激流眼科

2015年1月7日(水) 緑茶カウント:2杯

網はある。網はあるものの、何故にこの眼科はこの激流を採用しているのか。

何度ここで冷や汗をかいたかわからない、とある眼科の洗面台。主にコンタクトレンズの着脱に使われるそれは綺麗に磨きぬかれ、右側には鏡とティッシュ、左側にはコンタクトレンズのケースが備えられている。ごく一般的な眼科の洗面台だ。しかしセンサー式の水道に手を翳すと一転、異常な洗面台として目に映る。何故だか知らぬが、一般家庭の蛇口を全力でひねった結果生じるレベルの水圧で、勢いよく激流が放たれるのである。

初めてこの洗面台を使用したときは、何かの罠に引っかかったのかと思った。指先に乗せたコンタクトレンズは激流に呑まれ渦を巻き、あわや排水口の奥へと思われたが、網に拾われて事なきを得た。事なきを得たいかがなものか。そもそも、眼科じゃなくともこんな勢いの水が出るセンサー式の水道なんぞ見たことが無い。そのうえで、何故よりにもよってコンタクトレンズの着脱のための洗面台で、これ。

センサー式ゆえ強弱の調節が出来ないのがまた歯がゆい。激流は突発的に流れ、勢いは衰えることなく、いきなりビャッと止まるのだ。実に歯切れが良い。メリハリがあるにも程がある。

この激流を前に己に出来ることはただ一つ。とにかく真剣に注意深く蛇口を向き合うことのみ。だが、いつも想像を超える激流が放たれるのでわりと毎度びっくりする。しかし。びびりつつ、使いづらいと思いつつ、ここに来てこの激流を見ると「あーこれこれ」と嬉しくなるようになってしまったので、使いやすくなったら寂しいかもしれない。

こういうわけのわからないものは、楽しい。



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