日記録1杯, 日常,

2014年2月16日(日) 緑茶カウント:1杯

初めて昆布茶を購入した。それというのも、購入した料理本にやたらと昆布茶を使用したレシピがあったためであり、そのうちの一つを作りたくなったからである。

思い返してみるとあまり昆布茶とは縁の無い人生だった。口にしたことはあるため味こそ知っているものの、自ら買おうと思ったことは今まで無かった。まぁこう毎日緑茶ばかり飲んでいたら他の茶の出る幕なぞほとんど無いか。

せっかく買ったのだからまずは昆布茶として味わってみようと思い、昆布茶の粉末をマグカップに落とし、熱湯を注ぎ入れてよくかき混ぜて飲んでみた。お茶漬けの味がした。口の中がぬるぬるして実に昆布らしい。ただ茶を飲んでいるだけなのに食事をしているような気分になるのが面白い。面白いが、これはいったいどのようなタイミングで飲むお茶なのだろう。お菓子のお供か、お口直しか、食事の代わりか、それとも心を休めるときか。縁が無いだけにあまりピンと来ないが、我が家のラインナップに新たな一つが加わったことを、何と無く嬉しく思った。



日記録2杯, 日常,

2014年2月12日(水) 緑茶カウント:2杯

お浸しがこんなに便利だとは思わなかった。

お浸しさえあれば何とかなる、と思えるこの心強さ。タッパーから皿に適量を移すだけで一品出来るうえ、目に鮮やかで彩りも美しい。しかも簡単。野菜を熱湯に放り込んでさっと火を通して、薄めの出汁に漬け込むだけで作れるうえに、日持ちする。野菜にもよるとはいえ、三日から五日は冷蔵庫で保存可能。出汁に柚子胡椒やわさびなどを加えれば風味を変えることもでき、小松菜や菜の花はもとより、スナップエンドウ、インゲン、オクラ、セロリ、ブロッコリーなどなど、様々な野菜で楽しめる。また、主張の強い味でないため、飽きにくいのも嬉しい。

そして今日も自分はお浸しを食べる。みずみずしくも歯ごたえのある野菜から染み出る出汁の味にわさびの香り。あぁ、幸せだ。



日記録1杯, 日常,

2014年2月9日(日) 緑茶カウント:1杯

今日の緑茶カウントは一杯だが、いつもの一杯とは違うんだぜ。

玉露なのである。

それも、適温の湯でじっくりと茶葉を開かせた玉露なのである。

急須の蓋を開けると匂い立つ甘い香り。口に含めば舌の上に広がる柔らかな味。嚥下する際にかすかに感じられる苦味。なんて御託を並べるのは余韻が消えた後のことで、注意深く急須からマグカップに緑の液体を注ぎつつも、いつもの煎茶を飲むときと同じテンションで口に含んだら脳がびっくりし、「うわっ! うまっ!? うまーっ!」と叫んだ。

これは大事にとっておき、何かの折に飲むことにしよう、と大事に大事にとっておいた結果すっかり忘れ去り、新しい紅茶を一袋買ってきた今日、空いた茶筒は無かったかと調味料やら茶筒やらが置かれた台の上を漁り、手に取った一つの茶筒の蓋を開けてみての再会である。己はリスか。

永遠に湿気らなければまた忘れ去るのも悪くないが、せっかくの美味。なるべく記憶の片隅に置き、折に触れ思い出すことにしよう。特別な日に飲まなくても、これを飲めば特別な日に変わるのだから。



日記録1杯, 日常,

2014年2月3日(月) 緑茶カウント:1杯

その店の暖簾をくぐったのは二回目である。一度目に来たとき、また来ようと思ったのはラーメンの味よりも店員が印象に残ったからだった。そのラーメン屋は近所の商店街にあり、前を通り過ぎることは幾度と無くあったが、中に入ったことは無かった。贔屓の中華料理屋が近くにあったことと、その界隈にラーメン屋が集中していたことが理由である。店の数が多いと、迷った挙句に冒険心を失い、いつも行く店にばかり足を運んでしまうのだ。

しかし贔屓の店は夜しか営業していない。よって自分がラーメンを食べるのは専ら夜が常であったのだが、ある日の昼間、無性に腹が減ると同時に寒さに震え、どうしても温かいものを腹に入れたくなったのだ。温かいと言ってもハンバーガーやスパゲティは違う。汁物だ。温かな汁を啜りたかった。

そして自分はそのラーメン屋に初めて入り、カウンターの奥で働く店員を見て、あぁ、ここは愉快な店だな、と好感を覚え、また来ようと思って店を出て実際また来たのだが、たった一ヶ月やそこらで店員の愉快さがバージョンアップし、好感は恐怖に摩り替わったのだった。

「ホァチャチャチャチャチャチャチャチャチャチャチャチャチャ」
「うっひょおーーーーーーーーーい!」
「おまたせしましっとぅああ~~~~、ン♪」
「お気遣いな、くぅううううう~~~~~、ン♪」

まな板でネギを刻むリズムに合わせ、一心不乱に「ホァチャチャチャチャチャ」と叫んでいる、のではない。まるで北斗の拳を連想させる奇声を、カウンターの奥でふらふら歩きながら唐突に呟き出すのである。

さらに、いったいどこでスイッチが入るのかさっぱりわからないのだが、やはりこれも急に、浮かれた声を挙げるのである。カウンターの奥にはもう一人店員がいて、ラーメン大盛りの注文が入っただのトッピングは何だの新しい湯を沸かせだの、業務に関するやりとりをしつつ、いきなり一人が奇声を上げ、ごくたまーにもう一人が「うるせえ」と呟くのである。

また、奇声を上げる店員には語尾に独特の癖があり、言葉の後半を伸ばしに伸ばした後、ぶりっ子のように可愛げな声を出すのだ。年の頃は自分と同じか少し下くらいだろうか。とりあえず成人男性であることは確かである。ラジオの曲に合わせて歌うのも好きらしい。とても元気良く絶唱していた。だが、ずっと歌っているわけではなく、ほんの一節大声で歌っていきなりピタリと歌い止め、「うっひょおーーーーーーーーーい!」と叫んだりするのである。

初めてこの店に来たときは、カウンターの奥で店員が、ラジオから流れるポップスのサビのところだけ、楽しそうに歌いながらラーメンを作っていて、あぁ、楽しそうだな愉快だな、と好感を覚えたのであるが、何がどうしてこうなったのだろうか。いや、そもそもあのエグザイルらしき曲を口ずさんでいた店員と奇声をあげる店員が同じ人物なのか定かで無いのだが。

理解を超える言動に走る人間の作るものを食べるのは、よくよく考えてみるとなかなか勇気のいる行動だと後になって思う。その場には三十分もいなかったが、まるで長いこと異空間に迷い込んだ心地がした。ラーメンは美味しかったが怖かった。



日記録2杯, 日常,

2014年1月31日(金) 緑茶カウント:2杯

飲酒を好むものの呑むのは専らビールばかりで、焼酎は呑めなくも無いが得意では無く、日本酒は好きになり始めたばかり。他、好きなのはジン。ショットグラスでちびちび舐めるのも良いが、ジンベースのカクテルも好きだ。ジンベース以外のカルーアミルクなどの甘いカクテルも呑む。そしてワイン。ワインは実家で呑む機会が多いためそれなりに美味しくいただくが、「ワインの美味しさ」がわかるか、と言われると微妙なところである。

だが、今日ある店で呑んだワインはとても美味しかった。常温の赤ワインに、薄い飲み口のグラス。グラスを傾けたときと口に含んだときに、ワインの香りと味が口の中で膨張するのを感じて驚いた。膨らむように存在感が大きくなった、と言えば良いのだろうか。なかなかの衝撃だった。

「本日のワイン」と書かれていたものを適当に注文し、名前を尋ねることもしなかったため、あれが何のワインか知らないでいるのだが、実に美味しく、美味しいと感じられたことが嬉しかった。