カナブンに左頬を殴られた
2013年7月11日(木) 緑茶カウント:5杯
驚いた。夜、道を歩いていたら左頬に衝撃を覚えた。何か固い物が衝突した感触。ところで自分が歩いていたのはどこかと言うと、木に囲まれたちょっとした小道だ。冬は静まり返っているが、夏はカナブンやセミがうようよしていて賑やかななかなか楽しい場所である。
しかしここ。カナブンやセミだけなら良いが、厄介なことに夏場はゴキブリもしょっちゅう横断しているのである。それを踏まえて想像して欲しい。何かが左頬にぶつかった瞬間の己の心境を。
痛っ。何だ? カナブンか!? セミか!? って肩の後ろに落ちたぞ! 付いたぞ! セミっぽくは無いぞ!? 何色だ、カナブンか? カナブンなら良い! ゴキブリだったら嫌だ! 何だ! 見えない! 何だお前! 何だ! 何色だ!!
いくら虫好きでもびびる。
そうして慌てふためいていたら向かいから歩いてきた外国人に流暢な日本語で「どうしましたか?」と聞かれた。「虫が顔にぶつかったようで」と言いつつ上着を脱いでいると、付いていたのはカナブンだった。
「取りましょうか?」
「あ、大丈夫です。今落ちました」
「カナブンですね」
「カナブンですね。お騒がせしました」
「いえいえ、おやすみなさい」
「おやすみなさい」
カナブンを小道に置いて親切な外国人と別れた。別れた後思ったが、あの人はよくカナブンなんて単語を知っていたものだ。もしかしたらあの人も衝突されて驚いて図鑑で調べたことがあったのかもしれない。