6月4日(火) 緑茶カウント:0杯
爪をバチバチ切ってしまう。
記憶する限り自分の爪は常に横長だった。爪を噛む癖があり、血こそ出ていないもののずっと深爪状態で、手の爪を爪切りで切ったことさえ無かった。伸びる前に噛んでしまうからである。
このことは大きなコンプレックスで、人前で爪を見せることを厭うため、爪を隠すために常に手を緩く握る癖があった。この握る癖に関してはその意図を知られているとは思ってもみなかったが、爪噛みの癖を克服した後に、親や友人に「あれは爪を見られたくなかったんでしょう」と指摘され、ドッと汗を噴いたことがあった。わかるものなんだな。
小学校六年の時だろうか。己の深爪に母が気付き、深爪の癖を治す努力をすることとなったが上手く行かず結局爪は横長のまま。あの時母はひどくショックを受けていた。聞くに、母も子供の頃に爪を噛む癖があったそうだ。子供まで、と思ったらしい。
やっと爪噛みの癖を直すことに成功したのは大学三年の頃だった。それまで自身の爪を恥じてはいたものの、癖を矯正することは出来ずにいたが、就職活動を契機に一念発起して直した。こんな爪を見られるのは耐え難い、と今まで以上に強く思ったからである。
努力の甲斐があり、以降爪を噛むことは一度も無い。ピンクの部分もだんだん伸びてきて、さほど長くはないものの、人に見られて恥ずかしく感じるほどでは無くなった。常に白い部分が三ミリほど残されている。昔は白い部分が見えたら即、噛み切ってしまっていたからなぁ。
ただ噛むことは無くなったが、未だ長い爪に慣れず、ちょっと伸びると邪魔に感じてしまうため、爪切りでバチバチ切ってしまう。もうちょっと伸ばしといても良いのになぁ、と思いつつ、やっぱり邪魔なものは邪魔。こればっかりはまだ慣れるのに数年かかりそうだが、それでも縦長になった爪が嬉しい。手のひらもいつの間にか開いて歩けるようになった。未だにこのことが嬉しい。数年経った今でさえも。