二十万円で、歯

2016年3月3日(木) 緑茶カウント:3杯

中心結節ってご存知? 奥歯の真ん中って普通、くぼんでいるじゃあないですか。すり鉢状にくぼんでいるじゃあないですか。その一番低い中心から、ニョキッと角が生えている、それが中心結節。聞いた話によると、二十人に一人だか百人に一人はこれを持っているそうで、己もそのうちの一人なのだが、既にその角は失われ口の中には無いのである。

何故無いか。折れてしまったからだ。

通常へこんでいるところにニョキッと角が突き出ているので損傷しやすく、これが傷つかないよう前もって処置をとる場合が多いそうなのだが、己はその処置を受ける前に何かの拍子に折ってしまったのだ。そして問題だったのが、この角の中にまで神経が通っているということ。つまりたかだか歯の表面に出来ているちょっとした出っ張りが折れただけかと思いきや、神経まで損傷を受けてしまっていたのだ。しかも奥まで。結果、中心結節のあった歯は大工事を余儀なくされ、銀歯のカバーですっぽりと包まれることになったのである。

この歯に、二十万円を使うことにした。

去年、祖母からもらった二十万円。「私が生きている間に、ずっと使える、記念になるものを買ってあげたい」と言われ、断りきれず受け取ったものの、二十万円を使ってまで欲しいものが見つからずずっと手元にあったのだ。一度、良い椅子を買おうかと思ったが、部屋に置くスペースがないため諦めてそのままにしていた。ただ、ずっとこれをどのように使うべきか決められないことが気にかかっていて、時折思い出してはどうすれば良いだろうかと悩んでいたのだが。

歯。歯なら良いんじゃないか?

銀歯で包まれた歯は奥の方にあるため見えづらいが、やはりコンプレックスだった。これを保険適用外の白い歯にしよう。他にもいくつか、銀が埋め込まれた歯があるので、それも白にしよう。歯ならまさに「ずっと使えるもの」である。記念になるかはわからないが、この銀歯を白くできたらすごく嬉しい。何て言ったって自分は、歯磨きが好きで食後は必ず歯を磨くにも関わらず、歯科検診を受ければ「綺麗に磨けていますね」「歯茎も健康ですよ」と太鼓判を押されるにも関わらず、どうにもむし歯になりやすく、それを歯科医に話せば「遺伝ですね」と一刀両断されてしまう、不遇の身であるのだから。

と、いうことで現在わくわくしながら歯医者に通っている。全て終わる日が待ち遠しい。



日記録3杯, 日常