水戸華之介&3-10Chainのライブに行ってきた。水戸さんを知ったのは筋肉少女帯の「青ヒゲの兄弟の店」がきっかけだ。この曲に水戸さんが歌詞を提供し、オーケンとのダブルボーカルでCDに収録され、その水戸さんの歌を聴いて「あぁ、結構好きなタイプだなぁ」と覚えていたのだ。それが数年前の話。
その後、オーケンと内田さんの仲直りの橋渡しをしてくれたという話から「あの人か!」と思い出し、たのか? このあたりもう記憶が曖昧であるが、それで水戸さんの歌声好きだったしCDを聴いてみようと思い、ちょうどTSUTAYAで四枚レンタル千円セールのときに水戸華之介&3-10Chainの「アドレナリン」を他のCDと共にレンタルし、うわーすげー好きだー! と気に入ってアンジーのCDにも手を出すようになったんじゃなかったかな。多分そんな経緯だった気がする。
しかし自分、3-10Chainのアルバムは「ロケットが飛ぶだろう」しか持っていない。「アドレナリン」と「ハロー…」はレンタルしたものの既に廃盤、サードアルバムの「セカイガマッテイル」はアマゾンで在庫は確認したものの店頭取り寄せは何故か不可能。そんなわけで、セカイガマッテイルは未聴のままライブに参戦することになった。あわよくば今回物販で買えないかと期待しつつの参戦である。
ところで今回行くライブハウスはロッカーの数が少ないらしく、それじゃあ上着や鞄を身につけたまま前の方でドンチャカするのはどう考えても邪魔になるし、駅のロッカーを利用するしかないのかと思い、上着も鞄もロッカーに詰め込みシャツ一枚と腰にシザーケースをぶら下げるという大変簡易な出で立ちで目的地に向かったらもっこもこに厚着した人が大勢集まっていて滅茶苦茶浮いた。会場でカレンダーを数枚めくり忘れたような奴を見かけたなら八割の確率でそいつは自分のことである。
皆いったい荷物はどうするのだろうと首を傾げつつ順番を待ち、入場後すぐに疑問は解消された。人々はステージ前で己の立ち居地を決めると鞄を外して上着を脱ぎ、壁際の隅などの邪魔にならないところに置いていたのである。なるほどこういうシステムなのか。いやきっとそういうシステムってわけでもないのだろうけど。納得し、自分もベルトからシザーケースを外して壁際に置かせてもらった。立ち居地は下手側の前から三列目あたりである。ステージはそれほど高くもないが、運良く視界が広いため充分見渡せそうな塩梅だった。
開演を待つ間ぞくぞくとやってくる人々を眺めてみると、客層が筋少に比べ圧倒的に女性が多くて驚いた。筋少の男女比はオーケン曰く六対四ほどらしいが、3-10Chainは見たところ九割女性のようだった。自分の前方に立っているのも女性ばかりで男性は一人として見当たらない。なるほどそれで普段より視界が広いのか。
じりじりと待っていると照明が落ち、SEがかかってわぁっと歓声が沸き立つ。下手側の通路からメンバーがやってくるのが見える。おおー! 内田さんが目の前だ! 近い! すげー! そして最後にやって来たのは水戸華之介、その人だー!! うわああああああ!!
以下、順番が滅茶苦茶な曲目である。他に四曲ほど未聴の曲があった。はずだ。
明日への誓い
地図
青空
アップルティーをもう一杯
愛に愛はあるか
トゥルー・ロマンス
Romanticが止まらない
バースト&ワースト
ロケットが飛ぶだろう
天井裏から愛をこめて
遠くまで
100万$よりもっとの夜景
このうえさらに数曲記憶からぶっ飛んでいる気がする。何だろう。押しは全然無かったし、人と人の間にも隙間があったのだが、怒涛の演奏という感じだった。特に後半、水戸さんが最前の客が掴まるフェンスを踏んで客席側へと身を乗り出して歌うようになってから、曲と曲の境がわからなくなるくらい、間髪入れず次の曲が始まって暴れっぱなしになるような。体力的な辛さは全然無いのが信じられないくらいだった。
一曲目から気に入りの「明日への誓い」が始まってテンションが上がった。いやったー! 初めてこれを聴いたとき、途中で突然ヨーデルチックになってびっくりしたんだよなぁ。これは何てジャンルなのか未だによくわからない。
最初のMCで水戸さんがM-1の結果を言った奴は殺す! 年の終わりに殺しなんてしたくなんてないから言わないように、殺すのも大変なんだから! というようなことを言って笑いをとった。そうか今日はM-1グランプリがあったのか。水戸さんのMCで気づかされたぜ。
今回特に嬉しかったのは「明日への誓い」「地図」「青空」「Romanticが止まらない」「天井裏から愛をこめて」。覚えている限りでは。他にも、何か、いよっしゃー!! って思ったのがあったはずなのだが、楽しすぎてぶっ飛んだ。全く何て頼りにならない脳みそなのだ。我がことながら情けない。「地図」「青空」は涙腺に来たなぁ。身につまされるというか何と言うか。頑張ろうって思う歌だ。そしてコーラスが格好いい。いきなり筋少の話になるが、筋少の好きなところってのは歌詞にと曲にといろいろあるが、その一つに「野太いコーラス」もある。また、これが結構でっかい。内田さんのあの低いコーラスが大好きなのだ。
だからこそ! 「天井裏から愛をこめて」を内田さんのコーラスで聴けたのはとても嬉しかった! この曲をやるとは思っていなかったので予想外の嬉しさもある。ちょうど昨日カラオケで歌ってきたよ! るろ剣でこのフレーズが使われてると教えてもらったよ! 何てナイスタイミングなのだ。
「トゥルー・ロマンス」「Romanticが止まらない」「バースト&ワースト」は森若さんをゲストに迎えての演奏。「トゥルー・ロマンス」は水戸さんが森若さんの歌うバージョンを聴いてみたいとのことで選ばれたそうだ。「Romanticが止まらない」からはギターを持ってボーカルだけでなくギタリストとしても演奏に加わる。赤地に白に一部黒、女の子のイラストと英語のスペルらしきものが描かれた女性らしい可愛いギターで、衣装にもぴったりだなぁと思っていたら、何とそれは内田さんから借りたものだった。所有しているストラトは渋いので貸してもらうことになったそうである。ここで、リハーサルで久しぶりに森若さんがギターを弾いたらまさに久々といった状態で、こりゃ内田さんからギターを借りて家で練習するのかと思いきや持ち帰ることなく置いて帰ったんだぜ! というようなことを水戸さんが話し、それに対して森若さんは家では渋いストラトで練習した、というようなことを返していた。
「バースト&ワースト」は今日のライブで一番印象的で、尚且つ格好良かった曲だ。これぞまさにライブ! という楽しさに溢れていた。CDとは異なり、演奏の途中で別の曲になり、メンバーそれぞれの見せ場が披露されてまた「バースト&ワースト」に戻る。内田さんのベースソロが間近で見られて、聴けて、大変興奮した。森若さんはおもちゃのステッキのようなものをギターの弦に押し当ててステッキのスイッチを押してステッキから音を出すパフォーマンスも見せていた。
客の勢いが増したのは「天井裏から愛をこめて」からだろうか。この曲のあたりから前から三列目の位置から二列目になり、客のアクションも爆発し出した。それまでは上下に揺れつつも爪先は床につけたまま膝と踵を動かしていた人々が、完全に足を床から離して飛び跳ねだしたのではなかろうか。人気曲の魔力恐るべし。
アンコールは二回で、一つ目のアンコールが確か「100万$よりもっとの夜景」だったような気がする。最後のアンコールはまだ知らない曲だったが、夢中になって音楽に合わせて体を動かしまくった。…たっのしかったなー!
MCでは水戸さんが最近家に生えている木を切った話をしていた。前の住人が植えていったもので、三本あったうちの二本だけを切り一本は残しておいたのだが、その一本をこの間ついに切ったのだそうだ。それがまた凄まじい木で、はっさくサイズの実をつけるのだがこれが苦くて全く美味しくなく、使うとしたら焼き魚に絞る用途だと思われるがたかだか焼き魚に絞る程度にそんなでかい実は必要ない。さらに、カラスも食わない不味さのくせに枝からは十五センチほどの棘が生えてまるで末期のパンクスのようになっていて、どうせカラスも食べないのにそんな風に実を守ってどうするんだ、とつっこんでいた。
この謎の木の話から続いて、内田さんの家にも木が生えており、それは普通の枇杷の木なのだが、内田さんは枇杷が好きではないそうだ。そしてその枇杷の実が内田さんの車に落ちるため、枇杷の季節には内田さんの車には蟻がたかっているそうである。すると澄田さんが自分は枇杷が好きだと名乗り出て、そこからドリンク代込みならぬ枇杷込みライブをやろうという話になった。
また、序盤の方で来年ベストアルバムを出すとの告知があった。ベストアルバムは売れるからということで作ることになったのだそうだが、どこに需要があるのかと水戸さんが話していた。ここに集っているのはベストアルバムを買うまでもなくコアなファンばかりだろうということらしい。そして、これからはグレーゾーンの方々、あまりコアじゃない人を増やしていこう、お友達のプレゼントにどうぞ、と勧めて笑いをとっていたが、そのグレーってまさに自分のことじゃなかろうか。いや、欲しいけど買えないだけなんだけどさ! ベストアルバム嬉しいよ!
ベストアルバムには新曲も二曲入るそうで、そのうちの一曲を初披露してくれることに。ただし、まだ作っている「途中」なので、仕上がったら全然違うものになるかもしれないし、うまく演奏できるかもわからないとの前ふりが。曲に入る前に水戸さんが歌詞を確認していておかしかった。その曲が「愛に愛はあるか」。耳で聞いただけなので正しい表記はわからない。今回演奏したバージョンにもう一つ内田さんのコーラスが乗り、もっと重厚になる予定らしい。
間近で見た内田さんは大迫力で、距離のせいかもわからないが自分の目にはとてもでっかく映った。すごいなー。弦の上を走る指の動きがこんなにはっきり見えるなんて初めてだ。滴り落ちる汗まで見えるぞ。やっぱライブすると汗をかくんだなぁ、それはライトが熱いのか、体力を使うからなのか、それとも両方なのだろうか。また水戸さんがでっかい! そのうえダイナミック! ジャンプの高さに驚いたよ! あと歌詞間違えたり歌詞ぶっ飛んだりしなくてすげえええええって感動し、己はだいぶ毒されているのだなと改めて認識した。でもそんなオーケンが好きだ。
ライブ終了後はドリンクチケットをビールに換えてから、物販でライブ盤の「鶴亀」を購入した。「セカイガマッテイル」が無かったのは残念だったが、これは今度アマゾンで買おう。まずは鶴亀! 楽しみが増えたぞ。嬉しいなぁ。
そして上も下も汗をかいて濡れたシャツとジーンズのまま、駅まで早歩きして上着を取りに行った。いやもう本当ライブハウスから出た直後は体が温まってたから寒さなんて何ともねーやと思ったが、当たり前だがすぐに冷えたね! 今度来るときにはきちんと上着を着て参戦しようと心に誓った。寒かった。しかし楽しかった!