベースが入る。

対して筋少の構成はボーカル、リードギター、リズムギター、ベース、ドラム、ピアノ。リードギタリストがピロロロロロロロロと早弾きをする中でリズムギタリストがギュワギュワとかき鳴らし、ドラマーがツーバスをドコドコドコドコドコ踏み鳴らし、ピアニストもこれでもかと弾きまくり、さらにはボーカルがヘイヘイ叫び煽りながらあらゆる隙間を埋めていく。無論ベーシストも弾きまくっているのだが、筋少の後に3-10を聴くと「すごくベースが聴きやすい」と思うのだ。

だから今回、エディがいないライブというものを興味深く感じていた。楽器が一つ減るとどのように印象が変わるのだろう。それを楽しみにしていた。

さてその印象はと言うと。結論から言うと物足りなかった。ピアノのところをギターが補完している箇所に気付いて感動し、普段と違う面白味も感じたのだが、やっぱりどこか物足りない。エディがいないだけで、随分シンプルになってしまったような気がして寂しかった。一曲目は大好きな「モーレツ ア太郎」で、大いに気分は高揚し興奮したのだが、自分が一番好きなのは「どこへでも行ける切手」のライブDVDの、エディがピアノを弾きまくるバージョンなのだ。すごく好きな曲だ、何て格好良い歌詞だ、だが足りない! そう強く感じた。

今回のライブで、聴けて嬉しかった曲は「日本の米」「風車男ルリヲ」「ザジ、あんまり殺しちゃダメだよ」「タチムカウ―狂い咲く人間の証明―」、そして「トキハナツ」。特に「トキハナツ」に至っては! 密かに自分はこの曲をやってくれることを待ち望んでいたのだよ!

「タチムカウ」と「トキハナツ」は浪人時代によく聴いていた。ふさぎ込んだりはしていなかったが、鬱屈した気持ちは多少は抱えていて、その気分に合っていたのだ。聴くと気持ちが楽になり、よし頑張ろうと思えたのだ。この二曲をまさか同じ日に聴けるとは。嬉しかったなぁ。

しかし、「トキハナツ」の「OK!」と叫ぶところで、「オイ!オイ!オイ!オイ!」と煽るのは! ちょっとそこにその煽りを入れるのは違う! 「OK!」の方に合わせたい! やりづらい! と思った。そこは別に埋めなくても良いんだよオーケン!

「トキハナツ」を歌い終わった後、この曲は「最後の聖戦ツアー以来やってなかった曲」と語るオーケン。どうやらどんな歌詞だったか忘れていたらしく、あの「アイアムアトップオブブリーダー」について、「サビにアイアムアトップオブブリーダーって! こんな歌詞を思いついた俺はすごいよ、天才だよ」とオーケンが笑いながら言っていたが、自分は本気で「うん天才だ」と思っていた。初めて聴いたとき、「トップオブブリーダー」という言葉にこんな使い道があったなんて、と感銘を受けた。本当に。

「日本の米」に入る前も素晴らしかった。「正直好きなミュージシャンの曲でも飛ばす曲ってあるでしょ?」と観客に語り掛けるオーケン。「俺の曲だから言うけど、日本の米は飛ばされる曲だと思うの」。すると「えーーーーー」と観客から非難の声。「聴きたいの? 聴きたいの? でもなぁ、………え、やるの?」とメンバーにしらじらしく次の曲を確認。メンバーの言葉により、次の曲が日本の米と知るや否や、「いやだ~やりたくない~」と駄々をこね始めるオーケン。

ものすごく面白かった。

「やだ~アラフィフにもなって米米米米とかやだ~」「何で今になって『知らないのか納豆に! ネギを刻むと美味いんだ!』なんて言わなきゃいけないの!」「おらやだぁ~みんながやれって言ってもやだぁ~」と顔面をくしゃくしゃにさせながら、記録媒体でしか知らないナゴム時代を思わせるような奇声を発しつつ、嫌だ嫌だと拒否を続ける。段取りがあったのだろう、見かねた内田さんが助け舟を出す体で、「じゃあ……(僕が代わりに歌うよ)」とオーケンに声をかける。しかし。

「待って! これは俺のエチュードだから!」と制し、小芝居を続行。「やりたくねぇよ~」とイヤイヤしながら散々狭いステージを歩き回って、そしてそのままステージの外へ出て行ってしまった。小芝居だということはメンバーも観客も理解していただろう。しかし、あまりの力の入れようだったため、「え、今の何だったの…?」と、しばしぽかんとした空気が流れた。「帰っちゃったね…」と口火を切る内田さんに対して、「そうだね」と心の中で相槌を入れた。あのときのオーケンはまるで何かが乗り移っているかのようだった。

そしてオーケン抜きの内田さん、おいちゃん、橘高さんで「日本の米」! いやー格好良い! いやー馬鹿な曲! これは確かに、ボーカルは口が飽きそうだ、と納得しつつも嬉しかった。

中盤あたりだっただろうか。「日本の米」のときとは逆に、今度はステージにオーケンが一人。手にはアコースティックギター。そして奏で出すのは「ノゾミ・カナエ・タマエ」! 先日の谷山浩子のライブ「猫森集会」でも披露した一曲だ! また聴けて嬉しい反面、アコースティックギターでの演奏ではシャウトが抑え目になり、原曲よりも寂しげな歌声になるので、通常編成の状態でも聴きたかったなぁと思った。

「ノゾミ・カナエ・タマエ」の終盤でメンバーが入場。オーケンはギターを下ろさず抱えたまま次の曲へ。もしや、と期待を込めれば大好きな「風車男ルリヲ」! 前回ライブで聴いたときはまだギターに慣れていなかった頃だ! すごい。今はギターを弾きながら歌う姿に余裕が感じられる。ただ、慣れないギターに緊張して歌っていた頃の方がルリヲの曲には合っていたようにも感じられた。今回はちょっとゆとりがあったのか、焦燥感が軽減されていたのだ。

ふと思い出したが、「アウェーインザライフ」の「ホームにしてみろ」のところ、CDでは声を張り上げて叫ぶ箇所が、昨今では声を低くして伸ばすように歌うことが多かったのだが、今回はきっちり思いっきり叫んでくれていて思わずガッツポーズをとってしまった。これだよ! やっぱりこれが格好良いんだ!!

「ザジ、あんまり殺しちゃだめだよ」をライブで聴いたのは今回が初めて。改めて、「お祈りをしてあげよう」という言葉を好きだな、と思った。

MCではオーケンがおいちゃんとあまちゃんの話を、内田さんとはマー君の話を、橘高さんとはハードロック芸人の話をしていた。「あまちゃん」はどうやら本日最終回を迎えたそうで、そのことに喪失感を抱く現象を「あまロス」と呼ぶらしい。「あまちゃん」を観ていたのはメンバーではおいちゃんだけで、あまちゃんを観ていないオーケンが断片的な知識を繋ぎ合わせておいちゃんに「合ってる? 合ってる?」と質問していた。案外間違っていなかったらしい。

この後、オーディアンスに向けて「あまちゃん観てる人~」とオーケンが問いかけ、直後破顔。「あんまり観てないんだね」「流石筋少ファンだねえ」と挙がった手の数を見て感想を漏らすオーケン。オーケンの中の筋少ファンのイメージが垣間見える瞬間だ。

「俺内田君とよく知らないものについて話すの好きなの」と言って「マー君」の話へ。「マー君って知ってる?」「あれだよ、ハンカチの…」「違うよぉ~」と互いにおぼろげな知識で適当な会話を繰り広げる様子が非常に面白かったのだが、自分自身「マー君」をよく知らないため、何が正しく何が間違っているのか全く覚えることが出来なかった。野球関係の人で最近何かしらの良いことがあったらしい。

あと、ライブの後半でオリンピックの話題になったとき、筋少は2020年、オリンピックにどう接するか、取り組むか、関わるか、というような質問をオーケンが内田さんに投げたとき、「興味ない」とバッサリ切った内田さんに歓声を上げた一人は自分である。いや、別に良いんだよ盛り上がるのは。楽しそうな人に水を差すつもりは無い。ただ、そこまでスカッと言い切ってくれると嬉しくなるのだ。同じく全く興味が無い人間としては。

他に印象深いことと言えば、これも中盤あたりで、「皆さんがニコニコしていて嬉しいです」とオーケンが言ったこと。オーケンはもともといかにお客さんを楽しませるかを重要視するエンターテイナーだが、最近はそこに使命感さえ抱いているように見える。まれに、「この人は筋少ファンが筋少以外には何も楽しみが無くて常に日々を鬱屈した気分で生きていると思い込んでいるのでは無いか」「そこまで心配してくれなくても大丈夫だよ」と思うこともあるが、こうもストレートに言ってくれると、流石にちょっと射抜かれた。

オーケンの言う「煮込まれたおでんのような客」も「切ったばかりのシャキシャキの大根のような客」も等しく楽しませ、満足して帰ってもらおうとする姿勢が好きだ。「お前たちは『またカレー?』と思うかもしれないけど! 今日初めて来た人は、『わあ! あのカレーの曲が聴けたんだー!』って喜んでくれているんだよ!」「僕もねぇ、バンドをやる前は毎回違う曲をやれば良いのにって思ったけど、そういうわけにもいかないの! 照明さんの都合や音声さんの都合もあるの!」と大人の事情を吐露しつつ、「ザジ」と「トキハナツ」をやってくれるんだからなぁ。たまらないよ。