未分類筋肉少女帯, 非日常

最高に楽しいライブだった。

昨日はオーケンの状態がわからなかっただけに、ハラハラしながらライブに臨んだのだが、昨日一日何事も無く楽しめたことで不安要素が排除され、気持ち良く満喫出来たのだろう、と個人的には思うが、やっぱライブそのものが良かったなぁと思う。激しい曲があって、和やかな曲もあって、意外な曲もあって、MCも楽しく、バランスが良かった。笑ったり騒いだり暴れたりでとても楽しい二時間半だったのだ。

今日は内田&橘高ナイトということで、そそくさと下手側に陣取った。恐らくヘヴィ~メタルが大量に演奏される今夜、上手側に身を置いたら間違いなく荒ぶる人々の波に飲まれて死んでしまうだろうと踏んだのだ。よし、今日は下手でゆったり観よう! と思ったけど激しかったね!! 下手ってこんなに激しかったか? とびっくりするくらいだった。

再結成後、今日まで演奏されなかったのは「大変だから」という理由だったポルカメタルの「ノゾミのなくならない世界」。これが「家なき子と打点王」「小さな恋のメロディ」に続いて演奏されたのだ。「ノゾミのなくならない世界」は今回Tシャツが作られていたが、Tシャツになったからと言って演奏されるとは限らないのが筋肉少女帯である。一度聴いてみたいものだが、ハードな曲だし、やってくれないかなぁと思っていたらまさかの実現。イントロが始まった直後の会場の沸き立ちたるや凄まじかった。全員が一斉に飛び跳ねだして拳を振り上げ、合いの手を叫ぶ。定番曲の「釈迦」「サンフランシスコ」「イワンのばか」に引けをとらない盛り上がりだった、と言ったら言い過ぎだろうか。あれは……気持ち良かったなぁ………。

始まりの方のMCで、橘高さんにお手柔らかにお願いします、みたいなことを言っていたオーケンが面白かった。だが、先ほども書いたが、激しい曲もあればちょっと休める曲もあって、ずっと激しいばかりでは無く文化系オタクにとっては体に優しいありがたいライブだった。

さて、セットリストであるが、家なき子の塊と山と渓谷の塊が逆だったような気もしないでもなく、自信が無いが曲目はだいたいこんな感じだったと思う。

釈迦
俺の罪(オーケンと内田さんがボーカル)

モコモコボンボン(内田さんがボーカル)
くるくる少女
再殺部隊

オーケンの弾き語りによるメンバー紹介

家なき子と打点王
小さな恋のメロディ
ノゾミのなくならない世界

山と渓谷(内田さんと橘高さんがボーカル)
少女の王国

ツアーファイナル
レセプター(受容体)
詩人オウムの世界
トリフィドの日が来ても二人だけは生き抜く
何処へでも行ける切手

~アンコール~

青ヒゲの兄弟の店(オーケンとおいちゃんがボーカル)
福耳の子供
タイアップ(ランチパック投げまくり)
イワンのばか

いきなり釈迦が始まったときは何事かと思った。そして続くは「俺の罪」。歌詞間違いと言えばオーケンの十八番だが、内田さんの「俺の罪」の歌詞もだいぶへにょへにょしていてひどかった。そういえばDVDでも結構適当だった気がする。

今回のMCのメインはランチパックだろう。昨夜のライブで、オーケンがランチパックばかり食べている話題が出たため、大量のランチパックが差し入れられたらしい。それをオーケンが曲中に投げる投げる。わざわざ「なみえ焼そば風ーーー!!!」と味を読み上げて投げる投げる。差し入れた人はラッキーだったか気の毒だったか知らないが、とにかく笑った。面白かった。

ランチパックの他にもサプライズはあった。何と、「ベースなんか持ってられるか!!」と内田さんがベーシストにあるまじき発言をしてベースを外し、ギターを構えて「モコモコボンボン」を歌いながら演奏し始めたのだ。ステージにはギターが三人、そしてベースは新兵器・ショルダーキーボードを携えたエディが担当! 今までに無い編成ですっかり興奮してしまった。

あと欠かせないのがオーケンの弾き語りによるメンバー紹介である。アコギを持ち出して椅子に座り、「今日は橘高さんがバリバリ弾くから、その前に僕もギターを弾きまくる」という内容の発言をしてポロポロ爪弾きながら歌いだしたのだ。だいぶ記憶が曖昧だが、だいたいこんな内容の歌だった、

「ベース~内田~中学からの同級生~実は幼稚園も同じ~」
「ギタ~橘高~二十七歳だと言い張る~」
「ギタ~本城~F1ラーメンたまに宇宙に行く~」
「ボーカルランチパック~」
「ドラム長谷川~ツーバスドコドコ~」
「エディ~ポンパドールのパンしか食べない~メガネとヒゲ~」
「六人あわせて筋肉少女帯~」

ちなみに、「橘高二十七歳」のところでは、橘高さんが「二十四!!」と訂正を入れていたがオーケンは気付いていなかった。大槻さん、メンバーの年齢設定くらい覚えておいてあげてください。

つっても律儀にしっかり覚えていたらそれはそれでオーケンらしくないよな。

「モコモコボンボン」から「くるくる少女」「再殺部隊」に続いたのには驚いたなぁ。オーケンも突っ込んでいたと思うが、どんな流れだ!! と思った。再殺は語りもしっかりあって大満足。

語りと言えば、この後の「詩人オウムの世界」でもしっかり語りをやってくれたのだが、語りに入る前に妙なタイミングで学園天国ヘイヘイコールをぶっこんで来て驚いた。これは何もここに入れなくても良いんじゃないのか!? 素直に語りに移行して良いんじゃないのか!? いくら何でも空気が合わないよ大槻さん!! と思ったが、あと三回も繰り返すと順応してしまいそうな自分が怖い。何にでもマヨネーズをかける人の如く、何にでも学園天国を挟み込む男大槻ケンヂ、恐ろしや。

「家なき子と打点王」はやっぱり格好良い。ギターとピアノの絡み合いが凄まじく耳に心地良く、永遠に聴いていたいと思わされる。が、ハードな曲であるのも事実。終演後、へとへとになった男性二人組みが「家なき子と打点王は勘弁して欲しい……」「わかる……あれはきつい…死ぬ………」と言っていたのが印象的だった。

前に記したセットリスト、「山と渓谷」の塊が「家なき子と打点王」の塊と配置が逆かもしれないと書いたが、いや、やっぱこれで合っている気がしてきた。「家なき子と打点王」「小さな恋のメロディ」「ノゾミのなくならない世界」をやって、そのまま「ツアーファイナル」「レセプター(受容体)」「詩人オウムの世界」「トリフィドの日が来ても二人だけは生き抜く」をやっていたら死ぬだろう。自分が。うん、だから多分この流れで合っていると思う。

本編ラストは「何処へでも行ける切手」。内田さんの長尺曲を一つ入れて欲しいと願っていただけにこれは嬉しかった。暗い水の中でたゆたいながら耳を傾ける、そんな気分で聴いていた。

アンコール一曲目の「青ヒゲの兄弟の店」ではおいちゃんのボーカルを堪能。かなり部分的な感想になるが、「負け犬を煮込んだ苦い夜のボルシチ」、ここの歌声が最高に格好良かった。

そうだ。今思い出したが、「山と渓谷」を内田さんが歌うとき、その直前の曲のコーラスで咽喉を酷使したため、歌おうとして失敗し、やり直しをしたのだった。この時内田さんは結構慌てていて、「こんなに慌てる内田なんか見たことがないだろう!」というようなことを橘高さんが言っていた。

「福耳の子供」は大公式2に入っているアレンジで、これがさぁ。この福耳のイントロのギターが大好きで、これを生で聴けて嬉しかったなぁ。何と言うか、いやらしくない色気があると思うんだ。

「どうしてこれを選んだの?」オーケンから内田さんへの問いにより始まったのが「タイアップ」! まさかこれをやろうとは! 特に期待もしていなかったが、一度聴いてみたいと思っていただけに嬉しい。しかし「ノゾミのなくならない世界」と「タイアップ」を一夜で同時にやるとは、何かすごい夜だな。内容的に。曲の後半で「ラーンチパーック!!」と叫びながらランチパックをオーケンが投げまくり、妙な節分のようになっていたのがおかしかった。

そして最後は「イワンのばか」で大盛り上がりに盛り上がって終了。レア曲もあり、定番もあり、ちょっと変わったサプライズもあり、非常に楽しい夜だった。さらに今夜はついに待ちわびた、次回ライブの発表もあったのだから喜びも一入だ。今年はもうやらないと思っていた、毎年恒例の天皇誕生日ライブ! また「クリスマスに筋少のライブに来る寂しい奴らめ!!」とひどいことを言われるんだ! もちろん必ず行くつもりである。楽しみが増えて嬉しいなぁ。

未分類筋肉少女帯, 非日常

一年ぶりの筋少ライブ。そして今回は一日目と二日目で演奏する曲を作曲者別に振り分けるという趣向で、一日目が大槻&本城、二日目が内田&橘高という組み合わせ。いったい何が聴けるだろうか、とわくわくしながら当日を待ち、思わぬ訃報に驚いたのが家を出る直前。オーケンのお兄さんが水難事故で亡くなったというニュースが入ったのだ。

さて。結論から言うとライブは非常に盛り上がり、楽しく明るく終了した。自分は書籍や対談などで見られるオーケンの「お客さんを楽しませたい」という発言と、ライブでのお客さんへの気配りから、この人はプロのロック歌手であり、エンターテイナーであると信頼しているので、きっと今日もステージに立つからにはお客さんを楽しませてくれるだろうと信じていた。しかしだからと言って心配しないわけではない。きっと楽しませてくれるだろうと思うからこそ、無理をしすぎないかな、大丈夫かな、と思っていたのだ。

アンコールのラストは「生きてあげようかな」。多分これは何も関係が無く、最初から予定されていたものだと思うが、あぁ、このタイミングでこれかぁ、と思わずにはいられなかった。歌詞は決して多くが重なり合うわけでは無いのだが。何と言えばいいだろう、心がざわざわした。

だが、オーケンはお客に心配されることなど望んでいないだろう。楽しんでもらいたい、と思っているに違いないのだ。それならばいつも通りに余計なことを考えず、その場を楽しむことに努めるべきだ。と、思いつつ心がざわついて落ち着かないのは自分がきっと未だ人の死に慣れていないせいなのだ。

ちなみに下記はうろ覚えのセットリストである。正直「ドナドナ」「中学生からやり直せ!」「暁の戦力外部隊」の位置には自信が無い。どれかとどれかの位置が入れ替わっているかもしれない。

カーネーション・リインカーネーション
君よ!俺で変われ!

日本印度化計画
サボテンとバントライン
僕の宗教へようこそ

死んでいく牛はモー
ソウルコックリさん
蜘蛛の糸

人間嫌いの歌
デコイとクレーター
世界中のラブソングが君を

踊るダメ人間
タチムカウ~狂い咲く人間の証明
ドナドナ
トゥルーロマンス
機械

~アンコール~

ゴミ屋敷の王女
中学生からやり直せ!
暁の戦力外部隊
釈迦
生きてあげようかな

久しぶりの筋少ライブなのでどこで観ようかな、と思いつつ、そこそこの番号だったのでやっぱり前方に突っ込みたいよな、ってんで中央に行き、途中何度か視界が誰かの後頭部で一杯になりながらも、比較的見やすい位置でオーケンを観ることが出来た………が、ずーっと大声で歌っている人が近くにいたため、歌声を堪能した!! とは言い切れないのが残念なところ。またこのずっと歌ってる人が下手なんだよなぁ。

とはいえ比較的落ち着いた曲では合唱も無いので、大好きな「デコイとクレーター」「ゴミ屋敷の王女」はしっかりオーケンの歌声に耳を傾けることが出来た。この二曲と「カーネーション・リインカーネーション」が自分にとっての今回のハイライト。あと、「蜘蛛の糸」はライブではアコースティックバージョンしか聴いたことが無かったため、初めてのバンドバージョンに大きく感動したのだが、皆で合唱する趣向だったためオーケンの声はよく聴こえなかった。うーん残念。

歌と言えば、CDでは声を張り上げる箇所も淡々と歌っている場面がよく見られたのが気になった。出来たらCDのようにもっと緩急をつけて欲しいのだが、咽喉が疲れるのかなぁ。もう四十六歳だし、いや、まだ四十六歳だしと、せめぎ合いが頭の中で起こる。

子供番組でヘビーローテーション中の「日本印度化計画」は予想通りセットリスト入り。これは今日やらないわけが無いだろう。「日本印度化計画が再ブレイクしたら、あなたがたなんてポイですからね!」と捨てる宣言をされて笑ってしまった。再ブレイクしたらもうリキッドルームではやらず、さいたまスーパーなんちゃらなどの、何万人も入るところでライブを行うようになり、チケットもなかなか手に入らなくなるそうだ。「チケット争奪戦なんてあなた方しばらくやってないでしょ! せいぜいFOK46くらいでしょ! FOKはキャパが40人くらいだからね!」客いじめだか自虐だかわからないトークが楽しい。

あぁそう言えば。印度と宗教の間奏の、中身があるんだか無いんだかわからないコールアンドレスポンスが異様にしつこかった。オーケンも途中で何を言っているのかわからなくなっているようで、ぐだぐだになりつつヘイヘイコールをするのは結構しんどかった。ただ驚いたのは宗教でこのコールアンドレスポンスをやったとき、てっきりあぁ今回は語りをカットするんだな、と思いきや。きっちり語ってくれたのである。不思議と宗教の語りだけは省略しないよなぁ。

そして「僕の宗教へようこそ」ではエディがついにセンターでオペラを披露。サポートメンバーとは思えない素晴らしき存在感。あんなに間近でエディを見たのは初めてかもしれない。でかかった。

宗教が終わり、オーケンがアコギを持ち出して「死んでいく牛はモー」を演奏。てっきりルリヲをやるかと期待してしまっただけに少々肩透かしだったが、いやー………本当オーケン、ギター上手くなったよなぁ。オーケンのギターに合わせてメンバーがちょっとずつ音を入れて参加しているのが面白かった。ジャカジャカ鳴らすオーケンのアコギに、妙に立派な音が混ざりこんでくるのが笑えるのである。

ギターと言えば、おいちゃんが作曲のときは楽器を持たず、鼻歌で作る話をした。楽器を使わない理由として「ギターで作るとついつい手癖で作っちゃうから」と話したとき、「俺最近ようやくギターで作曲するようになったのに!」とオーケンがショックを受けていた。鼻歌作曲と言えばオーケンの十八番だと思っていただけにおいちゃんの発言は意外だったが、いやでもおいちゃんは鼻歌で作ったものをそのまま持ってくることは無いよな。その後ちゃんと作るよな。

「蜘蛛の糸」をオーディエンスと合唱した後、オーケンが社会の窓が開いていることに気付く。きっと誰かが俺の社会の窓を開けているに違いない! 誰が開けてるんだ! エディか! エディが開けてるのか! と話を振ったところで今日のある意味目玉。ランチパックの話題に。

エディ曰く、オーケンはいつもランチパックを食べているらしい。しかも両手に持って大事そうに食べるそうだ。「もっと金持ちそうなもんを食えよ」とつっこむエディ。対してオーケンは、食にあまり興味が無いと話す。不味いものはわかるが、美味しいものは大まかに「美味しい」枠に入ってしまうので、あまり感動しないそうなのである。そしてその後、他のメンバーに「いつもランチパックばかり食べているイメージがあるのか」と聞いたとき、「ある」「ジャンクなもんばっかり喰ってるイメージがある」と言われていて、いや別にそんなご馳走とか食ってくれなくても良いけど、もっと栄養のあるもんとか、それなりに体に良いもん喰ってくださいよ、と思った。オーケンの健康が心配である。

「皆俺のことをランチパックばっかり喰ってる奴って思ってるなんて! 人間なんか嫌いだ!」と、いう流れで「人間嫌いの歌」へ。この後はラブソングが来るんかなーと思ったら、意外や意外「デコイとクレーター」。うううううううれしかったぁ………。このしっとりとした曲が本当に好きなんだ。「うっとりしたかー!?」とは聞かれなかったが、うっとり聴き入ってしまった。歌詞から想像される映像が美しいんだ。

歌詞が歌詞なのでコミカルなイメージが強いが、久しぶりのダメ人間は結構ハードだった。作曲中、エンジニアの人だったかな。歌詞が入る前の曲を聴いて、どんなに格好良いハードロックが出来るんだろうと思っていたら、「ダメダメ~パパパヤ~」なんて歌詞が乗って出来上がって愕然とした、という話が面白かった。

「タチムカウ」も初めて聴くはず。これは浪人期間中によく聴いていた思い出の曲だ。そして本編ラストは「機械」。オーケンが「橘高の曲だと思っていたらおいちゃんの曲だった」と言っていたが、自分もつい最近まで勘違いをしていた。ライブで何本ものギターを操る橘高さんの印象が強すぎて、橘高さんのための曲のようなイメージを持ってしまっていたのだよ。

アンコールの「ゴミ屋敷の王女」で感無量になり、じっくり余韻に浸っていたら「暁の戦力外部隊」あたりからしんどくなり、「釈迦」で全身を使って盛り上がり、最後はしっとり「生きてあげようかな」。次回のライブの告知がすかんちとの対バン以外には特に無かったのは残念だが、明日は何が聴けるかな。恐らく被り無しと思われるし、内田橘高という組み合わせはかなり面白そうで魅力的だ。普段あまりやらない内田さんの曲なんかを聴きたいなぁ。

未分類NESS, ケンヂ浩司, 非日常

NESSとケンヂ浩司の対バンを観て来た。場所は高円寺HIGH。中野を散歩している最中に高円寺に迷い込んだことはあったが、高円寺の駅に降りたのは今回が初めてである。駅の外ではザ・スターリンのTシャツを着ているおじさんを十分間で二人も見かけた。なるほど、話の通りロックな雰囲気の大人が多い街である。

今回のライブの一番の目当てはケンヂ浩司の浩司こと石川さんだ。石川浩司、通称たまのランニング。自分はこの石川さんに大きな「興味」と「好意」を持っているのだが、石川さんのライブを観たことは今までに一度も無かった。何と無く、行き難かったのである。何故なら自分は、本命のライブに行けていないからだ。

母がたまのファンだったため、自分は幼稚園の頃からたまを聴いていた。常日頃家の中でたまがかかっていたわけでは無かったが、自然と耳にし、親しんでいた。しかしずっと熱心に聴いていたわけではなく、意識することはほとんど無かった。だが、中学の頃だろうか。何がきっかけだったか忘れたが、家にあったたまのアルバム「さんだる」を聴き、それから少しずつ興味を持ち始め、いつしか自らアルバムを購入してたまの音楽を聴くようになったのである。

大学に入ってからはライブに通うようになった。筋肉少女帯、水戸華之介、ブラック菩薩、電車、平沢進、人間椅子。だが、たまを観ることは叶わなかった。既に解散してしまっていたからだ。

自分が筋少を知ったとき、筋少は凍結状態で、オーケンは特撮で活動していた。そのときも自分は特撮のライブには行けなかった。本命を観られていないがために、他を観る気が起きなかったからである。同じように、元たまのメンバーのライブも、興味を持ちつつも抵抗感を拭うことが出来ず、一歩足を踏み出せないでいた。

そんな些細な抵抗感なんざもうどうでも良いじゃないか、と心の底から思えたライブだった。
あぁ、自分はもっとこの石川さんという人を観に行った方が良いに違いない。

このライブに行こうと思えたのはオーケンが関わっていたからだった。自分が好きなオーケンと石川さんの組み合わせ。いったいどんなステージを見せてくれるのか好奇心を抑えられない。さらに対バン相手はNESS。興味を抱きつつもまだ一度も観ていなかったバンドである。この機を逃す手は無いだろう。

石川さんはすごかった。

ステージで自由気ままに振舞っているように見えるが、きちんとステージとして成り立つように振舞っている。狂気と正気の境目を綱渡りしつつ、コミカルな面を見せてくれるが、そのコミカルの背後にはゾッとするものが潜んでいて、「自分はもしかして、危ういものを見ているのでは無いだろうか」と思わされる。そのバランスが秀逸なのだ。ただの悪ふざけでは無い。

ユニットを組んでいるオーケンが「怖い」と言っていたのも頷ける。ライブはケンヂ浩司が先手で、最初にステージに出てきたのはオーケンだけだった。そしてアコギを抱いてFOKとして一曲二曲三曲と一人で弾き語る。一曲目は「ミルクは人肌が良い」というような歌詞の曲で、二曲目は「香菜、頭を良くしてあげよう」、そして三曲目の「あのさぁ」の途中でケンヂ浩司の片割れ浩司を呼び込み、メンバーがステージに揃う!

ここでMC。オーケン曰く、このライブは以前、FOKでツアーをした際に、ゲストをたくさん呼び、石川さんにも来ていただいたときの様子を再現しようという趣旨のもの。自分はそれには行けなかったのだが、何やらオーケン的にはだいぶショッキングだったらしい。またこのライブ、今日この日が来るまで何をやるか石川さんは全く知らされていなかったそうだ。メールで詳細を尋ねても返信が来ず、そのまま当日を迎えてしまったらしい。大槻さんちゃんと返信してください。だが、石川さん的には特に問題は無かったらしい。頼もしいことである。

次は石川さんの番ということで、オーケンはステージの隅に座り込み、ポカリスエットを飲み始める。飲む前に石川さんにお伺いを立てていた。「ポカリ飲んでても良いですか?」石川さん、何を飲んで食べてもOK、という内容のことを答え、ポカリを飲んだならお腹がパンパンになっただろう、ということで一曲目は「おなかパンパン」。ライブで初めて聴く石川さんの曲は「おなかパンパン」かー、と、一人感慨深くなりつつも、この曲、怖いので自分はあまり聴かないようにしているのである。実際ライブで聴いてみたらやはり、怖かった。

続いて「はげあたま~」と歌の間で区切りを入れる曲では、石川さんが自分の口を両手でパンパン叩くことで声の調子を変えながら歌い、合間合間ににっこり笑って「はげあたま~」とオーケンに向かって囁き、ステージの隅でうずくまるオーケンが泣きそうな顔をしながら逃げようとする、というステージが繰り広げられた。これに関し石川さんは、「今回は、照れる大槻くんを眺めて楽しむライブということで」というようなことを語っていたが、「照れてるんじゃないんですよ! 怖いんですよぉ!」とオーケンが反論していた。実際、怖いと思う。

「真面目な曲も」ということで「オンリーユー」がキーワードになる曲を石川さんが歌い、この後は二人でセッションという形になったのかな? やや、記憶が曖昧である。曲は「がんばったがダメ」「人として軸がブレている」「踊るダメ人間」「死んでゆく牛はモー」など。「がんばったがダメ」ではオーケンと石川さんが二人して犬の鳴き真似を演じた。「踊るダメ人間」は観客に一緒に歌ってくださいと言って「ダメダメ~パパパヤ~」の部分を任せていたが、ワンマン以外のライブでこれをやるのはなかなか度胸があるなぁ、と感心した。石川さんもオリジナルの合いの手を入れてくれ、それが見事に曲にマッチ。終わりには「オレはダメ人間をやればいいんだろ?」と言って笑わせてくれた。

オーケンはアコギを置き、エレキギターを持ち出して激しく掻き鳴らす。こんな激しい曲もやるのか! と戸惑いを感じつつ、何が来るかと身構えてみれば「死んでゆく牛はモー」。いったいいつの間にこの曲はこんなノイズになったのだろう…と唖然としつつ、石川さんの奇声のような笑い声による合いの手と、爆音のギターの重なり合いは非常に怪しく、もしかするとこれは今回のライブで一番好きだったかもしれない。

時間が過ぎるのは早いもので、ついに最後の曲。オーケン、「皆さんも知ってる曲です、良かったら一緒に歌ってくださーい!」と言ってすすめるも知らないわーこれ何の曲だー。いや、以前ものほほん学校か何かで聴いた覚えがあって、そのときも一緒に歌ってくださいと言われた気はするが…知らない…。ただ、合唱する箇所は同じフレーズの繰り返しのようだったので、その場で覚えて対応した。

ケンヂ浩司がステージを去り、照明が落ちて次のNESS用のステージの準備が始められる。これがなかなか時間がかかった。テクノは色々時間がかかるのだろうか…と思いつつ待ち続け、ようやく灯りが点り、先程までの空気を一変する音楽がその場に満ち溢れる。空気が全く違うものになった。

しかし、NESSの三浦さんは石川さんにだいぶショックを受けていたようで、その後のMCでは「全てを持っていかれた」といった内容のことを語っていた。また、三浦さんは本日お誕生日だったらしく、サプライズでケーキがステージに持ち込まれ観客全員でハッピーバースデーを合唱。三浦さんは蝋燭の炎を吹き消すも、どうせ領収書は俺宛だ、そのくせ結局食べるのは女性スタッフなんだ、としょっぱいことを語っていた。

MCでは内田さんの近況も語られた。内田さんの家は非常に暑く、夏場は室温が三十四度にまで達するらしい。しかしエアコンは使えず、古すぎるため買い換えるためには室外機を取り替えなければならず、だが、室外機をどかすには木の枝が邪魔をしていて、その木は内田家の水道管にも粗相を仕出かし、といったカオスな有様である故に、熱でコンピューターが壊れてしまうことを防ぐためにも夏場は仕事を休み、九百五十円で買った折りたたみ椅子を出して庭で涼んでいるらしい。誰か内田さんの家の木をどうにかしてあげてください。

NESSの音楽は格好良かった。テクノについては詳しくないが、大人が余裕を持って、趣味を全開にしてやっているテクノ、といった印象を受けた。だが、その直前の石川さんがあまりにも強烈だったため、正直あまり覚えていない。あぁ、そうだ! やはり生ドラムは良いな、と思ったのだった。テクノと言うと自分の引き出しからは平沢進、P-MODELしか出てこないのだが、昨今の平沢さんはライブでも楽器はギターとその他特殊な楽器くらいしか使わず、事前に作成している音源を流しているのである。それはそれとして面白いが、生音のドラムで聴きたいな、と思うことも多々あるのだ。そして今回改めてそれを思ったのである。

ところですごくどうでも良い話だが、NESSのドラムの河塚さん、河塚さんとわかっていてもついつい河豚さんと読んでしまう。ふぐさん。違うとわかっているのにだ。ちなみに河塚さんはピンクのシャツを着ていた。

アンコールではケンヂ浩司とNESSでのセッション。NESSだけでも一杯一杯なステージにマイクが二本追加され、さらに石川さんのパーカッションセットがドン! だいぶ窮屈になっていたのか、内田さんのベースのネックにオーケンがぶつかりそうになっていた。

アンコールの曲のタイトルは知らないが、テクノノイズとも言うべきか。大音響の中でオーケンが何かをシャウトし続け、石川さんはパーカッションを放棄して、ガムテープで自らの顔面、胸、腹部、下腹部をぐるぐる巻きにするというパフォーマンスを始め、さらにはパーカッションセットを分解し、分解したタンバリンなどをガムテープで自身の体にくっつけ、格子状の部品を高々と掲げ上げてそれに頭を通し、尚分解し、部品の一部で河塚さんのドラムセットのシンバルを叩き、もう石川さんしか見えない。ちなみにこのときオーケンが叫んでいた言葉、自分の位置からは音響の関係か、何を言っているのか聞き取れなかったのだが、聞いた話によるとひたすら石川さんが着ていたシャツに背中に書かれた謎の文字「ケルン」について言及していたらしい。もっと意味のある凝った内容の詩を叫んでいるのかと思っていたので、これにはずっこけそうになった。

そうしてセッションは終わったわけだが、ちょっと面白い話として、終わった直後にオーケンが内田さんに対し、「僕は君とこういうのがやりたかったんだよぉ!」と、当時「ノイズ」をやりたかったのに上手く伝わらず「ロック」になってしまったことを今になって伝えようとしていたが、内田さん、「ノイズまんが道やったじゃん」とあっさりスルーしていた。この「ノイズをやりたかったが上手く伝わらず、今の筋少という形になった」という話はオーケンの著作でも読んで知っていたが、いやぁ、上手く伝わらなくて良かったんじゃないかな、と思うね、自分は。ノイズがどうと言うよりも、今の筋少が好きだからさ。

今でこそ落ち着いたが終演後は石川さんのことで頭が一杯で、ドリンクとチケットを引き換えてもらっていないことに気付きつつも、まぁいいか、とライブハウスを後にして興奮の内容をTwitterに叩き付ける作業に没頭した。物販では勢いで石川さんの本を購入。帯はオーケンが書いている。願わくは、年に一度、数年に一度でも良いので、またこのケンヂ浩司のユニットでやってもらいたいなぁ。あぁ、楽しかった。本当に。




未分類筋肉少女帯, 非日常

筋少動画上映会イベントに行ってきた。楽しかった。グレートウチダハウス監督こと内田さんとオーケンが終始和やかに話していて、筋肉少女帯として舞台に立っているときよりも内輪ネタが多く、若干素に近いように見えた。ポロポロと中学や高校の同級生の名前が出てくるのが面白い。今更だが、この二人が仲直り出来て良かったな、と改めて思った。

未分類初参戦, 平沢進, 非日常


 
行ってきた。平沢進のライブ、「東京異次弦空洞」二日目に。ライブが終わって既に何時間も経っているというのに未だぼうとしたままだ。しかし体内では神経が興奮し、心臓がドクドク動いていて落ち着かない。ライブの興奮と感動と、一年間に渡って続けられた還弦イベントが終わってしまったことを惜しむ寂しさと喪失感、これらがない交ぜとなるが故の作用である。

あぁ、終わってしまったんだなぁ。

思えば一年半ほど前か。Twitterで何やら騒がれている人がいるぞ、と知って興味を持ったのがきっかけだ。どんな人物かよくわからないままにフォローして、興味を持ち、氏の情報を調べて公式サイトに辿り着き、彼の書く文章に魅力を感じてSP-2本を購入。そうだ。音楽よりも先に文章を好きになったんだ。後にアルバムに手を出して、どこかで耳にした夢の島思念公園の歌声を思い出し、「あぁ、この人か」と気付きはしたが、最初は文章だったのだ。

まず平沢進という人の情報を得ようと検索をかけ、Wikipediaなどでざっと調べたときは、「師匠」「エコ」「反戦」「ベジタリアン」「メンバー変更が頻繁」といったキーワードのコンボから、若干引いたのも今となれば懐かしい。「どうしよう。変な人なのかもしれない…」とこれ以上深入りして良いものか迷ったが、結局変な人ではあるものの、大変好ましいタイプの変な人であることがわかった。今、自分にとって一番「興味深い人」は平沢進である。好奇心がそそられる。何て面白い人なのだろうか。

そうして平沢進という人物にはまり、アルバムを買い、DVDを買い、ついに念願のライブに参戦することが叶ったこの喜び。ライブハウスという一つの空間、同じ空間にこの興味深い人がいて、己の目の前で実在することを証明してくれている。何て素晴らしいことだろうか! そのうえ、大好きな音楽を、歌声を! 生で聴くことが出来るのだ!!

あぁ、だめだ。興奮が収まらない。サイン会で初めてオーケンを見た後も、こんな感じだったなぁ。あのときも数日体内で異常作用が働き続けていたなぁ。

そろそろライブの感想を書こうか。以下、公式サイトから持ってきたセットリストである。

「凝集する過去 還弦主義8760時間」フィナーレ

東京異次弦空洞

2011年1月14日(金) 18:00 開場 19:00 開演
会場: SHIBUYA-AX
ゲスト: Neng, Rang

01: アート・ブラインド (Neng & Rang) / 突弦変異
02: DUSToidよ歩行は快適か? / 突弦変異
03: CHEVRON / 突弦変異
04: MOTHER / 変弦自在
05: Another Day / 突弦変異
06: ミサイル / 突弦変異
07: サイレン*Siren* / 変弦自在
08: 金星 / 変弦自在
09: GOES ON GHOST / 突弦変異
10: 夢みる機械 (Neng & Rang) / 変弦自在
11: バンディリア旅行団 / 変弦自在
12: LEAK (Rang) / 突弦変異
13: Solid air / 突弦変異
14: ASHURA CLOCK / 突弦変異
15: 環太平洋擬装網 / 変弦自在
16: トビラ島(パラネシアン・サークル) (Neng) / 変弦自在

EN
17: WIRE SELF / 突弦変異
18: ルクトゥン OR DIE (Neng & Rang) / アルバム未収録 (2001)

FCの先行販売で入手したものの、番号は千より先の遅い方。それが己のチケットだったが、何だかんだで前から五列目に行くことが出来た。下手側の中央寄りで、特にASHURA CLOCKからは波が動いてびっくりするほど視界良好。それまでも平沢さんの胸から上や、ギターを弾く手元を見ることは出来ていたのだが、ASHURA CLOCK以降は常に頭から爪先、周辺の機材まで、ばっちり眺めることが出来た。感無量である。

ところで、今回はライブ慣れしていない人が非常に多かったように思う。平沢ライブに来たのはこれが初めてなので今までどうだっだかは知らないのだが、それにしても大荷物をスタンディングスペースに持ち込んで足元に置いたり、上着を抱えたまま立っている人が多かったなぁ。開演直後の押しでも、「ちょっとこれどういうことなの?」「信じられない!!」と憤慨している人がいた。自分も初めて筋少のライブに行ったときは波に飲み込まれて「何じゃこりゃ!?」と驚いて慌てたものだが、今日は「何じゃこりゃ!?」な人が大勢いたために、ライブ慣れした人々の波に乗せて何となく皆あわあわ移動とならずに、塊と塊が衝突してしまっていたように感じられた。動くことを前提としている人達としていない人達の衝突である。ちょっとした混乱が起きていたよな。

閑話休題。さて、「凝集する過去 還弦主義8760時間」のフィナーレを飾るこのライブ。当然8760時間中に作られた二枚のアルバムの曲が演奏されることになるわけだが、中でも己が一番期待していて、一番聴きたかったのは、「金星」である。

本当に嬉しかった。

椅子に座り、組んだ足の上にアコギを乗せ、爪弾きながら歌う平沢進を目の前にしたときの感動は並大抵のものでは無かった。一音ちょっとおかしかったな、と感じられたところもあったが、そんなことはどうでも良い。あのギター嫌いを自称する平沢が。泣きはしなかったが、泣くかと思った。愛らしい音色だ。優しい声だ。胸がいっぱいになった。

金星の他でも、アコギを爪弾くシーンはあった。「あの」平沢進が珍しいことである。さらには、トビラ島でアコギを爪弾いた後、機材が設置されたステージセットが退場し、スタンドマイク一本を前に歌い叫ぶ姿には、圧倒以外の言葉は出ない。様々な怪しい機材に囲まれ、それらを操る姿も格好良いが、だからこそのシンプルイズベストの演出。音楽使い平沢進が、ボーカリスト平沢進の面を曝け出した瞬間を見せ付けられたように感じた。この人の歌が素晴らしいことは知っている。知っているが、こうもまざまざと見せ付けられると、ついには、圧倒されるより他に無くなってしまうのか。

書きたいことはたくさんあるが、どこから手をつければ良いのかわからない。「DUSToidよ歩行は快適か?」「MOTHER」「Another Day」が前半に出てきたときには、「もうこれをやってしまうのか!」ともったいなくも感じたものだ。「夢みる機械」のイントロはライブ用にアレンジされていて、あのイントロがピアノの重低音で奏でられる中、NengさんとRangさん、そしてテスラコイルが登場する。そして同じテンポのまま機械的な音に変貌し、平沢進の語りが始まるのだ。ゲストであるNengさんとRangさんのパフォーマンスがまた面白く、平沢を見たり二人を見たり、しまいにはどっちを見れば良いのかわからなくなって楽しかったなぁ。

イントロが変わっていたものと言えば「LEAK」である。言葉で説明できないのがもどかしい。原曲よりもずっと長くなっていて、始まりは原曲とは違うものなのだが、だんだんと近付いてきて「LEAK」になるのである。このバージョンの音源も欲しいくらい、格好良いものだった。

「Solid air」のギタープレイは凄まじかった。一段高いステージからぴょんと飛び降り、客の近くにやってきてくるりと回ってくれたときには凄まじい大歓声が起こった。

ただちょいと残念だったのは、曲と曲の繋がりがあまり無いというか、一曲一曲が全て分断されているように感じたことだ。もうちょっと繋がりがあったらより燃えただろうなぁ。

それと、「あれ、ここも音源に歌わせてしまうのか」と感じる部分が結構あった。平沢さんの生の声で聴きたい部分が音源で流されるとやや、寂しい。とはいえ、もしかしたら体力的な問題なのかもしれない。五十六歳だものなぁ。無論、それにしたって十二分にすごいのだが。

そうそう、「DUSToidよ歩行は快適か?」のオリジナルの「でぃーやっでぃーやっでぃーやいやいやい」にあたる部分での、レーザーハープの手振りが優雅で非常に美しかった。舞っているような手の動きに思わず見惚れてしまったよ。あの動きはDUSToidだけだったなぁ。

レーザーハープを見るのは初めてだったので興味深く眺めていたのだが、あれには「切る」「握る」「はたく」「くすぐる」「すくう」動きがあるようだ。個人的には「切る」と「すくう」が好きである。

大合唱が起こったのは「Another Day」と「ルクトゥン OR DIE」。特に最後の「ルクトゥン OR DIE」では、タガが外れたかのように観客が大爆発。一曲中ずっと飛び跳ね、拳を振り上げての「ルクトゥン OR DIE!」の大合唱。それにしてもアルバム未収録曲がキラー・チューンってのもすごい話である。あんまり無いと思うのだが。

最後のMCはNengさんとRangさんの紹介から始まり、Twitter継続の嬉しい告知と、Twitterでの「唯じゃない」発言によりフォロワーが増えて開催するに至った今回のライブを「思わぬアクシデント」と称され、「マイナーなのにこんな大勢の前に引きずり出されて憤慨」といった素敵な発言をいただいた。ステージから一度下がりながらも、また戻ってきて客席に向かってサービスするRangさんと話すときには、大変珍しい笑顔なんてものも見られて嬉しくも驚いてしまった。平沢進の笑顔だ!

あと、今回のライブに隠されたメッセージを教えてくれもした。それは「使ったものは片付けましょう」であるとのこと。そうそう。ステージ上に、機材やアコギの設置された「動かせる」ステージがあり、それが曲に合わせて幕の中から出てきたり引っ込んだりしていたのだが、まさか平沢進本人がせっせとステージを引っ張ってくるなんて誰が予想するだろうか。特に、本編ラストのトビラ島でスタンドマイク一本のみとなったステージに、アンコール後せっせとでかいステージを運んできたときには笑ってしまった。あの灼熱の歌に圧倒された直後のことだから、特におかしかったんだな。全くサービス精神旺盛な人である。

このメッセージに歓声が上がり、「当たり前のことを言っただけですよ」としれっと答える平沢進。面白いなぁ。最後の最後には「帰りなさい」と帰宅を促し、「えーーーー!!」という声が起こる中、颯爽とステージから去っていった。ヒラサワさんがいなくなった後も拍手はしばらく鳴り止まず、ダブルアンコールを望む声が続いたが、終演のアナウンスが流れ、惜しまれながらライブは終了した。

あぁ、本当に楽しかった! 日記に吐き出して少々落ち着いたが、まだまだ余韻の中にいる。この人のライブを観ることが出来たことが心から嬉しい。平沢進は実在するんだなぁ、なんて言ったら笑われるかもしれないが。実感し体感出来たことがこの上なく嬉しいのだ。この様子ではなかなか平静に戻れそうにないな。