日記録0杯, 日常

部屋の中。クロゴキブリの子が白い壁を歩いているのが見えたので、ティッシュを取って粛々と殺した。まだ子供であるゆえ冷静に始末が出来たが、これが育ちきった奴だったら悲鳴の一つも上げただろう。情けない話であるが。

思い込みとは誰しもが抱かれるものであり、同時に誰もが持つものであるが、自分の場合虫好きということから、「ゴキブリも好き」、でなくとも「ゴキブリも平気」と思われやすい。そりゃあ虫嫌いの人に比べればまだ耐性はあるだろうが、奴らに恐怖と嫌悪を覚えることには変わりなく、数年前のある日の深夜、数駅離れたところに住む友人から、「ゴキブリが出た、助けてほしい」と電話をもらったことがあったが、申し訳ないがと断った。まぁ、昼間だったら考えたかもしれないが。仮に自分が向かったところで何の助けにもならないのは明白である。

またある日、夜中に帰宅したら玄関前でゴキブリが交尾していたことがあった。泣きそうな気持ちになりながら近所のコンビニに逃げた。よりにもよって人の家の前で繁殖しないでいただきたい。どっか森の奥の人のいないところでやってくれ。頼むから。

やや脱線したので話を戻そう。そう、脱線していたのだ。自分が本来したかったのはゴキブリの話ではなく思い込みの話の方なのである。虫好きゆえにゴキブリも大丈夫、と思い込まれたように、少し世代が上の音楽にはまっているがゆえに、上の年代にしか興味が無い、転じて、結構な年上好きだと思われていたらしい。

好きな芸能人を聞かれたときに「阿川佐和子の雰囲気が好き」と答えたことも一つの原因だったらしい。そのうえ浮いた話が全くなく、話を振られても興味を示さず、むしろこそこそ逃げていくこと。それゆえに年上好きだと! 二十三十年上の者しか恋愛対象にならないと! 思われていたんだってさ! おい!!

そして謎が解けた。「今度○○さんという素敵な方をお呼びするけど、その方は既婚者だから興味を持っちゃだめよ」と釘を刺されたのはどうしてか。そういうわけだったんだよ!

まさか音楽の趣味一つでこんな誤解を受けるとは、と衝撃を受けた。いや、もっと恋愛に興味を示していれば恐らく違ったのだろうが………。しかもそう思っているのが一人や二人じゃなかったのだからもうどうしたものやら。明日から若者の写真の切り抜きでも透明な下敷きに挟んで持ち歩いてやろうか。もう。

日記録0杯, 日常

明日は服屋を色々巡り歩く予定であって、何か良いものを見つけられたらなぁ、と思いつつ外に出る。

ポロシャツとズボンを買いたいな。

あと緑茶の茶葉を買い足して、眼科に行って、パンも買い、生活消耗品をいくつか揃えて帰宅しよう。今日はウォッカを買ったので、それを明日の夜氷を落としてちびちび舐めようじゃないか。そして今日はゆっくり眠って朝寝坊しよう。

今晩は麦茶を飲みつつやや夜更かし。あと三十分経ったら寝るかな。

日記録3杯, 日常

本屋に寄ったら目に付いた図鑑コーナー。そこには自分が集めているシリーズの改訂版が並べられていた。

あぁ、DVDが付いていらっしゃる!

撮影技術の進歩を実感するのは新しい図鑑を見たときだ。小学校の頃買ってもらった昆虫図鑑の写真の色は鮮明さに欠けていて、全体的に茶色っぽく、暗い色をしていた。写真は少なく、ほとんどがカラーイラストだった。それはリアルであり、かつ上手く平均的にディフォルメしているため、昆虫の種類を調べるという目的に置いては優れた代物だったと今になって思うが、当時は綺麗な写真に憧れたのも事実である。

そして大学に入り一人暮らしを始めてから購入した図鑑は全ページに色鮮やかな昆虫の写真! 小さな目玉、背中の光沢はおろか、脚に生えた細かな産毛まで写っている。さらに何百倍にも拡大して撮影された接写写真まで! 素晴らしい、と感嘆した。

それから数年が経過し、今日見た同じシリーズの昆虫図鑑は写真の美しさこそ自分の所有しているものと大きな差は無いものの、何とDVDがついていて、動く昆虫を見ることが出来るというのだから驚いた。今の図鑑はこんなに至れり尽くせりなのか。良いものを作ってくれるなぁ。

昆虫、動物、鳥類、魚類。あぁ、どれもこれも素晴らしいなぁ、とページをめくり、いつか手に入れようと心に決めた。まずは昆虫図鑑だ。あぁ、コンプリートしたい。

日記録0杯, 日常

もうすっかり二十八くらいの気分でいるのに、まだ二十六である。今年二十七になるが。

三十になったら楽になれそうだが、三十五くらいになったらまた面倒くさくなりそうで、四十を迎えたら楽しく過ごせそうな気がするものの、現在自分がしんどい思いをしているかと言えばそうでも無く、ただ友人の環境がだんだん変わっていくことに思うところがあるような無いような、といったところで、夜になるとぼんやりしてしまうが実はぼんやりする暇など無い私生活。何だかんだで忙しいのだよ、本当は。こんなことを考えている場合では無いのだ。

うーん。とりあえず眠ろうか。

日記録0杯, 日常

爪をバチバチ切ってしまう。

記憶する限り自分の爪は常に横長だった。爪を噛む癖があり、血こそ出ていないもののずっと深爪状態で、手の爪を爪切りで切ったことさえ無かった。伸びる前に噛んでしまうからである。

このことは大きなコンプレックスで、人前で爪を見せることを厭うため、爪を隠すために常に手を緩く握る癖があった。この握る癖に関してはその意図を知られているとは思ってもみなかったが、爪噛みの癖を克服した後に、親や友人に「あれは爪を見られたくなかったんでしょう」と指摘され、ドッと汗を噴いたことがあった。わかるものなんだな。

小学校六年の時だろうか。己の深爪に母が気付き、深爪の癖を治す努力をすることとなったが上手く行かず結局爪は横長のまま。あの時母はひどくショックを受けていた。聞くに、母も子供の頃に爪を噛む癖があったそうだ。子供まで、と思ったらしい。

やっと爪噛みの癖を直すことに成功したのは大学三年の頃だった。それまで自身の爪を恥じてはいたものの、癖を矯正することは出来ずにいたが、就職活動を契機に一念発起して直した。こんな爪を見られるのは耐え難い、と今まで以上に強く思ったからである。

努力の甲斐があり、以降爪を噛むことは一度も無い。ピンクの部分もだんだん伸びてきて、さほど長くはないものの、人に見られて恥ずかしく感じるほどでは無くなった。常に白い部分が三ミリほど残されている。昔は白い部分が見えたら即、噛み切ってしまっていたからなぁ。

ただ噛むことは無くなったが、未だ長い爪に慣れず、ちょっと伸びると邪魔に感じてしまうため、爪切りでバチバチ切ってしまう。もうちょっと伸ばしといても良いのになぁ、と思いつつ、やっぱり邪魔なものは邪魔。こればっかりはまだ慣れるのに数年かかりそうだが、それでも縦長になった爪が嬉しい。手のひらもいつの間にか開いて歩けるようになった。未だにこのことが嬉しい。数年経った今でさえも。