日記録0杯, 日常

2014年7月22日(火) 緑茶カウント:0杯

一人の女性が背後を駆け抜けた後、一拍置いてふわりと果物を思わせる甘い香りが漂った。良い香りだなぁ、香水かシャンプーだろうか。それはかなり鼻に残るというか、印象的だったためついつい女性の背中を目で追ってしまう。駆け抜けた女性は手に持ったプラスティックのコップをぶんぶん振り回しつつその先にいる友人らしき人に言った。「見て見て! 三連休の間飲み残しのジュース放置してたら乾いちゃった! こびりついてとれないの! あはははははは!」

この世で一番夢もロマンも無い甘い香りである。

それにしても、よっぽどこびりついたそいつを見せたかったのだろうなぁ、と思ったのはここが外だからで。わざわざ持ち出して駆けていった彼女の熱意に押されつつ、虫が湧かなくて良かったね、と思った夏の日の昼だった。



日記録0杯, 日常,

2014年7月20日(日) 緑茶カウント:0杯

うなぎが好きだ。毎日食べたい毎週食べたい毎月食べたい、そこまでの強い欲求こそ持ってはいないが、年に一度、うなぎ屋で美味しいうなぎを食べたいという欲求がある。故に土用の丑の日が近い、誕生日近辺にうなぎを食べるのを一つの行事として己のカレンダーに組み込んでいて、今日その機会に恵まれて美味しいうな重を食べつつ肝吸いを啜ったのであった。

至福。

まず目黒寄生虫館の展示を見るために友人達と集まって、展示を真剣に眺め楽しみ静かな声で語り合い、充実した時間を過ごした。目黒寄生虫館は半年前にも行ったが、また新しい設備が増えていた。タッチパネル式で、寄生虫の分布図の過去・未来を見比べられる装置。そしてこの時期だけの特別展「ヤマビル」。瓶に入った生きたヤマビルを観察することが出来るのだ。指先ほどのサイズの黒いヒルで、瓶越しに見る分にはうにょうにょ動いて愛らしいが、絶対に吸い付かれたくはない。ちなみにヤマビルは病気こそ媒介しないものの、吸い付かれるとしばらく血が止まらなくなり垂れ流しになってしまうそうだ。うーん、やはり、自然ではあまり会いたくない生き物である。

この寄生虫館に行く約束を取り付けたとき、己は酔っ払っており、その後どこに行くかはすっかり忘れてしまっていたため、寄生虫館を出た後に友人達が「もう行く?」「焼くのに時間がかかるよ」「すげえ楽しみ」と話すのを聞きつつ「何を焼く話だろう…」と思いながらついて行き、店の前で焼かれるものの正体を知って歓喜した。やっほう! うなぎだうなぎだ!

あぁ、美味しかった。やわらかくてふわっとして。ご飯も多すぎずちょうど良かった。

来年の夏もうなぎを食べられると良いなぁ。



日記録0杯, 日常,

2014年7月19日(土) 緑茶カウント:0杯

漬物を漬けるのは植物を育てるのに似ていて、ペットを飼うことにも似ていると思う。

にんにくの醤油漬けを作った。

にんにく。これの管理が難しい。あると便利であるため冷蔵庫に常備したいものの、頻繁に使うわけではないため、最後の一欠片をダメにしてしまうことがしばしば。これを一つの課題として頭の中の棚に置いておいていたのだが、優先順位が高くないため長らく置きっぱなしになっていた。そんなあるとき、野菜の本を読んでいて、にんにくの醤油漬けが紹介されているのを見た。にんにくを醤油に漬けるだけ。これでにんにく醤油を得られるだけでなく、保存食としても利用出来るとは有難い。早速にんにくを購入し、煮沸消毒をした瓶に詰めて冷蔵庫に入れてみた。食べられるようになるのは二週間後とのことだ。

その間、にんにくの醤油漬けが育つのを待つことになる。きっと醤油はにんにくのエキスを吸って美味しく仕上がってくれるだろう。にんにくの方はどうだろうか。基本的ににんにくは、すりおろして料理に投入し、調味料としてしか使ったことが無い。にんにくを「食べ物」として口にしたことが無いのである。食べ物として食べることを知ったのもここ数年だ。美味しく出来るだろうか。

冷蔵庫の中で育つのを待つ。出来上がりが楽しみだ。



日記録0杯, 日常

2014年7月12日(土) 緑茶カウント:0杯

仮にここが動物園ならまだ納得も出来るが、美術館でこうも騒がしいのはいかがなものだろう、と雑音に囲まれながらうんざりしつつ展示を眺めていた。

買い物に出かけた先、偶然目にしたポスターで、妖怪の浮世絵の展示があることを知った。太田記念美術館で夏の特別展として、「江戸妖怪大図鑑」なる催しが開かれるそうだ。第一部は「化け物」、第二部は「幽霊」、第三部は「妖術使い」と、日程によってテーマが変わるとのこと。うわあこれは見たい! 絶対に見たい! そして自分は買い物を放り出して、ポスターの案内図に従い美術館を訪ねたのだった。

うっわうるせえ。

美術館に入った最初の感想がこれである。展示は興味深く面白いのだが、何故か来訪者が声を落とさず喋っていて、館内がざわついているせいか、あぁここは喋っても良いのね、と気が緩んでお喋りに興じる人がいてさらにうるさい、の悪循環に陥っているようだ。こんな騒がしい美術館は初めてである。部活動だろうか、先生らしき人が四人の子供に浮世絵について説明していて、良い話をしているようだが声がでかい。そのうえずっと同じ絵の前に陣取っているため渋滞が起きていて、渋滞を抜けた先でまた混雑。しかしそちらは絵も見ずに、四人の女性が絵の前で絵とは全く関係の無いお喋りを楽しんでいるというひどい有様。そして背後では家庭教師ヒットマンREBORN!について語りまくっている会社員女性グループ。

何なんだこの空間は…。

壁には「私語厳禁」「撮影禁止」といったプレートが貼られているため、通常の美術館と同じルールが敷かれているようだが全く機能していない。大混雑、というほどでも無く、列に並びゆったり歩きながら眺められる程度の込み具合でどうしてこんなことになってしまっているのだろう。展示の内容が面白いだけに残念だった。九百円払ってこの環境はきついなぁ。

第二部と第三部も気になるがどうにも行きづらいのが実にもったいない。もしかしたらタイミングが悪かっただけかもしれないが。面白い展示なのになぁ。



日記録0杯, 日常

2014年7月11日(金) 緑茶カウント:0杯

霧吹きを持ったお嬢さんがいる。彼女は何も無い空間に向けて、シュッシュッと霧を吹く。そして直後そこを走り抜け、また霧を吹いて走り抜ける。幾度か繰り返すそれを眺める自分に気付いた彼女はにっこりと無邪気な笑みを浮かべた。

「こんにちは! 暑いですね」
「あっついですねぇ。まぁ台風来なくて良かったですね」
「そうですね! 水浴びしませんか?」
「水浴び?」
「水浴びしてたんですよう。ほら!」

と言って、彼女は先ほどの動作を繰り返した。何も無い空間に霧吹きで霧を吹き、ダッシュでそこを駆け抜ける。あぁ、彼女は霧をその身に浴びるため、そうして涼むためにダッシュをしていたのか!

走り抜けなくとも、頭上に霧を吹いたら浴びることができますよ、と提案すると、彼女は驚きの表情を浮かべ、次からそれをやってみます! と力強く言い切った。三次元への萌えを実感しつつその場を去る。このうえない癒しである。面白い。そして可愛い。実に良い。