未分類不死鳥, 初参戦, 水戸華之介, 非日常

どうすっかなぁ。魅力的なライブだとは思いつつ、当初は行かない予定だったがやはり行きたくなってきた。しかし前売り券の販売はとっくに終了しているし、当日券は前売りよりも五百円高い、今月は卒業旅行があるから出費も多い、それに月末には既にチケットを購入済みの筋少のライブがある、と否定要素を挙げつつもそれでも行きたい気持ちがじわじわしている。

で、まぁ、結局行ってきた。水戸華之介ライブ【不死鳥007】! ヤマザキ春のパン祭りならぬ春のギタリスト祭り! The Dominatorsの杉本恭一、筋肉少女帯の橘高文彦、人間椅子の和嶋慎治をゲストに迎えた豪華ライブだ!

このゲストが本当に魅力的でね。橘高さんは言うまでもないが、ちょうど最近レピッシュと人間椅子も聴き始めたところだったので、そりゃ行きたくもなるわなぁ。特に人間椅子。人間椅子のアルバムはまだ一枚しか聴いてないが、そのきっかけはオーケンとみうらじゅんと人間椅子がコラボした「君は千手観音」という曲で、これは初めて歌詞でも歌声でもなくギターの音が気になって好きになったって曲なのだ。そのギターを弾いたギタリストが来るのだよ。俄然行きたくなるよなぁ。

とはいえ入場順は販売順というわかりやすい仕組みであるからして、当日券ではそうそう前の方にも行けないだろうから本日は後ろでまったり観るかぁ、でも見えるかわからんなぁ、だが見えなくても音は絶対聴こえるからまぁいっか、と思って当日券を購入したのだが、意外や意外、まあまあ前の方に行けた。順番通りの入場ではあったのだが、開場時間になっても未だ来ていない人が多かったらしく、さっさと中に入れてもらえたのである。土曜日だから忙しくしていた人が多かったのかもしれない。

さらに、見た感じステージが高く、前方はなだらかな斜面になっていて、後ろの人も見やすい工夫が凝らされていた。また、会場内は横長のつくりになっているため一列一列により多くの人が立つことができる。このライブハウス良いな。好きだな。

入場してからしばらくは自分の後ろに並ぶ人が少なく、何だよ何だよ人は来ないのかよと不安を抱いたが、ある時ふと振り返った頃にはびっしりと人が入っていて安心した。後は開演を待つばかりである。

開演時間を十分ほど過ぎたあたりだろうか。照明が落ち、身構えるが雪崩のような押しは無い。これは前回行った3-10Chainでも同じだったな。するとステージの上のスクリーンにライトが当たり、突如映画が始まった。………何だこれー!?

まずタイトルと「この映画はオカルト信仰を何々するものではありません」とお断りが入って笑いが起こる。このお断りの文章をきちんと覚えていないのがまことに惜しい。そして始まったのは、マイケルのマスクを被った謎の男性と黒人女性のデートシーン。女性はマイケルに愛を語る。マイケルはそれが真実かどうか女性に問う。女性が己のそれは真実の愛であることを訴えると、なんと! 謎の男はマスクを脱ぎ、そこに現れたのは―――水戸さんだ!

悲鳴を上げる女性! マスクを中途半端に脱いだままドアップで映し出される水戸さん! 悲鳴を上げる女性! そして映画が終わり、スクリーンが徐々に昇っていくとその裏には三人の人影が。高台に立つ中央はその名も水戸華之介! そして彼の両脇に立つ男は、マイケルに扮する…誰だ………?

仮面をつけた謎の男二人はダンスマンと言うらしい。二人が軽快に踊る中他のメンバーも続々とステージに現れ、そのままライブスタートとなった。最初の曲はまだ聴いたことのない曲で、「そっちの調子はどう」みたいな歌詞があったことを記憶している。以下、大変曖昧な曲目である。

「そっちの調子はどう」みたいな歌詞のある曲
君と瓶の中
「ラブ!」と叫ぶ曲
愛に愛はあるのかい?
唇にメロディ、心に牙を
これっぽっちの悲しみで
蝿の王様
誰だ
サイクリング
全ての若き糞溜野郎ども
でくのぼう
天井裏から愛をこめて
「キムと~」という歌詞の曲
世界が待っている
祈り
( )
~~アンコール~~
地図
( )
イエイエ

うーん、前半は「唇にメロディ、心に牙を」までは合っているはずだ。アンコール一曲目が「地図」、ラストが「イエイエ」ってのも間違いなかろうが、いつにも増してしっちゃかめっちゃかだ。三分の一ほどは知らない曲だったな。だけれども! ものすごーく楽しかった!

特に嬉しかったのは「蝿の王様」「誰だ」「全ての若き糞溜野郎ども」「でくのぼう」、後追いでアンジーの曲が聴けるなんて! しかも「蝿の王様」と「誰だ」は橘高さんのギターでだ! 今日は特別なお祭りなんだってことを感じた瞬間だった。

そして! イントロを聴いて、もしやこれはまさかあれか! とドキドキして、思わず叫びそうになったほど嬉しかったサイクリング! そうだよ! 水戸さんと杉本さんと橘高さんが揃うってことはこの曲をやる可能性があったってのに、露ほども予想してなかったんだ! だからこそ自分にとっては予想外の喜びで、いつかライブで聴きたいものだと漠然と考えていただけに、飛び上がるような思いだった。

水戸さん曰く、レピッシュと筋少のいいとこどりだそうで、水戸さんと杉本さんがボーカルをとり、橘高さんがあのギターソロを弾き、内田さんの野太いコーラスが格好良く、せかされるような怪しげな曲調にぐんぐん引き込まれた。。

そういえばこの日、自分は下手側にいたのだが、位置が良く内田さんも水戸さんも良く見えた。残念なことに橘高さんは少々見えづらかったが、今日の金髪はいつにも増してふわんふわんしていたように思う。出演を待つ間にふわふわに磨きをかけていたのだろうか。

最初のMCで水戸さんはマイケルの遺志は俺が継ぐ! と冗談を言って観客を笑わせ、今日はヤマザキ春のパン祭りならぬ春のギター祭りだと語ってくれた、ような気がする。それで、最初だったか次だったかは忘れたが、ギターの思い出を話してくれた。

水戸さんは昔ギターを買うために一所懸命新聞配達のアルバイトをしたそうで、それでようやくギターを手に入れたのだけれど、ギターを手にした瞬間に弾けるつもりでいたのに全然弾けない、何だこれは、なることを友人に話すと、そりゃ練習しなきゃ弾けないよと返される。水戸さん、俺はギターを買うために一所懸命新聞配達を頑張ったのに、この上まだ頑張らなければいけないなんて嫌だ! ってことで早々とその友人にギターを売ってしまったのだそうだ。わはははははは。練習なんて言葉はこの世から無くなれば良いとか言ってたなぁ。

ゲスト一人目の和嶋さんに水戸さんが「練習したの?」と質問をする。この答えがすごかった。和嶋さん、中学生の頃にギターを手に入れて、一日十二時間近く弾いていたそうだ。夕方から弾き始めて夢中になっているうちに、気づくと夜が明けているという状態だという。すげぇ。これには水戸さんも舌を巻き、才能とは努力を努力と感じないってことだ、というような話をし、俺も良い話をするのは苦じゃないから! 努力してないから! とオチをつけていた。

どの曲だったかな。和嶋さんと内田さんが並んで弾いているときに、弾きながら何かを話すか確認するかをしているようで、とても楽しげだった。その最中で内田さんがベースの上の方の弦に口を寄せていて、あれは何をやっているのだろうと思ったのだが、和嶋さんの弾き方を真似していたらしい。歯で弾くってすげぇな。

橘高さんの登場時にも水戸さんは「練習したの?」と質問をしたが、橘高さんは「練習? そんなの生まれて一度もしたことない」と一度とぼけてみせて、直後否定したくさん練習したと話した。

橘高さんは今回初めて不死鳥に出演することになったのだが、水戸さんは橘高さんに電話をして出演依頼をする前に、一度内田さんに打診してもらっていたそうである。曰く、二つ返事で断られたら俺傷つくからとのこと。わはは。

ゲストは和嶋さん、橘高さん、杉本さんの順で、次のギタリストを呼ぶ際に先に来たギタリストがソロを弾き、呼び出したら一緒に一曲やって、一曲終わったら先に来た方が退場する、といった形式だった。杉本さんが登場して橘高さんが退場すると、「杉本は半分メンバーのようなものだから気が抜けそうになる」と語っていた。

「愛に愛はあるのかい?」はこの間の3-10Chainのライブと合わせて聴くのは二回目になるが、今までの曲の中でも澄田さんのコーラスがかなり目立ってきて、メインボーカルである水戸さんの声を追いかけ追い越すようで、そこに内田さんの合いの手のような低く短いシャウトが入って、重なり方がとても楽しい。「唇にメロディ、心に牙を」は歌詞がこれだけで驚いた。ライブじゃ全然気づかんかったなぁ。まさに水戸さんを指すタイトルだと思う。

「蝿の王様」の「銭ゲバ! 銭ゲバ!」がすげー楽しかった。「全ての若き糞溜野郎ども」の「あの」箇所の盛り上がりったらなかったなぁ。ワーッと皆で手を上げて左右に振った。初めて聴いたときはこのメロディに何て歌詞をつけるんだとびびったものだ。

今回のライブで一番印象深かったのは何だろう、と考えると「世界が待っている」だろうか。好きな曲というのもあるが、これは素晴らしかった。照明が落とされ、まずはピアノの編曲でアコースティックっぽくゆったりと始まり、一番が終わったところで、かな? 突如演奏が元のバージョンに切り替わり、照明がステージを真っ白に照らし、天井から赤や青、緑、白、黄色の色とりどりの風船が降ってきた。見上げれば鮮やかな色が視界いっぱいに下りてきていて、落ちてきた風船を手に取るとビリビリと振動する音が手のひらに感じられた。

昔、耳の聞こえなくなったピアニストの少女が、風船から伝わる音の振動を感じて再び音楽を取り戻す漫画を読み、以来、一度そいつを体感してみたいなと思っていた願いが唐突に実現されて、こんなこともあるのかと思った。降ってきた風船を観客はポンポンとステージの方にはたき、弾んだ風船はあちこちの頭の上に戻ってきて、ゆるやかなバレーボールをしているみたいだった。

アンコール一発目の「地図」は、3-10Chainの中でも特に気に入りの、胸にガツンガツンと突き刺さってくる曲で、今日聴けたことが本当に嬉しい。前回の3-10Chainで聴けたときも嬉しかった。

最後の最後はギタリストが全員集合し、何の曲にしようかと思ったがシンプルなロックでということで「イエイエ」。このとき橘高さんが一人衣装を変えて登場した。それも不必要にヒラヒラとした真っ白のドレス。水戸さんがしばらく凝視していたのが面白かった。何となく、橘高さんは「格好良いから」ではなく受け狙いでこの衣装を選んできたような気がする。あえて不調和を作り出そうとしているというか、インパクトのためというか。フェスで白いドレスを着ていることが多いのもそういう理由ではあるまいか。

そんな橘高さんと書生姿の和嶋さんが並ぶと不調和どころの話ではない。そこに澄田さんもやってきて三人並んで立ったところで水戸さんが「同じ職業の人達とは思えない」とつっこんだ。全くである。

あぁ、そういえば、ここじゃなくてどこだったかなぁ。上手側で澄田さん、橘高さん、和嶋さんが並んだときだっけ。内田さんが一人高台の上に上ってベースを弾いていて格好良かったなぁ。内田さんが一人で目立つことは少ないので印象深かった。それと同じく高台で、本編終了直前だったかな、ダンスマンが再登場し、クラッカーを観客に向けて鳴らしたのだが、クラッカーから出た紙くずが内田さんに降りかかって紙くずが内田さんとベースに絡まり、絡まったまま演奏を続ける内田さんが面白かった。あれ邪魔じゃなかったかな。邪魔だっただろうな。ネックに思いっきりひっ絡まってたしな。

そういや橘高さんが登場直後、くるっと回ったときにギターが水戸さんの頭にぶつかりそうになったことがあった。慣れてないと危ないね。

ラストのイエイエでは四人のギタリストが順番にソロを披露。盛り上がらないわけがない。欲を言えば内田さんのソロも欲しかったところだが今日はヤマザキ春の、ならぬ春のギタリスト祭り。終演後もしばらくアンコールの拍手が鳴り止まず、トリプルアンコールが熱望されたが、ボーカリストが物販にいるため不可能であるとの放送がなされて笑った。

さて、何故水戸さんが物販にいるのかと言えば、何と! 本日先行発売される3-10Chainのベストアルバム「鎖の肖像」を購入すると、水戸さんからサインと握手をしていただけるとのサービスが! そりゃーもう、そりゃーもう、もちろん買いましたよ。買わないわけがない。家を出る前、財布にチケット代とドリンク代しか入っておらず、そのまま出ようとしたのだが思いとどまって追加をしてきて良かった。流石にそれだけでは不安かと思ってやめておいたのであるが、ここで追加しなかったらアルバムが買えないところであった。危なかった。

物販購入後、サインを待つ人々の長蛇の列に並び、ライブの余韻を噛み締めながら順番を待った。何か話そうか、どうしようか、と緊張した挙句、水戸さんを目の前にしてつい「こんにちは」と挨拶をしてしまった。挨拶、大切である。人と人とを繋ぐのは挨拶だ。しかしこの場では何か違う気がする。

慌てつつも気を取り直し、水戸さんにサインをしていただく間に「グレーゾーンの客なのでベストが発売されて嬉しいです」「欲しいけど、手に入らなかったので」と告白をした。ベスト盤の発売で、自虐と冗談を交えつつ、「コアなファンしかいないバンドだから皆ベストなんか出さなくてもアルバム持ってるよ!」「これからはグレーゾーンの客を増やしていこう!」と水戸さんが話していたからである。実際、自分はせいぜい半年程度のファンで、3-10Chainのアルバム四枚のうち初期二枚は廃盤になっているためレンタルでしか聴いておらず、アンジーも少しずつ集めている状態。まさにグレーゾーンと呼ぶにふさわしい。

水戸さんはにこやかに「珍しい! これから濃いゾーンに!」と言ってくださり、握手をしていただいた。舞い上がって「はい! 濃いゾーンに入っていきたいです!」って元気良く返事をしちゃったよ。水戸さんの手は温かくて柔らかかった。

サインしていただいたアルバムを大事に鞄にしまい、駅へと歩みを進めながら「客じゃなくてファンって言えば良かったなぁ」と反省したりしつつ、ニッコニコに笑いながら電車に乗って帰宅した。ライブの後はいつも満面の笑みを抑えきれなくなる。筋肉の動きがニヤニヤじゃなくってニコニコなのだ。あぁ、迷ったけど行って良かったなぁ。楽しかった。

そうそう。今回は前回の3-10Chainより水戸さんの声がよく聴こえた。この間は内田さん前の最前付近に立っていたからベースの音はズンズン響いてきたが、水戸さんの声はやや聴こえにくかったんだよな。これくらいの位置だと観るのも聴くのもちょうどが良いね。

後日、水戸さんのブログにセットリストが掲載されたので転載を。

[オープニングビデオ]~BGM
~水戸 with ダンサー
~メンバー IN
1.生きてるうちが花なのよ
2.君と瓶の中
~ダンサー OUT
3.霧の中
MC
4.愛に愛はあるのかい?
5.唇にメロディ、心に牙を
MC~和嶋 IN
6.孤独の叫び
7.これっぽちの悲しみで
MC
8.蠅の王様(~橘高 IN)
~和嶋 OUT
9.誰だ
MC
10.サイクリング(~恭一 IN)
~橘高 OUT
11.キムとキリムのダイジョーブ!
12.すべての若き糞溜め野郎ども
13.沈没船
~恭一 OUT
14.世界が待っている(~ダンサー IN)
15.でくのぼう
~ダンサー OUT
16.天井裏から愛を込めて
17.センチメンタルストリート

En.1
地図
祈り
En.2
Yeah! Yeah!(G.×4)

未分類筋肉少女帯, 非日常

本日も筋少ライブ。「PV集DVD復刻記念ライブ!….だからって昔の曲ばかりやるとは限らない!09総決算」赤坂恵比寿2daysの二日目だ。年内ではもう一つカウントダウンジャパンの出演が残っているが、ワンマンライブはこれが最後。年の終わりを飾るのにふさわしい素晴らしいライブだった。そりゃもうライブに行く前に寄った目黒寄生虫館の余韻がぶっ飛んだほどだぜ!

仲直りのテーマ
心の折れたエンジェル

イタコLOVE~ブルーハート~
ドナドナ
カーネーション・リインカーネーション

踊る赤ちゃん人間
抜け忍
これでいいのだ

冬の風鈴
蓮華畑
世界中のラブソングが君を

ロシアンルーレット・マイライフ
機械
サンフランシスコ
労働者M

新人バンドのテーマ
Guru最終形
釈迦
ツアーファイナル
トリフィドの日が来ても二人だけは生き抜く

セットリストは多分こんな感じ。このところは前よりもだいぶ覚えられるようになってきた。しかし昨日のセットリストも他の人が上げたものと比べたら一部間違っていたので、これもどうだかわからない。少なくとも最初と最後は間違っていないとは思うのだけどね。

昨日と被る曲が多いものの、珍しい曲や定番の盛り上がる曲も入ってきて個人的には大満足だ。釈迦とサンフランシスコを両方やってくれて、アンコールのラストが再結成後の曲ってのが嬉しい。ツアーファイナルとトリフィドはもうしっかりラストソングとして定着してきたようだ。再結成後の曲が締めにふさわしい力を持つってのはバンドが生きてる証拠だなって思う。

今回のチケット番号は七百番あたり。真ん中の柵より前には行けない様子だったので柵の後ろの人の列の後ろ、オーケンと内田さんの間あたりに立った。前方に背の高い人が多いのが心配であるが開演後の移動に期待しよう。どうか全く見えないなんてことはありませんように。

結果としてはそこそこだった。照明が落ちてSEが鳴り響き、開演の知らせを受けるとともに移動が起き、柵から数えて三列目まで行けたのだが、目の前の人の背が高く、また視界の先も人々の頭によってステージが隠されてしまったのだが、ライブ中は皆体を動かすため視界が開けることもあり、全く見えないことはなかった。オーケンは結構見えやすい方だったし、ステージから離れたためか昨日よりも演奏は聴きやすかったのでこれはこれでありである。それにやっぱ最前付近よりも前後左右に余裕があって動きやすいね。無理が無い。

一曲目は仲直りのテーマ。ということは昨日と一曲目と二曲目が逆かなと予想すると、案の定二曲目は心の折れたエンジェルだった。オーケンが歌詞を間違えて「心の折れた奴ら」でも「心の折れた天使」でもなく「心の折れたやつし」と言っていたのが面白かった。そしてやっぱり掛け合いが楽しい。ダダダダダダエンジェル!

昨日と同じく二曲目が終わったところでMC。あと年内はカウントダウンジャパンが残ってるけど、あれはPerfumeと木村カエラさんの間で、微妙なことになるだろうし、ワンマンはこれがラストだから今日のライブが年内最後! 実質忘年会! とオーケンが盛り上げ、忘年会だから一人一芸披露する。僕は怪談をやる、と言い出し、部屋の隅から誰かの声がする…、やだなー…、何だろう? 赤ちゃんだ! ほぎゃぁ~、と言い出してこれは赤ちゃん人間への振りかと思いきや、「ボーカルが曲順間違えてるよーやだなーってメンバーが思ってるんだろうけど、そうじゃないぜ!」と仕切り…直したのか? こっから何がどうなってかは忘れたが、内田さんが一芸披露することになった。

内田さんの一芸はギター。昨日のライブでオーケンが「内田が楽屋でギターのプラモデルを組み立てている」と言っていたものが完成したそうで、その小さいギターを持って内田さんが現れた。学研大人の科学シリーズのものらしい。そのギターを内田さんが弾いてみせるのだが、音がどこか間抜けである。それに対し「それはCCレモンホールでの僕のギターの真似?」とオーケンが尋ね、橘高さんは「大阪でも言ったけど、この二人が始めたバンドだよ」と呆れたように笑いながらつっこんでいた。けどその後に弾いたものは曲名こそわからないものの、聴いたことがあるぞ! というものだった。さらに数曲続けて弾いて、それを聴いたオーケンは見事曲名を言い当てていて、橘高さんがよくわかるなと言っていた。子供の頃のギターの課題曲が同じだか何だかでオーケンはわかったらしい。

そしてまさかの内田さんのミニギター演奏でイタコLOVEを始めることに。しかしギターの音がうまく鳴らず、しかもオーケンも自分の歌から演奏が始まることを忘れていたせいで妙な間が空き、さらに出だしの音がうまくとれず、そのうえギターの音に笑ってしまってぐっだぐだ。「まだ二曲目が終わったところなのに」とオーケンが言っていたが、まさしくその通りである。始まったばっかとは思えないぐだぐださだ。流石忘年会だ。

ドナドナが来たときには思わず小さくガッツポーズをとった。やった! ドナドナ聴きたかったんだよ! 今回のライブではドナドナ、抜け忍、冬の風鈴、蓮華畑、釈迦、サンフランシスコが嬉しかった。特に抜け忍と蓮華畑、視界が悪くて抜け忍のコントがよく見えなかったのは残念だったが、聴けて良かったなぁ。蓮華畑は曲も良いが歌詞が好きだ。蓮華蓮華蓮華蓮華蓮華蓮華ああー♪ のところが気持ち良い。

踊る赤ちゃん人間前では恒例のオーケンのやりたい放題タイム。今日はいつにも増してやりたい放題だった。よだれかけをつけ、ガラガラを持ち、ボースカだかブースカだか赤ちゃんの声だかであばばあばばほぎゃ~と叫び、一芸披露と称して「おふくろさん」などの物真似を赤ちゃん声のまま始める。ここで、昨日のロシアンルーレット・マイライフで「いくよー!」と叫んでいたのは水樹奈々の物真似だったことが判明する。ボウリングの球を放るように腕をぐるっと回して「いくよー!」と叫んでいた。似てるかどうかはわからない。

これだけじゃやりたい放題タイムは終わらない。赤ちゃんのままメンバーにインタビューを始めると言い出して、「赤ちゃんが階段をのぼっております」と実況しながらよりにもよって長谷川さんにインタビューを始めようとしていた。災難である。オーケンに狙いわれそうになったおいちゃんがすごく嫌そうな顔をしていたのが面白かった。それとこのあたりだったかな。長谷川さんは実は昔歌手デビューをしていたから、昨日のじーさんはいい塩梅では本当なら別ギャラが発生するところだったんだよと橘高さんが言っていた。それに対して長谷川さんが何か言っていたみたいだったが、生憎ここまでは聞こえてこなかった。

アコースティックタイムでは冬の風鈴。冬にふさわしい綺麗な曲だ。これはライブで初めて聴いたんじゃないかなぁ。ゆったりと耳を澄ませて歌と演奏を楽しんだ。

ロシアンルーレット・マイライフに入る前だったかな? 洋楽のバンドはライブの曲順がおかしい。例えば筋少なら一曲目が踊るダメ人間で、わーっと盛り上がったところで何故かワダチが来て、えっと思ったら次は釈迦で、そしたらお散歩モコちゃんが来ちゃうような感じ、と。すると橘高さんが「俺らが思ってるキラー・チューンとお客さんのキラー・チューンは違うかもしれない。俺達は踊るダメ人間がキラー・チューンだと思ってるけど、お客さんにとってのキラー・チューンはワダチかもしれない」と冗談を飛ばし、それからしばらくオーケンがワダチをネタにしていた。わはは。でもワダチやモコちゃんもライブで聴いてみたいな。やってほしいよ。

サンフランシスコでガーッと盛り上がり、本編ラストは労働者M。ここで橘高さんがピックをばら撒き、自分の方にも降って来たが手に取ることはできなかった。うーん、難しいなぁ。

アンコール一曲目の新人バンドのテーマは涙腺に来る。喜びに溢れた名曲だ。そして昨日やったし、今日サンフランシスコをやったから来ないだろうと思っていた釈迦がここで! うわああああ盛り上がる! 楽しい! そこへ怒涛のツアーファイナルで、これで終わりかと思えばトリフィド! たまらなかった!!

終演後もメンバーはしばらくステージにいて、余韻に浸って名残を惜しんでいるように見えた。SEはご機嫌なクリスマスソングで、客席からそれに合わせた手拍子が起こり、橘高さんが白いドレスを翻して軽く踊っていたのが頭と頭の間からかすかに見えてすごく嬉しかった。自分はもちろん楽しかったけど、メンバーも楽しかったんだなぁと思えたんだ。

メンバーもステージから去り、照明が明るくなった時。さて帰ろうかと足元に目をやるとそこには何か三角形のものが。これはと思いしゃがみこんで爪を引っ掛けると、…わー! 橘高さんのピックだー!!




直接取れなかったとはいえ、生まれて初めてピックが拾えて本当に嬉しい。一日早いクリスマスプレゼントだ! どこかで落としたりしないように、大事に握りしめて外に出た。うわあああああ、嬉しい。嬉しいなぁ。

しかも今回のライブでは、再結成後三枚目となるアルバムを製作することと、三月に2daysのライブをすることが決まって、そこでもしかしたら新曲をやるかもしれないとの告知もあった。あとさ、オーケンが「また来年」って当然のように言っていたのが嬉しかったんだ。再結成したばかりの頃は予定も未定だったから情報も小出しで、「また来年!」と言い切れるような状況じゃなかったのに、今はもう違うのだなぁ。来年があって当たり前という感覚になってるんだなぁ。

他、今月の二十七日は橘高さんの誕生日で、二十八日にカウントダウンジャパンがあるけどそこでハッピーバースデーは歌えないので今日歌おうということに。ああ、これ冬の風鈴の前だっけ。それでハッピーバースデーを歌うなら引っ込んでる内田も呼ぼうよとオーケンが提案し、内田さんのミニギター演奏でハッピーバースデーを歌うことになったのだが、内田さんがやけに低い声で歌うため変な感じになり、橘高さんに心がこもってないとつっこまれていた。あと呼び名を統一してなかったから「はっぴばーすでーでぃーあ…」の後が「橘高」「橘高さん」「ふーみん」と客席でバラバラになっていた。

こうして楽しいライブは終わり、汗だくのまま自分はサークルの忘年会に直行した。流石にそのままで行くのは気持ちが悪いし風邪を引きそうだったので駅のトイレで新しい服に着替えたが、それも筋少の物販Tシャツである。新しく発売された長袖のやつ。合流した友人達に「筋少!」「筋少!」と指差された。うん、筋少だよ。楽しかったよ。

未分類筋肉少女帯, 非日常

楽しかった。すごく楽しかった。すごく楽しかったのに終了後に物販で購入したオーケンの朗読CDを聴いたらライブの余韻がいろいろぶっ飛んだ! す、すごいCDだった…。Sleep well tonightってタイトルのくせに寝る前に聴くのにふさわしくない不条理な内容。正直怖い。そして前評判通り滑舌がよろしくない。女言葉についてはあんまり気にならなかったんだよな。オーケンが「オカマの独り言みたい」と今日も言ってたけど、オーケンは普段から煽り以外の素っぽい喋りのときはそんな雄雄しくないというか、やわらかい喋り方だから違和感がなかった。

そんな朗読CDの破壊力に抗いつつ今日の感想を朗読CD聴きながら。今回のセットリストは結構覚えていられた方だと思う。頑張ったぞ。

心の折れたエンジェル
仲直りのテーマ

日本印度化計画
カーネーション・リインカーネーション
愛を撃ち殺せ!

踊る赤ちゃん人間
俺の罪
ロシアンルーレット・マイライフ

べティー・ブルーって呼んでよね
Guru最終形
人間嫌いの歌

これでいいのだ
機械
釈迦
暴いておやりよドルバッキー

じーさんはいい塩梅
世界中のラブソングが君を
踊るダメ人間
トリフィドの日が来ても二人だけは生き抜く
ツアーファイナル

チケット番号は四百番台前半で、七百番や八百番が多い自分にとっては充分良い番号だ。開場後逸る気持ちを抑えながらロッカーに上着や鞄を突っ込んで、いそいそとステージ前の人々の並ぶ列の後ろへ立つ。内田さん前の、前から数えて六番目あたりだ。この位置に来るのは初めてである。以前に開演と同時に橘高さん前に流されてもみくちゃになりえらい目に会ったこともあったが、多少なりともあれから経験を積んだし、何とかなるに違いない。

一時間ぼうっと立っているのはしんどいが、後の楽しみを思えばこの待ち時間も苦ではない。それくらい好きなんだよなぁ。

そうしてお待ちかねの開演だ! どどっと押しが入り、するするするっと前から三列目まで移動できた。すげー! 視界が良い! メンバーの靴まで見えるなんて初めてだ! 前回の3-10Chainのライブに続いて運が良いなぁ。背中を向けてステージに立つメンバーが格好良い! 初っ端は心の折れたエンジェル! やったー! この掛け合いがすっごく楽しいんだよなぁ。エンジェル!

仲直りのテーマが終わったところでMC。二曲目だけど既に疲れたとオーケンが告白。早いよ! そして次の曲は誰もわからないような、のれないような珍しい曲をやっちゃうよ、と前ふり。おお、いったいどんなレアな曲だとお客が演奏から曲の正体を探り当てようとして、ちょっとした緊張感が流れたのにまさかの日本印度化計画! 騙されたー!

ここで間奏中に初めて橘高さんのピックシャワーを浴びたが、手を伸ばしたものの指で弾いてしまい取ることはできなかった。でも真上からピックの雨が降る光景を見られて良かったなぁ。壮観だった。いつか取ってみたいものだ。

印度のあとにはカーネーション・リインカーネーション。この曲も大好きで嬉しいが、次の曲はもっと嬉しかった。「愛を撃ち殺せ!」だ! これ、もしかして自分は初めてライブで聴いたんじゃないか? 感無量だよ本当に。どうせなら交渉人とロザリアも聴きたかったが、それは明日に期待しよう。

この後のMCで確かオーケンの朗読MCの話になったんじゃなかったかな。前回の横浜ブリッツのライブでエディがオーケンの朗読CDをすごく楽しみにしてる、赤坂で間奏を言うと言ったそうで、その話と朗読CDのいろんな評判を聞いていた自分は今回エディがどんな感想を語るのか非常に楽しみにしていた。するとエディは、オーケンはオカマの独り言みたいって言ってたけどそんなことないよ、結構いいよ、そりゃ朗読界の大御所には敵わないけど下手なアイドルの朗読よりずっと良い、ただしサ行が怪しいけど、というようなことを言ってオーケンを褒めた。

エディに褒められたオーケンは、じゃあ怪談の朗読CDとか出しちゃおうかな、でも滑舌悪いからなと言い、それに対して橘高さんが、ああいうのは滑舌が良くないのもまた怖さの味になっている、という内容のことを話し、オーケンがちょっと喜ぶと、君のことを褒めてるんじゃないよと橘高さんがつっこんでいた。

そしてその後にオーケンが、ブルーレイを買ってお笑いとかたくさん見てる、でも寝る前にそういうのを見ると眠れなくなるから、最近は文学を読むようにしている。カラマーゾフの兄弟とか…、文学って難しいから。それで坊ちゃん…、じゃなくて夏目漱石の、「吾が輩は猫である」を読んでいたら、部屋の隅から赤ちゃんの声が聞こえて、何だこれ何だこれって思ったら「吾が輩は猫である」ではなくて「吾が輩は赤ちゃんである」で…、という繋ぎで踊る赤ちゃん人間へ。で、ここまで書いておいて何だけど朗読CDのトークは赤ちゃんの前じゃなかったかもしれない。ここのMCこんなに長くなかったような気がする。まぁあれだ。朗読CDのせいで記憶がぶっ飛んだのだからしょうがない。

スタッフによだれかけをつけられ、ガラガラを手に持ったオーケンは「おぎゃーおぎゃー、あばばばばばば」といつものように絶好調で、赤ちゃんになりきったまま内田さんをメンバー紹介。内田さんもまさか赤ちゃん人間にメンバー紹介をされるとは思わなかったことだろう。面白かった。しかし間奏中、オーケンがドラム台の周りをハイハイしていたのだが、流石にそれはどうかと思った。どうかと思った。

俺の罪では内田さんのボーカルが聴けるのが嬉しい。今日はせっかく内田さんの目の前だったので、たっぷり堪能すべくベースの音を追ってライブを楽しんだ。低い音がビリビリと体に振動するのが心地良い。そうか、ここではこんな音を出しているのか、と確認できて嬉しかった。

ロシアンルーレット・マイライフは是非ともやってほしかった曲だ。本編の掛け合いはもちろん、アウトロの怒涛の展開がたまらない。最後の方は早すぎてもう拳を振るのも追っつかなくなってしまった。

ロシアンが終わった後は小休止でアコースティックタイム。おいちゃん、オーケン、橘高さんが椅子に座り、少し長めのトークをしてから曲に入る。「ベティー・ブルーって呼んでよね」は今のオーケンの歌い方にぴったりで、プロの歌手に抱くべき感想ではないと思いつつも、うまいなぁ…としみじみ感じた。今日はこれを聴けてよかったな。

Guru最終形はおいちゃんのコーラスが良かったなー。あのコーラスが好きなんだよ。人間嫌いの歌では歌に入る前の手拍子が長く、オーケンが何かやってたらしいんだが自分の位置からは見えなかった。自分はぎゅうぎゅうづめの中手を上げて手拍子をするのが辛かったので、まだか、まだか、もう勘弁してくれ! と思っていた。

穏やかな曲が続いたところで激しいの行くぞー、激しいの行くために上着を着るぞー、とオーケンが紫色のテラテラした妙な上着を着る。相変わらず衣装のコンセプトがわからないが、とりあえず激しい曲をやると汗をかき、体が冷えるので上着が必要だということはよくわかった。「これでいいのだ」のタオル回しは三番からとオーケンが告知し、疲れるから三番の前半だけでいいよねと振ると、メンバー、客席から「えー」というレスポンスが返り、結局最後まで回すことになった。

本編最後はドルバッキー。意外にも、この曲を本編の最後に持ってきたことは今までなかったらしい。へー、そうなんだ。

アンコールの後にはオーケンがターバンを脱いで帽子を被って現れたが、ベルトをつけ忘れてズボンが下がってきたらしく、スタッフにベルトを持ってきてもらいステージ上でつけてもらっていた。その際スタッフさんがペンライトでベルトを照らしながらベルトをつけていたらしく、オーケンが「そんなとこ照らさなくてもいいよ!」と突っ込みを入れていたようだ。ようだ、と言うのは声から判断したからで、自分の位置からじゃオーケンの背中しか見えず、スタッフさんが何をしていたのかよくわからなかったんだな。

そしてエディ、長谷川さんも前に出てきてメンバー全員横並び。オーケンが「マイクを手に持った方が可愛いよ」と皆に勧めてメンバーにマイクを持たせ、「もっと近づいた方が可愛いよ」と皆につめることを勧めてメンバーの距離を縮めたが、今度は近すぎたのか「ちょっと近すぎるよ!」と距離を開けることを促し、おいちゃんとエディと長谷川さんがわざとぎゅんぎゅんにつめてオーケンがステージから落ちそうになっていて面白かった。しかし中央でボーカルを挟んで立つのがサポートメンバーって変な並び順だな。

で、歌うのはもちろんメンバー全員大合唱の「じーさんはいい塩梅」。歌う前に長谷川さんの隣にいた内田さんが足元の方を指差していて、そのあたりを長谷川さんはずーっと凝視しながら真剣な面持ちで歌を歌っていた。恐らくそこに歌詞カンペがあったのだろう。内田さんはPVと同じような不思議な踊りをしていた。踊りってほどでもないか。振りか?

「世界中のラブソングが君を」では、あの重厚なコーラスはどこからか流しての再現だった。この後にMC。オーケンが内田さんからプロレスのDVDを借りたそうで、それを見たよと話し、どんな内容か客席に説明していた。横たわったプロレスラーを相手役のプロレスラーがガムテープでぐるぐる巻きにして、高いところからその上に飛び降りるものだそうだ。プロレスのことはさっぱりだが過激なものだということは大変よく伝わった。

そのようにプロレスの話をした後でオーケンが橘高さんに、「ロックの話をしろよと突っ込まないの?」と逆に突っ込みを入れる。それに対して橘高さんが、「内田がまだ話したそうだったから、もっと後になってから、オリジナルメンバーにロックの話をしろよと突っ込む予定だった」と語り、オーケンが、ああ、そうだったのか、せっかくうまくトークが運ぶところだったのに、と残念がり、そんでおいちゃんはどうせ宇宙に旅立ってるんでしょとおいちゃんの方に振り向くと「我慢できなかったー!」と叫ぶおいちゃん。しかしメンバーも客も恐らく誰も、おいちゃんが何を我慢できなかったのかはよくわからなかったようだった。何だったのだろう。

この流れから、オーケンが俺はダメだなぁと自虐に入り、次の曲を示唆したところで「踊るダメ人間って言っても踊ってないんだけどね」と突っ込みを入れて笑いをとってから踊るダメ人間へ。すごかったなぁこれも。ぎゅうぎゅうづめでダメジャンプはできないし、それどころか両手でバッテンすら作れなかったよ。上げっぱなしの片手を斜めにするのが精一杯。それじゃバツじゃなくてスラッシュだよ。

この勢いのまま「トリフィドの日が来ても二人だけは生き抜く」! トリフィド! トリフィド! 流星! トリフィズ! っかぁー楽しいなー! さらに、これで終わりかと思いきや最後の最後にふさわしい、ツアーファイナルが! いやったー!! ありがとー! ありがとー!!

大満足でライブは終了。終演後に流れた曲は何故かポアロのおもちゃやめぐりだった。わはは。何でだろ。

他にMCでオーケンがおいちゃんにラーメンの話をふり、高円寺にできたラーメン屋の話題で盛り上がる。そこでオーケンが橘高はラーメン食べるの? と橘高さんに話を振ると「ラーメン? 何それ知らない」との返答が。思わず「あっ、すみません」と謝るオーケンが面白い。そうか橘高さんはラーメン食べないキャラなのか。

「おいちゃんはラーメン食べるキャラなんですよね」と振るオーケン。すると何とおいちゃんは年にラーメンを百杯食べることを目標にしているそうだ。橘高さんが本を書けるよと言うと、でもブログには書けないと返すおいちゃん。オーケンがブログにご飯の写真を載せるのはつまらないと言ったからだそうだ。そのくせこの間のブログでオーケンが崎陽軒のシウマイ弁当の写真を載せたので批難され、反省するオーケン。そっからブログの更新したくない、誰か他の人書いてよとメンバーにオーケンが振り、誰もやってくれそうもないのでサポートの長谷川さんにお願いするという流れになった。

あと高円寺の怪しい通りがだんだんお洒落になってきて、そのあたりに新しくできたカフェに入ったら赤ちゃんがいっぱいだったとオーケンが話す。オーケンのような赤ちゃんではなく本物の赤ちゃん。そこは赤ちゃんをつれたお母さんが気軽に行けるコンセプトのカフェだったらしく、オーケンは帰ろうとしたのだが店員にせっかくだからと勧められ、オムライスを注文したらケチャップでアンパンマンが描かれていたそうだ。いやでも大好きな赤ちゃんたくさん見られて良かったじゃないすか。

そうそう、それと初めて間近で見たからかもわからないが、橘高さんの二番目の衣装がすごかった。驚いた。ギターを持っているとわからないが、持っていないと全身が見えるからすげーインパクトだ。下半身がハイレグのようになっていて、そっから網タイツがぶわーっと足を覆っているという、そのままねーちゃんが着ても違和感がないデザインっつーか、むしろそっちのが良くありそうというか、流石ギターヒーローだなと思った。格好いいなぁ。

中盤あたりかな。オーケンが学生さんはいるんですかと挙手を募ったのでどうせ今年最後だからと元気良く手を挙げた。大学生? 高校生? とオーケンが尋ね、そこで止まったのだが、「中学生ー!!」と大声で叫ぶ複数人の声も聞こえた。聞こえなかったのかオーケンは拾わなかったけど、何か嬉しかったな。どんどん新しいファンが増えていることを実感できるっていいね。

未分類水戸華之介&3-10Chain, 非日常

水戸華之介&3-10Chainのライブに行ってきた。水戸さんを知ったのは筋肉少女帯の「青ヒゲの兄弟の店」がきっかけだ。この曲に水戸さんが歌詞を提供し、オーケンとのダブルボーカルでCDに収録され、その水戸さんの歌を聴いて「あぁ、結構好きなタイプだなぁ」と覚えていたのだ。それが数年前の話。

その後、オーケンと内田さんの仲直りの橋渡しをしてくれたという話から「あの人か!」と思い出し、たのか? このあたりもう記憶が曖昧であるが、それで水戸さんの歌声好きだったしCDを聴いてみようと思い、ちょうどTSUTAYAで四枚レンタル千円セールのときに水戸華之介&3-10Chainの「アドレナリン」を他のCDと共にレンタルし、うわーすげー好きだー! と気に入ってアンジーのCDにも手を出すようになったんじゃなかったかな。多分そんな経緯だった気がする。

しかし自分、3-10Chainのアルバムは「ロケットが飛ぶだろう」しか持っていない。「アドレナリン」と「ハロー…」はレンタルしたものの既に廃盤、サードアルバムの「セカイガマッテイル」はアマゾンで在庫は確認したものの店頭取り寄せは何故か不可能。そんなわけで、セカイガマッテイルは未聴のままライブに参戦することになった。あわよくば今回物販で買えないかと期待しつつの参戦である。

ところで今回行くライブハウスはロッカーの数が少ないらしく、それじゃあ上着や鞄を身につけたまま前の方でドンチャカするのはどう考えても邪魔になるし、駅のロッカーを利用するしかないのかと思い、上着も鞄もロッカーに詰め込みシャツ一枚と腰にシザーケースをぶら下げるという大変簡易な出で立ちで目的地に向かったらもっこもこに厚着した人が大勢集まっていて滅茶苦茶浮いた。会場でカレンダーを数枚めくり忘れたような奴を見かけたなら八割の確率でそいつは自分のことである。

皆いったい荷物はどうするのだろうと首を傾げつつ順番を待ち、入場後すぐに疑問は解消された。人々はステージ前で己の立ち居地を決めると鞄を外して上着を脱ぎ、壁際の隅などの邪魔にならないところに置いていたのである。なるほどこういうシステムなのか。いやきっとそういうシステムってわけでもないのだろうけど。納得し、自分もベルトからシザーケースを外して壁際に置かせてもらった。立ち居地は下手側の前から三列目あたりである。ステージはそれほど高くもないが、運良く視界が広いため充分見渡せそうな塩梅だった。

開演を待つ間ぞくぞくとやってくる人々を眺めてみると、客層が筋少に比べ圧倒的に女性が多くて驚いた。筋少の男女比はオーケン曰く六対四ほどらしいが、3-10Chainは見たところ九割女性のようだった。自分の前方に立っているのも女性ばかりで男性は一人として見当たらない。なるほどそれで普段より視界が広いのか。

じりじりと待っていると照明が落ち、SEがかかってわぁっと歓声が沸き立つ。下手側の通路からメンバーがやってくるのが見える。おおー! 内田さんが目の前だ! 近い! すげー! そして最後にやって来たのは水戸華之介、その人だー!! うわああああああ!!

以下、順番が滅茶苦茶な曲目である。他に四曲ほど未聴の曲があった。はずだ。

明日への誓い
地図
青空
アップルティーをもう一杯
愛に愛はあるか
トゥルー・ロマンス
Romanticが止まらない
バースト&ワースト
ロケットが飛ぶだろう
天井裏から愛をこめて
遠くまで
100万$よりもっとの夜景

このうえさらに数曲記憶からぶっ飛んでいる気がする。何だろう。押しは全然無かったし、人と人の間にも隙間があったのだが、怒涛の演奏という感じだった。特に後半、水戸さんが最前の客が掴まるフェンスを踏んで客席側へと身を乗り出して歌うようになってから、曲と曲の境がわからなくなるくらい、間髪入れず次の曲が始まって暴れっぱなしになるような。体力的な辛さは全然無いのが信じられないくらいだった。

一曲目から気に入りの「明日への誓い」が始まってテンションが上がった。いやったー! 初めてこれを聴いたとき、途中で突然ヨーデルチックになってびっくりしたんだよなぁ。これは何てジャンルなのか未だによくわからない。

最初のMCで水戸さんがM-1の結果を言った奴は殺す! 年の終わりに殺しなんてしたくなんてないから言わないように、殺すのも大変なんだから! というようなことを言って笑いをとった。そうか今日はM-1グランプリがあったのか。水戸さんのMCで気づかされたぜ。

今回特に嬉しかったのは「明日への誓い」「地図」「青空」「Romanticが止まらない」「天井裏から愛をこめて」。覚えている限りでは。他にも、何か、いよっしゃー!! って思ったのがあったはずなのだが、楽しすぎてぶっ飛んだ。全く何て頼りにならない脳みそなのだ。我がことながら情けない。「地図」「青空」は涙腺に来たなぁ。身につまされるというか何と言うか。頑張ろうって思う歌だ。そしてコーラスが格好いい。いきなり筋少の話になるが、筋少の好きなところってのは歌詞にと曲にといろいろあるが、その一つに「野太いコーラス」もある。また、これが結構でっかい。内田さんのあの低いコーラスが大好きなのだ。

だからこそ! 「天井裏から愛をこめて」を内田さんのコーラスで聴けたのはとても嬉しかった! この曲をやるとは思っていなかったので予想外の嬉しさもある。ちょうど昨日カラオケで歌ってきたよ! るろ剣でこのフレーズが使われてると教えてもらったよ! 何てナイスタイミングなのだ。

「トゥルー・ロマンス」「Romanticが止まらない」「バースト&ワースト」は森若さんをゲストに迎えての演奏。「トゥルー・ロマンス」は水戸さんが森若さんの歌うバージョンを聴いてみたいとのことで選ばれたそうだ。「Romanticが止まらない」からはギターを持ってボーカルだけでなくギタリストとしても演奏に加わる。赤地に白に一部黒、女の子のイラストと英語のスペルらしきものが描かれた女性らしい可愛いギターで、衣装にもぴったりだなぁと思っていたら、何とそれは内田さんから借りたものだった。所有しているストラトは渋いので貸してもらうことになったそうである。ここで、リハーサルで久しぶりに森若さんがギターを弾いたらまさに久々といった状態で、こりゃ内田さんからギターを借りて家で練習するのかと思いきや持ち帰ることなく置いて帰ったんだぜ! というようなことを水戸さんが話し、それに対して森若さんは家では渋いストラトで練習した、というようなことを返していた。

「バースト&ワースト」は今日のライブで一番印象的で、尚且つ格好良かった曲だ。これぞまさにライブ! という楽しさに溢れていた。CDとは異なり、演奏の途中で別の曲になり、メンバーそれぞれの見せ場が披露されてまた「バースト&ワースト」に戻る。内田さんのベースソロが間近で見られて、聴けて、大変興奮した。森若さんはおもちゃのステッキのようなものをギターの弦に押し当ててステッキのスイッチを押してステッキから音を出すパフォーマンスも見せていた。

客の勢いが増したのは「天井裏から愛をこめて」からだろうか。この曲のあたりから前から三列目の位置から二列目になり、客のアクションも爆発し出した。それまでは上下に揺れつつも爪先は床につけたまま膝と踵を動かしていた人々が、完全に足を床から離して飛び跳ねだしたのではなかろうか。人気曲の魔力恐るべし。

アンコールは二回で、一つ目のアンコールが確か「100万$よりもっとの夜景」だったような気がする。最後のアンコールはまだ知らない曲だったが、夢中になって音楽に合わせて体を動かしまくった。…たっのしかったなー!

MCでは水戸さんが最近家に生えている木を切った話をしていた。前の住人が植えていったもので、三本あったうちの二本だけを切り一本は残しておいたのだが、その一本をこの間ついに切ったのだそうだ。それがまた凄まじい木で、はっさくサイズの実をつけるのだがこれが苦くて全く美味しくなく、使うとしたら焼き魚に絞る用途だと思われるがたかだか焼き魚に絞る程度にそんなでかい実は必要ない。さらに、カラスも食わない不味さのくせに枝からは十五センチほどの棘が生えてまるで末期のパンクスのようになっていて、どうせカラスも食べないのにそんな風に実を守ってどうするんだ、とつっこんでいた。

この謎の木の話から続いて、内田さんの家にも木が生えており、それは普通の枇杷の木なのだが、内田さんは枇杷が好きではないそうだ。そしてその枇杷の実が内田さんの車に落ちるため、枇杷の季節には内田さんの車には蟻がたかっているそうである。すると澄田さんが自分は枇杷が好きだと名乗り出て、そこからドリンク代込みならぬ枇杷込みライブをやろうという話になった。

また、序盤の方で来年ベストアルバムを出すとの告知があった。ベストアルバムは売れるからということで作ることになったのだそうだが、どこに需要があるのかと水戸さんが話していた。ここに集っているのはベストアルバムを買うまでもなくコアなファンばかりだろうということらしい。そして、これからはグレーゾーンの方々、あまりコアじゃない人を増やしていこう、お友達のプレゼントにどうぞ、と勧めて笑いをとっていたが、そのグレーってまさに自分のことじゃなかろうか。いや、欲しいけど買えないだけなんだけどさ! ベストアルバム嬉しいよ!

ベストアルバムには新曲も二曲入るそうで、そのうちの一曲を初披露してくれることに。ただし、まだ作っている「途中」なので、仕上がったら全然違うものになるかもしれないし、うまく演奏できるかもわからないとの前ふりが。曲に入る前に水戸さんが歌詞を確認していておかしかった。その曲が「愛に愛はあるか」。耳で聞いただけなので正しい表記はわからない。今回演奏したバージョンにもう一つ内田さんのコーラスが乗り、もっと重厚になる予定らしい。

間近で見た内田さんは大迫力で、距離のせいかもわからないが自分の目にはとてもでっかく映った。すごいなー。弦の上を走る指の動きがこんなにはっきり見えるなんて初めてだ。滴り落ちる汗まで見えるぞ。やっぱライブすると汗をかくんだなぁ、それはライトが熱いのか、体力を使うからなのか、それとも両方なのだろうか。また水戸さんがでっかい! そのうえダイナミック! ジャンプの高さに驚いたよ! あと歌詞間違えたり歌詞ぶっ飛んだりしなくてすげえええええって感動し、己はだいぶ毒されているのだなと改めて認識した。でもそんなオーケンが好きだ。

ライブ終了後はドリンクチケットをビールに換えてから、物販でライブ盤の「鶴亀」を購入した。「セカイガマッテイル」が無かったのは残念だったが、これは今度アマゾンで買おう。まずは鶴亀! 楽しみが増えたぞ。嬉しいなぁ。

そして上も下も汗をかいて濡れたシャツとジーンズのまま、駅まで早歩きして上着を取りに行った。いやもう本当ライブハウスから出た直後は体が温まってたから寒さなんて何ともねーやと思ったが、当たり前だがすぐに冷えたね! 今度来るときにはきちんと上着を着て参戦しようと心に誓った。寒かった。しかし楽しかった!

未分類ブラック菩薩, 非日常

伝説のブラック菩薩が出演するということで、花小金井のライブハウスで催されたHanakoganei Jamに行ってきた。

ブラック菩薩とはブラックサバスのコピーバンドで、橘高さんのMCによると、筋少に遅刻魔(橘高さん)が一人いて、遅刻魔(橘高さん)が来るのを待つ間暇つぶしにベーシストの内田さんがギターでブラックサバスのコピーなどを始め、いつの間にかリフを覚えた内田さんに遅刻魔(橘高さん)が、「俺、歌おうか?」と申し出てブラック菩薩は結成された、らしい。

このブラック菩薩、昔パワーステーションでもお披露目をしたことがあるのだが、本気になってやりすぎてついに「ブラック菩薩」という名のオリジナル曲まで作ってしまい、オーケンに「君達最近(本気になりすぎていて)面白くないよ」なる旨のことを言われて活動は休止したそうである。しかしここらへん記憶が曖昧なのであまり正確ではないと思う。

さて、ガタンゴトンと電車に揺られ、ライブハウスのサイトに載っていた大変親切な地図を片手に歩くと、何と目的のライブハウスは住宅地のど真ん中にあり、そのライブハウスもまるで民家を改造したかのような外観だった。音漏れの心配はないのだろうか。

まぁ自分が心配したところでしょうがないか。しばらく外で待って後にチケットの整理番号順に入場することができた。中に入るとミネラルウォーターかバドワイザーのどちらかを受け取るようにと差し出され、迷わずバドワイザーを受け取って奥へと進み、列に並んだが今開けてもゴミの始末に困るのでビールは鞄の中にしまった。

ところで今回、初めて自分はワンマン以外のライブに参加した。ライブバーX.Y.Z.→Aのライブを除いて、今まで筋肉少女帯のワンマンライブにしか行ったことがないため新鮮な体験である。また、ブラックサバスは一応ベストアルバムを一枚予習してはきたものの、たった一枚なのでまだまだ知らない曲の方が圧倒的に多い。さらに他のバンドも知らないバンドで、いつもの「知ってるバンドが知ってる曲をやるライブ」とは全然違うので、ちゃんと充分楽しめるだろうかといくらか気にかかっていた。

ちなみに今回の出演バンドはこちらである。

うりん坊
藤本組
Purple Rosa
ブラック菩薩

開場から開演までの一時間が長い。ライブは楽しいがこの待ち時間がいつもしんどいなぁ、とライブに行く度思う。だが、今回は隣の方が気さくに話しかけてくださったためいつもより時間が流れるのを早く感じた。その方はヘドバンのしすぎで首が鍛えられて太くなったのだそうだ。ヘドバンで首を痛める話はよく聞くが鍛えられるってのはすげぇ。

最初のバンドはうりん坊というレインボーのコピーバンドだ。幕が取り去られるのと同時に何やら聞き覚えのある音楽が流れ、何だろうと思っていたらディズニーのSomewhere Over The Rainbowだった、と思ったが家に帰って調べてみたらディズニーじゃなくてオズの魔法使いだったぜ! まったく己の脳みその何とあてにならないことよ。

二つ目の藤本組は、「他のバンドはレインボーとか、コンセプトがあるけれど、我々には特にない」といった意味合いのことを語り、いろいろなバンドの曲をやった。このバンドが一番多く演奏していたはずだ。六曲かな? 

二つまで終わり、知らないバンドの知らない曲でも演奏がかっこよければ嬉しいし楽しいし愉快な気持ちになれて来て良かったものだと感じたが、しかしだ。一つのバンドが終わり次のバンドに移るまでの待ち時間が長い。いちいち開演前のような状態に戻るのがつらかった。待ってる間もおもしろMCが聞けるわけでもないものなぁ。何か、こう、いっそ落語でも大音量で流したらいーんじゃね? などと馬鹿なことを考えてステージの準備が整うのを待っていた。足もこのライブでは跳んだり跳ねたりするようなことがなく、上半身でリズムをとり、下半身はほぼ棒立ち状態であったためふくらはぎの部分がつっぱって痛かった。ただ立ってるより動いた方が楽だよね。

三つ目のPurple Rosaはディープパープルのコピーバンドで、ボーカルは特撮でサボートベースを務めた高橋竜さんである。名前は知っていたものの特撮のライブには行ったことがなかったので初めて生でその姿を見たのだが、初めて見たのがベースを弾く姿ではなく歌う姿だってんだから面白い。特撮繋がりということでMCでオーケンネタが少し出た。「ボーカルは間奏のとき何をしてればいいんですかと筋肉少女帯のボーカルの人に尋ねたら、ヌンチャクを振り回してればいいよと言われたけど、ヌンチャク持ってきてないし、できないよ!」ってな感じ。面白かった。そういえばこのバンドの開演前に、幕の向こうからSmoke On The Waterの世界一有名なリフが流れたとき、客が「おっぱーい!」と叫んだ。べ、べ、べーべべーべべー、おっぱーい! あぁ懐かしのCCレモン、ルリヲ前でのオーケンギター披露会。オッパイマンの歌も一度きちんと聴いてみたいものである。いや、そこまで本気で聴きたいわけでもないのだが。

ディープパープルはジョジョのスタンドのハイウェイスターのデザインがものすごく好き、という理由でアルバムを一枚借りて聴いたことがあったおかげで、演奏された四曲中三曲は知っている曲で嬉しかった。Highway Star、Smoke On The Water、変な塩梅の女、Black Night。聴いたことがなかったのは「変な塩梅の女」で、英語のタイトルは聞き取れなかったが邦題は面白かったので記憶して帰った。Black Nightは借りたアルバムには入ってなかったがどこかで聴いたことがある。知ってる曲だとどこで盛り上がればいいのかわかるのでノリやすいね。Smoke On The Waterの途中でメンバー紹介に入り、紹介されたギタリストがあのリフを崩したようにアレンジして弾いたのが格好良かった。

最後はお待ちかねのブラック菩薩。そして現われたのはサングラス、茶髪のカーリーヘアー、黒い付けヒゲ、胸元が大きく開いたスーツにでかい十字架のネックレスをつけた謎の人物だ! ………誰だ?

内田さんだった。

いや、正直に言おう。実は彼が話し始めてからもしばらく「誰だろう…」と思っていた。本当にわからなかった。途中のMCで橘高さんが、視界の隅に内田が入っても内田と認識できないというようなことを話していたが、とてもよくわかる。ものすっごい別人っぷりだった。冷静に考えりゃ他に誰がいるんだよって話なんだけどな。

「ボーカルを呼び出すには、腰を低く落として、手を縦にして叩かなければいけない」という内田さんの指示の通りに手を叩き、「ふーみん! ふーみん!」と会場全体でふーみんコール。コールを受けて現われた橘高さんが持っていたものは…何かでかくてちゃちい十字架だー!

何て言ったらいいだろう。アイスの棒を卒塔婆サイズまで巨大化したものを十字に重ねて、縦の棒に「ブラック」、横の棒に「薩菩」と書いたような代物だ。菩薩は右から左に書かれてるので薩菩。その素敵にチープな十字架にドッと笑いが起こった。

他のメンバーはベースはZig+Zagより∀、ドラムはfromフリーランスで河塚篤史、元陰陽座のドラマーである。橘高さん以外全員立派なヒゲをつけていたそうだが、生憎自分の位置からは河塚さんの姿は見えなかった。また、内田さんは今回限り「トニー内田」「トニー・ウチオミ」と名乗っていて、何度かトニーコールが起きて嬉しそうにしていた。

このライブでは内田さんがギターを弾き、橘高さんがボーカルをとるという珍しい姿が見られるのであるが、位置の関係で橘高さんが歌う姿はとてもよく見えたのだが内田さんのギターを弾く姿はほとんど見えなかった。橘高さんのボーカルは力強く、全力で歌っているであろうことがよくよく伝わってきて、一曲目が終わる頃には既に大粒の汗を垂らしていた。

それでMCも気を抜かず喋り続けるのだから休む暇もない。オーケンがいないのにMCが長くなりかけて慌てて曲に移ることもあった。最後の方で、「ブラック菩薩の持ち時間がいつも三十分なのはボーカルの息が切れるから」と橘高さんはハァハァと実際に息を切らせながら説明していて、二時間歌って歌って喋り続けるオーケンは流石ボーカリストだなと感心した。

で、わかったのはIron Manだけである。うーむもう一枚くらいベストでも何でも借りておくべきだったか。ライブ中、橘高さんの煽りで手拍子、メロイックサインと大忙しだった。特にメロイックサインは多かったなー。二曲目あたりで橘高さんが握った拳を客席に向けて見せると、指の付け根のあたりに「FUNY」と書かれているように見えたが、FUNYじゃないかもしれない。オジ・オズボーンの左手に「OZZY」とタトゥーが入れられていることのパロディならFUMYか? FUNNYじゃないしなぁ。わからない。

内田さんのギターソロはいつものベースの歪むような音でもなく、ギャギャギャギィアーといった感じでって言っても伝わらないよなぁ。硬質な音と言えば良いのだろうか。とはいえギターの音色もそれほど聞き分けられるほどわかった耳をしてないし、まぁこんな印象だったってことで。ただ見た目はさっきも書いたように全然内田さんとは別人なので、内田さんじゃない人がギターで内田さんっぽくない音を出しているため全然内田さんのような気がしなかった。まるで知らない人のようだった。いや、本当に。たまに「あの橘高さんの隣で弾いてるヒゲの人は内田さんなんだっけ」と言うような妙な感覚にとらわれていた。

MCで、橘高さんは「邪悪な」という言葉を大層気に入っていて、何かにつけては「邪悪だ!」と言っていて笑い転げそうになった。また、「花小金井」という言葉が叫んで気持ちの良い言葉だったそうで、嬉しそうに「花小金井ー!」と何度も叫んでいた。

内田さんはこのライブのためにギターを新しくしたそうで、その理由は「邪悪な呪いによってギターが折れてしまったから」だそうだ。ブラック菩薩の呪い恐るべし。他にも邪悪関係の楽しいMCがたくさんあったが残念なことにほとんど忘れてしまった。「次が最後の曲です」「えー」というやりとりが笑っていいともみたいで、橘高さんがタモリさんの真似をしたりもしてたっけな。

「ブラック菩薩」と書かれたあのチープな十字架はラストあたりで客席に投げ込まれ、退場後もアンコールの拍手が起こり、一度張られた幕が取り去られてメンバーがステージに戻ってはきたものの、だいぶ時間を押していてもう音を出すことはできない、また、ネタも無いとの説明がなされ、そのまま終演となった。

最寄り駅に着いた頃には日付が変わっていたのでモスバーガーで遅い夕飯をとって帰宅した。いやー楽しかった。珍しいものが見られて良かったなぁ。次にまたいつか地獄からやってきてくれることがあるのなら行きたいものだ。