猫のなぐさめ
2014年11月12日(水) 緑茶カウント:2杯
祭壇の前で遺影を見つめていたら涙が溢れ、流れるままに任せていると、襖の向こうで飼い猫が鳴いた。にゃあーにゃあーと声をあげて鳴き止まない。立ち上がり、隣の部屋の猫のもとに向かう。猫は足にすりより、ソファに座ることを要求するので大人しくそれに従うと、膝に乗って丸まり、鼻を人の腕と胴の間に突っ込んで、ただただじっと黙っていたので、その背中をしばらく撫で続けた。
またあるとき。酒を呑んでいたらたまらない気持ちになって、座っていた猫の体を両腕で囲い、背中に顔を押し付けて泣いたが、猫は嫌がらず、ずっとそのままでいてくれた。
猫が慰めてくれている。
母のために遠方から親戚が駆けつけてくれた。葬儀社の人が親切にしてくれた。お悔やみの言葉をいただいた。涙を流してくれた。ありがたさを噛み締めては泣きたくなり、寂しさを感じては泣きたくなり、己はこんなに泣き虫だっただろうかと小学生の時分を思い出す。わりと泣き虫だったかもしれない。
そんな日々の中、ポストにハガキが一枚。応募していた筋肉少女帯の握手会当選告知のハガキだった。また涙が出た。少し励ましてもらえた気がした。ありがたいと思った。
こうして、悲しみと喜びを繰り返しながら日常に戻って行くことを、行けることを感じつつ、まだ嘘のような気分でいる。