筋肉少女帯の「『シーズン2』発売記念の特別な筋少ツアー!」に行ってきた!! ツアーは昨日から始まって、東京、大阪、名古屋、最後に戻ってまた東京で行われる。三箇所でしかやらないのはメンバーの体力的に遠征がきっついからだそうだ。そりゃなあ。
まず会場について笑ったのがこのアルバムジャケットのイラストから作られた顔はめ看板。一人で行ったので顔をはめて写真を撮ることはできなかったが、複数人でライブに来た人は顔をはめて楽しそうにしていた。後にライブのMCで聞いた話だが、ツアー初日である昨日は物販の売れ行きが芳しくなく、何が原因だろうとスタッフで話し合いを行った結果、物販スペースの手前に設置していたこの顔はめ看板の方に人が集まって行列ができ、物販の客を奪ってしまったせいだと意見が一致したそうである。なんて罪な看板だ。
今までは開場に間に合う程度を目安にライブハウスに着くようにしていたが、今回はロッカーを使いたかったのと、ゆっくりと物販を買いたかったので開場一時間前に着くように家を出た。おかげで混雑せずにマフラータオルとリストバンドを購入し、ロッカーを確保することができたのだが残りの時間かなり暇を持て余すことになった。流石にライブハウスにまで文庫本は持ってきていない。
ジントニックを呑んで時間を潰し、開場時間が来るのを待った。しかし今日はどのあたりの位置になるだろうか。まだ就職活動中で今後の予定が立てられなかったため、自分は先行販売ではチケットをとらず、後になってからやっぱり行けるかなと思ってチケットを購入したので整理番号はあまりよろしくない。あんまり後ろの方だったらいっそ前の方に行くのは諦めて、後ろの階段上にあるテーブルや椅子などの設置されたまったりと観覧できる場所で立ち見でもしようか。できたら飛んだり跳ねたりしたいけど、ステージが全く見えなかったら残念だしなぁ。
などと考えていたが、結果から言えば杞憂だった。前から四番目の位置を確保できたのである。というのも理由はよくわからないが、開場時間になってもまだ来ていない人が多いらしく、後ろの方の番号だったわりにさっさと入場を許されてしまったのだ。さらに、入ってみるとステージ前の方にも人はいるのだが、後ろのまったりスペースや左右の端のちょっと座れる場所に人が集まっていたのである。
もしかしたら若い番号を手に入れた人達に今回まったり見たかった人が多かったのかもしれない。とにかくこんなに前に立てることは今までなかったので大変嬉しく期待が膨らむ。同時に無事にライブを乗り切れるだろうかという不安も生じる。前のライブ、武道館ライブの前に行ったライブハウスでのライブでは開演直後の大移動で橘高ゾーンに流されてしまい、ステージは見えないわ人の動きは激しいわで大変しんどい目にあった。ここで橘高ゾーンについて説明する。
筋肉少女帯のメンバーはそれぞれ土壌となる音楽が異なっており、共通するのはKISSとクイーンだけだという。それぞれが作る曲も、ベーシストの内田雄一郎はプログレッシブロック、ギタリストの本城聡章はポップス、ギタリストの橘高文彦はヘヴィメタルと大まかではあるが分けられる。そのためポップス好きは本城さんの前に、ヘヴィメタル好きは橘高さんの前に、といった具合にファンも分かれるので、場所によって激しさが全然違うのである。
ステージは上手から橘高、内田、大槻、本城という並びでメンバーの基本の立ち位置は固定されている。無論一番激しいのはメタル好きが集結する橘高ゾーンで、比較的安全なのは本城ゾーンだ。ギターソロでパタパタと素早く動く橘高さんの指を見たいという願望もあるのだが、死にたくないので本城ゾーンに立つことにした。
そして結果どうなったかというと。初めての前から四番目。自分はこんなに汗まみれになったのは生まれて初めてかもしれない。汗だくではない。汗まみれ。自分も汗をかいていたのだが、こんなに汗ばんだ人々と密集しながら押し合いへし合いしたことはない。今まではまだ前後左右にスペースがあり、常に体がくっついている状態ではなかった。なるほど前の方ではこんなことになっていたのか。とてつもなく驚いた。
最初は汗ばんだ他人の肌と触れることを不愉快に感じたが直にライブに夢中になって全く気にならなくなった。いやーすごかった。開始二曲目で首にかけていたタオルがどこかに行き、耳につけていたイヤーカフスは変形して耳に刺さった。これが変形したイヤーカフスの写真である。
こうなってはもうイヤーカフスではない。ただの銀のプレートの曲がったものだ。
押し合いへし合いしながらもステージ上はよく見えた。よく見えるどころか大迫力で、演奏するメンバーを間近で見られることに心から感動した。本城さん、通称おいちゃんは演奏中ずっとにこにこしていて見ているだけで嬉しくなるのだが、時には激しく煽り、腰を落としてギターをかき鳴らす。ライブ映像とは違う鬼気迫る姿に圧倒された。
オーケンの歌う姿も見やすい位置だった。「踊る赤ちゃん人間」のときにはドピンクのよだれかけを身につけ、あばばあばばほぎゃぁ~と赤ちゃんボイスで叫びながら手にしたガラガラを振り回すシルバーモヒカンに特攻服、ヒビ割れメイクの四十三歳というすごいものもよく見えた。とても楽しそうだった。
内田さんと橘高さんの演奏する姿は流石になかなか見えなかったが、メンバーはよくステージ上を動き回るため、内田さんや橘高さんが目の前で演奏してくれることもあったのでとても満足した。そのうえおいちゃんはアンコール終了後、ステージから客席に降りて近づいてくれるという大サービスまでしてくれた。あのときのおいちゃんはすごくでっかく見えたなぁ。
演奏された曲は以下のとおり。順番は覚えていないが、一曲目から「ツアーファイナル」、本編ラストが「世界中のラブソングが君を」、アンコールラストが「心の折れたエンジェル」であることは間違いない。
ツアーファイナル
へそ天エリザベスカラー
仲直りのテーマ
ロシアンルーレット・マイライフ
暴いておやりよドルバッキー
踊る赤ちゃん人間
人間嫌いの歌
プライド・オブ・アンダーグラウンド
ノーマン・ベイツ’09
1000年の監視者
蓮華畑
バトル野郎~100万人の兄貴~
カーネーション・リインカーネーション
サンフランシスコ
世界中のラブソングが君を
ドナドナ
パリ・恋の都
踊るダメ人間
心の折れたエンジェル
シーズン2収録曲は「ゴッドアングルPart2」以外は全て演奏した。ゴッドアングルはライブ終了後BGMとして流されていたが今後やる予定はあるのだろうか。「歯の裏側矯正」というフレーズと語りが結構好きだからライブでやってほしいのだが。
期待の「ロシアンルーレット・マイライフ」はやはり掛け合いが楽しかった。一週間シーズン2をヘビロテして聴いていたからばっちり覚えて発声できたぜ! 「人間嫌いの歌」の「にーんげんってやっだっなー!」と客が叫ぶところは叫んでいてすごく楽しかった。しかし自分はリズム感が無いので手拍子が難しく、ずれないようにするのはなかなか大変だった。「仲直りのテーマ」の「なーなーななーななーなーななーななーなーななーなななななー!」のコーラスも楽しかったなぁ。
「バトル野郎~100万人の兄貴~」は定番だがやはり盛り上がる。だが、いつもはオーケンのやるように両手で腕を振れていたのだが、今回はぎっちぎちだったため片腕しか振ることができなかった。「踊るダメ人間」の両手を頭上で交差してジャンプ、着地直後に前方に体を傾け、一気に後方へ背中を反る組み合わせもきつい。何度か前の人の頭が鼻にぶつかりそうになった。
嬉しかったのが「蓮華畑」「サンフランシスコ」「パリ・恋の都」。蓮華畑はしっとりゆったり聴けるので休憩代わりにもなった。「サンフランシスコ」はベースソロのぎゅーんぎゅーんした音と、橘高ギターとエディのピアノのソロバトルが堪能できる贅沢な曲で、定番だがこれは何度聴いても飽きないのではないかと思う。
「パリ・恋の都」は今回のレア曲。めったにライブで演奏しない曲で、メンバーも存在を忘れかけていたらしい。筋少カルトクイズ! と題してイントロ聴いて何の曲かわかるか? とオーケンは客に問いかけていたがすぐにわかった。これは地味ーに気に入ってる曲なんだよ。それだけあって今回ここで聴けることをとても嬉しく思った。この歌は恋人を亡くした男が、生前に恋人が行きたがっていたパリへ恋人の亡霊と共に出かけ、凱旋門やエッフェル塔を二人で観光した後にセーヌ川へ身を投げて男が自殺する話で、悲劇的な馬鹿ソングなのだが、オーケンは「これ多分男の妄想で、実際にパリには行ってないんだろうね」と言っていた。
「カーネーション・リインカーネーション」はライブで初めて聴いたかもしれない。これもものすごくテンションの上がる激しい曲で、いやー疲れた。でも大好きだ。
MCでは何かの音楽番組のチャートでアルバムが週間で九位にランクインし、十位のKAT-TUNに勝った、ボヨヨンロック以来の快挙だとオーケンが喜んだ直後橘高さんがKAT-TUNのアルバムの発売日はかなり前だろうとつっこみを入れたり、筋少初期メンバーだったエディがオーケンの喋りは随分とまともになった、前は支離滅裂でキチガイだった、だいぶ頭が良くなったと褒め、内田さんがオーケンのキチガイぶりのおかげでなんたらかんたらと褒めたり、廃盤になったアルバムがリマスタリングされて再発される発表がされたり、「プライド・オブ・アンダーグラウンド」の間奏の木魚が素敵ですと手紙をもらったがあれはカウベルなんだよとの説明があったりした。
あとアンコールでオーケンが着替えたとき、プロピアモヒカンを外して頭にターバンを巻いていたせいで余計服装に一貫性の無いバンドになった。「日本印度化計画」をやるならまだしもやらないのに何故ターバンを巻く。新しいキャラ作りだろうか。
ライブ終了後、ドリンクチケットと引き換えにビールを受け取って咽喉を潤した。会場は熱気がむんむんこもり、服は汗でじっとりと濡れていた。とても暑い。その暑さとライブ終了直後のハイな気分に乗せられて、買うつもりは無かったのに物販で扇子とパンフレットを購入してしまった。だって、MC中に扇子でパタパタと扇いで涼をとる内田さんを見たらすごく欲しくなってしまったんだ。…商売がうまいなぁ。
結局マフラータオル、リストバンド、扇子、パンフレットを買ってしまった。以前買ったマフラータオルを今回物販で買えなかったときのため持参していたので大荷物である。しかもパンフレットはでかいので鞄には入らない。また、暑いので上着も着たくない。ついでに余韻に浸りたい。そんなわけで自分はタオルを首にかけ、腰に上着を巻き、片手にパンフレットをむき出しで持ったそのままの状態で若者の町渋谷を経由して電車に乗り、途中ケンタッキーと薬局に寄って帰宅した。
おかげで家を出るときには一万三千円あった財布の中身は二百円にまで減ってしまった。無論全てが物販で消費されたわけではなく、ジントニックとビールとケンタッキーと発泡酒と湿布の分もあるのだが、まあ大部分は物販だ。しかし悔いは無い。とても楽しいライブだった。また絶対に参加しよう。