踏み台の幸福
2013年10月22日(火) 緑茶カウント:5杯
病院の帰り道、ふらりと立ち寄った古道具屋の軒先に、それは素晴らしい踏み台が置かれていて、己は一目惚れしてしまったのだった。
ずっと踏み台が欲しいと思いつつ、それは年単位で思いつつ、なかなか理想のものが見つけられずにいた。金属が剥き出しになった脚立は違う。チープなプラスティックも嫌だ。木で出来て、ニスの塗られた立派な踏み台が欲しかった。だが、なかなか理想の踏み台に出会えずにいたのである。
そしてついに出会った。それはまさしく理想そのもの。木の色は明るく、角は丸く磨かれていて、ニスが塗られた表面はツヤツヤと光っている。しげしげと眺めるも傷は無い。しかも踏み台は二段になっているのだが、一段目は折りたたむことで内側に収納することが出来る。抱えると結構な重さで、これはかなり丈夫だろう。この見事な品がたったの千九百五十円。
即決だった。代金を支払い、重い踏み台を肩に担いでゼーゼー言いながら帰った。よりにもよってこんな買い物、体調不良のときにやるなんて、と思いつつも、部屋に置けばそれは見事な存在感で木の艶が美しく、上に立てばどこもかしこも手が届き、己はひどく満足したのであった。