日記録0杯

2019年6月2日(日) 緑茶カウント:0杯

どうにも君は水辺を好むらしい。数日前から我が家に住まうようになったハエトリグモはぴょこぴょこと壁や天井を飛び回り、それは楽し気に暮らしていた。そしてその姿はとても愛らしく、己は彼を見るたびに嬉しい気分になった。

ところがどうしたことだろう。ある日の夜、彼が台所の水槽に落ち、壁を上ろうともがいていた。ステンレスの壁面がツルツルしているせいか上ることが叶わないようで、彼の姿に気付かぬまま皿を洗おうと水を流したところ、彼がわたわたと慌てだした。こりゃあいかんと指を差し出して救い出し、安全な場所へと移動させた。

しかしその翌日。彼はまた水槽の中でツルツルとステンレスの壁を上ろうともがいていたのである。

こらこら君、懲りない奴だねぇと声をかけ、指先を差し出せばピョコンと飛び乗りしっかりと八本の脚で掴まる愛らしさ。あぁ、可愛いなぁ。何となく蜘蛛の糸の物語を思い出しつつ乾いた台の上に避難させたその数時間後。

何ということだろう。今度は風呂場で溺れかけていた。湯舟に浸かって髪と体を洗い、さてとシャワーで泡を流そうとしたところ、風呂場の隅で水に脚を取られ、わたわたしている彼の姿があった。

何をしてるんだーー!! 死ぬだろ!!
ほら、助けてあげるから掴まって!! 偉い!!
違う! 何でまた風呂場に向かうんだー! そっちじゃない! 死ぬから! 死ぬから!!

どうして風呂場で溺れかけ、風呂場から救出された直後にまっすぐ風呂場へ向かって走って行くのだ。わからない。わからない。わからないが、無茶はせず生き延びて欲しいと願う。

そんなハエトリグモとの楽しい暮らし。
ちなみに本日は無事な姿を確認できた。よしよし、その調子だ。このまま元気に生き延びて欲しい。



日記録0杯, 日常,

どんぶり一杯のいちごを食べたかったんだ。どんぶり一杯いちごを食べたいくらいストレスが溜まっていたんだ。だからやろうとしたのさ。だって、確かに、いちごは高級品だけれども、呑みに行くよりはずっと安かったからさ。

そうして実現してみたらね。最高に幸せだったんだよ。



二パックいちごを買って。スーパーで良いいちごを吟味して籠に入れて。ヘタを取って白いところを切って…………ってところから贅沢だよね。普段は白いところも食べるもの。それをちまちま取って、賽の目に切って、丼に盛る。いちご二パック分をね。

それにプレーンヨーグルトをかけて、カレースプーンでもりもり喰うんだ。

ほら! 掘っても掘っても底が見えない至福! スプーンいっぱいのいちごを大口で食べてもしゃもしゃ咀嚼する至福。たまに砂糖を控えめにかけるのも楽しいし、あえてどさっとかけても楽しい。でも基本はやはり、いちごの甘さの楽しさなんだ。

あぁ、この満足感ったら! 贅沢をしたといえども二千円にも満たない金額。この程度で最高の至福を味わえるなんて、なんて夢のようだろう! 果物は人を幸せにしてくれる。いちごはその最高峰である。ありがとう、いちご。

いちごだけで満腹できる満足感ったら。全人類が味わうべきである。あぁ。



日記録0杯, 日常

2019年5月2日(木) 緑茶カウント:0杯

大ファンか、と言われればそうとは答えられないと思う。事実、己はその姿を夏フェスのステージの一度きりでしか観ていない。ただその人は己にとって不滅の人で、己の好きな人々に多大な影響を与えてきた人だったのだ。

遠藤ミチロウさん。ご病気なのは知っていた。闘病中であることも知っていた。しかし亡くなるとは思わなかった。何故ならミチロウさんだから。

寂しいと悲しいと呆然が入り混じる感情。あぁ、せめてどうか安らかに。あの世でもその歌声を響かせられていますように。



未分類0杯, 筋肉少女帯, 非日常

四ヶ月ぶりの筋少ライブは本当に久しぶりで、それはこの数ヶ月の間、ずっとずっと誰かのライブに行く以外はひたすら水戸さんの音楽を聴き続けていたこともあって、故に本当に久しぶりに、己は筋少を全身に浴びて堪能した。

たまにそういう時期があるのである。誰かの音楽だけをひたすら聴きたい時期が。そしてこの数ヶ月己が必要としていたのは水戸さんだった。水戸さん以外の音楽をウォークマンで選択する日は無かった。

だから、びっくりするほど新鮮だったんだ。そして驚いたよ。こんな新鮮な気持ちで、それでいて懐かしさと満足感と興奮を同時に感じながら筋少の音楽を浴びることが、まさか十年も筋少ライブに通い続けた今感じることができるとは思わなかったんだ。生まれて初めて筋少のライブに足を運んだ日と似ていて、どこか違うあの新鮮な興奮を再び感じられたことが何だかやけに嬉しかったんだ。

そして再結成からずっとずっと、いつかライブで聴きたいと熱望しつつもそんな日が来るのだろうかと思っていたあの曲が。「ビッキー・ホリディの唄」を、今日ついに聴けたんだ! 思いもよらなかったよ! だって、ライブタイトルからしてシサ曲中心のセットリストに違いないと勝手に思い込んでいたのだから。そしたらどうだろう。「オカルト」「ゾンビリバー」「宇宙の法則」をおさえつつ、ツアーでは披露されなかった「ケンヂのズンドコ節」がついに解禁され、一曲目は大盛り上がりの「ディオネア・フューチャー」で、「わけあり物件」「ムツオさん」といったちょっと最近では登場頻度が減っていた曲も演奏され、「ゴーゴー蟲娘」に「おもちゃやめぐり」に「じーさんはいい塩梅」、さらにTHUNDER YOU POISON VIPERの演奏で「孤島の鬼」まで! 定番曲もありレア曲もあり、最高に嬉しく楽しいセットリストに興奮しないわけがない。

そのうえ今日は二列目で視界を遮るものはほぼなく、おいちゃんの笑顔とキャスケット姿のオーケン、オカルトで不思議な踊りを踊るエディをがっつり堪能することができた。上手はちょっと見えにくかったが、それでも内田さんも橘高さんもたびたび下手にやってきてくれたのでありがたかった。

アンコールの後はおいちゃんが手を握ってくれたよ! あぁ、こんなに幸せをいただいてしまって良いのだろうか…………!!

そうそう、「ゾンビリバー」のエディがすごかったんだ。あの激しいピアノを弾きながら口元が楽しそうに微笑んでいたんだよ。エディは心からピアノを弾くことが好きなんだなぁと、その口元を見つめつつ感じ入った。

来週にはまた六本木で筋少を堪能できる。またあの空間を味わうことができる。オーケンのトークで腹を抱えて笑い、拳を振り上げて叫び、激しく心地よい音に全身を委ねる夜が。今日、釈迦で「シャララシャカシャカ!」と叫びながら腕を振り抜いたとき、自分の帰るべき場所の一つはここなのだ、と改めて感じた。思えば人生の半分を筋少と共に過ごしている。冗談でなく、己にとって筋少は人生であり、筋少なしの人生はありえないのだろう。そんなことを感じさせられた一夜であった。

あぁ、幸せだ。幸せな夜だ。心から。



日記録0杯, 日常

2019年4月7日(日) 緑茶カウント:0杯

その言葉を聞いた瞬間、己の目は確かに店員の手に釘付けになった。よくあるコンビニエンスストアーのレジにて、時刻は夜中の二十三時を過ぎた頃。疲れたことだしビールでも買って帰るかといくつかの物品をカゴに入れ、順番を待った後に己にかけられた一つの言葉。

「あたためますか?」
「あ、お願いし…………」

思わずお願いしようとして声が止まってしまったのは、店員が手にしていたのは雑誌だったから。しかし気を取り直す。いやいやいや、違う違う違う。雑誌は単にこれから袋に入れようと持ち上げただけで、あたためるか否か聞いているのはカゴの中の食物だ。食べ物だ。何を勘違いしているのか己は。そりゃあ確かに紛らわしいが常識的に考えてそんなはずはないだろう…………と一人慌てつつカゴの中を見返したら、ビールとミンティアしか入っていなかった。

「あ、いいです…………」
「スプーンおつけしますね~」
「え、あ、ありがとうございます」

そうして己は雑誌とビールとミンティアとスプーンを持って帰路についた。店員だけがどこまでも平静だったのが後になって妙におかしかった。