未分類100曲ライブ, 水戸華之介, 非日常




行ってきました「20×5=100 LIVE」第四公演目。本日の演者は吉田一休氏、ということで予告によると「屑」の曲が多めとのことで、そりゃもう心からこの日を待ち望んでいた、楽しみにしていた。というのも、今まさに自分の中で水戸さんフィーバーが起きていて、「屑」ブームも発生していたからである。まだ「屑」のアルバムを持っていないというのに。

持ってないのにどうしてブームが起きているかと言えば、それは「屑」の曲が数曲演奏されているライブDVD「不死鳥第八段」を所有しているからで、前回のライブがきっかけで急に水戸さんフィーバーを迎えてしまった自分はその日から連日水戸さんのライブDVD「不死鳥」シリーズを再生しまくり、当初はその日その日の気分でディスクを変更していたが、第八段を再生してから延々とそればかりエンドレスリピート。麻薬のようにはまってしまい全くそこから抜け出せなくなってしまったのである。主に聴く目的で再生していたため画面はほとんど見ていなかったが、もし同居人がこの部屋にいたら気が狂っていただろう。

吉田一休氏については自分はほとんど存じ上げない。存じ上げないが、水戸さん曰く「コーラスを買って」今回参加してもらったとのことで、楽器の方はあまり期待していないので余計なことはしないで良い、とのこと。そんなわけで曲も技巧を凝らしたものよりも、ジャカジャカ楽しい感じのものを中心にチョイスしたそうだ。こんなことを言われると聴く方としてはやや不安になってしまうところだが、いやあ素晴らしかったよ!

個人的には今までの四つの公演の中で今夜が一番楽しかった。理由としては、ジャカジャカ楽しい曲が多くて単純に盛り上がること、聴きたかった屑の曲が聴けたこと、水戸さんの歌声と一休さんのコーラスの重なり合いが素晴らしく綺麗だったこと、そして水戸さんがノリノリのハイテンションだったこと、だ。そう、今日の水戸さんは一段と凄かったのである。

聞けば前日とある古くからの友人のライブにゲスト参加して、他のゲストもよくよく見知っている人達で、「あぁ、○○は良い奴だなぁ」「△△も話しやすくて良い人だなぁ」と最高にハッピーな気分になり、さらにその日は今日のライブもあるため力を温存する予定だったのが、パンクなお客さんが多かったため持ち前の負けず嫌い精神が発揮され、大声を出して盛り上げてしまったそうで、その「ハッピー」と「ハイ」の余韻が色濃く残っていた影響らしい。水戸さんは開始から汗をかき、動きも前回前々回よりも大振りで激しく、しかも曲はまた盛り上がりやすいジャカジャカ系!

水戸さんのアコースティックライブは「アコースティックって何だろう……」と初めて見たときに思わされたくらいで、そもそもノリノリで激しくロックな感じだが、いつにも増してノリノリだった。この「20×5=100 LIVE」シリーズはコアな客向けで、普段のおよそ十分の一くらいの規模のこじんまりとしたライブハウスで行われているのだが、何と言えば良いのだろう、今日の水戸さんは別の会場にいるかのようだったのだ。

この状態について水戸さんは「飲酒はしていない」と言っていたが、確かに酔っ払っている姿に近いものを感じた。歌詞が完璧なイメージの近い水戸さんにしては歌詞間違いがちょこちょこあったのも特徴的。しかしそれが不満かと問われれば全くそんなことは無い! いやーもう本当に楽しかったんだよ!

特に聴けて嬉しかった曲は「家のない子に」「ゆきてかえらず」「カナリヤ」「偶然にも明るい方へ」。「偶然にも明るい方へ」は「不死鳥第八段」で鳥肌が立ったフレーズ「夢よりも夢だったかもしれない瞬間を」の「かも!!」と叫ぶ声が心臓に突き刺さった。

レア曲は「へくそかずら」。二十数年演奏していないが、たまに「へくそかずらやらないんですか?」というリクエストはもらっていたそう。だが、歌詞を書いた当時は色々な思いを込めていたはずだが、二十数年経った今改めて歌詞を読むと「どうしてこのフレーズを選んだんだ……?」と当時の自分が込めた思いがわからなくなってしまっているため、やっていなかったそうだ。

「ペダルをこいで」は水戸さんと一休さんの掛け合いが楽しい曲だが、一休さんが掛け合い部分を一つ抜かしてしまい、水戸さんが曲を中断して「ここの掛け合いが良いんだよ」とお説教するというハプニングがあった。そしてそれは我々観客へも飛び火し、「一休にばかり任せちゃいけない!」「ここはお前らも入るところなんだよ!」と叱られた。曲中断からお説教の流れまでもエンターテイメント。笑い転げてしまった。

「ジャカジャカ系」ということでポジティブな曲調の曲が多く、恒例のアンコールも「だいたいどの曲が出ても問題無し」だった。前回の地雷だらけのセットリストとはえらい違いである。そして一番の地雷を踏み抜いたサイコロは流石としか言いようが無い。今回のアンコールは一曲目の「海」で無難に楽しく終わった。終わりから始まりに戻ると延々とループを楽しめそうな錯覚に陥ることが出来て愉快である。

一休さんは上下アディダスの真っ赤なジャージで、下に赤いアロハシャツ、髪は寝癖風のようなただの寝癖のような塩梅で、スウェット通り越してタオル地のズボンを履いてきた水戸さん以上に普段着感が爆発していた。こんな派手なのに全然ステージ衣装っぽくないなんてすげえ、とうっかり感動してしまった。

そういえばライブハウス「七面鳥」の向かいにあるお店について、絶対MCでネタにされるだろうと踏んでいたが特に話題に上ることが無かったのが意外だった。ちなみにこちらは料理を食べられる系統の店らしい。




未分類100曲ライブ, 水戸華之介, 非日常




「20×5=100 LIVE」第三公演目に行ってきた。今回の楽器はピアノで、奏者は枕本トクロウさん。水戸さん曰くゲーム仲間であり、何かの後輩にあたる人らしい。澄田さん、ワジーに比べると元気いっぱい! という感じの人で、MCでの話し方もまるで「はい!」と挙手して話すような、勢いのある人だった。

楽器がピアノということで本日はバラード中心。計五日間の公演の中でもちょっと特殊なものになるとのこと。ただ、最初からしっとりと落ち着いてばかりではお客さんが死んでしまうので最初はノリノリなものから始まった。そして中盤からしっとり系が続き、その総まとめとして歌われたのが「ジョンのうた」。もし百曲の中に含まれるなら今日だろうと予測はしており、聴きたいとも思っていたが、やはりつらい。

「ジョンのうた」はアル中の父親から逃げるため、母と子が必要最低限の荷物を持って家を出るところから物語が始まる。子供は犬のジョンを飼っていたが、連れて行くことが出来ず父親のもとに置き去りに。酒びたりの父親は当然犬の世話などせず、子供がたまに目を盗んでジョンの様子を見に行くと犬小屋はひどい有様。うんちまみれになっているのに、子供の姿を見ると尻尾を振って喜ぶジョン、でも連れていくことは出来ない。そしてある日ジョンは父親によって保健所に連れて行かれ、そのことを知った母と子は急いで保健所に駆けつけたが既にジョンは処分された後だった。

迫力を感じるとともに、心臓を直に掴まれてぎゅうっと引っ張られるような歌だ。この迫力を是非その身に感じたいが、しんどい曲なのでなるべく聴きたくないのも本音。歌う水戸さんはもちろん、聴き手にも体力がいる歌だ。

またピアノの演奏が悲しさに拍車をかけるんだよなぁ………。

水戸さんの歌う「どうにもならない」と「やるせない」悲しい感情が、わかりやすく、それでいて共感しやすい形で集約されている歌だと思う。これはちょっとずるい。ひどい。ライブが終わって何時間も経つのに、あのジョンの悲しく吼える声が今も脳に木霊する。引きずられるなぁ。

そして今日ライブの帰り道にふと思ったのだが、既に処分された後と知ったとき、母親の方は内心ほっとしたんじゃないかなぁ。例え生きていたとしても飼うことは出来ない、里親のあてがあるなら放置せずに済んだだろう、と思ったら。

あと、「処分ってなに?」と子供は母に尋ね、「遠くのお山に放してあげたのよ」という答えをもらうが、………「処分」という言葉は理解出来なくても、死んでしまったことはわかったんだろうな、と思うんだ。あぁ、だめだあまり「ジョンのう」たについてばかり考えない方が良い。せっかく楽しかったのに落ち込んでしまうじゃないか。

あちこちで聞こえる啜り泣き。しんみりとした空気の中で、水戸さんがこれからノリノリの曲をやる、と言いつつ、いくらなんでもこの状態じゃ感情がついていかないだろうから、と前置きして正月に温泉に行った話に。普段は空いているその温泉も正月は流石に混んでいて、聞き耳を立てていたわけでは無かったが近くにいた男性二人組みの話が聞こえてきたそうだ。二人はパワースポットなどのスピリチュアルな話をしていたが、会話の流れでカップルだったことが発覚、不意を突かれてびっくりする水戸さん、さらに驚くべきことはその温泉、実はゲイが集まる有名スポットだったそうな。

脱衣所のところに『携帯電話を出していたら盗撮と見なします』といった、他の温泉施設ではまず見たことの無い貼紙があり、「男風呂の脱衣所で盗撮………?」と違和感を抱いていたそうで、真相を知って納得したらしい。そして「でも良いお湯だからまた行くけどね」と朗らかに締めくくり、恋愛繋がりで客いじりの定番曲「ふたりは」に! この曲では水戸さんが歌いながら客席を練り歩いて手を握ったりしてくれるのである。今回自分はちょうど良い席に座っていたので、運良く頬を撫でてもらった。嬉しかったが「ジョンのうた」で泣いた直後だったので若干恥ずかしかった。

他、今回の目玉は「天国ロック」と「ラブソング」だろうか。「天国ロック」はCD発売以来ずっと存在を忘れていた曲で今日は二十数年ぶりの演奏だったらしい。水戸さん曰く、「オチが無いのでライブではやりづらい」らしい。「でくのぼう」だったら「で、で、でくのぼー!」と皆で盛り上がることができるが、「ててててんごく~?」と自己完結してしまうので、中盤で盛り上がったテンションを爆発させることが出来ず、扱いに困るらしい。

「ラブソング」は「でくのぼう」の別歌詞バージョン。何かのおまけでカセットに入れて出したらしい。普段のライブなら、「これをやるならでくのぼうをやってくれよ……」という空気になることが予測されるので出来ないが、今日みたいな「濃い人達」ばかりが集まっているライブなら出来るとのこと。「で、で、でくのぼー!」の合いの手が「ラブ・ラブ・ラブソーング!」に変わり、もちろん他の部分の歌詞もまるっきり「でくのぼう」とは違うもので、すごく新鮮で面白かった。

そうだ。「サカナ」は当時すごく嫌なことがあって、そのネガティブな思いがはっきり表れていると水戸さんが言っていた。水戸さん曰く、珍しいくらい暗い歌、とのことだった。

最後のアンコールは前回前々回と同じく、二十面あるサイコロを振り、本日の曲順から選ぶ方式。サイコロを振る前に水戸さんが「二十番目が出るのが最悪だけど、ジョンのうたが出ても辛いな。今回は地雷が多い」といった内容を喋り、カップに入れてサイコロをかき混ぜ、さぁ、丁か! 半か! という勢いで数字を見ると………十三番。

十三曲目、ジョンのうた。

流石に振り直しというか、ちょっとサイコロに衝撃を与えることになった。水戸さんは自分に課したルールを破ることに抵抗があったようだが、恐らく観客も全員振り直しを望んでいたことだと思う。枕本さんはルールを破ることに対し、「いやいやそれはだめでしょう」とばかりに不服な態度を見せていたが、そしてそれも水戸さんを困らせるための演技だとわかってはいたが、「ジョンのうた」は良い曲だが、一日に二度聴くのはつらい。

振り直しの結果サイコロが選んだのは「電波塔の丘」。本編では寂しさが強調されていたが、アンコールは楽しく終わりたい、ということで水戸さんが枕本さんに楽しい曲調にリクエスト。もし振り直しをしなかったら「ジョンのうた」もちょっと楽しい感じになったのだろうか。いやそれは………無理か。

そういえばどの歌か忘れてしまったのだが、枕本さんがノリノリ系の曲でピアノから立ち上がり、まるで地団太を踏むように、バンバンバンバン激しく床を踏み鳴らしてリズムをとっていたのだが何だかすごく面白かった。ピアノというと落ち着いて着座して弾くイメージが強いのだが、何でもありなんだな。

未分類100曲ライブ, 水戸華之介, 非日常




「20×5=100 LIVE」に行ってきた。水戸さんが一人のギタリストと共にのべ百曲を五つの公演に分けて歌うという催しであり、その初日。デビュー二十五周年を記念したこの興行、水戸さんファンなら行かないわけには行くまい、ということでチケットを獲得。こじんまりとしたライブハウスなのでチケットが取れるか不安だったが何とかなった。番号もなかなか。見晴らしの良い席で水戸さんの歌と澄田さんのギターを堪能することが出来た。

セットリストは水戸さんの公式ブログ地球日記より転載。未聴の曲が一曲だけあったが、「涙なんか海になれ」がそれだった。

1.雨のパレード
2.百花繚乱

MC

3.特急キノコ列車
4.幻想の世界
5.ひとつの火

MC

6.2丁目の奇跡
7. 夜の行進
8.新しいメルヘン

MC

9.涙なんか海になれ
10.トゥルーロマンス

MC

11.しあわせのしずく
12.月に抱かれて
13.火星のショッピングモール

MC

14.Hello!
15.?-a-go-go
16.地図
17.わいわいわい

MC

18.小さな罪と小さな罰

マグマの人よ
私の好きな人

ダブルアンコール

わいわいわい

のべ百曲を一曲ずつ歌うというライブの特性上、今日歌われた歌は次回の公演で歌われることは無い。とすると、普段のライブなら本編のラストで歌われることの多い曲も顔を出すのは一度きり。いったいどの曲がどのタイミングで来るのかが注目どころである。そして「わあ! この曲が聴けて嬉しい!」と思いつつ、「今日やったってことはもう次は聴けないんだな……」と寂しく感じもする。無論この「20×5=100 LIVE」の後にはまた聴ける機会も来るだろうが、ついいつも以上に一期一会を噛み締めてしまう。

また、このライブは「五回の公演で百曲歌う」ことが決まっているため、アンコールも「ある」ものとしてセットリストに組まれている。もともとアンコールはライブのお約束であり、予定調和なものだが、だからと言って本編終了後、ステージから去らず、着席したままアンコールを受け、そのままアンコールを始めるミュージシャンは見たことが無い。そしてMCであっさりと今日やる二十曲の中にアンコールが含まれていること、だからアンコールは最初からやると決まっていることを暴露し、よって無駄を省くために俺はステージを降りず、このままここでアンコールを受ける! と宣言する水戸さんはお見事。やっぱり面白かった。

最初の方のMCで、水戸さんは「面白いと売れない」「面白いことを言うと等身大になりすぎてしまう。面白いことを言わずに色々と想像を膨らましてもらった方がカリスマ性が出る」といったことを冗談めかしながら語り、「だから今日は面白いことを言わない!」と言っていたが、サービス精神に溢れたこの方のこと、案の定その後のMCも非常に楽しいものだった。もっと多くの人に知られて欲しいと思うが、やっぱり面白い水戸さんが好きだな。

そしてアンコール終了後、今度こそステージを去る水戸さんと澄田さん。しかし……まぁそりゃあ起こるわけです。ダブルアンコールの要求が。二十曲と決まってても起こるのです。とはいえ二十曲やってしまった今日、残りの曲は無いわけだし、いったいどうするのだろう………? と思いつつコールをしていたら水戸さんと澄田さんがステージに登場! 歓声を浴びて戻ってきた水戸さんが持っていたのは二十面サイコロだった。

ダブルアンコールが起こることは予測していた、しかし百曲というこだわりがあるので、新しい曲は出来ない、よってこの二十面サイコロを振り、今日やった曲の中から一曲を歌う、と水戸さん。なるほどその手があったか。感心しつつ振られたサイコロの目に注目。結果は………十七番、わいわいわいだ!

まさかの「わいわいわい」。観客参加型の盛り上がり曲をまさか一日に二度やることになろうとは! 水戸さんもびっくりのこの結果、そして繰り返されるお祭り騒ぎ。自分としては楽しく盛り上がって終われたので、しんみりしたバラードが来るよりも嬉しかった。二十面サイコロの働きに感謝。

今回聴けて嬉しかったのは「雨のパレード」「夜の行進」「しあわせのしずく」「月に抱かれて」「地図」「マグマの人よ」「私の好きな人」。特に「私の好きな人」は、水戸さんの曲の中でもダントツに好きなものなのでアンコールで聴けて感無量である。「好きな人と一緒になりたい」というラブソングは数あれど、大切な人がいつも幸せでいられるように、優しい人に巡り合えますようにとひたすら幸せを祈る歌はちょっと珍しいだろう。こんなに優しい「願い」が詰まった歌は他に知らない。

さて、残り八十曲では何が聴けるだろう。「(ナミダ)2」「生きる」を聴けたら良いなぁ。楽しみにしつつ、次回に臨む。

未分類ウタノコリ, 水戸華之介, 非日常




アコースティックライブに行くのは生まれて初めてだ。いつもオールスタンディングなので座って聞くのも生まれて初めてだ。アコースティックと聞いてイメージするのはしっとりとした空間で奏でられる静かな音楽だが、さて、どうだろうか。そんなわけで本日は水戸華之介のアコースティックライブ、「ウタノコリ~黄金の日々 一年半ぶりに贈る珠玉のアコースティックライブ」に行ってきた。

場所は代官山の「晴れたら空に豆まいて」。地図を印刷するためにライブハウスのサイトを検索したのだが、これが面白い。温かみをコンセプトにしたライブハウスと言えばいいだろうか。壁は土壁、畳と板張りの桟敷席があり、豆を重要視するとのこと。内装はまるでお洒落な喫茶店、もしくはレストランのようだ。そもそもアコースティックライブで使われるような座席のあるライブハウスに行ったことがないのもあるが、ライブそのものだけでなく、いつもと違う知らない空間に行く楽しみもできてより今日のこの日が待ち遠しくなった。

地図を見る。簡単に到着することができそうだが、念のため余裕を持って早めに家を出たところ、道に迷うことなく無事辿りつくことができ、入り口からリハーサルの音が聞こえてきて思わず覗き見をしたような、フライングをしたような気持ちになる。別に悪いことをしたわけじゃないとわかっちゃいるんだがドキドキするね。さらに入り口付近で開場時間を待っていたら入り口から出てきた水戸さんがさーっと横を通り過ぎて行ったのだから、ははは。心臓に悪いよ。

このライブに行くと決めたのはわりと最近のことなのであまり番号はよろしくない。うーむ、どのあたりに座れるかなぁとやや心配していたが、ちょいと前の方にちょうどよく見やすそうな場所が一つ空いていたのでこれは嬉しいと腰を下ろした。一人で行くと身軽で良いね。

ドリンクチケットはおはじきである。ライブハウスによってドリンクチケットに違いがあるのも面白い。バッジだったりコインだったり。こういうところにもそれぞれの特徴が表れてくるのだなぁ、としみじみしつつさっさとビールに取り替えて開演を待った。空きっ腹にビールは効くなー。ちょうど良い具合に酔ってきたぞ。しかしジョッキ重いなー。

空になったジョッキをドリンクカウンターに戻し、携帯電話の電源を切ってじわじわと開演を待つ。開場から開演まで、同じ一時間だとしてもやっぱ座って待てるとそれだけで楽だよなー。飲み物を飲みながら待てるってのもあるが、オールスタンディングほど待つのが苦にならなかった。お、ついに開演だ。

照明が落とされて登場するは藤原マヒト、澄田健、水戸華之介の三人だ! 待ってましたとばかりに始まるは「世界が待っている」! 大好きだ!

以下、セットリストとは言い難い曖昧な曲目である。

世界が待っている
愛に愛はあるのかい?
唇にメロディ、心に牙を
カナリア
犬と夕暮れ
地図
生きてるうちが花なのよ
かざぐるま
ジョンのうた
おやすみ
誰だ
(「わよ」と連呼する曲)
(ふたりで?)
天井裏から愛をこめて
(数年経ってから拾い上げた曲?)

~アンコール~
情熱の薔薇

蝿の王様
センチメンタル・ストリート
しあわせになれ

マグマの人よ

「天井裏から愛をこめて」までは曲名はともかくとして順番はだいたい合っていると思うが、そっから後は……ごちゃごちゃだ…。本編ラストが未聴の曲、アンコールは三回、ラスト二曲は間違いないはず。ただし最初のアンコールと二番目のアンコールの曲数は覚えておらず、もしかしたら一曲抜けているかもしれない気もする。うーん…無念。

数々の曲の中ですごいなと印象に残る歌詞ってのはいくつかあり、その「すごい」と思う理由もそれぞれ違うが、「世界が待っている」の「長い飛行機雲だな 未練がましくて スッとしないから好きじゃないな」には感性の部分にハッとさせられた。「あ! 飛行機雲だ!」と笑顔で空を見上げる人は今までも数限りなく見聞きしてきた。どちらかというとラッキーなものとして認識されていると思う。嫌なものと捉える人の話は聞いたことがない。あれに未練たらしさを感じ取る水戸さんの感性に驚嘆するとともに、目に浮かんだのは青空を分断する一筋の飛行機雲を眺めて眉を顰める男の顔だ。

「世界が待っている」「地図」「誰だ」「天井裏から愛をこめて」「蝿の王様」「マグマの人よ」が特に聴けて嬉しかった曲だが、今回特筆すべきは「ジョンのうた」だろう。ジョンのうた。あのさ、今までライブで涙目になったことはあるけれど、涙が流れたことは無かったぞ。ボロボロとまではいかないもののたらたら涙が垂れてきて鼻もぐずつき、もうちょっと勢いがついたらまさに泣いている状態そのものである。これは来た。

歌詞内容は男の子が母親と家を出て行くことになったが、飼い犬を連れて行くことはできず、飲んだくれの父親のもとに置いていかなければならなくなって………ってこんな文章読むよりもさっさと本物を聴くべきだ。悲しい歌だよ。胸に迫るよ。思い出すとため息が出る。歌ってすごいや。

「かざぐるま」「ジョンのうた」「おやすみ」としんみりした曲が続き、ぐっと盛り下がる観客、そして盛り下げた水戸さん。次はファンキーな曲で盛り上げていくつもりなだけのこのままでは何なので、ってことで面白いMCで笑わせてくれた。しかしここで話されたMCがどの内容だったかは忘れてしまったぜ! 澄田さんのお父さんが夏休みの工作を手伝ってくれたは良いが、作ってくれたのは三度笠と草鞋だった話か、同じく澄田さんがホテルでTシャツ一丁の状態でトイレに行こうとしたらドアーがオートロックで部屋から閉め出された話か、最近の子が曲中で褒め合いをしていて理解ができないという話か、どれだったかなぁ。

そしてファンキーな曲とは何かと言えば…「誰だ」が来た! いよっしゃーこれ大好きだ! そうかこれがファンキーな曲なのか! 未だにファンキーってのがどういうものなのかよくわかってないためにここで勝手に納得した! ちなみに自慢するこっちゃないが、何を持ってバラードと言うかってこともよくわかっていない。あれやそれがバラードらしいってことは何となくわかるんだが、わかるんだがな。

次の曲がまた面白かったなぁ。掛け合いがたっぷりで、「はりつめたー弓のー」と水戸さんがうろ覚えなもののけ姫っぽいものを歌い、マイクを観客に向けて歌わせた直後、「知らないのに歌うんじゃない!」って内容のことを言って笑いが起きたり、そしてあれだ。何と言ってもウルトラソウルだ。

「わよー!」「わよー!」と連呼する中で、「ウルトラソウルッハイッ!!」てのを混ぜてくるのだ。言わずもがな、B’zの「ultra soul」における有名な一節である。あれを掛け合いの中に混ぜてきて、しかも水戸さんによる「ウルトラソウルッハイッ!」の言い方のご指南もあった。よく知らない人は「ウルトラソウルッ」で拳を振り上げてしまうけど、一拍置いて「ウルトラソウルッハイッ!」で拳を振り上げるのが正しいそうだ。これを知らないとカラオケで一人先走って拳を振り上げて恥をかくはめになってしまうと言う。なるほど、良い勉強になった。

盛り上げ曲はまだまだ続く。今度の曲では水戸さんがステージから下りてきて観客をいじりまくっていておかしかった。歌いながら握手をしたり、一人の女性の手をとって頬に添えたり、客の眼鏡を抜き取って自分の眼鏡の上に重ねてダブル眼鏡にしてみたり、サービス満点である。いじられて嬉しそうな恥ずかしそうな、それていてちょっと困ったような顔をしてはにかむお客の様子も面白かった。

中でも一人、一番後ろに座っていたアフロっぽい髪型の男性は二度もいじられていて面白いやらおかしいやら。ステージを下りて一直線に男性のもとへと早足で歩いていく水戸さん、男性の髪をもしゃもしゃしたり、肩を抱いているのか抱え込んでいるのか格闘しているのかよくわからないものの、何となく男性が抵抗しているらしいことが伺えたり、さらにステージに戻ってからももう一度水戸さんはその男性のもとへ一直線、ついに男性も立ち上がりその場で一緒に踊らされていた。わははははは。すげぇー。

悲しみを吹き飛ばして沸き立つ観客は「あの」イントロのもとさらに沸騰する。「天井裏から愛をこめて」! 流れとしてはラブソング続きといったところだが、このラブソングは怖いよな! 「大好き大好き!」のコールがぴったりはまっていて感動した。「かび臭いのも素敵なものさ」の部分を歌う水戸さんがやけに格好良かったのが印象に残っている。爆発を前にして溜めに溜めている緊張感と怪しい声の響きのせいか。

本編ラストは未聴の曲で、タイトルを耳にしたはずだが忘れてしまったのが残念だ。「風」という単語が入っていた気がするのだが…。どうだったかなぁ。

アンコールの手拍子が鳴り響き、メンバーはすぐにステージに戻ってきてくれた。こっからなー。記憶が定かじゃないんだが、「情熱の薔薇」はブルーハーツのトリビュートに参加して、頑張って覚えたからせっかくだから歌う、ってことだったかな。笑えるのが、同じレーベル繋がりで参加することになったのに、録音した曲はそのレーベルをブルーハーツが出て行った後の曲だったことに録音した後に気付いたという話だ。わはははは。いい加減だなぁ。

ブルーハーツはテレビなどで耳にする程度でしか聴いたことがなく、「情熱の薔薇」も全く知らない曲だったが、特に違和感は抱かなかった。

「蝿の王様」も楽しかったなぁ! 「銭ゲバ! 銭ゲバ!」なんて実生活じゃまず使わない言葉だから、こういう場所で口に出すと新鮮だ。「ばいばい、落ちこぼれ」で手を振るふりがあったので真似してやってみた。ここだけじゃなく、ほとんどの振りは周囲の人の動きを参考にしながらやっていた。つっても夢中になりすぎて手拍子が止まったりもしていたけどね。手拍子することを忘れるほど引き込まれるってのはあるものだ。単にリズム感が無いために手拍子をうまく保持できないだけかもわからないが。うん、テンポによっては難しくて苦労するんだよな。うん。

「蝿の王様」には「ボランティアじゃねーぞ!」という歌詞があるのだが、ここで水戸さん、「ボランティアじゃないしぃ~」と女子高校生のような口調で一度つぶやいた。そのおかしさに笑いが起こる。が、もう一度、今度はふざけた調子を取っ払って「ボランティアじゃねーぞ!!」と一喝!! 直前とのギャップもあいまってものすごく格好良かった!

「センチメンタル・ストリート」を聴きながら、まだ一部のアルバムしか手にしてないが、水戸さんの歌詞には地図や未来図といった言葉がよく出てくるな、と思った。この曲の入っているアルバムも手に入れたいなぁ。気に入ったというか気になったというか。もう一度じっくり聴き直したい。

最後、水戸さんから「しあわせになれ」というメッセージをたっぷり受け取って、多幸感に包まれながらライブは終わった。だが手拍子は終わらない。客席を立つ者も現れない。無論自分もそのうちの一人である。追い出し曲が流れる中でだんだんとテンポが加速する手拍子を打ちながら、………やったー来てくれたー!

トリプルアンコール!! 嬉しい!

水戸さんはハンチングを脱いで手拭を頭にかぶった姿で登場。マイクを握り、「しあわせになれ」を一部歌った後、始まったのは「マグマの人よ」! あー…。ぐっとくるなぁー…。

「青空を見ようじゃないか」で手のひらをライブハウスの光に向ける。最後にこの曲が聴けるとは。歌を聴いて、言葉が耳から体内に浸透して、勇気が湧いてくる。明日も頑張ろうと前を見据える力が湧く。

アコースティックと聞いてイメージしたしっとりとした空間もそこにはあった。だが、美しく迫力あるグランドピアノ、どこか瑞々しさを感じるアコースティックギター、力漲る歌声とパフォーマンス、手拍子に掛け合いと、空間を支配していたのは力強い熱気だった。あぁ、アコースティックでもエレキでも、ロックはロックなのだなぁと、夢中になりながら、頭の片隅でふと思ったりした。

せっかくだ、何かCDを買っていこうと思い、物販に並んでいると出入り口付近の小さなスペースにふっと水戸さんが現れて、サインと握手をしてくれることになって驚いた。いや、前にもあったし今回もあるかなとは思ったが、告知も何も無かったから驚いたよ! 驚いたおかげであわあわ慌ててろくろく言いたいことも言えなかったが、嬉しかった。また大事なものが一つ増えたぞ。

未分類不死鳥, 初参戦, 水戸華之介, 非日常

どうすっかなぁ。魅力的なライブだとは思いつつ、当初は行かない予定だったがやはり行きたくなってきた。しかし前売り券の販売はとっくに終了しているし、当日券は前売りよりも五百円高い、今月は卒業旅行があるから出費も多い、それに月末には既にチケットを購入済みの筋少のライブがある、と否定要素を挙げつつもそれでも行きたい気持ちがじわじわしている。

で、まぁ、結局行ってきた。水戸華之介ライブ【不死鳥007】! ヤマザキ春のパン祭りならぬ春のギタリスト祭り! The Dominatorsの杉本恭一、筋肉少女帯の橘高文彦、人間椅子の和嶋慎治をゲストに迎えた豪華ライブだ!

このゲストが本当に魅力的でね。橘高さんは言うまでもないが、ちょうど最近レピッシュと人間椅子も聴き始めたところだったので、そりゃ行きたくもなるわなぁ。特に人間椅子。人間椅子のアルバムはまだ一枚しか聴いてないが、そのきっかけはオーケンとみうらじゅんと人間椅子がコラボした「君は千手観音」という曲で、これは初めて歌詞でも歌声でもなくギターの音が気になって好きになったって曲なのだ。そのギターを弾いたギタリストが来るのだよ。俄然行きたくなるよなぁ。

とはいえ入場順は販売順というわかりやすい仕組みであるからして、当日券ではそうそう前の方にも行けないだろうから本日は後ろでまったり観るかぁ、でも見えるかわからんなぁ、だが見えなくても音は絶対聴こえるからまぁいっか、と思って当日券を購入したのだが、意外や意外、まあまあ前の方に行けた。順番通りの入場ではあったのだが、開場時間になっても未だ来ていない人が多かったらしく、さっさと中に入れてもらえたのである。土曜日だから忙しくしていた人が多かったのかもしれない。

さらに、見た感じステージが高く、前方はなだらかな斜面になっていて、後ろの人も見やすい工夫が凝らされていた。また、会場内は横長のつくりになっているため一列一列により多くの人が立つことができる。このライブハウス良いな。好きだな。

入場してからしばらくは自分の後ろに並ぶ人が少なく、何だよ何だよ人は来ないのかよと不安を抱いたが、ある時ふと振り返った頃にはびっしりと人が入っていて安心した。後は開演を待つばかりである。

開演時間を十分ほど過ぎたあたりだろうか。照明が落ち、身構えるが雪崩のような押しは無い。これは前回行った3-10Chainでも同じだったな。するとステージの上のスクリーンにライトが当たり、突如映画が始まった。………何だこれー!?

まずタイトルと「この映画はオカルト信仰を何々するものではありません」とお断りが入って笑いが起こる。このお断りの文章をきちんと覚えていないのがまことに惜しい。そして始まったのは、マイケルのマスクを被った謎の男性と黒人女性のデートシーン。女性はマイケルに愛を語る。マイケルはそれが真実かどうか女性に問う。女性が己のそれは真実の愛であることを訴えると、なんと! 謎の男はマスクを脱ぎ、そこに現れたのは―――水戸さんだ!

悲鳴を上げる女性! マスクを中途半端に脱いだままドアップで映し出される水戸さん! 悲鳴を上げる女性! そして映画が終わり、スクリーンが徐々に昇っていくとその裏には三人の人影が。高台に立つ中央はその名も水戸華之介! そして彼の両脇に立つ男は、マイケルに扮する…誰だ………?

仮面をつけた謎の男二人はダンスマンと言うらしい。二人が軽快に踊る中他のメンバーも続々とステージに現れ、そのままライブスタートとなった。最初の曲はまだ聴いたことのない曲で、「そっちの調子はどう」みたいな歌詞があったことを記憶している。以下、大変曖昧な曲目である。

「そっちの調子はどう」みたいな歌詞のある曲
君と瓶の中
「ラブ!」と叫ぶ曲
愛に愛はあるのかい?
唇にメロディ、心に牙を
これっぽっちの悲しみで
蝿の王様
誰だ
サイクリング
全ての若き糞溜野郎ども
でくのぼう
天井裏から愛をこめて
「キムと~」という歌詞の曲
世界が待っている
祈り
( )
~~アンコール~~
地図
( )
イエイエ

うーん、前半は「唇にメロディ、心に牙を」までは合っているはずだ。アンコール一曲目が「地図」、ラストが「イエイエ」ってのも間違いなかろうが、いつにも増してしっちゃかめっちゃかだ。三分の一ほどは知らない曲だったな。だけれども! ものすごーく楽しかった!

特に嬉しかったのは「蝿の王様」「誰だ」「全ての若き糞溜野郎ども」「でくのぼう」、後追いでアンジーの曲が聴けるなんて! しかも「蝿の王様」と「誰だ」は橘高さんのギターでだ! 今日は特別なお祭りなんだってことを感じた瞬間だった。

そして! イントロを聴いて、もしやこれはまさかあれか! とドキドキして、思わず叫びそうになったほど嬉しかったサイクリング! そうだよ! 水戸さんと杉本さんと橘高さんが揃うってことはこの曲をやる可能性があったってのに、露ほども予想してなかったんだ! だからこそ自分にとっては予想外の喜びで、いつかライブで聴きたいものだと漠然と考えていただけに、飛び上がるような思いだった。

水戸さん曰く、レピッシュと筋少のいいとこどりだそうで、水戸さんと杉本さんがボーカルをとり、橘高さんがあのギターソロを弾き、内田さんの野太いコーラスが格好良く、せかされるような怪しげな曲調にぐんぐん引き込まれた。。

そういえばこの日、自分は下手側にいたのだが、位置が良く内田さんも水戸さんも良く見えた。残念なことに橘高さんは少々見えづらかったが、今日の金髪はいつにも増してふわんふわんしていたように思う。出演を待つ間にふわふわに磨きをかけていたのだろうか。

最初のMCで水戸さんはマイケルの遺志は俺が継ぐ! と冗談を言って観客を笑わせ、今日はヤマザキ春のパン祭りならぬ春のギター祭りだと語ってくれた、ような気がする。それで、最初だったか次だったかは忘れたが、ギターの思い出を話してくれた。

水戸さんは昔ギターを買うために一所懸命新聞配達のアルバイトをしたそうで、それでようやくギターを手に入れたのだけれど、ギターを手にした瞬間に弾けるつもりでいたのに全然弾けない、何だこれは、なることを友人に話すと、そりゃ練習しなきゃ弾けないよと返される。水戸さん、俺はギターを買うために一所懸命新聞配達を頑張ったのに、この上まだ頑張らなければいけないなんて嫌だ! ってことで早々とその友人にギターを売ってしまったのだそうだ。わはははははは。練習なんて言葉はこの世から無くなれば良いとか言ってたなぁ。

ゲスト一人目の和嶋さんに水戸さんが「練習したの?」と質問をする。この答えがすごかった。和嶋さん、中学生の頃にギターを手に入れて、一日十二時間近く弾いていたそうだ。夕方から弾き始めて夢中になっているうちに、気づくと夜が明けているという状態だという。すげぇ。これには水戸さんも舌を巻き、才能とは努力を努力と感じないってことだ、というような話をし、俺も良い話をするのは苦じゃないから! 努力してないから! とオチをつけていた。

どの曲だったかな。和嶋さんと内田さんが並んで弾いているときに、弾きながら何かを話すか確認するかをしているようで、とても楽しげだった。その最中で内田さんがベースの上の方の弦に口を寄せていて、あれは何をやっているのだろうと思ったのだが、和嶋さんの弾き方を真似していたらしい。歯で弾くってすげぇな。

橘高さんの登場時にも水戸さんは「練習したの?」と質問をしたが、橘高さんは「練習? そんなの生まれて一度もしたことない」と一度とぼけてみせて、直後否定したくさん練習したと話した。

橘高さんは今回初めて不死鳥に出演することになったのだが、水戸さんは橘高さんに電話をして出演依頼をする前に、一度内田さんに打診してもらっていたそうである。曰く、二つ返事で断られたら俺傷つくからとのこと。わはは。

ゲストは和嶋さん、橘高さん、杉本さんの順で、次のギタリストを呼ぶ際に先に来たギタリストがソロを弾き、呼び出したら一緒に一曲やって、一曲終わったら先に来た方が退場する、といった形式だった。杉本さんが登場して橘高さんが退場すると、「杉本は半分メンバーのようなものだから気が抜けそうになる」と語っていた。

「愛に愛はあるのかい?」はこの間の3-10Chainのライブと合わせて聴くのは二回目になるが、今までの曲の中でも澄田さんのコーラスがかなり目立ってきて、メインボーカルである水戸さんの声を追いかけ追い越すようで、そこに内田さんの合いの手のような低く短いシャウトが入って、重なり方がとても楽しい。「唇にメロディ、心に牙を」は歌詞がこれだけで驚いた。ライブじゃ全然気づかんかったなぁ。まさに水戸さんを指すタイトルだと思う。

「蝿の王様」の「銭ゲバ! 銭ゲバ!」がすげー楽しかった。「全ての若き糞溜野郎ども」の「あの」箇所の盛り上がりったらなかったなぁ。ワーッと皆で手を上げて左右に振った。初めて聴いたときはこのメロディに何て歌詞をつけるんだとびびったものだ。

今回のライブで一番印象深かったのは何だろう、と考えると「世界が待っている」だろうか。好きな曲というのもあるが、これは素晴らしかった。照明が落とされ、まずはピアノの編曲でアコースティックっぽくゆったりと始まり、一番が終わったところで、かな? 突如演奏が元のバージョンに切り替わり、照明がステージを真っ白に照らし、天井から赤や青、緑、白、黄色の色とりどりの風船が降ってきた。見上げれば鮮やかな色が視界いっぱいに下りてきていて、落ちてきた風船を手に取るとビリビリと振動する音が手のひらに感じられた。

昔、耳の聞こえなくなったピアニストの少女が、風船から伝わる音の振動を感じて再び音楽を取り戻す漫画を読み、以来、一度そいつを体感してみたいなと思っていた願いが唐突に実現されて、こんなこともあるのかと思った。降ってきた風船を観客はポンポンとステージの方にはたき、弾んだ風船はあちこちの頭の上に戻ってきて、ゆるやかなバレーボールをしているみたいだった。

アンコール一発目の「地図」は、3-10Chainの中でも特に気に入りの、胸にガツンガツンと突き刺さってくる曲で、今日聴けたことが本当に嬉しい。前回の3-10Chainで聴けたときも嬉しかった。

最後の最後はギタリストが全員集合し、何の曲にしようかと思ったがシンプルなロックでということで「イエイエ」。このとき橘高さんが一人衣装を変えて登場した。それも不必要にヒラヒラとした真っ白のドレス。水戸さんがしばらく凝視していたのが面白かった。何となく、橘高さんは「格好良いから」ではなく受け狙いでこの衣装を選んできたような気がする。あえて不調和を作り出そうとしているというか、インパクトのためというか。フェスで白いドレスを着ていることが多いのもそういう理由ではあるまいか。

そんな橘高さんと書生姿の和嶋さんが並ぶと不調和どころの話ではない。そこに澄田さんもやってきて三人並んで立ったところで水戸さんが「同じ職業の人達とは思えない」とつっこんだ。全くである。

あぁ、そういえば、ここじゃなくてどこだったかなぁ。上手側で澄田さん、橘高さん、和嶋さんが並んだときだっけ。内田さんが一人高台の上に上ってベースを弾いていて格好良かったなぁ。内田さんが一人で目立つことは少ないので印象深かった。それと同じく高台で、本編終了直前だったかな、ダンスマンが再登場し、クラッカーを観客に向けて鳴らしたのだが、クラッカーから出た紙くずが内田さんに降りかかって紙くずが内田さんとベースに絡まり、絡まったまま演奏を続ける内田さんが面白かった。あれ邪魔じゃなかったかな。邪魔だっただろうな。ネックに思いっきりひっ絡まってたしな。

そういや橘高さんが登場直後、くるっと回ったときにギターが水戸さんの頭にぶつかりそうになったことがあった。慣れてないと危ないね。

ラストのイエイエでは四人のギタリストが順番にソロを披露。盛り上がらないわけがない。欲を言えば内田さんのソロも欲しかったところだが今日はヤマザキ春の、ならぬ春のギタリスト祭り。終演後もしばらくアンコールの拍手が鳴り止まず、トリプルアンコールが熱望されたが、ボーカリストが物販にいるため不可能であるとの放送がなされて笑った。

さて、何故水戸さんが物販にいるのかと言えば、何と! 本日先行発売される3-10Chainのベストアルバム「鎖の肖像」を購入すると、水戸さんからサインと握手をしていただけるとのサービスが! そりゃーもう、そりゃーもう、もちろん買いましたよ。買わないわけがない。家を出る前、財布にチケット代とドリンク代しか入っておらず、そのまま出ようとしたのだが思いとどまって追加をしてきて良かった。流石にそれだけでは不安かと思ってやめておいたのであるが、ここで追加しなかったらアルバムが買えないところであった。危なかった。

物販購入後、サインを待つ人々の長蛇の列に並び、ライブの余韻を噛み締めながら順番を待った。何か話そうか、どうしようか、と緊張した挙句、水戸さんを目の前にしてつい「こんにちは」と挨拶をしてしまった。挨拶、大切である。人と人とを繋ぐのは挨拶だ。しかしこの場では何か違う気がする。

慌てつつも気を取り直し、水戸さんにサインをしていただく間に「グレーゾーンの客なのでベストが発売されて嬉しいです」「欲しいけど、手に入らなかったので」と告白をした。ベスト盤の発売で、自虐と冗談を交えつつ、「コアなファンしかいないバンドだから皆ベストなんか出さなくてもアルバム持ってるよ!」「これからはグレーゾーンの客を増やしていこう!」と水戸さんが話していたからである。実際、自分はせいぜい半年程度のファンで、3-10Chainのアルバム四枚のうち初期二枚は廃盤になっているためレンタルでしか聴いておらず、アンジーも少しずつ集めている状態。まさにグレーゾーンと呼ぶにふさわしい。

水戸さんはにこやかに「珍しい! これから濃いゾーンに!」と言ってくださり、握手をしていただいた。舞い上がって「はい! 濃いゾーンに入っていきたいです!」って元気良く返事をしちゃったよ。水戸さんの手は温かくて柔らかかった。

サインしていただいたアルバムを大事に鞄にしまい、駅へと歩みを進めながら「客じゃなくてファンって言えば良かったなぁ」と反省したりしつつ、ニッコニコに笑いながら電車に乗って帰宅した。ライブの後はいつも満面の笑みを抑えきれなくなる。筋肉の動きがニヤニヤじゃなくってニコニコなのだ。あぁ、迷ったけど行って良かったなぁ。楽しかった。

そうそう。今回は前回の3-10Chainより水戸さんの声がよく聴こえた。この間は内田さん前の最前付近に立っていたからベースの音はズンズン響いてきたが、水戸さんの声はやや聴こえにくかったんだよな。これくらいの位置だと観るのも聴くのもちょうどが良いね。

後日、水戸さんのブログにセットリストが掲載されたので転載を。

[オープニングビデオ]~BGM
~水戸 with ダンサー
~メンバー IN
1.生きてるうちが花なのよ
2.君と瓶の中
~ダンサー OUT
3.霧の中
MC
4.愛に愛はあるのかい?
5.唇にメロディ、心に牙を
MC~和嶋 IN
6.孤独の叫び
7.これっぽちの悲しみで
MC
8.蠅の王様(~橘高 IN)
~和嶋 OUT
9.誰だ
MC
10.サイクリング(~恭一 IN)
~橘高 OUT
11.キムとキリムのダイジョーブ!
12.すべての若き糞溜め野郎ども
13.沈没船
~恭一 OUT
14.世界が待っている(~ダンサー IN)
15.でくのぼう
~ダンサー OUT
16.天井裏から愛を込めて
17.センチメンタルストリート

En.1
地図
祈り
En.2
Yeah! Yeah!(G.×4)