未分類0杯, インストアイベント, おそ松さん, 大槻ケンヂ, 非日常

土曜日にオーケンが活躍する仮面ライダーの映画を観て、日曜日に筋少のライブで爆音の中オーケンの歌声と面白MCに心を震わせ、そして月曜日の今日。ROOTS66のイベントでオーケンと増子さんのトークを聴き、大笑いして、さらに握手までさせていただく。こんな幸福を享受してしまって良いのだろうか。

会場はタワーレコード渋谷店のイベント会場。「あれ? タワーレコードが化けた鶴か地蔵を助けたかな?」と思うほど、前回のインストアイベントに続いて素敵な番号を割り振られ、じりじりと待って入場した先には並ぶ椅子と整理番号。椅子の背に整理番号が貼られていて、指定された席に座りましょうと指示される。自分は前から二列目でありつつも、斜め前がちょうど空いていたので視界がすこぶる良好。ちょうどオーケンと増子さんが座る席の空間がぽっかり空いて、非常に見晴らしの良い状況を手にしたのだった。

司会のお姉さんに呼び込まれて登場するオーケンと増子さん。背の高い椅子に座り、おそ松さんのエンディングテーマとROOTS66にまつわるトークを語りだす。その面白いこと! 時間は二十分か三十分か、ごく短いもので、後半で熱く語り止まない二人を司会のお姉さんが制して、それでもなお語りだす、というシーンが生まれるほどゲストの二人は盛り上がって喋っていた。さながらここがロフトプラスワンで、のほほん学校の一幕かと勘違いするほどに。

「おそ松さん」のエンディングを依頼されたとき、最初に歌詞を書いて提出したら「前向きすぎる」「クズニートの話なので」と明るすぎるという理由でダメ出しを喰らったことが新鮮だったと語るオーケンと増子さんが印象的だった。そうか、逆パターンはきっと慣れているのだろうが、「もっと後ろ向きに」と指示されるのは珍しかったのか。

「おそ松さん」そのものの話題は少なく、メインはROOTS66について。ROOTS66でグループLINEを作っていて、そこで歌詞作りをしているのだが、あるメンバーがそのグループLINEに詩を投稿することがたびたびあり、衝撃を受けたと語るオーケンと増子さん。このあたり、名前は出さない方が良いかもしれないのであえてぼかしておこう。

イベントについての突っ込みもあった。今日のイベントに集まったお客さんは、オーケンファンなのか、増子さんファンなのか、おそ松さんファンなのか。我々と握手できてこの人達はいったい嬉しいのか何なのか全く想像がつかないと語る二人。笑う我々。はっはっはっ。ご安心ください。ここに十年越しの筋少ファンのオーケン信者で、おそ松さんのブルーレイを全巻集めているおそ松さんファンがおりますよ。

何と言うか、自分のために開かれたイベントかと思ったね。

MVの撮影はレコーディングの後にわりとあっさり行われた話もあった。絵コンテを見せられていたのでだいたいどんな仕上がりになるかわかりつつも、砂漠やら何やらと言った大げさなスポットに連れて行かれなかっただけ楽だったらしい。いやあ、あのMVはとてもキュートで素晴らしかったね。ちなみに登場順は生まれ順とのこと。故に、「えっ!? いきなり友森昭一!? 格好良いけどいきなりギター!?」と驚く構成になりつつも、うまい具合にはまったそうだ。

面白かったのは、ROOTS66という同じ年に生まれたメンバーが集まったプロジェクトにも関わらず、オーケンが先輩扱いされているということ。早生まれで、尚且つデビューが早かったということで、一世代上の忌野清志郎と同年代かと思っていた、とメンバーに過剰に年上に思われていた衝撃もあったらしい。はたから聞けばびっくりだが、そういうこともあるんだなぁ。

ROOTS66が番組に出た話も。番組の枠は二時間もないのに、ボーカルが集まってトークをする場面で二時間準備され、結局二時間以上話してしまったそうだ。曰く、四十代であればまだギラギラしていて、互いにライバル意識を持つこともあろうが、五十代になるとのほほんと仲良くできるらしい。そして肝腎のトークは下ネタだらけで、しかも司会がリリーフランキーさんだったためリリーさんまで仲間に入り収集がつかなくなり、途中でメンバーのビデオレターが挿入されるもそれも下ネタでそれすら誰も聞いていない、というひどいありさま。アシスタントの女性はしらーっとしていて、いったいどこが番組で使えるんだ、という様相であったと言う。まぁ、楽しそうで何よりです。

ちなみにおそ松さんのエンディングのオファーをもらったときは、そりゃもう喜んで! という勢いであったらしい。オーケンはおそ松さんで赤塚不二夫、仮面ライダーで石ノ森章太郎に関わり、残りは手塚治虫! どのようにオサムシの牙城を崩そうか! と語り、ROOTS66で勝手に「火の鳥」をやってしまってはどうか、という話題が出て、具体的なキャスティングまで話にのぼり、非常に面白かった。

トークの後は握手会で、荷物をきちんと脇に置いて手ぶらで参戦するという厳粛なシステムにドキドキしつつ、頭の中で話したいことを考えたものの、ものすごい早さで流されて行くため言いたいことを全て伝えることは出来なかった。増子さんにはこれを言いたい、と思っていたものの、増子さんに「良いお年を!」と言われた途端頭が真っ白。「ありがとうございます、ありがとうございます」と壊れたテープレコーダーの如く繰り返すしかない機械に成り下がった。

オーケンには何とか想いを発することが出来たがその時間の短いこと! しかしじっと目を見て手を差し出してくれるオーケンのありがたさったら。今回、プレゼントを直接渡すことは禁じられていたため手紙はプレゼントボックスに入れるしかなく、それは残念ではあったが、ぎゅっと握った手のやわらかさは感触として記憶に残った。

そして。そして、だ。「え、もしや」と思いつつ。トークの時も握手会の時も、「あ、これって」と思いつつドッキドッキしていたため確証を掴めなかったが、イベント終了後にタワーレコードがアップしてくれた写真を見て「あ」と確信を得る。おーけんのきているしゃつとおなじやつ、もってる。わあ。わあ。わあ! 本人が買ったかわからない。ファンからのプレゼントかもしれない。でもびっくりした。心臓が爆発するかと思った。いや、もともとオーケンの着ているシャツ良いな、と思って調べてそのブランドが好きになって、それでちょこちょこ買うようになってって経緯だから、ありえる話ではあるのだが。あるのだが。

我ながら気持ち悪いファンだなぁと思いつつ。握手の余韻に浸りつつ。幸福な時を噛み締めたのであった。
あぁ、ありがとう。



未分類8杯, インストアイベント, 筋肉少女帯, 非日常

「Future!」の発売記念インストアイベントがタワーレコード新宿店にて開催された。幸運なことに整理番号がかなり良く、前から二列目に立てたおかげで充分な視界を得ることが叶った。嬉しい。とても嬉しい。

今日はいつもの徳間のお姉さんではなく、男性のスタッフがイベント開始前の注意事項をアナウンスしていた。会場は人でいっぱいで、少しずつ前に詰めるように促される。時間は二十一時。さぁ、もう間もなくだ。

そして拍手に呼び込まれ、ふらりとステージに現れたのがオーケンだ。もう何度もこういったイベントに参加する機会には恵まれているが、やはりこうして間近でオーケンを観るとドキドキする。血行が促進され毛細血管の隅々まで栄養が行き届き全身が健康になってしまう。ありがたい。

オーケンは四つ並べられた椅子のうち向かって左から二番目に腰を下ろすと、壁に立てかけられていたアコースティックギターをごく自然な仕草で手にとって、ゆるりと「香菜、頭をよくしてあげよう」を弾き語ってくれた。思わぬサプライズである。曰く、今日は演奏をする予定がないけどせっかく集まってくれたのだから、というオーケンの優しさとのことで、タワーレコードにほわりと広がるオーケンの歌声に聴きいりつつ、全く、素敵な人だなぁとしみじみした。

ちゃんとメンバーも来るから安心してくださいね、とオーケンが釘を刺すとドッと笑いが起こる。オーケンによるミニライブが終わるとおいちゃん、うっちー、ふーみんの三人がステージに現れ、いつもの立ち位置と同じ順で椅子に腰掛けた。

今日はせっかくなので、これまで受けた取材やニコ生ではまだ話していない、「Future!」の楽曲それぞれにまつわるエピソードや裏話を肩っていこう、ということで収録順に一つずつ丁寧に話してくれた。発売されてからずっと、それこそ寝る間も惜しんで「Future!」を聴き続けているので本当に嬉しい。聴けると思って期待して来たわけだが、やはりこう、希望が叶えられるとたまらないものがある。さぁ、どんな話が聴けるだろう!

■オーケントレイン
おいちゃんはこの曲を「オーケンに普通に歌わせない」ことをテーマに作っていたとのことで、語りやシャウトだけで構成される曲にするつもりだったそうだ。ところが、ここはオーディエンスでオイオイ盛り上がるだろう、と思っていたところで「オ~ケントレイ~ン」と歌われてしまったそうだ。

「フューチャー!」のところや、高い声のコーラスにブースカ声のオーケンが混じっている。このブースカ声のオーケンと今回コーラスに参加してくれた扇愛奈さんの高さが同じくらいで、ブースカボイスを扇さんの声でコーティングしていると橘高さんは語っていた。また、オーケンはブースカ声の方が何故かピッチが良いとのことで、それを聞いたオーケンがたははとなっていた。個人的には、あの声がブースカとして認識されていることが面白かった。

■ディオネア・フューチャー
筋少コーラスの「無意識 電波 メッセージ 脳Wi-Fi」を録音するとき、橘高さんは「無意識 電波 メッセージ」までは「これくらいやったらもういいだろう」というノリだったのだが、「脳Wi-Fi」が口が気持ちよく、何度シャウトしても楽しかったらしい。橘高さんが熱く「脳Wi-Fi最高!!」と語っていた。

Wi-fiについて、数年後には新しい技術が開発されて古い言葉になっているかもしれないね、という話に。さながら歌詞に出てくる「ポケベル」に時代性を感じるような。「若いコとドライブの歌詞にあるTwitterもそろそろ古くなっているかもしれないね」という言葉も。いやいやいやいや、Twitterはまだ大丈夫。これからもしばらく大丈夫であってほしい、とTwitterヘビーユーザーは思った。

また、オーケンがWi-Fiという言葉を知っていたことで得意がっていたが、「Wi-Fiが流通している」と口を滑らしてしまい、すかさずそこに橘高さんのツッコミが入り、会場が笑いの渦に飲み込まれた。わっはっはっ。

しかし己はオーケンを笑えない。己はあれを「うぃーふぃー」と読んでいた。

■人から箱男
このイベントの前日にあったニコ生での放送で、内田さんは初めて完成版の「人から箱男」のMVを観たとのこと。完成前に何度もチェックをするので、意外と完成版を見ていないことはあるそうだ。おいちゃんと「知らないカットがあったね」と盛り上がっていた。

■サイコキラーズ・ラブ
何故か曲の終わりに拍手がわーっと起こってわいわいひゅーひゅー盛り上がる声を入れる予定になっていたそうで、そういう盛り上がる音を録音していたが、結局使わなかったとのこと。それを聞いたオーケンが「曲に合わないでしょ!?」と困惑しつつ、「でもエヴァンゲリオンの最終回みたいだね」「あれはエヴァだ、って言われていたかもしれない」と言っていた。

■ハニートラップの恋
「サイコキラーズ・ラブ」で入らなかったわいわいひゅーひゅーが「ハニートラップの恋」に入ったとのこと。とはいえ使いまわしではなく、きちんとこの曲のために撮り直したそうだ。

オーケンが内田さんに「内田くんはわーとかひゅーとか入れるの好きだよね」と話したところから内田さんはパリピということになり、内田さんとパリピという言葉の組み合わせの破壊力により会場で爆笑が起きた。

■3歳の花嫁
歌詞の「フラッシュ・ゴードン」についての解説があった。「フラッシュ・ゴードン」はあのクイーンが音楽を担当した映画で、それはもう壮大なスペース・オペラになるはずだったが……とのこと。その仕上がりがトラウマになった者も多いそうで、映画「テッド」でもパロディにされているそうだ。また、「フラッシュ・ゴードン」は公開当時にも既にネタにされていて、「フレッシュ・ゴードン」なる映画が作られたそうだ。「観たことある人~」とオーケンが挙手を募ると内田さんが手を挙げる。見えなかったが観客もちらほら手を挙げていたようだ。ちなみにこちらはポルノだそうである。

■エニグマ
一発録りで作られているとのことで、それぞれ1チャンネルしか使っていないそうだ。

トコイトコイのところを仮歌では内田さんが「See Emily Play」と歌っていたのだが、内田さん以外の全員が「死にたい」と聴き取っていて、おいちゃんは「死にたい死にたい」という仮歌を聴きながら俺は死にたくない、と死にそうな気持ちで真面目にギターを弾き、オーケンは呪い返しのため呪いの言葉「トコイ」を歌って対抗したそうだ。ちなみに「See Emily Play」はピンク・フロイドの楽曲の名称である。

「アイアイアイアイ」の後の箇所はきちんと元ネタを調べてきっちり同じ綴りにしたそうで、意味は「これから殴りにいく」とのこと。また、それ以外の暗号部分も、今後「あ、これかあ!」とわかる展開があるそうだ。いったいどんな種明かしがあるのか実に楽しみである。

■告白
内田さんにとってのテクノであるYMOやクラフトワークの影響が強い曲。ここでオーケンより内田さんに、どんなテクノのイメージなのか具体的に教えてあげてほしいと要請があり、そこからテクノとテクノポップの違いなどが語られたが、最終的には「内田さんが作ったアルバムを聴いたら理解できる」という結論に至った。というわけで皆、内田さんの「SWITCHED ON KING-SHOW」を聴こう!

「ボクの告白は以上さ~」のところは最初無かったが、オーケンのリクエストによりこの部分が追加されたそうである。ちなみにここは喫茶店で話しているシーンだそうだ。

■奇術師
「太陽にほえろ!」をイメージしているのかと問うオーケンに、違うと答える橘高さん。強いて言うなら夕方のイメージとのこと。また、当初はエディのピアノソロはなく、ギターのみの構成だったそうだ。

橘高さんはもっと長くても良いと思っていたがこの長さにしたとのこと。ライブではもっと長くなる可能性もあるそうだ。聴きたい! ぜひ聴きたい!
また、ライブの構成を考えるうえでは、長くできる曲があると便利という話もあった。

■わけあり物件
クライアントの依頼を受けて作った曲で、「この曲のイメージで」とピックアップされた曲が「球体関節人形の夜」「踊る赤ちゃん人間」「くるくる少女」「再殺部隊」などなど。しかしクラシックを聴かない人にとってクラシックが全て同じに聴こえるがそれぞれ違いがあるように、橘高さんにとってはそれらは全て別の種類の曲なので、イメージを固めるのに苦労したそうだ。タイアップする作品のショートアニメを何時間も観続けてイメージを練り上げたそうだ。

■T2
プロレスラー入江茂弘選手の入場テーマ曲、ということでプロレスと縁の深い新木場や両国、入江選手が遠征したウィスコンシン州やサウス・ミルウォーキーといった地名が入っている。……これはもう、入江選手はたまらなく嬉しいだろうなぁ!

そうしてアルバム全曲にまつわるトークが終了し、いそいそとメンバーが椅子を立つ。今回は演奏はないけど……と断りが入りつつ全員マイクを持って始まったのは……「じーさんはいい塩梅」! 歌って歌って、と合唱を促され、朗らかな歌詞を歌い上げる楽しさ。橘高さんは「脳! Wi-Fi!!」とシャウトを挟み大サービス。最後にぺこんとお辞儀をして楽しい時間は終了した。あー、大満足。楽しかった。

ちなみに会場に貼られていたポスターはなかなかレアなものだそうで、なんと、アルバムにディオネアが印刷されていないバージョンとのことだ。これから配布されるものはきちんとディオネアが印刷されているそうで、ディオネアなしバージョンはここでしか見られないらしい。「貴重だから写真撮っといた方が良いよ!」「保存しといてなんでも鑑定団に出そうかな!」と盛り上がるメンバーは実に楽しげだった。

そのポスターがこちら。せっかくなのでイベント終了後に撮影した。うん、確かにディオネアが無い。

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未分類2杯, インストアイベント, 内田雄一郎, 非日常

いやあ危なかった。家でだらだらしながら整骨院に行く準備をしていて気付く。そうだ! 今日は内田さんのインストアイベントの日だ! だらだらしている場合ではない、ってんで、一日の予定とルートを決めてさくさく整骨院に向かったのが十三時頃か。それから少々の買い物を終えて家に帰り、曲の感想を手紙にしたためて再度家を出た。目指すはタワーレコード錦糸町店。

ガタンゴトンと電車に揺られながら内田さんのアルバムを聴き返す。筋肉少女帯のベーシスト・内田雄一郎による筋肉少女帯のテクノカバーアルバムがピコピコビヨンビヨンフワフワと耳を震わす。今日はその発売記念イベントであり、内田さんのトークの後にはサイン会が開かれる。もともと予定していた楽しみをうっかり忘れかけていたおかげで降って湧いた楽しみに感じる愉快さ。先週の水戸さんの100曲ライブでも、水戸さんとワジーは自分達の活動や新譜もそっちのけで内田さんのアルバムについて熱心に語り、宣伝していた。同じミュージシャンが衝撃を受け、語らずにはいられなくなる作品の、その生まれた由縁を今日聴けるかもしれない、と思うとわくわくする。

そうして会場に着いたのがイベントの三十分前か。タワーレコードの入り口に足を踏み入れようとしたそのとき、目の前にビートサーファーズの三浦さんが立っていて、己の横をすっと通り過ぎた影はどこか見慣れた背格好。あ、と思ってその背中を見れば今日の主役、内田さんその人であった。ほぼ同時に会場入りすることになろうとは。偶然とはいえちょっと嬉しい。

ステージの前には既にたくさんの人が並んでいて、もっと早く来れば良かったなと思いつつもそれなりに視界は良好であった。イベントが始まる前から内田さんはひょいひょいとステージに姿を現し、機材の設置や調整を行っていて、またひょいひょいと既に消える。そんな様子を眺めつつ待つこと三十分。十八時になりステージに現れた内田さんは着替えを済ませ、何とジャケットと同じ格好に! おおー! 格好良い!

ステージにはパソコンと内田さん愛用のiPad。iPadに画像を映し、トークとともに画像を切り替え、ちょっとしたスライドショーのような楽しさがあった。このアルバムがどうしてこうなったか、と元ネタの解説がメインで、偏った音楽しか知らない自分にはとても新鮮だった。まずジャケットは1968年にリリースされた「Switched on Bach」のパロディをしようとしたが、結果的に今のデザインになったこと。「Switched on Bach」にジャケットに写っているバッハのおじさんこそが作者のカルロスその人かと思いきや、全然違う人だったこと。そしてカルロスが性別適合手術を越え女性に戻ったとき、「あのバッハのおじさんが!?」と内田さんは衝撃を受けたことが語られた。

この話を聞きつつ、もしかして平沢進のアルバム「Switched-On Lotus」のタイトルもそこから来ているのかなぁ、と思った。

ちなみに「Switched on Bach」のセカンドではバッハのおじさんは宇宙に行っているので、「SWITCHED ON KING-SHOW」もセカンドが出たら宇宙に行っているかもしれないそうだ。次回作がますます楽しみである。

元ネタ解説では主に「イワンのばか」について語られた。イントロはELPの「タルカス」とイエスの「危機」を同時に流すイメージで作られたとのことで、それぞれのイントロと、一緒に流したバージョンも聴かせてくれた。ここで内田さん、「自分だったら三十分聴いていられるけど……」というようなことを語って笑いながらスイッチを切った。内田さん、本当に好きなんだなぁ。

また、メタルですごく盛り上がるところをふにゃんふにゃんした感じにしたら面白いんじゃないか、ということでクラフトワークのMIXを元にアレンジしたそうで、このあたり、是非橘高さんの感想を聴きたいところである。

メタルと言えば、筋少のアルバムを取り込むとドドンと「METAL」と分類されるそうで、「SWITCHED ON KING-SHOW」は何に分類されるのだろうと思いつつ取り込んだら「POP」と表示されたそうだ。そこで内田さん「これからはポップミュージシャンとして生きて行きます」と冗談めかして語っていた。

そして楽しい時間は過ぎ、トークライブは終了。いったん内田さんはステージからいなくなり、会場の準備が整い戻ってきたと思ったら……黒い帽子に黒いマスクの黒尽くめ! 何故か目元しか露出していないという徹底振りである。しかしいつもの眼鏡は外されていたので目元に限って言えば若干露出が増していた。何故だろう。緊張していたのだろうか。

手紙を渡し、サインをしてもらいつつ内田さんと会話出来たのが嬉しかった。あぁ、ドキドキしたけどちゃんと話せて良かった! 握手をしてもらってその場を離れ、ふわふわしつつ反芻したのは「こういうのが楽しいお年頃」という内田さんの言葉。良いなぁ。いくつになっても新たな楽しいことを見つけ、遊べる心持ちは実に良い。そうして出来上がったものが同業者さえ驚かせる衝撃の一作という面白さ。筋肉少女帯の内田さんにはいつも安定感と安心感がある。しかしそれだけではない衝撃的なスパイスをぶっこんでくるバランス感。これこそが彼の魅力なのだろうな、とつくづく思った。次回作も楽しみである。



未分類4杯, インストアイベント, 橘高文彦, 非日常

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押入れに仕舞いっぱなしで、滅多に使われないオリンパスのごついデジカメ。充電のためパソコンにコードを繋げば過去に撮影した写真が表示され、履歴を見るに軽く数年は使っていない。

そんな使用頻度の低いデジカメをわざわざ取り出した理由は一つ。だってこんな機会、滅多に無いから。

デジカメを活用した帰り道、夢のようなふわふわとした気持ちを噛み締めながら、それでいてずっと脳は興奮していて、口元が緩むのを抑えらず、ただひたすら「うわあ、うわあ、うわあ、うわあ!」と心の中で唱え続けていた。うわあ!

撮ってもらったよ! 橘高さんと! ツーショット写真を! 橘高さんと!

およそ十年前に筋肉少女帯を知ったことで「音楽」というものにはまった自分にとって、橘高さんのギターこそが己にとってのギターの音色である。橘高さんのギターが全ての基本になっている。故に自分が知る中で一番心地良く一番格好良い。その音色を奏でる橘高さんと。橘高さんと写真を撮れるなんて!

夢のようだった。しかし夢ではなかった。夢ではないかと確認するたびに並んだ写真が現実であることを教えてくれる。うわあ。うわあ。うわあ。

タワーレコード新宿店七階のイベントスペースに集う人々の前に颯爽と現れた橘高さんは、金色の髪をふわっふわに飾り立て、レースの華やかな黒のステージ衣装を身にまとい、爪は真っ黒でメイクもバッチリ。インストアイベントでは黒い帽子にサングラスに黒の私服というスタイルが常であるにも関わらず、この撮影会のために! 時間をかけて「橘高文彦」に変身してくださったのである! このサービス精神が嬉しい!

ちなみに今日のイベントは昼の十二時からだったので、橘高さんは朝の五時から用意をしなければならなかったそうである。「次やるときにはもっと遅い時間にやりましょうね」と言っていた。

今回、橘高さんのデビュー三十周年記念ライブ「AROUGE」「Fumihiko Kitsutaka’s Euphoria」「X.Y.Z.→A」「筋肉少女帯」の四公演が、それぞれ一枚ずつのブルーレイディスクとなって発売された。当初橘高さんはこの四枚をボックスにすることを考えていたらしい。ただ、子供の頃に欲しいファミコンのソフトが別のソフトとセットになって販売されてがっかりした経験があるので、せっかくのアニバーサリーでファンにそんな思いをさせるのは……ということで別々の販売にしたそうである。「ただ、四枚買ってくれた人だけの特典も用意しているからね!」と。ちなみに特典の内容はフォトブックと、五種類のピックセット。近くに立っていた男性が「ピック……良いなすごいな欲しい……」とつぶやいていた。

トークでは映像の内容にも触れていた。今回ブルーレイで発売し、クリアな音とクリアな映像でお届けしたが、「そこまでクリアである必要があるか……?」ということで、次回からはアートな感じの映像になるかもしれない、と冗談めかして語っていた。もしかしたら今回のディスクがクリアな映像を楽しめる最後の一枚になるかもしれないそうだ。

また、ブルーレイは橘高さんの記念ライブとして開催されたものを収録したものだが、同時にそれぞれのバンドの最新作であり、どれも充実した内容になっているとのこと。「ここにいない大槻さんのファンにも勧めといてね」と笑いながら話す橘高さんは実にキュートであった。

トークが終わったら撮影会に。ステージとオーディエンスの間に仕切りが作られ、順番に並んで一人ずつ入っていき、仕切りの奥で撮影が行われる。恐らく撮影の際に他者が写り込まないよう配慮してのことだろうが、写真に慣れていない人間としては人の目が遮断されるのは実にありがたかった。

並びながらカメラをチェックしたり、何を言おうか考えたりと、ドキドキしながら順番を待つ。そうしてついに自分の番がやってきて、カメラをスタッフのお姉さんに預けると、すぐそばに橘高さんが! 差し出される手を緊張しながら握り、うわあ橘高さん橘高さん、格好良いなぁ……! 間近で見るとすごい迫力だなぁ……! と感動する。

さて、ついに撮影を……というところで橘高さんからポーズの希望を聞かれた。ポーズ。何も考えていなかった。むしろリクエストが出来るなんて夢にも思っていなかった。思わず動揺して何も答えられない。すると橘高さん、「じゃあ、はい!」と言って、ポン、と優しく肩に手を置いてくれた。

肩に手!!

撮影後、お礼を言ってその場を離れ、数歩歩いて立ち止まり、カメラをチェックすると自分の真横に橘高さん。いつも見上げるステージの上にいる橘高さんが、自分の真横に。あの音色を奏でる指が自分の肩に。うわあ。うわあ。うわあ。

撮影会から既に数時間経っているが、未だ脳がふわふわしている。余韻に浸っている。一生の思い出である。

あぁ、嬉しい。



未分類3杯, インストアイベント, 筋肉少女帯人間椅子, 非日常

タワーレコード渋谷店地下一階のイベントスペース「CUTUP STUDIO」。タワレコ渋谷店にはこれまでにも何度となく足を運んだが、この中に立ち入るのは初めてだ。こじんまりとしていて床に傾斜は無く、奥のステージはあまり高くない。己の整理番号は真ん中よりもやや前なので、ステージ前には既に人垣が出来ており、ステージを目に入れるのはなかなか難しかった。だが、左右の壁の見上げる位置にモニターが設置されており、イベント中はステージの様子が映し出されていたため、何とか観覧することが出来た。

イベントが始まると共に、ステージに現れる筋肉少女帯人間椅子のメンバー。上手から、ノブさん、おいちゃん、研ちゃん、オーケン、ワジー、うっちー、ふーみんの順である。まずは自己紹介を…ということでオーケンが仕切ろうとしたのだが、上手と下手がどっちか未だにわからないと告白。おいちゃんが、こちら側が下手だよと教えてあげていた。

ちなみに衣装はというと、人間椅子のメンバーは全員アロハ。ワジーのアロハはアメ横で買ってきたものだそうである。対して筋少はてんでバラバラな格好で、アロハを着ているのはオーケンだけだった。しかもオーケン、最初は特典のTシャツだけ着ていて、アロハは後でスタッフに持ってきてもらって上から羽織っていたので、筋少側のアロハ率はゼロになるところであった。この統一感の無さは素晴らしい。

衣装では無いが、特筆すべきは橘高さん。何と黒髪! 先週のアルージュのライブで黒く染めた…もとい、十八歳に戻った名残だそうである。「印象変わるね」「猫のテブクロのときみたいだね」とメンバーにコメントされていた。己の立ち位置からはモニター越しにしか観ることができなかったが、レアな姿を見られて得した気分である。

また、ジャケット写真で橘高さんが持っていたピンクのフライングVのウクレレは、オーケンが見つけて橘高さんが自腹で購入したものだそうである。

イベント内容はトークがメインで、最後に一曲アコースティックで「地獄のアロハ」が演奏された。トークは順番が前後するかもしれないが、印象的なところだけ書き記しておこうと思う。

まず「地獄のアロハ」の作曲者について。どこに誰の作った曲が使われているかを解説してくれるコーナー。作曲者はワジー、うっちー、おいちゃん、研ちゃん、ふーみんの五人で、クレジットされている順に各々の曲が使われているという情報は得ていたものの、どこがどれで誰だかまではわからなかったのでありがたい。

曲の出だしの「退屈な日々ふぁ~」のハワイアンなところはワジー作曲。ハワイアンなCDをいくつか買って勉強して作ったものだそうで、ワジーオリジナルとのこと。そして、「ウェルカムトゥーザダ~クサ~イド」から「ダダダッ!」で始まるところもワジー作曲。ワジー曰く、ここは「筋少っぽい」と言われることがたびたびあったそうである。オーケンは内田さんの曲っぽいと思ったらしい。

「ロコモコでも食べるか~い」からが内田さんで、ヘブンリーバージョンでピアノが入る、「こーこーろーのーくーらーやーみーにー」の箇所がおいちゃんで、ここに研ちゃんのリフが使われているそうだ。研ちゃんが「リフだけなのに名前入れてもらっちゃって…」みたいなことを言っていた。そして終わりのところが橘高さんだそうだ。ここまで混ぜたワジーがすごい。

それと今回、ドラムはノブさん一人ということで、「ドラムを叩くうえで、この人のはやりづらかったとかある?」という質問が。「えっ!?」と返答に窮するノブさんに、さらに「じゃあ合わなかったのは?」「人間的に合わなかったのは?」と畳み掛けるメンバー達が面白かった。

歌詞は「退屈な日々ふぁ~」「ロコモコでも食べるかい」「僕らは筋肉少女帯人間椅子」がオーケン。オーケンとワジー二人で作詞をするので、持ってきた歌詞そのままではなく、二人で調整していったらしい。そして当初「ロコモコ」はワジーによって別の言葉に差し替えられそうになったのだが、オーケンが「ロコモコは耳に残るから残したい!」と主張し、生き残ったそうである。

また「僕らは筋肉少女帯人間椅子」と曲中でいきなり自己紹介する歌詞にワジーは面食らい、いかがなものかと思ったらしいのだが、それをオーケンに指摘して良いか悩み、一度内田さんに相談をしたという話が面白かった。「まずは親友の内田くんに、ここについて言っていいか聞いてみようと思って…」と。内田さんはかる~く「大丈夫じゃな~い?」と答えたそうだ。

あと歌詞で、オーケンが「DEATH」という言葉を入れようとしたのだが、ワジーが「ネガティブな言葉をそのまま入れるのは良くない」と止めたらしい。その流れで犬神サーカス団の機材車が全焼した話になり、そのことを知らなかったオーケン「トークしている場合じゃないじゃん!」と驚いていた。

歌詞の話題の次はヒストリーブックの話だったかな? 内田さんと研ちゃんのベーシスト同士でどんな濃い対談が載るのだろう…と思って読んでみたら旅行の話と紅茶の話ばっかりだった! とオーケンや橘高さんが言っていたのが面白かった。ここで内田さんと研ちゃんが弁解。実際は濃い話もたっぷりしていたのだが、そこは使われなかったため、旅行の話と紅茶の話だけになってしまったそうである。

この紅茶の話はトークの後半でも蒸し返され、今度もし筋肉少女帯人間椅子でまた曲を作れることがあったら、紅茶をテーマにしよう! と冗談が飛ばされていた。

ジャケット写真の研ちゃんが異様にでかいという話題も出た。研ちゃん自身、でかいと思ったそうなのだが、何かのチラシに使うようの写真だろうと思ってスルーしていたらジャケットに使われてしまったそうである。ここでオーケンが、昔だったら情報が少ないから、地方の人は信じちゃうだろうね、それでライブで本物を観て「でかくないじゃん!」と思うの、というようなことを話して笑いをとっていた。

筋肉少女帯と人間椅子を絵画に例える話は興味深かった。筋少は空白恐怖症なところがあり、絵画で例えれば油絵。キャンバスの地の色が見えなくなるまで油絵の具を重ねていくスタイル。対して人間椅子は水彩画で、最初に描いた線が大事で、紙の色はもちろん、重ねた色も透けて見える仕上がり。この両者の違いの表現の仕方は実にわかりやすいと思った。それを意識しながら各々の楽曲を聴くとまた発見がありそうである。

筋肉少女帯も人間椅子も、「筋肉少女帯人間椅子」を今回だけで終わらせるのはもったいないと思っているようで、「毎年一曲ずつ新曲を出したら十年後にはアルバムを出せるね」「十年後だったら六十歳かぁ、還暦かぁ」「そのときは赤いちゃんちゃんこで」と夢のある話が広がっていた。「地獄のアロハ」は「筋肉少女帯人間椅子」の自己紹介的な曲なので、では、紹介したからには、見せ付ける一曲を作って欲しいなぁと思う。今後の活動が楽しみである。