未分類5杯, 核P-MODEL, 非日常

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正直なところ夢にも思わなかったよ。まさか数年前にファンになった自分が核P-MODELのライブをこの目で観られるなんて。まさか、核P-MODELの曲ばかりをたっぷりライブで聴くことが出来るなんて!

四日間の公演のうち自分は初日と三日目を観に行く。無論、全ての日程に参戦したい気持ちは山々だが金銭的な都合と時間的な都合でこの二日間を選択した。そして思った。初日を選んで正解だった、と!

これまでに参戦したヒラサワのライブは「東京異次弦空洞」と「ノモノスとイミューム」の二つ。どちらも初日は抜かして二日目、最終日を選んだ。するとどうしても、どちらもネタバレを見てからの参戦となってしまったのだった。何故なら、ユーストリームで中継されるライブを自宅で見ないという選択肢を持つことが出来なかったからである。

どうしてもユーストリームも見たいなら初日に参戦した方が得策だな、とようやく気付き、その通りにチケットをとって、本日非常に満足した。あの、いつも全身黒尽くめの平沢進が真っ白な衣装で登場し、ヒラサワのトレードマークであるヘッドセットマイクもレーザーハープも無い! 「嫌い」と言い放つギターを常時弾き倒し、スタンドマイクをまるでロックミュージシャンのように引き倒す! さらに、一度引っ込んだかと思ったら脚立を抱えてやってきてそれに上り、中央の培養炉をグラインダーで研削し火花を散らしながら歌うパフォーマンス!

本当にこの人はいつだって人の度肝を抜いてくれるから面白い。白い服を着てギターを弾いたまま歌い続けるヒラサワは、そりゃあ過去の映像では見たことがあるし、スタンドマイクだって東京異次弦空洞で使うのを一度見てはいるが、それでもベースとしての「平沢進」像が確立されているため、意外性が損なわれないのだ。

この日は二百五十番台と、自分にとってはかなり良い番号で、随分と前の方に並ぶことが出来た。まぁ中央に並んでおけば間違いなかろう、と思い、上手と下手を隔てる柵の上手側の中央寄り、即ち柵の真横あたりに立った。しかし、あにはからんや、これが大間違いだったのだ。

入場から開演までの間は、いかにもヒラサワらしい音楽が流れており、これもなかなか気分が盛り上がり、聴いていて楽しかった。隣の人などまだ始まる前だと言うのに既にノリノリで踊っている。あぁ、今日は何が聴けるだろう。前回の核P-MODELのライブでは核P-MODELとP-MODELの曲をやっていたが、今回はどうせなら、核P-MODELをたっぷり聴きたいなぁ、などと考えながら待っていたら落ちる照明。沸き立つ観客。現れる平沢進。何と下手に。

下手に平沢進、上手にPEVO1号が立ち、中央には培養炉。流石に、流石に予想しなかった。中央に誰もいないとは!

さて、ここで曲者なのが柵である。前方スペースには、上手と下手を分ける柵がど真ん中に設置されている。結果、下手に人が殺到することにより、上手側の柵付近が大変な圧縮状態になったのであった。たった一メートル、柵の向こうの下手側は思い切り腕を振り上げられる程度にはスペースの余裕があったようだが、こちらはほとんど身動き出来ない。予想出来なかったとはいえ、こればかりは失敗したと思った。

が、ヒラサワをどうにか見ようとしたせいで首は若干痛かったものの、結構まったり観ることが出来たので良しとしよう。窮屈だったが、常時飛び跳ねたり折りたたみがあったりすることは無かったので比較的楽だったのだ。

以下はセットリストである。



崇めよ我はTVなり
Big Brother
アンチ・ビストロン
гипноза (Gipnoza)
109号区の氾濫
Parallel Kozak
ビストロン
Dμ34不死
Dr.древние (Dr.Drevniye)
巡航プラクシオン
白く巨大で
それ行け!Halycon
排時光
Alarm
ENOLA
Timelineの東

~アンコール~

パラ・ユニフス

途中にMCと言う名のお喋りが入らないため、サクッと終わった印象だった。一曲目は「崇めよ我はTVなり」。TBSが運営するライブハウス「赤坂BLITZ」でこれを一曲目に持ってくるところにヒラサワらしさを感じた。ああ、もう、大好きだ!

「Big Brother」はアレンジされていて、特にイントロのところは、どこか音が可愛くなったような印象を受けた。

「гипноза (Gipnoza)」は意外と早く出てきたな、という印象。ここまではまだ声が本調子でないように感じられた。「109号区の氾濫」から急に乗ってきて、そこからライブらしい声になってきたように感じられた。

今回一番驚いたのは「白く巨大で」のパフォーマンス。「巡航プラクシオン」が終わった後、ヒラサワとPEVO1号が一度奥に引っ込んだ。本編終了にはまだ早い、きっと何かあるだろう、と思いつつステージを見守っていると二人が持ってきたのは脚立。二つの脚立が中央の培養炉を挟むようにセットされ、それに上り、培養炉を中心に向かい合うようにして脚立に座り、透明のゴーグルのような眼鏡をつけ、取り出したのがグラインダー。何と、グラインダーで培養炉をリズミカルに削ることで、「白く巨大で」の「ギュイーン」という音を再現したのである。オレンジの火花が飛び散る演出に、観客からは興奮の声と笑いが漏れた。

このとき、PEVO1号は火花が自分の方に飛ぶようにグラインダーを操っていたのだが、ヒラサワは思いっきりPEVO1号の方に火花を飛ばしまくっていたのが何やら何というか面白かった。PEVO1号は熱くなかったのだろうか……。

歌うだけでなく、脚立の上でギターの演奏も披露し、演奏が終わったらピックをその場にひらっと落とし、またグラインダーで培養炉を削り出す。いったいいつこんなパフォーマンスを思いついたのだろう。

二人が脚立から降りて定位置に戻ると脚立はスタッフにより回収された。だが、ヒラサワはゴーグルをかけたままで次の曲「それ行け!Halycon」へ。もしやこのままずっとゴーグルをかけたまま歌うのだろうかと思っていたら、単に外すのを忘れていたらしい。曲の途中で歌いながら外していた。

よく見えなかったので間違っているかもしれないが、「それ行け!Halycon」のピコピコ音のところは録音したものを流しているようだった。しかし、ソロの部分はどうだろう。ヒラサワが弾くのか、音源を流すのか、本当に誰も来ないのか。誰か登場しないのか。

と思っていたら。毛糸帽を被り、マスクで顔を隠し、黒い服を着た見るからに怪しい男がキーボードを抱えてステージ中央に乱入! 目の前で、きょろっとした目だけを見せながらキーボードソロを弾き、ぴょんと跳ね、弾き終わるとキーボードを抱えて疾風の如く去っていった。

田中さんか!? 田中さんか……? 正直よくわからない。田中さんが来て欲しいという願望があったため、田中さんのような気がしたが、どこか、それにしては若いような気もした。最終日に明らかになるのだろうか。もしあれが元メンバーでも何でもない会場のスタッフだったりしたら面白い。

「排時光」「Alarm」は大好きな曲で聴けて嬉しかったのだが、ちょうどこの曲のとき人の頭の影にヒラサワがすっぽり隠れてしまい、全く見えなかったのが残念だった。

「ENOLA」は意外の一曲。始まった途端会場がわっと盛り上がり、一斉に手を振り出したのが見えた。自分も可能な限りは振りたかったがぎゅうぎゅう詰めで手を上げるのも一苦労。苦しかった。

「Timelineの東」は特に楽しみにしていた曲の一つ。これを聴きたくて聴きたくてたまらなかったのだ。嬉しかったなぁ。

歌い終わるとさくっと退場するヒラサワとPEVO1号。ここで本編が終了し、アンコールへ。最初は「ヒラサワー!」という普通のコールだったのに、いつの間にか「ひっらさわー!ひっらさわー!」という変なコールに変わっていた。あれは何というか、間抜けだった。

アンコールは「パラ・ユニフス」一曲で、その後にまたさくっと退場。ひっらさわコールで呼び出されたヒラサワの最初の一言が「平沢じゃなくて核P-MODELです」だった。大変失礼しました。

そのままMCに入り、PEVO1号の紹介。それと核P-MODELということで、アシュオンと培養炉の話も少しされ、アシュオンを盗んだ毛糸帽の男について触れ、「あの怪しい男を街中で見つけたら通報してくれ」という内容のことを語っていた。また、核P-MODELは九年ぶりとはいえまだ新人という話も。最後は「えーじゃない」「回れ、右。解散」「じゃ!」のフルコースで終了。

楽しかったなぁ。スタンドマイクはマイクの部分が青色に光っており、スタンドの部分は金属の板を二枚並べたような形状をしていて、その板に丸い穴が等間隔で空いていた。すると正面のライトによりスタンドマイクの影が衣装に落ちるも、穴の部分だけ影が作られないため、独特の模様を衣装に描くのだ。PEVO1号と連携した息の合ったパフォーマンスも見事だった。培養炉を中心に線対称に動く姿はコミカルでいて格好良かった。

気になるのは、今日演奏されなかった「暗黒πドゥアイ」がどこかでセットリスト入りするかどうかと言うこと。出来たら三日目に入って欲しいが、どうだろう。どうか!



未分類

(12月28日10時の方へ)メッセージありがとうございます。
初めまして。自分の書いたライブの感想をご覧いただけたうえに、そのうえそれで「ライブに行きたい」と思っていただけるなんて、とても光栄です。自分は三、四年前に筋肉少女帯経由で水戸さんを知ってそれからライブに通い始め、気付けば結構な水戸さんファンになっていました。水戸さんは五十歳オーバーとは思えないくらいパワフルなライブを常に見せてくれていますよ! 来年もきっと盛りだくさんなので、是非いらしてください。良いお年を!

未分類2杯, 筋肉少女帯, 非日常

自分にとってはこれが今年のライブ収め。毎年恒例、十二月二十三日のいつもよりスペシャルな筋少ライブは今年もサービス満点だった。内田さんが「北極星の二人」を熱唱し、内田・三柴・長谷川三人で、まさかのThunder You Poison Viper! アンコールではエディが一人でステージに現れて「きよしこの夜」を弾き、そこに現れた橘高さんとおいちゃんはサンタをイメージしたアクセサリーを身につけ、手にした袋から飴玉をばら撒く。「一年間良い子にしていたみんなへの筋少からのプレゼントだよ」とは橘高さんの弁。そして最後に現れたオーケンはサンタ帽にサンタ服の、完全なサンタの出で立ち! いつかのリラックマの着ぐるみを彷彿とさせるサービスだ。

終演後にはメンバーそれぞれがピックをばら撒きまくってくれ、あの普段ほとんどピックを投げない内田さんまでもがピックをいくつも投げていたのがまた特別感を煽る。会場の熱気も凄まじく、自分は当初おいちゃんの見えやすい下手側にいたのだが、流れに流され、途中ではオーケン前、その後内田さん前から橘高さん寄りまで移動し、最終的にはオーケン前に落ち着いたのだった。

驚いたのはアンコールで、空から人が降ってきたこと。何か妙な動きを感じるや否や、自分の目の前に靴の裏が見え、何事かと思う間もなく男性が落下した。人に引っかかりながらガサガサと落ちたため勢いは無く、大きな怪我は無いようではあったが、あれは何だったのだろうか。ダイブという感じでは無いように見えた。

と、いう出来事についてTwitterでつぶやいたところ、クラウドサーフの可能性があることを教えていただいた。なるほど、ちょうど自分の目の前が泳ぎきった場所だったと考えれば合点がいく。とはいえ今まで筋少のライブでクラウドサーフをする人を見たことが無かったためびっくりした。

このように見所たくさんの本日のライブだが、個人的に最も印象深かったのは皆でクックロビン音頭を歌ったことであった。

パパンがパン。だ~れが殺したクックロビン~♪

前半のMCで、「オーディエンスにどんな風に盛り上がって欲しいか」という話になったとき、橘高さんが「○○のバンドのように」という話をしたときに出た名前がロビン。確かあるバンドの人物の名前だったと思うが自分はどちらも知らないのですっかり忘却してしまっている。そこにオーケンがオーディエンスを指して、ロビンと言ってもわからない人ばっかりだよ、ということを言い、その後「パパンがパン」と手を打って「だ~れが殺したクックロビン~♪」と手振りつきで皆で歌ったのだ。そこで意外とオーディエンスの方から声が出たことに驚いたのか、オーケンが「皆意外に知ってるね」というようなことを言って笑っていた。

まさか筋少のライブでクックロビン音頭を歌うとは。驚きつつもやけにおかしく感じられて、ライブの後、自分は小声でクックロビン音頭を歌いながら恵比寿の街を歩いたのだった。

さて、以下はおぼろげな記憶の中で書き留めたセットリストである。

ア デイ イン ザ ライフ
暴いておやりよドルバッキー

くるくる少女
バトル野郎~100万人の兄貴
中2病の神ドロシー

サボテンとバントライン
タチムカウ~狂い咲く人間の証明
イワンのばか

(オーケン、オカルトの話をし「宇宙人が来る~怖いよ~」と叫びながら退場)

北極星の二人(内田のラブソング)
戦闘妖精雪風(Thunder You Poison Viper)
少女の王国

サンフランシスコ
カーネーション・リインカーネーション
ツアーファイナル
労働者M

~アンコール~

きよしこの夜 (エディの演奏)
SAN FRANCISCO(エピローグ)
トゥルーロマンス
踊るダメ人間
釈迦

しょっぱなが久しぶりの「ア デイ イン ザ ライフ」! 驚くほど歌詞がメタメタだった!! すごかった。どれだけ元の部分が残っていたのだろう。久しぶりなのに練習しなかったな、オーケン…。

お次はこちらも久しぶり、「暴いておやりよドルバッキー」! 自分の行くライブに限った話かもしれないが、しばらくライブでやっていなかったように感じていたので今回聴けたのは非常に嬉しかった。この曲は本当に内田さんのコーラスが格好良い。

「くるくる少女」では既に苦しくなっており、あまり記憶が無い。「サボテンとバントライン」も久しぶりだった気がする。

「タチムカウ」は今年のDDT両国のイベントで拾い上げられた印象がある。復活から今年に至るまでは演奏されず、この曲を筋少にはまったばかりの浪人時代に毎日毎日繰り返し聴き、まるで自分のテーマソングのようにしていた人間にとっては、またライブで演奏されるようになってとても嬉しい。初めて聴けたときの感慨深さったら無かったものだよ。

今日の驚きの一曲一つ目は「北極星の二人(内田のラブソング)」。最近はオーケンが途中で抜けて、メンバーが二曲ほど歌うのが定番になっているので、どうせならいつか北極星の二人をやって欲しいな、と思っていたら実現したので喜ばしい。内田さんは毛皮の帽子ともこもこしたジャケットを身につけ、マイクを手に熱唱! 持ち前の茶目っ気とサービス精神が爆発しており、曲調も相まってここはいったいどこだろうと錯覚しそうになる空間だった。

そして驚きの二曲目は内田・三柴・長谷川のバンド「Thunder You Poison Viper」で、「戦闘妖精雪風」! まさか筋少のライブでThunder You Poison Viperを聴けるとは思わなかった。いつかの物販でアルバムを買って以来、生で聴きたいと思っていたものの、ちょうどライブが開催されず歯がゆい思いをしていたのだ。そのうえ次回のライブの告知までしてくれたのだから喜びも一入である。

Thunder You Poison Viperは、ピアノとドラムとベースの三つに楽器が絞り込まれているだけに、遠慮無く全員が爆走しているようで、筋少でも充分目立っているドラムとピアノが、とにかく前面に出てくるとこんなことになるのか、と見せ付けられるようだった。迫力である。

サンフランシスコからカーネーション・リインカーネーションにかけてはあまりの圧縮具合に死ぬかと思いつつ、カーネーションのとき、ステージが赤く暗いライトで照らされるのを見て、あぁ、これだこれだと思った。この赤いライトのダークな雰囲気と、「カーネーション・リインカーネーション!!」というシャウトがたまらなく格好良いんだ。

本編ラストで「労働者M」が来たときは「せっかく非日常を楽しんでいるのにこんなところで現実に引き戻さないでくれよオーケン…!!」と思ったが、思いがけずも「働け働け働け~来年も筋肉少女帯はバリバリ働くからよろしくなー!」という内容のことを叫んでくれ、あぁ、労働者Mにはそういう使い方もあるのか……と、変な言い方だが感心した。

アンコールではかなり大きな声で「ロビンコール」が巻き起こったが、これについては特に触れられなかった。最初にステージに現れたのはエディ一人で、ゆっくりと奏で始めた音色は聴いたことがあるようでありながらも見当がつかず、何だろうと思っていたら、よく知っているメロディに転換し、それは「きよしこの夜」だった。

すげえ、すごくクリスマスだ………。

そこに赤と白のケープとリボンをつけた橘高さん、サンタテイストのカチューシャをつけたおいちゃんが登場。二人の登場に興奮するオーディエンスの歓声にエディの演奏がかき消されてしまったのが残念だったが、自分も非常に喜んでいた。何てサービス精神旺盛な人達なんだろう!

SAN FRANCISCO(エピローグ)はアンコールにじっくり聴くのにふさわしかった。高ぶった熱が良い具合にクールダウンするようで気持ち良い。インストだけを演奏する椅子ありのライブとかも、いつか聴いてみたいものだなぁ。

サンタ服を着たオーケンが現れたらもうニコニコするしかない。「筋少ファンにとってクリスマスは辛い日だ!」「一緒に過ごす人もいないし、ライブの後で体がつらい!」なんて言うが、こうして楽しませよう楽しませようとしてくれるんだからなぁ。

最後はド定番、「踊るダメ人間」と「釈迦」で全てのエネルギーを発散して終了。いつもは終演後、ビールを呑む自分が、すっかり疲れて疲れ切って糖分が欲しくなり、ピンクグレープフルーツソーダを飲んだ。

MCでは橘高さんの福袋の話と壁ドンの話が面白かった。毎年恒例、クリスマス限定の橘高さんの福袋は三年目の今年になってようやくついに女性がゲットしたらしい。ところが橘高さん、男性がゲットすることしか想定していなかったため、「男の子と何と話すか」しか考えていなかったそうだ。冗談めかしつつも「女の子が当たっちゃって、俺今結構緊張してる」と話していた。

壁ドンはいったいどんな流れだったか、この流れだったか既に記憶が定かではないが、オーケンが「壁ドンが流行ってるんだよ、知らないの? 知らない人~」と挙手を募り、壁ドンがどんなものか説明。つまり女の子を壁際に押し付け、腕で逃げ場を塞いだうえで口説くという行為である。このとき「男の子が女の子を……男の子と男の子でも良いんだけど、そっちの方が良いんでしょ?」といきなり一部のオーディエンスに振って若干周囲がざわついたが、自分は「またか」と思っていた。

このとき、オーディエンスを一人一人壁ドンするくらいの云々、と何かライブどどれくらい盛り上げるかという比喩で壁ドンの話をしていたのだがこのあたり記憶が曖昧で、覚えているのは「俺を壁ドンしてくれたって良いんだぜ~!」という台詞に「オーケン、タッパあるから現実なかなか出来る人いないだろ…」と思ったことだった。

あと中盤あたりで龍角散の粉が入った缶を取り出したオーケンがそれを口に含み、ゴジラの如く龍角散の霧を三度ほど噴出したおかげでしばらく龍角散独特のにおいが漂っていたのが印象的である。「おじいちゃんのにおいだ……」とオーケンは呟いていた。



未分類0杯, MAGUMI AND THE BREATHLESS, 水戸華之介&3-10Chain, 非日常

はしゃいだなぁ。脳みそをスッカラカンにしてはしゃぎまくった。先攻は水戸華之介&3-10Chain、後攻はMAGUMI AND THE BREATHLESS。体の芯まで染み込んだ3-10Chainは全身を使って思いのまま全力で遊び、普段行くライブではあまり聴く機会の無いトランペットが鳴り響くMAGUMI AND THE BREATHLESSでは心を空っぽにして音を楽しみ、そして合間合間に挟まれる愉快なコールアンドレスポンス! あんな言葉、幼稚園児のときにだって連呼したこと無かったぜ!

そして今は終演後に購入したMAGUMI AND THE BREATHLESSのCD「delight」を聴きながら揚げ出し豆腐を食べつつビールを呑みながらまったりしている。あぁ、はしゃいだ後のこの余韻。レピッシュを初めて聴いたときも、その歌声に強く心を惹かれたが、この緩急の付いた伸びやかな歌声。好きだなぁ。THE BREATHLESSは今回新曲を多く引っさげて来たそうで、新しいアルバムを発売する予定もあるとのこと。中盤あたりで「ドレスコードは○○!」と叫んでいた歌があったのだが、あれも収録されているなら欲しい。

セットリストに関しては、3-10の分しかわからなかったので、わかる分だけ書いておこう。とはいえ「ハーイここまで」がどこにあったか記憶が曖昧で、多分並びは間違っていると思う。「生きる」の前に「生きてるだけでまるもうけ」というMCがあり、「生きてるうちが花なのよ」をここでやるかと思ったら違った、という記憶があるので、うーんやっぱり違うだろうな。もっと後ろだっただろうか。


■水戸華之介&3-10Chain
アップルティーをもう一杯
カナリヤ

ハーイここまで
生きる
トーカラジ(クリスマスバージョン)

ヴィヲロン
ヤバ市ヤバ町ヤバ通り

バースト&ワースト~分解マニア

天井裏から愛をこめて
100万$よりもっとの夜景

■アンコール
゛ (濁点)
ラクダの君は砂漠のマドンナ
リックサック
ポコチンロックのテーマ


アンコールではQueenの「We Are The Champions」が流れ、フレディの「We Are The~」という歌声の続きにかぶせる形であの言葉を叫ぶ声。そして意気揚々とステージに現れる二人のボーカルとBREATHLESSのメンバー。

「゛ (濁点)」はかつて水戸華之介&3-10Chainと穴場(杉本恭一&上田健司)の対バンツアーで聴いたことがあったが、当時も今日も曲の名前を知らず、あのときわからなかった曲の名前を今も知らずにいたのかと感慨深く思いつつ、前回は杉本恭一、今回はMAGUMIが歌ったことからレピッシュの曲だろうとあたりをつけ、「ぎゃくてん」「だくてん」で検索し、ようやく本日曲名を知った。水戸さん作詞の曲だったのか。

対バンを観る際はどちらのバンドもしっかり知っている状況が一番ベストだとは思うが、片方を知らないものの、興味と関心と好意は抱いており、そんな中で何が演奏されるかさっぱりわからぬ状態で、ただただ流れてくる音に身を任せて体を揺らす、というのは、全力ではしゃいだ直後、興奮した脳がクールダウンしつつ、そこに心地良いものが充填される感覚がして非常に気持ち良かった。

十九時開演で終演は二十二時半あたり。水戸さんが冒頭で「今日は長丁場になる」と言っていたが、まさか三時間を越えるとは。来年もこのイベントは行われる予定だそうで、既に気の早いことに名古屋の会場は押さえているそうだ。年に一度の年忘れ。年を忘れて年甲斐も無く子供のように叫ぶ愉快な空間。きっと自分があの言葉を口にするのは、その空間だけなのだろう、と思うとまた楽しい。これこそ非日常である。ははは。



未分類0杯, 筋肉少女帯, 非日常

己はこのサイトにおいて、ライブや旅行の感想を記すときは「非日常」のタグを付け、これは普段の日常と別のもの、と区分けをしているのだが、数年にわたり頻繁に筋肉少女帯のライブに通っていると思うのだ。既にこれは非日常ではなく日常の一部になってしまっているのかもしれない、と。

今回の会場「Shibuya O-EAST」は自分にとって初めてのライブハウスだが、周囲に通い慣れたライブハウスが多いという理由で、よく見知った場所であるため特に緊張感も無かった。昔は行ったことのないライブハウスに向かう際は、内部の構造はどうなっているか調べた挙句、どうにか良い場所から見られますようにと祈るような気持ちでいたものだが、今は一応下調べはするものの「まぁ何とかなるだろう」と軽く構えている。

ライブに行くことが自分にとって既に特別なことではなく、ごく自然なことである以上、やはりそれは「日常」に馴染んだものなのだろう。しかも今日の自分といったらライブTシャツすら着ていない。普段は前方に突っ込むため汗をかいても良いように冬だろうと薄着で参戦しているが、体調があまり芳しくないためしっかり厚着。まるで近所のスーパーにでも行くかのような格好だ。

厚着して、声を出すことも控え、後ろの方で静かにステージを観ていた。静かにと言いつつ拳を振り上げ体を揺らし、サンフランシスコでは飛び上がり、動ける限りは動いていたが、その日自分は開演から終演まで一歩もその場所を動かず、前方で踊り狂う人の群れの塊と、その先で光に包まれながら楽器を鳴らし、歌を歌い、煽りまくる人達を観ていた。

通常自分は前方の踊る塊の一部と化しているため、視点の位置に違いこそあるものの、それは何度も何度も観てきた光景で、とてもよく知った目に馴染んだものであり、そうして眺めて思ったことは、やっぱりこれは日常ではない、非日常の分類だ、ということだった。何度も観て、パターンも覚えて、終演後の喪失感も通うごとに薄れ、特別感が減少しても、これは非日常である。パターンを覚えるほど観て、馴染んで、それでもまた次回観たいと思わされる、決して日常では得られない楽しみを与えられる空間がこれなのだ。どんなに馴染んでもこれは日常には成りえない。

と、いうことを終演後、ハイネケンを呑みつつ、渡されたフライヤーを見てにやにやしながら思っていた。フライヤーには次回のライブの告知。再結成後、恒例となっている十二月二十三日のリキッドルームでのワンマンライブ。今回、さんざん東京でのワンマンライブは今日が年内最後だ、と強調して強調して強調した挙句、やっと発表された待ちに待った公演だ。オーケンのしつこい強調具合にわざとらしさを感じたものの、もしかしたら本当に無いのかもしれない………と、半ばがっかりし、その言葉を信じかけていただけに嬉しい。

今日のライブは殊更良かった。まずオーケンのコンディションが良かった。オーケン自身、「今日のオーケンは若干元気なオーケン」と自らを指して言い、その理由を「五十も近付くとねぇ、バイオリズムっているのがあって、気候に左右されたりするの。おいちゃんわかるでしょ? でね、今日は良い天気だったからちょうどバイオリズムが上り調子のところで、若干元気なの」と手で波線を作りながらにこにこ語る。

実際今日のオーケンは調子が良かったと思う。昨今は歌詞がぶっとぶことがやたら増えていたが今回は、まぁ多少はあったものの大したことは無く、「イワンのばか」定番の歌詞間違い「ロシアのポルカの裏技」も炸裂せず、「サンフランシスコ」冒頭の「さようならさようなら」も、場合によっては極端に省略され、すごいときには「本当に辛い」しか残らないことさえあるが、今日は全部語ってくれた。

何より嬉しいのが「妖精対弓道部」で、ずっと聴きたかった歌詞が聴けたこと。とはいえ、自分が「妖精対弓道部」をライブで聴いたのはこれが二回目で、そもそもライブで聴いた経験すらほとんど無いのだが、DVDが収録されたライブで、その格別気に入っている歌詞が見事に消滅してしまったため印象深くなってしまったのだ。DVDを繰り返して観ていたせいで、当時のがっかり感が何度も何度も上書きされていたのである。また、もし間違えたまま口が覚えてしまって、ライブにおいて正しい歌詞がすっかり消滅してしまったらどうしよう、という危惧もあった。何故なら今の定番曲の中にも、すっかり本来の歌詞が消えてしまっているものがあるからである。ようこそいらっしゃいましょう、とか。

あと印象深かったのは「パノラマ島へ帰る」。六月の中野サンプラザでは演奏されなかったため、ようやく念願叶ってと言ったところ。ライブの後半、証明が落ち、エディがピアノを爪弾き出した。神経を集中させて耳を澄ますも何の曲が始まるのかわからない。「爆殺少女人形舞一号か?」と思いきや、ふと、脳に引っかかるフレーズはあり、あ、これは、と思ったところでオーケンが静かにタイトルを口にした。

CDは儚げな印象の歌い方だったが、今日は力強さを感じた。これはオーケンが「若干元気」だったせいかもしれない。そして演奏の美しさと見事さったら無い。たまに思う。こういう大人な雰囲気の曲だけを演奏する演奏会があっても面白いのでは無いかと。その場合は是非椅子のあるところで、ゆったりしながら聴きたい。

一曲目は「パリ・恋の都」。渋谷が会場ということで「来たぜおおパリ!」と歌う冒頭、地名を「渋谷」に変更。しかしその後の歌詞はもちろん「パリ」だったので、恋人の亡霊と共にパリにやってきたと主張する男が、まるで渋谷をパリと言い張っているかのようで、この男は少し落ち着かせてやらないといけないな………と思わされた。思わず。

二曲目は「妖精対弓道部」。その後MCを挟み、ここでオーケンが「若干元気」であることを強調し、おかしなポーズで飛んだり跳ねたりはしゃいでいた。変だった。そして「今日は休んだりしない!」と高らかに宣言。最近は途中でオーケンがステージから下がり、代わりに他のメンバーがボーカルをとることがあるのでそのことを指しているのだろう。

しかし。宣言したからには覆すのがオーケンである。

また次のMCで、オーケンがオカルトの話を始めた。「ねぇ、知ってる? この間オカルトの番組に出たときに○○さんという人が言ってたんだけどね、太陽系にはラジャサンっていう木星くらいの大きさの星があるの。これは自由に動くことができて、黒い触手を持っててね、その触手で………太陽を妊娠させるんだ」

オーケンよ、あなたは何を言っているのだ。

「でね、地球とか、太陽系の惑星は、ラジャサンと太陽の子供なんだって。でもラジャサンは性に奔放なんだ。だから地球ともそういうことをしてるわけ。それで………今地球は妊娠してるの! 来年には出産するの!! うわあああああ大変だあああああ歌なんか歌ってる場合じゃないよ! 怖いよ怖いようわあああああ~~~~」

そしてオーケンはステージから逃亡した。後に残された戸惑うメンバーと、一人仰け反りながら大笑いするエディの対比が無性におかしい。怪談を語るときのような口調と言ったらわかりやすいだろうか、声を落とし、力強く注意深く、一つ一つ聴き手の理解を確認しながら語っていた男が一変して一人で狂乱し、「怖いよ怖いよ」と喚きながらステージを走り去る。その後、オーケンがいないためおいちゃんが「未使用引換券」を歌ったが、歌い終わってもオーケンは戻ってこず、ついに内田さんに「まだあのキチガイ戻って来ないね」と言われてしまっていた。実に的確だと思う。

おいちゃんの「未使用引換券」は格好良かった。あまり、おいちゃんのボーカルをメインで聴く機会が無かったから知らなかったのだが、ワイルドで色っぽい歌声だと思う。おいちゃんが歌い終わった後に内田さんが「かっこよかったね」と言ったのにはうなづかざるを得ない。ただ、マイクの設定のせいか、若干声のボリュームが足りなかったのが惜しい。

オーケンがまだ戻らないため、今度は内田さん、おいちゃん、橘高さんの三人で交代しながら「日本の米」。格好良い!! これはこのままこの三人で定番化しても良いんじゃないか、と思うほど。だが、日本の米の終わり頃にオーケンがステージに戻ってきて、少しだけ歌ってくれたのだが、このときはやはり、しっくりくるなぁ、と思った。染み付いているのである。

他、ぐっときたのは「ハッピーアイスクリーム」「航海の日」「レセプター(受容体)」「ワインライダー・フォーエバー」。「ハッピーアイスクリーム」は何と言っても掛け合いが楽しい。思い切り声を出せなかったのが非常に残念だったが、それでも久しぶりに聴けて興奮した。

「航海の日」は確かエディの出だしで始まっていたように思う。こうして少しずつ、ライブを重ねるごとにアレンジが加わっていく、というのは個人的には非常に好みなので、今後もどんどん膨らんでいってくれたら嬉しいな、と思う。

「ワインライダー・フォーエバー」は何とアンコールのラストに演奏された。アンコールでオーケンが血染めの白衣を着ていたこと、ライブタイトルが「四半世紀中」であることもあって、「中2病の神ドロシー」が最後に来るだろうと予測していただけに驚いた。全く予想していない一曲だが、多幸感に包まれながら終演を迎えることができたので、これはかなり、すごく良いと思った。

それと、ワインライダーでメンバーがラップに入る際、オーケンが「うっちー!」「ふーみん!」「おいちゃん!」とそれぞれの名前を呼んで盛り上げていて、とはいえこのパターンだとオーケンだけ名前を呼んでくれる人がいないなと思いきや、橘高さんが「大槻!!」と呼んでくれたのが、まるで自分のことのように嬉しかった。オーケンがメンバーに「誰か俺の名前を呼んでー!」とねだっているところを何度か観たことがあるだけに。欲を言えば「大槻」でなくあだ名の「オーケン」だったら尚ナイスだったので、次回はよろしくお願いします橘高さん。

追い出しにかかったのは今度対バンするJUN SKY WALKER(S)の「Let’s Go ヒバリヒルズ」。普段、比較的早くステージを去ってしまうオーケンがにこにこしながらステージをうろうろして、「サビのとこだけ歌いたい!」と言っていたのが印象的だ。そして最後は何故かサビの部分を皆で合唱。どうして筋少のライブの最後の最後で、JUN SKY WALKER(S)を合唱して心を一つにしてるんだ、と思うと笑えてきそうになった。

そういえば。今回、「踊る赤ちゃん人間」を最後の方にやったのだが、前半で元気を使い果たしたオーケンが若干ばてて、半ば義務感で「あばばあばば」言っている様がおかしかった。あんなに陶酔していない状態での「あばば」は初めて見た。貴重なものが見られたと思う。

あとこれも。橘高さんはライブで地方に宿泊する際、ホテルのシャワーの水圧が低くて我慢ならないことが多いため、マイシャワーヘッドを三つ持ち歩いているそうで、シャワーの水圧について力説していたものの、内田さんはステージから完全にいなくなり、おいちゃんはステージの隅で座り込み、あのオーケンのラジャサン云々のオカルトトークでさえ皆ステージに残って聴いてくれていたのに何で橘高さんだけこんなにアウェーなんだ、と思った。

このとき内田さんがいなくなってから、オーケンは「うっちーに話したいことがあったんだけどなぁ」と何度か口にしていた。そしてライブの後半でふとそのことを思い出したオーケンが、「十二月三十一日暇?」「予定が無かったらのほほん学校を年越しでやりたいんだけど」と内田さんを誘った。年越しのほほん! まだ会場の空きを確認していないそうなので確定してはいないものの、内田さんも予定は無いとのことなので実現するかもしれないそうだ。行きたいなぁ。でも大晦日だからなぁ。

ただ、行けなくても楽しそうな催しが次々と現れてくるのは嬉しいことだ。まずは十二月二十三日。年内最後、思いっきり楽しむぞ!