未分類3杯, インストアイベント, 筋肉少女帯人間椅子, 非日常

タワーレコード渋谷店地下一階のイベントスペース「CUTUP STUDIO」。タワレコ渋谷店にはこれまでにも何度となく足を運んだが、この中に立ち入るのは初めてだ。こじんまりとしていて床に傾斜は無く、奥のステージはあまり高くない。己の整理番号は真ん中よりもやや前なので、ステージ前には既に人垣が出来ており、ステージを目に入れるのはなかなか難しかった。だが、左右の壁の見上げる位置にモニターが設置されており、イベント中はステージの様子が映し出されていたため、何とか観覧することが出来た。

イベントが始まると共に、ステージに現れる筋肉少女帯人間椅子のメンバー。上手から、ノブさん、おいちゃん、研ちゃん、オーケン、ワジー、うっちー、ふーみんの順である。まずは自己紹介を…ということでオーケンが仕切ろうとしたのだが、上手と下手がどっちか未だにわからないと告白。おいちゃんが、こちら側が下手だよと教えてあげていた。

ちなみに衣装はというと、人間椅子のメンバーは全員アロハ。ワジーのアロハはアメ横で買ってきたものだそうである。対して筋少はてんでバラバラな格好で、アロハを着ているのはオーケンだけだった。しかもオーケン、最初は特典のTシャツだけ着ていて、アロハは後でスタッフに持ってきてもらって上から羽織っていたので、筋少側のアロハ率はゼロになるところであった。この統一感の無さは素晴らしい。

衣装では無いが、特筆すべきは橘高さん。何と黒髪! 先週のアルージュのライブで黒く染めた…もとい、十八歳に戻った名残だそうである。「印象変わるね」「猫のテブクロのときみたいだね」とメンバーにコメントされていた。己の立ち位置からはモニター越しにしか観ることができなかったが、レアな姿を見られて得した気分である。

また、ジャケット写真で橘高さんが持っていたピンクのフライングVのウクレレは、オーケンが見つけて橘高さんが自腹で購入したものだそうである。

イベント内容はトークがメインで、最後に一曲アコースティックで「地獄のアロハ」が演奏された。トークは順番が前後するかもしれないが、印象的なところだけ書き記しておこうと思う。

まず「地獄のアロハ」の作曲者について。どこに誰の作った曲が使われているかを解説してくれるコーナー。作曲者はワジー、うっちー、おいちゃん、研ちゃん、ふーみんの五人で、クレジットされている順に各々の曲が使われているという情報は得ていたものの、どこがどれで誰だかまではわからなかったのでありがたい。

曲の出だしの「退屈な日々ふぁ~」のハワイアンなところはワジー作曲。ハワイアンなCDをいくつか買って勉強して作ったものだそうで、ワジーオリジナルとのこと。そして、「ウェルカムトゥーザダ~クサ~イド」から「ダダダッ!」で始まるところもワジー作曲。ワジー曰く、ここは「筋少っぽい」と言われることがたびたびあったそうである。オーケンは内田さんの曲っぽいと思ったらしい。

「ロコモコでも食べるか~い」からが内田さんで、ヘブンリーバージョンでピアノが入る、「こーこーろーのーくーらーやーみーにー」の箇所がおいちゃんで、ここに研ちゃんのリフが使われているそうだ。研ちゃんが「リフだけなのに名前入れてもらっちゃって…」みたいなことを言っていた。そして終わりのところが橘高さんだそうだ。ここまで混ぜたワジーがすごい。

それと今回、ドラムはノブさん一人ということで、「ドラムを叩くうえで、この人のはやりづらかったとかある?」という質問が。「えっ!?」と返答に窮するノブさんに、さらに「じゃあ合わなかったのは?」「人間的に合わなかったのは?」と畳み掛けるメンバー達が面白かった。

歌詞は「退屈な日々ふぁ~」「ロコモコでも食べるかい」「僕らは筋肉少女帯人間椅子」がオーケン。オーケンとワジー二人で作詞をするので、持ってきた歌詞そのままではなく、二人で調整していったらしい。そして当初「ロコモコ」はワジーによって別の言葉に差し替えられそうになったのだが、オーケンが「ロコモコは耳に残るから残したい!」と主張し、生き残ったそうである。

また「僕らは筋肉少女帯人間椅子」と曲中でいきなり自己紹介する歌詞にワジーは面食らい、いかがなものかと思ったらしいのだが、それをオーケンに指摘して良いか悩み、一度内田さんに相談をしたという話が面白かった。「まずは親友の内田くんに、ここについて言っていいか聞いてみようと思って…」と。内田さんはかる~く「大丈夫じゃな~い?」と答えたそうだ。

あと歌詞で、オーケンが「DEATH」という言葉を入れようとしたのだが、ワジーが「ネガティブな言葉をそのまま入れるのは良くない」と止めたらしい。その流れで犬神サーカス団の機材車が全焼した話になり、そのことを知らなかったオーケン「トークしている場合じゃないじゃん!」と驚いていた。

歌詞の話題の次はヒストリーブックの話だったかな? 内田さんと研ちゃんのベーシスト同士でどんな濃い対談が載るのだろう…と思って読んでみたら旅行の話と紅茶の話ばっかりだった! とオーケンや橘高さんが言っていたのが面白かった。ここで内田さんと研ちゃんが弁解。実際は濃い話もたっぷりしていたのだが、そこは使われなかったため、旅行の話と紅茶の話だけになってしまったそうである。

この紅茶の話はトークの後半でも蒸し返され、今度もし筋肉少女帯人間椅子でまた曲を作れることがあったら、紅茶をテーマにしよう! と冗談が飛ばされていた。

ジャケット写真の研ちゃんが異様にでかいという話題も出た。研ちゃん自身、でかいと思ったそうなのだが、何かのチラシに使うようの写真だろうと思ってスルーしていたらジャケットに使われてしまったそうである。ここでオーケンが、昔だったら情報が少ないから、地方の人は信じちゃうだろうね、それでライブで本物を観て「でかくないじゃん!」と思うの、というようなことを話して笑いをとっていた。

筋肉少女帯と人間椅子を絵画に例える話は興味深かった。筋少は空白恐怖症なところがあり、絵画で例えれば油絵。キャンバスの地の色が見えなくなるまで油絵の具を重ねていくスタイル。対して人間椅子は水彩画で、最初に描いた線が大事で、紙の色はもちろん、重ねた色も透けて見える仕上がり。この両者の違いの表現の仕方は実にわかりやすいと思った。それを意識しながら各々の楽曲を聴くとまた発見がありそうである。

筋肉少女帯も人間椅子も、「筋肉少女帯人間椅子」を今回だけで終わらせるのはもったいないと思っているようで、「毎年一曲ずつ新曲を出したら十年後にはアルバムを出せるね」「十年後だったら六十歳かぁ、還暦かぁ」「そのときは赤いちゃんちゃんこで」と夢のある話が広がっていた。「地獄のアロハ」は「筋肉少女帯人間椅子」の自己紹介的な曲なので、では、紹介したからには、見せ付ける一曲を作って欲しいなぁと思う。今後の活動が楽しみである。



未分類2杯, 筋肉少女帯, 非日常

筋少ライブ二日目! 初日はアリーナ最前列で、本日はスタンド席二列目。二階である。ステージの全体が一望できるも遠すぎず、メンバーの表情もわかる絶妙な距離。そして目の前にはミラーボール! 昨日は目の前の橘高さんを凝視していたため全体像を捉えることは出来なかったが、今日はメンバーの動きはもちろん、照明まで楽しむことが出来た。初日と二日目で全く違う見方が出来たのはラッキーである。

今回の公演で印象的だったミラーボールが活躍したのは二曲。開演前に既にミラーボールが下りてきている状態で、歌詞にミラーボールが登場する「ムツオさん」でくるくる回った後、一旦天井の方に上がっていった。ところが、ここで出番が終わるかと思いきや、終盤のMC中にさりげなく降りてくるミラーボール。「お?」と思うと着席を促され、始まったのが「爆殺少女人形舞一号」だった。

同じミラーボールによる演出でも「ムツオさん」と「爆殺少女人形舞一号」では使い方が違っていた。「ムツオさん」ではミラーボールは銀色と金色に輝き、銀色のときに七色の光を撒き散らしてくるくる光っていた。金色のときは闇の中に月が浮かんでいる感じだったかな?

「爆殺少女人形舞一号」は、まず血染めのように真赤な色のミラーボールになり、ステージを照らす照明も赤。これからの惨劇を予想させる演出だった。そしてミラーボールはくるくると色を変える。ピンク、黄緑、水色と、とりわけポップな色に球体全体が塗り替えられて、少女人形の可愛らしさが表現されているかのようだった。

あと照明と言えば。一曲目の「サンフランシスコ」の内田さんのベースソロのとき、ステージ全体が青のライトで染められる中、内田さんを照らすスポットライトだけが赤紫で、それが実に怪しい感じがして格好良かった。あのベースソロは色っぽいよなぁ。

「君よ!俺で変われ!」で、青い照明でステージが照らされたとき、まるで深い海の底に沈んでいるようで、ふっと曲の世界に埋もれそうになる感覚が心地良かったのも覚えている。

それと、これはどの曲か忘れてしまったのだが、紺色のライトでステージが照らされて、メンバーそれぞれに黄色のスポットライトが当たったときがあって、その色彩が実に美しかった。何の曲か忘れてしまったのが残念である。

さて、セットリストはこちら。


サンフランシスコ
君よ!俺で変われ!

少年、グリグリメガネを拾う
ムツオさん

日本印度化計画(おいちゃんうっちーふーみんボーカル)

労働讃歌
僕の歌を総て君にやる
これでいいのだ(尺が若干短くなった)

未使用引換券(おいちゃんボーカル)

爆殺少女人形舞一号(着席して聴いた)
イワンのばか
暴いておやりよドルバッキー

踊るダメ人間
恋の蜜蜂飛行
機械

~アンコール~

Guru最終形(着席して聴いた)
中学生からやり直せ!
釈迦
中2病の神ドロシー


「おおー! 今日は結構座席が活躍するな!」と思った記憶があるのだが、「爆殺少女人形舞一号」と「Guru」の他に着席して聴いた曲があったかどうかが思い出せない。長めのMCのときにも着席を促されたのでそのためだろうか。うーん。

最近の筋少のライブでは、二曲ほど他のメンバーが歌うのが恒例になっているが、今日のおいちゃんうっちーふーみん三人による「日本印度化計画」はド迫力でとりわけすごかった。筋少の魅力の一つにはあのメンバーによる野太いコーラスがあると信じて疑わない自分である。とにかくあのコーラスが好きなのだ。それが、コーラスではなく、三人ともメインボーカルというていで! 野太い声で大合唱!!

いやー格好良かった。格好良いのに「せーのっ!」と言って調子を合わせて曲に入り、最後の「日本を印度にしてしまえ!」の前でも「せーのっ!」でタイミングをとったのに声がバラバラになってしまったのが実にキュートであった。曲が終わった後、舞台袖から入ってきたオーケンが偉そうに指摘し(もちろんジョークである)、メンバーがペコペコしているのもおかしかった。

「労働讃歌」は昨日よりもラップ部分が決まっているように見えた。そういえば二階席から、一階席でサイリウムを振っている人がいるのが見えたのだが、それがたったの一人だけで、アウェーな人間が集まる筋少のライブでさらにアウェーになるってすげえな…と思った。

「これでいいのだ」では、タオルを振り回すオーディエンスの右腕が千切れそうなことに配慮して尺を短くしたという報告が。ありがたいが、それでいいのか!? それでいいのか…!

オーディエンスにマイクを向けて歌うことを促していたのは「踊るダメ人間」。合唱も楽しいが、やっぱりライブに来たらオーケンの歌声をもっと聴きたいなぁと思ってしまう。オーケンの歌が何より好きだからさぁ…!

「恋の蜜蜂飛行」は本当に大好きで格好良いのでもう三回に一回くらいやって欲しい。でも出し惜しみもして欲しい。そんなジレンマ。でも聴きたい。

「Guru最終形」はホールで聴くのにぴったりだった。また、今日はステージと距離があることもあり、全体の音がバランス良く聴こえたので尚更曲の美しさを堪能できてうっとりした。ただ、最後の「ラーーーーラーララー! ラー!」に入るところで! オーケンがワンテンポ遅れたのが! 惜しかった!

「釈迦」は、女の子がおしゃべりすぎて、ノウズイがはじけないバージョンの歌詞。四半世紀でセルフカバーをしてからこのバージョンをライブで聴くことが増えたが、個人的には! 気が違ってノウズイがはじけて欲しいなぁ!

それと、「ドロロノノーズーイー!」と叫ぶところはオーディエンスに任されていて、オーケンが歌ったのは最後のところだけだったかな? 聴けたとき、「やった! オーケンのドロロノノウズイだ!」と異様に喜んでしまい、これだよこれこれとしっくり来たのを記憶している。全部歌って欲しいけど、咽喉が辛いのかなぁ。

MCで面白かったのは楽屋の話。今回の会場「EXシアター六本木」の楽屋はまるでおしゃれなカフェのようで、オーケンはここに住みたいと思ったほど居心地が良かったそうだ。ただ、本棚にある雑誌が馴染みのないものだったそうで、より自室らしくするために週刊プロレス三冊と、月刊ムーを置いたそうである。それについて一言「これはテロです」と言っていたのが面白かった。確かにテロだ。

MCの話。今度筋肉少女帯人間椅子で出演する音楽番組に、若い子から大人へ質問するコーナーがあるのだが、尺の関係で筋肉少女帯人間椅子ではそのコーナーが削られることに。そのため、代わりにオーケンがメンバーに聞きます、と言い出して、メンバー全員に質問していくコーナーが発生した。

「大人は何で早起きなんですか?」という質問をされたおいちゃんが年を取ると早起きになって、昼寝をしてしまうことでオーケンと意気投合。「学校でやることって必要なんですか?」「大人になってやっておけば良かったと思うことはありますか?」という質問をされた内田さんはひどく普通なことを言い、オーケンに「若さの欠片もない」「普通のおじさんだよ!」と言われていた。

ここで橘高さんが質問されるかと思いきやエディが「大人は何でニュースが好きなんですか?」と聞かれ、「ニュースはそんなに見ない、ドローンで盛り上がってるけどわからない」と告白。長谷川さんは「大人のメリットって何ですか?」と聞かれ、「自分の責任で何でも出来ること!」と回答。会場中から拍手が沸き起こる謎の展開。もしかしたらこの日一番大きな拍手だったかもしれない。

「大人のていの子供がいる空間に本物の大人が混ざっている!」と言うオーケン、「気の利いた回答が出来なくてすみません」と謝る長谷川さんのやりとりがおかしい。そして最後に橘高さん。質問は「大人は意見を聞くのに反映しないのはどうしてですか?」で、橘高さんの真面目スイッチが入り、本気で話し出そうとしてオーケンが逃げ腰になる場面が。「三十分語らせて!」という橘高さんは実に生き生きとしていた。

この流れから告知に。橘高さんは今年がデビュー三十周年ということで、アルージュ、ユーフォリア、X.Y.Z.→Aのライブをやるが、ここにいる皆にも協力して欲しい、とメンバーに打診。するとおいちゃんオーケンうっちーの三人が下手側に集まって「え?」「え?」というような空気に。オーケンはふざけて「いいけど…俺歌わなくて良い? ニイハラさんに歌ってもらおう」と言い出す。

すると橘高さん「意見は聞くけど反映はしないよ!」「もうブッキングしちゃいました!」とフライヤーを取り出して告知! 十月に橘高さん主催のヘドバン地獄が催されるとのこと! おおー! やったーヘドバン地獄だー!!

そんなわけで先の予定も発表され、その前には筋肉少女帯人間椅子もあり。楽しみがあるって良いなぁと思いつつ。多幸感に包まれて帰路に着いた。「踊るダメ人間」「これでいいのだ」の尺が短くなったり、座席ありの会場でライブが行われたり、オーケンの代わりにメンバーやオーディエンスが歌ったり。少しずつ「今」に合わせて変わっていくのがまさに現在進行形のバンドらしいなぁと思う。変化にたまに寂しさを感じたり「もっと! もっと!」と思うこともあるが、この変化がこの先の活動に結びついていくのだろう。

十年後も二十年後も観続けたい、と願って! 今日も今日とて、楽しかったなぁ!



未分類5杯, 筋肉少女帯, 非日常

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実に濃密な一日であった。

四ヶ月ぶりの筋肉少女帯のライブである。四ヶ月! 長かったなぁ。いったいこの日をどれだけ待ちわびたかわからない。しかし待ちわびた甲斐はあった。というのも本日、己は上手側の最前列からライブに参加することが出来たのである。

チケットを発券したときの驚きと言ったら無い。今回、ライブDVDの購入者のうち、抽選で十名がアリーナ最前列のプレミアムシートに招待されるという特典があり、己はそれには外れている。故にプレミアムシートではない。だが、充分プレミアムシートと言っていいと思ったほど。だって今まで筋少のホールライブと言ったら、だいたい後ろから数えた方が早い席ばかりであったのだ。それがいきなり最前。喜ばないわけが無い。

そして。堪能したのであった。すごかった。橘高さんの靴の裏の溝まで見えた。また、本日初めて、橘高さんの黒いズボンの脇には丸い窓が点々と開けられていて、そこに網が張られていることに気が付いた。もしかしたらズボンの窓には網は無く、ズボンの下に網タイツを穿いているのかもしれないが、そんなギミックがあったのか!

席の関係上おいちゃんが遠かったが、ぴょんとステージを飛び越えるようにこちらまで走って来て、満面の笑みで見下ろしたり、何を思い立ったのか、曲の途中で急にステージから足を投げ出すように腰掛け近付いてくれるという大サービスまで! いやー。興奮した。とても。

あと、ホールだと体力に余裕があるのでより隅々まで観察出来るな…と改めて思った。スタンディングではわりと前まで行けるが、前の方では生きるのに必死なためズボンの窓のギミックにまで気付く余裕が無いのである。筋少のライブを観始めてそろそろ十年経ちそうだが、気付かなかったものだなぁ。

曲は初っ端から「サンフランシスコ」で、力の限りジャンプした。一番嬉しかったのは「恋の蜜蜂飛行」! これ! これを聴きたかったのだよ! 「ブンブンブブブン!」で拳を振り上げるのも楽しいし、何より曲が格好良いんだ。

「ムツオさん」のとき天井のミラーボールが輝きながらくるくる回っていたのが実に印象的だった。あれを見ると「UNDERGROUND SEARCHLIE」も連想されるのだ。ストレートに毒を搾り出したのが「UNDERGROUND SEARCHLIE」で、陽気なディスコサウンドでうまーく隠して、チラッと毒を見せつつ、笑いを誘うのが「ムツオさん」。今のオーケンは「UNDERGROUND SEARCHLIE」のような詩は書けないと思うが、「UNDERGROUND SEARCHLIE」の頃のオーケンに「ムツオさん」は書けなかっただろう。年を経るごとに徐々に徐々にスライドしながら広がりが出来ていくってのは素晴らしいね。

さて、セットリストの方を。


サンフランシスコ
君よ!俺で変われ

労働讃歌
ムツオさん
モコモコボンボン(内田さんボーカル)

少年、グリグリメガネを拾う
僕の歌を総て君にやる
踊るダメ人間

アンクレット(橘高さんボーカル)
Guru最終形(着席して聴いた)

イワンのばか
暴いておやりよルバッキー
蜘蛛の糸 (合唱を促される)

恋の蜜蜂飛行
機械

~アンコール~

少女の王国
北極星の二人(オーケンボーカル)
釈迦
中2病の神ドロシー


思えば「君よ!俺で変われ!」も久しぶりだったような。この曲の後に最初のMC。筋少ファンにとっては六本木はアウェーだろうとオーケンに言われ、笑いが起こる場内。六本木に行きなれない筋少ファンをイメージしてなり切るオーケンの一人コントが実に面白かった。そして謎の「えいえいおー!」コールが始まる。この「えいえいおー!」コール、詳細を忘れてしまったが、「筋肉パワー! えいえいおー!」のようなダサイ感じのものを五回六回叫び、気合が入ったところで始まったのが「労働讃歌」であった。「ドンペリあけてるセレブ」が六本木のイメージなのだろうか、と思いつつ、えいえいおー!

ムツオさんの後にオーケンが何も言わずにステージを去り、動揺するメンバー。するとステージ袖にはけたオーケンがちょろっと戻ってきて、「間違ってないよね?」とメンバーに確認。動揺して見せたのもコントのうちだったらしく「間違ってないよ!」と返されていて、そういうキメ切れないところが実に筋少だなぁと思った。

オーケンがいなくなってからは、恒例の誰が歌うかコーナー。一番六本木が似合う男に…ということで、若い頃ディスコに行っていたおいちゃんが指名されるも、「俺は歌舞伎町だから!」と拒否して橘高さんへバトンが渡る。「俺が六本木? 俺は大阪の田舎出身だよ!」と橘高さんもバトンを離す。そして最終的に内田さんが「六本木の似合う男」「六本木の主」という設定になり、マイクを手に取りモコモコボンボン! いやー。相変わらず内田さんのモコモコボンボンがドスが効いていて格好良いなぁ。

モコモコボンボンが終わり、オーケンがステージに戻ってきた。ここで筋肉少女帯人間椅子のコラボの話が出て、人間椅子さんにカバーしてもらうから、もう人間椅子さんの曲になったも同然! 今後筋少でやることはないから今日やりましょう! …いやそんなこともないけどね! という前ふりから「少年、グリグリメガネを拾う」! この曲をライブで聴いたのはもしかしたら初めてかもしれない。

「踊るダメ人間」では珍しく、ちょっとしたトラブルが発生したようだった。詳細は語られていないため不明なのだが、橘高さんのギターか機材に何かしらが起こったように見受けられた。ダメ人間の間奏でオーケンがコールアンドレスポンスで時間を作り、さらに内田さん、おいちゃんに学園天国ヘイヘイコールを促して橘高さんの状態が整うのを待つ場面も。

この後も橘高さんはまめにステージ袖のスタッフと話をしている様子で、若干ハラハラしたが、演奏中はニコッと笑って大胆なパフォーマンス! 何かあったことは感じられたが、きっと大丈夫だろうな、と思えたので安心した。

「アンクレット」の橘高さんボーカルは迫力があって格好良かった。実は自分、あまり「アンクレット」にヘヴィメタルを感じることは無かったのだが、橘高さんが歌うのを聴いたら「元はこういうもので、それがオーケンが歌うことで筋少らしくなったのかな?」と、何となく納得したのだった。

六本木の真ん中で「蜘蛛の糸」を合唱するのは楽しかったなぁ。何かこう、別にそんなことは無いのだが、いけない遊びをしている気分になるね。

そうそう。今回はホールライブということで座席があったのだが、結局座って聴いたのは「Guru最終形」だけだった。オーケンは「少女の王国」と「北極星の二人」も座って聴いてもらうつもりだったらしいが、アンコールで立ち上がって曲が始まってそのままになってしまったのだ。明日は座って聴きたい気もする。せっかくなので。

あと、これは確か後ろの方のMCだったと思うが、橘高さんが「天才バカボン」と言おうとしてナチュラルに「空手バカボン」と言ってしまったのが実に面白かった。「チームしゃちほこ」が劇場版「天才バカボン」の主題歌を歌うことになり、その曲のギターを橘高さんが弾いたそうなのだ。

しかし橘高さん。「天才バカボンの曲のギターを弾いた」と言うべきところを「空手バカボンのギターを弾いた」と言ってしまい。最初スルーされそうになったものの若干の違和感。そして気付いたオーケンが指摘し、指からハラリとピックを落として本気でショックを受ける橘高さん。そんな橘高さんにオーケン、「暴虐の貴公子にナゴムを染み付けてしまってごめんなさいね…」なることを言うも、マーシャルの壁にヘナヘナとよりかかりショックを受け続ける橘高さん。

だが橘高さん! 気を取り直して立ち直り、わざと「それで空手バカボンの曲を!」と言うも「…でもチームしゃちほこさんに失礼だからちゃんと言おう」と改めて話し始めようとした矢先にまた「空手バカボン」と言い間違えてしまい、心が折れて崩れ落ちる。あのショックの受け方はすごかった。それを見たオーケンがいじるいじる。「何だよう! ナゴムを馬鹿にしてんのかよ! ケラさん呼ぶぞ!」と言うようなことを言っていて、橘高さんには悪いが、本当に面白かった。

ナゴムといえば、どこかでオーケンと内田さんの「空手バカボンの釜の飯を食った仲だろう」「空手バカボンの釜の飯は食ってないけどね」というやりとりも面白かった。空手バカボンの釜の飯って何だ。

本日最後の曲「中2病の神ドロシー」が終わった後、流れたSEは爆音の「オーディエンス・イズ・ゴッド」! オーケンはわりとすぐにステージからいなくなってしまったが、おいちゃん・橘高さんがノリノリで煽ってくれてこれがまた楽しくて。今回は席が上手だったこともあり、ほとんど橘高さんを観ている状態だったが、間近で観ながら思うのは五十近いとは思えないということで。それでいて表情が綺麗だなぁとつくづく思いつつ、一回のライブでピックを何枚消費するのだろうと気になった。ピックを貼り付けたテープを橘高さんのスタンドマイクに貼るローディーの早業も見事だった。

さて。明日は何が聴けるだろうか。明日も明日とて楽しみである。明日も「恋の蜜蜂飛行」を聴きたいなぁ。



未分類100曲ライブ, 2杯, 水戸華之介, 非日常

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五日間で百曲を歌う、水戸さんの100曲ライブ第四夜! 今年は第一夜の澄田さん、第三夜のワジーこと和嶋さん、そして本日第四夜の吉田一休回、計三夜を観に行った。よって、己にとっては今日が今年最後の100曲ライブである。

五日間全て参戦したかったが、それでも、この第四夜の楽しさったら、フィナーレと言っても過言ではないくらい素晴らしいものだったので己は大いに満足した。澄田さんの回は安定していてバリエーション豊かな楽曲を楽しめ、ワジーの回は硬派で重めな楽曲が多く、聴き手も心して臨まなければならない空気があった。そして本日は爆発するお祭り騒ぎ! 観客参加型ライブということで、ほぼ全編通して手拍子とコーラスで大騒ぎ。楽しかった!!

水戸さん曰く吉田さんはチャレンジ枠ということで、ギターの技術力をカバーするためとにかく盛り上がる楽曲を集めたとのこと。観客も手拍子で参加して皆でライブを作り上げていくようにとのお達しで、そう。盛り上がる曲が多いのである。わいわい言う曲が多いのである。つまり序盤から大騒ぎなのである。面白くないわけがない!

去年も一昨年も、このお祭り騒ぎの吉田一休回が一番面白かったので今年も大いに期待したがやはり期待は裏切られなかった。「チャレンジ枠」という名称につき、もしかしたら来年他のミュージシャンにその場を奪われるかもしれない…と言われていたが、いやいやいやいや。来年も再来年も吉田一休回は欲しい! 絶対に欲しい!

ちなみに吉田さんは以前見たときよりもちょっとふっくらしているように見えた。そういえば一番最初に100曲ライブで見たときは全身真赤なジャージ姿だったような記憶がある。あれは派手だったなぁ。

今回聴けて嬉しかったのは「欲望」「ベッドルーム・ロック」「唇にメロディ、心に牙を」「カナリア」「家のない子に」「ゆきてかえらず」「しあわせになれ」。意外だったのは「正しいか?」「明日への誓い」。「明日への誓い」は久しぶりに聴いた気がするなぁ。

「欲望」はしばらくやっていなかった曲だったらしい。驚いたなぁ! 好きで何度もCDで聴いていたので、ライブでも聴いている気分でいた。吉田さんがギターを弾きながら、「てーんてんてんててててーん、てーんてんてんててててーん、てーんててんてんてー♪」とギターのフレーズを口で歌っていたのが面白かった。

と、書いたが、あれ? 違う曲だったっけ? ちょっと自信が無くなってきた。

「欲望」の中間で入る音頭は水戸さんの思いつきで入ったもので、最初の段階では入っていなかったそうだ。他の曲を作る際、そういった思いつきで曲中に異なる展開を入れたところ上手くいったため、調子に乗ってやってしまった結果だそうだ。いやーでも自分はこの曲大好きだけどなー。もっと頻繁にやってほしい。

「たむけのかもじ」は当時ちょっと背伸びして作った歌詞だそうで、その背伸びの具合が心地良いと話していた。そうそう、高校時代の作詞の話が面白かった。最初の頃はメンバーがそれぞれ自分の曲に詩をつけてきていたそうで、メンバーが振った女の子に対して謝罪の気持ちをこめて「ごめん」という曲を作ったことがあったそうだ。しかし歌うのはメンバーではなく水戸さんで、「今なら切り替えられるけど、多感な十代で、『あいつ』の『ごめん』を! どうして! 俺が!」と力をこめて語っており、確かにそれは気まずいよなぁと笑った。

「たむけのかもじ」だったかな? 「なーなーなー♪」と吉田さんが歌う箇所で水戸さんが「もっとセクシーに!」と指示を出し、吉田さんがふざけて受け狙いに走ったところ、水戸さんが吉田さんを叱り始め吉田さんがしょげるという叱りコントが発生した。曲中で。面白かったけどこれ、「え? これ笑っていいの? 水戸さん本気で怒っているの? え? え?」と、己は結構ハラハラした。コントで良かった…。

今回一番格好良かったのは「ゆきてかえらず」だろう。出だしで水戸さんと吉田さんの歌声が重なるのだが、それが実に美しく力強く、思わず膝に手を置いて身を乗り出して聴き入ってしまった。この美しいコーラスが吉田一休回の楽しみでもある。この二人の声、本当に好きなんだよなぁ。

「唇にメロディ、心に牙を」も久しぶりに聴いた。これもシンプルながらも格好良い曲で大好きだ。この歌のメロディを鼻歌で歌いながら歩くと不思議な万能感が湧いてくるんだ。

そうだ。「唇にメロディ、心に牙を」は水戸さん曰く、水夫をイメージした曲だそうで、そこから「漁師とだけは喧嘩をしてはいけない」と漁師最強伝説が語られたのが最高に面白かった。学生時代の友人の名前がバンバン出てきて、MCというよりも、居酒屋でお酒を呑みながら友達の話を聴いているときのような感じで心地良かった。

屑の曲は「ベッドルーム・ロック」「家のない子に」「無実のためのレインボー」「しあわせになれ」「海」の五曲…だったかな? 「家のない子に」は不死鳥DVDでそこだけ再生しまくるほど大好きな曲なので始まったときは小さくガッツポーズをした。ライブで演奏されると、オリジナルよりもテンポが速くて、それがもうたまらなく格好良いんだよね。

吉田さんがアコギからエレキギターに持ち替え、「エレキを持ってもてようとしているんだろ!」と水戸さんが突っ込み、笑いながら吉田さんが否定するも「もてたいんだろ! もてたいんだろ!」と水戸さんが連呼。さらに「俺達はもてるために生まれてきたんだー!」とノリノリで水戸さんがシャウトして始まったのが「ベッドルーム・ロック」! そこからはもう大騒ぎ。今日の「君と瓶の中」枠である。

アンコールを含めた二十曲が終わり、本当の本当のアンコールということで、二十面サイコロを振って出た最後の曲は本日の八曲目「ペダルをこいで」。簡単なコード進行らしく、ほっとして嬉しそうな顔をする吉田さんが微笑ましい。水戸さんと二人立ち上がってノリノリで歌い騒ぎ、曲が終わってステージから退場した後、さらにもう一度ギターを弾いて水戸さんを楽屋から呼び戻すというサプライズも! これは嬉しかったなぁ!

ニコニコする吉田さんと楽しそうな水戸さんと全力疾走した三時間。手拍子を叩き、コーラスを歌い、座ったままにも関わらず全身で楽しんだため、体内のあらゆるものが発散されたように感じた。とてもスッキリして気持ち良かった。是非来年も再来年も「チャレンジ枠」として存在し続けて欲しい。面白かったぁ!



未分類0杯, 電車, 非日常

行きたいな、と思いつつも、年末だしな、と自重していたのだが、直前になってスケジュール的には問題なく行けることに気が付いた。そしてそのとき己は非常に疲れ切っていた。脳が爆発しそうだった。そこで己を鼓舞するため急遽チケットを購入した。何とか、眼前に人参をぶら下げることで乗り切ろうとしたのである。

そういった経緯で、今年最後のライブは「電車」となったのだった。

電車のセッションに行ったのは2011年の1月3日。正月に死体洗いのアルバイトの歌や自爆テロの歌、鳥葬の歌、男女の別れの歌を聴き、今年は年の瀬にそれを聴く。場所は同じ吉祥寺のSTAR PINE’S CAFE。ただし今回はセッションではなく、電車という「バンド」の演奏だ。ついに今日、本物の電車による、電車の曲を聴けたのである。

電車はゆる~い雰囲気で、のんびりだらだら進行しつつ、曲に入ると途端に空気が切り替わるのが実に面白い。この点、筋少より顕著である。筋少はMCでゆるゆるだらだらしていても、「ステージ上」であり、「見せるための姿を演じる」気構えが多少はあるように見えるのだが、電車はそれが少なく見えた。より素に近く、肩の力が抜けているように感じられた。

さて、曲のそれぞれにも語りたいが、まずはセットリストの方を。


電車の猛勉強
夢見るショック!仏小僧

OUTSIDERS
死体のこもれび(新東京正義乃士のカバー)

テロルおじさん
ほうろう(小坂忠のカバー)
人間のバラード(筋肉少女帯のカバー)

生まれてビックリ団
パーマのブルース

星屑と赤い闇のブルース
とん平のヘイ・ユウ・ブルース(左とん平のカバー)

喰らわれた女の歌
アタイばっか
包丁とマンジュウ(スターリンのカバー)

~アンコール~

お別れの背景


「テロルおじさん」「ほうろう」「人間のバラード」のあたりの並びはやや記憶が曖昧で、正直自信が無いのだが、他は合っているはず、である。

ステージでは下手からサトケンさん、オーケン、ベラさんが並び、オーケンの前には譜面台が置かれ、背後にはドラムの小畑ポンプさん。さらにその後ろがステージへの出入り口になっているようだった。ステージ前には客席用の椅子が並べられているが、全員分は無く、客の半数は立ち見となる。また、二階もあり、上からステージを見下ろすことも出来る構造となっていた。己は一回の椅子席のやや後ろに並んで立ち、開演前には缶のエビスビールを呑んでいた。天井にはミラーボール。何故かミラーボールを囲むように羽飾りが飾られていた。

客電が落とされ、メンバーが登場すると同時に始まる「電車の猛勉強」。ヘビィなサウンドの上で「べーんきょっ」と平仮名で歌うオーケンがキュートである。今回のライブでは譜面台があるおかげか、歌詞間違いが少ないようだった。とはいえ、たまに舌が回っていない場面もあったが。それはそれでご愛嬌である。

二曲目でいきなり「夢見るショック!仏小僧」と暗黒ナンバーへ。あぁ、電車のライブに来ているのだなぁと実感する場面だった。続いて大好きな「OUTSIDERS」に、死体洗いのアルバイトの歌「死体のこもれび」。「死体のこもれび」を聴いているとき、胸が締め付けられるような思いがした。電車セッションのときにこの曲を聴いたときはこんなに苦しくならなかったのになぁ、と寂しく感じた。

ちなみに今回のライブにおける自分の中でのハイライトは「生まれてビックリ団」「とん平のヘイ・ユウ・ブルース」「お別れの背景」である。中でもすごかったのが「とん平のヘイ・ユウ・ブルース」だ。

何故ならこの曲、自分は飽きているのである。オーケンのお気に入りだが、お気に入りと知っているが、自分はそこまで思い入れが無いだけに、悪いとは思うが「またか」と思ってしまうのである。どちらかと言うとオーケンのオリジナル歌詞を聴きたいなぁ、と思ってしまうのである。しかし、今日はすごかった。

この曲をやる前のMCで、サトケンさんがベースだけのCDを今日の物販で販売していて、それがついに九枚目、毎年作っているから今年で九年目になるという話が出ていた。ベースだけのCDとはいったいどんなものだろうと興味を覚えつつ、頭に浮かんだのは「はなわ」であった。いや、無論ベースだけと言うことは歌も無いことはわかっているのだが、ついつい連想してしまったのである。

そのMCの後のヘイ・ユウ・ブルース。「ヘイユウワッチュアネーム!」と叫ぶオーケンの一声から始まり進行していく。序盤は通常通りである。しかし中盤で変化が起こった。

いつの間にか。オーケンとベラさんがいなくなり、ステージ前方にはサトケンさんだけ。そしてサトケンさんが一人、延々とベースソロを奏で続けるのである。自分はあまり、ベースソロを聴いたことが無い。音楽が好きというもののひたすら筋少を聴いている人間で、その筋少はベースソロがほとんど無い。サンフランシスコに少しある程度である。だから知らなかったのだ。ベースがこんなにも多彩な音色を奏でられるということを。

呆気にとられながら聴き入っていた。そしてベースを奏で切ったサトケンさんがステージを去る。すると次は小畑さんのターンになり、怒涛のドラムソロが始まった。これもまた格好良かった。一つ一つの音が重く、何て言えば良いのだろう。パンチというよりも、厚い平手を喰らうような、そんな音なのだ。ベシンと体に張り付くような衝撃があった。

ヘイ・ユウ・ブルースの演奏中であることを忘れそうになったとき、オーケンとベラさんが戻ってきて、終局へと向かっていった。飽きを感じていただけに、今回のヘイ・ユウ・ブルースは素晴らしかったなぁ。

「生まれてビックリ団」は、筋少で言えば「ゾロ目」の序盤のように、ゆったりと歌い上げるように始まり、しばらくそのまま続いたので、アレンジバージョンかと思った。これも良いが、あのスピード感のある「生まれてビックリ団」も聴きたかったなぁ、と思っていると。「恋してビックリだ、キスしてビックリだ、ふられてビックリだ、切なくてビックリだ」まで歌いきってから曲調が変わり、怒涛のように駆け抜けていくのである。オーケンの声も歌い上げるものから叫ぶものに変わり、そのギャップがまた非常に格好良かった。

「お別れの背景」はとりわけ良かった。そもそも思い入れのある大好きな曲なのでやってくれるだけで嬉しいのだが、オーケンの歌声が素晴らしく良かったのだ。序盤のMCで、いろいろあって疲れているので最後の二曲目あたりで目覚める、と冗談を言っていて、本編ラストの「包丁とマンジュウ」で「目が覚めたぜー!」と叫んでいた。無論冗談だろうとは思うが、その後の「お別れの背景」で、最後にも関わらず、この日一番声が出ていたのである。今日は最初から咽喉の調子が良いようだったが、最後が一番すごかったのだ。

そして嬉しかったのが。CDでは声を張り上げる箇所を、ライブでは声を落として歌う、というのはオーケンに限らず少なくないことだろう。それを否定する気は無い。だが、やっぱりCDと同じように歌ってくれると嬉しくて、「お別れの背景」は、限りなくオリジナルに近い歌い方だったのである。ちょっと歌詞は間違えていたけれども。

最後の最後にこれだからたまらない。嬉しかったなぁ。

時間の割りに曲数が少ないのはトークが長かったから。ちょこちょことトークが挟まれ、そのたびにオーケンがちょこちょこ椅子に座って休み、小畑さん、ベラさん、サトケンさんによる電車ツアーの振り返りがあったり、今後の予定について語られたりと皆が楽しそうにしているのが微笑ましかった。

面白かったのは今度、THUNDER YOU POISON VIPERと対バンする告知がなされたくだりで、小畑さんから「サンダーユーはインストなんでしょ?」と聞かれたオーケンが、「インスト」を「いいひと」と聞き間違え、どのように答えるべきか、極悪人と言うわけにも行かないし、と悩んでいた場面。それとオーケンのおじいちゃん化現象が進んでいること。物の名前が出てこなくなったり、ツアー先のホテルで部屋の鍵を開けられず「開け~開け~」と唱えながら鍵をガチャガチャやっている姿がベラさんにより目撃されたという。

それに対しオーケンは、2015年はいきなり若返る、プラセンタ打ったりなんかして、と冗談を飛ばし、未来の最終形オーケンがアンドロイドならぬロボットに成り果てていたり。ロボット化やプラセンタは流石に困るが、たまに鍛えたりダイエットしたりしつつ、のほほんとライブを続けてくれると嬉しい。今日のライブの余韻に浸りつつ、来年を楽しみに待ちながら帰路についた。

楽しかった。これが己のライブ納めである。