「自選!筋少作曲者別楽曲限定ライブ」二夜目 橘高文彦&内田雄一郎自選曲限定ライブ(連名作、筋肉少女帯名義作は二夜演奏OK) (2012年10月21日)
最高に楽しいライブだった。
昨日はオーケンの状態がわからなかっただけに、ハラハラしながらライブに臨んだのだが、昨日一日何事も無く楽しめたことで不安要素が排除され、気持ち良く満喫出来たのだろう、と個人的には思うが、やっぱライブそのものが良かったなぁと思う。激しい曲があって、和やかな曲もあって、意外な曲もあって、MCも楽しく、バランスが良かった。笑ったり騒いだり暴れたりでとても楽しい二時間半だったのだ。
今日は内田&橘高ナイトということで、そそくさと下手側に陣取った。恐らくヘヴィ~メタルが大量に演奏される今夜、上手側に身を置いたら間違いなく荒ぶる人々の波に飲まれて死んでしまうだろうと踏んだのだ。よし、今日は下手でゆったり観よう! と思ったけど激しかったね!! 下手ってこんなに激しかったか? とびっくりするくらいだった。
再結成後、今日まで演奏されなかったのは「大変だから」という理由だったポルカメタルの「ノゾミのなくならない世界」。これが「家なき子と打点王」「小さな恋のメロディ」に続いて演奏されたのだ。「ノゾミのなくならない世界」は今回Tシャツが作られていたが、Tシャツになったからと言って演奏されるとは限らないのが筋肉少女帯である。一度聴いてみたいものだが、ハードな曲だし、やってくれないかなぁと思っていたらまさかの実現。イントロが始まった直後の会場の沸き立ちたるや凄まじかった。全員が一斉に飛び跳ねだして拳を振り上げ、合いの手を叫ぶ。定番曲の「釈迦」「サンフランシスコ」「イワンのばか」に引けをとらない盛り上がりだった、と言ったら言い過ぎだろうか。あれは……気持ち良かったなぁ………。
始まりの方のMCで、橘高さんにお手柔らかにお願いします、みたいなことを言っていたオーケンが面白かった。だが、先ほども書いたが、激しい曲もあればちょっと休める曲もあって、ずっと激しいばかりでは無く文化系オタクにとっては体に優しいありがたいライブだった。
さて、セットリストであるが、家なき子の塊と山と渓谷の塊が逆だったような気もしないでもなく、自信が無いが曲目はだいたいこんな感じだったと思う。
釈迦
俺の罪(オーケンと内田さんがボーカル)
モコモコボンボン(内田さんがボーカル)
くるくる少女
再殺部隊
オーケンの弾き語りによるメンバー紹介
家なき子と打点王
小さな恋のメロディ
ノゾミのなくならない世界
山と渓谷(内田さんと橘高さんがボーカル)
少女の王国
ツアーファイナル
レセプター(受容体)
詩人オウムの世界
トリフィドの日が来ても二人だけは生き抜く
何処へでも行ける切手
~アンコール~
青ヒゲの兄弟の店(オーケンとおいちゃんがボーカル)
福耳の子供
タイアップ(ランチパック投げまくり)
イワンのばか
いきなり釈迦が始まったときは何事かと思った。そして続くは「俺の罪」。歌詞間違いと言えばオーケンの十八番だが、内田さんの「俺の罪」の歌詞もだいぶへにょへにょしていてひどかった。そういえばDVDでも結構適当だった気がする。
今回のMCのメインはランチパックだろう。昨夜のライブで、オーケンがランチパックばかり食べている話題が出たため、大量のランチパックが差し入れられたらしい。それをオーケンが曲中に投げる投げる。わざわざ「なみえ焼そば風ーーー!!!」と味を読み上げて投げる投げる。差し入れた人はラッキーだったか気の毒だったか知らないが、とにかく笑った。面白かった。
ランチパックの他にもサプライズはあった。何と、「ベースなんか持ってられるか!!」と内田さんがベーシストにあるまじき発言をしてベースを外し、ギターを構えて「モコモコボンボン」を歌いながら演奏し始めたのだ。ステージにはギターが三人、そしてベースは新兵器・ショルダーキーボードを携えたエディが担当! 今までに無い編成ですっかり興奮してしまった。
あと欠かせないのがオーケンの弾き語りによるメンバー紹介である。アコギを持ち出して椅子に座り、「今日は橘高さんがバリバリ弾くから、その前に僕もギターを弾きまくる」という内容の発言をしてポロポロ爪弾きながら歌いだしたのだ。だいぶ記憶が曖昧だが、だいたいこんな内容の歌だった、
「ベース~内田~中学からの同級生~実は幼稚園も同じ~」
「ギタ~橘高~二十七歳だと言い張る~」
「ギタ~本城~F1ラーメンたまに宇宙に行く~」
「ボーカルランチパック~」
「ドラム長谷川~ツーバスドコドコ~」
「エディ~ポンパドールのパンしか食べない~メガネとヒゲ~」
「六人あわせて筋肉少女帯~」
ちなみに、「橘高二十七歳」のところでは、橘高さんが「二十四!!」と訂正を入れていたがオーケンは気付いていなかった。大槻さん、メンバーの年齢設定くらい覚えておいてあげてください。
つっても律儀にしっかり覚えていたらそれはそれでオーケンらしくないよな。
「モコモコボンボン」から「くるくる少女」「再殺部隊」に続いたのには驚いたなぁ。オーケンも突っ込んでいたと思うが、どんな流れだ!! と思った。再殺は語りもしっかりあって大満足。
語りと言えば、この後の「詩人オウムの世界」でもしっかり語りをやってくれたのだが、語りに入る前に妙なタイミングで学園天国ヘイヘイコールをぶっこんで来て驚いた。これは何もここに入れなくても良いんじゃないのか!? 素直に語りに移行して良いんじゃないのか!? いくら何でも空気が合わないよ大槻さん!! と思ったが、あと三回も繰り返すと順応してしまいそうな自分が怖い。何にでもマヨネーズをかける人の如く、何にでも学園天国を挟み込む男大槻ケンヂ、恐ろしや。
「家なき子と打点王」はやっぱり格好良い。ギターとピアノの絡み合いが凄まじく耳に心地良く、永遠に聴いていたいと思わされる。が、ハードな曲であるのも事実。終演後、へとへとになった男性二人組みが「家なき子と打点王は勘弁して欲しい……」「わかる……あれはきつい…死ぬ………」と言っていたのが印象的だった。
前に記したセットリスト、「山と渓谷」の塊が「家なき子と打点王」の塊と配置が逆かもしれないと書いたが、いや、やっぱこれで合っている気がしてきた。「家なき子と打点王」「小さな恋のメロディ」「ノゾミのなくならない世界」をやって、そのまま「ツアーファイナル」「レセプター(受容体)」「詩人オウムの世界」「トリフィドの日が来ても二人だけは生き抜く」をやっていたら死ぬだろう。自分が。うん、だから多分この流れで合っていると思う。
本編ラストは「何処へでも行ける切手」。内田さんの長尺曲を一つ入れて欲しいと願っていただけにこれは嬉しかった。暗い水の中でたゆたいながら耳を傾ける、そんな気分で聴いていた。
アンコール一曲目の「青ヒゲの兄弟の店」ではおいちゃんのボーカルを堪能。かなり部分的な感想になるが、「負け犬を煮込んだ苦い夜のボルシチ」、ここの歌声が最高に格好良かった。
そうだ。今思い出したが、「山と渓谷」を内田さんが歌うとき、その直前の曲のコーラスで咽喉を酷使したため、歌おうとして失敗し、やり直しをしたのだった。この時内田さんは結構慌てていて、「こんなに慌てる内田なんか見たことがないだろう!」というようなことを橘高さんが言っていた。
「福耳の子供」は大公式2に入っているアレンジで、これがさぁ。この福耳のイントロのギターが大好きで、これを生で聴けて嬉しかったなぁ。何と言うか、いやらしくない色気があると思うんだ。
「どうしてこれを選んだの?」オーケンから内田さんへの問いにより始まったのが「タイアップ」! まさかこれをやろうとは! 特に期待もしていなかったが、一度聴いてみたいと思っていただけに嬉しい。しかし「ノゾミのなくならない世界」と「タイアップ」を一夜で同時にやるとは、何かすごい夜だな。内容的に。曲の後半で「ラーンチパーック!!」と叫びながらランチパックをオーケンが投げまくり、妙な節分のようになっていたのがおかしかった。
そして最後は「イワンのばか」で大盛り上がりに盛り上がって終了。レア曲もあり、定番もあり、ちょっと変わったサプライズもあり、非常に楽しい夜だった。さらに今夜はついに待ちわびた、次回ライブの発表もあったのだから喜びも一入だ。今年はもうやらないと思っていた、毎年恒例の天皇誕生日ライブ! また「クリスマスに筋少のライブに来る寂しい奴らめ!!」とひどいことを言われるんだ! もちろん必ず行くつもりである。楽しみが増えて嬉しいなぁ。