未分類100曲ライブ, 1杯, 水戸華之介, 非日常

れっきとした水戸マニアであるはずなのに、イントロから曲を類推することが出来ず、ひたすら混乱するライブであった。その点において新鮮味があって面白くもあり、同時にノリにくくもあったので、確かに「実験的な」ライブであることを実感したのであった。

前回の吉田一休回において、「実験的」枠組みにあることが示された今回のライブは、水戸さんのレパートリーを全てテクノに作り変えるという驚きの代物だった。いつもであれば水戸さんの隣、ゲストミュージシャンの座る席にはギターやピアノが置かれているが、そこにあるのはシンセサイザーと数々の玩具である。パソコンとUSB接続をすると回転する小型のミラーボールに、ネックの部分が全てボタンになった、大人の教材用エレキギター。そして水戸さんの手にはピストル型のシャボン玉発生装置。ステージにいるのは五十代の大人二人。五十代の大人二人が全力で玩具で遊び楽しんでいる。そんな姿を観ることがこの先いったい何回あるだろう。

一曲目からして、よく知っているはずの曲なのに全然知らないのにとてもよく知っているという驚き。どう聴いたってテクノライディーン、いや、その元の曲であるのに、始まった歌は看護ロック! 水戸さんと内田さんの背後に張られたスクリーンには「看護」という文字が大きく映しだされ、曲に合わせて大きさを変えるという用意周到ぶり。あぁ、どう聴いても「あの曲」なのに看護ロックと言い張るこの図太さ! すっごいもんを持ってきたなぁ!!

水戸さんはいつものテイストの衣装だったが、内田さんは真っ赤なシャツに黒のネクタイという珍しい出で立ち。目元を隠すのはサングラスではなく普通のメガネ。このあたり、何かを意識したのだろうか。

MCではテクノとテクノポックの違いが語られたが、己が知っているテクノ関連のものと言えば平沢進と空手バカボンくらいなので、あまりきちんと理解することが出来なかった。今回、内田さんはこの日のために二ヶ月かけて曲をアレンジしたそうである。水戸さんとしてはそこまでしてもらうつもりではなく、もっとかる~くやってもらうつもりだったそうなのだが、ちょうど内田さんが暇で、尚且つ内田さんがはまってしまった故にここまで本格的になってしまったのだと言う。正直、このライブのためだけ、というのは非常にもったいないと思う。大問題の看護ロックは置いておいて、他の曲はアルバムにしていただけないだろうか、と思うほどであった。

ちなみに水戸さん、100曲ライブの第一回目から、内田さんに参加してほしいと思っていたそうなのだが、ベース弾き語りは五曲程度ならまだしも……ということで時間がかかってしまったらしい。対する内田さんはと言うと、子供の頃ベースよりも先に買ってもらったのがシンセサイザーだったこともあり、ノリノリでこのライブに臨んだそうだ。水戸さんからベース弾き語りがあっても……という提案を退けて、テクノ一辺倒にしたそうである。

印象的な曲としては久しぶりの「ロマンティックがとまらない」。この曲以外でも内田さんはボコーダーを使ってコーラスの声を機械音に変えたりしていたが、これについては女性の声に変声していて、単純な感想だが、機械たぁすごいもんだなぁと思った。

一点、惜しい点と言えば、音がビリビリ肌に突き刺さる点がないということだ。この100曲ライブはいつも、狭い空間で全力の歌唱と演奏を楽しめて、そこに大きな魅力を感じている。つまり、至近距離で生演奏の迫力を体感できるのだ。それが今回、打ち込みということで感じられなかったなぁ、というのがちょっと残念。せめてもうちょっと音量が大きかったらなぁ。

後半では「ジョニーは鼻毛がヒッピースタイル」で立ち上がり、大盛り上がりするという場面も。最後の曲は「偶然にも明るい方へ」で、これは比較的違和感が少なかった。アンコールの曲はサイコロにより二曲目の「トーカラジ」に決まったが、内田さんが一曲目の「看護ロック」で、映像と音楽がうまくマッチしなかったことを悔いていたため、「看護ロック」「トーカラジ」の二曲をやってくれるというサプライズ展開も! これは嬉しかったなぁ!

イントロを聴いても何の曲が始まるかわからないため、戸惑う場面が多かったが、それはそれで。こういうのもアリなんだなぁ、ということを感じたライブであった。面白かった。



未分類0杯, 100曲ライブ, 水戸華之介, 非日常

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ライバルを増やしたくないので黙っておきたいのだが、やはり言わずにはいられない。水戸さんの百曲ライブにおいて、一番底抜けに面白く楽しいのは吉田一休回である。今夜もさいっこうに楽しかった!

しかし自分が話すまでもない。水戸さん曰く、この回のライブのチケットは売り切れるのが早かったそうだ。吉田さんは水戸さんが言うところの「チャレンジ枠」で、MCも楽屋のノリになってしまいがちとのこと。そのため、これで本当にお客さんは面白いのか、面白いのは自分だけじゃないのかと水戸さんは何度も口にする。いやー水戸さん、それが最高に面白いのですよ!

吉田一休回での水戸さんは、より素に近い姿を見せてくれるように思う。自分を慕ってくれていて、付き合いの長い後輩を相手にニコニコと楽しそうに話し、演奏がストップすれば笑いながらダメ出しをする。とにかく後輩が可愛くて仕方がなく、吉田さんも水戸さんが大好きな様子が伝わってきて実に微笑ましい。そしてシンプルかつ盛り上がる楽曲の数々はカズーと手拍子の大盤振る舞い。シリアスな曲や悲しい曲ももちろん好きなのだが、最初から最後までほぼお祭り騒ぎ、というのも快感なのだ。

トークはどこまでも転がりに転がり、ライブは約三時間と言う長丁場に至ったが、長さを感じさせない楽しさの連鎖がたまらない。アンコールの中、残り一曲というところで喋りたくなった水戸さん。こんなに喋ってて良いのかなと言いつつひたすら面白トークを聞かせてくれて、楽しそうに話す水戸さんを笑い転げながら観るのは実に嬉しく楽しかった。

百曲ライブでお馴染みの舞台、ライブハウス「七面鳥」は改装をしていて、ステージと客席の位置が反転していた。以前は客席の間に出来た道を通って水戸さんはステージに上がっていたが、楽屋のすぐ横がステージに変わったため、客席にあった通り道は無くなっていた。これはちょっと寂しかった。前は盛り上がった水戸さんが客席を練り歩いてくれたりしたが、もう通れなくなってしまっている。うーん、残念。前の方が距離が近く感じて好きだったなぁ。

ハイネケンを呑みつつ、流れる音楽を聴きながらゆったりと開場を待つ。何もせず、ぼーっとステージの奥の壁を眺めるひとときはわりと好きだ。集団の中で一人を楽しむ面白さ。雑踏を歩く気分に似ている。

しかし照明が落とされるや否や、今まで他人だった周囲の人々と息を一つにするのだ。ステージに水戸さんが現れた瞬間、バラバラだった他人達がオーディエンスという群れに変化し、同じように声を上げ、拳を振って手拍子を叩く。一曲目は「唇にメロディ、心に牙を」。やったー! 大好きな曲だ!

と、大喜びした直後。死ぬほど大好きな「家のない子に」が二曲目で演奏されて、心の準備が出来ていなかった己は喜びのあまり「ギャーーー!!!!」と叫びそうになった。叫ばなくて良かった。

吉田一休回ということで、屑の曲が多めである。嬉しい。屑好きなんだよなぁ。アルバム一枚だけなんて実にもったいない。屑のライブも行ってみたかったなぁ。でもこうして聴けるから幸せだー。

「唇にメロディ、心に牙を」「家のない子に」「奈々」「ナイタラダメヨ」「カナリア」「マグマの人よ」「しあわせになれ」を聴けて嬉しかったなぁ。レア曲は「バイキンロック」。演奏後、水戸さんが「当時、何かの思いを込めて歌詞を書いたはずなのに、何を言いたいのかわからない」と言っていて、自分もあの歌詞をどのように受け取れば良いのかわからなかったのでちょっと安心した。

「バイキンロック」では、ミスにより演奏をやり直す場面も。吉田さんがギターのコードを踏んで座ってしまったことで、ギターを動かしたときに不具合が生じたようである。水戸さんはそのミスの原因を指摘しながら、「しょうがない奴だな~」とでも言いたげに楽しそうに笑っていた。微笑ましい。

今回のライブのあらゆるところで活躍したカズーは、水戸さんが今まで使っていたものと違うものだそうだ。曰く、どこの楽器店でも見かけなくなり、調べたところ輸入代理店がなくなったとかで、日本での購入が出来なくなってしまったそうだ。新しいカズーは片面が赤い色をしていて、水戸さんの手の中で存在感を主張していた。

水戸さんは茶色の薄手のカーディガンのような上着を着ていて、下は文様入りの黒Tシャツ。上着を脱ぐと半袖で、下に二の腕まで袖がある衣類を重ね着していたように見えたが、腕を挙げたときにそれがリストバンドの二の腕版のようなものであることがわかった。あれは何と言うのだろう。

吉田さんはオールバックに黒い衣装。初めて見たときが全身真っ赤なジャージ姿で、未だにその印象が強いため「今日は地味だなー」と思ってしまった。

吉田さんは「~ので」という水戸さんの言い回しが好きだと言っていて、ライブの後半で「~から」と水戸さんが言ったとき、「~ので、と言ってくださいよ!」と注文をつけていた。あまりそこに注目したことがないので、今度から「~ので」に注意を払ってみよう。曲については、「A・E・D・D」の歌詞について言及し、水戸さんは「これは九十年代に作った曲だけど、この歌詞に書かれているのはもうちょっと古い時代」と話し、時代性を切り取ることについて語っていた。

印象的だったのは映画についてのMC。以前は家で映画を観ていたが、家だと集中できないため映画館に通うようになった水戸さん。しかし水戸さんがよく利用していた映画館が次々と閉館し、映画を見るためにはちょっと足を伸ばさなくてはならなくなったそうで不便を強いられているそうだ。そんな不便もありつつも、事前知識なしで小劇場に入る水戸さん。するとマッドサイエンティストにより人間がアザラシに改造される奇妙な外国映画や、深刻な家族の物語を描いた重い作品かと思いきやひょっとしてこれはコメディなのか……? と劇場の誰もが困惑する作品などを観たという。それらを面白おかしく語ってくれた。ちなみに前者は実際はアザラシではなくてセイウチで、タイトルは「Mr.タスク」と言うらしい。

あと、果物屋のカットフルーツが、コンビニやスーパーで売っているカットフルーツとは比べ物にならないくらい美味しく、週に二、三度買っていたら店員に覚えられてしまい、「常連さん」扱いをされるのが苦手なために悲しみを覚えたという話や、子供の頃の同級生の印象的なエピソードなどなどが語られた。

「マグマの人よ」は圧巻である。マイクを外し、水戸さんの地声と声に込められた説得力が空間と壁を響かせる。まるで茶の間で語れるようなゆるくも楽しいトークと、歌の迫力のギャップの大きさ。この切り替えの見事さがたまらない。

最後は二十面ダイスを振るい、今回演奏された二十曲の中から一曲を選ぶ。選ばれたのは「しおしおのぱあ」で、吉田さんの意気込みにより、本編とは違うキュートなアレンジで始まり、中盤で爆発し、後半は大盛り上がり、という構成で幕を閉じた。皆で声を出して歌い、手拍子をする。ライブの基本の楽しみをぎゅっと凝縮されたかのような、シンプルな満足感の心地良さを満喫した。

ちなみに今回は「チャレンジ枠」だが、次回は「人体実験枠」とのこと。ゲストは水戸華之介&3-10Chainのメンバーであり、筋肉少女帯の屋台骨・内田雄一郎である。いったい何を見せてくれるのか。二週間後が楽しみでならない。



未分類0杯, 初参戦, 特撮, 筋肉少女帯, 非日常

大槻ケンヂ生誕祭、ということで初めて参戦した特撮のライブ。ゲストは筋肉少女帯。冒頭のMCで、五十歳を迎えたことにより五十歳欝になってしまったオーケンに、五十歳も良いものだな、と思わせることが今回のライブの主題であると語られた。チケットはソールドアウト。会場は燃え上がり、エディからはオーケンへの感謝の言葉が贈られ、橘高さんは五十本の薔薇の花束を抱えて登場。アンコールではオーケンの顔写真がプリントされたバースデーチョコレートケーキが運ばれ、オーディエンスを含め、皆で記念写真を撮った。生誕祭にふさわしい、素敵なライブであった。

でも、自分はちょっと物足りなかったんだ。そうして、自分はやっぱり、ヒビワレメイクを施した大槻ケンヂが一番好きだということをつくづく実感したのである。

恐らく時機が悪かったのだ。己が筋少を知ったとき、既に筋少は凍結されていた。ライブを観てみたい、新曲を聴きたいと思いつつ叶わない状況にある中で特撮を知り、特撮を筋少の代替として手に取ってしまったのだ。それは特撮に対しても筋少に対しても失礼な行為であったと思う。何枚かのアルバムを聴いて、とても好きになった曲もあった。だが、どれも筋少とは全く違うもので、そのことに寂しさを感じていた。

筋少と特撮が全く違うのは当たり前のことである。演奏者が違って、作曲者が違って同じものが出来上がったら個性が無いのと同じことだ。だから自分が特撮を「違う」と感じたのは、同じボーカル・作詞者大槻ケンヂがいたとしても、メンバーによってその色が大きく変わる証拠に他ならない。また、それだけ違う色を「大槻ケンヂ」は彩ることが出来るのだ。だからこそ、二つのバンドがある意味がある。

それをよくよくわかっているのだが。始まりがそれだったので、未だに己は特撮を上手く受け取れない。今日のライブで聴けた曲。「5年後の世界」ならぬ「50歳の世界」、「文豪ボースカ」「ヌイグルマー」「林檎もぎれビーム!」「ヤンガリー」「バーバレラ」「綿いっぱいの愛を!」。やったー聴けた! ついに生で聴けた! 「文豪ボースカ」って、ライブだと後半が「何故だ何故だ何故だボースカ!」の繰り返しで終わるんだ、格好良い! うわー「バーバレラ」! 大好きなんだよこの曲、寂しくて切なくてやるせなくって! カラオケで何度も歌ったよ! 「林檎もぎれビーム!」たまらない! うわーマ太郎の声懐かしいなぁ! 「あいつらにだ!!!!」って皆で揃って叫ぶのは何て爽快なんだろう! 「ヤンガリー」ってこんなに格好良い曲だったんだなぁ……! って、感動したのだが、後半でゲストの筋肉少女帯が現れた瞬間、欲しいものはここにあった! と感じてしまったのである。

特撮と筋少の違いを見比べるのは面白かった。特撮のメンバーは定位置からあまり移動しない。まぁ、メンバー四人のうち、ドラマーとピアニストは楽器が固定されているので動きようが無いから当然の結果かもしれない。そんな中でたまにエディがマイクを片手にステージ中央にやってきてくれたりするとたまらなく嬉しくなる。そうだ! エディが上手前方にいたことに、最初驚いたんだ! これだってよくよく考えたら当たり前のことだろうになぁ。

「愛のプリズン」が格好良い曲になっていたことにびっくりした。あれ? 何の違和感もなく格好良いってどうなんだろう……と困惑もした。曲中、オーケンが腰をぐるぐる回していたのだが、それが父が毎朝やる腰痛体操そっくりだった。

五十歳になってからオーケンは夜中に足がつるようになったそうで、今までスルーしていた薬局の看板に反応するようになったそうだ。披露されたエピソードにわははと笑いつつ、足がつるようになっても、こうしてステージに立ってくれていることがとても嬉しいと思った。

五十歳を迎えたオーケンは、二十代の頃の自分が一番綺麗だったと冗談まじりに語る。確かに二十代のオーケンは美しかった。長い髪に、シュッとした輪郭。どこか危うげなところがあって、そこがまた綺麗だなぁと過去の写真を見るにつけ思った。でも自分がオーケンを知ったときには既にスキンヘッドであり、初めてライブで見たときにはプロピアモヒカンをつけていた。それが最高に格好良かったし、今の白髪のオーケンも最高に格好良い。でも、やっぱりヒビが入っている姿が一番好きなんだな、と思いつつ。まっさらな顔のオーケンを眺め、色々な顔を持って活動出来ている現在を喜び、そうして祝福したのである。自分はきっと特撮には夢中になれない人間だが、オーケンの中に特撮という要素はいつまでも輝かしくあって欲しい。ソロと電車と筋少と空手バカボンと、その他数々の色々なものを抱きながら活動を続けて行って欲しい。きっとそれが、オーケンがオーケンらしく、生き生きと活動できる術であるのだから。と実感したのであった。



未分類5杯, 筋肉少女帯, 非日常

「クリスマスを撲滅する会 12月24日開催 参加費無料」

アーティストが経営していると思われるカフェギャラリー。軒先には木や石で作られたオブジェと瑞々しい植物が飾られている、そんなお洒落なお店のドアーに貼られた呪いの文字列。おい、ここの店主にいったい何があったんだよ。

この時期になると毎年毎年、カップルを妬む言葉をあちこちで見かけるようになる。それは人によっては自虐的な遊びであり、おふざけであり、人によっては本気の呪いのようである。そして何故か、一人者はこの時期、カップルを憎んでしかるべき、というよくわからない風潮が発生して、一人者の自分としては、面倒くさいなぁ、と思うのである。

自虐的な遊びに興じるのもクリスマスの醍醐味かもしれない。それはそれで良いだろう。ただ、クリスマスって別にカップルだけのものじゃないんだぜ。

毎年恒例筋肉少女帯のクリスマスライブ。このライブが己にとってのクリスマスそのものになってから、いったい何年経っただろう。このライブは今年最後の締めくくりでもある特別なイベントだ。橘高さんはファンサービス満点の福袋とイベントを用意してくれる。アンコールでは橘高さんとおいちゃんがサンタの格好をしてお菓子を撒いてくれる。開演SEはもちろんべったべたなクリスマスソングで、思えば己がじっくりクリスマスソングを聴くのはここだけだ。だって普段は季節に関係なく自分の好きな曲を聴いているから。

会場は満員で開演前からぎゅうぎゅう詰め。もっと前に詰めてください、と係員の声が響く。今日は整理番号が八百番前後だったので後ろの方でゆっくり観ようと思ったが、結局前方スペースに来てしまった。前も後ろも隙間がない。これはきっと、とんでもなく盛り上がるだろうなぁ。

そして一曲目がまさかのイワンのばか。盛り上がるどころか大爆発したのであった。


イワンのばか

日本印度化計画
混ぜるな危険
孤島の鬼

恋の蜜蜂飛行
地獄のアロハ(筋少オンリーver)
踊るダメ人間

新人バンドのテーマ
冬の風鈴

北極星の二人~内田のラブソング~(うっちーボーカル)
おわかりいただけただろうか(ふーみんボーカル)
LIVE HOUSE(おいちゃんボーカル)

これでいいのだ
カーネーション・リインカーネーション
暴いておやりよドルバッキー
釈迦

~アンコール~
じーさんはいい塩梅
日本の米
サンフランシスコ


ぎゅうっぎゅうで疲れたし、視界は決して良くなかったが、非常に楽しかった。新譜ツアーではないだけに何の曲をやってくれるか予想できない部分が大きく、何が来るかわからない期待感に応えてもらえる喜び。全く予想していなかった「孤島の鬼」「冬の風鈴」、聴きたかった「カーネーション・リインカーネーション」「暴いておやりよドルバッキー」、とにかく大好きな「恋の蜜蜂飛行」! ご馳走の連続で満腹である。あぁ、嬉しい!

MCでは恒例橘高さんの福袋の話題に。橘高さんの福袋を引き当てた幸運なファンは、終演後橘高さんとドライブに行けるばかりでなく、途中で公園に寄って橘高さんとお散歩できるそうだ。すごい! 流石橘高さん!

しかしこのファンサービス。上記の書き方だとまるで擬似的な恋人体験が出来るようであるが、わりと狂った内容なのがまたすごい。だってこれ、橘高さんの愛犬「ココアちゃん」と同じように橘高さんとお散歩出来るよ! という趣旨なのである。まさに「子犬にしてあげる」。むしろ何故今日この曲をやらなかったと言いたいくらいである。

「子犬にしてあげる」はほのぼのした雰囲気に騙されそうになるが大分狂った曲である。「君が寂しいなら子犬にしてあげるよ~首輪もつけてあげるし骨のガムもあげるよ~」と言いながらきゃっきゃと戯れる異様さ爆発ソング。これじゃん。これに近いじゃん。しかも橘高さん、半分冗談だろうが、首輪とリードをつけてお散歩しようかと考えたそうである。もしくは逆に、橘高さんが首輪をつけて、ファンの子にリードを握ってもらう案も考えたそうである。オーケンは「五十歳で新たな性癖に目覚めたんですか」と若干引いているように見えた。

そして首輪とリードの話はまだ続く。ここにいるお客さんに首輪とリードをつけてメンバーが持つのはどうだろう? それかメンバーに首輪とリードをつけてお客さんに引いてもらうのはどうだろう? とよくわからないことをオーケンが提案する。どっちにしても大事故になりそうである。いろんな意味で。

この流れだと次は「踊る赤ちゃん人間」かな……と我ながら嫌な予想の立て方をしていたが、とても健全なカレーの曲に繋がったので少し驚いた。いや「踊る赤ちゃん人間」も不健全な曲ではないけどな!

「孤島の鬼」は久しぶりである。今日聴けると思わなかっただけに興奮した。「混ぜるな危険」まで跳ね回っていた観客も波に身をゆだねるようにゆったりと聴き入り、暗闇の中に浮かぶメンバーの姿と怪しい音色に恍惚とする。今回の「孤島の鬼」は四半世紀バージョンではなく、最後ドラムでバシッと締めて終わった。あぁ、格好良いけど、ちょっと物足りない! あの最後の畳み掛けが、畳み掛けが大好きだから!

「恋の蜜蜂飛行」は始まった途端に拳を振り上げた。正直、腕を上げるのもつらい姿勢だったのだが、この曲ばかりは腕を振らないわけにはいかない。だってすごく楽しいから!!

「新人バンドのテーマ」からはしっとりタイムに。「冬の風鈴」は「バンドでやるのは初めてかもしれない」という前置きから始まり、じいっと聴き入ってしまった。いつだっただろうか。この曲の歌詞をずっと噛み締めていたときがあった。「しかしその後幸せになったと聞く」の「しかし」を噛み締めていたのだ。歌詞で多くは語られていないが、きっといろいろなことがあったのだろう。それらが全てその三文字に詰まっていて、何があったのかなぁと思いを馳せてしまうのだ。そのうえで、「しかし」になって良かったな、と感じてしまうのだ。

しっとりと始まって穏やかに進められる中、間奏でステージが真っ白に染め上げられ、ドラムを筆頭に音がバーンと溢れ出し、暗く冷たい世界がひっくり返る。この曲が一層好きになった瞬間だった。

「冬の風鈴」の後、エディと長谷川さんを残してメンバーがいなくなる。そしてエディの指によって紡がれるジムノペティ。すると内田さんが上手の袖からやってきて、「セボーン」「メルシーボークー」と囁き出す。背後の長谷川さんがドラムに突っ伏さんばかりに大笑いしているのが見える。めっちゃ笑ってた。めっちゃ笑ってた。そこへ内田さん、いつもフランス語だけど、今日はドイツ語で……と言い、エディにドイツ語っぽい曲をリクエスト。するとピアノはいきなり重々しい曲調に早変わり。内田さんは次の曲名をiPhoneにドイツ語で言わせるべくスイスイとアプリを探すが……見つからない。

必死に探す内田さん。しかし見つからないアプリ。橘高さんとおいちゃんがやってきて内田さんの周りに集まるも見つからない。「楽屋ではあんなにうるさかったのに……」と言いつつ見守るおいちゃん。ピアノを弾き続けるエディ。まるでエディの演奏会の横でiPhoneをいじっている人のようになる内田さん。アプリを探しているのにYahoo!ニュースが表示されてしまったと困惑している。エディはずっと弾き続けている。

結局アプリは見つからず、ダウンロードから始めなければならなくなったため、アプリに頼らず普通に曲名が発表されることとなった。無論言わずもがな、始まったのは「北極星の二人」である。この曲が始まるといきなり歌謡ショーのようなムードになるから面白い。

内田さんが歌ったので俺も! ということで橘高さんとおいちゃんもボーカルをとる。橘高さんの「おわかりいただけただろうか」は毎度の如く流石の説得力である。思わず「わかりました!」と叫びそうになる。おいちゃんの「LIVE HOUSE」は下手側の歓声が楽しい。メロメロである。メロメロである。

休憩して戻ってきたオーケンはスーツに市松模様のネクタイで現れた。おーう格好良い! そういえばわりと前半のMCで、来年は若返りを目指すとオーケンが宣言していた。「老いたオーケンが好き!」って声も聞こえるけど、と言いつつそんなファンを老け専呼ばわりし、よくわからないコールアンドレスポンスを実施。

その流れで、今年はライザップで鍛えたけど筋トレが辛かった。次は男性用エステのダンディハウスに行こうかな、と話す。それとも高須クリニックに行こうかな、ある日突然オーケンの顔がウルトラマンみたいにツルツルになってるの、それでくるっと後ろを向くと特攻服の背中には高須クリニックってバーンと書いてあって、またくるっと正面に向き直ると胸に「YES! 高須クリニック!」って書いてあるの、とオーケンが冗談を飛ばす。そして「そういうバンドもありだよね~」と橘高さんに同意を求めていた。

「これでいいのだ」から「釈迦」までは怒涛の流れで、タオル回しに全力を出すのに必死だった。「カーネーション・リインカーネーション」でステージが真っ赤に染まるのはいつ見ても格好良い。内田さんの野太いコーラスがまたたまらなかった。「暴いておやりよドルバッキー」は今回も声の加工は無しだったようだ。

アンコールはほのぼのと「じーさんはいい塩梅」から始まり、次の曲が今年最後の曲と強調される。掛け合いの曲で、皆が歌ってくれないと成り立たない、さらに今回はメンバーも一緒に歌うと言われ、いったい何の曲だろうと首を傾げる。「ハッピーアイスクリーム」だろうか……? と思っていると、始まったのは意外な一曲、「日本の米」!

予想外である。あまりにも予想外である。好きだけど予想外である。ええー! これが今年ラスト!? でも筋少らしくて良いな! と思いつつ「米米米米!」と掛け合いに興ずる。めっちゃ楽しかった。めっちゃ楽しかったけどやっぱりこれが今年最後の曲というのは嘘だった。

本当のラストソングは「サンフランシスコ」。やったー! 「日本の米」も好きだけどやっぱり嬉しい! 最後の最後、全力でジャンプをし、内田さんのベースソロを堪能。ベースソロはいつもよりも尖った音色だったのが印象的だった。橘高さんとエディによるギターとピアノの鍔競り合いも美しい。たまらなかった。

終演後、クリスマスソングが流れる中でニコニコしながらステージに残ってくれるメンバー達。クリスマスらしい曲は何もなく、オーケンによって「クリスマスに他に行くところがない寂しい奴らめ!」といじられることもなかったが、やっぱりこれが己のクリスマスだなぁ、と息を吐きながらしみじみした。髪も服も汗でぐっちゃぐちゃ。咽喉はカラカラ。堪能した。全力で堪能した。

あぁ、最高に楽しかった!



未分類3杯, M.S.SProject, 初参戦, 非日常

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巡り合わせとは不思議なものだ。まさか、パシフィコ横浜国立大ホールという大きな会場で、五千人の観客に見守られながらゲームに勤しむ男四人を見つめることになろうとは思わなかった。

このとき己は、あれ、もしかしてこれってコンサートじゃなくってゲーム実況のイベントだったのか……? と若干混乱していた。

きっかけは「あろまさんぽ弐」を買ったこと。そしてその感想をサイトに載せたこと。ふと手にとって買った本がちょっと変わっていて面白かったので、軽いノリで感想記事を載せたらびっくりした。いきなり訪問者数が爆発したのである。

正直に言おう。一瞬炎上したのかと思った。

ただ、様子を見たところ好意的な受け止められ方をしているようだった。M.S.S Projectを知らない人間が「あろまさんぽ弐」を読んだことを喜んでくれたらしい。なるほど。これはあれだな。筋肉少女帯が夏フェスなどのイベントに出たとき、筋少ファン以外の人が「筋少面白かったー」と気軽にツイートした途端、筋少ファンが怒涛のようにRTしまくったりお気に入りに入れまくったりして、ツイートした人をびびらせるというあの現象と同じことが起きたのだな、と納得。わかる。確かに知らない人が見てくれるってのはとても嬉しい。

そしてその後は落ち着き、記事のスクリーンショットが転載されて「あちゃー」と思ったりしたこともありつつ平和に日々が過ぎた。ただ、検索に引っかかりやすくなったのだろうか。M.S.S Project関連で何かしらの動きが起こるたび、うちのサイトに来る人が増えるという謎の現象が起こるようになった。そのため何となく、M.S.S Projectという存在を意識する日が続き、ある日検索キーワードによってライブが行われることを知ったのだった。

ここで決断した。よし、ライブに行こう。

当時、己は「あろまさんぽ弐」「あろまさんぽ参」しか読んでいなかった。動画を見ていないため彼らについてもよく知らない。一番馴染み深いあろまほっとすら後ろ頭の印象ばかりである。後ろ頭の印象って何だよ。そんな中でじわじわと興味が湧いてきていた。そこへライブ開催の情報。だったらもう行くしかない。生で観られる機会を逃す術があるものか。

どんな音楽をやる人達なのか知らずにチケットを取るってのも妙な話だ。順序が逆になりつつも新譜を購入してみると、それは打ち込み系のピコピコ音楽とロックと初音ミクがごっちゃになったなかなか楽しいアルバムだった。とすると興味が湧くのはこの音楽をライブでどのように演奏するかということで、打ち込み系というと己は平沢進くらいしか知らないが、あの人はライブ用にアレンジした楽曲を流しながらレーザーハープを操って視覚的に盛り上げ、ギターと圧倒的な歌声で魅せてくれる。M.S.S Projectはどのようにするのだろうか。うーん気になる。

アルバムは結局「M.S.S.Party」と「M.S.S.Planet」の二枚だけ聴き込んだ。現在発売されているのは四枚なので、聴こうと思えば全部サラーッと予習することは出来そうだが、その聴き方ではもったいなく感じられたのである。まぁ、ライブで知らない曲に出会うのもそれはそれで楽しいので良し。気に入った曲に出会ったらまたそれを買えば良いのである。

と思っていたら。コンサートが始まると思っていたら。広いステージの中央に置かれたテーブルに寄り集まってゲームを始めたからびっくりした。

ゲームはモンスターハンター。やったことがないのでよくわからないが、グラフィックがとても綺麗だった。何せ自分はプレイステーションで時代が止まっている人間なので。モンスターの鱗とかすげー。

それにしてもまさかゲーム実況なるものを初めて見るのがパシフィコ横浜になるとは夢にも思わなかったぜ……。

ちなみに席はかなり良い席だった。自分の座席を確認した途端、来年分の運まで使いきってしまったんじゃないかと思い、若干頬が痙攣した。やばい。ちょっと興味を持って来た程度の人間がここにいて良いのか。どう考えても場違いじゃないのか。うわあもっと早く来て物販でペンライト買っとけば良かった……と後悔した。

観客は若い女性が多く、M.S.S Projectを模したぬいぐるみや缶バッヂをつけている人や、般若の面をつけている人がいて楽しげである。当たり前のこととわかっているのに、どのミュージシャンのライブに行っても毎度毎度感嘆してしまう。この会場にいる人全てがM.S.S Projectを好きなんだなぁ、と思って。好きな人で凝縮された空間である。何だかとてつもないなぁ。

そんな中で「おそ松さん」の十四松のコスプレを見かけたときはものすごくびっくりした。思わず二度見した。
※追記 …てっきり十四松のコスプレかと思ったのだが、KIKKUN-MK-IIのイメージカラーである黄色のパーカーを着ていた方だったそうである。勘違いをして申し訳ない。お詫びして訂正いたします。

ステージにはテーブルと椅子が並べられ、その奥には「MSSP」のロゴが入ったレンガの壁が立っており、さらに後方には巨大なスクリーンが吊り下げられている。こういう舞台セットを見るとわくわくしてたまらない。

そして開演。M.S.S Projectの四人が森の中を散策するムービーがスクリーンに映る。類推するに、一つムービーを撮っていて、ツアーの会場ごとに違うアテレコをしているらしい。今回は横浜が会場ということで、中華街とシュウマイを推した内容になっていた。

ムービーが終わり、歓声の中現れたのがKIKKUN-MK-II。ムービーと同じ白いローブを羽織っている。この人は普通の人間のように見える。いや皆普通の人間なんだけど。綺麗な顔立ちの人だなぁ、と思って見ていると、舞台袖から覆面が転がり込んできた。マジで文字通り転がり込んできた。

うわーーー本当に覆面だーーーーー! よくわからない感動をしてしまう。あの本に載っていた覆面の人が本当に覆面で現れた! しかも喋ってる! よく喋れるな! そんでもって登場のタイミングを間違えたらしい! 一回袖に戻ってまた転がり込んで来た! アクティブだな!

KIKKUN-MK-IIとeoheohの自己紹介が終わり、次に現れたのは般若である。暗闇の中から真っ白な般若の面を被った人がスキップしながら登場してきた。おおう本当に般若だ般若がスキップしてるよ……動作はキュートなのにめっさ怖いな……。本のイメージと目の前の人物のイメージが微妙に重なるようで重ならない。そうだ、うん。この人確かに般若なんだけど、やっぱ後ろ頭のイメージが強いから正面から見るとピンと来ないんだ。なるほど……。

最後に現れたのがFB777、だったかな? もしかしたらあろまほっとと順番が逆かもしれない。この人はサングラスをしているだけなのでとても人間らしい。KIKKUN-MK-IIと並んでいると安心感がある。

四人揃ったところで寸劇が始まり、その流れでゲーム実況が行われることが発表されたのだった。盛り上がる会場! 度肝を抜かれる自分! そっかゲーム実況もやるんだっていうかもしかしてゲーム実況がメインなのか!? あれーーーー!?

で、冒頭に戻るのである。ゲームを実況する、というよりも、ゲームをしながらトークをする、といった方がピンと来るかもしれない。スクリーンは五つに分割され、一番大きい中央のマスにゲーム画面が映し出され、あとの四つにゲームをする四人の顔が映る。映るといってもメンバーの二分の一は顔が隠れているのであるが。

わいわいしながらゲームを進める四人に歓声や応援の声が起こる。このゲームを知らないので己はイマイチ乗れなかったが、友達の家で友達がゲームをやる姿を観ながら、皆であーだこーだわいわい言っている感じに近いように感じられた。ちょうど数ヶ月前、友人宅でロックマンをやりながら酒を呑んだことがあった。そのときの雰囲気に似ている。

このままゲーム実況だけでライブが終わったらそれはそれで面白いなぁ、と思っているとボスを倒してゲームは終了。ついにお待ちかね、コンサートタイムになると発表された。おおう。演奏あった! 良かったーーー。

ステージの準備に時間がかかるため、メンバーは退場。代わりにスクリーンに映像が映し出された。横浜のヒーローを作る、というお題でメンバーそれぞれが描いたイラストにメンバーが言いたい放題言う、という内容だった。これ、実にありがたかった。対バンのライブに行くと転換の時間が何より苦痛で、ゆえに己は対バンライブにはあまり行かないのだが、こうして空いた時間まで楽しませてくれるのはとても嬉しい。隅々まで楽しませようとしてくれるサービス精神に感嘆する。

ちなみにKIKKUN-MK-IIはカイジ風の中華一番、FB777は頭がシュウマイ、耳がプリンアラモード、胸毛はナポリタンで、ドリアを差し出すヒーローを作り、eoheohは船を模した正統派ヒーロー、あろまほっとは神奈川県の形をした犬のような横浜県を作っていた。また、eoheohはフォトショップを活用して背景に七色の集中線をつけていたのだが、それについてずるいとペイントしか持っていないメンバーになじられていた。

さて、ムービーは終わったのだが、ステージは殺風景なまま。楽器らしきものはどこにもない。打ち込み系だからだろうか。しかしキーボードすらない。どのように進行するのだろう。と思っていたら、レンガの壁が動き出し、門が開くように空間が広がった。焚かれるスモークの奥にはベース、ドラム、キーボード、ギター!

人が増えた!!

サポートミュージシャンの登場である。中央にはギターを抱えたKIKKUN-MK-IIに、ショルダー・キーボードを構えるFB777。左右には太鼓を前に、バチを持つeoheohとあろまほっとの二人。始まったのはちょっと和風のテイストが入っている「Shadow Hearts」! なるほど、それで太鼓なのか!

eoheohとあろまほっとはパフォーマーの位置づけらしく、バチは振っていたが音を鳴らしてはいなかった。空間には初音ミクの歌唱が響く。生演奏出来るところは生演奏でやるようだ。ちょっとこれは予想外。格好良いなぁ。

二曲目は最初、何の曲だかわからなかったが「幾四音-Ixion-」だった。CDではかなり声を加工しているこの曲を生声で歌いきっている。それだけでも印象が違うのだが、曲もバンドで演奏するのに合うようにアレンジされている。ちょっと歌いにくそうにしているのが気になったが、何よりアレンジの違いが楽しかった。

「Arrival of Fear」もKIKKUN-MK-IIとFB777による歌唱で、eoheohとあろまほっとはパフォーマンスに徹していた。ヒュンヒュン回すと文字や絵柄が浮かび上がる光る棒や、煙を吐き出す銃を構えて終始会場を盛り上げてくれる。光る棒をヒュンヒュン回しているとき、eoheohは縄跳びを飛ぶような動作をしていて、そのコミカルな動きが妙に印象に残った。

そういえば、KIKKUN-MK-IIもFB777もアイドルのような衣装で、eoheohもサングラスに覆面をしつつも帽子を被りいかにもステージ衣装といった様子だったのだが、あろまほっとだけステージ衣装らしくないピンクのシャツだった。一人だけ普段着として着られそうな服である。ピンクのシャツを着て光る棒をヒュンヒュン回しながらステージを歩き回る姿はどこかキュートな感じがするのに、顔は般若で何回見ても怖いのが異様だった。

「Phew!」の前に、「これはゾンビの曲です」といった前置きが入った気がする。わりとのどかなイメージの曲だったが、ゾンビ曲だったのか……。

楽しかったのが「ENMA DANCE」。これこれ! この曲好きだから演奏してくれて嬉しかったなぁ。KIKKUN-MK-IIが「踊れ!!」と叫んだ瞬間、会場が沸き立ち跳ね上がる。照明演出も素晴らしかった。この曲に限らず、カラフルな光線がステージと会場を色とりどりに染め上げて、さらに観客の振るペンライトが彩りを添える。華やかだったなぁ。

次の曲は知らない曲だったが、一発で覚えることが出来た。「きっくんのテーマ」とのことで、会場のペンライトの色が黄色一色に染められる。KIKKUN-MK-IIのイメージカラーのようだ。そしてアップテンポのノリノリの曲が始まり、「きっくん! きっくん!」と大合唱! すげー楽しい! この曲が入っているCDを後で買おう。

間奏ではメンバー紹介が入り、サポートメンバーを一人ずつ紹介。ベーシストは何故か下痢であることをやたら強調されていた。また、あろまほっとによるコールアンドレスポンスも。「女子のみなさ~ん!」と大声で呼びかけると会場が応える。何故かeoheohも応えメンバーに突っ込まれる。「男子のみなさ~ん!」と呼びかけると会場の男性陣が応え、またもeoheohも応え、「お前の性別は何なんだよ」とメンバーから突っ込みが入る。

さらに、「眼鏡のみなさ~ん!」と呼びかけ、眼鏡人口の多さが確認される。最後、「出会い厨のみなさ~ん!」というおいこらちょっと良いんかそれ、という呼びかけにも会場はレスポンスを返し、あろまほっとによって下ネタが突っ込まれた。おっさんじゃないですか。

この後だったかな?「僕ときっくんがホラーゲームをしても明るくなっちゃうんですが……」というような前置きとともに曲が始まった。これは知らない曲である。スクリーンには古びた洋館が映り、一度退場していたeoheohらしき人物は巨大な鳥の嘴がついた仮面をかぶり、あろまほっとは黒いマントを羽織ってカメラを構えて客席に下りてきた。あろまほっとは手にしたカメラをeoheohに向けながらじりじりと移動して行った。もしかしたらゲームを再現した演出だったのかもしれない。

本編最後はアルバム表題曲の「M.S.S.Party」! アルバムの中でも抜きん出て明るいというか、何でこの曲だけこんなにぶっ飛んでるんだろう、と不思議になる曲である。無論ライブにぴったりでコーラスでは大盛り上がり。いやー拳を振り上げて叫ぶって楽しいなぁ!

アンコールの三曲はどれも知らない曲だったが、一曲目は「M.S.S.Party」に負けず劣らず異色な曲で、誰の作曲だったのかが気になる。何となくFB777っぽくない感じはする。そういえばアンコールだったか本編だったか忘れたが、ホラーな曲でeoheohが被っていた鳥の嘴のマスクを、あろまほっとが般若の仮面の上に被っていたことがあり、それが異様に怖かった。どんな和洋折衷だよ。

アンコール二曲目は会場の全員が青いペンライトを振り、幻想的な空間が作られた。やっぱりCD全部聴いておけばよかったなぁ、と若干思いつつ最後の曲へ。これも前述の通り知らなかったが、演奏前にタイトルが発表されたので把握することが出来た。ここにいる皆がMSSPだよ! という思いを込めての「We are MSSP!」である。最後にふさわしい明るく盛り上がる曲で、「M! S! S ! P!」」とコールするところが非常に楽しかった。この曲だけ聴くとまるでアイドルの曲のようである。でも全体を通して見るとアイドルって感じじゃあないから面白い。かと言ってロックって感じでもないのだが。何と形容するのが近いのだろう。

演奏終了後、サポートメンバーも全員そろって横一列に並び手を繋いで深々と頭を下げる。メンバーも観客も皆楽しそうで、ステージを立ち去りがたいように見えた。自分もとても楽しかった。

生でM.S.S Projectを観てみた感想としては、皆が和気藹々としていて、大学生のようなノリがどこか懐かしく、それでいてサービス精神がたっぷりなのが魅力だなぁと思いつつ、やっぱり般若が怖かった。うん。まじまじと見てみたけどやっぱり怖いな。そして頭部をすっぽり布で覆った状態であれだけ動き回れるeoheohの肺活量ってすごい。苦しくないのだろうか。

ライブについては、今まで自分が行っていたライブと全く違った異色の空間で、自ら赴いていながら何なのだが、「迷い込んだ感じ」がドキドキした。あと、よく考えたら普段行くのは四十代後半から六十代のミュージシャンのライブばかりなので、若い人が跳ね回るハツラツとした姿も新鮮だった。演奏をしない人達がいかにして場を盛り上げるか工夫している姿も面白い。

欲を言えばもっと! もっと曲を堪能したかった。特に「SLIVER」が好きだからあれを聴きたかったなぁ。無論、M.S.S Projectの魅力の一つはゲーム実況にもあるのだろうが、曲をがっつり楽しめるライブもやって欲しい。今後やってくれないかな。

とりあえず、あと二枚のCDを買おう。ライブもまた、次回開催の際には参戦したいものである。実に楽しい異空間だった。